JPH09286869A - 非対称膜の製造方法 - Google Patents

非対称膜の製造方法

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JPH09286869A
JPH09286869A JP8098098A JP9809896A JPH09286869A JP H09286869 A JPH09286869 A JP H09286869A JP 8098098 A JP8098098 A JP 8098098A JP 9809896 A JP9809896 A JP 9809896A JP H09286869 A JPH09286869 A JP H09286869A
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powder
binder
film
membrane
particles
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JP8098098A
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English (en)
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Hajime Tsujihana
一 辻葩
Takashi Nogami
隆 野上
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Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】本発明は酸やアルカリへの抵抗を要する用途に
も適用可能なポリエチレンやフッ素樹脂などの化学的に
安定した樹脂から容易に非対称膜を得ることのできる新
規な方法を提供する。 【解決手段】この非対称膜の製造方法は熱可塑性樹脂ま
たは熱可塑性エラストマーを主成分とするバインダー
に、該バインダーとは非接着性である化合物の粉体を添
加し、得られた混合物を該バインダーの溶融温度以上の
温度下で回転して該粉体を構成する粒子が厚さ方向に体
積勾配を有する膜状物を形成した後、冷却するものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉体を液媒に分散
し遠心力を加えることにより、非対称膜を簡便に製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】分離膜を膜構造により分類すると、孔の
有無により多孔質膜と非多孔質膜とに分かれる。主とし
て、ふるい効果により分離を行う多孔質膜(例えば、精
密濾過膜、限外濾過膜)の性能は、回収可能な粒子の下
限値と処理能力により評価される。回収可能な粒子の下
限値は、膜表面の孔径により決定され、処理能力は膜抵
抗並びに膜上に付着したケークの抵抗および目づまりの
状況により決定される。特に、目づまりによる処理能力
の低下は古くから問題とされ、その解決策として、主と
して吸着機構により分離を行う非多孔質膜(例えば、L
oeb膜、ラミネート膜)が採用されてきた。この非多
孔質膜の処理能力は膜抵抗により決定される。したがっ
て、非多孔質膜の処理能力を向上させるためには、膜厚
をできるだけ薄くして、膜抵抗を少なくする必要があ
る。そこで、分離機能を有する緻密な薄膜(緻密層)を
持ち、その下に機械的強度を保つための多孔性支持体
(支持層)を形成させた非対称膜が開発されている。非
対称膜は、膜内で目づまりしやすい粒子が存在する液に
も有効で、広く使用されている。そして、非対称膜は、
樹脂溶液をキャストして溶媒を蒸発させることにより、
溶媒濃度に基づく不均一な内部構造を持つ皮膜とし、こ
れをゲル化液中に浸漬することで得ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た非対称膜の製造方法では、各種の制御因子、すなわ
ち、樹脂濃度、溶液温度、蒸発時間および熱処理温度等
を制御して、安定した製品を供給することは極めて困難
であった。また、最近、二次電池等において非対称膜を
過酷な条件で使用することが求められているが、上述の
製造方法では、製法の特性上、非対称膜の素材となる樹
脂が限定されてしまう。そのため、ポリエチレンやフッ
素樹脂などの化学的に安定した樹脂からは非対称膜を簡
単に得ることができず、その結果、酸やアルカリへの抵
抗を要する用途に対しては対称膜に頼らざるを得なかっ
た。そこで、本発明は酸やアルカリへの抵抗を要する用
途にも適用可能なポリエチレンやフッ素樹脂などの化学
的に安定した樹脂から容易に非対称膜を得ることのでき
る新規な方法を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成
するに至った。すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂また
は熱可塑性エラストマーを主成分とするバインダーに、
該バインダーとは非接着性である化合物の粉体を添加
し、得られた混合物を該バインダーの溶融温度以上の温
度下で回転して該粉体を構成する粒子が厚さ方向に体積
勾配を有する膜状物を形成した後、冷却することを特徴
