JPH09289080A - 加熱調理器 - Google Patents

加熱調理器

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Publication number
JPH09289080A
JPH09289080A JP10237996A JP10237996A JPH09289080A JP H09289080 A JPH09289080 A JP H09289080A JP 10237996 A JP10237996 A JP 10237996A JP 10237996 A JP10237996 A JP 10237996A JP H09289080 A JPH09289080 A JP H09289080A
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JP
Japan
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induction heating
coil
wire
heating coil
heating chamber
Prior art date
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Application number
JP10237996A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaaki Yamaguchi
公明 山口
Akihiko Nakajima
昭彦 中島
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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  • Electric Stoves And Ranges (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 マイクロ波加熱用の加熱室底部に誘導加熱コ
イルを配置した加熱調理器において、高効率でかつ信頼
性の高い誘導加熱コイルとその周辺構成を提供する。 【解決手段】 断面が略長方形の導電性帯状線材4aを
渦巻状に巻回して平板状コイルに成形し、前記略長方形
の長辺方向は成形されたコイル平板平面に対し垂直と
し、誘電損失εtanδが0.1以下、かつ耐熱温度18
0℃以上のマイカ等低誘電損失、高耐熱絶縁物よりなる
コイル支持体9で導電性帯状線材を固定すると共に、巻
き線相互間の絶縁をこのコイル支持体9自身による絶縁
とこのコイル支持体9で形成される空間及び沿面距離に
より確保した誘導加熱コイル4を加熱室2の室内底部に
設け、この誘導加熱コイル4下面と加熱室2の底面との
間に表面を金属等の導電性薄膜13bで覆った磁気遮蔽
体13を配置している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高周波による誘導加
熱とマイクロ波によるマイクロ波加熱の二つの加熱手段
を持った加熱調理器に関するものである。
【0002】本発明において高周波とは、一般に誘導加
熱に用いられる。10KHz〜100KHzの周波数範
囲、マイクロ波とは一般に誘電加熱の一種であるマイク
ロ波加熱に用いられる300MHz〜3GHzの周波数
範囲の電磁波とする。
【0003】
【従来の技術】従来、電気オーブン、オーブンレンジな
ど電気ヒータを用いた箱物加熱調理器と呼ばれるものの
場合、家庭で利用できる電力には限度がある上、加熱室
を構成する金属壁面とその付属物を昇温するために大量
のエネルギーを必要とするため、一般的にどうしても火
力不足で立ち上がりに時間がかかり、充分な高温に出来
ないことが多い。特に電子レンジ機能と電気オーブンの
機能を合体したオーブンレンジの場合、マイクロ波を閉
じこめておく機能や、マイクロ波を発生しこれを均一に
分布させる機能を実現するため、機器全体の熱容量が大
きくなる等の理由でその傾向はさらに顕著になる。
【0004】これに対し、電子レンジ機能であるマイク
ロ波加熱を行う加熱室内下部に配置されたたオーブン皿
を誘導加熱機能により加熱する構成は、誘導加熱により
オーブン皿が直接自己発熱して昇温するため非常に効率
的で、オーブン皿を高速で高温にすることが出来るた
め、オーブン皿によるスピーディな焦げ目つけの機能
と、食品自身を自己発熱させるマイクロ波加熱の高速性
を組み合わせた従来に無い高速調理機能を実現できるも
のである。
【0005】しかし、誘導加熱により電子レンジの加熱
室内のオーブン皿を加熱する構成については、誘導加熱
コイルを加熱室内に配置してマイクロ波中に暴露する
と、リッツ線等の絶縁被覆細線で構成された一般の誘導
加熱コイルはマイクロ波により高温に加熱されその絶縁
被覆が極く短時間、例えば数分程度の間に損傷を受け使
用に耐えない。一方加熱室外に誘導加熱コイルを配置す
ると、加熱室を構成する金属壁が誘導加熱コイルで発生
した高周波磁界を遮蔽するため、誘導加熱そのものが機
能しない。こうした相互に合い矛盾する課題を解決する
ため、これまでにも幾つかの提案がなされているがそれ
ぞれに課題が多かった。
【0006】以下提案されている代表的な二つの例につ
いて説明する。まず図14に示す従来例(特開平4−6
5097号公報)について説明する。
【0007】加熱室2の側壁にはマグネトロン3が取り
付けられており、マグネトロン3で発生したマイクロ波
は導波管24を通じて加熱室2内に導入される。
【0008】6は食品5を入れる鉄性鍋等の磁性体から
なる加熱皿であり、14はターンテーブル、20は加熱
室2の底壁を構成するメッシュ数10〜25でかつ非磁
性体から成る金属網、21は金属網20の下部に配置さ
れた誘導加熱コイルである。
【0009】この従来例の構成によれば、加熱室2の底
壁を構成した金属網20は、マイクロ波を加熱室内に閉
じこめる機能を果たす一方で、加熱室2外に配置した誘
導加熱コイル21で発生した高周波磁界を透過して磁性
体容器6の誘導加熱も可能とすると言うものである。
【0010】次に図15に示す第2の従来例(特開昭6
3−225496号公報)について説明する。マグネト
ロン3で発生したマイクロ波は導波管24、回転アンテ
ナ22を通じて加熱室2内に導入される。
【0011】食品5を入れる加熱皿6は、耐熱セラミッ
ク板等よりなる仕切板14上に載置され、誘導加熱コイ
ル21と磁気遮蔽体であるフェライトコア23は前記仕
切板14と前記回転アンテナ22との間の前記加熱室2
内の底部空間に配置されている。前記誘導加熱コイル2
1とフェライトコア23はそれぞれアルミニウム等の非
磁性体金属よりなるシールドカバー(図示せず)で覆わ
れている。誘導加熱コイル21を覆うシールドカバーは
誘導加熱コイル21により発生する誘導電流によるジュ
ール損の発生を防止するために、発生する誘導電流と略
直角方向、従って放射状に多数のスリット孔が設けられ
ている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の
従来例の構成においては、加熱室の底壁を非磁性のステ
ンレス細線よりなる金属網20で構成し、誘導加熱コイ
ル21は前記加熱室2の底壁の外側に配置する構成のた
めに次のような課題があった。金属網20によるマイク
ロ波の遮蔽の程度は金属網20の編み目の大きさに依存
するため、編み目が小さければほとんどマイクロ波は漏
洩しないので、誘導加熱コイル21はほとんどマイクロ
波の影響を受けない。しかし逆に編み目が小さいと誘導
加熱コイル21で発生した高周波磁界はこの金属網20
で遮蔽されて誘導加熱の機能を損なうことになる。
【0013】そこでこの金属網20の編み目を誘導加熱
の機能を損なわない程度の粗いものにすると、この金属
網20の編み目を構成するステンレス細線にマイクロ波
による大きな高周波電流が流れ、このステンレス細線同
志の接触部での発熱、放電等が発生しやすくなる。さら
に金属網20のマイクロ波遮蔽機能が低下し、マイクロ
波の漏洩量が増加するため誘導加熱コイル21が漏れた
マイクロ波に暴露され、誘導加熱コイル21を構成する
リッツ線の絶縁被膜が焼損する等のダメージを受けるこ
とになる。
【0014】一般に誘導加熱コイル21は高周波電流を
流すことによるコイル自身の自己発熱を抑えるために表
面積が大きく取れるリッツ線を用いている。リッツ線と
