JPH09286807A - 再乳化性重合体及びその製造方法 - Google Patents

再乳化性重合体及びその製造方法

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JPH09286807A
JPH09286807A JP18616496A JP18616496A JPH09286807A JP H09286807 A JPH09286807 A JP H09286807A JP 18616496 A JP18616496 A JP 18616496A JP 18616496 A JP18616496 A JP 18616496A JP H09286807 A JPH09286807 A JP H09286807A
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polymer
general formula
weight
group
carbon atoms
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JP18616496A
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English (en)
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Tadashi Ishida
忠 石田
Katsunari Matsumoto
克成 松本
Futoshi Hoshino
太 星野
Yoshio Kikuta
佳男 菊田
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容易に再乳化できるエマルション粒子の提供
及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 シェルによりコア表面の少なくとも一部
が被覆されたコア/シェル構造を有し、前記コアは、繰
り返し単位に、特定のアミド基又は特定の水酸基を0重
量%以上40重量%未満有する(共)重合体(α2)、
前記シェルは、上記繰り返し単位を20重量%以上10
0重量%以下有する(共)重合体(α1)であり、か
つ、(α1)及び(α2)の合計重量に対して、(α
1)が15〜85重量%であり、(α2)が85〜15
重量%であり、かつ(α1)中上記の繰り返し単位の含
有率が(α2)中の該少なくとも1種の繰り返し単位の
含有率より高いことを特徴とする粒子ことによって、p
H5以上の水に対して実質的に再乳化する機能を有す
る。またその製造法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、pH5以上の
水に対して実質的に再乳化する機能を有する(共)重合
体粒子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 乳化重合法によって得られる水性エマ
ルションは、一般に、30〜90重量%の水を分散媒と
して含んでいるため、流通・輸送に際しては大量の水を
運んでいることになり、エネルギー的にも、コスト的に
も、問題があった。
【0003】一方、再乳化性重合体は、通常の水性エマ
ルションの場合とは対照的に、水を、全く又はほとんど
含まない固体状又はペースト状であるので、流通・輸送
・保管が容易であり、必要なときに水に加えることによ
り、通常の水性エマルションと同様な乳化体に戻すこと
ができる点で特徴的である。
【0004】再乳化性重合体又はその粉末は、セメン
ト、石膏、顔料等その他の粉体と、所望の処方に、プレ
ミックスし、ワンパッケージ化した製品として提供する
ことが可能である。再乳化性重合体又はその粉末をプレ
ミックスしてワンパッケージ化した製品は、セメント改
質剤の分野で広く応用されている。このような、再乳化
性重合体又はその粉末をプレミックスしてワンパッケー
ジ化した製品は、流通・輸送・保管過程においては、コ
ンパクトで軽量な粉末であり、使用時には、施工現場に
おいて、粉末と水を混合することにより、ワン・ステッ
プで所望のコンクリートを調製でき、直ちに使用するこ
とができる。重合体を混入する際に、計量操作などの煩
雑な手順を、大幅に省略できるため、極めて作業性が良
くなる点で、大きなメリットがある。通常の水性エマル
ションの場合には必要な、ガロン缶やドラム缶が不要と
なるので、出荷時には、梱包コストを低減でき、使用後
には、廃棄すべきガロン缶やドラム缶等の梱包材の量が
大幅に低減できる点で有利である。プレミックス化ワン
パッケージ製品とした場合は、予め、所望の処方に正確
に計量してあるので、施工時におけるコンクリートの品
質管理が容易になり、工事に対する信頼度も、より向上
する。
【0005】したがって、本発明に係る再乳化性重合体
又はその粉末は、通常の水性エマルションと比較し、少
なくとも、以下の点で有利である。 流通・輸送・保管に要するコスト・エネルギーを低
減できる。 大型の液体用容器が不要なため、梱包コストを低減
できる。 大型の液体用容器が不要なため、産業廃棄物を低減
できる。 プレミックス化ワンパッケージ製品とした場合は、
施工現場における計量操作がほとんど不要であるので、
大幅な省力化を実現できる。 プレミックス化ワンパッケージ製品とした場合は、
粉末と水を混合することにより、ワン・ステップで所望
のコンクリートを調製できるので、大幅な省力化を実現
できる。 プレミックス化ワンパッケージ製品とした場合は、
予め、所望の処方に正確に計量してあるので、施工時に
おけるコンクリートの品質管理が容易になる。
【0006】しかしながら、従来技術により製造した再
乳化性重合体は、在来型噴霧乾燥法(コンベンショナル
・スプレードライ法)を採用したものであるので、少な
くとも、以下の点で不利であった。 在来型噴霧乾燥法における加熱により、粒子同士が
熱的に融着するので、再乳化性が充分なものではない。 在来型噴霧乾燥法は、装置が大規模であり、かつ、
大量のエネルギーを消費するので、コスト面で不利であ
る。
【0007】A.重合体粒子に関する従来技術 重合体粒子に関する従来技術を、以下に示すが、いずれ
も、再乳化性を示すものではなかったり、あるいは再乳
化性が必ずしも満足できるものではなかった。また、以
下に示す再乳化性を示す重合体粒子に関する従来技術
は、いずれも、在来型噴霧乾燥法を採用したものであ
り、その方法論による必然のため、再乳化性が充分なも
のではない。
【0008】[特開昭59−193903号]特開昭5
9−193903号(出願人;東ソー(株))には、特
定のpH値を境にして安定剤又は粉末化剤として作用す
る特殊な水溶性共重合体の存在下で、不飽和単量体類を
重合させることにより、全く塊のない粉末組成物を容易
に得る技術が開示されている。詳細に説明すると、この
方法はメタクリルアミドと不飽和カルボン酸の水溶性共
重合体の存在下で安定なエマルションを重合した後、p
H4以下でポリマーを分離、脱水、乾燥する製造法であ
る。しかるに、開示されている限りにおいて、発明の構
成は、以下のとおりであると理解される。
【0009】特開昭59−193903号に開示されて
いる発明において、水溶性共重合体は、 乳化重合を安定に行うための安定化剤としての機
能、及び、 塊のない粉末を得るための粉末化剤としての機能、
の二つの機能を有している。この技術は、安定化剤とし
ての機能を有する水溶性共重合体の存在下で、乳化重合
を行い、凝集体のない粉末を得るものである。すなわ
ち、(A)ラジカル重合可能な不飽和結合含有の単量体
類(例:スチレン等)を、(B)メタクリルアミドと不
飽和カルボン酸(好適には、メタクリル酸,イタコン
酸)との水溶性共重合体の存在下に、先ず、水系媒体
中、pH5以上で重合させて、成分Bの安定剤としての
作用によつて安定なエマルジヨンを得た後、pHを4以
下に低下させて、成分Bの粉末化剤としての作用でエマ
ルジヨンからポリマーを分離し、さらに、これを脱水、
乾燥して粉末組成物を得る。
【0010】ラジカル重合可能な不飽和結合を有する単
量体(A)と水溶性共重合体(B)の重量比は(A)1
00重量部に対して(B)1〜10重量部が好ましく、
(B)が1重量部未満ではエマルションの粉末化の効果
が少なくなり、10重量部を越える量は高価になるため
必要ないと記載されている。事実、実施例7〜9では
(A)100重量部に対して(B)が2重量部使用され
ている。
【0011】水溶性共重合体を調製するに当たり、不飽
和カルボン酸として、メタクリル酸やイタコン酸を単量
体として用いる場合、メタクリル酸、イタコン酸は、メ
タクリルアミドとの組成比が、9/1〜1/9までの範
囲において、水溶性共重合体が粉末化剤としての機能を
有するとの開示がある。また、pHを低下させる態様と
しては、塩酸等を攪拌しながら添加する方法が開示され
ている。
【0012】この技術の解決課題は、ポリマーの粉末化
のみにとどまり、粉末化したポリマーの再乳化について
は全く予定していない。また開示されている粉末化ポリ
マーには、再乳化性は内在されていない。
【0013】[特公平3−54973号]特公平3−5
4973号(出願人;ワツカー ヒエミー GMBH)
には、エチレン性不飽和化合物を特定の保護コロイド及
び遊離基形成性開始剤の存在下に乳化重合させた後、乾
燥することにより、流動性に優れ、良好な再分散性を有
する分散粉末を製造する技術が開示されている。すなわ
ち、アミロース含有量30重量%以下の水溶性殿粉、水
膨潤可能な殿粉、分散殿粉、シアンアルキル化、ヒドロ
キシアルキル化及び/又はカルボキシル化殿粉、水溶性
蛋白質から選ばれた保護コロイド5重量%以上と、遊離
基形成性開始剤(例:イソプロピルヒドロペルオキシ
ド)とを含有する水性媒体中、1種又は2種以上の共重
合可能なエチレン性不飽和化合物を乳化(共)重合させ
て固形分含量10〜75重量%の水性分散液を得る。次
いで、この水性分散液に、必要に応じて粘着防止剤
(例:PVA)及び/又は霧化助剤(例:デキストリ
ン)0〜40重量%を添加して噴霧乾燥する。
【0014】[特開平3−210336号]特開平3−
210336号(出願人;日本ペイント(株))には、
ガラス転移温度が0℃以下の樹脂から所定の後乳化法
で、架橋樹脂粒子を得る方法において、特定の複数の物
質を前記樹脂に配合した後に後乳化法に付することによ
り、粒子間融着がなく、再分散性、貯蔵安定性に優れ
た、架橋樹脂粒子を得る技術が開示されている。
【0015】すなわち、アクリルゴム、ポリブタジエ
ン、ポリイソプレン、クロロプレン、ポリε−カプロラ
クトン、ポリテトラメチレングリコール等のエラストマ
ー等ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の樹脂から、樹
脂成分を水中に分散させる工程、分散粒子の内部を三次
元化させる工程及び水性媒体を除去する工程からなる後
乳化法で架橋樹脂粒子を得る方法において、高分子化し
た状態で前記樹脂よりTgが20℃以上高い樹脂を与え
うる単量体(例:スチレン)又は前記樹脂よりTgが2
0℃以上高い樹脂(例:PS)及び多官能性ビニル化合
物(例:ネオペンチルグリコールメタクリレート)を前
記樹脂成分に配合した後に、前記の後乳化法に付する。
【0016】[特公平4−59324号]特公平4−5
9324号(出願人;ベー アー エス エフ AG)
には、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体又はナフ
タリンスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合生成物の水溶
性アルカリ(土類)金属塩を含有する水性分散液を噴霧
乾燥することにより、室温で貯蔵できる、非粘着性で水
中に再分散しうる重合物粉末を製造する方法が開示され
ている。すなわち、水溶性重合体物質として、(A)ビ
ニルピロリドン20〜70重量%及び酢酸ビニル30〜
80重量%からの共重合物及び/又は(B)ナフタリン
スルホン酸−ホルムアルデヒド縮合生成物の水溶性のア
ルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を、分散液
の重合物に対し2〜40重量%の量で添加したのち重合
物水性分散液を、噴霧乾燥する。このようにして得られ
る再分散が可能な重合物粉末は、特に水硬性結合剤例え
ば石膏、セメント、モルタル及びマグネシアセメントへ
の添加物として適する。
【0017】[特開平5−194681号]特開平5−
194681号(出願人;ローム アンド ハース C
O)には、モルタル改質剤として有効な新規な再分散性
の芯−殻重合体粉末の製造方法に関する技術が開示され
ている。すなわち、アルカリ可溶性のシェルの存在下で
コアを重合することによって製造される、コアとシェル
が多官能性化合物の使用によって化学的にグラフトして
いるコア/シェル重合体を、噴霧乾燥することによって
得られる再分散性重合体粉末が開示されている。より具
体的には、アルカリ可溶性の乳化重合体の殻と、水不溶
性の乳化重合体の芯を有し、多官能性化合物の使用によ
つてその芯重合体と殻重合体が化学的にグラフト結合さ
れているところの芯−殻重合体から製造された再分散性
の重合体粉末。この芯−殻重合体は、アルカリで可溶化
された乳化重合体の存在下で、アルカリ不溶性の乳化重
合体の芯を重合する、2段逐次乳化重合法によつて製造
される。本発明のこの芯−殻重合体粉末がセメント改質
剤として使用された場合に、粉末の物理的性質及びセメ
ントモルタルの性質に改良が認められる。
【0018】[特表平5−501575号]特表平5−
501575号(出願人;ヘンケル KG アウフ ア
クチエン)には、出発両性ポリマーよりなる安定化剤の
水溶液のpHを、酸等で等電点に調節して、水溶液から
該出発両性ポリマーを沈澱させ、pH値を調節して再溶
解させ、触媒等を加え、乳化重合して、剪断安定性、耐
水性に優れた、繊維製品の仕上げ剤等に有用な、両性ポ
リマーを安定化剤として用いる、安定なポリマー分散液
の製法が開示されている。すなわち、特定の化学構造を
有する化合物及びスチレン等のモノマーより作られた出
発両性ポリマーよりなる安定化剤の水溶液のpHを、非
揮発性の酸又は塩基によつて等電点に調節して出発両性
ポリマーを水溶液から沈澱させ、揮発性の酸又は塩基を
用いて、乳化重合のために望ましいpH値に調節して再
溶解させ、その後、ビニル構造の不飽和モノマーを、非
揮発性の中和剤で中和し、触媒及び必要があれば助剤と
共に加えて、乳化重合して、目的の分散液を得る。
【0019】B.保護コロイド重合に関する従来技術 保護コロイド重合法は、公知公用の重合法である。「保
護コロイド重合」及び「保護コロイド」なる語の概念、
及び、保護コロイド重合法の概念と原理は、例えば、
「エマルション概論(松本恒隆)工業材料・第24巻・
第3号・10〜15頁」のような総説に開示されてい
る。なかでも、当該総説の「図2 親水性モノマーの乳
化重合」(12頁)及びその説明文(12頁の「親水性
モノマーの乳化重合」の項)に、さらには、「図3水エ
マルションの安定化」(13頁)及びその説明文(12
〜13頁の「エマルション粒子の安定化」の項)に、視
覚的なわかりやすい解説がある。
【0020】本願明細書では特に断りのない限り以降、
引用文献及び引用範囲を明示したことは本出願明細書の
開示の一部とし、明示した引用範囲を参照することによ
り、本出願明細書に記載した事項又は開示からみて、当
業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項も本出願明細
書に開示されているものとする。
【0021】保護コロイド重合法の公知技術の具体例と
しては、例えば、以下に示す特開平2−173003号
や特開平4−185607号に開示されている技術が挙
げられる。
【0022】[特開平4−185607号]特開平4−
185607号(出願人;ヘキスト合成(株))は、保
護コロイド系再分散性アクリル樹脂エマルジヨン粉末と
その製造方法に係る発明である。すなわち、水溶性保護
コロイドを用い、アクリル系単量体を特定量の連鎖移動
剤の存在下で乳化(共)重合し、生成エマルジヨンを噴
霧乾燥することにより、再分散性、被膜物性等に優れた
標記粉末を得る。水溶性保護コロイド(例;ポリビニル
アルコール)を用い、かつアクリル系単量体に対して
0.1〜50重量%の連鎖移動剤(例;トリクロロエチ
レン)の存在下で、アクリル系単量体(例;メタクリル
酸メチル)を、所望によつて30重量%以下の共重合性
単量体(例;スチレン)とともに乳化重合する。次いで
得られるアクリル樹脂エマルジヨンを噴霧乾燥すること
により、保護コロイド系再分散性アクリル樹脂エマルジ
ヨン粉末を得る。得られる樹脂エマルジヨン粉末は接着
剤、塗料用バインダー、セメント添加剤等として好適に
用いられる。
【0023】[特開平2−173003号]特開平2−
173003号(出願人;三井東圧化学(株))には、
重合性モノマーと希釈剤とを含む油相を、分散剤を含む
水性媒体中に分散させた後、特定条件下に重合させるこ
とにより、分散剤、希釈剤等の不純物を含まない、多孔
性ポリマー粒子を、効率良く得る技術が開示されてい
る。すなわち、(a)ケン化度50〜95%の部分ケン
化PVAである分散剤を0.1〜10wt%含有する水
性媒体(b)中に、(c)b成分に不溶性又は難溶性の
ビニル基を有するモノマーである重合性モノマーと、
(d)c成分に可溶で、b成分に不溶性又は難溶性であ
つて、重合性を有さない希釈剤とを含有し、b成分とe
成分との容積比が10〜1:1の油相(e)を、粒径1
〜50μmの球状に分散させた後、c成分を重合させな
がら、分散粒子を球状のまま0.1〜3mmに凝集させ
てポリマー粒子凝集体を得る。次いで、この凝集体を洗
浄して、a成分を除去し、d成分を抽出した後、凝集体
を1〜5μmの大きさに再分散させる。
【0024】C.再乳化性と被膜形成性に関する技術的
背景 [再乳化性と被膜形成性]再乳化性重合体又はその粉末
は、その再乳化液が室温で被膜化しないものもあるが、
幅広い用途で使用するためには、室温で乾燥して被膜を
形成する再乳化性重合体又はその粉末が好ましい。室温
で被膜を形成するような水性エマルションを乾燥した場
合、重合体が軟らかいために、その分散粒子が凝集融着
し、再乳化性が失われるという重大な問題があった。
【0025】[抗粘結剤]粉末粒子同士の凝集融着を防
ぐために、抗粘結剤として、無機微粉末やバインダー能
力を有さない有機微粉末を添加する方法が知られてい
る。しかしながら、このような場合、再乳化液を乾燥し
て被膜を形成した場合、透明性等の諸性能に好ましくな
い影響を及ぼす点で問題があり、そのため、用途や応用
に関し著しい制約があった。再乳化性重合体又はその粉
末の用途として、無機微粉末が混入していても問題が少
ないと予想されるセメント混和剤においても、無機微粉
末の吸水性が大きいため、フロー値の上昇が見られ、水
/セメント比を大きくしなければならなかった。さらに
は、得られたセメント製品の吸水性が大きくなったり、
微粉末が浮遊しやすく不均一性を招来しやすい等の問題
もあった。このような問題から、抗粘結剤を必要としな
い再乳化性重合体が望まれていた。 [アルカリ可溶性シェルを有するコア−シェル重合体]
再乳化性重合体粉末に関する従来技術において、アルカ
リ可溶性シェルを有するコア−シェル重合体を利用する
方法では、シェルの密度がその可溶性のために低くなっ
ており、乾燥中での粒子同士の融着を完全に防止するこ
とはできず、再乳化性に問題があった。さらに、抗粘結
剤を使用しなければ、粒子の融着を防止できないという
問題があった。
【0026】[噴霧乾燥技術]再乳化性重合体粉末は、
そのほとんどが、凝集を防ぎながら水を蒸発させ、直接
粉末を得る、噴霧乾燥技術により、製造される。従来の
噴霧乾燥技術においては、通常、100℃以上の高温で
乾燥されるため、粒子同士の融着を完全に防ぎきれず、
再乳化性に問題があった。また、噴霧乾燥時に、乾燥塔
の内壁に付着物が生じ、収率が著しく低下することもあ
った。さらに、大きなスケールやバッチの生産において
は、莫大な時間とエネルギーを要する点で、非常に問題
があった。
【0027】本発明者らは、上記のような、再乳化性重
合体又はその粉末の製造の従来技術に関し、莫大な時間
とエネルギーを要する点で問題があると思料した。
【0028】D.セメント混和剤関する技術的背景 [第50回セメント技術大会講演要旨集(1996年)
324−325頁]再乳化型粉末樹脂混入ポリマーセメ
ントモルタルの場合、再分散性等の技術的課題が残され
ており、場合により圧縮強度や曲げ強度が低下すること
が記載されている。 [第50回セメント技術大会講演要旨集(1996年)
322−323頁]再乳化型粉末樹脂混入ポリマーセメ
ントモルタルの場合、セメント中に空気が連行され易
く、そのために圧縮強度や曲げ強度が低下して諸物性に
悪影響を与える場合がある。この教示内容から考える
と、もし再乳化性に優れた再乳化粉末樹脂が開発されれ
ば、水、セメント、砂等の混合が短時間でできるため、
セメント中に連行する空気の量を減少することができて
物性が改良されることが可能になるものと期待されてい
ると考えられる。
【0029】
【発明の解決すべき課題】本発明者らは、上記従来技術
の問題点に鑑み、莫大な時間とエネルギーを必要とする
従来の再乳化性重合体製造技術(例えば、噴霧乾燥技術
等を利用する技術)とは全く異なる、省エネルギー・省
力・省スペース・省プロセス型の効率的な製造方法によ
り、省流通コスト・省運送コスト・省廃棄物・高品質型
の再乳化性重合体製品を提供することは、極めて意義深
い課題であることを見出した。
【0030】すなわち、本発明の解決課題は以下の及
びである。 ポリマーの粉末化:ポリマー・エマルションの
(共)重合体粒子を、凝集させることで取り出すという
解決課題。 粉末化ポリマーの再乳化:で凝集した(共)重合
体粒子に、pH5以上の水に対して実質的に再乳化する
機能を具備せしめるという解決課題。 このような本発明者ら独自の認識は、従来、当業者によ
ってほとんど認識されてこなかった。したがって、本出
願に係る発明が新規性及び進歩性を有することは言わず
もがなであるが、本出願に係る発明の完成の基礎となる
「発明が解決しようとする課題」も、新規性及び進歩性
を有するのである。
【0031】本発明者らは、鋭意検討を進めた結果、特
定エチレン性不飽和単量体を、特定の条件で重合するこ
とにより得られる水性エマルションは、酸や金属塩の添
加により、凝集体を形成し、しかも、驚くべきことに、
この凝集体は、pH5以上の水に対して実質的に再乳化
する機能を有することを見い出し、本発明を完成するに
至った。本発明は以下の(共)重合体、(共)重合体の
製造方法及び組成物を提供することにある。
【0032】
【課題を解決すべき手段】
(ア) シェルによりコア表面の少なくとも一部が被覆
されたコア/シェル構造を有し、前記コアは、繰り返し
単位に、一般式(1)(化13)で表されるペンダント
基を有する繰り返し単位からなる群、及び、一般式
(2)(化13)で表されるペンダント基を有する繰り
返し単位からなる群から選択された少なくとも1種の繰
り返し単位を0重量%以上40重量%未満有する(共)
重合体(α2)であり、
【0033】
【化13】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
0である))前記シェルは、繰り返し単位に、一般式
(1)(化13)で表されるペンダント基を有する繰り
返し単位からなる群、及び、一般式(2)(化13)で
表されるペンダント基を有する繰り返し単位からなる群
から選択された少なくとも1種の繰り返し単位を20重
量%以上100重量%以下有する(共)重合体(α1)
であり、かつ、(α1)及び(α2)の合計重量に対し
て、(α1)が15〜85重量%であり、(α2)が8
5〜15重量%であり、かつ(α1)中の一般式(1)
及び/又は(2)で表されるペンダント基を有する少な
くとも1種の繰り返し単位の含有率が(α2)中の該少
なくとも1種の繰り返し単位の含有率より高いことを特
徴とする粒子からなる、pH5以上の水に対して実質的
に再乳化する機能を有する(共)重合体。
【0034】(イ)粒子(A)、及び、保護コロイドか
らなる混合物であって、前記粒子(A)は一般式(1)
(化14)で表されるペンダント基を有する繰り返し単
位からなる群、及び、一般式(2)(化14)で表され
るペンダント基を有する繰り返し単位からなる群から選
択された少なくとも1種の繰り返し単位を0重量%以上
40重量%未満有する(共)重合体(α2)であり、
【0035】
【化14】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
0である))前記保護コロイドは、繰り返し単位に、一
般式(1)(化14)で表されるペンダント基を有する
繰り返し単位からなる群、及び、一般式(2)(化1
4)で表されるペンダント基を有する繰り返し単位から
なる群から選択された少なくとも1種の繰り返し単位を
20重量%以上100重量%以下有する(共)重合体
(α1)であり、かつ、(α1)及び(α2)の合計重
量に対して、(α1)が15〜85重量%であり、(α
2)が85〜15重量%であり、かつ(α1)中の一般
式(1)及び/又は(2)で表されるペンダント基を有
する少なくとも1種の繰り返し単位の含有率が(α2)
中の該少なくとも1種の繰り返し単位の含有率より高い
ことを特徴とする粒子からなる、pH5以上の水に対し
て実質的に再乳化する機能を有する(共)重合体。
【0036】(ウ)(α1)及び(α2)を構成する繰
り返し単位のうち、一般式(1)及び/又は(2)で表
されるペンダント基を有する少なくとも1種の繰り返し
単位以外の他の繰り返し単位が一般式(v)、(w)、
(x)、(y)又は(z)(化15)の少なくとも1種
以上で構成されていることを特徴とする(ア)乃至
(イ)のいずれか記載の(共)重合体。
【0037】
【化15】 (一般式(v)−(z)において、R11は水素またはメ
チル基、R12は水素または炭素原子数1〜12のアルキ
ル基、R13は水素、炭素原子数1〜20のアルキル基、
炭素原子数1〜20のアルケン基またはフェニル基、R
14は同一又は別個の水素、または炭素原子数1〜12の
アルキル基、スルホン酸基またはスルホン酸金属塩基、
15は炭素原子数1〜6の側鎖を有するか有しない不飽
和炭化水素である。
【0038】(エ)(α1)が、一般式(2)(化1
6)で表されるペンダント基を有する繰り返し単位から
なる群から選択された少なくとも1種の繰り返し単位を
20重量%以上100重量%以下有することを特徴とす
る(ア)乃至(ウ)のいずれか記載の、
【0039】
【化16】 (一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜30の
アルキレン基であり、または−R3OHが−(R22−O
−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2〜5の
同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜30であ
る))pH5以上の水に対して実質的に再乳化する機能
を有する(共)重合体。
【0040】(オ)一般式(2)(化17)で表される
ペンダント基を有する前記少なくとも1種の繰り返し単
位が、2−ヒドロキシエチルメタクリレートから誘導さ
れたものであることを特徴とする(エ)記載の(共)重
合体。
【0041】
【化17】 上記の(共)重合体の具体的製造方法としては (カ)工程1(水性エマルション製造工程)として、一
般式(1)(化18)で表されるペンダント基を有する
エチレン性不飽和単量体からなる群、及び、一般式
(2)(化18)で表されるペンダント基を有するエチ
レン性不飽和単量体からなる群から選択された少なくと
も1種を20重量%以上100重量%以下含むエチレン
性不飽和単量体をラジカル(共)重合することにより得
られる保護コロイド(a1)、及び、一般式(1)(化
18)で表されるペンダント基を有するエチレン性不飽
和単量体からなる群、及び、一般式(2)(化18)で
表されるペンダント基を有するエチレン性不飽和単量体
からなる群から選択された少なくとも1種を0重量%以
上40重量%未満含む共重合体(a2)を構成するエチ
レン性不飽和単量体を、
【0042】
【化18】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
0である))を含み、かつ、(a1)及び(a2)の合
計重量に対して、(a1)が15〜85重量%であり、
(a2)が85〜15重量%となり、(a1)中の一般
式(1)及び/又は(2)で表されるペンダント基を有
する少なくとも1種の単量体の含有率が(a2)中の該
単量体の含有率より高いようにラジカル(共)重合する
ことにより、(共)重合体粒子(A)の分散相及び水の
連続相からなる、水性エマルションを製造する工程、工
程2(凝集物製造工程)として、工程1で製造した水性
エマルションに、鉱酸及び/又は有機酸を添加して、p
H4以下にすることにより(共)重合体粒子(A)を凝
集させて、(共)重合体の凝集物(A’)を製造する工
程、とを含んで構成されることを特徴とする、pH5以
上の水に対して実質的に再乳化する機能を有する(共)
重合体を製造する方法。
【0043】(キ)工程1(コア粒子重合工程)とし
て、一般式(1)(化19)で表されるペンダント基を