とする非対称膜の製造方法、熱可塑性樹脂または熱可塑
性エラストマーを液媒に溶解または分散したバインダー
に、該バインダーとは非接着性である化合物の粉体を添
加し、得られた混合物を回転して該粉体を構成する粒子
が厚さ方向に体積勾配を有する膜状物を形成した後、該
液媒を除去することを特徴とする非対称膜の製造方法、
および重縮合または付加重合する液状の未反応化合物を
主成分とするバインダーに、該バインダーとは非接着性
である化合物の粉体を添加し、得られた混合物を回転し
て該粉体を構成する粒子が厚さ方向に体積勾配を有する
膜状物を形成した後、該未反応化合物を重合することを
特徴とする非対称膜の製造方法よりなるものである。
【0005】本発明は、異なった体積を持つ粒子の集合
体である粉体を液媒に分散して塑性流体とし、これを回
転体に供給し遠心力を加えた場合、体積が大きいものほ
ど回転体の中心部から遠ざかることによって、粒子の体
積勾配が生ずる現象を利用した非対称膜の製造方法であ
る。ここで、粒子の体積勾配とは、非対称膜の厚さ方向
において片側からもう一方の側に向かって個々の粒子の
体積が徐々に変化している状態をいう。
【0006】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態について、以
下、図面を参照して説明する。本発明による非対称膜
は、図1に例示するように膜の厚さ方向に、上方から下
方に行くにしたがって、粒子の体積が大きくなっていく
ように粒子が配列されているもので、粒子の体積勾配の
発現により膜内部の空孔に勾配がもたらされる。すなわ
ち、上方から下方に向かって次第に空孔が大きくなって
いる。なお、図1において1は緻密層、2はバインダ
ー、3は粒子、4は空孔を示す。また、本発明において
使用する遠心力を加える装置の基本的な構造は、図2に
示す通りである。該装置は、材料をストックするタンク
5、材料を供給するノズル6、遠心力を与える回転円筒
7、回転力を伝えるギアー8および9、駆動装置10か
らなる。
【0007】ノズル6は材料、すなわち塑性流体であ
る、粉体とバインダーの混合物を供給する部分である。
材料が塑性を持つのに加熱が必要であればヒーターを設
ければよい。また、材料が液体としてタンク5にストッ
クしてある場合はノズル6は単なる弁でよいが、ペレッ
ト、粉体またはスラリーである場合はノズル6にスクリ
ューの如き送り出し機能を持たせる必要がある。なお、
材料が液体であれば必ずしもノズル6を設置する必要が
なく、タンク5から直接、適当な供給手段(図示せず)
により回転円筒7に供給してもよい。回転円筒7は、本
質的に円筒状の形状をしている。そして、ギアー9によ
り伝えられる駆動を受けとめるギアー8が、回転円筒7
の外周に設置されており、この部分が後記の数式1中に
示すX1 (式中、回転円筒の半径をr、回転円筒と該混
合物の質量をmとする。)rpmで回転することにより
上記混合物に20乃至100Gの遠心力をかける。該混
合物に粒子の体積勾配が形成されたら、最終的に乾燥ま
たは冷却により固化して取り出す。固化に乾燥を要する
場合は、回転円筒7の内部に遠赤外線ヒーターを設置す
ればよい。また、冷却を要する場合は、回転円筒7の外
周に冷却媒体が流れる経路を設置するとよい。
【0008】本発明では、非対称膜は円筒状で得られる
が、切開すればフィルムとなる。また条件によっては緻
密層上にスキン層が形成される場合もあるが、その場合
は、スライスまたはバフかけを施してスキン層を除去す
ればよい。なお、後処理として電子線やプラズマの照射
を行うこと等により改質(例えば、耐薬品性の向上、浸
水性の付与)を施しても差し支えない。本発明により、
非対称膜を合理的に大量生産するに当たっては、装置か
ら回転円筒7の取り外しができ、別の場所で固化が行え
る方式が望ましい。また、回転円筒7を多数設けて連続
的に処理するようにしてもよい。なお、図2および上記
の内容は、本発明で使用する装置の一例であって、駆動
の伝達方式や回転円筒7の形状などについては、これに
限定されるものではない。
【0009】本発明では、粉体とバインダーの混合物が
塑性を持った状態にして、粉体の粒子に体積勾配を発現
させるが、ここで言う塑性を持った状態とはバインダ
ーが熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーであってこれ
らが溶融している状態、バインダーが液媒に溶解して
いる状態、バインダーの主剤である物質が液媒中に粒
子として分散しているエマルジョン、バインダーの主
剤である物質によるプラスチゾル、バインダーが縮合
または付加反応により重合する未反応化合物であって、
これが液体である状態、などがある。
【0010】上記のバインダーとしては、例えば、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、ポリビ
ニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリメタク
リル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポ
リカーボネート、ポリアセタール、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレ
ンエーテル、ポリスルホン、ポリアミドイミド、ポリエ
ーテルイミド、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂など
の熱可塑性樹脂や塩素化ポリエチレン、ポリスチレン
系、ポリエステル系などの熱可塑性エラストマーが挙げ
られる。これらのバインダーと粉体を混合し、この混合
物を該バインダーの融点以上に加熱して溶融することで
可塑化する。次に、これを回転する円筒に供給して粒子
の体積勾配を形成させる。勾配の形成後、冷却すると主
にバインダーが収縮し、粉体とバインダーの間が離れて
空孔を形成する。この方法による空孔の形成は、バイン
ダーが溶融状態から固体へと変化する際の収縮に依存す
ることから、収縮率が大きくて結晶性の高いバインダー
を使用することが望ましい。また、バインダーの粘度が
高いため粒子の体積勾配を形成することが困難である場
合は、バインダーと相溶性を示す液媒を添加して粘度低
下を図ってもよい。
【0011】上記のバインダーとしては、例えば、上
記熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーのほか、天然ゴ
ム、IR,BR,SBR,NBR,CR,EVA,ブチ
ルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、
アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、エピクロルヒドリ
ンゴムなどの架橋ゴム、フェノール樹脂、メラミン樹
脂、アニリン樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタ
レート樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂などの熱硬化
性樹脂の未硬化物などを液媒に溶解したものが挙げられ
る。そして、これらのバインダーを粉体と混合するとそ
の時点で混合物は塑性を示す。次に、上記と同様の方法
で粒子の体積勾配を形成させる。勾配の形成後、加熱す
るなどして液媒を除去するとバインダーが収縮し、粉体
とバインダーの間が離れて空孔を形成する。この方法に
よる空孔の形成は、液媒の添加量とバインダーの硬化に
よる収縮に依存する。したがって、この方法により空孔
を形成する場合は、目的とする膜の孔径や空隙率に応じ
て液媒の添加量を調整するとよい。なお、架橋ゴムや熱
硬化性樹脂の未硬化物をバインダーとする場合は、液媒
の除去と同時に該未硬化物を硬化する必要がある。
【0012】上記のバインダーとしては、主に上記熱
可塑性樹脂、架橋ゴムまたは熱硬化性樹脂の未硬化物か
らなるエマルジョンが、上記のバインダーとしては、
塩化ビニル樹脂とDOPやDINPなどの可塑剤を混合
したプラスチゾルが、上記のバインダーとしては、上
記熱硬化性樹脂の未硬化物などが挙げられる。これらの
バインダーを用いる場合、遠心力により粒子の体積勾配
を形成させた後に、溶剤を除去すると同時に未硬化物を
ゲル化または硬化する必要がある。また、これらの場合
には、分散液または希釈剤の添加によりバインダーの粘
度を調整することができる。粉体の配合割合や目的とす
る膜の孔径、空隙率に応じて添加量を調整するとよい。
【0013】本発明により得られる非対称膜の空孔の勾
配の制御因子は、粒子の体積勾配である。この勾配は粒
子体積の分布により決定されるが、大きい方が望まし
い。また、非対称膜の特性上、緻密層を薄くして膜透過
抵抗を抑制する方が望ましいため、体積が小さな粒子の
数は少ない方が望ましい。普通、市販品の粉体には粒子
の体積を表示していないが、粒子の体積を知る目安とし
て粒径を用いるとよい。なお、市販品の粉体は粒径分布
の幅が狭い(分布がシャープ)ものがほとんどであるた
め、本発明において都合のよい商品が少ない。そこで、
本発明においては何種類かの異なった平均粒径を示すグ
レードの粉体を混合して用いるとよい。この場合は、原
料とする粉体は粒径分布のシャープなものが望ましい。
【0014】本発明に使用する粉体は、異種の混合物で
あってもよい。一種類の物質からなる粉体であれば、個
々の粒子はすべて等しい密度を持つため、液媒に分散し
て遠心力をかければ粒子の体積勾配が発現する。しか
し、異種の物質からなる粉体であれば、粒子の質量は勾
配を持つが粒子の体積は勾配を持たない。したがって、
本発明において異種の混合物である粉体を用いる場合は
調整を要する。密度の大きな物質であれば粒径が大きな
ものを選択し、密度の小さな物質であれば粒径が小さな
ものを選択して混合するとよい。本発明では、その処方
に特に限定はない。また、粉末の粒径の範囲も特に限定
はないが、膜としての使用上の特性から、500μm以
下が望ましい。
【0015】使用する粉体の種類として、シリカ、水酸
化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機物、コラー
ゲンなどの親水性の有機物、シリコーンゴムやフッ素ゴ
ムなどからなる高分子系ボールなどが挙げられる。その
種類には特に限定はなく、膜として使用する際の液媒に
対する親和性やバインダーとの組み合わせにより任意に
選択することができる。また、粉体を構成する粒子の形
状についても、特に限定はないが、板状粉および扁平粉