はエナメルやポリウレタン等の絶縁被覆を施した直径
0.5mm前後の絶縁細線を数十本より合わせて構成し
たものである。こうしたエナメルやポリウレタン等の絶
縁被覆の耐熱温度は電気用品取締法でH種として分類さ
れる最高温度の物でも180℃となっている。これに対
し、こうしたリッツ線で構成された誘導加熱コイル21
は、例えば600Wの電子レンジ中でマイクロ波に暴露
された場合、数分の暴露で400〜500℃に達するこ
とが確認されており、第1の従来例の場合も金属網20
を通過するマイクロ波の量が増加すればたちまち180
℃をオーバし絶縁被覆が損傷することになる。
【0015】第1の従来例ではメッシュ数を10〜25
に限定し、非磁性のステンレス細線を用いることでこの
課題を克服することを狙っている。しかし例えば電子レ
ンジとして利用した場合で負荷の無い、いわゆる空炊き
と呼ばれる場合を考慮するだけでも、マイクロ波を遮蔽
する機能と誘導加熱コイル21で発生した高周波磁界を
透過する機能を同時に満足し、しかも金属網20の信頼
性を維持するには設計条件が非常に厳しくなるという課
題があった。
【0016】また、第2の従来例の構成においては、誘
導加熱コイル21を加熱室2内に配置しているので第1
の従来例のように加熱室2の底壁を構成する金属網20
に伴う課題が無い代わり、誘導加熱コイル21をマイク
ロ波から遮蔽するためシールドカバー(図示せず)を使
用することが第1の従来例に於ける金属網20を使用す
る場合と同様の問題を発生する。すなわちマイクロ波を
遮蔽する機能と誘導加熱コイル21で発生した高周波磁
界を透過する機能を同時に満足することは非常に難し
い。
【0017】さらにこの構成の場合、誘導加熱コイル2
1の下方には金属材料からなる加熱室2の底壁がマイク
ロ波を閉じこめるための遮蔽壁として必ず存在してい
る。フェライトコア23は誘導加熱コイル21が下方に
発生する高周波磁界を遮蔽し、前記加熱室2の底壁が誘
導加熱されるのを防止するのに有効ではある。しかし、
一般にフェライトコア23を構成するフェライトはマイ
クロ波中に暴露されとマイクロ波を吸収して発熱する。
フェライトが強磁性体と呼ばれ高周波磁界を遮蔽する能
力はその透磁率の大きさで代表する事が出来るが、この
透磁率は温度上昇に伴って低下し、多くの場合300℃
〜400℃にあるキューリ温度と呼ばれる温度以上に上
昇すると一気に強磁性特性を無くして透磁率が低下し、
高周波磁界を遮蔽する機能を失う。また急速な温度上昇
は熱膨張による機械的歪を生じ、ひびが入ったり、割れ
たりと言った破損を生じることにもなる。
【0018】こうしたマイクロ波によるトラブルを回避
するためフェライトコア23は誘導加熱コイル21同様
マイクロ波から遮蔽するシールドカバー(図示せず)で
覆う必要がある。しかし、このシールドカバーの使用は
シールドカバー自身が誘導加熱されると言う誘導加熱コ
イル21の場合と同様の課題を発生する。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、加熱室の室内底部に誘導加熱コイルを設け、
この誘導加熱コイルは銅等の電気良導体からなる断面が
略長方形の導電性帯状線材を渦巻状に巻回して平板状コ
イルに成形し、前記略長方形の長辺方向は成形されたコ
イル平板平面に対し垂直としたものである。
【0020】さらに前記電気良導体の材質と高周波電力
の周波数に対して決まる浸透深さをδとした時、前記導
電性帯状線材はその断面略長方形の短辺長は略δ以上略
3δ以下また長辺長は短辺長の略3倍以上としたもので
ある。
【0021】さらに、誘導加熱コイルは使用するマイク
ロ波周波数での誘電損失εtanδが0.1以下、かつ耐
熱温度180℃以上のマイカ等の低誘電損失、高耐熱絶
縁物よりなるコイル支持体で導電性帯状線材を固定する
と共に、導電性帯状線材からなる巻き線相互間の絶縁を
このコイル支持体自身による絶縁とこのコイル支持体で
形成される空間距離及び沿面距離により確保したもので
ある。
【0022】上記発明によれば、帯状線材の略長方形断
面の長辺方向が成形されたコイル平板平面に対し垂直と
なる方向としているので、誘導加熱コイル自身が発生す
る高周波磁界の向きと導電性帯状線材の帯平面の向きが
概ね並行となる。このため導電性帯状線材と交差する磁
束の数が少なくなり、誘起される誘導電流も少ないた
め、誘導加熱コイル自身の誘導電流による発熱損失が小
さく抑えられるものである。
【0023】さらに、使用する高周波電力が線材表面付
近、深さδの範囲に集中することを評価して算定し、そ
の線材が高周波電流に対して伝導体として有効に機能す
る断面積比率を有効活用率としてこれを定義すると、高
周波電力伝導によるオーム損を低減するために従来広く
用いられてきたリッツ線と同等の有効活用率を有する導
電性帯状線材はリッツ線に比較してその表面積を小さく
出来る。従って誘導加熱コイルがマイクロ波中に暴露さ
れた時にマイクロ波により誘導加熱されて生ずる誘導加
熱コイルの発熱昇温が低く抑えられる。
【0024】さらに、高周波電力の供給を受けて生ずる
誘導加熱コイル自身の発熱、昇温に加え、マイクロ波に
暴露されて生ずる発熱、昇温があっても、コイル支持体
は誘電損失εtanδが0.1以下と小さい値の材料を使
っているのでマイクロ波に暴露されても支持体自身の発
熱は小さいため、昇温は比較的低い温度に抑えらる。し
かもコイル支持体を構成する材料は180℃以上の高温
耐熱性を持っているので、一般の絶縁被覆線で誘導加熱
コイルを構成した場合と異なり、誘導加熱コイルがマイ
クロ波に暴露される加熱室内にあっても、絶縁を初めと
とする機能に問題を生ずる事がない。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明は、食品を加熱する加熱室
と、この加熱室にマイクロ波を供給するマグネトロン
と、前記加熱室の室内底部に設けた誘導加熱コイルと、
この誘導加熱コイルに高周波電力を供給する高周波電源
とを備え、この誘導加熱コイルは断面が略長方形の導電
性帯状線材を渦巻状に巻回して平板状コイルに成形し、
前記略長方形の長辺方向は成形されたコイル平板平面に
対し垂直とした。
【0026】そして、略長方形断面の長辺方向が成形さ
れたコイル平板平面に対し垂直となる方向としているの
で、誘導加熱コイル自身が発生する高周波磁界の向きと
導電性帯状線材の帯平面の向き、すなわち長方形断面の
長辺方向が概ね並行となる。このため導電性帯状線材と
交差する磁束の数が少なく、誘起される誘導電流も少な
くなるため、誘導加熱コイル自身の誘導電流による発熱
損失を小さく抑えられる。
【0027】さらに、電気良導体の材質と高周波電力の
周波数に対して決まる高周波の浸透深さをδとした時、
導電性帯状線材はその断面略長方形の短辺長を略δ以上
略3δ以下また長辺長を短辺長の3倍以上とした。
【0028】そして、導電性帯状線材は丸線で構成され
たリッツ線より表面積を小さく出来るので、マイクロ波
に暴露された時に生ずる誘導加熱を小さく抑えることが
できる。
【0029】また、導電性帯状線材は丸線を圧延して断
面を略長方形の帯状に成形して構成し、この略長方形の
長辺側は直線、短辺側すなわち端面側は丸みを残した形
状とした。
【0030】そして、短辺側すなわち端面側は丸みを残
した形状とすることで、導電性帯状線材の端面コーナて
のマイクロ波による放電の発生の確率を小さく出来る。
【0031】また、導電性帯状線材は丸線を圧延して断
面を略長方形の帯状に成形して構成し、誘導加熱コイル
の引き出し線となる両端の一部又は全ては圧延せずに丸
線のまま、もしくは完全に圧延せず丸線に近い状態とし
た。
【0032】そして、誘導加熱コイルの引き出し線の曲
げ方向の自由度が確保出来、限られた空間での引き出し
線の引き回しが容易になる他、引き出し線の加熱室を貫
通する位置に必要な電波(マイクロ波)漏洩防止用のチ
ヨークの形状をシンプル、コンパクトに出来る。
【0033】また、誘導加熱コイルは使用するマイクロ
波周波数での誘電損失εtanδが0.1以下、かつ耐熱
温度180℃以上のマイカ等低誘電損失、高耐熱絶縁物
よりなるコイル支持体で渦巻状に巻回した導電性帯状線
材を支持すると共に、この導電性帯状線材相互の絶縁を
このコイル支持体自身による絶縁とこのコイル支持体で
形成される空間距離及び沿面距離により確保した。
【0034】そして、誘導加熱コイル自身が高周波電力
