JPH09286729A - タバコ代用品 - Google Patents

タバコ代用品

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JPH09286729A
JPH09286729A JP20355796A JP20355796A JPH09286729A JP H09286729 A JPH09286729 A JP H09286729A JP 20355796 A JP20355796 A JP 20355796A JP 20355796 A JP20355796 A JP 20355796A JP H09286729 A JPH09286729 A JP H09286729A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期喫煙停止プログラムの一部として利用す
ることができるニコチン含有剤形を提供する。 【解決手段】 下記のものを含む、患者へのニコチンの
経粘膜送逹に用いるための選択的に取り出し可能なニコ
チン含有剤形。 (a) 患者の口腔内で溶解性のマトリックス; (b) 該マトリックス中に分散された薬学的に有効用量の
ニコチンであって、該患者の口の中で該マトリックスが
溶解するときに、該薬学的に有効用量のニコチンが該患
者の口、咽頭、及び食道の粘膜組織からの吸収のために
放出されるニコチン; (c) 該患者の口の中の唾液pHを僅かに変える緩衝剤;
及び (d) 該マトリックスにしっかり取り付けられたホルダー
部材であって、該ニコチン含有剤形の取扱いを容易にし
かつ該患者の口からの該剤形の選択的出し入れが可能に
なるように形造られたホルダー部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、広くは、ある用量
のニコチンを投与するためのタバコ代用品に関する。よ
り特定的には、本発明は、効果的なタバコ停止プログラ
ムの一部として又は喫煙が望ましくないか又は許されな
い状況で用いることができるホルダーを有するニコチン
含有剤形に向けられている。
【0002】
【従来の技術】ニコチンは、末梢及び中枢神経系(CN
S)において刺激及び鎮静の両作用を有するタバコの中
に見出される天然に存在する薬物である。かくして、ニ
コチンは、CNS作用薬物の広いカテゴリーの中に含ま
れる。ニコチンは、不快で刺激性の臭気と辛くて焼ける
ようなしつこい味を有する塩基性の無色〜淡黄色の非常
に吸湿性のオイル様揮発性液体として存在する。ニコチ
ンは、殆どあらゆる酸と塩を形成するので、いろいろな
塩の形で存在する。ニコチンは、非常に毒性であると考
えられ、その毒性作用は急激な過剰投与の後に急速に現
れる。噛んだり、嗅いだり又は吸ったりしてタバコから
ニコチンを得る場合、体内に吸収されるニコチンの量
は、一般的には毒性レベルまでは達しない。
【0003】ニコチンは多くの異なる経路で体内に導入
され得る。ニコチン使用の最も普及している様式の1つ
に、紙巻きタバコの喫煙がある。紙巻きタバコ中のタバ
コに火を着けると、燃焼過程でニコチン蒸気の放出が起
こる。“タール”の微細粒子上に漂っている紙巻きタバ
コの煙の中のニコチンは、肺を通って素早く吸収され
る。紙巻きタバコの煙を介する体内へのニコチンの吸収
は静脈内投与と殆ど同じ速さであり、そのニコチンはタ
バコの煙を吸入した後8秒以内に脳に達する。
【0004】不運にも、このようにして体内にニコチン
を入れると、多くの他の化合物も体内に入ってしまう。
タバコの燃焼過程は複雑で、約4,000の化合物が燃
焼中に発生する。これら発生する化合物のうち、非常に
望ましくない作用をもたらす化合物は、一酸化炭素、二
酸化炭素、酸化窒素、アンモニア、及び他の多くの物質
の如き化合物である。加えて、多くの物質は“タール”
として肺の中に残る。タバコを燃やすことによるこれら
種々の物質には、甚だしい長期健康作用を有すると考え
られる多くのものが含まれる。このことの故に、近年、
喫煙は益々嫌われており、そして間接吸入の故に、個人
が喫煙してもよい場所に制限がなされている。
【0005】これら及び他の望ましくない副作用の故
に、紙巻きタバコに対する受け入れ可能な代用品を提供
するための多くの試みがなされてきた。これら代用品の
殆どは、タバコ中の依存症惹起成分であると広く考えら
れているニコチンを含有している。社会的応援、環境的
要因(例えば、広告)、及び学習行動の如き他の要因
も、タバコ依存症に寄与し得る。
【0006】殆どのヘビースモーカーは、あたかも比較
的狭い範囲内のニコチン濃度に調節しようと試みている
ようにみえる。例えば、比較的高含量のニコチンを含む
紙巻きタバコをヘビースモーカーに与えると、彼らは、
喫煙する紙巻きタバコの本数を少なくしそして彼らの吸
入パターンを変えることにより、血漿中のニコチンの濃
度を彼らの平常のものよりも僅かに高いだけのものにす
る傾向がある。同じく、ヘビースモーカーに非常に低ニ
コチン含量の紙巻きタバコを与えると、彼らは彼らの吸
入パターンを変えるか又は喫煙する紙巻きタバコの本数
を増やして血漿ニコチン濃度の低下を避けようとする。
このことは、血漿ニコチン濃度を特定の範囲内に調節す
ることを見込んだ、紙巻きタバコを模倣する紙巻きタバ
コ代用品がスモーカーには最もよく役立ち得ることを示
唆している。同じように、噛みタバコ又は他の形態のタ
バコの使用者は、特定のタバコ形態を使用することに伴
う血漿レベルを模倣することができる代用品を必要とし
ている。
【0007】タバコの使用を止めた後に禁断症状が現れ
るが、これは人によってその強さ及び特有の徴候及び症
状が異なる。大きく変わるとはいえ、最も普遍的な徴候
及び症状は、タバコの欲求、短気、不安、落ち着きなさ
及び集中困難である。嗜眠状態、頭痛、食欲増進、不眠
症、及び胃腸病訴も共通する。この中止時間中にニコチ
ンを補充すると、ある場合には、喫煙を止めようとする
願いが叶う割合が高まることが分かっている。
【0008】現在利用可能な代用品には、ニコチンガ
ム、舌下ロゼンジ剤、錠剤、鼻内噴霧剤、蒸気吸入剤、
及びパッチ剤が含まれる。これら代用品は、ニコチンは
粘膜及び皮膚から容易に吸収されるという事実に拠って
いる。ニコチンは強塩基であるので、小腸からのその吸
収はそのpHが上がらなければ限界がある、ところでニ
コチンは最初に肝臓を通過する間に急速かつ広範に代謝
されるのである。
【0009】これら利用可能な代用品は、紙巻きタバコ
を吸うことに伴う健康上の危険を取り除きはするが、ス
モーカーの要求を十分には満たさない。
【0010】スモーカーがニコチンガムを使用するとき
は、彼らが喫煙しようとする衝動を持っても持たなくて
も、しばしば一片のガムを噛むように勧められる。その
指導書は、一般に、僅かにぴりぴりする刺激が口の中で
知覚されるまでそのガムを非常にゆっくり噛むことを勧
めている。このぴりぴりする刺激を感じると、次はガム
を噛むことを止めてこのぴりぴりする刺激が殆ど無くな
るまで(通常約1分以内)待つことが勧められる。次い
で、この噛む行為を周期的に約30分間繰り返す。この
咀しゃく法は、ガムからのニコチンの一定でゆっくりし
た口腔内吸収を得るようにデザインされている。ゆっく
りした一定の吸収を得ることにより、血流中のニコチン
レベルを一定レベルに維持することができる。ニコチン
の血中レベルが低くて一定だとニコチン禁断症状の幾つ
かが軽減されることを示す幾つかの証拠があるが、タバ
コに対するスモーカーの欲求は、比較的低い一定レベル
のニコチンによっては静まらない。これが、喫煙から生
じるニコチンレベルが、血流中の経時的ニコチン濃度の
点で、ニコチンガムを用いたときに達成される血流中の
ニコチンレベルとは劇的に異なる理由である。
【0011】喫煙によりニコチンを吸入すると、ニコチ
ンが肺から急速に吸収されて、血流中のニコチンの初期
のピークが訪れてからその後小さくなってゆく。紙巻き
タバコによりもたらされる血中レベルのピークは、ガム
又は経皮的なシステムから得られるムラのないレベルよ
りも高くてしかも鋭い。喫煙からのニコチン血中濃度の
初期ピークは、一般に、30〜40ng/mlである。
更には、このピークは、約10分以内に達成される。紙
巻きタバコを止めた初期段階における欲求をより完全に
軽減するには、おそらく急上昇作用が必要であろうとい