有するエチレン性不飽和単量体からなる群、及び、一般
式(2)(化19)で表されるペンダント基を有するエ
チレン性不飽和単量体からなる群から選択された少なく
とも1種を0重量%以上40重量%未満含む共重合体
(a2)を構成するエチレン性不飽和単量体を乳化
(共)重合して、
【0044】
【化19】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
0である))(共)重合体コア粒子(A0)の分散相、
及び、水の連続相からなる、水性エマルションを製造す
る工程、工程2(シェル重合工程)として、工程1で製
造した水性エマルション中の(共)重合体コア粒子(A
0)と、一般式(1)(化19)で表されるペンダント
基を有するエチレン性不飽和単量体からなる群、及び、
一般式(2)(化19)で表されるペンダント基を有す
るエチレン性不飽和単量体からなる群から選択された少
なくとも1種を20重量%以上100重量%以下の共重
合体(a1)を構成するエチレン性不飽和単量体を含
み、かつ、(a1)及び(a2)の合計重量に対して、
(a1)が15〜85重量%であり、(a2)が85〜
15重量%となり、(a1)中の一般式(1)及び/又
は(2)で表されるペンダント基を有する少なくとも1
種の単量体の含有率が(a2)中の該単量体の含有率よ
り高いようなような反応系において、ラジカル(共)重
合することにより、保護コロイドからなるシェル(S)
を、工程1で製造した水性エマルション中の(共)重合
体コア粒子(A0)の粒子表面の少なくとも一部に形成
させて、シェルによりコア表面の少なくとも一部が被覆
されたコア/シェル構造を有したコア/シェル型(共)
重合体粒子(A)の分散相、及び、水の連続相からな
る、水性エマルションを製造する工程、工程3(凝集物
製造工程)として、工程2で製造した水性エマルション
に、鉱酸及び/又は有機酸を添加して、pH4以下にす
ることによりコア/シェル型(共)重合体粒子(A)を
凝集させて、(共)重合体の凝集物(A’)を製造する
工程、とを含んで構成されることを特徴とする、pH5
以上の水に対して実質的に再乳化する機能を有する
(共)重合体を製造する方法。
【0045】(ク)工程1(水性エマルション製造工
程)として、一般式(1)(化20)で表されるペンダ
ント基を有するエチレン性不飽和単量体からなる群、及
び、一般式(2)(化20)で表されるペンダント基を
有するエチレン性不飽和単量体からなる群から選択され
た少なくとも1種を0重量%以上40重量%未満含むエ
チレン性不飽和単量体を乳化(共)重合体(a2)し
て、
【0046】
【化20】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
0である))(共)重合体コア粒子(A0)の分散相、
及び、水の連続相からなる、水性エマルションを製造す
る工程、工程2(保護コロイド製造工程)として、一般
式(1)(化20)で表されるペンダント基を有するエ
チレン性不飽和単量体からなる群、及び、一般式(2)
(化20)で表されるペンダント基を有するエチレン性
不飽和単量体からなる群から選択された少なくとも1種
を20重量%以上100重量%以下含むエチレン性不飽
和単量体をラジカル(共)重合することにより保護コロ
イド(a1)を製造する工程、工程3(混合工程)とし
て、工程1で製造した水性エマルション、及び、工程2
で製造した保護コロイドを、(a1)及び(a2)の合
計重量に対して、(a1)が15〜85重量%であり、
(a2)が85〜15重量%となり、(a1)中の一般
式(1)及び/又は(2)で表されるペンダント基を有
する少なくとも1種の単量体の含有率が(a2)中の該
単量体の含有率より高く含まれるように混合する工程、
工程4(凝集物製造工程)として、工程3で混合した水
性エマルション及び工程2で製造した保護コロイドの混
合物に、鉱酸及び/又は有機酸を添加して、pH4以下
にすることにより(共)重合体粒子(A)及び保護コロ
イドを凝集させて、(共)重合体の凝集物(A’)を製
造する工程、とを含んで構成されることを特徴とする、
pH5以上の水に対して実質的に再乳化する機能を有す
る(共)重合体を製造する方法。
【0047】(ケ)工程1(水性エマルション製造工
程)として、一般式(1)(化21)で表されるペンダ
ント基を有するエチレン性不飽和単量体からなる群、及
び、一般式(2)(化21)で表されるペンダント基を
有するエチレン性不飽和単量体からなる群から選択され
た少なくとも1種を20重量%以上100重量%以下含
むエチレン性不飽和単量体をラジカル(共)重合するこ
とにより得られる保護コロイド(a1)、及び一般式
(1)(化21)で表されるペンダント基を有するエチ
レン性不飽和単量体からなる群、及び、一般式(2)
(化21)で表されるペンダント基を有するエチレン性
不飽和単量体からなる群から選択された少なくとも1種
を0重量%以上40重量%未満含む共重合体(a2)を
構成するエチレン性不飽和単量体、
【0048】
【化21】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
0である))を含み、かつ、(a1)及び(a2)の合
計重量に対して、(a1)が15〜85重量%であり、
(a2)が85〜15重量%となり、(a1)中の一般
式(1)及び/又は(2)で表されるペンダント基を有
する少なくとも1種の単量体の含有率が(a2)中の該
単量体の含有率より高く含まれるようにラジカル(共)
重合することにより、(共)重合体粒子(A)の分散相
及び水の連続相からなる、水性エマルションを製造する
工程、工程2(凝集物製造工程)として、工程1で製造
した水性エマルションに、金属塩を添加して、(共)重
合体粒子(A)を塩析させて、(共)重合体の凝集物
(A’)を製造する工程、とを含んで構成されることを
特徴とする、pH5以上の水に対して実質的に再乳化す
る機能を有する(共)重合体を製造する方法。
【0049】(コ)工程1(コア粒子重合工程)とし
て、一般式(1)(化22)で表されるペンダント基を
有するエチレン性不飽和単量体からなる群、及び、一般
式(2)(化22)で表されるペンダント基を有するエ
チレン性不飽和単量体からなる群から選択された少なく
とも1種を0重量%以上40重量%未満含む共重合体
(a2)を構成するエチレン性不飽和単量体を乳化
(共)重合して
【0050】
【化22】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
0である))(共)重合体コア粒子(A0)の分散相、
及び、水の連続相からなる、水性エマルションを製造す
る工程、工程2(シェル重合工程)として、工程1で製
造した水性エマルション中の(共)重合体コア粒子(A
0)と、一般式(1)(化22)で表されるペンダント
基を有するエチレン性不飽和単量体からなる群、及び、
一般式(2)(化22)で表されるペンダント基を有す
るエチレン性不飽和単量体からなる群から選択された少
なくとも1種を20重量%以上100重量%以下含む共
重合体(a1)を構成するエチレン性不飽和単量体を含
み、かつ、(a1)及び(a2)の合計重量に対して、
(a1)が15〜85重量%であり、(a2)が85〜
15重量%となり、(a1)中の一般式(1)及び/又
は(2)で表されるペンダント基を有する少なくとも1
種の単量体の含有率が(a2)中の該単量体の含有率よ
り高く含まれるようにラジカル(共)重合することによ
り、保護コロイドからなるシェル(S)を、工程1で製
造した水性エマルション中の(共)重合体コア粒子(A
0)の粒子表面の少なくとも一部に形成させて、シェル
によりコア表面の少なくとも一部が被覆されたコア/シ
ェル構造を有した粒子であるコア/シェル型(共)重合
体粒子(A)の分散相、及び、水の連続相からなる、水
性エマルションを製造する工程、工程3(凝集物製造工
程)として、工程2で製造した水性エマルションに、金
属塩を添加して、コア/シェル型(共)重合体粒子
(A)を塩析させて、(共)重合体の凝集物(A’)を
製造する工程、とを含んで構成されることを特徴とす
る、pH5以上の水に対して実質的に再乳化する機能を
有する(共)重合体を製造する方法。
【0051】(サ)工程1(水性エマルション製造工
程)として、一般式(1)(化23)で表されるペンダ
ント基を有するエチレン性不飽和単量体からなる群、及
び、一般式(2)(化23)で表されるペンダント基を
有するエチレン性不飽和単量体からなる群から選択され
た少なくとも1種を0重量%以上40重量%未満含むエ
チレン性不飽和単量体を乳化(共)重合して(共)重合
体(a2)にして、
【0052】
【化23】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
0である))(共)重合体コア粒子(A0)の分散相、
及び、水の連続相からなる、水性エマルションを製造す
る工程、工程2(保護コロイド製造工程)として、W一
般式(1)(化23)で表されるペンダント基を有する
エチレン性不飽和単量体からなる群、及び、一般式
(2)(化23)で表されるペンダント基を有するエチ
レン性不飽和単量体からなる群から選択された少なくと
も1種を20重量%以上100重量%以下含むエチレン
系不飽和単量体を、ラジカル(共)重合することにより
保護コロイド(a1)を製造する工程、工程3(混合工
程)として、工程1で製造した水性エマルション、及
び、工程2で製造した保護コロイドを、(a1)及び
(a2)の合計重量に対して、(a1)が15〜85重
量%であり、(a2)が85〜15重量%となり、(a
1)中の一般式(1)及び/又は(2)で表されるペン
ダント基を有する少なくとも1種の単量体の含有率が
(a2)中の該単量体の含有率より高く含まれるように
混合する工程、工程4(凝集物製造工程)として、工程
3で混合した水性エマルション及び保護コロイドの混合
物に、金属塩を添加して、(共)重合体粒子(A)及び
保護コロイドを塩析させて、(共)重合体の凝集物
(A’)を製造する工程、とを含んで構成されることを
特徴とする、pH5以上の水に対して実質的に再乳化す
る機能を有する(共)重合体を製造する方法。
【0053】(シ)(a1)が、一般式(2)(化2
4)で表されるペンダント基を有するエチレン性不飽和
単量体からなる群から選択された少なくとも1種を用い
て得られるとを特徴とする、(カ)乃至(サ)の何れか
に記載の製造方法。
【0054】
【化24】 (一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜30の
アルキレン基であり、または−R3OHが−(R22−O
−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2〜5の
同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜30であ
る)) pH5以上の水に対して実質的に再乳化する機能を有す
る(共)重合体を製造する方法。
【0055】(ス)前記少なくとも1種の単量体が、2
−ヒドロキシエチルメタクリレートであることを特徴と
する、(シ)記載の製造方法。
【0056】(セ)(カ)乃至(ス)の何れかに記載の
製造方法により得られる、pH5以上の水に対して実質
的に再乳化する機能を有する(共)重合体。
【0057】(ソ)シェルによりコア表面の少なくとも
一部が被覆されたコア/シェル構造を有した粒子であっ
て、前記コアは、水に不溶性な(共)重合体であり、前
記シェルは、pH5以上で水溶性である(共)重合体で
あり、pH5以上で実質的に再乳化可能な(共)重合
体。
【0058】(タ)シェルによりコア表面の少なくとも
一部が被覆されたコア/シェル構造を有した粒子であっ
て、前記コアは、水に不溶性な(共)重合体であり、前
記シェルは、pH5以上で水溶性である(共)重合体で
あり、かつ該シェルがコア/シェル全重量に対して15
重量%以上である、pH5以上で実質的に再乳化可能な
(共)重合体。
【0059】(チ)シェルによりコア表面の少なくとも
一部が被覆されたコア/シェル構造を有し、前記コア
は、ガラス転移温度が、−40〜30℃であり、前記シ
ェルのガラス転移温度がコアのガラス転移温度より少な
くとも10℃以上、高くかつ粒子全重量に対して15重
量%以上であり、かつpH4以下で凝集する機能を有す
る実質的に粒子相互間でブロッキング性のない粒子。
【0060】(ツ)乾燥状態に換算して、水硬性セメン
トに対して、(ア)乃至(オ)及び(セ)乃至(チ)の
何れかに記載の(共)重合体を、0.5〜60重量%を
含むことを特徴とする、水硬性セメント組成物。
【0061】(テ)乾燥状態に換算して、水硬性セメン
トに対して、0.5〜60重量%に相当する、(ア)乃
至(オ)及び(セ)乃至(チ)の何れかに記載の(共)
重合体を添加した水硬化性セメント組成物を、水と共に
混合し得られたセメント組成物を打設し、セメント硬化
体を形成する方法。
【0062】
【発明の実施の形態】 本発明の凝集体は、濾過、遠心
分離、デカンテーション等の簡便な操作により、容易に
固液分離することが可能であるので、必ずしも噴霧乾燥
を行う必要がない。このような凝集体は、固液分離中及
び/又は固液分離後に、洗浄により、夾雑する、遊離保
護コロイド、遊離酸及びその他遊離水溶性物質を除去す
ることもできる点で特徴的である。このような凝集体
は、抗粘結剤(無機微粉末、有機微粉末等)を必須構成
要素とすることなく、優れた抗粘結性を有している点で
特徴的である。
【0063】本発明による再乳化性重合体は、セメント
改質剤として使用した場合に、セメントの引張り強度、
曲げ強度、圧縮強度、接着強度、耐摩耗性等を改善する
ものである。
【0064】本発明において、抗粘結剤(例えば、無機
微粉末、成膜性のない有機微粉末等)を必ずしも必要と
しないという点で特徴的であり、セメント改質剤以外の
用途として、例えば、土木建築材料、紙加工剤、塗料、
接着剤、繊維処理剤等の、通常の水性エマルションが使
用されている幅広い分野への応用が可能である。なお、
本発明に係る「pH5以上の水に対して実質的に再乳化
する機能を有する(共)重合体」の態様、形態、モルホ
ロジーは、「(共)重合体」が、pH5以上の水に対し
て実質的に再乳化する機能を有しさえすれば、特に制限
されないが、通常、粉末、顆粒、ペースト、濾過後のウ
エットケーキ、またはこれを造粒したもの等の態様が好
ましい。
【0065】以下、本発明について詳細を説明する。
【0066】A.基本的な概念 本発明で記載の(共)重合体のガラス転移点(Tg)は
通常の方法、例えばDSC等で測定できるが、共重合体
の場合は以下のように評価される。 [ガラス転移点計算値〜共重合体のガラス転移点(T
g)の評価]共重合体のガラス転移点(Tg)及びその
評価の方法論は以下のとおりである。特定の単量体組成
を有する共重合体のガラス転移点(Tg)は、フォック
ス(Fox)の式により計算により求めることができ
る。ここで、フォックスの式とは、共重合体を形成する
個々の単量体について、その単量体の単独重合体のTg
に基づいて、共重合体のTgを算出するためのものであ
り、その詳細は、ブルテン・オブ・ザ・アメリカン・フ
ィジカル・ソサエティー,シリーズ2(Bulleti
n of the American Physica
l Society,Series 2)1巻・3号・
123頁(1956年)に記載されている。本出願の明
細書において用いる「ガラス転移点計算値」なる語の概
念には、フォックスの式により計算したガラス転移点を
も包含する。フォックスの式による共重合体のTgを計
算するための基礎となる各種モノマーについての単独重
合体のTgは、例えば、高分子データ・ハンドブック基
礎編(高分子学会編)525〜546頁に記載されてい
る数値又は通常の方法で測定した実測値を採用すること
ができる。
【0067】[語「乳化(共)重合」の概念]本発明に
係る製造方法で水性エマルション製造工程において用い
る「乳化(共)重合」なる語は、通常の乳化(共)重合
法のみならず、特殊なエマルション(共)重合法、保護
コロイド(共)重合法、ミニエマルション(共)重合
法、ミクロエマルション(共)重合法、等の技術をも包
含する。また、ポリマーを溶媒と乳化剤を混合して自己
乳化または強制乳化する方法も本発明の乳化の概念に含
まれる。
【0068】[保護コロイド重合法]「保護コロイド重
合」及び「保護コロイド」なる語の概念、及び、保護コ
ロイド重合法の概念と原理は、例えば、「エマルション
概論(松本恒隆)工業材料・第24巻・第3号・10〜
15頁」のような総説に開示されている。なかでも、当
該総説の「図2 親水性モノマーの乳化重合」(12
頁)及びその説明文(12頁の「親水性モノマーの乳化
重合」の項)に、さらには、「図3水エマルションの安
定化」(13頁)及びその説明文(12〜13頁の「エ
マルション粒子の安定化」の項)に、視覚的なわかりや
すい解説がある。保護コロイド重合法の公知の典型的な
ものとしては、上述した特開平2−173003号に開
示されている技術が挙げられる。
【0069】[語「(共)重合体」の概念]本出願の明
細書において用いる「(共)重合体」なる語の概念は、
ホモポリマー及びコポリマーを包含する。コポリマー
(共重合体)中の配列の様式には特別な制約はなく、共
重合体はランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共
重合体、グラフト共重合体等のいずれでもよい。本出願
の明細書において用いる「(共)重合体」は、少なくと
も一部が、線状、環状、大環状、分岐状、星形、三次元
網目状、IPN(インター・ペネトレーテッド・ネット
ワーク)、PIC(ポリイオン・コンプレックス)等の
いずれの構造をとってもかまわない。
【0070】[「pH5以上の水に対して実質的に再乳
化する」の概念]本出願の明細書において用いる「pH
5以上の水に対して実質的に再乳化する」なる表現の概
念は、従来の噴霧乾燥法において達成できない程度の再
乳化率を発現できることを意味する。例えば、後述する
[評価例1−2]において定義する「再乳化率(%)」
の数値が、40〜100%であること、好ましくは60
〜100%、さらに好ましくは80〜100%であるこ
とを意味する。さらに[評価例7−5]のでは20〜1
00%、好ましくは40〜100%であることを意味す
る。
【0071】[(共)重合体の凝集物(A’)の性状]
本発明において、(共)重合体の凝集物(A’)の性状
は、通常、若干の水分を含んだペースト状態であること
が多い。この状態のみならず、これを錠剤状、顆粒状、
フィルム状等、その他どのような性状であってもかまわ
ない。
【0072】[「pH5以上の水に対して実質的に再乳
化する機能を有する(共)重合体」]本発明に係る「p
H5以上の水に対して実質的に再乳化する機能を有する
(共)重合体」の態様、形態、モルホロジーは、
「(共)重合体」が、pH5以上の水に対して実質的に
再乳化する機能を有しさえすれば、特に制限されない
が、通常、粉末、顆粒、ペースト等の態様が好ましい。
【0073】[語「粒子」の概念]本出願の明細書にお
いて用いる「粒子」なる語の概念には、これらの語が高
分子化学において一般的に有する概念を完全に包含する
が、必ずしも等価なものではない。本出願において用い
る「粒子」の走査電子顕微鏡的形態の態様に関しては、
例えば、ラズベリー状又は金米糖(こんぺいとう、ポル
トガル語のconfeito)状の多くの突起を有する
ような態様、赤血球状の偏平な態様、ラグビーボール状
の回転楕円体様の態様、大腸菌状の紡錘形様、中空粒子
及び中空粒子中にさらに粒子が存在する態様等をも包含
する。
【0074】本出願の明細書において用いる「粒子」な
る語の概念には、例えば、ポリマーエマルジョン、ラテ
ックス、ポリマーサスペンジョンを構成するマイクロス
フィアをも包含し、本出願に係る発明においては、これ
らの例が一般的な態様である。このように、本出願にお
いて用いる「粒子」なる語は、これらの語が高分子化学
において一般的に有する概念と、必ずしも等価なもので
はないのではあるが、本発明に係るヘテロポリマー系の
本質的「態様」について屡々言及するに当たり便宜的に
用いるものとする。
【0075】[コア/シェル構造を有する粒子]本出願
の明細書において用いる「コア」、「シェル」及び「コ
ア/シェル」なる語は、これらの語が高分子化学におい
て一般的に有する概念を完全に包含するが、必ずしも等
価なものではない。例えば、本発明に係る「コア/シェ
ル」粒子に関しては、「コア」が少なくとも部分的に
「シェル」に包まれている態様を包含する。このよう
に、本出願の特許請求の範囲及び明細書において用いる
「コア」、「シェル」及び「コア/シェル」なる語は、
これらの語が高分子化学において一般的に有する概念
と、必ずしも等価なものではないのではあるが、本発明
に係るヘテロポリマー系の本質的「態様」について屡々
言及するに当たり便宜的に用いるものとする。
【0076】なお、高分子化学においては、一般的に、
「コア」なる語は、「核(core,center,n
ucleus)」、「芯(core,center)」
及び「種(seed)」なる語と等価に用いられ、「シ
ェル(shell)」なる語は、「殻(shell,s
kin,husk)」、「鞘(sheath)」及び
「おおい(robe)」なる語と等価に用いられる。し
たがって、本出願の明細書において用いる「コア」なる
語については、「核(core,center,nuc
leus)」、「芯(core,center)」及び
「種(seed)」なる語と同等に用いることもでき
る。同様に、「シェル」なる語については、「殻(sh
ell,skin,husk)」、「鞘(sheat
h)」及び「おおい(robe)」なる語と同等に用い
ることもできる。
【0077】[粒子の構造](共)重合体粒子(A)の
一次粒子としての粒子構造の態様としては、 粒子中に存在するエチレン性不飽和単量体(a2)
の(共)重合体粒子表面が保護コロイド(a1)で覆い
尽くされた、通常、コア/シェル型と呼ばれる構造、 粒子中に存在するエチレン性不飽和単量体(a2)
の(共)重合体粒子上に保護コロイド(a1)が一部堆
積し、完全には覆い尽くされていない構造、 エチレン性不飽和単量体(a2)の(共)重合体粒
子中に保護コロイド(a1)が含まれた、いわゆるサラ
ミ構造等が挙げられる。また形態的には中空粒子、中空
粒子中にさらに粒子が存在するような構造などの特殊な
形状の粒子も含み特に限定されない。しかし、エチレン
性不飽和単量体(a2)の(共)重合体粒子の外側に保
護コロイド(a1)が、再乳化性を発現できるほどにリ
ッチに存在しているのであれば、これらの態様の構造に
限定されるものではない。
【0078】[高次粒子]本発明において、(共)重合
体粒子(A)を一次粒子とした場合、(共)重合体の凝
集物(A’)は、二次粒子であっても、二次粒子が複数
個付着した三次粒子であっても、さらには、高次粒子で
あっても、合目的的であれば特に制限されない。本発明
において(共)重合体の凝集物(A’)は、通常、一次
粒子としての(共)重合体粒子(A)が複数個付着して
二次粒子となったものが、さらに、3次〜高次粒子とな
ったものが一般的であり、水又はアルカリ水に入れれば
容易に乳化して一次粒子あるいはほぼそれに近い形態に
戻る。本発明において(共)重合体の凝集物(A’)
は、通常、一次粒子としての(共)重合体粒子(A)が
複数個付着して二次粒子となったものでもよいが、やは
り、水又はアルカリ水に入れれば容易に乳化して一次粒
子あるいはほぼそれに近い形態に戻る。
【0079】[語「塩析」の概念]本出願の明細書にお
いて用いる「塩析」なる語の概念には、この語が高分子
化学において一般的に有する概念を完全に包含するが、
必ずしも等価なものではない。例えば、「化学大辞典1
(アイウエ)(共立出版、昭和35年)」1108頁・
左欄〜右欄に、語「塩析」の解説があり、そこには、
「塩析」とは、「水溶液に他の物質(主として無機塩
類)を加えて、先に溶けていた物質を凝集させることを
いう。」との記載がある。本出願の明細書において用い
る「塩析」なる語の概念には、このような化学大辞典に
記載されているような、化学一般において認識されてい
る概念を完全に包含するが、さらには、次に述べるよう
な、この語がコロイド化学や高分子化学において一般的
に有する概念をも完全に包含する。
【0080】すなわち、「高分子ラテックスの化学(室
井宗一著、高分子刊行会、1980年)」187〜20
0頁に記載されているように、均一な分散状態を維持し
ている粒子(例えば、ポリマーエマルジョン、ラテック
ス、ポリマーサスペンジョンを構成するマイクロスフィ
ア)に電解質を添加することにより、分散破壊作用(塩
析作用、salting out)を生ぜしめ、粒子を
凝析させる現象をも包含する。このように、本出願の特
許請求の範囲及び明細書において用いる「塩析」なる語
は、これらの語が化学一般において認識されている概念
と、必ずしも等価なものではないのではあるが、本発明
の本質的「態様」について屡々言及するに当たり便宜的
に用いるものとする。
【0081】本発明の(共)重合体は シェルによりコア表面の少なくとも一部が被覆され
たコア/シェル構造を有し、前記コアは、繰り返し単位
に、一般式(1)(化25)で表されるペンダント基を
有する繰り返し単位からなる群、及び、一般式(2)
(化25)で表されるペンダント基を有する繰り返し単
位からなる群から選択された少なくとも1種の繰り返し
単位を0重量%以上40重量%未満有する(共)重合体
(α2)であり、
【0082】
【化25】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
0である))前記シェルは、繰り返し単位に、一般式
(1)(化25)で表されるペンダント基を有する繰り
返し単位からなる群、及び、一般式(2)(化25)で
表されるペンダント基を有する繰り返し単位からなる群
から選択された少なくとも1種の繰り返し単位を20重
量%以上100重量%以下有する(共)重合体(α1)
であり、かつ、(α1)及び(α2)の合計重量に対し
て、(α1)が15〜85重量%であり、(α2)が8
5〜15重量%であり、かつ(α1)中の一般式(1)
及び/又は(2)で表されるペンダント基を有する少な
くとも1種の繰り返し単位の含有率が(α2)中の該少
なくとも1種の繰り返し単位の含有率より高いことを特
徴とする粒子からなる、pH5以上の水に対して実質的
に再乳化する機能を有する(共)重合体。
【0083】 粒子(A)、及び、保護コロイドから
なる混合物であって、前記粒子(A)は一般式(1)
(化26)で表されるペンダント基を有する繰り返し単
位からなる群、及び、一般式(2)(化26)で表され
るペンダント基を有する繰り返し単位からなる群から選
択された少なくとも1種の繰り返し単位を0重量%以上
40重量%未満有する(共)重合体(α2)であり、
【0084】
【化26】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
0である))前記保護コロイドは、繰り返し単位に、一
般式(1)(化26)で表されるペンダント基を有する
繰り返し単位からなる群、及び、一般式(2)(化2
6)で表されるペンダント基を有する繰り返し単位から
なる群から選択された少なくとも1種の繰り返し単位を
20重量%以上100重量%以下有する(共)重合体
(α1)であり、かつ、(α1)及び(α2)の合計重
量に対して、(α1)が15〜85重量%であり、(α
2)が85〜15重量%であり、かつ(α1)中の一般
式(1)及び/又は(2)で表されるペンダント基を有
する少なくとも1種の繰り返し単位の含有率が(α2)
中の該少なくとも1種の繰り返し単位の含有率より高い
ことを特徴とする粒子からなる、pH5以上の水に対し
て実質的に再乳化する機能を有する(共)重合体。のよ
うに乃至の(共)重合体を提供するものである。
(なお本明細書においては2種以上の(共)重合体を含
む組成物も(共)重合体の概念に包含される) 本願発明はα1のような本発明で必須の繰り返し単位を
特定量以上含む(共)重合体とα1で必須の繰り返し単
位を含まないか特定量以下しか含まない(共)重合体α
2とを必須の成分とする構造であれば、本発明の効果は
発現する。
【0085】例えば本願発明は上記及びで記載の一
般式(1)及び/又は(2)の特定の繰り返し単位を含
む(共)重合体であれば本願発明の効果を発現できるも
のであり一般式(1)及び/又は(2)以外の繰り返し
単位は特に規定する必要はないが好ましくは、例えば
の(共)重合体が好ましい。
【0086】 (α1)及び(α2)を構成する繰り
返し単位のうち、一般式(1)及び/又は(2)で表さ
れるペンダント基を有する少なくとも1種の繰り返し単
位以外の他の繰り返し単位が一般式(v)、(w)、
(x)、(y)又は(z)(化27)の少なくとも1種
以上で構成されていることを特徴とする(共)重合体。
【0087】
【化27】 (一般式(v)−(z)において、R11は水素またはメ
チル基、R12は水素または炭素原子数1〜12のアルキ
ル基、R13は水素、炭素原子数1〜20のアルキル基、
炭素原子数1〜20のアルケン基またはフェニル基、R
14は同一又は別個の水素、または炭素原子数1〜12の
アルキル基、スルホン酸基またはスルホン酸金属塩基、
15は炭素原子数1〜6の側鎖を有するか有しない不飽