の供給を受けて生ずる発熱、昇温に加え、マイクロ波に
暴露されて生ずる発熱、昇温があっても、コイル支持体
は誘電損失εtanδが0.1以下と小さい値の材料を使
っているのでマイクロ波に暴露されてもコイル支持体自
身の発熱は小さいため、昇温は比較的低い温度に抑えら
れ、しかも180℃以上の高温耐熱性を持っているの
で、誘導加熱コイルはマイクロ波に暴露される加熱室内
にあっても電気絶縁及び機械的支持機能に問題を生ずる
事がない。
【0035】さらに、コイル支持体は放射状に配置され
た複数の棒状体からなり、この棒状体に設けた溝または
貫通孔に渦巻状に巻き回した導電性帯状線材を嵌合支持
する構成とした。
【0036】そして、誘導加熱や誘電加熱で誘導加熱コ
イルが高温となり導電性帯状線材が線膨張しても棒状体
と棒状体の間の非固定部分で膨張分を逃がすことで誘導
加熱コイル全体の機械的構成を無理無く維持出来る。
【0037】さらに、コイル支持体は帯状に成形された
帯状支持体とし、導電性帯状線材と前記帯状支持体を重
ねて巻回して一体に成形して固定した。
【0038】そして、誘導加熱や誘電加熱で誘導加熱コ
イルが高温となり導電性帯状線材が線膨張しても、帯状
支持体も同時に線膨張すると共に、導電性帯状線材と帯
状支持体の線膨張率の違いは両者相互の機械的な滑りに
より大きな機械的なストレスが加わらないように出来、
誘導加熱コイル全体の機械的構成を無理無く維持出来る
とともに、導電性帯状線材の巻き相互の近接面間の絶縁
を空間や沿面ではなく、絶縁体で確保する構成のため最
もコンパクトな形を実現することが出来る。
【0039】また、誘導加熱コイルは隣接する導電性帯
状線材相互間をマイクロ波的に短絡するための短絡金属
片を少なくとも1個設ける構成とした。
【0040】そして、隣接する導電性帯状線材相互間に
ついて、20〜30KHzの高周波に対しては絶縁を維
持しながらマイクロ波の巻き線間への進入を阻止し、マ
イクロ波による誘導加熱コイル及びその絶縁体の発熱に
よる障害を抑止すると共に、マイクロ波の誘導加熱コイ
ルでの電力損失を低減して信頼性、効率共に向上出来る
ものである。
【0041】また、誘導加熱コイルは隣接する導電性帯
状線材相互間をマイクロ波的に短絡するため、その渦巻
の途中少なくとも1カ所以上で導電性帯状線材相互間を
部分的に近接したものである。
【0042】そして、別部品すなわち短絡金属片をもち
いることなく隣接する導電性帯状線材相互間について2
0〜30KHZの高周波に対しては絶縁を維持しながら
マイクロ波の誘導加熱コイルの巻き線間への進入を阻止
し、マイクロ波による誘導加熱コイル及びその絶縁体の
発熱による障害を抑止すると共に、マイクロ波の誘導加
熱コイルでの電力損失を低減して信頼性、効率の両方を
高めることができる。
【0043】また、食品を加熱する加熱室と、この加熱
室にマイクロ波を供給するマグネトロンと、前記加熱室
内底部に設けた誘導加熱コイルと、この誘導加熱コイル
に高周波電力を供給する高周波電源と、前記誘導加熱コ
イル下面と前記加熱室底面との間にフェライト等の強磁
性でかつ絶縁性を有する材料からなる磁気遮蔽体とを備
え、この磁気遮蔽体はその表面の全部または一部を金属
等の導電性材料からなる箔ないし薄膜で覆う構成とし
た。
【0044】そして、この箔ないし薄膜は高周波磁界に
対してはほとんど遮蔽特性を有していないので磁気遮蔽
体の高周波磁界に対する特性、機能には影響を与えない
が、マイクロ波に対しては大きな遮蔽効果を有し、マイ
クロ波が磁気遮蔽体には吸収されることを防止する。こ
れにより、誘導加熱コイルで発生される下向きの高周波
磁界はこの磁気遮蔽体によってほとんど遮蔽されて加熱
室底面にまで到達せず、加熱室底面に於いて誘導電流に
よる発熱損をほとんど発生しない。しかも、強磁性体で
構成された磁気遮蔽体が、マイクロ波を吸収して昇温し
キュリー温度以上になって強磁性特性を失ったり、さら
には不均一な熱膨張による機械的ストレスが原因で破壊
すると言った事がない。ここでキュリー温度とは強磁性
体が常磁性状態へ転移する温度のことである。
【0045】さらに、磁気遮蔽体は放射状に配置された
複数個の棒状体とした。そして、磁気遮蔽体表面の箔な
いし薄膜は誘導加熱コイルと同心円状の電流閉ループを
形成出来ないので、高周波による誘導電流の発生はさら
に小さく抑えられ、高周波磁界に対する箔ないし薄膜の
影響をさらに小さく出来る。
【0046】さらに、磁気遮蔽体はその下面を前記加熱
室底面に直接もしくはシリコーン樹脂等非金属材料でか
つ熱伝導度の良い材料を介して密着させる構成とした。
【0047】そして、加熱室壁面を通じて磁気遮蔽体の
放熱が促進され、磁気遮蔽体の昇温による特性劣化を抑
えることができる。
【0048】また、食品を加熱する加熱室と、この加熱
室にマイクロ波を供給するマグネトロンと、前記加熱室
の室内底部に設けた誘導加熱コイルと、この誘導加熱コ
イルに高周波電力を供給する高周波電源とを備え、前記
誘導加熱コイル下面と前記加熱室の内側底壁面との距離
を10mm以上、50mm以下とした。
【0049】そして誘導加熱コイルで発生する下向きの
高周波磁界により加熱室底面で生ずる誘導電流と、これ
による発熱損失を非常に小さなものにする事が出来ると
共に、機器全体が高くなって設置性に問題の出ることも
無い。
【0050】また、加熱室の底壁の内面の一部又は全て
を銅、アルミニウム等の非磁性の電気良導体で構成し
た。
【0051】そして、多少加熱室の底壁部分まで高周波
磁界が達しても、誘導加熱で生ずる損失はさらに軽減さ
れるものである。
【0052】さらに、加熱室の底壁の内面の一部叉は全
てを構成する銅、アルミニウム等の電気良導体は、それ
ぞれの材料と高周波電力の周波数に対して決まる浸透深
さをδとした時、その厚みを略δ以上とした。
【0053】そして、底壁に達した高周波磁界で生ずる
誘導電流のうちこの電気良導体の反対側にまで達するの
は1/eから(1/e)3となるため、発生する損失は
ほぼこの電気良導体の材質で決まる小さなものになる。
【0054】以下本発明の第1の実施例に於ける加熱調
理器について図1〜図7を用いて説明する。
【0055】図1に示すように、加熱室2は誘導加熱コ
イル4を配置するための凹形状を有する加熱室底壁8
と、ドーム状で上下に開閉するドア7とで構成される。
加熱室底壁8はステンレスや鉄等の機械的強度、加工
性、経済性に優れた鋼板により構成される。さらにこの
加熱室底壁8の誘導加熱コイル4に近接する部分の内側
にはアルミや銅等の非磁性電気良導体金属板からなる底
内壁8bが構成されている。それぞれの金属材料に対し
て決まる高周波電力の浸透深さをδとしたとき、この底
内壁8bの厚みはδを下まわらない厚みとしている。
【0056】この種の金属板は、同じ誘導電流が誘起さ
れても抵抗値が小さく、オーム損は低く抑えられる。し
かも、この種の金属は比較的高価な材料であるが、その
厚みをδ以上3δ以下とすれば十分な効果を発揮するこ
とは次に説明する通りである。
【0057】一般に金属に代表される導電体は、磁性
体、非磁性体に関わらず交流磁界が印可されると、誘導
電流を発生するがその誘導電流は表面から内部へ向かっ
て減少し、電流密度が表面電流密度I0の1/e(e=
2.71828・・・)になる深さを一般に浸透深さδ
(m)と呼ぶ。導電体の固有抵抗ρ(Ω・m)、比透磁
率μr、高周波電力の周波数fが決まると、浸透深さδ
はδ=503・{ρ/(fπμr)}1/2で算出される。
導電体表面からxの深さでの導電体中の電流密度Iは表
面での電流密度I0と浸透深さδを用いて I=I0・e-x/δ で表される。
【0058】この高周波磁界により流れる電流によって
生じる損失は、浸透深さδの深さまで一様な電流密度I
0/21/2の電流が流れていると仮定したものと同一とな
る。よって浸透深さδの厚さで単位幅(1m)、単位長
(1m)の抵抗板の抵抗値を表皮抵抗RSとし次式で定
義することにより、その導電物質の抵抗特性を代表する
ことが出来る。
【0059】RS=ρ/δ 底内壁8bを表皮抵抗Rsの小さいアルミや銅等の非磁
性電気良導体金属板で構成することにより誘導加熱コイ
ル4が発生する高周波磁界による加熱室底壁8での発熱
損失を大きく抑制することが出来る。
【0060】銅板であれば周波数fが20KHzの場
合、浸透深さδは約0.47mmで、この浸透深さδ
(0.47mm)の厚みを有する銅板の一方の面に加わ