はその形状の特性上、粒子の体積勾配を形成させるのが
困難であるため、球状または楕円状などの形状をした粒
子が望ましい。
【0016】膜内に空孔を形成するためには、粉体とバ
インダーとが互いに非接着性の物質であることを要す
る。非接着性を示す粉体とバインダーとの組み合わせに
ついては、親水性物質と親油性物質の組み合わせ、また
は互いに非相溶性である物質同士の組み合わせ、を選択
処方とする。具体的には、粉体がシリカ、水酸化アルミ
ニウム、炭酸カルシウムなどの無機物である場合は、該
粉体は親水性を示すから、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂などの親油性の高い物
質とは非接着性であり、これらをバインダーとして選択
するとよい。また、粉体がコラーゲンなどの親水性の有
機物である場合は、上記の如き親油性の高い非接着性の
物質を選択し、粉体がシリコーンゴムやフッ素ゴムなど
からなる高分子系ボールである場合は、これらの粉体を
構成する高分子とは非相溶性である物質(シリコーンゴ
ムボールの場合はポリエチレン、フッ素樹脂など、フッ
素ゴムボールの場合はポリエチレン、塩化ビニル樹脂な
ど)から選択するとよい。
【0017】バインダーに対する粉体の配合割合につい
ては、粉体の割合が少ないと空孔が生じないため膜とし
て機能せず、多いと空孔の勾配の形成が困難である。上
記およびの溶融させて可塑化するバインダーの場合
は粉体の割合を20〜50体積%の範囲、上記の溶解
させて可塑化するバインダー、上記のエマルジョンの
バインダーおよび上記のプラスチゾルのバインダーの
場合はその固形分に対して粉体の割合を20〜90体積
%の範囲とするのが望ましい。
【0018】粉体とバインダーの混合物より空孔に勾配
を形成させるのに要する遠心力は、該混合物の粘度によ
り決定する。一般に、高分子系マトリックスに塑性を持
たせて成形する場合、マトリックスが103 から105
P(ポアズ)の粘度になる条件で行われている。しか
し、本発明の方法において粒子を層方向に移動させるた
めには、該混合物の粘度を2×104 P以下に調整する
必要がある。また、該混合物には、20〜50体積%で
粒子が分散しているので500P以上の粘度になる。そ
して、この粘度範囲において空孔に勾配を形成するのに
要する遠心力は、20乃至100Gである。その場合の
回転円筒7に要する回転数は、回転円筒7の半径および
回転円筒7と該混合物の質量により決定される。この回
転数をX1、回転円筒7の半径をr、回転円筒7と該混
合物の質量をmとするとX1 は下記数1式の通りとな
る。なお、発明者の経験から該混合物の粘度は103
至104 P、遠心力は30乃至50G、回転円筒7の回
転数X2 は下記数2式に示す範囲が望ましい。
【数1】
【数2】
【0019】
【実施例】次に、実施例および比較例を挙げて本発明を
さらに詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に
限定されるものではない。
【0020】実施例1 平均粒径が9μmのシリカ粉末:ニップシールLP(日
本シリカ製、商品名)100重量部と平均粒径が100
μmのシリカ粉末:ニップシールKQ(日本シリカ製、
商品名)300重量部の二種類のシリカ粉末(真比重は
2.0)および平均粒径が300μmの珪砂(真比重は
2.5)600重量部を混合して混合粉体を得た。この
混合粉体100重量部とポリエチレン:ミソラン12
(三井石油化学製、商品名)100重量部を、二軸型押
出機により150℃の温度で混練し、ストランド状の混
練物とし、この混練物をペレタイザーによりカットして
ペレットを得た。このペレットをフローテスターにより
180℃における溶融粘度を測定したところ、約5×1
3 Pであった。次に、昇温装置付きのタンクに該ペレ
ットを入れ、約180℃に加熱して液状マトリックスと
した。そして、あらかじめ約130℃に昇温した図3に
示す開閉可能な鉄製の回転円筒7(内径φ0.2m、高
さ0.3m)を、図4に示す駆動装置10に取りつけて
625rpm(遠心力は37G)で回転させ、回転して
いる回転円筒7に該液状マトリックスを直接注いだ。注
いで約45秒後に回転を止めて駆動装置10から回転円
筒 7をはずし、自然放置により冷却した。十分に冷えて
から回転円筒7を図3のように開いて成形物を取り出し
た。得られた成形物は厚さが約600μmの円筒状であ
ったが、これをカッターで切り開き、ドライヤーによる
温風をさらして形を整えたフィルムを得た。そして、こ
のフィルムの断面を拡大鏡で観察したところ、約20μ
mの厚さでポリエチレン単独のスキン層が形成されてい
たので、1,000メッシュのサンドペーパーで擦って
該スキン層を除去して厚さ約550μmの非対称膜を得
た。
【0021】実施例2 テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレンおよび
ビニリデンフロライドの共重合体:THV200P(住
友スリーエム製、商品名)のメチルエチルケトン溶液
(固形分は10重量%)1,000重量部に、実施例1
で得られた混合粉体100重量部をディスパーで混合し
てインク状混合物を得た。そして、図3に示す開閉可能
な鉄製の回転円筒7(円筒の温度は30℃、内径φ0.