和炭化水素である。) さらに本願発明は シェルによりコア表面の少なくとも一部が被覆され
たコア/シェル構造を有した粒子であって、前記コア
は、水に不溶性な(共)重合体であり、前記シェルは、
pH5以上で水溶性である(共)重合体であり、pH5
以上で実質的に再乳化可能な(共)重合体。
【0088】 シェルによりコア表面の少なくとも一
部が被覆されたコア/シェル構造を有した粒子であっ
て、前記コアは、水に不溶性な(共)重合体であり、前
記シェルは、pH5以上で水溶性である(共)重合体で
あり、かつ該シェルがコア/シェル全重量に対して15
重量%以上である、pH5以上で実質的に再乳化可能な
(共)重合体。
【0089】 シェルによりコア表面の少なくとも一
部が被覆されたコア/シェル構造を有し、前記コアは、
ガラス転移温度が、−40〜30℃であり、前記シェル
のガラス転移温度がコアのガラス転移温度より少なくと
も10℃以上、高くかつ粒子全重量に対して15重量%
以上であり、かつpH4以下で凝集する機能を有する実
質的に粒子相互間でブロッキング性のない粒子。
【0090】本願発明の(共)重合体はシェルによりコ
ア表面の少なくとも一部が被覆されたコア/シェル構造
を有した粒子であって、シェル及びコアが上記のように
特定されたpH5以上で実質的に再乳化可能な(共)重
合体を提供するものである。より具体的な本発明の
(共)重合体の構成は、例えば以下のような(共)重合
体である。
【0091】コア/シェル構造を有し、前記コアは、
繰り返し単位に、一般式(1)(化28)で表されるペ
ンダント基を有する繰り返し単位からなる群、及び、一
般式(2)(化28)で表されるペンダント基を有する
繰り返し単位からなる群から選択された少なくとも1種
のエチレン性不飽和単量体を0重量%以上40重量%未
満有するエチレン性不飽和単量体の(共)重合体(a
2)であり、
【0092】
【化28】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
0である))前記シェルは、(共)重合体であり、前記
シェルは、繰り返し単位に、一般式(1)(化28)で
表されるペンダント基を有する繰り返し単位からなる
群、及び、一般式(2)(化28)で表されるペンダン
ト基を有する繰り返し単位からなる群から選択された少
なくとも1種のエチレン性不飽和単量体を20重量%以
上100重量%以下有するエチレン性不飽和単量体の
(共)重合体(a1)であり、かつ、(a1)及び(a
2)の合計重量に対して、(a1)が15〜85重量%
であり、(a2)が85〜15重量%であり、かつ(α
1)中の一般式(1)及び/又は(2)で表されるペン
ダント基を有する少なくとも1種の繰り返し単位の含有
率が(α2)中の該少なくとも1種の繰り返し単位の含
有率より高いことを特徴とする粒子からなる、pH5以
上の水に対して実質的に再乳化する機能を有する(共)
重合体。
【0093】 粒子(A)、及び、保護コロイドから
なる混合物であって、前記粒子(A)は(共)重合体で
あり、かつ一般式(1)(化29)で表されるペンダン
ト基を有する繰り返し単位からなる群、及び、一般式
(2)(化29)で表されるペンダント基を有する繰り
返し単位からなる群から選択された少なくとも1種のエ
チレン性不飽和単量体を0重量%以上40重量%未満有
するエチレン性不飽和単量体の(共)重合体(a2)で
あり、
【0094】
【化29】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
0である))前記保護コロイドは、(共)重合体であ
り、前記保護コロイドは、繰り返し単位に、一般式
(1)(化29)で表されるペンダント基を有する繰り
返し単位からなる群、及び、一般式(2)(化29)で
表されるペンダント基を有する繰り返し単位からなる群
から選択された少なくとも1種のエチレン性不飽和単量
体を20重量%以上100重量%以下有するのエチレン
性不飽和単量体の(共)重合体(a1)であり、かつ、
(a1)及び(a2)の合計重量に対して、(a1)が
15〜85重量%であり、(a2)が85〜15重量%
であり、かつ(α1)中の一般式(1)及び/又は
(2)で表されるペンダント基を有する少なくとも1種
の繰り返し単位の含有率が(α2)中の該少なくとも1
種の繰り返し単位の含有率より高いことことを特徴とす
る、pH5以上の水に対して実質的に再乳化する機能を
有する(共)重合体。
【0095】[一般式(1)で表されるペンダント基を
有するエチレン性不飽和単量体]一般式(1)(化3
0)で表されるペンダント基を有するエチレン性不飽和
単量体、
【0096】
【化30】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
である。)の態様としては、例えば、一般式(3)〜
(6)(化31)が挙げられる。
【0097】
【化31】 (一般式(4)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素、又は炭素原子数1〜12のアルキ
ル基又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキ
ル基である。般式(5)において、R5は、炭素原子数
1〜12のアルキレン基又は炭素原子数1〜12の−O
H基を有するアルキレン基である。一般式(3)〜
(6)において、R4は、水素又は炭素原子数1〜12
のアルキル基である。一般式(6)において、nは、1
〜20の整数である。) [一般式(2)で表されるペンダント基を有するエチレ
ン性不飽和単量体]一般式(2)で表されるペンダント
基を有するエチレン性不飽和単量体の態様としては、例
えば、一般式(7)〜(9)(化32)が挙げられる。
【0098】
【化32】 (一般式(7)〜(9)において、R4は、水素又は炭
素原子数1〜12のアルキル基である。一般式(9)に
おいて、m及びnは、それぞれ、m=1〜16、n=0
〜14の整数である。) 一般式(9)(化32)におけるR6の態様としては、
例えば、一般式(10)及び(11)(化33)が挙げ
られる。
【0099】
【化33】 一般式(9)(化32)におけるR7の態様としては、
例えば、一般式(12)〜(14)(化34)が挙げら
れる。
【0100】
【化34】 本発明において上記一般式(1)及び/又は一般式
(2)で示されるペンダント基を有する少なくとも1種
の単量体の含有率は全単量体に対して(a2)中では0
〜40重量%、好ましくは0〜30重量%、より好まし
くは0〜20重量%であり、(a1)中では20〜10
0重量%、好ましくは30〜100重量%、より好まし
くは40〜100重量%である。
【0101】また、(a1)中の一般式(1)及び/又
は(2)で表されるペンダント基を有する少なくとも1
種の単重体の含有率が(a2)中の該少なくとも1種の
単重体の含有率より高いことが必要でありその差は5〜
95重量%、より好ましくは20〜90重量%、より好
ましくは40〜80重量%である。
【0102】[一般式(1)で表されるペンダント基を
有する繰り返し単位]一般式(1)(化35)で表され
るペンダント基を有する繰り返し単位、
【0103】
【化35】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素又は炭素原子数1〜12のアルキル
基又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル
基である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1
〜30のアルキレン基であり、または−R3OHが−
(R22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子
数2〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2
〜30である))の態様としては、例えば、一般式(1
5)〜(18)(化36)が挙げられる。
【0104】
【化36】 (一般式(16)において、R1及びR2は、それぞれ、
同一又は別個の、水素、又は炭素原子数1〜12のアル
キル基又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアル
キル基である。一般式(17)において、R5は、炭素
原子数1〜12のアルキレン基又は炭素原子数1〜12
の−OH基を有するアルキル基である。一般式(15)
〜(18)において、R4は、水素又は炭素原子数1〜
12のアルキル基である。一般式(18)において、n
は、1〜20の整数である。) [一般式(2)で表されるペンダント基を有する繰り返
し単位]一般式(2)で表されるペンダント基を有する
繰り返し単位の態様としては、例えば、一般式(19)
〜(21)(化37)が挙げられる。
【0105】
【化37】 (一般式(19)〜(21)において、R4は、水素又
は炭素原子数1〜12のアルキル基である。一般式(2
1)において、m及びnは、それぞれ、m=1〜16、
n=0〜14の整数である。) 一般式(21)(化37)におけるR6の態様として
は、例えば、一般式(10)及び(11)(化38)が
挙げられる。
【0106】
【化38】 一般式(21)(化37)におけるR7の態様として
は、例えば、一般式(12)〜(14)(化39)が挙
げられる。
【0107】
【化39】 本発明において上記一般式(1)及び/又は一般式
(2)で示される繰り返し単位の含有率は全繰り返し単
位に対して(α2)中では0〜40重量%、好ましくは
0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%であ
り、(α1)中では20〜100重量%、好ましくは3
0〜100重量%、より好ましくは40〜100重量%
である。
【0108】また、(α1)中の一般式(1)及び/又
は(2)で表されるペンダント基を有する少なくとも1
種の繰り返し単位の含有率が(α2)中の該少なくとも
1種の繰り返し単位の含有率より高いことが必要であり
その差は5〜95重量%、より好ましくは20〜90重
量%、より好ましくは40〜80重量%である。
【0109】[ブロッキング]本出願において用いる
「ブロッキング」なる語は、例えば、高分子辞典(高分
子学会編、朝倉書店刊、東京、1988年)・403頁
右欄の「ブロッキング」の項に記載されているように、
「圧着(blocking)」を意味し、具体的には、
溶媒中に分散したポリマーの粒子同士が接触し、その接
触面が接着し、簡単には剥離できなくなる固着現象を意
味している。原理的には、再乳化性を発現させるという
ことは、水に加えたときに、ポリマーの粒子がそれぞれ
単独で水に分散することであるため、ブロッキングとい
うポリマー粒子同士の接着が強固に行われてしまうと、
容易に剥離できない状態になり、再乳化性が低下するこ
とになる。
【0110】したがって、優れた再乳化性を発現するた
めには、ブロッキングを極力抑制することにより、容易
に剥離できるようにすることが必要となる。本願発明に
おいては、保護コロイド又はシェルをポリマー粒子に特
定の条件で関与させることにより、ポリマー粒子間のブ
ロッキングを抑制し、ポリマー粒子に優れた再乳化性を
発現せしめることができた。すなわち、本願発明におけ
る保護コロイド又はシェルの機能としては、ポリマー粒
子同士のブロッキング防止剤としての機能が最も重要で
ある。したがって、本願発明においては、保護コロイド
は、必ずしも、乳化重合安定剤としての機能を果たさな
くてもよく、保護コロイドが、乳化重合安定剤としての
機能を果たさない場合には、界面活性剤を使用して、安
定な重合反応を実現すればよい。つまり、本願発明にお
ける再乳化性の発現の程度は、保護コロイド又はシェル
のブロッキング防止機能と密接に相関している。
【0111】それゆえ、エチレン性不飽和単量体の
(共)重合体(a2)、及び、保護コロイド(a1)又
はシェル(S)の合計量に対して(a1)を85〜15
重量%、及び、(a2)を15〜85重量%となるよう
にすることが重要な意義をもつのである。ここで、後者
は、15重量%以上が好ましく、25重量%以上がより
好ましく、35重量%以上がさらに好ましく、45重量
%以上が特に好まく、上限は85重量%以下が好まし
く、70重量%以下がより好ましく、60重量%以下が
特に好ましい。
【0112】また、保護コロイド(a1)又はシェル
(S)のガラス転移点に関しては、20℃以上が好まし
く、30℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好
ましく、50℃以上が特に好ましい。
【0113】保護コロイド又はシェルの材料の好ましい
態様としては、必須構成要素である、一般式(1)(化
35)で表されるペンダント基を有する繰り返し単位、
及び/又は、一般式(2)(化35)で表されるペンダ
ント基を有する繰り返し単位以外に、カルボキシル基を
有する繰り返し単位を有する共重合体が挙げられる。こ
こで、カルボキシル基を有する繰り返し単位の重量%
は、一般式(1)の繰り返し単位の場合には共重合体に
対して、0.5〜30重量%が好ましく、0.5〜10
重量%がより好ましく、1〜3重量%がさらに好まし
く、一般式(2)の繰り返し単位の場合には共重合体
(a1)に対して、0.5〜60重量%が好ましく、
0.5〜40重量%がより好ましく、0.5〜20重量
%がさらに好ましい。
【0114】上記カルボキシル基を有する繰り返し単位
を有する共重合体は特に水に対する溶解性が良好で、し
かも凝集工程で凝集しやすいことが特徴である。
【0115】[抗ブロッキング性]ブロッキングの一般
的な原因としては、 ポリマー粒子のガラス転移点(T
g)が低いために、ポリマー粒子が高温環境下で軟化し
て接着性を発現する。「抗ブロッキング性」なる語は、
ポリマー粒子同士が接触しても、圧着性や固着性が発現
しない性質を包含する。
【0116】B.メカニズム [凝集物製造工程における酸添加による凝集のメカニズ
ム]凝集物製造工程においては、鉱酸及び/又は有機酸
を添加して、pH4以下にすることにより(共)重合体
粒子(A)を凝集させて、(共)重合体の凝集物
(A’)を製造する。本発明に係る(共)重合体粒子
(A)が、酸で凝集する現象の科学的な機構(メカニズ
ム)は必ずしも明確ではない。しかし、本発明において
は、保護コロイド又はシェル(これらは、単独で、酸性
下で、不溶化、凝集する性質を有する。)が、特定の量
だけ、存在するため、鉱酸及び/又は有機酸を添加する
ことにより、(共)重合体粒子(A)が凝集して、
(共)重合体の凝集物(A’)となるものと考えられ
る。すなわち、介在する保護コロイド又はシェルが、p
H4以下で、疎水化し、これが凝集剤のような作用をす
ることで、(共)重合体粒子(A)が凝集するものと推
察される。
【0117】凝集剤として高分子凝集剤と呼ばれる凝集
作用を示すポリマーが一般的にも知られているが、これ
は高分子が懸濁粒子に吸着、架橋し、粗大化し、凝集、
沈降する、あるいは懸濁粒子表面のゼータ電位を低下さ
せそれにより懸濁粒子同士が凝結すると考えられてい
る。
【0118】本発明でも、酸性下において保護コロイド
又はシェルが同様な機構で(共)重合体粒子(A)を凝
集に誘導するものと考察される。上記した高分子凝集剤
の凝集メカニズムの詳細については、高分子凝集剤(大
森英三著、高分子刊行会、1975年)1〜90頁に記
載されている。
【0119】[凝集物製造工程における金属塩添加によ
る凝集のメカニズム]凝集物製造工程においては、金属
塩を添加して、(共)重合体粒子(A)を凝集させて、
(共)重合体の凝集物(A’)を製造する。本発明に係
る(共)重合体粒子(A)が、金属塩で凝集する現象の
科学的な機構(メカニズム)は必ずしも明確ではない。
乳化(共)重合により製造された(共)重合体粒子分散
液に、金属塩を添加することにより凝集体を形成させる
という塩析現象を利用し、固体ポリマーを分離する方法
は公知である。高分子物理化学的には、水性エマルショ
ン中の(共)重合体粒子間には、 ファンデルワールス引力(分子間力)、 静電的な反発力、及び、 粒子表面の立体的反発力 が作用していると考えられている。これらの引力と反発
力(斥力)のバランス(均衡)により、(共)重合体粒
子が分散性と凝集性が決定されると考えられている。こ
のような系において、金属塩は、主として、静電的な反
発力を低下させる作用を有している。したがって、連続
相(水)に分散相((共)重合体粒子)が均一に分散し
ている系である水性エマルションに、金属塩を添加する
と、(共)重合体粒子間の反発力を抑制し、(共)重合
体粒子を、分散状態から凝集状態へ移行させるものと考
察される。上記した(共)重合体粒子凝集メカニズムの
高分子物理化学的考察の詳細については、高分子ラテッ
クスの化学(室井宗一著、高分子刊行会、1980年)
187〜200頁に記載されている。凝集物製造工程に
おける金属塩添加による凝集のメカニズムの少なくとも
一部は、上記のメカニズムによるものと推察される。
【0120】[pH5以上の水に対して実質的に再乳化
する機能を発現するメカニズム]通常、水性エマルショ
ン製造工程で製造された水性エマルションを、噴霧乾燥
によって乾燥した場合、高温下で急激に乾燥を行うた
め、(共)重合体粒子(A)同士の融着が顕著になり、
再乳化性が著しく低下し、さらには、乾燥塔壁面に多量
の付着物が生じ、作業性、生産性が低下する。しかしな
がら、本発明に係る製造方法の凝集物製造工程により、
(共)重合体の凝集物(A’)とすることにより、その
まま、又は、さらにこれを乾燥して、さらには乾燥後さ
らに粉砕することにより、水に対して実質的に再乳化す
る機能を有する(共)重合体を得ることができる。さら
に固液分離中及び/又は固液分離後に充分な洗浄を行う
ことによって、(共)重合体の凝集物(A’)を回収
し、夾雑する、遊離保護コロイド、遊離酸、及びその他
遊離水溶性物質を除去することにより、(共)重合体の
凝集物(A’)の性能に好ましくない影響を与える物質
を除去することが可能である。
【0121】本発明に係る製造方法により得られる、
(共)重合体粒子(A)の一次粒子としての一般的な態
様は、エチレン性不飽和単量体(a2)の(共)重合体
に、保護コロイド(a1)が付着した、複合粒子を形成
しているものを包含する。本発明に係る製造方法により
得られる、(共)重合体粒子(A)の一次粒子としての
一般的な態様は、エチレン性不飽和単量体(a2)の
(共)重合体粒子の外側に、保護コロイド(a1)がリ
ッチに存在した、複合粒子を形成しているものをも包含
する。
【0122】水性エマルション製造工程において得られ
る(共)重合体粒子(A)は、本発明に係る製造方法の
凝集物製造工程により凝集させることにより、水に対し
て実質的に再乳化する機能を有する、(共)重合体の凝
集物(A’)とすることができる。
【0123】このようにして形成した(共)重合体の凝
集物(A’)は、(共)重合体粒子(A)中に存在する
保護コロイド(a1)の緩衝作用により、粒子中に存在
するエチレン性不飽和単量体の(共)重合体(a2)の
粒子間相互作用を緩和し、粒子同士の付着の強さを制御
し、(共)重合体の凝集物(A’)に、水に対して実質
的に再乳化する機能を発現せしめるのであろうと考えて
いる。
【0124】[噴霧乾燥の問題点]噴霧乾燥法は、水に
分散した(共)重合体粒子を、ノズルから高温気体中に
噴射して乾燥を行う方法である。噴霧乾燥法の場合は、
ノズルから(共)重合体粒子の分散液を高温気体中に噴
射して乾燥を行う際に、(共)重合体粒子間の毛細管水
が急激に蒸発し、(共)重合体粒子間に毛細管圧に起因
する圧力と、系の熱が粒子に負荷するため、粒子同士の
融着力が強くなり、不可逆的に融着しやすくなるという
問題があった。この(共)重合体粒子同士が融着する際
の毛細管圧理論は、「高分子ラテックスの化学(室井宗
一著、高分子刊行会)」242〜248頁(1980
年)に詳細に記載されている。
【0125】本願発明の場合には、粒子を加熱すること
なく、凝集物とするために、噴霧乾燥の場合には不可避
であった、不要な毛細管圧や高熱が付与されない点が特
筆すべき事項である。
【0126】本願発明の場合には、粒子相互間の融着が
ないか、あったとしても可逆的に融着状態を容易に実質
的に破壊して分散状態に誘導することが可能である。本
願発明の場合には、粒子を凝集させる条件−例えば、凝
集する際の温度、凝集に使用する酸量等−を適宜選択す
ることにより、粒子相互間の可逆的粒子間融着状態(一
旦、融着状態になっても、実質的に、可逆的に、再度、
分散状態に誘導することができる状態)を制御すること
ができるので、噴霧乾燥の場合には不可避であった、不
可逆的粒子間融着状態(一旦、融着状態になったら、実
質的には、可逆的に、再度、分散状態に誘導することが
できない状態)を、実質的に回避することができる。
【0127】[保護コロイド又はシェルの重合]本発明
において、保護コロイド又はシェルは、それ単独では水
溶性又は親水性であり、かつ、酸性下で又は金属塩存在
下で不溶化して凝集する性質を有し、かつ、抗ブロッキ
ング性を有する。つまり、本願発明における再乳化性の
発現の程度は、保護コロイド又はシェルのブロッキング
防止機能と密接に相関している。
【0128】それゆえ、保護コロイド(a1)又はシェ
ル(S)のラジカル(共)重合において、一般式(1)
(化40)で表されるペンダント基を有するエチレン性
不飽和単量体からなる群、及び、一般式(2)(化4
0)で表されるペンダント基を有するエチレン性不飽和
単量体からなる群から選択された少なくとも1種のモノ
マーを使用することが重要な意義を有するのである。
【0129】
【化40】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素、メチル基、エチル基又は炭素原子
数3〜12のアルキル基又は炭素原子数1〜12の−O
H基を有するアルキル基である。一般式(2)におい
て、R3は、メチレン基、エチレン基又は炭素原子数3
〜30のアルキレン基であり、または−R3OHが−
(R22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子
数2〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2
〜30である)) さらには、エチレン性不飽和単量体(a2)、及び、保
護コロイド(a1)又はシェル(S)の合計重量に対し
て、前者を85〜15重量%、及び、後者を15〜85
重量%となるようにすることが重要な意義をもつのであ
る。ここで、後者は、15重量%以上が好ましく、25
重量%以上がより好ましく、35重量%以上がさらに好
ましく、45重量%以上が特に好ましい。
【0130】また、保護コロイド(a1)又はシェル
(S)のガラス転移点計算値に関しては、20℃以上が
好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上がさ
らに好ましく、50℃以上が特に好ましいく、上限につ
いては特に制限はないが300℃程度のものも好ましく
使用できる。
【0131】保護コロイド又はシェルの材料の好ましい
態様としては、必須構成要素である、一般式(1)(化
40)で表されるペンダント基を有する繰り返し単位、
及び/又は、一般式(2)(化40)で表されるペンダ
ント基を有する繰り返し単位以外に、カルボキシル基を
有する繰り返し単位を有する共重合体が挙げられる。こ
こで、カルボキシル基を有する繰り返し単位の重量%
は、一般式(1)の繰り返し単位の場合には共重合体に
対して、0.5〜30重量%が好ましく、0.5〜10
重量%がより好ましく、1〜3重量%がさらに好まし
く、一般式(2)の繰り返し単位の場合には共重合体
(a1)に対して、0.5〜60重量%が好ましく、
0.5〜40重量%がより好ましく、0.5〜20重量
%がさらに好ましい。
【0132】上記カルボキシル基を有する繰り返し単位
を有する共重合体は特に水に対する溶解性が良好で、し
かも凝集工程で凝集しやすいことが特徴である。
【0133】[一般式(1)で表されるペンダント基を
有するエチレン性不飽和単量体]一般式(1)(化4
0)で表されるペンダント基を有するエチレン性不飽和
単量体の態様としては、例えば、一般式(3)〜(6)
(化41)が挙げられる。
【0134】
【化41】 (一般式(4)において、R1及びR2は、それぞれ、同
一又は別個の、水素又は炭素原子数1〜12のアルキル
基又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル
基である。一般式(5)において、R5は、炭素原子数
1〜12のアルキレン基又は炭素原子数1〜12の−O
H基を有するアルキル基である。一般式(3)〜(6)
において、R4は、水素又は炭素原子数1〜12のアル
キル基である。一般式(6)において、nは、1〜20
の整数である。) 一般式(1)(化40)で表されるペンダント基を有す
るエチレン性不飽和単量体を、本出願明細書において屡
々言及するに当たり、便宜的に「アミド基を有するエチ
レン性不飽和単量体」なる語を用いることがある。アミ
ド基を有するエチレン性不飽和単量体の具体例として
は、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−
メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリル
アミド、N−アクリロイルピリジン、N,N−ジメチル
アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N
−ヘキシルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミ
ド、N−ドデシルアクリルアミド、N,N−ジエチルア
クリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、ジアセト
ンアクリルアミド、マレイン酸アミドなどが挙げられ、
メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、
N−イソプロピルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリ
ルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N,N−ジエ
チルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン等が
特に好ましく、これらは単独で又は2種以上を混合して
用いられる。特にメタクリルアミドが好ましい。
【0135】[語「アミド基」の概念]本出願の明細書
において用いる「アミド基」なる語の概念には、この語
が高分子化学において一般的に有する概念を完全に包含
するが、必ずしも等価なものではない。例えば、「化学
大辞典1(アイウエ)(共立出版、昭和35年)」24
4頁左欄に、語「アミド」の解説があり、そこには、
「アミド」とは、「[1]アミノ基−NH2が酸基(ア
シル基)と結合してRCONH−形になったときの基の
呼称。たとえば、CH3CONH−をアセトアミドとよ
ぶ。[2](1)アンモニアの水素を酸基(アシル基)
で置換したもの。RCONH2。酸アミドに同じ。」と
の記載がある。本出願の明細書において用いる「アミド
基」なる語の概念には、このように化学大辞典に記載さ
れているような、化学一般において認識されている概念
を完全に包含するが、さらには、一般式(1)(化4
0)で表されるペンダント基に基づく概念をも完全に包
含する。このように、本出願の特許請求の範囲及び明細
書において用いる「アミド基」なる語は、これらの語が
化学一般において認識されている概念と、必ずしも等価
なものではないのではあるが、本発明の本質的「態様」
について屡々言及するに当たり便宜的に用いるものとす
る。
【0136】[一般式(2)で表されるペンダント基を
有するエチレン性不飽和単量体]一般式(2)(化4
0)で表されるペンダント基を有するエチレン性不飽和
単量体の態様としては、例えば、一般式(7)〜(9)
(化42)が挙げられる。
【0137】
【化42】 (一般式(7)〜(9)において、R4は、水素又は炭
素原子数1〜12のアルキル基である。一般式(9)に
おいて、m及びnは、それぞれ、m=1〜16、n=0
〜14の整数である。) 一般式(9)(化42)におけるR6の態様としては、
例えば、一般式(10)及び(11)(化43)が挙げ
られる。
【0138】
【化43】 一般式(9)(化42)におけるR7の態様としては、
例えば、一般式(12)〜(14)(化44)が挙げら
れる。
【0139】
【化44】 一般式(2)(化40)で表されるペンダント基を有す
るエチレン性不飽和単量体を、本出願明細書において屡
々言及するに当たり、便宜的に「水酸基を有するエチレ
ン性不飽和単量体」なる語用いることがある。この「水
酸基を有するエチレン性不飽和単量体」を用いた(共)
重合体はセメント用として用いた場合に良好な安定性を
もたらすので好適に使用できる。水酸基を有するエチレ
ン性不飽和単量体の具体例としては、例えば、ヒドロキ
シメチル−、2−ヒドロキシエチル−、ヒドロキシプロ
ピル−、ヒドロキシブチル−、ヒドロキシペンチル−、
ポリエチレングリコールモノ−、ポリプロピレングリコ
ールモノ−、ポリエチレングリコールポリプロピレング