った高周波磁界が反対側の面まで達するのは1/e、電
力で見れば(1/e)2でわずか約14%である。従っ
て、厚さは最低でもδ程度あれば十分その機能を果たす
となることがわかる。一方この金属板の厚みは大きいほ
ど良いが、3δあれば反対側に達する電力は(1/e)
6すなわち0.25%になるのでこれ以上の厚みは必要
なく、コストの点から判断して、3δ程度に止めておく
のが賢明である。
【0061】さらに加熱室底壁8全体はステンレスや鉄
等鋼板により構成され、高周波磁界により誘導電流の誘
起される部分の底内壁8bのみを銅やアルミで構成する
ことで機械的強度、加工性、経済性に優れ、かつ高い誘
導加熱効率が実現されるものである。
【0062】加熱室底壁8の凹形状の中に配置された誘
導加熱コイル4の上部には、高耐熱ガラス板、マイカ板
等の誘電体材料からなる仕切板10が配置されている。
この仕切板10により誘導加熱コイル4は加熱室2の内
部と空間的に遮断されている。仕切板10の上には結晶
化ガラス等の高耐熱性のセラミック系の物質で構成され
たターンテーブル14が配置され、ターンテーブルモー
タ11により回転駆動される。
【0063】食品に焦げ目を付けるための加熱皿6は鉄
やステンレス等の比較的電気抵抗の大きい金属材料から
構成されており、前記ターンテーブル14上に配置さ
れ、誘導加熱コイル4が発生する高周波磁界により誘導
加熱される。
【0064】マグネトロン3で発生したマイクロ波は加
熱室底壁8の側壁に設けられている結合孔16から加熱
室2内へ放射される。この実施例の場合、結合孔16は
誘導加熱コイル4の配置されている加熱室底壁8の凹部
空間の側壁に配置されているので、電波は主に誘導加熱
コイル4の周囲を通って、被加熱物5のある加熱室2内
の加熱皿6上部へ放射される構成となっている。
【0065】誘導加熱コイル4とマグネトロン3の高圧
トランス(図示せず)へは共通の高周波電源(図示せ
ず)から数十キロHZの高周波電力が供給される構成に
なっておりり、その切り替えはリレー(図示せず)によ
り行われる。高周波電源としては一般にインバータ電源
と呼ばれる商用周波数電力を高周波電力に変換する電源
装置が用いられる。
【0066】図2(a)は本実施例に於ける誘導加熱コ
イル4とその周辺部の詳細図、図2(b)は図2(a)
におけるA−A’線断面図である。誘導加熱コイル4は
銅の丸線を圧延して帯状に成形し、その断面を略長方形
と見なしたとき、長辺側は直線に、短辺側すなわち端面
側は丸みを残した形状とした導電性帯状線材4aにより
構成されている。電気良導体の材質と高周波電力の周波
数に対して決まる高周波の浸透深さをδとした時、導電
性帯状線材4aの略長方形断面の短辺長は略δ以上略3
δ以下、さらに長辺長は短辺長の3倍以上となってい
る。誘導加熱コイル4はこの導電性帯状線材4aを渦巻
状に巻回して円盤状に成形し、導電性帯状線材4aの断
面略長方形の長辺方向は成形されたコイル平板平面に対
し垂直としたものである。導電性帯状線材4aからなる
誘導加熱コイル4は耐熱温度180℃以上の高耐熱絶縁
性を有し、かつマイクロ波周波数での誘電損失εtanδ
が0.1以下のマイカ、セラミックス等の絶縁材料から
なるコイル支持体9により支持されている。本実施例の
場合、このコイル支持体9は放射状に配置された複数の
棒状体9bから構成されており、誘導加熱コイル4はこ
の棒状体9bに設けたられた溝9cに嵌合支持されてい
る。さらに、前記コイル支持体9は比較的高耐熱でかつ
マイクロ波周波数での誘電損失εtanδの小さな樹脂等
の誘電体材料で構成されたコイル支持枠12a、12b
により固定され、誘導加熱コイル4、コイル支持体9、
コイル支持枠12a、12bで一体のユニットとになっ
ている。
【0067】図3(a)、(b)、(c)は誘導加熱コ
イル4の巻方向と磁束の関係を説明するためのものであ
る。図3(a)は誘導加熱コイル4周辺の磁束の様子の
概略を中心線から右半分の断面について模式的に示した
ものである。図3(b)、(c)は断面が略長方形の導
電性帯状線材の向きと磁束の関係を拡大図示したもの
で、図3(b)は前記略長方形の長辺方向と磁束が垂直
の場合、図3(c)はに前記略長方形の長辺方向が磁束
と平行の場合を示している。本発明の構成の場合、断面
が略長方形の導電性帯状線材を渦巻状に巻回し平板状コ
イルに成形し、前記略長方形の長辺方向が成形されたコ
イル平板に対し垂直となる方向に構成されている。一方
図3(a)より磁束はおおむねコイル平板に対し略垂直
方向を向いていることから、誘導加熱コイル4の導電性
帯状線材と磁束の関係は図3(c)に示す方向になって
おり、磁束19が導電性帯状線材と交差する率が、図3
(b)に示す導電性帯状線材の面方向に巻回した場合に
比べ大幅に少なく、従って誘導加熱コイル4自身に誘起
される誘導電流による損失も少なく抑えられる。すなわ
ち、誘導加熱コイル4を断面が略長方形の導電性帯状線
材4aで構成し、断面長方形の長辺方向をコイル平面に
対して垂直とすることで誘導加熱コイル4自身の発熱を
抑制することが出来る。
【0068】一方、高周波電流は導体表面から内部へ向
けて指数関数的に減衰するから、線材が伝導体として機
能するのは断面の表面近くに限定される。そこで使用す
る高周波電力が線材表面近傍に集中することを評価して
算定し、その線材が高周波電力に対して伝導体として有
効に機能する断面積比率を有効活用率としてこれを定義
すると、高周波電力による伝導損失を低減するために従
来広く用いられてきたリッツ線と同等の有効活用率を有
する導電性帯状線材はリッツ線に比較してその表面積が
大幅に小さくなる。高周波電力による発熱量は誘導加熱
コイル4を構成する線材に流れる高周波電流の伝導損失
が主体で、これは線材の断面積と有効活用率の積に反比
例する。これに対し、マイクロ波による発熱量は誘導加
熱コイル4の外から照射されるマイクロ波によって誘導
加熱コイル4を構成する線材表面に誘起される誘導電流
によるものと考えられる。従って、一定電力のマイクロ
波が供給される加熱室2内に配置された誘導加熱コイル
4の発熱量はマイクロ波に暴露される線材の表面積に比
例する。よって、本発明における導電性帯状線材4aは
リッツ線に比較して表面積の小さい分、マイクロ波によ
る発熱昇温は低減されることになる。
【0069】高周波電力とマイクロ波による誘導加熱コ
イルの発熱がともに誘導加熱と言う同じ発熱原理に基ず
く現象で有るにも関わらず、高周波電力による発熱が線
材の断面積と有効活用率の積で決まるのに対し、マイク
ロ波による発熱が表面積で決まる理由について若干説明
する。
【0070】例えば電子レンジ等の誘電加熱に使用され
るマイクロ波の周波数は、誘導加熱に使用される高周波
電力の周波数20〜30KHzの約100,000倍の
2.45GHzである。従ってマイクロ波に対する浸透
深さは高周波に対する浸透深さδの約300分の1であ
る。このため例えば銅線であれば周波数f=20KHz
の高周波電力に対する浸透深さはδ=0.47mm有る
のに対し、周波数f=2.45GHzのマイクロ波に対
してはδ=0.0015mmと言う非常に小さな値とな
り、一般に使用している線材の断面の大きさからすると
その表面のみが加熱されると言い切っても良いことにな
る。また、高周波電力による発熱は、誘導加熱コイル4
に流す一定の高周波電流によるものであるのに対し、マ
イクロ波による発熱は加熱室2と言うマイクロ波暴露空
間に誘導加熱コイル4がさらされて生ずるもので、マイ
クロ波に暴露される表面積が広いほど発熱量が多くなる
ものである。
【0071】次に有効活用率と表面積の関係について述
べる。丸線及び導電性帯状線材の有効活用率をそれぞれ
α、βとする。線材断面の電流密度を表面で100%と
し、100%の表面と37%の浸透深さδの点を通る直
線で近似し、電流密度が線材断面の表面と内部で均一な
直流の場合との比として定義すれば、有効活用率α、β
はそれぞれ次の式(1)、式(2)で示す事が出来る。
【0072】丸線の有効活用率: α=1−(1−1/e)・(d/2δ)/3 (1) d:線材の直径、 導電性帯状線材の有効活用率: β=1−(1−1/e)・(t/2δ)/2 (2) t:線材の短辺長、 この場合短辺側の表面は長辺側に比べ十分小さいとして
無視している。
【0073】但し 0≦d,t≦2e/(e−1)・δ e:自然数(2.71828...) 直径d、短辺長tが2e/(e−1)・δすなわち3.