2m、高さ0.3m)を、図4に示す駆動装置10に取
りつけて625rpm(遠心力は37G)で回転させ、
回転円筒7に該液状マトリックスを直接注いだ。注いで
約30秒後に、回転円筒7の内部に約130℃の熱風を
約30秒間当てた後に回転を止めて駆動装置10から回
転円筒7をはずし、自然放置により冷却した。十分に冷
えてから回転円筒7を図3のように開いて成形物を取り
出した。得られた成形物は厚さが約300μmの円筒状
であったが、これをカッターで切り開き、ドライヤーに
よる温風をさらして形を整えフィルムを得た。そして、
このフィルムの断面を拡大鏡で観察したところ、該共重
合体によるスキン層の形成はほとんどなかったが、1,
000メッシュのサンドペーパーで擦って厚さ約290
μmの非対称膜を得た。
【0022】実施例3 固形分が50重量%のテトラフロロエチレン、ヘキサフ
ロロプロピレンおよびビニリデンフロライドの共重合体
の水性エマルジョン:THV350C(住友スリーエム
製、商品名)1,000重量部に、実施例1により得た
混合粉体100重量部をディスパーで混合して液状混合
物を得た。そして、図3に示す開閉可能な鉄製の回転円
筒7(円筒の温度は30℃、内径φ0.2m、高さ0.
3m)を、図4に示す駆動装置に取りつけて625rp
m(遠心力は37G)で回転させ、回転している回転円
筒7に該液状マトリックスを直接注いだ。注いで約60
秒後に回転を止めたところ、液状混合物の水が分離して
回転円筒7の内面に溜っていたため、駆動装置10から
回転円筒7をはずした後にすぐ水を廃棄した。次に、円
筒7の内面にある脱水されたマトリックスに約130℃
の熱風を約30秒間当てた後、自然放置により冷却し
た。十分に冷えてから回転円筒7を図3のように開いて
成形物を取り出した。得られた成形物は厚さが約300
μmの円筒状であったが、これをカッターで切り開き、
ドライヤーによる温風をさらして形を整えフィルムを得
た。そして、このフィルムの断面を拡大鏡で観察したと
ころ、約30μmの厚さで該共重合体単独のスキン層が
形成されていたため、1,000メッシュのサンドペー
パーで擦ってスキン層を除去して厚さ約250μmの非
対称膜を得た。
【0023】実施例4 平均粒径が9μmのシリカ粉末:ニップシールLP(日
本シリカ製、商品名)100重量部と平均粒径14μm
の炭酸カルシウム粉末(真比重は2.7)900重量部
とを混合して混合粉体を得た。そして、この混合粉体1
00重量部、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト:TD−1500A(大日本インキ化学工業製、商品
名)100重量部、2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパ−オキシ)−ヘキサンを配合した加硫
剤:C−8(信越化学工業製、商品名)3重量部および
エタノール100重量部をディスパーで混合してインク
状混合物を得た。次に、あらかじめ約60℃に昇温した
図3に示す開閉可能な鉄製の回転円筒7(内径φ0.2
m、高さ0.3m)を、図4に示す駆動装置10に取り
つけて625rpm(遠心力は37G)で回転させ、回
転している該円筒7にインク状混合物を直接注いだ。注
いで約45秒後に回転をとめて駆動装置10から回転円
筒7をはずし、自然放置により冷却した。十分に冷えて
から回転円筒7を図3のように開いて成形物を取り出し
た。得られた成形物は円筒状であったが、これをカッタ
ーで切り開き、二枚のフラットな鉄板に挟んで形を整え
た。次いで、得られたシート状物を約180℃に昇温し
たオーブンで10分間加熱して該アクリレートを硬化さ
せたところ厚さ約550μmのフィルムを得た。そし
て、このフィルムの断面を拡大鏡で観察したところ、該
アクリレートの重合体によるスキン層の形成はほとんど
なかったが、1,000メッシュのサンドペーパーで擦
って厚さ約530μmの非対称膜を得た。
【0024】比較例 実施例1で得た混練物のペレットを、Tダイを取り付け
た押し出し機で成型して厚さ約550μmのフィルムを
得た。このフィルムの断面を拡大鏡で観察したところ、
ポリエチレンの単体からなるスキン層の形成はほとんど