リコールモノ−、ポリエチレングリコールポリテトラメ
チレングリコールモノ−、ポリプロピレングリコールポ
リテトラメチレングリコール−等のアクリレート、又は
メタクリレート等がに好ましく、これらは単独で又は2
種以上を混合して用いられる。
【0140】特に好ましくは2−ヒドロキエチルメタク
リレートである。
【0141】[カルボキシル基を有するエチレン性不飽
和単量体]カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単
量体の特に好ましい具体例としては、アクリル酸、メタ
クリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水ア
クリル酸、無水メタクリル酸、無水マレイン酸、無水イ
タコン酸、無水フマル酸などの不飽和カルボン酸化合物
が挙げられる。
【0142】[その他のエチレン性不飽和単量体] (a1)を構成する一般式(1)(化40)で表される
ペンダント基を有するエチレン性不飽和単量体、一般式
(2)(化40)で表されるペンダント基を有するエチ
レン性不飽和単量体、及び、カルボキシル基を有するエ
チレン性不飽和単量体以外の、その他のエチレン性不飽
和単量体の特に好ましい具体例としては、以下の〜
に示すような、不飽和モノマーと共重合することができ
るエチレン性不飽和単量体が挙げられる。
【0143】 炭素原子数1〜12のアルキルアクリ
レート類すなわち、メチル−、エチル−、イソプロピル
−、n−ブチル−、イソブチル−、n−アミル−、イソ
アミル−、n−ヘキシル−、2−エチルヘキシル−、オ
クチル−、デシル−、ドデシル−、オクタデシル−、シ
クロヘキシル−、フェニル−、ベンジル−等が付加した
アクリレート。
【0144】 炭素原子数1〜12のアルキルメタク
リレート類すなわち、メチル−、エチル−、イソプロピ
ル−、n−ブチル−、イソブチル−、n−アミル−、イ
ソアミル−、n−ヘキシル−、2−エチルヘキシル−、
オクチル−、デシル−、ドデシル−、オクタデシル−、
シクロヘキシル−、フェニル−、ベンジル−等が付加し
たメタクリレート。
【0145】 その他 グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレー
ト、アリルグリシジルエーテル、イソプロペニル−α,
α−ジメチルベンジルイソシアネート、スチレン、アク
リロニトリル、メタアクリロニトリル、スチレンスルホ
ン酸ソーダ、アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸及びそのソーダ塩等。
【0146】[開始剤]本発明において、保護コロイド
製造工程やシェル重合工程において使用する開始剤とし
ては特に制限はないが、例えば、過酸化水素、過硫酸ア
ンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;アゾビスシ
アノバレリン酸ナトリウム;あるいはこれらと鉄イオン
等の金属イオン及びナトリウムスルホキシレート、ホル
ムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、亜硫酸水素ナトリウ
ム、L−アスコルビン酸、等の還元剤との組み合わせに
よるレドックス開始剤等が挙げられる。これらの重合開
始剤は、一般的には、保護コロイド(a1)やシェル
(S)を重合する際に仕込む全単量体100重量部に対
して、0.01〜25重量部が使用される。
【0147】[分子量調節剤]本発明において、保護コ
ロイド製造工程やシェル重合工程において、必要に応じ
てt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタ
ン等のメルカプタン類、アリルスルフォン酸、メタアリ
ルスルフォン酸及びこれ等のソーダ塩等のアリル化合物
などを分子量調節剤として使用することも可能である。
【0148】[保護コロイド又はシェルの特性]本発明
において、保護コロイド(a1)又はシェル(S)の材
料は、それ単独であれば、実質的に水溶性又は親水性の
(共)重合体であり、かつ、酸性下で又は金属塩存在下
で不溶化して凝集する性質のものであれば、特に制限さ
れない。保護コロイド(a1)の重量平均分子量は、通
常、1000〜50万、好ましくは1000〜35万、
より好ましくは1000〜20万程度である。(共)重
合体の凝集物(A’)の再乳化性を、実質的に完全なも
のにするためには、保護コロイド(a1)又はシェル
(S)のガラス転移温度計算値については、20℃以上
が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上が
さらに好ましく、50℃以上が特に好ましい。
【0149】[(a2)を構成するエチレン性不飽和単
量体]本発明において使用する(a2)を構成するエチ
レン性不飽和単量体は、実質的に、重合して所望する
(共)重合体粒子を生成するものであれば、特に制限さ
れない。該エチレン性不飽和単量体の具体例としては、
例えば、土木建築材料、紙加工剤、塗料、接着剤、繊維
加工剤用などの用途に使用されている水性エマルション
の製造に使用される単量体が挙げられる。
【0150】上記エチレン性不飽和単量体の具体例とし
ては、例えば、 アクリル酸エステル類;メチル−、エチル−、イソプロ
ピル−、n−ブチル−、イソブチル−、n−アミル−、
イソアミル−、n−ヘキシル−、2−エチルヘキシル
−、オクチル−、デシル−、ドデシル−、オクタデシル
−、シクロヘキシル−、フェニル−、ベンジル−、2−
ヒドロキシエチル−、ヒドロキシプロピル−アクリレー
ト、 メタクリル酸エステル類;メチル−、エチル−、イソプ
ロピル−、n−ブチル−、イソブチル−、n−アミル
−、イソアミル−、n−ヘキシル−、2−エチルヘキシ
ル−、オクチル−、デシル−、ドデシル−、オクタデシ
ル−、シクロヘキシル−、フェニル−、ベンジル−、2
−ヒドロキシエチル−、ヒドロキシプロピル−メタクリ
レート等、その他の炭素原子数は3乃至12のアルキル
アクリレート、その他の炭素原子数3乃至12のアルキ
ルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、
2−エトキシエチルアクリレート、アクリロニトリル、
メタクリロニトリル、グリシジルアクリレート、グリシ
ジルメタアクリレート、アリルグリシジルエーテル、 不飽和カルボン酸類;アクリル酸、メタクリル酸、イタ
コン酸、マレイン酸、フマル酸、無水アクリル酸、無水
メタクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水
フマル酸等、 アミノ基含有モノマー類;N−メチルアミノエチルアク
リレート、N−メチルアミノエチルメタアクリレート、
ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエ
チルメタクリレート等、 芳香族ビニル類;スチレン、2−メチルスチレン、t−
ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、
ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等、 ビニルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
脂肪酸のビニルエステル(例えばシェル化学(株)のV
eoVa)等、ハロゲン化ビニル類;塩化ビニル、ハロ
ゲン化ビニリデン類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデ
ン等、オレフィン類;エチレン、プロピレン、ジエン
類;イソプレン、ブタジエン、クロロプレン、その他;
ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタアクリロニ
トリル、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチ
レングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコ
ールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタ
クリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3
−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキ
サンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネ
オペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレン
グリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコール
ジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリ
レート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テ
トラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロ
ールメタンテトラアクリレート、アリルメタアクリレー
ト、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテ
ニルオキシエチルアクリレート、イソプロペニル−α,
α−ジメチルベンジルイソシアネート、アリルメルカプ
タン、アミド類;アクリルアミド、メタクリルアミド、
N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアク
リルアミド、ジアセトンアクリルアミド、マレイン酸ア
ミド等であり、単独で又は2種以上を混合して使用する
ことができる。
【0151】これらの中で、好ましくは芳香族ビニル化
合物類、ジエン類、オレフィン類、(メタ)アクリレー
ト類、ビニルエステル類であり、具体的にはスチレン、
ブチルアクリレート、2−エチル−ヘキシルアクリレー
ト、ブタジエン、メチルメタクリレート、酢酸ビニル、
脂肪酸のビニルエステル(例えばシェル化学(株)のV
eoVa)、エチレン等である。セメント用として使用
する場合は耐アルカリ性のモノマーが好ましい。
【0152】[重合法]本発明において、水性エマルシ
ョン製造工程、コア粒子製造工程、実質的に、(共)重
合体粒子(A)の分散相及び水の連続相からなる、水性
エマルションを製造できる方法であれば、特に制限され
ないが、通常、乳化重合法が好ましく採用される。乳化
重合法においては、適宜、合目的的に、界面活性剤、p
H調整剤等を使用してもさしつかえない。
【0153】本発明において、水性エマルション製造工
程、コア粒子製造工程で採用される重合方法の具体例と
しては、例えば、 エチレン性不飽和単量体存在下重合開始剤を添加し
て重合する方法、 重合発熱が大きい場合に好適には、重合開始剤を添
加し、エチレン性不飽和単量体を滴下しながら重合する
方法、 重合開始剤をエチレン性不飽和単量体に溶解させ
て、これを滴下しながら重合する方法、 重合開始剤を適当な溶媒に溶解させて、エチレン性
不飽和単量体を、別々に同時に滴下し重合する方法、等
が挙げられる。
【0154】本発明において、保護コロイドを製造する
工程で採用される重合方法の具体例としては、例えば、 保護コロイドを構成する単量体を混合し、所望の重
合温度まで昇温してから重合開始剤を添加して重合する
方法、 重合発熱が大きい場合に好適には、重合開始剤を添
加し、保護コロイドを構成する単量体を滴下しながら重
合する方法、 重合開始剤を保護コロイドを構成する単量体に溶解
させて、これを滴下しながら重合する方法、 重合開始剤を適当な溶媒に溶解させて、これと保護
コロイドを構成する単量体を別々に同時に滴下し重合す
る方法、等が挙げられる。
【0155】本発明における、水性エマルション製造工
程においては、保護コロイド重合法を採用することがで
きるので、保護コロイドの存在下で重合することによ
り、重合安定性が向上し、界面活性剤の使用量を低減で
きるという特徴がある。
【0156】本発明における、シェル重合工程において
は、一般式(1)又は一般式(2)(化40)で表され
るペンダント基を有する、親水性のエチレン性不飽和単
量体を使用するので、重合安定性が向上し、界面活性剤
の使用量を低減できるという特長がある。界面活性剤の
使用量を低減できるので、再乳化性重合体の再乳化液を
被膜化したときには、被膜の耐水性が向上するという利
点がある。本発明に係る製造方法においては、後述の保
護コロイド(a1)の存在下にエチレン性不飽和単量体
(a1)の重合が行われるが、その重合は、エチレン性
不飽和単量体(a1)が保護コロイド(a1)の不存在
下で行われる通常の乳化重合法に準じて行うことができ
る。
【0157】[界面活性剤]本発明で採用される乳化重
合法において使用できる界面活性剤は、水系連続相中
に、実質的に持続的に均一に安定して形成するものであ
れば特に制限されない。界面活性剤は、通常の乳化重合
に用いられる公知の界面活性剤を、単独で又は混合し
て、好適に使用され得る。以下に、ノニオン系界面活性
剤、アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤の
具体例を列挙するが、これらは、単独で又は組み合わせ
て、好適に使用することができる。
【0158】 ノニオン系界面活性剤 本発明に係る製造方法の工程1(水性エマルション製造
工程)において用いるノニオン性界面活性剤の具体例と
しては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオ
キシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエ
チレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブ
ロックコポリマー等が挙げられ、これらは単独で又は混
合して用いることができる。
【0159】 アニオン系界面活性剤 本発明に係る製造方法の工程1(水性エマルション製造
工程)において用いるアニオン系界面活性剤の具体例と
しては、ドデシルベンゼンンスルホン酸ナトリウム、ラ
ウリル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジ
スルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸
ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ス
テアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、ナトリウム
ジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ステアリン酸
ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等が挙げられ、これ
らは単独で又は混合して用いることができる。
【0160】 カチオン系界面活性剤 本発明に係る製造方法の工程1(水性エマルション製造
工程)において用いるカチオン性界面活性剤の具体例と
しては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、
ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げ
られ、これらは単独で又は混合して用いることができ
る。
【0161】[界面活性剤の使用量]界面活性剤の使用
量は、反応系において実質的にミセルを形成する量、あ
るいは、水系連続相中に、モノマーを含む分散相を、実
質的に持続的に安定して均一に形成する量であれば特に
制限されない。一般的には、界面活性剤の種類や濃度
は、界面活性剤特有のCMC(臨界ミセル形成濃度)値
や、HLB(親水性疎水性バランス)値を考慮しつつ、
所望する粒子の特性(層構造、形態、粒子径、粒子径分
布等)を実質的に実現できる条件を適宜選択する。一般
的には、前記界面活性剤は、反応系に供給したモノマー
全部の合計重量を基準として、0.1〜10重量%使用
することができる。
【0162】[重合開始剤]本発明で採用される乳化重
合法において使用できる重合開始剤は、実質的に、重合
を開始する機能を発揮できれば特に制限されない。重合
開始剤の具体例としては、例えば、過酸化水素;過硫酸
アンモニウムや過硫酸カリウム等の過硫酸塩;クメンハ
イドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパー
オキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニト
リル等のアゾ化合物;あるいはこれらと鉄イオン等の金
属イオン及びナトリウムスルホキシレート、ホルムアル
デヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、亜硫酸水素ナトリウム、L
−アスコルビン酸等の還元剤との組み合わせによるレド
ックス開始剤等がある。これらの重合開始剤は、一般的
には、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、
0.01〜15重量部が使用される。
【0163】[分子量調節剤]本発明で採用される乳化
重合法においては、必要に応じて、t−ドデシルメルカ
プタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン
類、アリルスルフォン酸、メタアリルスルフォン酸及び
これらのソーダ塩等のアリル化合物などを分子量調節剤
として使用することも可能である。
【0164】[(共)重合体粒子(A)の特性]本発明
において、(共)重合体粒子(A)の重量平均分子量
は、通常、5万〜9000万が好ましい。
【0165】[(共)重合体粒子(A)の粒子径]
(共)重合体粒子(A)の粒子径に関しては、ウェット
状態でレーザー光散乱法で測定した場合の平均粒子径
は、50〜5000ナノメートルが好ましく、70〜3
000ナノメートルがより好ましく、100〜1000
ナノメートルがさらに好ましい。通常、前記粒子径を、
50ナノメートル以下に減少させていくに従って、
(共)重合体の凝集物(A’)を再乳化させた再乳化液
の粘度が急激に高くなり、使用時の作業性が低下してい
く傾向がみられると共に、粒子の比表面積も増加してい
くので、それに伴い(共)重合体の凝集物(A’)の再
乳化液自体の安定性も低下していく傾向がみられる。一
方、通常、前記粒子径を、5000ナノメートル以上に
増加させていくに従って、再乳化液の被膜形成能が低下
し、本願発明の粒子を添加して得られる組成物の耐水性
や強度が低下する傾向がみられる。
【0166】[コア粒子重合工程で製造される水性エマ
ルションの特性]本発明において、コア粒子重合工程で
製造される水性エマルションとしては、一般的には、室
温乾燥で被膜を形成する再乳化液を生成し得る再乳化性
重合体が有用である。このような再乳化性重合体の製造
においては、室温乾燥で被膜を形成する水性エマルショ
ンを使用することが有効である。特に、室温乾燥で被膜
を形成し得るためには、フォックスの式で求めたTgが
好ましくは約−40℃〜約+30℃、より好ましく約−
30℃〜約+20℃である。本発明の重合体はコアがシ
ェルよりTgが低いことが必要であり、その温度差が好
ましくは10℃以上、さらに好ましくは40℃以上であ
る。本発明において、コア粒子重合工程で採用される重
合方法は、小粒子径のものが得られやすく、粒子径の制
御が容易で、さらに安定性に優れた乳化重合法が最も好
ましい。
【0167】[凝集物製造工程で使用する鉱酸及び/又
は有機酸]凝集物製造工程において使用する鉱酸及び/
又は有機酸は、実質的に、(共)重合体粒子(A)を、
(共)重合体の凝集物(A’)として不溶化させる機能
を有するものであれば、特に制限されない。鉱酸及び有
機酸の具体例としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、り
ん酸、酢酸等が挙げられ、これらは1種あるいは2種以
上の併用が可能である。なお、添加量の低減が可能で塩
素を含まない硫酸が特に好ましい。
【0168】[凝集物製造工程における鉱酸及び/又は
有機酸の添加方法の態様]また凝集体を形成させるとき
にアルコールや電解質を添加し、凝析や塩析現象を併用
することによって凝集を起こしやすくすることも有効で
ある。電解質としては、少量で効果を発現するアルミニ
ウムイオンを有するものが好ましく、例えば硫酸アルミ
ニウム(硫酸バンド)等が挙げられる。鉱酸及び/又は
有機酸を添加するときのエマルション系の温度は、水性
エマルションや水性エマルションと保護コロイドの混合
物が、液相を維持できる温度範囲であれば、特に制限さ
れない。酸を添加するときのエマルション系の温度は、
通常、0〜100℃である。通常、高温で凝集させるほ
ど凝集塊が強固で大きくなり、固液分離が容易になる
が、凝集の際に粒子同士の融着が強くなり再乳化性が低
下する場合もある。一般的には、10℃から80℃が好
ましく、さらには20℃から60℃がより好ましい。ま
た酸を添加した後、系を昇温させて凝集を起こさせるこ
とも可能である。
【0169】[凝集物製造工程における鉱酸及び/又は
有機酸の添加量]鉱酸及び/又は有機酸の添加量は、通
常、水性エマルションや水性エマルションと保護コロイ
ドの混合物のpHが4以下になる量が好ましく、さらに
はpHが3以下になる量がより好ましい。一般的には、
酸の添加量が少ない場合には、凝集が不完全で固液分離
が困難となり、酸の添加量が多い場合には、(共)重合
体粒子(A)本来の特性が発揮されなかったり、固液分
離中及び/又は固液分離後に酸を洗浄によって除去する
ことが困難になる場合がある。
【0170】[凝集物製造工程における鉱酸及び/又は
有機酸の添加方法]鉱酸及び/又は有機酸の添加方法
は、特に制限されない。通常、酸をより均一に混合する
ために、また安全性の面から、酸は水溶液であることが
好ましいが、必ずしも水溶液には限定されない。通常は
50%以下の水溶液で添加することが好ましい。
【0171】[凝集物製造工程で使用する金属塩]凝集
物製造工程において使用する金属塩は、実質的に、
(共)重合体粒子(A)を、(共)重合体の凝集物
(A’)として不溶化させる機能を有するものであれ
ば、特に制限されない。金属塩の具体例としては、例え
ば、アルミニウム塩として硫酸アルミニウム、塩化アル
ミニウム、アンモニウムミョウバン、カリウムミョウバ
ン、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、鉄
塩として硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ポリ塩
化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜鉛塩として塩化亜鉛、硫
酸亜鉛、マグネシウム塩として酸化マグネシウム、炭酸
マグネシウム、硫酸マグネシウム、その他として水酸化
アルミニウム、水酸化鉄、塩化カルシウム、塩化ナトリ
ウム、チオ硫酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、ギ酸カ
ルシウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム等が挙げられ、
これらは1種あるいは2種以上の併用が可能である。な
お、金属イオンの価数が高いほど凝集力が強く少量で凝
集可能であることから、一般的には、アルミニウム塩や
鉄塩等の多価金属塩の使用が好ましい。さらに排水等の
安全性の面からもアルミニウム塩や鉄塩が好ましい。
【0172】[凝集物製造工程における金属塩の添加時
のpH]金属塩を添加するときのpHは、一般的には、
6から2にすることが好ましく、5から3にすることが
より好ましい。これは、酸性であるほど金属塩の使用量
の低減が可能で、また固液分離しやすい凝集体が生成さ
れ、収率が向上するためである。この際に、pH調整剤
としては、鉱酸及び/又は有機酸の使用が可能である。
pH調整剤の具体例としては、例えば、塩酸、硫酸、リ
ン酸、酢酸を挙げることができる。pH調整剤は、通
常、添加量の低減が可能で、塩素を含まない硫酸が好ま
しい。金属塩を添加するときのエマルション系の温度
は、工程2(水性エマルション製造工程)で得られた水
性エマルションが液相を維持できる温度範囲であれば、
特に制限されない。金属塩を添加するときのエマルショ
ン系の温度は、通常、0〜100℃であるが、高温で凝
集させるほど凝集塊が強固で大きくなり固液分離が容易
になることから、一般的には、10℃から80℃が好ま
しく、さらには20℃から60℃がより好ましい。
【0173】[凝集物製造工程における金属塩の添加
量]金属塩の添加量は、通常、(共)重合体粒子(A)
固形分を基準として、0.01から70重量%が好まし
く、1から50重量%がより好ましく、5から30重量
%がさらに好ましい。一般的には、金属塩の添加量が少
ない場合には、凝集が不完全で固液分離が困難となり、
金属塩の添加量が多い場合には、(共)重合体粒子
(A)本来の特性が発揮されなかったり、固液分離中及
び/又は固液分離後に金属塩を洗浄によって除去するこ
とが困難になるという問題がある。
【0174】[凝集物製造工程における金属塩の添加方
法]金属塩の添加方法は、特に制限されない。通常、金
属塩をより均一に混合するために、溶液として添加する
ことが好ましい。また、安全性の面から、金属塩溶液
は、水溶液であることが好ましいが、必ずしも水溶液に
は限定されない。金属塩の添加方法の態様としては、例
えば、 金属塩を固体の状態で水性エマルションに添加する
方法、 金属塩を一定以上溶解し得る溶媒に溶解させた溶液
とし、これを水性エマルションに添加する方法、等が挙
げられる。
【0175】[(共)重合体の凝集物(A’)の分離方
法・乾燥方法・粉砕方法]本発明の方法において固液分
離方法については、通常使用されている方法であれば特
に制限はないが、濾過、遠心分離、デカンテーションな
どの一般的に使用されている分離技術を使用することが
できる。さらに、分離された凝集体を乾燥して使用する
こともできる。乾燥方法についても特に限定はなく、例
えば、熱風乾燥、真空乾燥などで乾燥できる。乾燥によ
って凝集体がさらに凝集する場合も有り得る。通常、固
液分離した凝集体を、室温〜100℃の温度で完全に乾
燥させた再乳化性重合体は、硬く粘着性を有していない
ため粉砕が可能である。乾燥された再乳化性重合体の粉
砕方法は、特に限定はなく、通常の装置、例えばハンマ
ーミル、ジェットミル、ピンミル等を使用できる。本粉
砕は一次粒子まで粉砕する必要はなく、作業できる程度
の粉末にするだけで良い。また、再乳化性速度を上げる
ためには、より好ましくは1mm以下、より好ましくは
500μm以下、さらに好ましくは300μm以下の平
均粒子サイズ(直径)に粉砕することが望ましい。
【0176】[用途及び応用−水硬性セメント組成物]
本発明に係る再乳化性重合体は、水硬性セメントの改質
剤として好ましく使用され、水硬性セメントに対して、
0.5〜60重量%、好ましくは1〜40重量%、更に
好ましくは2〜20重量%の再乳化性重合体を混合する
ことにより、水硬性セメント組成物の改質をすることが
できる。
【0177】[用途及び応用−水硬性セメント打設方
法]水硬性セメントに対して0.5〜60重量%、好ま
しくは1〜40重量%、更に好ましくは2〜20重量%
に相当する、本発明に係る再乳化性重合体を、水と共に
混合し、打設することにより、優れた硬化セメント構造
体を得ることができる。本発明の再乳化性重合体をセメ
ント混和剤として使用すると下記の顕著な効果が発現す
る。 1.曲げ強度の向上 2.引張り強度の向上 3.接着性強度の向上(硬化したモルタルやコンクリー
ト、合板、金属、タイル等に対する接着強度が向上す
る) 4.水侵漬後の接着強度の維持 5.長期間に渡る接着強度の維持 6.水硬化セメント配合時の流動性が向上するため、減
水剤としての効果があり、使用水量の低減が可能とな
り、さらに水を減らすことにより強度が向上する。 7.再乳化性に優れるため、混和を短時間で行うことが
でき、混和したセメント中への空気の連行を防ぐことが
できる。 8.耐透水性の向上 9.耐摩耗性の向上
【0178】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下に実施例及び比較例を挙げて説明する。本出願明細書
において、実施例、製造例及び態様は、本出願に係る発
明の内容の理解を支援するためのものであって、その記
載によって、本発明がなんら限定される性質のものでは
ない。以下の記述の中で用いる「%」は、特に説明のな
い限り、「重量%」を意味する。
【0179】尚、以下の実施例及び比較例を記載した表
で用いた各種原料の略号を以下に示す。 MAm:メタクリルアミド、 AAm:アクリルア
ミド HEA:2−ヒドロキエチルアクリレート、HEMA:
2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、MAc:メタ
クリル酸 ST:スチレン、BA:n−ブチルアクリレート、n−
DM:n−ドデシルメルカプタン、MMA:メチルメタ