16δ以上になると中心部はほとんど電流伝導に寄与し
ないため、この種の線材が高周波的に効率的に機能する
のはd,t共に略3δが上限値と考えられる。一方短辺
長tの下限については、短辺長が小さいほど有効活用率
は増大するが、表面積も増大してマイクロ波による加熱
が問題になる。特にt=δより小さくなると、有効活用
率の増加に比較して表面積の増加が大きくなり、有効活
用率と表面積のバランスから判断してδが短辺長tの下
限値と判断出来る。
【0074】一方、直径dの丸線と同じ有効活用率とな
る導電性帯状線材の短辺長(厚み)tは、式(1)、式
(2)からt=(2/3)・dとなることがわかる。さ
らに、この有効活用率が同じと言う条件下で、丸線N本
をより合わせたものと同じ断面積となる導電性帯状線材
の長辺長をwとすると次式が成立する。
【0075】π・(d/2)2・N=t×w t=(2/3)・dから、長辺長wと短辺長tの比率は w/t=π・(9/16)・N =1.8N となる。従って、最小本数N=2と仮定すると長辺長w
の短辺長tに対する比率w/tは3以上となる。
【0076】線材の表面積は断面外周に比例するから、
断面外周を比較すれば線材の表面積の大きさの比較がで
きる。有効活用率、断面積が同等の丸線をより合わせた
リッツ線と導電性帯状線材それぞれの外周の総和をl
α、lβとすると、 lα=π・d・N lβ=2w+2t =(6/8+4/(3πN))・lα 従って導電性帯状線材のリッツ線に対する表面積比は lβ/lα=(6/8+4/(3・π・N)) よって、 N≧2でlβ/lα<1 N≧9でlβ/lα<0.8 となる。すなわち、丸線に対応する導電性帯状線材は丸
線がN≧2であれば表面積は小さくなり、N≧9であれ
ば2割以上小さくなる。例えば直径d=2δの丸線を1
0本より合わせたリッツ線を想定すると、これと有効活
用率、断面積ともに等しい導電性帯状線材の断面寸法は
短辺長(厚み)t=(2/3)・2δ、長辺長w=7.
5・π・δである。これら線材の表面積は断面の外周の
総和に線材の長さを乗じたものであるから、表面積は線
材断面の外周に比例する。リッツ線の断面の外周の総和
は10・2πδ=62.8δ、導電性帯状線材の断面の
外周は15・π・δ+(8/3)・δ=49.8δとな
り、丸線をより合わせたリッツ線構成に比較して導電性
帯状線材の方が明らかに表面積が2割以上小さくなるこ
とがわかる。従って、先に述べたように本発明の導電性
帯状線材からなる誘導加熱コイル4は、リッツ線で構成
された従来の誘導加熱コイル4に比較して、マイクロ波
による発熱が低く抑えられることになる。
【0077】上述のようにして誘導加熱コイル4自身は
高周波電力の供給を受けて生ずる発熱、昇温、またマイ
クロ波に暴露されて生ずる発熱、昇温が上述のように低
く抑えられる。さらにコイル支持体9は誘電損失εtan
δが0.1以下の小さい値の材料を使っているのでマイ
クロ波に暴露されてもコイル支持体9自身の発熱は小さ
いため、昇温は比較的低い温度に抑えらる。しかもコイ
ル支持体9を構成する材料は180℃以上の高温耐熱性
を持っているので、誘導加熱コイル4がマイクロ波に暴
露される加熱室2内にあっても、一般の絶縁被覆線で誘
導加熱コイルを構成した場合のように異常昇温により絶
縁破壊を起こす等の問題を生ずる事がない。
【0078】一方、誘導加熱コイル4は線材の断面形状
や巻方に上述の対策を打っても、その効果に限界が有る
ため180℃前後の温度上昇は当然発生する。一般の設
計条件でコイルの巻き始めから巻き終わりまで全長で約
10m弱あるから、180℃の昇温で30mm程度伸び
ることになるが、誘導加熱コイル4は放射状に配置した
棒状体9aの位置のみで支持されているので、高温使用
時に発生する線膨張は棒状体9aと棒状体9aの間の非
固定部分で逃がすことで全体構成を無理なく維持出来
る。その結果、長期間繰り返して使用しても、支持構造
が劣化・破損する様な不良の発生が防止される。
【0079】さらに誘導加熱コイル4の引き出し線4b
の部分は圧延せずに丸線のままとし、この丸線部分から
なる引き出し線4bを適宜屈曲させて加熱室2内をひき
まわしている。さらに引き出し線4bは加熱室底壁8に
設けた2個の貫通孔17とこれに連接して設けた同軸状
のチョーク15を通って加熱室2外に導き出される。線
材の両側あるいは片側の引き出し線4bの部分を圧延せ
ずに丸線のままとすることで、線の曲げ方向の自由度が
確保出来、限られた空間での引き出し線4bの引き回し
が容易になる他、引き出し線4bが加熱室2を貫通する
位置に必要な電波(マイクロ波)漏洩防止用のチヨーク
15を円筒同軸状に構成できるので形状がシンプル、コ
ンパクトになる。
【0080】図4はコイル支持体9を構成する棒状体9
aに設けられた溝9bとこれに嵌合支持された誘導加熱
コイル4との細部を説明するための要部拡大図で、誘導
加熱コイル4はこれを構成する導電性帯状線材4aの断
面が示されている。導電性帯状線材4aは丸線を圧延し
て断面を略長方形の帯状に成形し、この略長方形の長辺
側は直線、短辺側すなわち端面側は丸みを残した形状と
なっている。このためマイクロ波中に暴露されても導電
性帯状線材4aの端部でのマイクロ波電界の集中が引き
起こす放電の発生確率が大きく抑制される。
【0081】さらにこの誘導加熱コイル4は隣接する導
電性帯状線材間をマイクロ波的に短絡するための短絡金
属片15を複数個適宜設けている。図5はこの部分を説
明するための要部拡大図である。この金属片15には少
なくとも片面にマイカ等からなる絶縁シート15bが張
り付けてあり、この絶縁シート15bは20〜30kH
zの高周波に対してはほぼ完全な絶縁を、2450MH
zのマイクロ波に対してはほぼ短絡状態を実現してい
る。これは絶縁シート15bを介して形成される容量を
Cとした場合、この容量Cにより生ずるインピーダンス
Zは周波数fに対しZ=1/2πfCで与えられるか
ら、20〜30kHzと2450MHzではインピーダ
ンスが約100000倍の違いを生ずることから実現さ
れる。
【0082】誘導加熱コイル4と加熱室底部8の間に
は、高周波磁界が加熱室底部8へ達するのを防止するた
め高透磁率でかつ絶縁抵抗の大きな強磁性体材料、例え
ばフェライト等からなる磁気遮蔽体13が配置されてい
る。図6はその拡大斜視図、図6に於けるB−B’断面
を図7に示す。磁気遮蔽体13はその表面の全部または
一部をSn2等の導電性材料の薄膜13bで覆い、その
下面を前記加熱室底内壁8bに直接密着する構成として
いる。例えばSn2の場合膜厚が5000オングストロ
ーム程度で面抵抗が15オーム/□前後となり、マイク
ロ波に対しては十分な遮蔽効果を有し、磁気遮蔽体13
内へのマイクロ波の浸入に伴う昇温を防止する。一方、
高周波磁界によるこの薄膜13bに誘起される誘導電流
とそれに伴う発熱は無視出来る。従って、この薄膜13
bの存在は高周波磁界に対する磁気遮蔽体13の働き、
機能に対してはほとんど影響しない。
【0083】導電性材料で構成された箔、もしくは薄膜
13bのマイクロ波及び高周波に対する上述の作用につ
いては数値的、理論的な観点から次のように説明するこ