う研究結果がある。Russell, M.A.H., In Nicotine Rep
lacement: A Critical Evaluation, Pomerleau, O.F.と
Pomerleau, C.S.編, Alan R. Liss, Inc., New York,
1988, pp. 63-94 を参照のこと。Russell は、少なくと
も10ng/mlのニコチン血中レベルに10分以内に
上昇すると、CNS及び自律神経節中のニコチン受容体
においてシナプス後作用を得ることが必要になることを
示している。これらシナプス後作用は、紙巻きタバコの
スモーカーにより経験されるめまい又は眩暈感の如きド
ラッグ様の“ハイな”感じの原因であり得る。かくし
て、ニコチンが紙巻きタバコを吸うことにより送り込ま
れる様子を再現又は模倣するやり方でニコチンを送り込
むことができる場合には、紙巻きタバコに対するスモー
カーの欲求を軽減することができる。ニコチンガムの断
続的咀しゃくによりもたらされるゆっくりした一定の吸
収は、この結果をもたらすことができない。
【0012】紙巻きタバコを吸うことによりニコチンが
吸入される様子を模倣しようとするには、使用者はより
積極的にニコチンガムを噛めばよい。しかしながら、ニ
コチンガムをあまりに速く噛むとニコチンが過剰に放出
されて、吐き気、しゃっくり、及び喉の刺激の如き、過
剰な喫煙の場合と似た副作用が起こり得るので、これは
一般に推奨できない。ニコチンガムを積極的に噛むと、
口腔部位でたやすく吸収できるよりも多くのニコチンが
放出されるので、大量のニコチンが飲み込まれることに
なる。あまりに多くのニコチンを飲み込むと、その結果
起こる吐き気は、殆ど嘔吐を起こすほどになる。かくし
て、ニコチンガムでは、紙巻きタバコを吸うことにより
得られるのと同じようなニコチン血漿濃度曲線を安全に
得ることができない。
【0013】加えて、ニコチンガムの使用は、何か儀式
的に口の中に入れて口から出すものが欲しいというスモ
ーカーの心理的要求に応えていない。ニコチンガムは、
長期治療として許容するのが難しいともいえる。ニコチ
ンガム製剤の有用性はそれらの味が悪いために限界があ
り、義歯装着者は効果的に用いることができず、そして
口内潰瘍及び胸焼けを起こし得る。更には、血液中のニ
コチン濃度を適切に調節することが課されるに違いない
その特有の咀しゃく法の故に、ニコチンガムを使用して
ヘビースモーカーにより望まれるような比較的狭い血漿
濃度内にニコチンレベルを調節することは難しいといえ
る。錠剤型喫煙代用品も類似の欠点を持っている。
【0014】ニコチンを含有する経皮パッチ剤も開発さ
れている。これらパッチ剤は、人の皮膚に貼るようにデ
ザインされている。そうすると、パッチ剤中のニコチン
が皮膚から吸収される。このニコチンパッチ剤の簡便さ
の故に、患者の承諾率は通常高い。経皮パッチ剤は、定
期的に交換できるように開発されている。例えば、日に
1回又は週に多分1回交換すればよいパッチ剤が利用可
能である。ニコチンパッチ剤は、血漿中で定常状態のニ
コチン濃度を維持できるようなやり方で、ニコチンを送
り込むことができる。これで、定期的に摂らなければな
らないガム又は錠剤を用いる場合に起こる変動がなくな
る。
【0015】ニコチンガムの場合と同じく、体内へのニ
コチンのその送り込みは比較的一定速度である。かくし
て、これらパッチ剤は、紙巻きタバコを吸うことにより
得られる血漿ニコチン濃度曲線をそっくり真似ることは
できない。加えて、これらパッチ剤を誤って用いると重
い中毒になり得る。例えば、個体がパッチ剤を貼ってか
ら数本の紙巻きタバコを吸うと、血漿ニコチン濃度はそ
の個体のそれまでのものよりもずっと高くなるであろ
う。これではニコチン過量となる。
【0016】ニコチンパッチ剤を用いる場合は、他の事
柄を考慮しなければならない。平均的成人のニコチンの
致死量は約60mgである。1本の紙巻きタバコは約1
mgのニコチンを送り込む。従って、12又は24時間
有効であるパッチ剤は、30〜60mgのニコチンを含
有することができる。これは、パッチ剤からのニコチン
の送り込みが大きく増加すると潜在的に致死量に相当す
るので、安全性の懸念が浮かび上がってくる。これは、
患者が加温パッド又は温水ベッドの上に横たわった場合
に起こるかも知れない。加えて、例えば、このパッチ剤
がみだりに変造されたり子供により飲み込まれたりする
と、中毒が起こり得る。更には、ニコチンパッチ剤は、
紙巻きタバコ欲求の心理的側面に応えるための経口的刺
激を提供しない。
【0017】かくして、現在の紙巻きタバコ代用品は、
幾つかの肉体的ニコチン禁断症状を軽減するのに役立つ
十分なニコチンを送り込むことができるが、それらは、
紙巻きタバコを吸って得られるニコチン血中濃度の急激
な上昇を提供することができない。また、それらは、喫
煙を止めようとしている者の心理的要求に応えることも
できない。ここ数年の間、多くの喫煙の儀式的行為が開
発されている。そのような儀式的行為の1つは、何かを
周期的に人の口の中に入れたり出したりするものであ
り、口に紙巻きタバコを加えているという経口的刺激が
伴うものである。
【0018】更に、医者がベースラインニコチン又はコ
チニンレベルを測定せずかつガム、錠剤及び/又はパッ
チ剤の適切な使用法を患者に教えないので、患者は通常
は過小投与されている。このことは、幾分低レベルでは
あるがパッチ剤及びガムで成功していることを示してい
るといえる。幾つかの研究で、指示の下でニコチンパッ
チ剤を用いた人々の約20%が何とか喫煙を止められた
に過ぎないことが示されている。ニコチンガムを用いた
他の検討でも同じような結果が示された。ニコチン鼻内
噴霧剤も、鼻粘膜への痛み又は過敏症の如き問題を起こ
す。そして、ニコチンの適切な血漿レベルを実現するこ
とができるが、経口的満足感及び感覚的儀式的行為は満
たされないままである。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、長期
喫煙停止プログラムの一部として利用することができる
ニコチン含有剤形を提供することである。
【0020】本発明の他の目的は、喫煙が許されないか
又は望ましくないときにいつでも喫煙代用品として用い
るのに適するニコチン含有剤形を提供することである。
【0021】本発明の更なる目的は、喫煙禁断症状を軽
減する範囲内のニコチン血漿濃度を維持することができ
るニコチン含有剤形を提供することである。
【0022】本発明のなお更なる目的は、紙巻きタバコ
吸うことにより達成されるのと類似のニコチン血漿濃度
を提供することができるニコチン含有剤形を提供するこ
とである。
【0023】本発明のなおも他の目的は、喫煙を止めよ
うと望んでいる個体の心理的要求の幾つかに応えるニコ
チン含有剤形を提供することである。
【0024】本発明のなお更なる目的は、義歯又は他の
歯科的装具を装着している人々により用いられるのに適
しているニコチン含有剤形を提供することである。
【0025】本発明の他の目的は、用いるのが容易なの
で患者の承諾を促進するニコチン含有剤形を提供するこ
とである。
【0026】本発明のなおも他の目的は、患者の個々の
欲求に打ち勝つ量のニコチンを患者が自己投与できるよ
うにすることにより紙巻きタバコに対する欲求をなくす
ることである。
【0027】本発明のなおも他の目的は、突破欲求 (br
eakthrough craving) が起こったときにそれらを処置す
る用量を個体が制御できるように、パッチ剤と共に用い
ることができるニコチン含有剤形を提供することであ
る。
【0028】本発明のなお更なる目的は、ニコチンを患
者が自己投与できるようにすることによりその欲求をな
くすることである。
【0029】本発明のなお更なる目的は、ベースライン
ニコチン血漿濃度レベルを上昇させることなく、再発を
経験する患者に時折り起こる衝動を抑制することを可能
にするニコチン含有剤形を提供することである。
【0030】上記の目的を達成するために、及びここに
具体的に示しかつ概略的に記載した本発明に従って、ニ
コチン含有剤形を提供する。この剤形は、ホルダー部材
に取り付けられたニコチン含有組成物を有するように形
作られている。ニコチンはその剤形から放出され、そし
てニコチン含有組成物が使用者の口内でニコチンを放出
すると口内粘膜表面から吸収される。ホルダー部材は、