なかったが、1,000メッシュのサンドペーパーで擦
って厚さ約500μmにした。このフィルムを比較例と
して使用した。
【0025】セパレーターとしての性能試験 各例で得られた非対称膜またはフィルムを直径49mm
の円盤状に切り取って試験片(厚さは任意)とし、図5
に示す装置に組み込んだ。あらかじめ、平均粒径0.5
μmシリコーン樹脂ボール:トスパール105(東芝シ
リコーン製、商品名)が10%分散した水を用意してお
き、これを図5に示す装置の上方から注ぎ、樹脂ボール
および水の通過状況を確認した。図中、11はホルダ
ー、12は試験片、13はろ紙、14はゴム栓、15は
フラスコである。なお、この試験における評価基準は下
記の通りである。 A:水のみがフラスコ15に溜る。……合格 B:水と樹脂ボールがフラスコ15に溜る。……不合格 C:水も樹脂ボールもフラスコ15に溜らない。……不
合格 また、得られた膜の断面を電子顕微鏡により10,00
0倍に拡大して、粒子体積の勾配状況と緻密層の厚さを
確認した。なお、粒子体積の勾配状況の評価基準は下記
の通りである。 a:粒子体積の勾配が形成されている。……合格 b:粒子がほぼ細密充填されて、粒子体積の勾配が形成
されていない。……不合格 結果は表1の通りであり、各例で得られた非対称膜はす
べて合格であった。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】本発明の方法によれば、簡便に非対称膜
を製造することができる。また、非対称膜の製造原料と
なる樹脂の選択域が広く、例えば、ポリエチレンやフッ
素樹脂などの化学的に安定な樹脂からも簡単に非対称膜
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によって得られた非対称膜の一例につい
ての断面図である。
【図2】本発明の方法を実施する装置の概略を示す斜視
図である。
【図3】回転円筒を開いたときの状態を示す斜視図であ
る。
【図4】セパレーターとしての性能試験装置の縦断面説
明図である。
【図5】膜性能試験の概念図である。
【符号の説明】
1 緻密層 2 バインダー 3 粒子 4 空孔 5 タンク 6 ノズル 7 回転円筒 8 ギアー 9 ギアー 10 駆動装置 11 ホルダー 12 試験片 13 ろ紙 14 ゴム栓 15 フラスコ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー
    を主成分とするバインダーに、該バインダーとは非接着
    性である化合物の粉体を添加し、得られた混合物を該バ
    インダーの溶融温度以上の温度下で回転して該粉体を構
    成する粒子が厚さ方向に体積勾配を有する膜状物を形成
    した後、冷却することを特徴とする非対称膜の製造方
    法。
  2. 【請求項2】熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー
    を液媒に溶解または分散したバインダーに、該バインダ
    ーとは非接着性である化合物の粉体を添加し、得られた
    混合物を回転して該粉体を構成する粒子が厚さ方向に体
    積勾配を有する膜状物を形成した後、該液媒を除去する
    ことを特徴とする非対称膜の製造方法。
  3. 【請求項3】重縮合または付加重合する液状の未反応化
    合物を主成分とするバインダーに、該バインダーとは非
    接着性である化合物の粉体を添加し、得られた混合物を
    回転して該粉体を構成する粒子が厚さ方向に体積勾配を
    有する膜状物を形成した後、該未反応化合物を重合する
    ことを特徴とする非対称膜の製造方法。
JP8098098A 1996-04-19 1996-04-19 非対称膜の製造方法 Pending JPH09286869A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015535879A (ja) * 2012-10-04 2015-12-17 アーケマ・インコーポレイテッド 多孔質の分離用物品

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