とが出来る。本項実施例の説明の冒頭、底内壁8bに関
する部分でも述べたように金属に代表される導電物質は
交流磁界が印加されると誘導電流が発生する。この誘導
電流が表面から浸透する深さは有限で、表面から指数関
数的に減衰し、表面での電流密度をI0とすると、表面
からxの深さの電流密度Iは I=I0・e-x/δ で表される。磁界の減衰は電流の減衰に比例し、その減
衰比A(dB)は次のように表される。
【0084】A=20logH0/H=20logI0
I=8.686・x/δdB 例えばアルミ板を想定すると高周波の周波数がf=20
KHzでの浸透深さはδ=約0.6mmである。浸透深
さδは1/f1/2に比例するから周波数f=2.45G
Hzのマイクロ波に対する浸透深さは、20KHzの場
合の350分の1すなわちδ=1.7μmとなる。従っ
て厚みが1.7μmのアルミの薄膜を想定すると、上式
からマイクロ波はこのアルミの薄膜でA=8.686d
Bの減衰比で減衰し、十分マイクロ波を遮蔽することが
わかる。一方20KHzの高周波に対しては、A=0.
025dBの減衰が生じるだけでほとんど無視出来る程
度であることがわかる。このようにマイクロ波と高周波
の周波数の違いから来る浸透深さの違いを利用すること
により、金属等の導電性材料からなる薄膜に半透膜のよ
うな働きをさせたものである。
【0085】さらに本実施例の場合、磁気遮蔽体13は
誘導加熱コイル4の円盤形状に対し放射状に配置された
独立した複数個の棒状体としているので、誘導加熱コイ
ル4の円盤形状に対し同心円上に誘起される誘導電流の
主要電流通路が形成されないため、この薄膜13b上に
誘起される誘導電流はさらに微々たる物になり、高周波
磁界に対する薄膜13bの影響はさらに完全消し去るこ
とが出来る。
【0086】磁気遮蔽体13はマイクロ波による自己発
熱だけではなく、誘導加熱コイル4の発熱の影響で昇温
するが、磁気遮蔽体13の下面を前記加熱室底内壁8b
に直接密着する構成とすることで、磁気遮蔽体13の熱
拡散が促進され、磁気遮蔽体13の温度上昇が緩和され
る。こうした幾つかの対策を有機的に組み合わせること
により、磁気遮蔽体13が昇温により機能を低下させた
り、さらにはキュリー温度以上になってその磁気遮蔽効
果を失うばかりか、熱歪により破壊すると言った事を防
止することができる。
【0087】図8は第2の実施例における誘導加熱コイ
ル4とこれを支持するコイル支持体9を構成する棒状体
9aの要部拡大図で、誘導加熱コイル4は棒状体9aに
設けられた貫通孔9cに貫通支持される構成となってい
る。この構成の場合、誘導加熱コイル4を貫通孔9cに
貫通させながら渦巻状に成形する必要が有るなど、組立
時の課題はあるが、機械的に非常に信頼性の高い構造と
なる。
【0088】図9は第3の実施例に於ける隣接する導電
性帯状線材間をマイクロ波的に短絡する構成を示してお
り、第1の実施例における金属短絡片15の代わりに、
誘導加熱コイル4を構成する導電性帯状線材を部分的に
突起させることにより、相互に隣接する導電性帯状線材
間を近接させことで同等の機能を実現している。
【0089】図10は第4の実施例に於ける磁気遮蔽体
13とその加熱室2の内底壁8bへの固定方法を示すた
めの要部断面図である。磁気遮蔽体13は第1の実施例
の場合と同様にその表面の全部または一部をSn2等の
導電性材料の薄膜13bで覆い、その下面はシリコン樹
脂等熱伝導の良い非金属材料からなるスペーサ13cを
介して底内壁8bに密着固定されている。磁気遮蔽体1
3の下面を前記加熱室2の底内壁8bにシリコン樹脂等
熱伝導の良いスペーサ13cを介して密着する構成とす
ることで、磁気遮蔽体13の熱拡散が促進され、磁気遮
蔽体13の温度上昇が緩和され、磁気遮蔽体13の磁気
遮蔽効果が維持される。
【0090】図11は第5の実施例における誘導加熱コ
イル4とその周辺の要部断面図である。この実施例にお
いて誘導加熱コイル4と加熱室2の底内壁8bとの間隔
Dは略10mm以上50mm以下となっており、実施例
1の場合のような磁気遮蔽体13は配置されていない。
一般の電磁調理器の場合にも下方への高周波磁界の漏洩
を防止する為にフェライト等からなる磁気遮蔽体13は
用いられているが、本発明のように金属性の加熱室2内
に誘導加熱コイル4を配置する構成の場合、これまでに
も述べて来たように加熱室2の底内壁8bが誘導加熱さ
れない構成とすることは不可欠である。
【0091】誘導加熱コイル4とその下に配置された加
熱室2の底内壁8bに相当する銅板との距離が誘導加熱
の効率にどの様に影響するかを実験的に評価した。その
結果は図12に示すように、銅等の非磁性の電気良銅体
からなる底内壁8bと誘導加熱コイル4は略10mm以
上の距離を確保すれば磁気遮蔽体13を介在させなくと
も底内壁8bで発生する誘導電流による損失を低く抑え
る事が出来、ハロゲンやシーズヒータを用いた加熱器の
効率70%に近い効率を実現出来る。ただ、誘導加熱コ
イル4と底内壁8bとの距離は20mm以上にして本来
の電磁調理器の効率80%に近い値を得る事が望まし
い。また、30mm以上ではほとんど効率に変化は無
く、50mm以上では全体構成上無駄な高さ空間を取る
事になるので、その上限は50mmと判断される。
【0092】図13(a)は第6の実施例に於ける誘導
加熱コイル4とこれを支持固定する周辺部の要部断面
図、図13(b)は同要部の構成を解説するための展開
図である。本実施例に於いてはコイル支持体9が導電性
帯状線材4aと同等以上の巾を有する帯状支持体9dか
ら成っており、誘導加熱コイル4は導電性帯状線材4a
とマイカ等の高耐熱でかつ誘電損失εtanδ0.1以下
の低誘電損失の絶縁物よりなる帯状支持体9dを重ねて
巻回し、この帯状支持体9dで前記導電性帯状線材4a
自身の相互絶縁を確保している。マイカ等の帯状支持体
9dは300℃以上の耐熱を有し、かつ柔軟性があるの
で誘導加熱コイル4の発熱による昇温と、これに伴う熱
膨張による機械的ストレスに対しても十分な信頼性を発
揮する。すなわち誘導加熱コイル4が高温となり導電性
帯状線材4aが線膨張しても、帯状支持体9dも同時に
線膨張すると共に、導電性帯状線材4aと帯状支持体9
dの線膨張率の違いは両者相互の機械的な滑りにより大
きな機械的なストレスが加わらないように出来、誘導加
熱コイル4全体の機械的構成を無理無く維持出来るもの
である。しかもこの種マイカ等の絶縁物はマイクロ波に
対する誘電損失εtanδも0.1以下で低損失材料なの
でマイクロ波中に暴露される本構成においても帯状支持
体9d自身が発熱昇温することはない。
【0093】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の
加熱調理器によれば、次の効果が得られる。
【0094】誘導加熱コイルは銅等の電気良導体からな
る断面が略長方形の導電性帯状線材を渦巻状に巻回して
平板状コイルに成形し、前記略長方形の長辺方向は成形
されたコイル平板平面に対し垂直としているので、誘導
加熱コイル自身が発生する高周波磁界の向きと導電性帯
状線材の帯平面の向きが概ね並行となり、導電性帯状線