クリレート、t−DM:t−ドデシルメルカプタン、B
D:ブタジエン、AN:アクリロニトリル、AA:アク
リル酸、硫酸Al:硫酸アルミニウム、Cacl2:塩
化カルシウム、硫酸Fe:硫酸第二鉄 1.保護コロイド重合法により製造した水性エマルショ
ンを酸で凝集する実施例(アミド基を有するエチレン性
不飽和単量体を用いる系)。
【0180】[実施例1−1] 工程1(水性エマルション製造工程) 〈保護コロイド(a1)の調製〉攪拌機、還流コンデン
サー及び温度計を備えた反応容器に、純水785.0
g、メタクリルアミド150.0gを仕込み、攪拌下、
窒素雰囲気中、温度75℃に昇温し、この温度を維持し
た。メタクリルアミドが完全に溶解した後、5%過硫酸
アンモニウム水溶液45.0gを添加し、7時間、75
℃で保持した。これにアンモニア水と純水を添加して、
樹脂分=15%、pH=9の保護コロイド(B−1)を
得た。この保護コロイド(B−1)は、硫酸により、p
Hを3まで下げたところ、重合体が凝集した。
【0181】〈保護コロイド重合〉攪拌機、還流コンデ
ンサー及び温度計を備えた反応容器に、保護コロイド
(B−1)666.7gを仕込み、窒素雰囲気中、攪拌
下、温度80℃で過硫酸カリウム0.5gを添加した。
一方、下記組成の乳化液を準備し、この乳化液を上記の
保護コロイドに80℃で3時間で滴下し、80℃で3時
間攪拌した。 純水 40.0g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.1g スチレン 40.0g n−ブチルアクリレート 50.0g 2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 5.0g メタクリル酸 3.0g アクリルアミド 2.0g n−ドデシルメルカプタン 0.1g 得られた重合体にアンモニア水と純水を添加して、樹脂
分=10%、pH=9の水性エマルション(C−1)を
調製した。
【0182】 工程2(凝集物製造工程) (C−1)1000gに室温で5%硫酸水溶液をpHが
2.5になるまで添加すると凝集体が生成した。この凝
集体を濾過により固液分離したのち、80℃で残存水分
量が2%以下になるまで乾燥した(残存水分量はJIS
K5407.5の加熱減量の測定方法で測定された。
以下、本明細書記載の残存水分量は全てこの方法で測定
された値である)。乾燥した凝集体を粉砕することで再
乳化性重合体粉末を得た。
【0183】[実施例1−2]表1−1に示す組成で、
実施例1−1と同様の操作により、(B−2)を調製
し、(この保護コロイド(B−2)は、硫酸により、p
Hを3まで下げたところ、重合体が凝集した。)続いて
保護コロイド重合を行い、樹脂分=10%、pH=9の
水性エマルション(C−2)を調製し、同様な操作によ
り再乳化性重合体粉末を得た。
【0184】[実施例1−3]表1−1に示す組成で、
実施例1−1と同様の操作により、(B−3)を調製
し、(この保護コロイド(B−3)は、硫酸により、p
Hを3まで下げたところ、重合体が凝集した。)続いて
保護コロイド重合を行い、樹脂分=10%、pH=9の
水性エマルション(C−3)を調製し、同様な操作によ
り再乳化性重合体粉末を得た。
【0185】[実施例1−4]表1−1に示す組成で、
実施例1−1と同様の操作により、(B−4)を調製
し、(この保護コロイド(B−4)は、硫酸により、p
Hを3まで下げたところ、重合体が凝集した。)続いて
保護コロイド重合を行い、樹脂分=10%、pH=9の
水性エマルション(C−4)を調製し、同様な操作によ
り再乳化性重合体粉末を得た。
【0186】[実施例1−5]表1−1に示す組成で、
実施例1−1と同様の操作により、(B−5)を調製
し、(この保護コロイド(B−5)は、硫酸により、p
Hを3まで下げたところ、重合体が凝集した。)続いて
保護コロイド重合を行い、樹脂分=10%、pH=9の
水性エマルション(C−5)を調製し、同様な操作によ
り再乳化性重合体粉末を得た。
【0187】[実施例1−6]表1−1に示す組成で、
実施例1−1と同様の操作により、(B−6)を調製
し、(この保護コロイド(B−6)は、硫酸により、p
Hを3まで下げたところ、重合体が凝集した。)続いて
保護コロイド重合を行い、樹脂分=10%、pH=9の
水性エマルション(C−6)を調製し、同様な操作によ
り再乳化性重合体粉末を得た。
【0188】[実施例1−7]表1−1に示す組成で、
実施例1−1と同様の操作により、(B−7)を調製
し、(この保護コロイド(B−7)は、硫酸により、p
Hを3まで下げたところ、重合体が凝集した。)続いて
保護コロイド重合を行い、樹脂分=10%、pH=9の
水性エマルション(C−7)を調製し、同様な操作によ
り再乳化性重合体粉末を得た。
【0189】[実施例1−8]表1−1に示す組成で、
実施例1−1と同様の操作により、(B−8)を調製
し、(この保護コロイド(B−8)は、硫酸により、p
Hを3まで下げたところ、重合体が凝集した。)続いて
保護コロイド重合を行い、樹脂分=10%、pH=9の
水性エマルション(C−8)を調製し、同様な操作によ
り再乳化性重合体粉末を得た。
【0190】[実施例1−9]表1−1に示す組成で、
実施例1−1と同様の操作により、(B−1)を調製
し、続いて次に示す条件で保護コロイド重合を行い、樹
脂分=10%、pH=9の水性エマルション(C−9)
を調製し、同様な操作により再乳化性重合体粉末を得
た。 〈保護コロイド重合〉攪拌機、還流コンデンサー及び温
度計を備えた反応容器に、保護コロイド(B−1)40
0.0g及び純水210gを仕込み、窒素雰囲気中、攪
拌下、温度80℃で過硫酸カリウム0.7gを添加し
た。一方、下記組成の乳化モノマーを準備し、上記の水
溶液に3時間で滴下し、熟成を3時間行った。 純水 56.0 g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.14g スチレン 56.0 g n−ブチルアクリレート 70.0 g 2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 7.0 g メタクリル酸 4.2 g アクリルアミド 2.8 g n−ドデシルメルカプタン 0.14g [実施例1−10]実施例1−4で凝集体を得るために
使用した5%硫酸水溶液の代わりに、5%塩酸水溶液を
添加した以外は実施例1−4と同様にして再乳化性重合
体粉末を得た。
【0191】[実施例1−11]実施例4で凝集体を得
るために使用した5%硫酸水溶液の代わりに、5%酢酸
水溶液を添加した以外は実施例1−4と同様にして再乳
化性重合体粉末を得た。 [実施例1−12]実施例1−4で凝集体を濾過分別す
る際に、充分な純水で洗浄を繰り返した以外は実施例1
−4と同様にして再乳化性重合体粉末を得た。これと実
施例1−4の再乳化性重合体粉末とをそれぞれ1%水酸
化ナトリウム水溶液に添加して再乳化液を得、これらを
ガラス板に塗布し3日間室温で乾燥させた膜を1日水に
浸漬し吸水率を測定したところ、実施例1−12の方が
吸水率が低く耐水性に優れていた。
【0192】[実施例1−13]実施例1−1で使用し
た乳化液組成を表1−4に記載のものに変更し、その他
は実施例1−1と同様な操作で水性エマルション(C−
10)を得、さらにこれから再乳化性重合体粉末を得
た。 純水 40.0g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.1g メチルメタアクリレート 50.0g ブチルアクリレート 40.0g 2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 5.0g メタクリル酸 3.0g アクリルアミド 2.0g n−ドデシルメルカプタン 0.1g [実施例1−14]保護コロイド(B−1)を保護コロ
イド(B−4)に変更し、実施例1−13と同様な方法
で水性エマルション(C−11)を得、さらにこれから
再乳化性重合体粉末を得た。
【0193】[実施例1−15]攪拌機付きオートクレ
ーブに、保護コロイド(B−1)666.7gを仕込
み、窒素雰囲気中、攪拌下、温度70℃で過硫酸カリウ
ム1.0gを添加した。一方、下記組成の乳化液を準備
し、70℃で上記の保護コロイド6時間で滴下し、さら
に同温度で攪拌を行った。 純水 40.0g ラウリル硫酸ナトリウム 0.3g スチレン 28.0g ブタジエン 70.0g アクリル酸 2.0g t−ドデシルメルカプタン 0.3g 得られた重合体にアンモニア水と純水を添加して、固形
分=10%、pH=9の水性エマルション(C−12)
を調製した。(C−12)1000gに室温で5%硫酸
水溶液をpHが2.5になるまで添加すると凝集体が生
成した。この凝集体を濾過により固液分離したのち、8
0℃で残存水分量が2%以下になるまで乾燥した。乾燥
した凝集体を粉砕することで再乳化性重合体粉末を得
た。
【0194】[比較例1−1]実施例1−1で使用した
保護コロイド(B−1)を純水650.0gで置き換
え、それ以外は実施例1−1と同様な操作で、保護コロ
イド(B−1)を含有しない水性エマルジョン重合体
(C−13)を得、実施例1−1と同様に5%硫酸水溶
液をpHが2.5になるまで添加したが、どれも凝集体
が生成しなかった。
【0195】[比較例1−2]実施例1−13で使用し
た保護コロイド(B−1)を純水650.0gで置き換
え、それ以外は実施例1−13と同様な操作で、保護コ
ロイド(B−1)を含有しない水性エマルジョン重合体
(C−14)を得、実施例1−13と同様に5%硫酸水
溶液をpHが2.5になるまで添加したが、どれも凝集
体が生成しなかった。
【0196】[比較例1−3]実施例15で使用した保
護コロイド(B−1)を純水650.0gで置き換え、
それ以外は実施例1−15と同様な操作で、保護コロイ
ド(B−1)を含有しない水性エマルジョン重合体(C
−14)を得、実施例1−15と同様に5%硫酸水溶液
をpHが2.5になるまで添加したが、どれも凝集体が
生成しなかった。
【0197】[比較例1−4]水性エマルション(C−
1)〜(C−12)について、それぞれを酸による凝析
ではなく、入口空気温度120℃、出口空気温度60℃
で噴霧乾燥することによって再乳化性重合体粉末を得
た。どの混合物も乾燥塔内壁に多量の付着物が生じ、収
率は30%以下であり、再乳化性も著しく劣っていた。
【0198】[評価例1−1]水性エマルションの固形
分重量を(M1)とし、濾過後に80℃で乾燥した凝集
体の重量(M2)とその残存水分量(A(%))から、
以下の式で収率を算出した。 収率(%)={(M2−M2×A/100)/M1}×1
00 収率を以下のように等級付けた。 ◎ : 収率が95%以上 ○ : 収率が90%以上〜95%未満 △ : 収率が30〜90% × : 収率が30%以下 [評価例1−2]再乳化性重合体粉末を1mm以下の粒
子サイズになるまで粉砕し、これを固形分10.00%
になるように1%水酸化ナトリウム水溶液に添加して3
0分間充分攪拌し、その後24時間放置し、その上澄み
液を分取し、さらに不溶解分を除去するために、この溶
液を300メッシュ(50μm)の濾布で濾過し再乳化
液を調製した。また、比較例1−4の噴霧乾燥によって
得られた再乳化性重合体は既に粉末状で得られるため、
これらを16メッシュ(1mm)のふるいにかけ1mm
以下の粒子サイズの粉末について、上記と同様の方法で
再乳化液を調製した。これらの再乳化液の外観、再乳化
性、常温造膜性について以下のように評価した。
【0199】 再乳化性:再乳化液の固形分をJIS
K5407.4.(加熱残分の測定方法)によって測
定し、これから下記の計算式で再乳化率を測定した。 再乳化率(%)=(再乳化液の固形分(%)/10.0
0)×100 再乳化率を以下のように等級付けた。 ◎ : 再乳化率が100% 〜80%以上である。 ○ : 再乳化率が 80%未満〜40%以上である。 △ : 再乳化率が 40%未満〜10%以上である。 × : 再乳化率が 10%未満〜 0%である。 外観:再乳化液の外観を目視で評価した。 常温造膜性:再乳化液をガラス板に塗布し、常温で
1日乾燥した被膜の外観を目視で評価し、以下のように
等級付けた。 ○ : 被膜が形成される。 △ : 被膜にクラックが入る。 × : 被膜が形成されない。
【0200】[評価例1−3]再乳化性重合体粉末を、
80メッシュ(200μm)のふるい上の残分が5%以
下になるまで粉砕し、これを下記の割合でセメントに配
合し、その練り時間、作業性、曲げ強度、圧縮強度を試
験した。ただし、比較例1−4の噴霧乾燥によって得ら
れた再乳化性重合体は既に粉末状で得られるため、これ
らを80メッシュ(200μm)のふるい上の残分が5
%以下になるように分級した粉末について、上記と同様
の方法に試験した。 ポルトランドセメント 1000g 豊浦標準砂 2000g 固体消泡剤 5g 再乳化性重合体粉末 100g 上記のドライミックスにフロー値が170±10mmに
なるように水を混合した。養生は湿空(20℃、80%
R.H.以上)2日後、20℃、65%R.H.の条件で行
った。試験方法を以下に示す。 練り時間:ドライミックスに水を混ぜてから均一な
湿潤状態に練り上がるまでに必要な時間を測定した。 コテ作業性:コテで表面ならしを行うときの作業性
を以下のように等級付けた。 ◎ : 優 ○ : 良 △ : 普通 × : 悪 曲げ強度:材令7日、28日のものについてJIS
A1172に準じて試験した。 圧縮強度:材令7日、28日のものについてJIS
A1172に準じて試験した。また、ブランクとして
再乳化性重合体粉末を使用していないものについても試
験した。
【0201】以上の実施例、比較例で使用された保護コ
ロイドの組成を表11−に、水性エマルションの組成を
表1−2〜表1−4に、再乳化性重合体粉末の組成及び
評価結果を表1−5〜表1−15に示す。
【0202】
【表1】
【0203】
【表2】
【0204】
【表3】
【0205】
【表4】
【0206】
【表5】
【0207】
【表6】
【0208】
【表7】
【0209】
【表8】
【0210】
【表9】
【0211】
【表10】
【0212】
【表11】
【0213】
【表12】
【0214】
【表13】
【0215】
【表14】
【0216】
【表15】
【0217】
【表16】 2.コア/シェル重合法により製造した水性エマルショ
ンを酸で凝集する実施例(アミド基を有するエチレン性
不飽和単量体を用いる系) [実施例2−1] 工程1(コア粒子重合工程)の水性エマルションの
調製 以下の操作により、水性エマルション(A−1)を調製
した。攪拌機、還流コンデンサー及び温度計を備えた反
応容器に、純水785g、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム(DBSと略す)3gよりなる水溶液を仕込
み、窒素雰囲気中、攪拌下、温度80℃で過硫酸カリウ
ム5gを添加した。一方、下記組成の乳化液を準備し、
この乳化液を80℃で上記の水溶液に3時間で滴下し、
その後80℃で3時間保持した。 純水 400g DBS 1g スチレン 400g n−ブチルアクリレート 500g 2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 50g メタクリル酸 30g アクリルアミド 20g n−ドデシルメルカプタン 1g 得られた水性エマルションに、アンモニア水と純水を添
加して、pH=9、樹脂分=45%に調製した。この水
性エマルションを(A−1)とする。
【0218】 工程2(シェル重合工程) 攪拌機、還流コンデンサー及び温度計を備えた反応容器
に、水性エマルション(A−1)222.2g、純水6
47.8g、メタクリルアミド100.0gを仕込み、攪
拌下、窒素雰囲気中、温度75℃に昇温し、この温度を
維持した。メタクリルアミドが完全に溶解した後、5%
過硫酸アンモニウム水溶液30.0gを添加し、7時
間、75℃で保持した。これにより樹脂分=20%、p
H=9、の水性エマルションが得られた。この水性エマ
ルションを(C−1)とする。
【0219】 工程3(凝集物製造工程) 水性エマルション(C−1)を固形分10%になるよう
に純水で希釈し、希釈品1000gに室温で5%硫酸水
溶液をpHが2.5になるまで添加すると凝集体が生成
した。この凝集体を濾過により固液分離したのち、80
℃で残存水分量が2%以下になるまで乾燥した。乾燥し
た凝集体を粉砕することで再乳化性重合体粉末を得た。
【0220】[実施例2−2〜9] 工程1(コア粒子重合工程)の水性エマルションの
調製 実施例2−1と同様に、水性エマルション(A−1)を
得、た。 工程2(シェル重合工程) 表2−2に示す組成で水性エマルション(C−2〜9)
を調製した。 工程3(凝集物製造工程) 水性エマルション(C−2〜9)から、実施例2−1と
同様な操作により、再乳化性重合体粉末を得た。
【0221】[実施例2−10] 工程1(コア粒子重合工程)の水性エマルションの
調製 表2−1に示すモノマー組成で、水性エマルション(A
−1)と同様な方法でpH=9、固形分=45%の水性
エマルション(A−2)を得た。 工程2(シェル重合工程) 表2−3に示す組成で水性エマルション(C−10)を
調製した。 工程3(凝集物製造工程) 水性エマルション(C−10)から、実施例2−1と同
様な操作により、再乳化性重合体粉末を得た。
【0222】[実施例2−11] 工程1(コア粒子重合工程)の水性エマルションの
調製 実施例2−10と同様に、水性エマルション(A−2)
を得た。 工程2(シェル重合工程) 表2−3に示す組成で水性エマルション(C−11)を
調製した。 工程3(凝集物製造工程) 水性エマルション(C−11)から、実施例2−1と同
様な操作により、再乳化性重合体粉末を得た。
【0223】[実施例2−12] 工程1(コア粒子重合工程)の水性エマルションの
調製 以下の操作により、水性エマルション(A−3)を調製
した。攪拌機付きオートクレーブに、純水790g、ラ
ウリル硫酸ナトリウム2g、重炭酸ソーダ1gよりなる
を仕込み、窒素雰囲気中、攪拌下、温度70℃で過硫酸
カリウム10gを添加した。一方、下記組成の乳化液を
準備し、上記の水溶液に70℃で6時間かけて滴下し、
同温度で保持した。 純水 400g ラウリル硫酸ナトリウム 3g スチレン 280g ブタジエン 700g アクリル酸 20g t−ドデシルメルカプタン 3g 得られたSBRラテックスに、アンモニア水と純水を添
加して、pH=9、固形分=45%の水性エマルション
(A−3)を調製した。 工程2(シェル重合工程) 表2−3に示す組成で水性エマルション(C−12)を
調製した。 工程3(凝集物製造工程) 水性エマルション(C−12)から、実施例2−1と同
様な操作により、再乳化性重合体粉末を得た。
【0224】[実施例2−13]実施例2−4で凝集体
を得るために使用した5%硫酸水溶液の代わりに、5%
塩酸水溶液を添加した以外は実施例2−4と同様にして
再乳化性重合体粉末を得た。
【0225】[実施例2−14]実施例2−4で凝集体
を得るために使用した5%硫酸水溶液の代わりに、5%
酢酸水溶液を添加した以外は実施例2−4と同様にして
再乳化性重合体粉末を得た。
【0226】[実施例2−15]実施例2−4で凝集体
を濾過分別する際に、充分な純水で洗浄を繰り返した以
外は実施例2−4と同様にして再乳化性重合体粉末を得
た。これと実施例2−4の再乳化性重合体粉末とをそれ
ぞれ1%水酸化ナトリウム水溶液に添加して再乳化液を
得、これらをガラス板に塗布し3日間室温で乾燥させた
膜を1日水に浸漬し、膜の吸水率を測定したところ実施
例2−15の方が低く耐水性に優れていた。
【0227】[比較例2−1〜2−3]水性エマルショ
ン(A−1)〜(A−3)のそれぞれを固形分10%に
純水で希釈した後、希釈品1000gに室温で5%硫酸
水溶液をpHが2.5になるまで添加したが、どれも凝
集体が生成しなかった。
【0228】[比較例2−4]水性エマルション(C−
1)〜(C−12)それぞれを、入口空気温度120
℃、出口空気温度60℃で噴霧乾燥することによって再
乳化性重合体粉末を得た。どの水性エマルションも乾燥
塔内壁に多量の付着物が生じ、収率は30%以下であ
り、再乳化性も著しく劣っていた。
【0229】[評価例2−1]評価例1−1と同様にし
て収率を算出し等級付けた。
【0230】[評価例2−2〜3]再乳化性重合体粉末
と評価例1−2〜3と同様にして再乳化液を調製した。
また、比較例2−4の噴霧乾燥によって得られた再乳化
性重合体は既に粉末状で得られるため、これらを16メ
ッシュ(1mm)のふるいにかけ1mm以下の粒子サイ
ズの粉末について、上記と同様の方法で再乳化液を調製
した。
【0231】これらの再乳化液の外観、再乳化性、常温
造膜性については評価例1−2記載の方法で、また評価
例1−3記載の方法でセメント配合物を調製し評価し
た。
【0232】ただし、比較例2−4の噴霧乾燥によって
得られた再乳化性重合体は既に粉末状で得られるため、
これらを80メッシュ(200μm)のふるい上の残分
が5%以下になるように分級した粉末について、上記と
同様の方法に試験した。
【0233】以上の実施例、比較例で使用された工程1
で製造される水性エマルションの組成を表2−1に、工
程2で製造される水性エマルションの組成を表2−2、
表2−3に、再乳化性重合体粉末の組成及び評価結果を
表2−4〜表2−13に示す。
【0234】
【表17】
【0235】
【表18】
【0236】
【表19】
【0237】
【表20】
【0238】
【表21】
【0239】
【表22】
【0240】
【表23】
【0241】
【表24】
【0242】
【表25】
【0243】
【表26】
【0244】
【表27】
【0245】
【表28】
【0246】
【表29】 3.水性エマルション/保護コロイド混合物を酸で凝集
する実施例 (アミド基を有するエチレン性不飽和単量体を用いる
系) [実施例3−1] 水性エマルション製造工程 以下の操作により、水性エマルション(A−1)を調製
した。攪拌機、還流コンデンサー及び温度計を備えた反
応容器に、純水785g、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム(DBSと略す)3gからなる水溶液を仕込
み、窒素雰囲気中、攪拌下、温度80℃で過硫酸カリウ
ム5gを添加した。一方、下記組成の乳化液を準備し、
ころを温度80℃で上記の水溶液に3時間で滴下し、同
温度で3時間保った。 純水 400g DBS 1g スチレン 400g n−ブチルアクリレート 500g 2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 50g メタクリル酸 30g アクリルアミド 20g n−ドデシルメルカプタン 1g 得られた水性エマルションに、アンモニア水と純水を添
加して、pH=9、樹脂分=45%に調製した。この水
性エマルションを(A−1)とする。
【0247】 保護コロイド製造工程 以下の操作により、保護コロイド(a1)を調製した。
攪拌機、還流コンデンサー及び温度計を備えた反応容器
に、純水850g、メタクリルアミド100.0gを仕
込み、攪拌下、窒素雰囲気中、温度75℃に昇温し、こ
の温度を維持した。メタクリルアミドが完全に溶解した
後、5%過硫酸アンモニウム水溶液30.0gを添加
し、7時間、75℃で保持した。これにアンモニア水と
純水を添加して、樹脂分=10%、pH=9の保護コロ
イド(B−1)を得た。
【0248】 混合工程 水性エマルション(A−1)と保護コロイド(B−1)
をソリッド比で50/50になるように混合攪拌した。
【0249】 凝集物製造工程 混合工程で製造した、水性エマルション(A−1)と保
護コロイド(B−1)の混合物を、樹脂分10%となる
ように純水で希釈し、さらにこの希釈品1000gに室
温で5%硫酸をpHが2.5になるまで添加すると凝集
体が生成した。この凝集体を濾過により固液分離したの
ち、80℃で残存水分量が2%以下になるまで乾燥し
た。乾燥した凝集体を粉砕することで再乳化性重合体粉
末を得た。
【0250】[実施例3−2〜9] 水性エマルション製造工程 実施例3−1と同様に、表3ー1の組成の水性エマルシ
ョン(A−1〜3)を調製した。 保護コロイド製造工程 実施例3−1と同様な操作で、表3−2に示す組成で保
護コロイド(B−2〜8)を調製した。 混合工程 水性エマルション(A−1〜3)と保護コロイド(B−
2〜8)をソリッド比で50/50または70/30に
なるように混合攪拌した。 凝集物製造工程 実施例3−1と同様な操作で、再乳化性重合体粉末を得
た。
【0251】[実施例3−10]実施例3−4で凝集体
を得るために使用した5%硫酸水溶液の代わりに、5%
塩酸水溶液を添加した以外は実施例3−4と同様にして
再乳化性重合体粉末を得た。
【0252】[実施例3−11]実施例3−4で凝集体
を得るために使用した5%硫酸水溶液の代わりに、5%
酢酸水溶液を添加した以外は実施例4と同様にして再乳
化性重合体粉末を得た。
【0253】[実施例3−12]実施例3−4で凝集体
を濾過分別する際に、充分な純水で洗浄を繰り返した以
外は実施例3−4と同様にして再乳化性重合体粉末を得
た。これと実施例3−4の再乳化性重合体粉末とをそれ
ぞれ1%水酸化ナトリウム水溶液に添加して再乳化液を
得、これらをガラス板に塗布し3日間室温で乾燥させた
膜を水に浸漬したところ、実施例3−12の方が耐水性
に優れていた。
【0254】[実施例3−13]水性エマルション(A
−2)に保護コロイド(B−1)をソリッド比で50/
50になるように混合攪拌したのち、実施例3−1と同
様な操作で再乳化性重合体粉末を得た。
【0255】[実施例3−14]水性エマルション(A
−2)に保護コロイド(B−4)をソリッド比で50/
50になるように混合攪拌したのち、実施例3−1と同
様な操作で再乳化性重合体粉末を得た。
【0256】[実施例3−15] 水性エマルション製造工程 以下の操作により、水性エマルション(A−3)を調製
した。攪拌機付きオートクレーブに、純水790g、ラ
ウリル硫酸ナトリウム2g部、重炭酸ソーダ1gを仕込
み、窒素雰囲気中、攪拌下、温度70℃で過硫酸カリウ
ム10gを添加した。一方、下記組成の乳化モノマーを
準備し、上記の水溶液に6時間かけて滴下し、熟成を行
った。 純水 400g ラウリル硫酸ナトリウム 3g スチレン 280g ブタジエン 700g アクリル酸 20g t−ドデシルメルカプタン 3g 得られたSBRラテックスに、アンモニア水と純水を添
加して、pH=9、固形分=45%の水性エマルション
(A−3)を調製した。 保護コロイド製造工程 実施例3−1と同様な操作で、表3−2に示す組成で保
護コロイド(B−1)を調製した。 混合工程 水性エマルション(A−3)と保護コロイド(B−1)
をソリッド比で50/50になるように混合攪拌した。 凝集物製造工程 実施例3−4で凝集体を濾過分別する際に、充分な純水
で洗浄を繰り返した以外は実施例3−4と同様にして再
乳化性重合体粉末を得た。
【0257】[比較例3−1〜3−3]水性エマルショ
ン(A−1)〜(A−3)のそれぞれを固形分10%に
純水で希釈した後、希釈品1000gに室温で5%硫酸
水溶液をpHが2.5になるまで添加したが、どれも凝
集体が生成しなかった。
【0258】[比較例3−4]実施例3−1〜3−9及
び実施例3−13〜3−15で調製した水性エマルショ
ンと保護コロイドの混合物それぞれを、入口空気温度1
20℃、出口空気温度60℃で噴霧乾燥することによっ
て再乳化性重合体粉末を得た。どの混合物も乾燥塔内壁
に多量の付着物が生じ、収率は30%以下であり、再乳
化性も著しく劣っていた。
【0259】[評価例3−1]評価例1−1と同様にし
て収率を算出し等級付けた。
【0260】[評価例3−2〜3]再乳化性重合体粉末
から評価例1−2〜3と同様にして再乳化液を調製し
た。また、比較例2−4の噴霧乾燥によって得られた再
乳化性重合体は既に粉末状で得られるため、これらを1
6メッシュ(1mm)のふるいにかけ1mm以下の粒子
サイズの粉末について、上記と同様の方法で再乳化液を
調製した。
【0261】これらの再乳化液の外観、再乳化性、常温
造膜性については評価例1−2記載の方法で、また評価
例1−3記載の方法でセメント配合物を調製し評価し
た。
【0262】ただし、比較例3−4の噴霧乾燥によって
得られた再乳化性重合体は既に粉末状で得られるため、
これらを16メッシュ(1mm)のふるいにかけ1mm
以下の粒子サイズの粉末について、上記と同様の方法で
再乳化液を調製した。
【0263】以上の実施例、比較例で使用された水性エ
マルションの組成を表1に、保護コロイドの組成を表3
−2に、再乳化性重合体粉末の組成及び評価結果を表3
−3〜表3−14に示す。
【0264】
【表30】
【0265】
【表31】
【0266】
【表32】
【0267】
【表33】
【0268】
【表34】
【0269】
【表35】
【0270】
【表36】
【0271】
【表37】
【0272】
【表38】
【0273】
【表39】
【0274】
【表40】
【0275】
【表41】
【0276】
【表42】
【0277】
【表43】 4.保護コロイド重合法により製造した水性エマルショ
ンを多価金属塩で凝集する実施例 (アミド基を有するエチレン性不飽和単量体を用いる
系) [実施例4−1] 工程1(水性エマルション製造工程) 〈保護コロイド(a1)の調製〉攪拌機、還流コンデン