その剤形の使用者の口から及び口の中への出し入れを容
易にする。使用者は、その剤形の出し入れを望み通りに
選択的に行って、使用者の個々の欲求を満たすためにニ
コチンの放出を選択的に制御することができる。加え
て、使用者は、紙巻きタバコを吸うのと類似の使用者の
儀式的経口刺激の心理的要求又は欲求を満たすやり方
で、その剤形を出し入れすることができる。
【0031】これら及び他の目的及び本発明の特徴は、
以下の説明及び添付の請求の範囲からより十分に明らか
になるであろう。さもなければ、以下に示す本発明の実
施態様から知ることができる。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明の上に列挙した利
点及び他の利点及び上に列挙した目的及び他の目的を得
るために、上に簡潔に記載した本発明のより特定的な説
明が、添付の図面に示されたその具体的態様を参照する
ことによって与えられよう。これら図面は本発明の典型
的な態様を示しているに過ぎず、従ってその範囲を限定
するものと解釈されるべきではないことが理解されるこ
とを前提として、添付の図面を用いることにより本発明
を更に具体的かつ詳細に記載しかつ説明する。
【0033】図1は、血清ニコチン濃度を比較したもの
で、その血漿レベルが紙巻きタバコ、鼻内噴霧剤、ガム
及び本発明品の適用後に個体内で変化することを示して
いる。
【0034】図2は、緩衝剤処理吸収速度 vs 未緩衝剤
処理吸収速度を示す比較グラフである。
【0035】図3は、非分解性剤形を示す。
【0036】図4は、変化するニコチン濃度のカシェ剤
を有する分解性剤形を示す。
【0037】図5〜9は、可変量及び可変濃度のニコチ
ンを投与することができる非分解性剤形を示す。
【0038】図10〜15は、ニコチンを変化する濃度
で投与するための一連の分解性剤形であって、そのうち
のあるものが圧縮粉末から形成されている剤形を示す。
【0039】本発明は、喫煙代用品、つまり喫煙停止補
助具として、又は、後で説明するように、大腸炎、トゥ
レット症候群、パーキンソン病、及びアルツハイマー病
の如き病気の治療に使用するための、患者へのニコチン
の経粘膜送逹を容易にする組成物及びその製造方法に関
する。簡単に言うと、本発明は、口、咽頭、及び食道の
粘膜組織からのニコチンの経皮送逹を可能にする選択的
に取り出し可能なニコチン含有剤形に関する。本発明の
ニコチン含有剤形は、紙巻きタバコを吸うことにより達
成される血中ニコチン濃度と類似の血中ニコチン濃度を
達成することによってスモーカーが現すニコチンの肉体
的欲求に応えるやり方で、ニコチンを患者の血液中に送
り込むことができる。加えて、本発明のニコチン含有剤
形は、所望により、この剤形の患者の口から及び口への
出し入れを繰り返すことに伴う肉体的動作及び経口的刺
激の機会を患者に提供することにより、スモーカーが現
すニコチンの心理的欲求の幾つかに応えるものである。
【0040】本発明は、ニコチン含有経皮送逹システ
ム、又はニコチン含有ガム、錠剤、鼻内噴霧剤、若しく
はロゼンジ送逹システムのいずれかに関連する幾つかの
限界を克服する。本発明の主要な利点の1つは、この剤
形から時間をかけて放出されるニコチンの量を、例え
ば、この剤形の消費速度を変化させたりこの剤形を口か
ら出したりそれを再び入れたりする如き患者が制御する
行為により及び/又はこの剤形の特定部分から放出され
る吸収可能なニコチンの濃度に影響を及ぼす考案的脚色
により、選択的に変えられる能力である。
【0041】本発明のニコチン含有剤形で、血中ニコチ
ン濃度の比較的急速な初期増加を達成した後により低い
血中ニコチン濃度をある時間維持することにより、紙巻
きタバコを吸うことによって達成されるパターンを模倣
することが可能である。かくして、本発明のニコチン含
有剤形は、現時点で利用可能なニコチン送逹システムよ
りも満足できる喫煙代用品を提供することができる。こ
の能力は、普及している幾つかの剤形の投与の効果を示
す図1で証明されている。紙巻きタバコを吸った後に血
清ニコチンがまずピークに達してから徐々に低下するこ
とが示されている。鼻内噴霧剤はこのグラフ上の紙巻き
タバコの曲線に最もよく似ているが、鼻内噴霧剤は経口
剤形の心理的恩恵を与えない。試験した経口剤形のう
ち、本発明品 (OT−NCとして示している) は、紙巻
きタバコの生理学的及び心理的作用を真似る最も大きな
可能性を有している。この剤形を舐める速度及び強さを
加減することにより、個体の特有の欲求を満足させるよ
うに血清レベルを変えることができる。かくして、グラ
フ上の本発明品についてのピークを紙巻きタバコの曲線
を真似るように変えることができる。経皮パッチ剤につ
いての情報はこのチャート上に含まれていないが、治療
的血中ニコチンレベルに達するのに数時間を要しかつ擬
似定常状態ニコチン濃度となる。
【0042】図1は、慣用的なニコチンガムを投与する
と、血清ニコチンがゆっくりと徐々に増加して長時間か
けて水平になることも明らかにしている。ガムの投与は
初期ピークをもたらさないので、ガム剤形は喫煙の作用
を模倣することはできない。同じく、パッチ剤も血清ニ
コチンをゆっくり徐々に増加させ、長時間にわたって水
平で一定のままである。ガムのように、パッチ剤も血清
ニコチンの初期ピークをもたらさないので、紙巻きタバ
コの作用を模倣することはできない。
【0043】本発明の利点の1つは、儀式的に口の中に
入れて保持しそして口から取り出す物体を扱うという紙
巻きタバコスモーカーの心理的欲求に応えられる能力で
ある。本発明のニコチン含有剤形は、スティックの如き
ホルダー部材、及びそのスティックに取り付けられたニ
コチン含有組成物を含む。このホルダー部材はこの剤形
を患者の口から及び口の中へ選択的に出し入れするのを
容易にするので、所望の肉体的及び心理的効果を達成す
ることができる。ニコチン含有ガム、錠剤、又はロゼン
ジと違って、本発明の剤形は、吸収されたニコチンの肉
体的作用を評価するため、ニコチンの吸収を一時的に停
止するため、又はあらゆる時点でその剤形の大きさ及び
状態を点検するために簡単に取り出すことができる。加
えて、このホルダー部材はその剤形の不注意な飲み込み
を防止しそしてその剤形を口腔内に心地よくかつ調節可
能な様式で置くのを容易にする。かくして、ニコチン含
有ガム、ロゼンジ、又は錠剤と接触し続けることからの
局部的な粘膜過敏症は、このホルダー部材を用いて剤形
を口腔内の所望の位置に置き変えることにより回避する
ことができる。
【0044】本発明は、喫煙が許されないか又は望まし
くない状況にある人により喫煙代用品として用いられ得
る。この状況において、本発明のニコチン含有剤形は、
喫煙経験の肉体的及び心理的刺激の両方を可能にするこ
とにより、紙巻きタバコ喫煙の満足のゆく代用品を提供
する。本発明は、喫煙を止めたいけれども現れてくるニ
コチンへの肉体的依存症及び喫煙の儀式への心理的依存
症のために困難を経験している人にも用いることができ
る。かかる人々は、その間に喫煙習慣を徐々に克服する
休止期間を通り抜けなければならない。この状況におい
て、本発明のニコチン含有剤形は、肉体的及び心理的欲
求の両方を満足させ、そして、頼もしいことには、その
人を喫煙習慣から解き放つのに十分な休止期間内にその
人が紙巻きタバコに対する欲求に抵抗できるようにする
手段を提供する。
【0045】本発明においては、ニコチンはフリー塩基
の形でも塩の形でも利用できる。ニコチン塩基は粘膜か
ら容易に吸収されるが非常に揮発性である。一方、ニコ
チン塩は粘膜からなかなか吸収されないがずっと安定で
ある。ニコチンは、ポリアクリル酸カチオン交換樹脂の
形のイオン性複合体としても利用できる。薬学的に許容
できるニコチン塩には、塩酸ニコチン、二塩酸ニコチ
ン、硫酸ニコチン、モノ酒石酸ニコチン、重酒石酸ニコ
チン、クエン酸ニコチン、ニコチン塩化亜鉛・1水和物
及びサリチル酸ニコチンが含まれるがこれらに限定され
ない。アルカリ性環境、即ち約7を上回るpHでは、及
び口腔内の唾液の如き水性媒体の存在下では、ニコチン
塩は反応してニコチン塩基を生成する。唾液は普通は幾
分中性のpHを有しているので、アルカリ性塩を本発明
の剤形中に加えると、pHが緩衝されるので容易に吸収
されるニコチン塩基を生成する反応が促進される。好ま
しいアルカリ性塩には、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリ
ウム、リン酸水素二ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、
スクシン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、トリメタ
ミン、及びサリチル酸ナトリウムが含まれる。緩衝剤処
理も安定性に影響し得る。緩衝剤処理の結果を図2にグ
ラフで示す。
【0046】容易に経粘膜吸収される放出可能な形にあ
るニコチンに加えて、本発明によるニコチン含有組成物
は、矯味矯臭剤、甘味剤、香気増強剤、滑剤、結合剤及
び充填剤の如き他の成分を含有することができる。矯味
矯臭剤に関しては、若い人々によるニコチン使用を思い
止まらせることが望ましいことに留意すべきである。従
って、若い人々を惹き付けないようなやり方でニコチン
含有組成物に矯味矯臭剤を加えるのが望ましいといえ
る。ニコチンの味に慣れているスモーカーの口には合う
がそれほど慣れていない者には魅力的ではない矯味矯臭
剤未添加ニコチン含有組成物を提供することが望まれさ
えする。
【0047】本発明のニコチン含有剤形は、口内粘膜組
織に容易に吸収され得るニコチンを送り込むことができ
る何らかのニコチン含有組成物とそれと組み合わせて取
り付けたホルダー部材からなる。このニコチン含有組成
物内に組み入れられるニコチンの形態は、純粋なニコチ
ンであってもその何らかの化合物であってもよい。その
製造方法は、当該技術分野で既知のあらゆる適する方法
であってもよく、それには、口の中で舐めるように又は
何もしないでも溶解するように意図された溶解性又は非
溶解性マトリックスバッカル剤形にある形態のニコチン
を加えることを含むがこれに限定されない。同じく、ホ
ルダー部材の取り付け方法も、当該技術分野で既知のあ
らゆる適する方法であってもよく、それには、ホルダー
部材を非固体化ニコチン含有組成物内に据えてから、圧
縮、射出成形又は他の手段により固体化し、そして菓子
製造用グルーで行うような接着、又は他の手段による接
着により、この前もって製造したニコチン含有組成物に
取り付けることを含むがこれに限定されない。
【0048】本発明による1つの方法は、所望の成分を
混合して粉末化した圧縮可能なマトリックス材料を形成
し、それを高圧下で一体化固体塊に圧縮することを含
む。この方法は“粉末圧縮法”と言われる。圧縮の間に
その塊をホルダー部材に取り付けてニコチン含有剤形を
形成させる。また、その塊を菓子製造用グルーで行うよ
うな接着の如き別の方法でホルダー部材に取り付けても
よい。
【0049】より具体的には、圧縮性炭水化物充填剤及
び結合剤を含む各成分を乾燥した形で他の成分と混合し
て本発明の組成物を製造する。現時点では、混合過程の
前に種々の成分を一緒に加えるに際して幾何希釈 (geom
etric dilution) の方法を用いるのが好ましい。
【0050】粉末圧縮法に典型的に用いられる他の成分
には、矯味矯臭剤、甘味剤、香気増強剤、放出剤、及び
緩衝剤の如き成分が含まれる。たとえこれら成分がたま
たま不溶性又は化学的に非相溶性であったとしても、混
合が容易になるようにこれら成分を粉末の形で提供する
のが好ましい。
【0051】完全に混合したら、その混合物を比較的大
きな力で圧縮して凝集性剤形を得る。現時点では約10
0ニュートンから約150ニュートンの圧縮力が好まし
いが、これら成分を凝集性の一体塊に圧縮するのに十分
なあらゆる力を用いることができよう。結果として、そ
の圧縮塊は化学的手段というよりもむしろ物理的手段に
より一緒に保持される。
【0052】圧縮力の程度を加減して、溶解速度、即ち
組成物が口腔内で溶解する速度を変動させることができ
る。特に、用いる圧縮力が大きければ大きいほど、溶解
速度が遅くなるであろう。溶解速度は、他の成分でも化
学的に影響を受け得る。例えば、ステアリン酸カルシウ
ムの如き疎水性物質を加えることによって溶解速度を低
下させることができ、また親水性物質を加えることで溶
解速度を高めることもできる。
【0053】本発明を用いる場合、薬物含有糖剤の製造
における従来の慣習のように混合物を加熱して溶融塊に
する必要はない。結果として、本法は、ニコチンを揮発
させることになる高温を用いることを回避し、そして加
熱又は液状環境下で種々の成分間で起こり得る望ましく
ない化学反応も回避する。それでも良好な混合及び均一
な生成物は得られる。
【0054】この糖菓のような塊をスティックの如きホ
ルダー又は他の類似するタイプのホルダーに取り付ける
ことができる。そのホルダーは、菓子製造用グルー又は
他の食品用グルーによりその糖菓に接着させることがで
きる。また、ホルダーを上記の圧縮力により圧縮して本
剤形にしてもよい。
【0055】本発明の態様を作る1つの方法は、何らか
の望ましい形状に形成されたキャビティを有する前面部
分の金型ブロックを利用して、適切な形状の剤形を形成
できるように上記の成分を十分に圧縮する方法である。
その金型ブロックを半分に離せるようにして、糖菓が十
分に圧縮されたらそれを取り出せるようにする。キャビ
ティを圧縮するためにラムを用いる。糖菓を圧縮した
後、スティックをしっかりと決まった箇所に付ける。
【0056】このスティックは種々の形状をとることが
できる。例えば、このスティックの横断面は卵形又は三
角形であるのが望ましいといえる。
【0057】本発明の態様を作るのに利用される他の方
法は、ニコチンがその中に入れられた非溶解性マトリッ
クスを包含する。
【0058】ニコチンを種々の可能な非溶解性封じ込め
マトリックス内に取り入れることができる。例えば、ニ
コチンをスポンジ様マトリックス内に取り入れても、ニ
コチンをマイクロカプセルに封入しても、ニコチンをマ
イクロスポンジ内に保持しても、ニコチンを透過膜又は
スクリーン様バリヤー内に含有させても、又は経粘膜投
与用にニコチンを放出することができる他の非溶解性封
じ込めビヒクル内にニコチンを保持してもよい。
【0059】本発明の範囲内には、ニコチン含有ビヒク
ルを保持する透過膜又はスクリーン様バリヤーを有する
態様が含まれる。
【0060】バリヤーは、比較的大きな気孔を有するス
クリーンのようなものであっても、比較的小さな気孔を
有する膜のようなものであってもよい。バリヤーは、好
ましくは、ニコチンがそれを通り抜けられる十分な大き
さの気孔を有する。患者の口の外の条件下ではニコチン
がバリヤー内に保持されそして患者の口内ではニコチン
がそのバリヤーを透過できることが重要である。
【0061】例えば、本発明の範囲内の1つの好ましい
態様においては、口の外では薬物媒質の粘度を十分に高
くして、バリヤーの気孔における表面張力がニコチンが
そのバリヤーを透過するのを阻止するようにする。しか
し、一旦その剤形が患者の口内に入れられると、薬物媒
質の粘度が低下してニコチンがそのバリヤーを透過する
ようにする。1つの態様においては、唾液と薬物媒質と
の接触のために薬物媒質の粘度が口内ではより低くな
る。他の態様においては、口内で温度が高いために薬物
媒質の粘度が口内ではより低くなる。
【0062】本発明の範囲内の他の態様においては、薬
物媒質内のニコチンは、口内の圧力作用によりバリヤー
を透過する。例えば、この剤形を舐めることによって生
じる負の圧力がバリヤーから薬物を引き出す。また、こ
の剤形を押し搾ることによって生じる正の圧力がバリヤ
ーから薬物を押し出す。
【0063】1つの態様では、透過性バリヤー内に保持
されたマイクロカプセル封入薬物粒子を利用する。マイ
クロカプセル封入薬物は、保護コーティング材料でコー
トされたニコチン粒子又は液滴である。典型的なコーテ
ィング材料には、脂肪;蝋;トリグリセリド;脂肪酸;
脂肪アルコール;エトキシル化脂肪酸及びアルコール;
ステアレート;糖;ポリ(エチレングリコール);一定
の金属;ガム;ハイドロコロイド;ラテックス;及びポ
リエチレン、エチルセルロース、エチレン−酢酸ビニ
ル、エチレン−アクリル酸、ポリアミド及び幾つかの腸
溶性ポリマーの如き種々のポリマーを基剤とする配合物
が含まれる。
【0064】マイクロカプセル封入ニコチンの保護コー
ティング材料は、湿気によるニコチン劣化を阻止し、ニ
コチンの酸化を遅らせ、蒸発及び昇華を減らし、他の成
分との反応からニコチンを保護し、そしてニコチンの不