材と交差する磁束の数が少なく誘起される誘導電流も少
ないため、誘導加熱コイル自身の誘導電流による発熱損
失も小さく抑えられるので高い効率の加熱調理器が実現
出来ると言う効果がある。
【0095】さらに、電気良導体の材質と高周波電力の
周波数に対して決まる高周波の浸透深さをδとした時、
導電性帯状線材はその断面略長方形の短辺長を略δ以上
略3δ以下また長辺長を短辺長の3倍以上としているの
で、丸線で構成されたリッツ線より線材の表面積を小さ
く出来、マイクロ波に暴露された時に生ずる誘導加熱と
これに伴う温度上昇を小さく抑えられる。
【0096】また、導電性帯状線材は丸線を圧延して断
面を略長方形の帯状に成形して構成し、この略長方形の
長辺側は直線、短辺側すなわち端面側は丸みを残した形
状としているので、導電性帯状線材の端面コーナてのマ
イクロ波による放電の発生の確率が小さくなり、マイク
ロ波による誘電加熱時のいわゆる空炊きと呼ばれる無負
荷運転時に於いても、各種トラブル、損傷の原因となる
放電等の発生し難い信頼性の高い誘導加熱コイルの構成
を提供出来る。
【0097】また、導電性帯状線材は丸線を圧延して断
面を略長方形の帯状に成形して構成し、誘導加熱コイル
の引き出し線となる両端の一部叉は全ては圧延せずに丸
線のまま、もしくは完全に圧延せず丸線に近い状態とし
ているので、線の曲げ方向の自由度が確保出来、限られ
た空間での引き出し線の引き回しが容易になる他、引き
出し線の加熱室を貫通する位置に必要な電波(マイクロ
波)漏洩防止用のチヨークの形状をシンプル、コンパク
トに出来るという効果がある。
【0098】また、誘導加熱コイルは使用するマイクロ
波周波数での誘電損失εtanδが0.1以下、かつ耐熱
温度180℃以上のマイカ等低誘電損失、高耐熱の絶縁
材料よりなるコイル支持体で渦巻状に巻回した導電性帯
状線材を支持すると共に、この導電性帯状線材相互の絶
縁をこのコイル支持体自身による絶縁とこのコイル支持
体で形成される空間距離及び沿面距離により確保してい
るので、誘導加熱コイルがマイクロ波に暴露されても、
支持体は誘電損失εtanδが0.1以下と小さい値の材
料を使っているので発熱は少なく、昇温は小さく抑えら
れる。しかも180℃以上の高温耐熱性を持っているの
で、誘導加熱コイルがマイクロ波に暴露される加熱室内
にあっても電気絶縁及び機械的支持機能に問題を生ずる
事がない。
【0099】さらに、コイル支持体は放射状に配置され
た複数の棒状体からなり、この棒状体に設けた溝または
貫通孔に渦巻状に巻き回した導電性帯状線材を嵌合支持
しているので、誘導加熱や誘電加熱で誘導加熱コイルが
高温となり導電性帯状線材が線膨張しても棒状体と棒状
体の間の非支持部分で膨張分を逃がすことで誘導加熱コ
イル全体の機械的構成を無理無く維持出来るので、温度
上昇に対しても性能、信頼性の劣化しない誘導加熱コイ
ルの絶縁構成を実現出来るという効果がある。
【0100】また、コイル支持体は帯状に成形された帯
状支持体とし、導電性帯状線材と前記帯状支持体を重ね
て巻回して一体に成形して固定しているので、誘導加熱
や誘電加熱で誘導加熱コイルが高温となり導電性帯状線
材が線膨張しても、帯状支持体も同時に線膨張すると共
に、導電性帯状線材と帯状支持体の線膨張率の違いは両
者相互の機械的な滑りにより大きな機械的なストレスが
加わらないように出来、誘導加熱コイル全体の機械的構
成を無理無く維持出来るので温度上昇に対しても性能、
信頼性の劣化しない誘導加熱コイルの絶縁構成を実現出
来るという効果がある。
【0101】また、誘導加熱コイルは隣接する導電性帯
状線材相互間をマイクロ波的に短絡するための短絡金属
片を少なくとも1個設けるか、その渦巻の途中少なくと
も1カ所以上で導電性帯状線材相互間を部分的に近接し
ているので、20〜30KH Zの高周波に対しては絶縁
を維持しながらマイクロ波の誘導加熱コイルの巻き線間
への進入を阻止し、マイクロ波による誘導加熱コイル及
びその絶縁体の発熱を抑止するので、マイクロ波による
誘電加熱時のいわゆる空炊きと呼ばれる無負荷運転時に
於いても、各種トラブル、損傷の原因となるマイクロ波
による発熱の発生し難い信頼性の高い誘導加熱コイルの
構成を提供出来るという効果がある。
【0102】また、誘導加熱コイル下面と前記加熱室底
面との間にフェライト等の強磁性でかつ絶縁性を有する
材料からなる磁気遮蔽体とを備え、この磁気遮蔽体はそ
の表面の全部または一部を金属等の導電性材料からなる
箔ないし薄膜で覆っているので、この薄膜は高周波磁界
に対してほとんど影響を与えず、従って誘導加熱コイル
で発生した高周波磁界のうち下向きの成分はこの磁気遮
蔽体によって遮蔽され、加熱室底面が誘導加熱されて損
失を発生する事がなく誘導加熱の効率を高める効果があ
る。一方この薄膜により磁気遮蔽体はほとんどマイクロ
波を吸収せず、従って、昇温してキューリー温度以上に
なり強磁性機能を失ったり、さらには熱膨張による機械
的ストレスで破壊すると言った事がない。
【0103】さらに、磁気遮蔽体は放射状に配置された
複数個の棒状体としているので、磁気遮蔽体表面を覆っ
ている導電性材料からなる箔あるいは薄膜も、誘導加熱
コイルの円盤形状に対し同心円上に誘起される誘導電流
の主要電流通路が形成されないため、これら箔ないし薄
膜上に誘起される誘導電流はさらに微々たる物になり、
高周波磁界に対する箔ないし薄膜の影響はさらに完全消
し去ることが出来る。
【0104】また、磁気遮蔽体はその下面を前記加熱室
底面に直接もしくはシリコーン樹脂等非金属材料でかつ
熱伝導度の良い材料を介して密着させているので、加熱
室壁面を通じての放熱が促進され、磁気遮蔽体の昇温に
よる特性劣化を抑えることができ、その結果加熱室底面
の誘導加熱による損失を増加させる事がないため、誘導
加熱の効率を維持することができる。
【0105】また、誘導加熱コイル下面と前記加熱室の
内側底壁面との距離を10mm以上としているので、加
熱室底面で生ずる誘導加熱による損失は非常に小さく、
高い効率の誘導加熱を実現出来る一方、同じく両者の距
離を50mm以下としているので機器全体が高くなって
設置性に問題のでることも無い。
【0106】また、加熱室の底壁の内面の一部叉は全て
を銅、アルミニウム等の非磁性の電気良導体で構成して
いるので、多少加熱室の底壁部分まで高周波磁界が漏れ
てきても誘導加熱により発生する損失はさらに軽減され
るので誘導加熱の効率を高くする効果がある。
【0107】さらに、加熱室の底壁の内面の一部叉は全
てを構成する銅、アルミニウム等の電気良導体は、それ
ぞれの材料と高周波電力の周波数に対して決まる浸透深
さをδとした時、その厚みをはδを下まわらない厚みと
しているので、底壁に達した高周波磁界で生ずる誘導電
流のうちこの電気良導体の反対側にまで達するのは(1
/e)以下となるため、発生する損失はほぼこの電気良
導体の材質で決まる小さなものになるので誘導加熱の効
率を高くする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に於ける加熱調理器の全
体構成図
【図2】(a)本発明の第1の実施例に於ける誘導加熱