サー及び温度計を備えた反応容器に、純水785.0
g、メタクリルアミド150.0gを仕込み、攪拌下、
窒素雰囲気中、温度75℃に昇温し、この温度を維持し
た。メタクリルアミドが完全に溶解した後、5%過硫酸
アンモニウム水溶液45.0gを添加し、7時間、75
℃で保持し水溶液を得た。これにアンモニア水と純水を
添加して、樹脂分=15%、pH=9の保護コロイド
(B−1)を得た。 〈保護コロイド重合〉攪拌機、還流コンデンサー及び温
度計を備えた反応容器に、保護コロイド(B−1)66
6.7gを仕込み、窒素雰囲気中、攪拌下、温度80℃
で過硫酸カリウム0.5gを添加した。一方、下記組成
の乳化液を準備し、これを80℃で上記の水溶液に3時
間で滴下し、さらに3時間保持した。 純水 40.0g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.1g スチレン 40.0g n−ブチルアクリレート 50.0g 2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 5.0g メタクリル酸 3.0g アクリルアミド 2.0g n−ドデシルメルカプタン 0.1g 得られた重合体にアンモニア水と純水を添加して、樹脂
分=10%、pH=9の水性エマルション(C−1)を
調製した。 工程2(凝集物製造工程) (C−1)1000gに室温で45%硫酸アルミニウム
水溶液を50g添加すると凝集体が生成した。この凝集
体を濾過により固液分離したのち、80℃で残存水分量
が2%以下になるまで乾燥した。以下、残存水分量は全
てこの方法で測定された値である)。乾燥した凝集体を
粉砕することで再乳化性重合体粉末を得た。
【0278】[実施例4−2〜8] 工程1(水性エマルション製造工程) 〈保護コロイド(a1)の調製〉実施例4−1と同様な
操作により、表4−1に示す組成で、保護コロイド(B
−2)〜(B−8)を調製した。 〈保護コロイド重合〉実施例4−1と同様な操作によ
り、実施例4−1の保護コロイド(B−1)のかわり
に、保護コロイド(B−2)〜(B−8)にそれぞれに
置き換えて、水性エマルション(C−2)〜(C−8)
を得た。 工程2(凝集物製造工程) 実施例4−1と同様な操作により、実施例4−1の水性
エマルション(C−1)のかわりに、水性エマルション
(C−2)〜(C−8)にそれぞれに置き換えて、再乳
化性重合体粉末を得た。
【0279】[実施例4−9] 工程1(水性エマルション製造工程) 〈保護コロイド(a1)の調製〉実施例4−1と同様な
操作により、保護コロイド(B−1)を調製した。 〈保護コロイド重合〉攪拌機、還流コンデンサー及び温
度計を備えた反応容器に、保護コロイド(B−1)40
0.0g及び純水210gを仕込み、窒素雰囲気中、攪
拌下、温度80℃で過硫酸カリウム0.7gを添加し
た。一方、下記組成の乳化液を準備し、上記の水溶液に
3時間で滴下し、熟成を3時間行った。 純水 56.0 g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.14g スチレン 56.0 g n−ブチルアクリレート 70.0 g 2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 7.0 g メタクリル酸 4.2 g アクリルアミド 2.8 g n−ドデシルメルカプタン 0.14g 得られた重合体にアンモニア水と純水を添加して、樹脂
分=10%、pH=9の水性エマルション(C−9)を
調製した。 工程2(凝集物製造工程) (C−9)1000gに室温で45%硫酸アルミニウム
水溶液を50g添加させると凝集体が生成した。この凝
集体を濾過により固液分離したのち、80℃で残存水分
量が2%以下になるまで乾燥した。乾燥した凝集体を粉
砕することで再乳化性重合体粉末を得た。
【0280】[実施例4−10]実施例4−4で凝集体
を得るために使用した45%硫酸アルミニウム水溶液の
代わりに、10%硫酸第二鉄水溶液を225g添加した
以外は、実施例4−4と同様にして再乳化性重合体粉末
を得た。
【0281】[実施例4−11]水性エマルションの温
度を70℃にしてから45%硫酸アルミニウムを添加し
た以外は、実施例4−4と同様な操作で再乳化性重合体
粉末を得た。実施例4−4と比較して凝集塊が大きく濾
過による固液分離時間が1/10に短縮され、作業性が
向上した。
【0282】[実施例4−12]実施例4−4で凝集体
を得るために使用した45%硫酸アルミニウム水溶液の
代わりに、10%塩化カルシウム水溶液を225g添加
した以外は、実施例4−4と同様な操作で再乳化性重合
体粉末を得た。
【0283】[実施例4−13]実施例4−12で、多
価金属塩を添加する前に硫酸で水性エマルションのpH
を4に調整し、その後、多価金属塩として10%塩化カ
ルシウム水溶液を225g添加した以外は、実施例4−
12と同様な操作で再乳化性重合体粉末を得た。実施例
4−12と比較して凝集塊が大きく濾過による固液分離
時間が1/3に短縮され、作業性が向上した。
【0284】[実施例4−14]実施例4−4で添加し
た45%硫酸アルミニウムの量を6.5gにした以外
は、実施例4−4と同様にして再乳化性重合体粉末を得
た。
【0285】[実施例4−15]実施例4−4で凝集体
を濾過分別する際に、充分な純水で洗浄を繰り返した以
外は実施例4−4と同様にして再乳化性重合体粉末を得
た。これと実施例4−4の再乳化性重合体粉末とをそれ
ぞれ1%水酸化ナトリウム水溶液に添加して再乳化液を
得、これらをガラス板に塗布し3日間室温で乾燥させた
膜を1日水に浸漬し、膜の吸水率を測定したところ実施
例4−15の方が吸水率が低く耐水性に優れていた。
【0286】[実施例4−16] 工程1(水性エマルション製造工程) 〈保護コロイド(a1)の調製〉実施例4−1と同様な
操作により、保護コロイド(B−1)を調製した。 〈保護コロイド重合〉実施例4−1で使用した乳化液を
以下のように変更し、実施例4−1と同様な操作で水性
エマルション(C−10)を得、さらにこれから再乳化
性重合体粉末を得た。 純水 40.0g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.1g メチルメタアクリレート 50.0g ブチルアクリレート 40.0g 2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 5.0g メタクリル酸 3.0g アクリルアミド 2.0g n−ドデシルメルカプタン 0.1g 工程2(凝集物製造工程) 実施例4−1と同様に、再乳化性重合体粉末を得た。
【0287】[実施例4−17]保護コロイド(B−
1)を保護コロイド(B−4)に変更し、実施例4−1
6と同様な方法で水性エマルション(C−11)を得、
さらにこれから再乳化性重合体粉末を得た。
【0288】[実施例4−18] 工程1(水性エマルション製造工程) 〈保護コロイド(a1)の調製〉実施例4−1と同様な
操作により、保護コロイド(B−1)を調製した。 〈保護コロイド重合〉攪拌機付きオートクレーブに、保
護コロイド(B−1)666.7gを仕込み、窒素雰囲
気中、攪拌下、温度70℃で過硫酸カリウム1.0gを
添加した。一方、下記組成の乳化液を準備し、上記の水
溶液に6時間で滴下し、熟成を行った。 純水 40.0g ラウリル硫酸ナトリウム 0.3g スチレン 28.0g ブタジエン 70.0g アクリル酸 2.0g t−ドデシルメルカプタン 0.3g 得られた重合体にアンモニア水と純水を添加して、樹脂
分=10%、pH=9の水性エマルション(C−12)
を調製した。 工程2(凝集物製造工程) (C−12)1000gに室温で45%硫酸アルミニウ
ム水溶液を50g添加させると凝集体が生成した。この
凝集体を濾過により固液分離したのち、80℃で残存水
分量が2%以下になるまで乾燥した。乾燥した凝集体を
粉砕することで再乳化性重合体粉末を得た。
【0289】[比較例4−1]実施例4−1で使用した
保護コロイド(B−1)を純水650.0gで置き換
え、それ以外は実施例4−1と同様な操作で、保護コロ
イド(B−1)を含有しない水性エマルジョン重合体
(C−13)を得、これから再乳化性重合体粉末を得よ
うとした。しかし、乾燥後の凝集体が柔らかいために粉
砕が不可能であった。再乳化性の評価は粉砕せずに行っ
た。
【0290】[比較例4−2]実施例4−16で使用し
た保護コロイド(B−1)を純水650.0gで置き換
え、それ以外は実施例4−16と同様な操作で、保護コ
ロイド(B−1)を含有しない水性エマルジョン重合体
(C−14)を得、これから再乳化性重合体粉末を得よ
うとした。しかし、乾燥後の凝集体が柔らかいために粉
砕が不可能であった。再乳化性の評価は粉砕せずに行っ
た。
【0291】[比較例4−3]実施例4−18で使用し
た保護コロイド(B−1)を純水650.0gで置き換
え、それ以外は実施例4−18と同様な操作で、保護コ
ロイド(B−1)を含有しない水性エマルジョン重合体
(C−15)を得、これから再乳化性重合体粉末を得よ
うとした。しかし、乾燥後の凝集体が柔らかいために粉
砕が不可能であった。再乳化性の評価は粉砕せずに行っ
た。
【0292】[比較例4−4]水性エマルション(C−
1)〜(C−12)について、それぞれを多価金属塩に
よる凝析ではなく、入口空気温度120℃、出口空気温
度60℃で噴霧乾燥することによって再乳化性重合体粉
末を得た。どの混合物も乾燥塔内壁に多量の付着物が生
じ、収率は30%以下であり、再乳化性も著しく劣って
いた。
【0293】[比較例4−5]実施例4−4で添加した
45%硫酸アルミニウムの量を0.01gにした以外
は、実施例4−4と同様にして再乳化性重合体粉末を得
ようとしたが、凝集体が生成しなかった。
【0294】[評価例4−1]評価例1−1と同様にし
て収率を算出し等級付けた。
【0295】[評価例4−2]再乳化性重合体粉末を評
価例1−2と同様にして再乳化液を調製し、評価した。
ただし、比較例4−1〜3の再乳化性重合体はどれも柔
らかく粉砕が不可能であったため粉砕せずに、それ以外
は上記と同様の方法で再乳化液を調製した。また、比較
例4−4の噴霧乾燥によって得られた再乳化性重合体は
既に粉末状で得られるため、これらを16メッシュ(1
mm)のふるいにかけ1mm以下の粒子サイズの粉末に
ついて、上記と同様の方法で再乳化液を調製した。
【0296】[評価例4−3]評価例1−3と同様に評
価した。ただし、比較例4−4の噴霧乾燥によって得ら
れた再乳化性重合体は既に粉末状で得られるため、これ
らを80メッシュ(200μm)のふるい上の残分が5
%以下になるように分級した粉末について、上記と同様
の方法に試験した。
【0297】以上の実施例、比較例で使用された保護コ
ロイドの組成を表4−1に、水性エマルションの組成を
表4−2〜表4−4に、再乳化性重合体粉末の組成及び
評価結果を表4−5〜表4−13に示す。
【0298】
【表44】
【0299】
【表45】
【0300】
【表46】
【0301】
【表47】
【0302】
【表48】
【0303】
【表49】
【0304】
【表50】
【0305】
【表51】
【0306】
【表52】
【0307】
【表53】
【0308】
【表54】
【0309】
【表55】
【0310】
【表56】
【0311】
【表57】
【0312】
【表58】
【0313】
【表59】 5.コア/シェル重合法により製造した水性エマルショ
ンを多価金属塩で凝集する実施例 (アミド基を有するエチレン性不飽和単量体を用いる
系) [実施例5−1] 工程1(コア粒子重合工程)の水性エマルションの
調製 以下の操作により、水性エマルション(A−1)を調製
した。攪拌機、還流コンデンサーおよび温度計を備えた
反応容器に、純水785g、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム(DBSと略す)3g、を仕込み、窒素雰
囲気中、攪拌下、温度80℃で過硫酸カリウム5gを添
加した水溶液を調製した。一方、下記組成の乳化液を準
備し、これを80℃で上記の水溶液に3時間で滴下し、
同温度で時間保持した。 純水 400g DBS 1g スチレン 400g n−ブチルアクリレート 500g 2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 50g メタクリル酸 30g アクリルアミド 20g n−ドデシルメルカプタン 1g 得られた水性エマルションに、アンモニア水と純水を添
加して、pH=9、樹脂分=45%に調製した。この水
性エマルションを(A−1)とする。 工程2(シェル重合工程) 攪拌機、還流コンデンサーおよび温度計を備えた反応容
器に、水性エマルション(A−1)222.2g、純水
647.8g、メタクリルアミド100.0gを仕込み、
攪拌下、窒素雰囲気中、温度75℃に昇温し、この温度
を維持した。メタクリルアミドが完全に溶解した後、5
%過硫酸アンモニウム水溶液30.0gを添加し、7時
間、75℃で保持した。これにより樹脂分=20%、p
H=9、の水性エマルションが得られた。この水性エマ
ルションを(C−1)とする。 工程3(凝集物製造工程) 水性エマルション(C−1)を樹脂分10%に純水で希
釈し、希釈品1000gに室温で45%硫酸アルミニウ
ム水溶液を50g添加させると凝集体が生成した。この
凝集体を濾過により固液分離したのち、80℃で残存水
分量が2%以下になるまで乾燥した(残存水分量はJI
S K5407.5の加熱減量の測定方法で測定され
た。以下、残存水分量は全てこの方法で測定された値で
ある)。乾燥した凝集体を粉砕することで再乳化性重合
体粉末を得た。
【0314】[実施例5−2〜12] 工程1(コア粒子重合工程)の水性エマルションの
調製 i) 水性エマルション(A−1)の調製 実施例5−1と同様な操作により、水性エマルション
(A−1)を調製した。
【0315】ii) 水性エマルション(A−2)の調
製 表5−1に示すモノマー組成で、実施例5−1に示した
水性エマルション(A−1)の調製方法と同様な操作に
より、pH=9、樹脂分=45%の水性エマルション
(A−2)を得た。 iii) 水性エマルション(A−3)の調製 攪拌機付きオートクレーブに、純水790g、ラウリル
硫酸ナトリウム2g、重炭酸ソーダ1gを仕込み、窒素
雰囲気中、攪拌下、温度70℃で過硫酸カリウム10g
を添加した。一方、下記組成の乳化液を準備し、上記の
水溶液に6時間かけて滴下し、熟成を行った。 純水 400g ラウリル硫酸ナトリウム 3g スチレン 280g ブタジエン 700g アクリル酸 20g t−ドデシルメルカプタン 3g 得られたSBRラテックスに、アンモニア水と純水を添
加して、pH=9、樹脂分=45%の水性エマルション
(A−3)を調製した。 工程2(シェル重合工程) 実施例5−1と同様な操作により、表5−2、表5−3
に示す組成で水性エマルション(C−2)〜(C−1
2)を調製した。 工程3(凝集物製造工程) 実施例5−1と同様な操作により、水性エマルション
(C−2)〜(C−12)のそれぞれから、再乳化性重
合体粉末を得た。
【0316】[実施例5−13]実施例5−4で凝集体
を得るために使用した45%硫酸アルミニウム水溶液の
代わりに、10%硫酸第二鉄水溶液を225g添加した
以外は実施例5−4と同様にして再乳化性重合体粉末を
得た。
【0317】[実施例5−14]実施例5−4で水性エ
マルションの温度を70℃にしてから45%硫酸アルミ
ニウムを添加した以外は、実施例5−4と同様な操作で
再乳化性重合体粉末を得た。実施例5−4と比較して凝
集塊が大きく濾過による固液分離時間が1/10に短縮
され、作業性が向上した。
【0318】[実施例5−15]実施例5−4で凝集体
を得るために使用した45%硫酸アルミニウム水溶液の
代わりに、10%塩化カルシウム水溶液を225g添加
した以外は、実施例5−4と同様な操作で再乳化性重合
体粉末を得た。
【0319】[実施例5−16]実施例5−15で、多
価金属塩を添加する前に硫酸で水性エマルションのpH
を4に調整し、その後、多価金属塩として10%塩化カ
ルシウム水溶液を225g添加した以外は、実施例5−
15と同様な操作で再乳化性重合体粉末を得た。実施例
5−15と比較して凝集塊が大きく濾過による固液分離
時間が1/3に短縮され、作業性が向上した。
【0320】[実施例5−17]実施例5−4で添加し
た45%硫酸アルミニウムの量を6.5gにした以外
は、実施例5−4と同様にして再乳化性重合体粉末を得
た。
【0321】[実施例5−18]実施例5−4で凝集体
を濾過分別する際に、充分な純水で洗浄を繰り返した以
外は実施例5−4と同様にして再乳化性重合体粉末を得
た。これと実施例5−4の再乳化性重合体粉末とをそれ
ぞれ1%水酸化ナトリウム水溶液に添加して再乳化液を
得、これらをガラス板に塗布し3日間室温で乾燥させた
膜を1日水に浸漬し、膜の吸水率を測定したところ実施
例5−18の方が吸水率が低く耐水性に優れていた。
【0322】[比較例5−1〜3]水性エマルション
(A−1)〜(A−3)のそれぞれを樹脂分10%に純
水で希釈した後、希釈品1000gに室温で45%硫酸
アルミニウム水溶液を50g添加させるとどれも凝集体
が生成した。この凝集体を濾過により固液分離したの
ち、80℃で残存水分量が2%以下になるまで乾燥し
た。しかし、乾燥した凝集体はどれも柔らかく粉砕が不
可能であった。再乳化性の評価は粉砕せずに行った。 [比較例5−4]水性エマルション(C−1)〜(C−
12)それぞれを、入口空気温度120℃、出口空気温
度60℃で噴霧乾燥することによって再乳化性重合体粉
末を得た。どの水性エマルションも乾燥塔内壁に多量の
付着物が生じ、収率は30%以下であり、再乳化性も著
しく劣っていた。
【0323】[比較例5−5]実施例5−4で添加した
45%硫酸アルミニウムの量を0.01gにした以外
は、実施例5−4と同様にして再乳化性重合体粉末を得
ようとしたが、凝集体が生成しなかった。
【0324】[評価例5−1]評価例1−1と同様にし
て収率を算出し等級付けた。
【0325】[評価例5−2]再乳化性重合体粉末より
評価例1−2と同様にして再乳化液を調製した。ただ
し、比較例5−1〜3の再乳化性重合体はどれも柔らか
く粉砕が不可能であったため粉砕せずに、それ以外は上
記と同様の方法で再乳化液を調製した。また、比較例5
−4の噴霧乾燥によって得られた再乳化性重合体は既に
粉末状で得られるため、これらを16メッシュ(1m
m)のふるいにかけ1mm以下の粒子サイズの粉末につ
いて、上記と同様の方法で再乳化液を調製し、評価例1
−2記載のように評価した。
【0326】[評価例5−3]再乳化性重合体粉末を評
価例1−3と同様に試験した。ただし、比較例5−4の
噴霧乾燥によって得られた再乳化性重合体は既に粉末状
で得られるため、これらを80メッシュ(200μm)
のふるい上の残分が5%以下になるように分級した粉末
について、上記と同様の方法に試験した。
【0327】以上の実施例、比較例で使用された工程1
で製造される水性エマルションの組成を表5−1に、工
程2で製造される水性エマルションの組成を表5−2、
表5−3に、再乳化性重合体粉末の組成及び評価結果を
表5−4〜表5−15に示す。
【0328】
【表60】
【0329】
【表61】
【0330】
【表62】
【0331】
【表63】
【0332】
【表64】
【0333】
【表65】
【0334】
【表66】
【0335】
【表67】
【0336】
【表68】
【0337】
【表69】
【0338】
【表70】
【0339】
【表71】
【0340】
【表72】
【0341】
【表73】
【0342】
【表74】 6.水性エマルション/保護コロイド混合物を多価金属
塩で凝集する実施例 アミド基を有するエチレン性不飽和単量体を用いる系) [実施例6−1] 水性エマルション製造工程 以下の操作により、水性エマルション(A−1)を調製
した。攪拌機、還流コンデンサーおよび温度計を備えた
反応容器に、純水785g、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム(DBSと略す)3g、を仕込み、窒素雰
囲気中、攪拌下、温度80℃で過硫酸カリウム5gを添
加して水溶液を調製した。一方、下記組成の乳化液を準
備し、これを80℃で上記の水溶液に3時間で滴下し、
同温度で3時間保持した。 純水 400g DBS 1g スチレン 400g n−ブチルアクリレート 500g 2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 50g メタクリル酸 30g アクリルアミド 20g n−ドデシルメルカプタン 1g 得られた水性エマルションに、アンモニア水と純水を添
加して、pH=9、樹脂分=45%に調製した。この水
性エマルションを(A−1)とする。 保護コロイド製造工程 以下の操作により、保護コロイド(a1)を調製した。
攪拌機、還流コンデンサーおよび温度計を備えた反応容
器に、純水850g、メタクリルアミド100.0gを
仕込み、攪拌下、窒素雰囲気中、温度75℃に昇温し、
この温度を維持した。メタクリルアミドが完全に溶解し
た後、5%過硫酸アンモニウム水溶液30.0gを添加
し、7時間、75℃で保持した。これにアンモニア水と
純水を添加して、樹脂分=10%、pH=9の保護コロ
イド(B−1)を得た。 混合工程 水性エマルション(A−1)と保護コロイド(B−1)
をソリッド比で50/50になるように混合攪拌した。 凝集物製造工程 混合工程で製造した、水性エマルション(A−1)と保
護コロイド(B−1)の混合物を、樹脂分10%となる
ように純水で希釈し、さらにこの希釈品1000gに室
温で45%硫酸アルミニウムを50g添加すると凝集体
が生成した。この凝集体を濾過により固液分離したの
ち、80℃で残存水分量が2%以下になるまで乾燥し
た。乾燥した凝集体を粉砕することで再乳化性重合体粉
末を得た。
【0343】[実施例6−2〜8] 水性エマルション製造工程 i) 水性エマルション(A−1)の調製 実施例6−1と同様に、水性エマルション(A−1)を
調製した。
【0344】ii) 水性エマルション(A−2)の調製 実施例6−1に示した水性エマルション(A−1)の調
製方法と同様に、表6−1に示すモノマー組成で、pH
=9、樹脂分=45%の水性エマルション(A−2)を
得た。 iii) 水性エマルション(A−3)の調製 攪拌機付きオートクレーブに、純水790g、ラウリル
硫酸ナトリウム2g部、重炭酸ソーダ1gを仕込み、窒
素雰囲気中、攪拌下、温度70℃で過硫酸カリウム10
gを添加した。一方、下記組成の乳化液を準備し、上記
の水溶液に6時間かけて滴下し、熟成を行った。 純水 400g ラウリル硫酸ナトリウム 3g スチレン 280g ブタジエン 700g アクリル酸 20g t−ドデシルメルカプタン 3g 得られたSBRラテックスに、アンモニア水と純水を添
加して、pH=9、樹脂分=45%の水性エマルション
(A−3)を調製した。 保護コロイド製造工程 実施例6−1と同様な操作で、保護コロイド(B−2)
〜(B−8)を調製した。 混合工程 水性エマルション(A−1)に、保護コロイド(B−
2)〜(B−8)のそれぞれを、ソリッド比で50/5
0になるように混合攪拌した。 凝集物製造工程 実施例6−1と同様な操作で、再乳化性重合体粉末を得
た。
【0345】[実施例6−9]水性エマルション(A−
1)と保護コロイド(B−1)をソリッド比で70/3
0になるように混合攪拌したのち、実施例6−1と同様
な操作で再乳化性重合体粉末を得た。
【0346】[実施例6−10]実施例6−4で凝集体
を得るために使用した45%硫酸アルミニウム水溶液の
代わりに、10%硫酸第二鉄水溶液を225g添加した
以外は実施例6−4と同様にして再乳化性重合体粉末を
得た。
【0347】[実施例6−11]実施例6−4で水性エ
マルションと保護コロイドの混合物の温度を70℃にし
てから45%硫酸アルミニウムを添加した以外は、実施
例6−4と同様な操作で再乳化性重合体粉末を得た。実
施例6−4と比較して凝集塊が大きく濾過による固液分
離時間が1/10に短縮され、作業性が向上した。
【0348】[実施例6−12]実施例6−4で凝集体
を得るために使用した45%硫酸アルミニウム水溶液の
代わりに、10%塩化カルシウム水溶液を225g添加
した以外は、実施例6−4と同様な操作で再乳化性重合
体粉末を得た。
【0349】[実施例6−13]実施例6−12で、多
価金属塩を添加する前に硫酸で水性エマルションと保護
コロイドの混合物のpHを4に調整し、その後、多価金
属塩として10%塩化カルシウム水溶液を225g添加
した以外は、実施例6−12と同様な操作で再乳化性重
合体粉末を得た。実施例6−12と比較して凝集塊が大
きく濾過による固液分離時間が1/3に短縮され、作業
性が向上した。
【0350】[実施例6−14]実施例6−4で添加し
た45%硫酸アルミニウムの量を6.5gにした以外
は、実施例6−4と同様にして再乳化性重合体粉末を得
た。
【0351】[実施例6−15]実施例6−4で凝集体
を濾過分別する際に、充分な純水で洗浄を繰り返した以
外は実施例6−4と同様にして再乳化性重合体粉末を得
た。これと実施例6−4の再乳化性重合体粉末とをそれ
ぞれ1%水酸化ナトリウム水溶液に添加して再乳化液を
得、これらをガラス板に塗布し3日間室温で乾燥させた
膜を1日水に浸漬し、膜の吸水率を測定したところ、実
施例6−15の方が吸水率が低く耐水性に優れていた。
【0352】[実施例6−16]水性エマルション(A
−2)に保護コロイド(B−1)をソリッド比で50/
50になるように混合攪拌したのち、実施例6−1と同
様な操作で再乳化性重合体粉末を得た。
【0353】[実施例6−17]水性エマルション(A
−2)に保護コロイド(B−4)をソリッド比で50/
50になるように混合攪拌したのち、実施例6−1と同
様な操作で再乳化性重合体粉末を得た。
【0354】[実施例6−18]水性エマルション(A
−3)に保護コロイド(B−1)をソリッド比で50/
50になるように混合攪拌したのち、実施例6−1と同
様な操作で再乳化性重合体粉末を得た。
【0355】[比較例6−1〜3]水性エマルション
(A−1)〜(A−3)のそれぞれを樹脂分10%に純
水で希釈した後、希釈品1000gに室温で45%硫酸
アルミニウム水溶液を50g添加するとどれも凝集体が
生成した。この凝集体を濾過により固液分離したのち、
80℃で残存水分量が2%以下になるまで乾燥した。し
かし、乾燥した凝集体はどれも柔らかく粉砕が不可能で
あった。再乳化性の評価は粉砕せずに行った。
【0356】[比較例6−4]実施例6−1〜9および
実施例6−16〜18で調製した水性エマルションと保
護コロイドの混合物それぞれを、入口空気温度120
℃、出口空気温度60℃で噴霧乾燥することによって再
乳化性重合体粉末を得た。どの混合物も乾燥塔内壁に多
量の付着物が生じ、収率は30%以下であり、再乳化性
も著しく劣っていた。
【0357】[比較例6−5]実施例6−4で添加した
45%硫酸アルミニウムの量を0.01gにした以外
は、実施例6−4と同様にして再乳化性重合体粉末を得
ようとしたが、凝集体が生成しなかった。
【0358】[評価例6−1]評価例1−1と同様に収
率を算出し、等級付けした。
【0359】[評価例6−2]評価例1−2と同様にし
て再乳化液を調製した評価した。ただし、比較例6−1
〜3の再乳化性重合体はどれも柔らかく粉砕が不可能で
あったため粉砕せずに、それ以外は上記と同様の方法で
再乳化液を調製した。また、比較例6−4の噴霧乾燥に
よって得られた再乳化性重合体は既に粉末状で得られる
ため、これらを16メッシュ(1mm)のふるいにかけ
1mm以下の粒 [評価例6−3]再乳化性重合体粉末を評価例1−3と
同様にセメントに配合し、試験した。ただし、比較例6
−4の噴霧乾燥によって得られた再乳化性重合体は既に
粉末状で得られるため、これらを80メッシュ(200
μm)のふるい上の残分が5%以下になるように分級し
た粉末について、上記と同様の方法に試験した。
【0360】以上の実施例、比較例で使用された水性エ
マルションの組成を表6−1に、保護コロイドの組成を
表6−2に、再乳化性重合体粉末の組成及び評価結果を
表6−3〜表6−14に示す。
【0361】
【表75】
【0362】
【表76】
【0363】
【表77】
【0364】
【表78】
【0365】
【表79】
【0366】
【表80】
【0367】
【表81】
【0368】
【表82】
【0369】
【表83】
【0370】
【表84】
【0371】
【表85】
【0372】
【表86】
【0373】
【表87】
【0374】
【表88】 7.保護コロイド重合法により製造した水性エマルショ
ンを金属塩で凝集する実施例 (水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を用いる系) [実施例7−1] 工程1(水性エマルション製造工程) 〈保護コロイド(a1)の調製〉攪拌機、還流コンデン
サー及び温度計を備えた反応容器に、1.5%水酸化ナ
トリウム水溶液700.0g、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート90.0g、メタクリル酸10.0gを仕
込み、攪拌下、窒素雰囲気中、温度40℃に昇温した。
この温度が維持されたところで、過硫酸カリウム10.