快な味をマスクする。ニコチンマイクロカプセル封入法
は、当該技術分野において既知である。
【0065】他の態様では、バリヤー内に保持された複
数の薬物含有スポンジ様マトリックスを利用する。マイ
クロスポンジを含むスポンジ様マトリックスは、薬物を
閉じ込めてから時間をかけてその薬物を放出することが
できる装置である。これらスポンジ様マトリックスは、
生物学的に不活性であり、非刺激性であり、非突然変異
誘発性であり、非アレルギー性であり、無毒であり、そ
して非生分解性である。それらは、薬物の安定性を向上
させることさえできる。適するマイクロスポンジ又はス
ポンジ様マトリックスは、当該技術分野において既知で
ある。
【0066】本物のスポンジのように、このスポンジ様
マトリックス又はマイクロスポンジは、大きな多孔質表
面を有する折り畳み不能な構造内に相互につながった無
数の空隙を含有する。このスポンジ様マトリックスの大
きさ並びに内部気孔構造の数及び大きさは、薬物の大き
さ及び粘度に依存して変動させることができる。
【0067】薬物は適当な“引き金”に応答してスポン
ジ様マトリックスから放出される。例えば、スポンジ様
マトリックスを擦るか圧力を加えるか、そのマトリック
スの温度を(周囲温度に対して患者の口内と同じに)上
げるか、又は唾液の如き適当な溶媒を導入すると、その
薬剤を制御して放出させることができる。スポンジ様マ
トリックスから薬物を放出させるのに圧力を用いること
もできる。薬物で飽和になったスポンジ様マトリックス
を含有する剤形を押し搾ったり舐めたりすると、薬物が
放出されるであろう。
【0068】本発明の範囲内の他の態様においては、ス
ポンジ様マトリックス又はマイクロカプセル封入ニコチ
ン粒子をナトリウム・カルボキシメチルセルロース、ア
ルギン酸ナトリウム、及びトラガカントの如き生体適合
性結合性物質又は接着剤(溶解性でも非溶解性でもよ
い)と一緒に保持させることができる。
【0069】本発明のなお他の態様においては、スポン
ジ様マトリックス又はマイクロカプセル封入ニコチン粒
子を先に説明した粉末圧縮法を用いて圧縮粉末剤形又は
他の分解性剤形内に保持させることができる。
【0070】これら態様においては、複数のマイクロカ
プセル封入ニコチン粒子を圧縮可能な糖及び先に記載し
た他の成分と一緒に圧縮して剤形にする。好ましくは、
その剤形にハンドルも取り付ける。
【0071】ハンドル又はホルダーは、剤形を形成する
際にホルダーを非溶解性マトリックス内に組み入れるこ
とによってその非溶解性マトリックス内に取り付けるこ
とができる。
【0072】また、非溶解性マトリックスを形成してか
らなら、ホルダーをそのマトリックスに接着するか、圧
縮するか、ねじ込むか、カチッと嵌まるようにするか、
又は他のやり方で取り付けることができる。なお他の態
様においては、適当な薬物を含有する非溶解性の連結可
能な投与要素を適切に形造られたホルダー上にスライド
させることにより、使用直前に剤形を組み立てることが
できる。場合によっては、矯味矯臭剤を加えた溶解性又
は非溶解性の連結可能な要素をそのホルダー上にスライ
ドさせることもできる。
【0073】図3に示す1つの態様においては、透過性
バリアー40がチャンバー42及びそのチャンバーへの
開口部44を定めている。このチャンバーは、マイクロ
スポンジ、マイクロカプセル封入薬物粒子、薬物媒質、
又は他の類似の薬物含有配合物の形のニコチン組成物4
6で満たされている。ホルダー48は、開口部44のた
めのカバー50を含む。カバー50は、開口部44をし
っかり封止するように形造られていると同時にホルダー
48をこの剤形に取り付ける手段を提供している。この
ようにして、使用前に一定の量及び濃度のニコチンを剤
形内に入れることができる。必要に応じて、使用中にニ
コチンを補充したり交換したりすることさえできる。
【0074】ニコチン含有マトリックスをホルダー上に
取り付けることで種々の治療剤の経粘膜吸収が容易にな
ることが分かるであろう。ホルダーを取り付けると、患
者への薬物の移行を確かめるのが容易になる。例えば、
薬物に染料を付けて、色が薄くなることで患者へのその
薬物の移行が示されるようにしてもよい。ホルダーは、
ニコチン封じ込めマトリックスを患者の口の中の所望の
位置に据えるのを可能にし、かつ医療専門家がそのマト
リックスの正確な位置を確かめるのを可能にする便利な
参考点を提供する。
【0075】図4に示す剤形60は、複数の連結可能な
投与要素62を含有する。投与要素62は、オス型連結
手66とメス型連結手68を定める固体コア64を含
む。投与キャップ70は、その固体コアがオス型連結手
を定めていないことを除いては、投与要素62と実質的
に同じに形造られている。これら投与要素は、好ましく
は、固体コアの周りに成形され又は組立形成された織布
又は孔あきシートの材料の如きスクリーン様材料から構
成される。固体コアは、ポリスチレンの如き適する生体
適合性材料から構成され得る。このスクリーン様材料
は、所望の薬物を保持するためのチャンバーを定めてお
り、図1A〜1Cとの関連で上に記載したのと実質的に
同じやり方で薬物を放出する。
【0076】剤形60は、複数の投与要素をそれらそれ
ぞれのオス型及びメス型連結手で互いにかみ合わせるこ
とにより構成される。その一方の端部で構成されたオス
型連結手74を含むホルダー72は、好ましくは、それ
ら連結可能な投与要素に連結される。使用前に剤形を組
み立てられるので、個々の患者又は状況に合わせて“あ
つらえる”のが可能である。このようにして、種々の濃
度の1種の薬物又は複数の薬物さえも投与することがで
きる。
【0077】図5及び6は、本発明の範囲内の他の可能
な剤形の態様を示している。剤形80は、半固体コア8
4の周りに成形されたカバー材料82を含む。この半固
体コアは、好ましくは、ホルダー86に表装されてい
る。カバー材料82は、好ましくは、その中に包埋され
た所望の薬物88を有する厚手のメッシュ又は孔あきシ
ートであって、その薬物が浸出するのを又は患者の粘膜
に入るのを可能にするであろう。薬物は、粉末状であっ
ても、液状であっても、マイクロカプセル封入されてい
ても、又は口腔環境内に放出されるように別の方法でカ
バー材料82内に詰められていてもよい。
【0078】図7〜9に示す態様は、薬物媒体にかかる
圧力を調節することによってニコチン投与速度を制御で
きるようにしたものである。図7及び8に示す剤形90
は、ホルダー92とホルダー92内の内部を縫うように
通るネジ94を含む。ホルダー92とネジ蓋96にしっ
かり結び付けられている半透過性膜98は、ある量の薬
物媒体100のための封じ込めバリヤーを提供する。膜
98は、口腔環境内で薬物がそれを通過できる十分な大
きさの気孔を有することによって、上記のものと類似し
ている。この薬物媒体は、液状薬物溶液であっても懸濁
液であってもよい。
【0079】使用に際しては、剤形90を患者の口の中
に入れ、そしてネジ94を回して薬物媒体100を加圧
下に置くことにより、その薬物が膜98を透過する速度
を高める。
【0080】図9に示す態様は、圧縮することができる
半固体薬物媒体102内に薬物が包埋されていることを
除いては、図7及び8に示した態様と類似している。使
用に際しては、その剤形を患者の口の中に入れ、そして
ネジ94を回して薬物媒体102を圧縮することにより
その薬物を直接放出させて患者の粘膜から吸収させる。
【0081】図10及び11は、本発明の範囲内のなお
他の可能な態様を示している。剤形110は、半固体コ
ア114の外周の周りに位置する複数のチューブ様部材
112を含む。この半固体コアは、好ましくは、ホルダ
ー116に表装されている。場合によっては、膨張性材
料118の層がこのチューブ様部材とこの半固体コアの
間に施されていてもよい。
【0082】これらチューブ様部材は、半円筒形に成形
されたナイロン又はダクロンメッシュの如きスクリーン
様材料120から形成されている。これらチューブ様部
材は、そのスクリーン様材料がある量の薬物122のた
めのバリヤーを提供するように膨張性材料118に表装
されている。好ましくは、膨張性材料118は、患者の
口に入れたときに水和して膨張する、多孔質メッシュに
包まれたメチルセルロース又は類似の材料から構成され
ている。膨張すると多孔質チューブ様部材に高い圧力が
かかることによって、その剤形から薬物を放出する速度