コイルとその周辺部の詳細図 (b)同A−A’断面図
【図3】(a)誘導加熱コイル周辺の磁束の様子の概略
を誘導加熱コイル中心線から右半分の断面について模式
的に示した図 (b)断面が略長方形の導電性帯状線材の長辺方向と磁
束が垂直の場合の導電性帯状線材と磁束の関係を示した
図 (c)断面が略長方形の導電性帯状線材の長辺方向と磁
束が平行の場合の導電性帯状線材と磁束の関係を示した
【図4】本発明の第1の実施例に於ける誘導加熱コイル
と棒状体の要部拡大図
【図5】本発明の第1の実施例に於ける誘導加熱コイル
と金属短絡片の要部拡大図
【図6】本発明の第1の実施例に於ける磁気遮蔽体とそ
の周辺部の要部拡大図
【図7】同B−B’断面図
【図8】本発明の第2の実施例に於ける誘導加熱コイル
と棒状体の要部拡大図
【図9】本発明の第3の実施例に於ける誘導加熱コイル
の要部拡大図
【図10】本発明の第4の実施例に於ける磁気遮蔽体と
その周辺部の断面図
【図11】本発明の第5の実施例に於ける誘導加熱コイ
ルとその周辺の要部断面図
【図12】本発明の第5の実施例に於ける誘導加熱コイ
ルとその下に配置された底内壁に相当する銅板との距離
と誘導加熱の効率の関係を示すグラフ
【図13】(a)本発明の第6の実施例に於ける誘導加
熱コイルとこれを支持固定する帯状支持体とその周辺部
の要部断面図 (b)は同要部の構成を解説するための展開図
【図14】加熱調理器の第1の従来例の全体構成図
【図15】加熱調理器の第2の従来例の全体構成図
【符号の説明】
2 加熱室 3 マグネトロン 4 誘導加熱コイル 4a 導電性帯状線材 4b 引き出し線 6 加熱皿 7 ドア 8 加熱室底壁 8b 底内壁 9 コイル支持体 9b 棒状体 9c 棒状体の溝 9d 棒状体の貫通孔 13 磁気遮蔽体 13b 薄膜 15 短絡金属片 18 帯状支持体

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】食品を加熱する加熱室と、前記加熱室にマ
    イクロ波を供給するマグネトロンと、前記加熱室の室内
    底部に設けた誘導加熱コイルと、この誘導加熱コイルに
    高周波電力を供給する高周波電源とを備え、前記誘導加
    熱コイル断面が略長方形の導電性帯状線材を渦巻状に巻
    回して平板状コイルに成形し、前記略長方形の長辺方向
    は成形されたコイル平板平面に対し垂直とした加熱調理
    器。
  2. 【請求項2】導電性帯状線材の材質と高周波電力の周波
    数に対して決まる高周波の浸透深さをδとした時、導電
    性帯状線材はその断面略長方形の短辺長を略δ以上略3
    δ以下また長辺長を短辺長の3倍を超える長さとした請
    求項1記載の加熱調理器。
  3. 【請求項3】導電性帯状線材は丸線を圧延して断面を略
    長方形の帯状に成形して構成し、この略長方形の長辺側
    は直線、短辺側すなわち端面側は丸みを残した形状とし
    た請求項1または2記載の加熱調理器。
  4. 【請求項4】導電性帯状線材は丸線を圧延して断面を略
    長方形の帯状に成形して構成し、誘導加熱コイルの引き
    出し線となる両端の一部叉は全ては圧延せずに丸線のま
    ま、もしくは完全に圧延せず丸線に近い状態とした請求
    項1ないし3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
  5. 【請求項5】誘導加熱コイルは渦巻状に巻回した帯状線
    材を低誘電損失、高耐熱の絶縁材料よりなるコイル支持
    体で支持すると共に、この導電性帯状線材相互の絶縁を
    このコイル支持体自身による絶縁と、このコイル支持体
    で形成される空間距離及び沿面距離により確保した請求
    項1ないし4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
  6. 【請求項6】コイル支持体は放射状に配置された複数の
    棒状体からなり、この棒状体に設けた溝または貫通孔に
    渦巻状に巻き回した導電性帯状線材を嵌合支持した請求
    項5記載の加熱調理器。
  7. 【請求項7】コイル支持体は帯状に成形された帯状支持
    体とし、導電性帯状線材と前記帯状支持体を重ねて巻回
    して一体に成形して固定した請求項5記載の加熱調理
    器。
  8. 【請求項8】誘導加熱コイルは隣接する導電性帯状線材
    相互間をマイクロ波的に短絡するための短絡金属片を少
    なくとも1個設けた請求項5または6記載の加熱調理
    器。
  9. 【請求項9】誘導加熱コイルは隣接する導電性帯状線材
    相互間をマイクロ波的に短絡するため、その渦巻の途中
    少なくとも1カ所で導電性帯状線材相互間を部分的に近
    接した請求項5または6記載の加熱調理器。
  10. 【請求項10】食品を加熱する加熱室と、この加熱室に
    マイクロ波を供給するマグネトロンと、前記加熱室内底
    部に設けた誘導加熱コイルと、この誘導加熱コイルに高
    周波電力を供給する高周波電源と、前記誘導加熱コイル
    下面と前記加熱室底面との間にフェライト等の強磁性で
    かつ絶縁性を有する材料からなる磁気遮蔽体とを備え、
    この磁気遮蔽体はその表面の全部または一部を金属等の
    導電性材料からなる箔ないし薄膜で覆った加熱調理器。
  11. 【請求項11】磁気遮蔽体は放射状に配置された複数個
    の棒状体とした請求項10記載の加熱調理器。
  12. 【請求項12】磁気遮蔽体はその下面を前記加熱室底面
    に直接もしくはシリコーン樹脂等非金属材料でかつ熱伝
    導度の良い材料を介して密着させた請求項10または1
    1項記載の加熱調理器。
  13. 【請求項13】食品を加熱する加熱室と、この加熱室に
    マイクロ波を供給するマグネトロンと、前記加熱室の室
    内底部に設けた誘導加熱コイルと、この誘導加熱コイル
    に高周波電力を供給する高周波電源とを備え、前記誘導
    加熱コイル下面と前記加熱室の内側底壁面との距離を1
    0mm以上、50mm以下とした加熱調理器。
  14. 【請求項14】加熱室の底壁の内面の一部叉は全てを
    銅、アルミニウム等の非磁性の電気良導体で構成した請
    求項10ないし13のいずれか1項に記載の加熱調理
    器。
  15. 【請求項15】加熱室の底壁の内面の一部叉は全てを構
    成する銅、アルミニウム等の電気良導体は、それぞれの
    材料と高周波電力の周波数に対して決まる浸透深さをδ
    とした時、その厚みはδを下まわらない厚みとした請求
    項14記載の加熱調理器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0936843A2 (en) * 1998-02-12 1999-08-18 Balay S.A. Inductive heating unit for cooking
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