0gを添加し、これが溶解した後、還元剤として15%
亜硫酸水素ナトリウム水溶液25.6gを更に添加し、
6時間、40℃で保持して水溶液を調製した。 1.5%水酸化ナトリウム水溶液 700.0g 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 90.0g メタクリル酸 10.0g 過硫酸カリウム 10.0g 15%亜硫酸水素ナトリウム水溶液 25.6g 樹脂分=15%、pH=9の保護コロイド(B−1)を
得た。 〈保護コロイド重合〉攪拌機、還流コンデンサー及び温
度計を備えた反応容器に、保護コロイド(B−1)66
6.7gを仕込み、窒素雰囲気中、攪拌下、温度80℃
で過硫酸カリウム0.5gを添加した。一方、下記組成
の乳化液を準備し、これを80℃で上記の水溶液に3時
間で滴下し、さらに同温度で3時間保持した。 純水 40.0g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.1g スチレン 50.0g n−ブチルアクリレート 40.0g 2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 5.0g メタクリル酸 3.0g アクリルアミド 2.0g n−ドデシルメルカプタン 0.1g 得られた重合体にアンモニア水と純水を添加して、樹脂
分=10%、pH=9の水性エマルション(C−1)を
調製した。この水性エマルション(C−1)の粒子径は
0.18μmであった。 工程2(凝集物製造工程) (C−1)1000gに室温で45%硫酸アルミニウム
水溶液を50g添加すると凝集体が生成した。この凝集
体を濾過により固液分離したのち、80℃で残存水分量
が2%以下になるまで乾燥した(残存水分量はJIS
K5407.5の加熱減量の測定方法で測定された。以
下、残存水分量は全てこの方法で測定された値であ
る)。乾燥した凝集体を粉砕し、50メッシュ(300
μm)のふるいにかけ300μm以下の粉末を得た。こ
の嵩密度は670g/リットルであった。
【0375】[実施例7−2〜7] 工程1(水性エマルション製造工程) 〈保護コロイド(a1)の調製〉実施例7−1と同様な
操作により、表7−1に示す組成で保護コロイド(B−
2)〜(B−7)を調製した。 〈保護コロイド重合〉実施例7−1と同様な操作によ
り、実施例7−1の保護コロイド(B−1)のかわり
に、保護コロイド(B−2)〜(B−7)にそれぞれに
置き換えて、水性エマルション(C−2)〜(C−7)
を得た。 工程2(凝集物製造工程) 実施例7−1と同様な操作により、実施例7−1の水性
エマルション(C−1)のかわりに、水性エマルション
(C−2)〜(C−7)にそれぞれに置き換えて、再乳
化性重合体粉末を得た。
【0376】[実施例7−8]攪拌機、還流コンデンサ
ー及び温度計を備えた反応容器に、保護コロイド(B−
2)400.0g及び純水210gを仕込み、窒素雰囲
気中、攪拌下、温度80℃で過硫酸カリウム0.7gを
添加した。一方、下記組成の乳化液を準備し、上記の水
溶液に3時間で滴下し、熟成を3時間行った。 純水 56.0 g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.14g スチレン 70.0 g n−ブチルアクリレート 56.0 g 2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 7.0 g メタクリル酸 4.2 g アクリルアミド 2.8 g n−ドデシルメルカプタン 0.14g 得られた重合体にアンモニア水と純水を添加して、樹脂
分=10%、pH=9の水性エマルション(C−8)を
調製した。(C−8)1000gに室温で45%硫酸ア
ルミニウム水溶液を50g添加させると凝集体が生成し
た。この凝集体を濾過により固液分離したのち、80℃
で残存水分量が2%以下になるまで乾燥した。乾燥した
凝集体を粉砕することで再乳化性重合体粉末を得た。
【0377】[実施例7−9]実施例7−2で凝集体を
得るために使用した45%硫酸アルミニウム水溶液の代
わりに、10%硫酸第二鉄水溶液を225g添加した以
外は実施例7−2と同様にして再乳化性重合体粉末を得
た。
【0378】[実施例7−10]実施例7−2で水性エ
マルションの温度を70℃にしてから45%硫酸アルミ
ニウムを添加した以外は、実施例7−2と同様な操作に
して再乳化性重合体粉末を得た。実施例7−2と比較し
て凝集塊が大きく濾過による固液分離時間が1/10に
短縮され、作業性が向上した。
【0379】[実施例7−11]実施例7−2で凝集体
を得るために使用した45%硫酸アルミニウム水溶液の
代わりに、10%塩化カルシウム水溶液を225g添加
した以外は、実施例7−2と同様な操作で再乳化性重合
体粉末を得た。
【0380】[実施例7−12]実施例7−11で、多
価金属塩を添加する前に硫酸で水性エマルションのpH
を4に調整し、その後、多価金属塩として10%塩化カ
ルシウム水溶液を225g添加した以外は、実施例7−
11と同様な操作で再乳化性重合体粉末を得た。実施例
7−11と比較して凝集塊が大きく濾過による固液分離
時間が1/3に短縮され、作業性が向上した。
【0381】[実施例7−13]実施例7−2で添加し
た45%硫酸アルミニウムの量を6.5gにした以外
は、実施例7−2と同様にして再乳化性重合体粉末を得
た。
【0382】[実施例7−14]実施例7−2で凝集体
を濾過分別する際に、充分な純水で洗浄を繰り返した以
外は実施例7−2と同様にして再乳化性重合体粉末を得
た。これと実施例7−2の再乳化性重合体粉末とをそれ
ぞれ1%水酸化ナトリウム水溶液に添加して再乳化液を
得、これらをガラス板に塗布し3日間室温で乾燥させた
膜を1日水に浸漬し、膜の吸水率をたところ、実施例7
−14の方が吸水率が低く耐水性に優れていた。
【0383】[実施例7−15]実施例7−1で使用し
た乳化液を以下のように変更し、実施例7−1と同様な
操作で水性エマルション(C−9)を得、さらにこれか
ら再乳化性重合体粉末を得た。 純水 40.0g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.1g メチルメタアクリレート 30.0g ブチルアクリレート 60.0g 2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 5.0g メタクリル酸 3.0g アクリルアミド 2.0g n−ドデシルメルカプタン 0.1g [実施例7−16]保護コロイド(B−1)を保護コロ
イド(B−2)に変更し、実施例7−15と同様な方法
で水性エマルション(C−10)を得、さらにこれから
再乳化性重合体粉末を得た。
【0384】[実施例7−17]攪拌機付きオートクレ
ーブに、保護コロイド(B−2)666.7gを仕込
み、窒素雰囲気中、攪拌下、温度70℃で過硫酸カリウ
ム1.0gを添加した。一方、下記組成の乳化液を準備
し、上記の水溶液に6時間で滴下し、熟成を行った。 純水 40.0g ラウリル硫酸ナトリウム 0.3g スチレン 28.0g ブタジエン 70.0g アクリル酸 2.0g t−ドデシルメルカプタン 0.3g 得られた重合体にアンモニア水と純水を添加して、樹脂
分=10%、pH=9の水性エマルション(C−11)
を調製した。(C−11)1000gに室温で45%硫
酸アルミニウム水溶液を50g添加させると凝集体が生
成した。この凝集体を濾過により固液分離したのち、8
0℃で残存水分量が2%以下になるまで乾燥した。乾燥
した凝集体を粉砕することで再乳化性重合体粉末を得
た。
【0385】[比較例7−1]実施例7−2で使用した
保護コロイド(B−2)を純水650.0gで置き換
え、それ以外は実施例7−2と同様な操作で、保護コロ
イド(B−2)を含有しない水性エマルジョン重合体
(C−12)を得、これから再乳化性重合体粉末を得よ
うとした。しかし、乾燥後の凝集体が柔らかいために粉
砕が不可能であった。再乳化性の評価は粉砕せずに行っ
た。
【0386】[比較例7−2]実施例7−13で使用し
た保護コロイド(B−2)を純水650.0gで置き換
え、それ以外は実施例7−2と同様な操作で、保護コロ
イド(B−2)を含有しない水性エマルジョン重合体
(C−13)を得、これから再乳化性重合体粉末を得よ
うとした。しかし、乾燥後の凝集体が柔らかいために粉
砕が不可能であった。再乳化性の評価は粉砕せずに行っ
た。
【0387】[比較例7−3]実施例7−14で使用し
た保護コロイド(B−2)を純水650.0gで置き換
え、それ以外は実施例7−16と同様な操作で、保護コ
ロイド(B−2)を含有しない水性エマルジョン重合体
(C−14)を得、これから再乳化性重合体粉末を得よ
うとした。しかし、乾燥後の凝集体が柔らかいために粉
砕が不可能であった。再乳化性の評価は粉砕せずに行っ
た。
【0388】[比較例7−4]水性エマルション(C−
1)〜(C−11)について、それぞれを多価金属塩に
よる凝析ではなく、入口空気温度120℃、出口空気温
度60℃で噴霧乾燥することによって再乳化性重合体粉
末を得た。どの混合物も乾燥塔内壁に多量の付着物が生
じ、収率は30%以下であり、再乳化性も著しく劣って
いた。
【0389】[比較例7−5]実施例7−2で添加した
45%硫酸アルミニウムの量を0.01gにした以外
は、実施例7−2と同様にして再乳化性重合体粉末を得
ようとしたが、凝集体が生成しなかった。
【0390】[評価例7−1]評価例1−1と同様に測
定した。
【0391】[評価例7−2]再乳化性重合体粉末を評
価例1−2と同様にして再乳化液を調製し、評価した。
ただし、比較例7−1〜3の再乳化性重合体はどれも柔
らかく粉砕が不可能であったため粉砕せずに、それ以外
は上記と同様の方法で再乳化液を調製した。また、比較
例7−4の噴霧乾燥によって得られた再乳化性重合体は
既に粉末状で得られるため、これらを16メッシュ(1
mm)のふるいにかけ1mm以下の粒子サイズの粉末に
ついて、上記と同様の方法で再乳化液を調製した。
【0392】[評価例7−3]再乳化性重合体粉末を評
価例1ー3と同様にセメントに配合し、試験した。ただ
し、比較例7−4の噴霧乾燥によって得られた再乳化性
重合体は既に粉末状で得られるため、これらを80メッ
シュ(200μm)のふるい上の残分が5%以下になる
ように分級した粉末について、上記と同様の方法に試験
した。
【0393】[評価例7−4]本明細書の実施例7−4
で得られた重合体粉末について以下の配合を行い、20
℃、80%R.H.(相対湿度)で養生し、臭気と硬化
を評価した。 〈配合〉 ポルトランドセメント 1000g 再乳化性重合体粉末 100g 水 500g 〈評価〉 臭気:1日後の、アンモニア臭の有無を評価した。 硬化:JIS R5201の凝結試験により、1日養生
後の終結を測定した。 〈結果〉 臭気:なし。 硬化:終結済み。
【0394】[評価例7−5] セメント中での乳化を
想定した再乳化性の評価 以下の方法で再乳化性の評価を行った。 1.セメント100gと水500gを1分間混合し、濾
紙(アドバンテック東洋株式会社製、定性濾紙No.
1)で濾過して、濾液を得た。 2.上記濾液94gを100mlの三角フラスコに採取
し、これに水酸化カルシウム(粉末)3gを混合した。 3.さらにこれに粉砕してふるい分けして300μm以
下の樹脂粉末を3g添加して3分間よく振り混ぜた。 4.3分後すぐに濾紙(アドバンテック東洋株式会社
製、定性濾紙No.1)で濾過して、濾液を得、この濾
液の不揮発分をJIS K5407.4によって測定
し、この不揮発分をN1(wt%)とした。 5.2.で調製した混合液を4.と同様に濾過し、この
不揮発分を測定してN2(%)とした。 6.以下の式により再乳化率を算出した。 セメント中での乳化を想定した再乳化率={(N1−N
2)/3}X100 実施例7−2で得られた重合体粉末の上記再乳化率は4
0%以上であり良好であった。一方、実施例7−2の重
合体を噴霧乾燥によって乾燥したものは上記再乳化率は
15%以下で不良であった。
【0395】以上の実施例、比較例で使用された保護コ
ロイドの組成を表7−1に、水性エマルションの組成を
表7−2、表7−3に、再乳化性重合体粉末の組成及び
評価結果を表7−4、表7−5に示す。
【0396】
【表89】
【0397】
【表90】
【0398】
【表91】
【0399】
【表92】
【0400】
【表93】
【0401】
【表94】
【0402】
【表95】
【0403】
【表96】
【0404】
【表97】
【0405】
【表98】
【0406】
【表99】
【0407】
【表100】
【0408】
【表101】
【0409】
【表102】
【0410】
【表103】
【0411】
【表104】 8.コア/シェル重合法により製造した水性エマルショ
ンを金属塩で凝集する実施例 (水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を用いる系) [実施例8−1] 工程1(コア粒子重合工程)の水性エマルションの
調製 以下の操作により、水性エマルション(A−1)を調製
した。攪拌機、還流コンデンサーおよび温度計を備えた
反応容器に、純水785g、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム(DBSと略す)3g、を仕込み、窒素雰
囲気中、攪拌下、温度80℃で過硫酸カリウム5gを添
加して水溶液を調製した。一方、下記組成の乳化液を準
備し、80℃で上記の水溶液に3時間で滴下し、さらに
同温度で3時間保持した。 純水 400g DBS 1g スチレン 500g n−ブチルアクリレート 400g 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 50g メタクリル酸 30g アクリルアミド 20g n−ドデシルメルカプタン 1g 得られた水性エマルションに、アンモニア水と純水を添
加して、pH=9、樹脂分=45%に調製した。この水
性エマルションを(A−1)とする。水性エマルション
(A−1)の粒子径は0.11μmであった。
【0412】 工程2(シェル重合工程) 攪拌機、還流コンデンサーおよび温度計を備えた反応容
器に、水性エマルション(A−1)222.2g、純水
725.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート9
0.0g、メタクリル酸10.0gを仕込み、攪拌下、
水酸化ナトリウムにてpH9.5に調整する。攪拌下、
窒素雰囲気中、温度40℃に昇温し、この温度を維持し
た。昇温完了後、過硫酸カリウム10.0gを添加し、
溶解後、更に10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液38.
4gを添加し、6時間、40℃で保持した。 水性エマルション重合体(A−1) 222.2g 純水 725.0g 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 90.0g メタクリル酸 10.0g 水酸化ナトリウム 6.6g 過硫酸カリウム 10.0g 10%亜硫酸水素ナトリウム 38.4g これにより樹脂分=20%、pH=8の水性エマルショ
ンが得られた。この水性エマルションを(C−1)とす
る。この水性エマルション(C−1)の粒子径は0.1
3μmであった。
【0413】 工程3(凝集物製造工程) 水性エマルション(C−1)を純粋で樹脂分10%にな
るとうに希釈し、希釈品1000gに室温で45%硫酸
アルミニウム水溶液を50g添加させると凝集体が生成
した。この凝集体を濾過により固液分離したのち、80
℃で残存水分量が2%以下になるまで乾燥した。乾燥し
た凝集体を粉砕することで再乳化性重合体粉末を得た。
50メッシュ(300μm)のふるいにかけて300μ
m以下の粒子サイズの粉末を得た。この嵩密度は640
g/リットルであった。
【0414】[実施例8−2〜1] 工程1(コア粒子重合工程)の水性エマルションの
調製 i) 水性エマルション(A−1)の調製 実施例5−1と同様な操作により、水性エマルション
(A−1)を調製した。
【0415】ii) 水性エマルション(A−2)の調
製 表8−1に示すモノマー組成で、実施例8−1に示した
水性エマルション(A−1)の調製方法と同様な操作に
より、pH=9、樹脂分=45%の水性エマルション
(A−2)を得た。 iii) 水性エマルション(A−3)の調製 攪拌機付きオートクレーブに、純水790g、ラウリル
硫酸ナトリウム2g、重炭酸ソーダ1gを仕込み、窒素
雰囲気中、攪拌下、温度70℃で過硫酸カリウム10g
を添加し水溶液を調製した。一方、下記組成の乳化液を
準備し、これを70℃で上記の水溶液に6時間かけて滴
下し、同温度で6時間保持した。 純水 400g ラウリル硫酸ナトリウム 3g スチレン 280g ブタジエン 700g アクリル酸 20g t−ドデシルメルカプタン 3g 得られたSBRラテックスに、アンモニア水と純水を添
加して、pH=9、樹脂分=45%の水性エマルション
(A−3)を調製した。 工程2(シェル重合工程) 実施例8−1と同様な操作により、表8−2、表8−3
に示す組成で水性エマルション(C−2)〜(C−1
1)を調製した。 工程3(凝集物製造工程) 実施例8−1と同様な操作により、水性エマルション
(C−2)〜(C−12)のそれぞれから、再乳化性重
合体粉末を得た。
【0416】[実施例8−12]実施例8−2で凝集体
を得るために使用した45%硫酸アルミニウム水溶液の
代わりに、10%硫酸第二鉄水溶液を225g添加した
以外は実施例8−2と同様にして再乳化性重合体粉末を
得た。
【0417】[実施例8−13]実施例8−2で水性エ
マルションの温度を70℃にしてから45%硫酸アルミ
ニウムを添加した以外は、実施例8−2と同様な操作で
再乳化性重合体粉末を得た。実施例8−2と比較して凝
集塊が大きく濾過による固液分離時間が1/10に短縮
され、作業性が向上した。
【0418】[実施例8−14]実施例8−2で凝集体
を得るために使用した45%硫酸アルミニウム水溶液の
代わりに、10%塩化カルシウム水溶液を225g添加
した以外は、実施例8−2と同様な操作で再乳化性重合
体粉末を得た。
【0419】[実施例8−15]実施例8−14で、多
価金属塩を添加する前に硫酸で水性エマルションのpH
を4に調整し、その後、多価金属塩として10%塩化カ
ルシウム水溶液を225g添加した以外は、実施例8−
14と同様な操作で再乳化性重合体粉末を得た。実施例
8−17と比較して凝集塊が大きく濾過による固液分離
時間が1/3に短縮され、作業性が向上した。
【0420】[実施例8−16]実施例8−2で添加し
た45%硫酸アルミニウムの量を6.5gにした以外
は、実施例8−2と同様にして再乳化性重合体粉末を得
た。
【0421】[実施例8−17]実施例8−2で凝集体
を濾過分別する際に、充分な純水で洗浄を繰り返した以
外は実施例8−2と同様にして再乳化性重合体粉末を得
た。これと実施例8−2の再乳化性重合体粉末とをそれ
ぞれ1%水酸化ナトリウム水溶液に添加して再乳化液を
得、これらをガラス板に塗布し3日間室温で乾燥させた
膜を1日水に浸漬し、膜の吸水率を測定したたところ、
実施例8−17の方が吸水率が低く耐水性に優れてい
た。
【0422】[比較例8−1〜3]水性エマルション
(A−1)〜(A−3)のそれぞれを樹脂分10%に純
水で希釈した後、希釈品1000gに室温で45%硫酸
アルミニウム水溶液を50g添加させるとどれも凝集体
が生成した。この凝集体を濾過により固液分離したの
ち、80℃で残存水分量が2%以下になるまで乾燥し
た。しかし、乾燥した凝集体はどれも柔らかく粉砕が不
可能であった。再乳化性の評価は粉砕せずに行った。 [比較例8−4]水性エマルション(C−1)〜(C−
11)それぞれを、入口空気温度120℃、出口空気温
度60℃で噴霧乾燥することによって再乳化性重合体粉
末を得た。どの水性エマルションも乾燥塔内壁に多量の
付着物が生じ、収率は30%以下であり、再乳化性も著
しく劣っていた。
【0423】[比較例8−5]実施例8−2で添加した
45%硫酸アルミニウムの量を0.01gにした以外
は、実施例8−2と同様にして再乳化性重合体粉末を得
ようとしたが、凝集体が生成しなかった。
【0424】[評価例8−1]評価例1−1と同様にし
て測定し、評価した。
【0425】[評価例8−2]再乳化性重合体粉末を評
価例1−2と同様にして再乳化液を調製し、評価した。
ただし、比較例8−1〜3の再乳化性重合体はどれも柔
らかく粉砕が不可能であったため粉砕せずに、それ以外
は上記と同様の方法で再乳化液を調製した。また、比較
例8−4の噴霧乾燥によって得られた再乳化性重合体は
既に粉末状で得られるため、これらを16メッシュ(1
mm)のふるいにかけ1mm以下の粒子サイズの粉末に
ついて、上記と同様の方法で再乳化液を調製した。
【0426】[評価例8−3]再乳化性重合体粉末を評
価例1−3と同様にセメントに配合し、試験した。ただ
し、比較例8−4の噴霧乾燥によって得られた再乳化性
重合体は既に粉末状で得られるため、これらを80メッ
シュ(200μm)のふるい上の残分が5%以下になる
ように分級した粉末について、上記と同様の方法に試験
した。
【0427】[評価例8−4]本明細書の実施例8−4
で得られた重合体粉末について評価例7−4と同様に臭
気と硬化を評価した。 〈結果〉 臭気:なし。 硬化:終結済み。
【0428】[評価例8−5] セメント中での乳化を
想定した再乳化性の評価 評価例7−5の方法で再乳化性の評価を行った。
【0429】実施例8−2で得られた重合体粉末の上記
再乳化率は40%以上であり良好であった。一方、実施
例8−2の重合体を噴霧乾燥によって乾燥したものは上
記再乳化率は15%以下で不良であった。
【0430】以上の実施例、比較例で使用された工程1
で製造される水性エマルションの組成を表8−1に、工
程2で製造される水性エマルションの組成を表8−2、
表8−3に、再乳化性重合体粉末の組成及び評価結果を
表8−4〜表8−15に示す。
【0431】
【表105】
【0432】
【表106】
【0433】
【表107】
【0434】
【表108】
【0435】
【表109】
【0436】
【表110】
【0437】
【表111】
【0438】
【表112】
【0439】
【表113】
【0440】
【表114】
【0441】
【表115】
【0442】
【表116】
【0443】
【表117】
【0444】
【表118】
【0445】
【表119】
【0446】
【表120】 9.水性エマルション/保護コロイド混合物を金属塩で
凝集する実施例 (水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を用いる系) [実施例9−1] 水性エマルション製造工程 以下の操作により、水性エマルション(A−1)を調製
した。攪拌機、還流コンデンサーおよび温度計を備えた
反応容器に、純水785g、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム(DBSと略す)3g、を仕込み、窒素雰
囲気中、攪拌下、温度80℃で過硫酸カリウム5gを添
加し水溶液を調製した。一方、下記組成の乳化液を準備
し、80℃でこれを上記の水溶液に3時間で滴下し、同
温度で3時間保った。 純水 400g DBS 1g スチレン 500g n−ブチルアクリレート 400g 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 50g メタクリル酸 30g アクリルアミド 20g n−ドデシルメルカプタン 1g 得られた水性エマルションに、アンモニア水と純水を添
加して、pH=9、樹脂分=45%に調製した。この水
性エマルションを(A−1)とする。水性エマルション
(A−1)の粒子径は0.11μmであった。
【0447】 保護コロイド製造工程 以下の操作により、保護コロイド(a1)を調製した。
攪拌機、還流コンデンサーおよび温度計を備えた反応容
器に、1.5%水酸化ナトリウム水溶液700.0g、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート90.0g、メタ
クリル酸10.0gを仕込み、攪拌下、窒素雰囲気中、
温度40℃に昇温した。この温度が維持されたところ
で、過硫酸カリウム10.0gを添加し、これが溶解し
た後、還元剤として15%亜硫酸水素ナトリウム25.