が高くなる。
【0083】図12に示す態様は、薬物がメチルセルロ
ースの如き膨張性材料124内に直接に包埋されている
ことを除いては、図10及び11に示した態様に類似し
ている。患者の口の中で材料124が膨張するにつれて
薬物が放出される。
【0084】これら図面中に示されていない他の任意的
な態様では、半固体コア114を、空気を注入すると薬
物を含有するチューブ様部材に対して膨張することがで
きるポリエチレン又は類似の材料から構成される中空チ
ューブと置き換える。チューブ様部材を覆う圧力(既知
容量の注入空気からのもの)と気孔の大きさが薬物の送
逹速度を律する。
【0085】図13及び14は、図10に示した態様を
変形した剤形を示している。図13及び14の剤形13
0は、複数のチューブ様部材132を含む。図14にチ
ューブ様部材132の横断面図を示す。部材132は、
ある量の薬物媒質136を内部に閉じ込めるスクリーン
様材料134を含む。硬質心棒136がスクリーン様材
料134に取り付けられており、固体コア138内に形
成された対応する溝の中にスライドさせて固定するよう
に形作られている。ハンドル140は、好ましくは、こ
の剤形の出し入れが容易になるように固体コアにしっか
り取り付けられている。
【0086】複数のチューブ様部材132の硬質心棒を
固体コア内に形成された対応する溝の中にスライドさせ
ることにより、剤形130を使用前に組み立てることが
できる。使用前に剤形を組み立てられるので、個々の患
者又は状況に合わせてその剤形を“あつらえる”のが可
能である。このようにして種々の濃度のニコチン又は複
数の薬物さえも投与することができる。
【0087】図15は、使用前に別々に組み立てること
ができる他の可能な剤形の態様を示している。図15の
剤形150は、複数の投与要素152から組み立てられ
ている。各投与要素は半固体ディスク156の周りに配
置されたリング154を含む。リング154は、織られ
たナイロン若しくはダクロン又は孔のあいたナイロン、
ポリプロピレン若しくはポリエチレンのシートの如き適
切な多孔質材料から作られる。リング154は、液体又
は粉末のいずれかの薬物で満たされている。これら半固
体ディスクは、複数の投与要素をホルダー上に組み立て
ることができるように、その中に穴158を定めてい
る。使用前に剤形150を組み立てられるので、個々の
患者又は状況に合わせてその剤形“あつらえる”のが可
能である。このようにして、種々の濃度のニコチン又は
複数の薬物さえも投与することができる。
【0088】上述の剤形は、本発明に従って作ることが
できる種々の態様を説明するために示したものである。
上述の剤形の相対的配置が本発明の多くのタイプの態様
を包括したものでも網羅したものでもないことが理解さ
れるべきである。非分解性剤形の相対的配置が生体適合
性でありかつ患者の粘膜組織からの吸収のためにニコチ
ンを放出することができることが重要である。この相対
的配置は、好ましくは、患者の口に合う構造、形状、及
びテクスチャーを有すべきである。
【0089】ニコチン剤形をホルダー上に載せること
で、必要なときに薬物をその作用の検査又は縮小のため
に一時的に取り出すことも容易になる。経口で又は舌下
でニコチンを投与するのとは違って、本組成物は、どの
ような特定の時点においても誘発された作用を評価する
ために簡単に取り出すことができる。ピル剤又はロゼン
ジ剤を用いると、中間段階で患者の口から取り出して作
用を評価することは、不可能ではないとしても一般には
実際に行い難い。
【0090】ロゼンジ剤とは対照的に、ホルダーに取り
付けられた非溶解性薬物封じ込めマトリックスは、その
剤形を飲み込んでしまうのを阻止するか又はずっと困難
にすることもできる。現行のロゼンジ剤及びそれに類し
たものの主要な問題の1つは、それらが崩壊する傾向に
あることである。ロゼンジ剤が一旦崩壊すると、経粘膜
送逹の制御はあまり理想的ではなくなって粒子を飲み込
んでしまう。本明細書に記載した剤形の多くは溶解する
が崩壊はしないか又はできない。
【0091】加えて、この薬物及び透過増強剤の一方又
は両方を溶解性固体マトリックス組成物全体にわたって
均一に分散させることも、又、選択的に分散させる、即
ち層にするか又はコートすることによって溶解性固体マ
トリックスの選択した部分からのその薬物の吸収を変化
させることもできる。相対的に急激な血中ニコチン濃度
の初期上昇をもたらした後に比較的低い血中ニコチン濃
度を維持するよう、層になったニコチン含有組成物を製
剤できることが分かるであろう。これは、例えば、内側
マトリックスと外側マトリックスを含む2層複合マトリ
ックスを製剤することにより達成することができる。そ
れらマトリックスの溶解性は、外側マトリックスが口腔
内で内側マトリックスよりも急速に溶解するというよう
に相違させることができよう。
【0092】また、それらマトリックス内のニコチン化
合物の濃度は、外側マトリックスが内側マトリックスよ
りも多い量のニコチンを放出するというように相違させ
ることができよう。これら多層態様のいずれにおいて
も、血中ニコチン濃度は、患者が内側マトリックスを消
費している間よりも患者が外側マトリックスを消費して
いる間に比較的より急速に上昇するであろう。
【0093】ニコチン放出及び吸収速度の更なる選択性
及び制御は、より多くのマトリックス層で、及び/又は
上記方法、即ちマトリックス溶解性を変化させる、透過
増強剤を変化させる、又はマトリックス全体にわたって
薬物濃度を変化させるといった方法を組み合わせること
で得ることができよう。2を越える層をこの多層ニコチ
ン含有組成物中に組み入れて、作用を望み通りに更に変
化させることもできることが分かるであろう。追加の層
の存在は、色又は風味の変化により示すことができる。
【0094】開示した製剤において、各剤形中のニコチ
ンの量は、飲み込みによる偶発的過剰投与を避けるため
に、好ましくは30mg未満、最も好ましくは0.5〜
20.0mgである。現時点で好ましい態様は、重酒石
酸ニコチンを利用する態様である。本発明の剤形はその
剤形の飲み込みを阻止するホルダー部材を含むが、それ
でも、個々の剤形中のニコチン用量を低く保ち、それに
よって、用いる剤形の数を制御することにより摂取され
るニコチンの量を患者が容易に選択的に制御できるよう
にすることが好ましいといえる。
【0095】上で言及した特許に開示されている通り、
舐めることが意図されるニコチン含有組成物は、口腔粘
膜からの輸送又は吸収を高めることにより経粘膜吸収を
促進するため、未イオン化薬物のパーセンテージを高め
るか又は維持できるように好ましくは緩衝剤処理され
る。好ましい製剤は6.8〜11のpHである。上で記
載した通り、緩衝剤処理製剤は、炭酸ナトリウム、リン
酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、
トリメタミン及び当該技術分野で既知の他の物質を含む
であろう。
【0096】緩衝剤の添加で安定性を増すことができ
る。また、緩衝剤を水溶性材料内に閉じ込めて安定性を
向上させてもよい。それでも、そのユニットが溶解する
際には依然として口内で最適pHを提供することができ
る。
【0097】直接圧縮により製剤された緩衝剤処理ニコ
チン含有組成物は、直接圧縮可能な賦形剤、薬学的に許
容できるニコチンの塩及び患者の口内の特定pHレベル
を維持するのに十分な塩基の混合物を含むことができ
る。その製剤を適する希釈剤と混合して圧縮するか又は
その緩衝性塩基成分の一部を含む粒状の“コア”と共に
圧縮する。
【0098】他の方法には、不活性充填材料、不活性結
合材料、及びアルコール中に溶けたニコチン又はニコチ
ン含有物質の溶液を含有する混合物を冷間圧縮するか、
押出すか、又は乾燥するかして、ニコチン含有剤形を製
剤する方法が含まれる。この形は、例えば、その組成物
の溶解性を高めるための物質又は局所麻酔剤として作用
することによりニコチン吸収部位から感知される局所刺
激を少なくする物質を含むコーティングを含むことがで
きる。この“コーティング”法に類似する方法を用いて
“層になった”溶解性固体マトリックスに関して上で説
明したアプローチに類似する、各層でニコチンが相違す
る量で放出されるか又は相違する速度で吸収されること
が可能になる多層ニコチン含有組成物を得ることもでき
ることが分かるであろう。
【0099】本発明の他の態様は、その中にコートされ
た緩衝剤が実質的に均一に混ざった圧縮された炭水化物
粉末マトリックスを利用するものである。この緩衝剤
は、患者の口の中で放出されるように、水溶性材料でコ
ートされている。放出されるとその緩衝剤が患者の口の
中の唾液のpHを僅かに変えて、ニコチンの吸収を高め
るであろう。マトリックスと混合する前に緩衝剤をコー
ティングすることにより、混合されたマトリックスの安
定性が維持される。
【0100】加えて、使用者の口腔内では溶融するが高
い積送り及び貯蔵温度で安定であるバッカル剤形用の溶
解性ニコチン含有マトリックスを製剤する方法は既知で
あるので組み入れることができる。
【0101】先に説明したように、タバコ代用品は幾つ
かの用途を有している。間接喫煙の作用に他人を曝した
くないスモーカーは、飛行機で旅行するときや労働時間
の如き短期間、タバコ代用品を使用することができる。
【0102】長期間のタバコ使用者は、タバコを噛むこ
とや紙巻きタバコから損傷を受け得るので、彼らはもは
やそれら製品を使用することはないであろうが、依然と
してニコチンに対する欲求を感じている。
【0103】喫煙又はかぎタバコの使用を止めたい人々
については、ニコチン欲求から個体を断ち切らせるため
にタバコ代用品を用いることができる。消費されるニコ
チンの量をゆっくり減らすことにより、個体は止めるこ
との大きな副作用を経験することなくその欲求を少なく
することができる。
【0104】タバコ代用品使用者の類似のグループは、
その代用品を欲求のピーク期間に対処するためにだけに
利用している。これら個体はその代用品を定期的に使用
することはないが、彼らの決意を凌ぐ時折り起こる欲求
に対処するのに必要なときにだけそれを代わりに使用す
る。
【0105】ニコチンは紙巻きタバコの形でタール及び
煙の有害な作用を伴って消費されることが多いが、ニコ
チンは、アルツハイマー病、潰瘍性大腸炎、トゥレット
症候群、及びパーキンソン病の治療の如き有益な作用を
有することが見出されている。タバコ代用品として提供
されるとはいえ、本発明はこれら及び他の疾患の治療の
ためのニコチンの有益な投与にも向けられている。これ
ら用途において、本発明品を取り扱うことで、患者は吐
き気等の如き副作用を防止するためにニコチンの量を性
格に定めることができる。本剤形は、副作用を防止する
ことにより患者の快適さに資するだけでなく、患者だけ
でなく他の看護提供者によってもその剤形を取り出すこ
とができるので追加の安全対策をも提供する。よりゆっ
くりの又は遅い吸収速度を有する他の剤形とは違って、
使用者は吐き気の最初の徴候で本剤形を取り出すことが
できるので、全部の剤形を使い切る必要がない。この機
会は、飲み込み型治療剤又はパッチ剤の如きよりゆっく
り作用する剤形では、利用することができない。
【0106】本発明は、その精神又は本質的な特徴から
逸脱することなく他の具体的な形に具体化することがで
きる。これら記載した態様は、全ての点において説明の
ためのものとしてのみ解釈されるべきであって、限定の
ためのものとして解釈されるべきではない。従って、本
発明の範囲は、これまでの記載よりもむしろ添付の請求
の範囲により示される。請求項の意義及び均等の範囲内
に入る全ての変更は、それらの範囲内に含まれるべきで
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】血清ニコチン濃度を比較したグラフで、その血
漿レベルが紙巻きタバコ、鼻内噴霧剤、ガム及び本発明
品の適用後に個体内で変化することを示しているグラフ
である。
【図2】緩衝剤処理吸収速度 vs 未緩衝剤処理吸収速度
を示す比較グラフである。
【図3】非分解性剤形の説明図である。
【図4】変化するニコチン濃度のカシェ剤を有する分解
性剤形の説明図である。
【図5】可変量及び可変濃度のニコチンを投与すること
ができる非分解性剤形の説明図である。
【図6】可変量及び可変濃度のニコチンを投与すること
ができる非分解性剤形の説明図である。
【図7】可変量及び可変濃度のニコチンを投与すること
ができる非分解性剤形の説明図である。
【図8】可変量及び可変濃度のニコチンを投与すること
ができる非分解性剤形の説明図である。
【図9】可変量及び可変濃度のニコチンを投与すること
ができる非分解性剤形の説明図である。
【図10】ニコチンを変化する濃度で投与するための分
解性剤形の説明図である。
【図11】ニコチンを変化する濃度で投与するための分
解性剤形の説明図である。
【図12】ニコチンを変化する濃度で投与するための分
解性剤形の説明図である。
【図13】ニコチンを変化する濃度で投与するための分
解性剤形の説明図である。
【図14】ニコチンを変化する濃度で投与するための分
解性剤形の説明図である。
【図15】ニコチンを変化する濃度で投与するための分
解性剤形の説明図である。
【手続補正書】
【提出日】平成8年8月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 9/50 A61K 9/50 V (72)発明者 ブライアン・アイ・ヘーグ アメリカ合衆国ユタ州84119,ウエスト・ ヴァリ・シティ,サウス・ハワーデン・ド ライヴ 4478

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記のものを含む、患者へのニコチンの
    経粘膜送逹に用いるための選択的に取り出し可能なニコ
    チン含有剤形: (a) 患者の口腔内で溶解性のマトリックス; (b) 該マトリックス中に分散された薬学的に有効用量の
    ニコチンであって、該患者の口の中で該マトリックスが
    溶解するときに、該薬学的に有効用量のニコチンが該患
    者の口、咽頭、及び食道の粘膜組織からの吸収のために
    放出されるニコチン; (c) 該患者の口の中の唾液pHを僅かに変える緩衝剤;
    及び (d) 該マトリックスにしっかり取り付けられたホルダー
    部材であって、該ニコチン含有剤形の取扱いを容易にし
    かつ該患者の口から及び口の中への該剤形の選択的出し
    入れが可能になるように形造られたホルダー部材。
  2. 【請求項2】 ニコチンフリー塩基等価物の用量が約
    0.1〜30mgの範囲内である、請求項1記載の選択
    的に取り出し可能なニコチン含有剤形。
  3. 【請求項3】 ニコチンがニコチンフリー塩基の形で該
    マトリックス内に存在する、請求項1記載の選択的に取
    り出し可能なニコチン含有剤形。
  4. 【請求項4】 ニコチンがニコチン塩の形で該マトリッ
    クス内に存在する、請求項1記載の選択的に取り出し可
    能なニコチン含有剤形。
  5. 【請求項5】 該マトリックス内に分散された緩衝剤を
    更に含み、前記緩衝剤が該口腔内のpHを高めることが
    でき、それによって該口腔粘膜からの吸収を向上させる
    ために該薬物の未イオン化部分を増やすことができる、
    請求項4記載の選択的に取り出し可能なニコチン含有剤
    形。
  6. 【請求項6】 該マトリックスが多層の組成物を更に含
    む、請求項1記載の選択的に取り出し可能なニコチン含
    有剤形。
  7. 【請求項7】 該多層が異なる量のニコチンを含有す
    る、請求項6記載の選択的に取り出し可能なニコチン含
    有剤形。
  8. 【請求項8】 吸収増強剤を含有するコーティング層を
    更に含む、請求項1記載の選択的に取り出し可能なニコ
    チン含有剤形。
  9. 【請求項9】 ニコチンを含有する外側コーティング層
    を更に含む、請求項1記載の選択的に取り出し可能なニ
    コチン含有剤形。
  10. 【請求項10】 口、咽頭、及び食道の粘膜組織からの
    吸収のために利用可能なニコチンの濃度が、該マトリッ
    クスが該患者の口の中で溶解するにつれて時間をかけて
    変化するように、ニコチンが該マトリックス内に分散さ
    れている、請求項1記載の選択的に取り出し可能なニコ
    チン含有剤形。
  11. 【請求項11】 該マトリックスの外側層内のニコチン
    の濃度が該マトリックスの内側層内のニコチンの濃度よ
    りも高い、請求項6記載の選択的に取り出し可能なニコ