6gを更に添加し、6時間、40℃で保持した。 1.5%水酸化ナトリウム水溶液 700.0g 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 90.0g メタクリル酸 10.0g 過硫酸カリウム 10.0g 15%亜硫酸水素ナトリウム 25.6g これに純水を添加して、樹脂分=10%、pH=5の保
護コロイド(B−1)を得た。
【0448】 混合工程 水性エマルション(A−1)と保護コロイド(B−1)
をソリッド比で50/50になるように混合攪拌した。
【0449】 凝集物製造工程 混合工程で製造した、水性エマルション(A−1)と保
護コロイド(B−1)の混合物を、樹脂分10%となる
ように純水で希釈し、さらにこの希釈品1000gに室
温で45%硫酸アルミニウムを50g添加すると凝集体
が生成した。この凝集体を濾過により固液分離したの
ち、80℃で残存水分量が2%以下になるまで乾燥し
た。乾燥した凝集体を粉砕することで再乳化性重合体粉
末を得た。これを50メッシュ(300μm)のふるい
にかけ300μm以下のサイズの粉末を得た。この嵩密
度は605g/リットルであった。
【0450】[実施例9−2〜7] 水性エマルション製造工程 i) 水性エマルション(A−1)の調製 実施例9−1と同様に、水性エマルション(A−1)を
調製した。
【0451】ii) 水性エマルション(A−2)の調製 実施例9−1に示した水性エマルション(A−1)の調
製方法と同様に、表6−1に示すモノマー組成で、pH
=9、樹脂分=45%の水性エマルション(A−2)を
得た。 iii) 水性エマルション(A−3)の調製 攪拌機付きオートクレーブに、純水790g、ラウリル
硫酸ナトリウム2g部、重炭酸ソーダ1gを仕込み、窒
素雰囲気中、攪拌下、温度70℃で過硫酸カリウム10
gを添加した。一方、下記組成の乳化液を準備し、上記
の水溶液に6時間かけて滴下し、6時間同温度に保っ
た。 純水 400g ラウリル硫酸ナトリウム 3g スチレン 280g ブタジエン 700g アクリル酸 20g t−ドデシルメルカプタン 3g 得られたSBRラテックスに、アンモニア水と純水を添
加して、pH=9、樹脂分=45%の水性エマルション
(A−3)を調製した。 保護コロイド製造工程 実施例9−1と同様な操作で、保護コロイド(B−2)
〜(B−7)を調製した。 混合工程 水性エマルション(A−1)に、保護コロイド(B−
2)〜(B−7)のそれぞれを、ソリッド比で50/5
0になるように混合攪拌した。 凝集物製造工程 実施例9−1と同様な操作で、再乳化性重合体粉末を得
た。
【0452】[実施例9−8]水性エマルション(A−
1)と保護コロイド(B−2)をソリッド比で70/3
0になるように混合攪拌したのち、実施例9−2と同様
な操作で再乳化性重合体粉末を得た。
【0453】[実施例9−9]実施例9−2で凝集体を
得るために使用した45%硫酸アルミニウム水溶液の代
わりに、10%硫酸第二鉄水溶液を225g添加した以
外は実施例9−2と同様にして再乳化性重合体粉末を得
た。
【0454】[実施例9−10]実施例9−2で水性エ
マルションと保護コロイドの混合物の温度を70℃にし
てから45%硫酸アルミニウムを添加した以外は、実施
例9−2と同様な操作で再乳化性重合体粉末を得た。実
施例9−2と比較して凝集塊が大きく濾過による固液分
離時間が1/10に短縮され、作業性が向上した。
【0455】[実施例9−11]実施例9−2で凝集体
を得るために使用した45%硫酸アルミニウム水溶液の
代わりに、10%塩化カルシウム水溶液を225g添加
した以外は、実施例9−2と同様な操作で再乳化性重合
体粉末を得た。
【0456】[実施例9−12]実施例9−11で、多
価金属塩を添加する前に硫酸で水性エマルションと保護
コロイドの混合物のpHを4に調整し、その後、多価金
属塩として10%塩化カルシウム水溶液を225g添加
した以外は、実施例9−11と同様な操作で再乳化性重
合体粉末を得た。実施例9−11と比較して凝集塊が大
きく濾過による固液分離時間が1/3に短縮され、作業
性が向上した。
【0457】[実施例9−13]実施例9−2で添加し
た45%硫酸アルミニウムの量を6.5gにした以外
は、実施例9−2と同様にして再乳化性重合体粉末を得
た。
【0458】[実施例9−14]実施例9−2で凝集体
を濾過分別する際に、充分な純水で洗浄を繰り返した以
外は実施例9−2と同様にして再乳化性重合体粉末を得
た。これと実施例9−2の再乳化性重合体粉末とをそれ
ぞれ1%水酸化ナトリウム水溶液に添加して再乳化液を
得、これらをガラス板に塗布し3日間室温で乾燥させた
膜を水に浸漬したところ、実施例9−14の方が耐水性
に優れていた。
【0459】[実施例9−15]水性エマルション(A
−2)に保護コロイド(B−1)をソリッド比で50/
50になるように混合攪拌したのち、実施例9−1と同
様な操作で再乳化性重合体粉末を得た。
【0460】[実施例9−16]水性エマルション(A
−2)に保護コロイド(B−2)をソリッド比で50/
50になるように混合攪拌したのち、実施例9−2と同
様な操作で再乳化性重合体粉末を得た。
【0461】[実施例9−17]水性エマルション(A
−3)に保護コロイド(B−2)をソリッド比で50/
50になるように混合攪拌したのち、実施例9−1と同
様な操作で再乳化性重合体粉末を得た。
【0462】[比較例9−1〜3]水性エマルション
(A−1)〜(A−3)のそれぞれを樹脂分10%に純
水で希釈した後、希釈品1000gに室温で45%硫酸
アルミニウム水溶液を50g添加するとどれも凝集体が
生成した。この凝集体を濾過により固液分離したのち、
80℃で残存水分量が2%以下になるまで乾燥した。し
かし、乾燥した凝集体はどれも柔らかく粉砕が不可能で
あった。再乳化性の評価は粉砕せずに行った。
【0463】[比較例9−4]実施例9−1〜8および
実施例9−15〜17で調製した水性エマルションと保
護コロイドの混合物それぞれを、入口空気温度120
℃、出口空気温度60℃で噴霧乾燥することによって再
乳化性重合体粉末を得た。どの混合物も乾燥塔内壁に多
量の付着物が生じ、収率は30%以下であり、再乳化性
も著しく劣っていた。
【0464】[比較例9−5]実施例9−2で添加した
45%硫酸アルミニウムの量を0.01gにした以外
は、実施例9−2と同様にして再乳化性重合体粉末を得
ようとしたが、凝集体が生成しなかった。
【0465】[評価例9−1]評価例1−1と同様に収
率を算出し、等級付けた。
【0466】[評価例9−2]再乳化性重合体粉末から
評価例1−2同様にして再乳化液を調製し評価した。た
だし、比較例9−1〜3の再乳化性重合体はどれも柔ら
かく粉砕が不可能であったため粉砕せずに、それ以外は
上記と同様の方法で再乳化液を調製した。また、比較例
9−4の噴霧乾燥によって得られた再乳化性重合体は既
に粉末状で得られるため、これらを16メッシュ(1m
m)のふるいにかけ1mm以下の粒子サイズの粉末につ
いて、上記と同様の方法で再乳化液を調製した。
【0467】[評価例9−3]再乳化性重合体粉末を評
価例1−3と同様にセメントに配合し、その練り時間、
作業性、曲げ強度、圧縮強度を試験した。ただし、比較
例9−4の噴霧乾燥によって得られた再乳化性重合体は
既に粉末状で得られるため、これらを80メッシュ(2
00μm)のふるい上の残分が5%以下になるように分
級した粉末について、上記と同様の方法に試験した。
【0468】[評価例9−4]本明細書の実施例9−2
で得られた重合体粉末について評価例7−4と同様にし
て臭気と硬化を評価した。 〈結果〉 臭気:なし。 硬化:終結済み。
【0469】[評価例9−5] セメント中での乳化を
想定した再乳化性の評価 評価例7−5の方法で再乳化性の評価を行った。
【0470】実施例9−2で得られた重合体粉末の上記
再乳化率は40%以上であり良好であった。一方、実施
例9−2の重合体を噴霧乾燥によって乾燥したものは上
記再乳化率は15%以下で不良であった。
【0471】以上の実施例、比較例で使用された水性エ
マルションの組成を表9−1に、保護コロイドの組成を
表9−2に、再乳化性重合体粉末の組成及び評価結果を
表9−3〜表9−14に示す。
【0472】
【表121】
【0473】
【表122】
【0474】
【表123】
【0475】
【表124】
【0476】
【表125】
【0477】
【表126】
【0478】
【表127】
【0479】
【表128】
【0480】
【表129】
【0481】
【表130】
【0482】
【表131】
【0483】
【表132】
【0484】
【表133】
【0485】
【表134】
【0486】
【発明の効果】本発明により、pH5以上の水に対して
実質的に再乳化する機能を有する(共)重合体又は重合
体粉末を得ることができる。これらを、水硬性セメント
改質剤として使用した場合、良好なコテ作業性を示し、
曲げ強度、圧縮強度に優れたセメント硬化物が得られ
る。本発明に係る再乳化性重合体は、抗粘結剤を必要と
しない点で特徴的である。したがって、無機微粉末を添
加する必要がないので、無機微粉末を添加した場合に不
可避な、無機微粉末に起因する吸水性、フロー値の上
昇、微粉末の不均一な浮遊等、を招来せず、しかも、水
/セメント比を小さくすることができる点で特徴的であ
る。さらには、無機微粉末を添加する必要がないので、
得られたセメント製品の吸水性が大きくなることもな
い。本発明に係る再乳化性重合体は、通常の水性エマル
ションと比較し、少なくとも、以下の点で有利である。 流通・輸送・保管に要するコスト・エネルギーを低
減できる。 大型の液体用容器が不要なため、梱包コストを低減
できる。 大型の液体用容器が不要なため、産業廃棄物を低減
できる。 プレミックス化ワンパッケージ製品とした場合は、
施工現場における計量操作がほとんど不要であるので、
大幅な省力化を実現できる。 プレミックス化ワンパッケージ製品とした場合は、
粉末と水を混合することにより、ワン・ステップで所望
のモルタルやコンクリートを調製できるので、大幅な省
力化を実現できる。 プレミックス化ワンパッケージ製品とした場合は、
予め、所望の処方に正確に計量してあるので、施工時に
おけるモルタルやコンクリートの品質管理が容易にな
る。
【0487】在来型噴霧乾燥法を採用した従来技術によ
り製造した再乳化性重合体は、少なくとも以下の点で不
利であった。 粒子同士が熱的に融着しやすく、再乳化性が必ずし
も満足できるものではない。 コンベンショナル・スプレードライ法(在来型噴霧
乾燥法)は、装置が大規模であり、かつ、大量のエネル
ギーを消費するので、コスト面で不利である。しかる
に、本発明によりこのような問題点は解決された。本発
明により、セメント改質剤として使用した場合に、引張
り強度、曲げ強度、圧縮強度、接着強度、耐摩耗性等を
付与することができる。本発明においては、抗粘結剤
(例えば、無機微粉末、成膜性のない有機微粉末等)を
必ずしも必要としないという点で特徴的であり、セメン
ト改質剤以外の用途として、例えば、土木建築材料、紙
加工剤、塗料、接着剤、繊維処理剤等の、通常の水性エ
マルションが使用されている幅広い分野への応用が可能
である。
フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平7−325743 (32)優先日 平7(1995)12月14日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平7−339041 (32)優先日 平7(1995)12月26日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平7−339042 (32)優先日 平7(1995)12月26日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平8−27653 (32)優先日 平8(1996)2月15日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平8−27654 (32)優先日 平8(1996)2月15日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平8−27655 (32)優先日 平8(1996)2月15日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平8−35067 (32)優先日 平8(1996)2月22日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平8−35068 (32)優先日 平8(1996)2月22日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平8−35069 (32)優先日 平8(1996)2月22日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 菊田 佳男 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シェルによりコア表面の少なくとも一部
    が被覆されたコア/シェル構造を有し、前記コアは、繰
    り返し単位に、一般式(1)(化1)で表されるペンダ
    ント基を有する繰り返し単位からなる群、及び、一般式
    (2)(化1)で表されるペンダント基を有する繰り返
    し単位からなる群から選択された少なくとも1種の繰り
    返し単位を0重量%以上40重量%未満有する(共)重
    合体(α2)であり、 【化1】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
    一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
    又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
    である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
    30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
    22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
    〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
    0である)) 前記シェルは、繰り返し単位に、一般式(1)(化1)
    で表されるペンダント基を有する繰り返し単位からなる
    群、及び、一般式(2)(化1)で表されるペンダント
    基を有する繰り返し単位からなる群から選択された少な
    くとも1種の繰り返し単位を20重量%以上100重量
    %以下有する(共)重合体(α1)であり、かつ、 (α1)及び(α2)の合計重量に対して、(α1)が
    15〜85重量%であり、(α2)が85〜15重量%
    であり、かつ(α1)中の一般式(1)及び/又は
    (2)で表されるペンダント基を有する少なくとも1種
    の繰り返し単位の含有率が(α2)中の該少なくとも1
    種の繰り返し単位の含有率より高いことを特徴とする粒
    子からなる、pH5以上の水に対して実質的に再乳化す
    る機能を有する(共)重合体。
  2. 【請求項2】 粒子(A)、及び、保護コロイドからな
    る混合物であって、 前記粒子(A)は一般式(1)(化2)で表されるペン
    ダント基を有する繰り返し単位からなる群、及び、一般
    式(2)(化2)で表されるペンダント基を有する繰り
    返し単位からなる群から選択された少なくとも1種の繰
    り返し単位を0重量%以上40重量%未満有する(共)
    重合体(α2)であり、 【化2】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
    一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
    又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
    である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
    30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
    22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
    〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
    0である)) 前記保護コロイドは、繰り返し単位に、一般式(1)
    (化2)で表されるペンダント基を有する繰り返し単位
    からなる群、及び、一般式(2)(化2)で表されるペ
    ンダント基を有する繰り返し単位からなる群から選択さ
    れた少なくとも1種の繰り返し単位を20重量%以上1
    00重量%以下有する(共)重合体(α1)であり、か
    つ、 (α1)及び(α2)の合計重量に対して、(α1)が
    15〜85重量%であり、(α2)が85〜15重量%
    であり、かつ(α1)中の一般式(1)及び/又は
    (2)で表されるペンダント基を有する少なくとも1種
    の繰り返し単位の含有率が(α2)中の該少なくとも1
    種の繰り返し単位の含有率より高いことを特徴とする粒
    子からなる、pH5以上の水に対して実質的に再乳化す
    る機能を有する(共)重合体。
  3. 【請求項3】 (α1)及び(α2)を構成する繰り返
    し単位のうち、一般式(1)及び/又は(2)で表され
    るペンダント基を有する少なくとも1種の繰り返し単位
    以外の他の繰り返し単位が一般式(v)、(w)、
    (x)、(y)又は(z)(化3)の少なくとも1種以
    上で構成されていることを特徴とする請求項1乃至2記
    載のいずれかの(共)重合体。 【化3】 (一般式(v)−(z)において、R11は水素またはメ
    チル基、R12は水素または炭素原子数1〜12のアルキ
    ル基、R13は水素、炭素原子数1〜20のアルキル基、
    炭素原子数1〜20のアルケン基またはフェニル基、R
    14は同一又は別個の水素、または炭素原子数1〜12の
    アルキル基、スルホン酸基またはスルホン酸金属塩基、
    15は炭素原子数1〜6の側鎖を有するか有しない不飽
    和炭化水素である。)
  4. 【請求項4】 (α1)が、一般式(2)(化4)で表
    されるペンダント基を有する繰り返し単位からなる群か
    ら選択された少なくとも1種の繰り返し単位を20重量
    %以上100重量%以下有することを特徴とする請求項
    1乃至3のいずれか記載の、 【化4】 (一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜30の
    アルキレン基であり、または−R3OHが−(R22−O
    −)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2〜5の
    同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜30であ
    る))pH5以上の水に対して実質的に再乳化する機能
    を有する(共)重合体。
  5. 【請求項5】 一般式(2)(化5)で表されるペンダ
    ント基を有する前記少なくとも1種の繰り返し単位が、
    2−ヒドロキシエチルメタクリレートから誘導されたも
    のであることを特徴とする4記載の(共)重合体 【化5】 (一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜30の
    アルキレン基であり、または−R3OHが−(R22−O
    −)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2〜5の
    同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜30であ
    る))
  6. 【請求項6】 工程1(水性エマルション製造工程)と
    して、 一般式(1)(化6)で表されるペンダント基を有する
    エチレン性不飽和単量体からなる群、及び、一般式
    (2)(化6)で表されるペンダント基を有するエチレ
    ン性不飽和単量体からなる群から選択された少なくとも
    1種を20重量%以上100重量%以下含むエチレン性
    不飽和単量体をラジカル(共)重合することにより得ら
    れる保護コロイド(a1)、及び一般式(1)(化6)
    で表されるペンダント基を有するエチレン性不飽和単量
    体からなる群、及び、一般式(2)(化6)で表される
    ペンダント基を有するエチレン性不飽和単量体からなる
    群から選択された少なくとも1種を0重量%以上40重
    量%未満含む共重合体(a2)を構成するエチレン性不
    飽和単量体を、 【化6】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
    一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
    又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
    である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
    30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
    22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
    〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
    0である))を含み、かつ、 (a1)及び(a2)の合計重量に対して、(a1)が
    15〜85重量%であり、(a2)が85〜15重量%
    となり、(a1)中の一般式(1)及び/又は(2)で
    表されるペンダント基を有する少なくとも1種の単量体
    の含有率が(a2)中の該単量体の含有率より高いよう
    にラジカル(共)重合することにより、(共)重合体粒
    子(A)の分散相及び水の連続相からなる、水性エマル
    ションを製造する工程、 工程2(凝集物製造工程)として、工程1で製造した水
    性エマルションに、鉱酸及び/又は有機酸を添加して、
    pH4以下にすることにより(共)重合体粒子(A)を
    凝集させて、(共)重合体の凝集物(A’)を製造する
    工程、とを含んで構成されることを特徴とする、pH5
    以上の水に対して実質的に再乳化する機能を有する
    (共)重合体を製造する方法。
  7. 【請求項7】 工程1(コア粒子重合工程)として、一
    般式(1)(化7)で表されるペンダント基を有するエ
    チレン性不飽和単量体からなる群、及び、一般式(2)
    (化7)で表されるペンダント基を有するエチレン性不
    飽和単量体からなる群から選択された少なくとも1種を
    0重量%以上40重量%未満含む共重合体(a2)を構
    成するエチレン性不飽和単量体を乳化(共)重合して、 【化7】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
    一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
    又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
    である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
    30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
    22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
    〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
    0である))(共)重合体コア粒子(A0)の分散相、
    及び、水の連続相からなる、水性エマルションを製造す
    る工程、 工程2(シェル重合工程)として、工程1で製造した水
    性エマルション中の(共)重合体コア粒子(A0)と、
    一般式(1)(化7)で表されるペンダント基を有する
    エチレン性不飽和単量体からなる群、及び、一般式
    (2)(化7)で表されるペンダント基を有するエチレ
    ン性不飽和単量体からなる群から選択された少なくとも
    1種を20重量%以上100重量%以下の共重合体(a
    1)を構成するエチレン性不飽和単量体を含み、かつ、 (a1)及び(a2)の合計重量に対して、(a1)が
    15〜85重量%であり、(a2)が85〜15重量%
    となり、(a1)中の一般式(1)及び/又は(2)で
    表されるペンダント基を有する少なくとも1種の単量体
    の含有率が(a2)中の該単量体の含有率より高いよう
    に、ラジカル(共)重合することにより、保護コロイド
    からなるシェル(S)を、工程1で製造した水性エマル
    ション中の(共)重合体コア粒子(A0)の粒子表面の
    少なくとも一部に形成させて、シェルによりコア表面の
    少なくとも一部が被覆されたコア/シェル構造を有した
    コア/シェル型(共)重合体粒子(A)の分散相、及
    び、水の連続相からなる、水性エマルションを製造する
    工程、 工程3(凝集物製造工程)として、工程2で製造した水
    性エマルションに、鉱酸及び/又は有機酸を添加して、
    pH4以下にすることによりコア/シェル型(共)重合
    体粒子(A)を凝集させて、(共)重合体の凝集物
    (A’)を製造する工程、とを含んで構成されることを
    特徴とする、pH5以上の水に対して実質的に再乳化す
    る機能を有する(共)重合体を製造する方法。
  8. 【請求項8】 工程1(水性エマルション製造工程)と
    して、一般式(1)(化8)で表されるペンダント基を
    有するエチレン性不飽和単量体からなる群、及び、一般
    式(2)(化8)で表されるペンダント基を有するエチ
    レン性不飽和単量体からなる群から選択された少なくと
    も1種を0重量%以上40重量%未満含むエチレン性不
    飽和単量体を乳化(共)重合体(a2)して、 【化8】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
    一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
    又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
    である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
    30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
    22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
    〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
    0である))(共)重合体コア粒子(A0)の分散相、
    及び、水の連続相からなる、水性エマルションを製造す
    る工程、 工程2(保護コロイド製造工程)として、一般式(1)
    (化8)で表されるペンダント基を有するエチレン性不
    飽和単量体からなる群、及び、一般式(2)(化8)で
    表されるペンダント基を有するエチレン性不飽和単量体
    からなる群から選択された少なくとも1種を20重量%
    以上100重量%以下含むエチレン性不飽和単量体をラ
    ジカル(共)重合することにより保護コロイド(a1)
    を製造する工程、 工程3(混合工程)として、工程1で製造した水性エマ
    ルション、及び、工程2で製造した保護コロイドを、 (a1)及び(a2)の合計重量に対して、(a1)が
    15〜85重量%であり、(a2)が85〜15重量%
    となり、(a1)中の一般式(1)及び/又は(2)で
    表されるペンダント基を有する少なくとも1種の単量体
    の含有率が(a2)中の該単量体の含有率より高く含ま
    れるように混合する工程、 工程4(凝集物製造工程)として、工程3で混合した水
    性エマルション及び工程2で製造した保護コロイドの混
    合物に、鉱酸及び/又は有機酸を添加して、pH4以下
    にすることにより(共)重合体粒子(A)及び保護コロ
    イドを凝集させて、(共)重合体の凝集物(A’)を製
    造する工程、とを含んで構成されることを特徴とする、
    pH5以上の水に対して実質的に再乳化する機能を有す
    る(共)重合体を製造する方法。
  9. 【請求項9】 工程1(水性エマルション製造工程)と
    して、 一般式(1)(化9)で表されるペンダント基を有する
    エチレン性不飽和単量体からなる群、及び、一般式
    (2)(化9)で表されるペンダント基を有するエチレ
    ン性不飽和単量体からなる群から選択された少なくとも
    1種を20重量%以上100重量%以下含むエチレン性
    不飽和単量体をラジカル(共)重合することにより得ら
    れる保護コロイド(a1)、及び一般式(1)(化9)
    で表されるペンダント基を有するエチレン性不飽和単量
    体からなる群、及び、一般式(2)(化9)で表される
    ペンダント基を有するエチレン性不飽和単量体からなる
    群から選択された少なくとも1種を0重量%以上40重
    量%未満含む共重合体(a2)を構成するエチレン性不
    飽和単量体、 【化9】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
    一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
    又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
    である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
    30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
    22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
    〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
    0である))を含み、かつ、 (a1)及び(a2)の合計重量に対して、(a1)が
    15〜85重量%であり、(a2)が85〜15重量%
    となり、(a1)中の一般式(1)及び/又は(2)で
    表されるペンダント基を有する少なくとも1種の単量体
    の含有率が(a2)中の該単量体の含有率より高く含ま
    れるようにラジカル(共)重合することにより、(共)
    重合体粒子(A)の分散相及び水の連続相からなる、水
    性エマルションを製造する工程、 工程2(凝集物製造工程)として、工程1で製造した水
    性エマルションに、金属塩を添加して、(共)重合体粒
    子(A)を塩析させて、(共)重合体の凝集物(A’)
    を製造する工程、とを含んで構成されることを特徴とす
    る、pH5以上の水に対して実質的に再乳化する機能を
    有する(共)重合体を製造する方法。
  10. 【請求項10】 工程1(コア粒子重合工程)として、
    一般式(1)(化10)で表されるペンダント基を有す
    るエチレン性不飽和単量体からなる群、及び、一般式
    (2)(化10)で表されるペンダント基を有するエチ
    レン性不飽和単量体からなる群から選択された少なくと
    も1種を0重量%以上40重量%未満含む共重合体(a
    2)を構成するエチレン性不飽和単量体を乳化(共)重
    合して 【化10】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
    一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
    又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
    である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
    30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
    22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
    〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
    0である))(共)重合体コア粒子(A0)の分散相、
    及び、水の連続相からなる、水性エマルションを製造す
    る工程、 工程2(シェル重合工程)として、工程1で製造した水
    性エマルション中の(共)重合体コア粒子(A0)と、
    一般式(1)(化10)で表されるペンダント基を有す
    るエチレン性不飽和単量体からなる群、及び、一般式
    (2)(化10)で表されるペンダント基を有するエチ
    レン性不飽和単量体からなる群から選択された少なくと
    も1種を20重量%以上100重量%以下含む共重合体
    (a1)を構成するエチレン性不飽和単量体を含み、か
    つ、 (a1)及び(a2)の合計重量に対して、(a1)が
    15〜85重量%であり、(a2)が85〜15重量%
    となり、(a1)中の一般式(1)及び/又は(2)で
    表されるペンダント基を有する少なくとも1種の単量体
    の含有率が(a2)中の該単量体の含有率より高く含ま
    れるようにラジカル(共)重合することにより、保護コ
    ロイドからなるシェル(S)を、工程1で製造した水性
    エマルション中の(共)重合体コア粒子(A0)の粒子
    表面の少なくとも一部に形成させて、シェルによりコア
    表面の少なくとも一部が被覆されたコア/シェル構造を
    有した粒子であるコア/シェル型(共)重合体粒子
    (A)の分散相、及び、水の連続相からなる、水性エマ
    ルションを製造する工程、 工程3(凝集物製造工程)として、工程2で製造した水
    性エマルションに、金属塩を添加して、コア/シェル型
    (共)重合体粒子(A)を塩析させて、(共)重合体の
    凝集物(A’)を製造する工程、とを含んで構成される
    ことを特徴とする、pH5以上の水に対して実質的に再
    乳化する機能を有する(共)重合体を製造する方法。
  11. 【請求項11】 工程1(水性エマルション製造工程)
    として、一般式(1)(化11)で表されるペンダント
    基を有するエチレン性不飽和単量体からなる群、及び、
    一般式(2)(化11)で表されるペンダント基を有す
    るエチレン性不飽和単量体からなる群から選択された少
    なくとも1種を0重量%以上40重量%未満含むエチレ
    ン性不飽和単量体を乳化(共)重合して(共)重合体
    (a2)にして、 【化11】 (一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ、同
    一又は別個の、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基
    又は炭素原子数1〜12の−OH基を有するアルキル基
    である。一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜
    30のアルキレン基であり、または−R3OHが−(R
    22−O−)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2
    〜5の同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜3
    0である))(共)重合体コア粒子(A0)の分散相、
    及び、水の連続相からなる、水性エマルションを製造す
    る工程、 工程2(保護コロイド製造工程)として、一般式(1)
    (化11)で表されるペンダント基を有するエチレン性
    不飽和単量体からなる群、及び、一般式(2)(化1
    1)で表されるペンダント基を有するエチレン性不飽和
    単量体からなる群から選択された少なくとも1種を20
    重量%以上100重量%以下含むエチレン系不飽和単量
    体を、ラジカル(共)重合することにより保護コロイド
    (a1)を製造する工程、 工程3(混合工程)として、工程1で製造した水性エマ
    ルション、及び、工程2で製造した保護コロイドを、
    (a1)及び(a2)の合計重量に対して、(a1)が
    15〜85重量%であり、(a2)が85〜15重量%
    となり、(a1)中の一般式(1)及び/又は(2)で
    表されるペンダント基を有する少なくとも1種の単量体
    の含有率が(a2)中の該単量体の含有率より高く含ま
    れるように混合する工程、 工程4(凝集物製造工程)として、工程3で混合した水
    性エマルション及び保護コロイドの混合物に、金属塩を
    添加して、(共)重合体粒子(A)及び保護コロイドを
    塩析させて、(共)重合体の凝集物(A’)を製造する
    工程、とを含んで構成されることを特徴とする、pH5
    以上の水に対して実質的に再乳化する機能を有する
    (共)重合体を製造する方法。
  12. 【請求項12】 (a1)が、一般式(2)(化12)
    で表されるペンダント基を有するエチレン性不飽和単量
    体からなる群から選択された少なくとも1種を用いて得
    られるとを特徴とする、請求項6乃至請求項11の何れ
    かに記載の製造方法。 【化12】 (一般式(2)において、R3は炭素原子数1〜30の
    アルキレン基であり、または−R3OHが−(R22−O
    −)n−Hである。(但し、R22は炭素原子数2〜5の
    同一又は異なるアルキレン基であり、nは2〜30であ
    る)) pH5以上の水に対して実質的に再乳化する機能を有す
    る(共)重合体を製造する方法。
  13. 【請求項13】 前記少なくとも1種の単量体が、2−
    ヒドロキシエチルメタクリレートであることを特徴とす
    る、請求項12記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項6乃至請求項13の何れかに記
    載の製造方法により得られる、pH5以上の水に対して
    実質的に再乳化する機能を有する(共)重合体。
  15. 【請求項15】 シェルによりコア表面の少なくとも一
    部が被覆されたコア/シェル構造を有した粒子であっ
    て、前記コアは、水に不溶性な(共)重合体であり、前
    記シェルは、pH5以上で水溶性である(共)重合体で
    あり、pH5以上で実質的に再乳化可能な(共)重合
    体。
  16. 【請求項16】 シェルによりコア表面の少なくとも一
    部が被覆されたコア/シェル構造を有した粒子であっ
    て、前記コアは、水に不溶性な(共)重合体であり、前
    記シェルは、pH5以上で水溶性である(共)重合体で
    あり、かつ該シェルがコア/シェル全重量に対して15
    重量%以上である、pH5以上で実質的に再乳化可能な
    (共)重合体。
  17. 【請求項17】 シェルによりコア表面の少なくとも一
    部が被覆されたコア/シェル構造を有し、前記コアは、
    ガラス転移温度が、−40〜30℃であり、前記シェル
    のガラス転移温度がコアのガラス転移温度より少なくと
    も10℃以上、高くかつ粒子全重量に対して15重量%
    以上であり、かつpH4以下で凝集する機能を有する実
    質的に粒子相互間でブロッキング性のない粒子。
  18. 【請求項18】 乾燥状態に換算して、水硬性セメント
    に対して、請求項1乃至請求項5及び請求項14乃至1
    7の何れかに記載の(共)重合体を、0.5〜60重量
    %を含むことを特徴とする、水硬性セメント組成物。
  19. 【請求項19】乾燥状態に換算して、水硬性セメントに
    対して、0.5〜60重量%に相当する、請求項1乃至
    請求項5及び請求項14乃至17の何れかに記載の
    (共)重合体を添加した水硬化性セメント組成物を、水
    と共に混合し得られたセメント組成物を打設し、セメン
    ト硬化体を形成する方法。
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