    チン含有剤形。
  12. 【請求項12】 下記の工程を含む、患者へのニコチン
    の経粘膜送逹に用いるための選択的に取り出し可能なニ
    コチン含有剤形を製造する方法: (a) 薬学的に有効用量のニコチンを得て; (b) 患者の口内で溶解することができるマトリックス材
    料の混合物内に前記ニコチンを分散させ; (c) 前記マトリックス材料とニコチンとを一体化固体塊
    に形成し; (d) ホルダー部材を前記一体化固体塊にしっかり取り付
    ける。
  13. 【請求項13】 下記のものを含む、患者へのニコチン
    の経粘膜送逹に用いるための選択的に取り出し可能なニ
    コチン含有剤形: (a) 可溶性で圧縮可能な実質的に粉末化された炭水化物
    材料; (b) 該炭水化物材料内に分配されたニコチンであって、
    口、咽頭、及び食道の粘膜組織から吸収されることがで
    き、そして該ニコチン及び該炭水化物材料の融点を下回
    る温度で該炭水化物材料全体にわたって実質的に均一に
    分配されそして該患者の口の中で溶解することができる
    一体化固体塊に該炭水化物材料と共に圧縮されるため、
    該患者の口の中での該一体化固体塊の溶解で、口、咽
    頭、及び食道の粘膜組織からの吸収のために放出される
    ニコチン; (c) やはり該一体塊全体にわたって実質的に均一に分配
    されたマイクロカプセル封入緩衝剤であって、該薬物の
    経粘膜吸収を容易にするために、大部分の該薬物が未イ
    オン化のままであるように口内のpHを僅かに変えかつ
    維持することができる緩衝剤;及び (d) 該一体塊にしっかり取り付けられたホルダーであっ
    て、該ニコチン含有一体塊を該患者の口から及び口の中
    へ便利に出し入れできるように形造られたホルダー。
  14. 【請求項14】 患者の口の中で溶解するようにマイク
    ロカプセルが水溶性である、請求項13記載の選択的に
    取り出し可能なニコチン含有剤形。
  15. 【請求項15】 緩衝剤が水溶性材料中にカプセル封入
    されている、請求項13記載の選択的に取り出し可能な
    ニコチン含有剤形。
  16. 【請求項16】 ニコチンがニコチン塩の形である、請
    求項13記載の選択的に取り出し可能なニコチン含有剤
    形。
  17. 【請求項17】 ニコチンがフリー塩基の形である、請
    求項13記載の選択的に取り出し可能なニコチン含有剤
    形。
  18. 【請求項18】 下記のものを含む、患者へのニコチン
    の経粘膜送逹に用いるための選択的に取り出し可能な非
    溶解性ニコチン含有剤形: (a) 非溶解性薬物封じ込めマトリックス; (b) 口、咽頭、及び食道の粘膜組織から吸収することが
    できる形にありかつ該非溶解性薬物含有マトリックス内
    に含有された薬学的に有効用量のニコチンであって、該
    マトリックスが口、咽頭、及び食道の粘膜組織からの吸
    収のために該患者の口内に該薬物を放出することができ
    るニコチン; (c) 該患者の口の中の唾液のpHを僅かに変える緩衝
    剤;及び (d) ニコチン含有剤形を形成するために該薬物含有マト
    リックスにしっかり取り付けられたホルダーであって、
    該ニコチン含有マトリックスを該患者の口から及び口の
    中へ便利に出し入れできるように形造られたホルダー。
  19. 【請求項19】 該剤形が更に緩衝剤を含む、請求項1
    8記載の患者へのニコチンの経粘膜送逹に用いるための
    選択的に取り出し可能な非溶解性ニコチン含有剤形。
  20. 【請求項20】 緩衝剤が水溶性材料中にカプセル封入
    れている、請求項18記載の患者へのニコチンの経粘膜
    送逹に用いるための選択的に取り出し可能な非溶解性ニ
    コチン含有剤形。
  21. 【請求項21】 ニコチンがニコチン塩の形である、請
    求項18記載の患者へのニコチンの経粘膜送逹に用いる
    ための選択的に取り出し可能な非溶解性ニコチン含有剤
    形。
  22. 【請求項22】 ニコチンがフリー塩基の形である、請
    求項18記載の患者へのニコチンの経粘膜送逹に用いる
    ための選択的に取り出し可能な非溶解性ニコチン含有剤
    形。
  23. 【請求項23】 ニコチンがマイクロカプセル封入され
    ている、請求項18記載の患者へのニコチンの経粘膜送
    逹に用いるためのニコチン含有剤形。
  24. 【請求項24】 ニコチンが複数のマイクロスポンジ内
    に含有されている、請求項18記載の患者へのニコチン
    の経粘膜送逹に用いるための薬物含有剤形。
  25. 【請求項25】 下記の段階を含む、紙巻きタバコ喫煙
    習慣を止めるに際して個体を補助する方法: (a) 剤形中のマトリックス内に分配された薬学的に有効
    用量のニコチンを得て; (b) 該剤形からのニコチンの経粘膜吸収のために使用者
    の口の中に該ニコチン含有剤形を投与し; (c) 高いピークの血漿ニコチンレベルを与えるために該
    剤形を積極的に舐め、そして血漿内の所望のニコチンレ
    ベルを維持するために該剤形をより受動的に舐めてこと
    によって、ニコチンの吸収速度を加減する。
  26. 【請求項26】 下記の段階を含む、ニコチン使用習慣
    を止めるのを補助する方法: (a) ニコチン中止の副作用を軽減又は縮小することを願
    っている個体にニコチン含有剤形を投与し; (b) 該使用者が該剤形を舐める積極さを調節することに
    よって血漿ニコチンレベルを加減し;そして (c) 各投与又は連続投与の間に消費される剤形の量を徐
    々に減らしてゆく。
  27. 【請求項27】 加減する段階が、突破欲求の期間の間
    に該剤形を積極的に舐めることを更に含む、請求項26
    記載のニコチン使用習慣を止めるのを補助する方法。
  28. 【請求項28】 下記の段階を含む、ニコチン使用習慣
    を止めるのを補助する方法: (a) ニコチン中止の副作用を軽減又は縮小することを願
    っている個体に層になったニコチン含有剤形を投与し; (b) 該使用者が該剤形を舐める積極さを調節することに
    よって血漿ニコチンレベルを加減し; (c) 消費される剤形の量を徐々に減らしてゆき;そして (d) 該剤形が消費されるにつれて露出する該剤形の層を
    観察して目的の層が現れたら該剤形の消費を停止する。
  29. 【請求項29】 各層が異なる色相で着色されている、
    請求項28記載のニコチンを止めるのを補助する方法。
  30. 【請求項30】 下記の段階を含む、アルツハイマー病
    の諸症状の幾つかを軽減する方法: (a) ニコチン含有剤形を得て; (b) 該剤形をアルツハイマー病患者に投与し;そして (c) 適切な用量が投与された後又は吐き気の如き副作用
    が認められ始めたときに該剤形を患者の口から取り出
    す。
  31. 【請求項31】 下記の段階を含む、潰瘍性大腸炎の諸
    症状の幾つかを軽減する方法: (a) ニコチン含有剤形を得て; (b) 該剤形を大腸炎を患っている患者に投与し;そして (c) 適切な用量が投与された後又は吐き気の如き副作用
    が認められ始めたときに該剤形を患者の口から取り出
    す。
  32. 【請求項32】 下記の段階を含む、トゥレット症候群
    の諸症状の幾つかを軽減する方法: (a) ニコチン含有剤形を得て; (b) 該剤形を胃腸疾患を患っている患者に投与し;そし
    て (c) 適切な用量が投与された後又は吐き気の如き副作用
    が認められ始めたときに該剤形を患者の口から取り出
    す。
  33. 【請求項33】 下記の段階を含む、パーキンソン病の
    諸症状の幾つかを軽減する方法: (a) ニコチン含有剤形を得て; (b) 該剤形を胃腸疾患を患っている患者に投与し;そし
    て (c) 適切な用量が投与された後又は吐き気の如き副作用
    が認められ始めたときに該剤形を患者の口から取り出
    す。
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