JPH09286690A - 単結晶引上げ装置 - Google Patents

単結晶引上げ装置

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JPH09286690A
JPH09286690A JP10571196A JP10571196A JPH09286690A JP H09286690 A JPH09286690 A JP H09286690A JP 10571196 A JP10571196 A JP 10571196A JP 10571196 A JP10571196 A JP 10571196A JP H09286690 A JPH09286690 A JP H09286690A
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crucible
single crystal
refractory
raw material
precious metal
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JP10571196A
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Jisaburo Ushizawa
次三郎 牛沢
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 テーパ状貴金属製るつぼを用いた単結晶引上
げ装置において、るつぼの変形防止効果等を十分に得た
上で、テーパ部に起因する単結晶の曲り等を防止し、さ
らにはテーパ部の変形等に起因する温度分布の変化を防
止する。 【解決手段】 直胴部11bの下側から底面部11cに
向けて形成された多段テーパ部11a(または湾曲部)
を有する貴金属製るつぼ11を、その直胴部11bの外
周面と接するように、複数に分割された耐火保温筒13
内に配置する。これらは耐火るつぼ14内に配置し、貴
金属製るつぼ11と耐火るつぼ14との間には耐火バブ
ル15を充填する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物単結晶等の
引上げ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、LiTaO3 やLiNbO3
等の酸化物単結晶の製造方法として、チョコラルスキー
法と呼ばれる引上げ法が知られている。このチョコラル
スキー法は、原料溶融るつぼとしてのPt等からなる貴
金属製るつぼ内に収容した単結晶原料を、貴金属製るつ
ぼの周囲に設置した高周波コイル等の加熱手段により加
熱融解した後、種子結晶を回転させながら引上げること
によって、単結晶を育成する方法である。
【0003】上述したようなチョコラルスキー法により
単結晶を育成する際、貴金属製るつぼ内に残った原料の
再融解の安定化等を図るために、下部をテーパ状とした
貴金属製るつぼを用いることが検討されている。図5
は、従来のテーパ状貴金属製るつぼを用いた単結晶引上
げ装置の概要を示す図である(特公平 4-77708号公報参
照)。
【0004】図5において、1は従来のテーパ状貴金属
製るつぼであり、るつぼ高さのほぼ中間部あたりまで設
けられた直胴部1aから底面部1bに向けて径小となる
ように、40°程度の角度(θ)を有するテーパ部1cが
設けられている。このような下部にテーパ部1cを有す
るテーパ状貴金属製るつぼ1は、同一の傾斜角の円錐状
受け面2aを有する耐火受け台2上に設置され、この状
態で耐火るつぼ3内に配置される。テーパ状貴金属製る
つぼ1と耐火るつぼ3との間には、バックアップ材とし
てアルミナバブル4等の耐火バブルが充填されている。
【0005】テーパ状貴金属製るつぼ1内に投入された
酸化物単結晶等の原料は、耐火るつぼ3の外側に配置さ
れた原料溶融用ヒータとしての高周波コイル5等により
融解される。そして、原料融液6に種子結晶7を浸漬
し、種子結晶7を回転させながらゆっくり引上げること
で、酸化物単結晶等の単結晶8を成長させる。原料融液
6は、引上げ当初はテーパ状貴金属製るつぼ1の直胴部
1aまでチャージされており、単結晶8の引上げに伴っ
て液面が低下し、テーパ部1cに液面が到達したあたり
で切り離して引上げを終了する。
【0006】単結晶8の引上げ後に残った原料融液は、
テーパ状貴金属製るつぼ1のテーパ部1c内で凝固す
る。次回の単結晶引上げ工程においては、新たな酸化物
単結晶の原料粉末をテーパ部1c内で凝固した原料融液
上にチャージして再融解させる。この際、再融解時に生
じる貴金属製るつぼ1を広げようとする力はテーパ部1
cにかかるため、貴金属製るつぼ1の変形が起こりにく
く、結晶成長における温度条件が安定して、通常の一定
径のるつぼより歩留りの向上を図ることができ、さらに
るつぼ寿命も長くなる。貴金属製るつぼ1下部のテーパ
部1cの形状は、引上げ終了後の残融液を少なくして原
料の利用効率を高めるために、40°程度の急峻な角度
(θ)とされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来のテーパ状貴金属製るつぼ1は、テーパ部
1cの角度(θ)を急峻にしているために、使用原料が
少なくてすむ反面、単結晶8が成長してテーパ部1cに
達すると、引上げた単結晶8に曲りが発生したり、また
融液6ごと固化してるつぼ壁に固着する等の現象が生じ
るという欠点を有している。
【0008】これらは、単結晶8の長尺化を困難にする
だけでなく、再融解時における貴金属製るつぼ1の変形
を確実に防止するためには、残融液の液面をテーパ部1
cに到達させる必要があるため、通常の引上げ操作にお
いても上記した単結晶8の曲り等が発生するおそれが大
きい。このような問題に対して、単にるつぼサイズを大
きくしても、炉全体を大型化しなければならないため
に、条件設定が難しくなったり、コストが上昇する等の
新たな問題を引き起こすことになる。
【0009】さらに、炉の温度を上昇させて貴金属製る
つぼ1内の原料を融解する際に、液滴が飛び跳ねて耐火
物にかかるという現象がある。従来構造の単結晶引上げ
装置では、貴金属製るつぼ1の周囲に原料融液により収
縮しやすいアルミナバブル4等の耐火バブルが配置され
ているため、耐火バブルの収縮や溶解により保温効果が
弱まり、温度分布が変化して単結晶の製造歩留りが低下
しやすいという問題がある。
【0010】特に、テーパ状貴金属製るつぼ1を用いた
場合には、保温効果の低下やばらつき等によりテーパ部
1cが変形すると、テーパ状貴金属製るつぼ1の底部1
bが耐火受け台2と部分的に接触しない状態となりやす
く、高周波コイル5等の原料溶融用ヒータとの相対位置
が変化し、これにより温度分布が変化して単結晶の製造
歩留りが低下しやすいという問題がある。
【0011】上述したように、従来のテーパ状貴金属製
るつぼを用いた単結晶引上げ装置では、るつぼの変形防
止効果等を十分に得た上で、テーパ部に起因する単結晶
の曲り等を防止し、さらにはテーパ部の変形等に起因す
る温度分布の変化を防止することが課題とされていた。
また、テーパ状貴金属製るつぼの使用にかかわらず、耐
火バブルの収縮や溶解に伴う温度分布の変化を抑制し、
単結晶の製造歩留りの低下を防止することが課題とされ
ていた。
【0012】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、るつぼの変形防止効果等を十分に得
た上で、テーパ部に起因する単結晶の曲りやテーパ部の
変形等に起因する温度分布の変化を防止することを可能
にした単結晶引上げ装置を提供することを目的としてお
り、さらに耐火バブルの収縮や溶解に伴う温度分布の変
化を抑制し、単結晶の製造歩留りの低下を防止すること
を可能にした単結晶引上げ装置を提供することを目的と
している。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明における第1の単
結晶引上げ装置は、請求項1に記載したように、直胴部
と、前記直胴部の下側から底面部に向けて形成された多
段テーパ部または湾曲部とを有し、単結晶原料が収容さ
れる貴金属製るつぼと、前記貴金属製るつぼの直胴部の
外周面と接するように配置され、複数に分割された耐火
保温筒と、前記貴金属製るつぼおよび耐火保温筒が収容
された耐火るつぼと、前記耐火るつぼを囲繞するように
配置され、前記単結晶原料を溶融する原料溶融手段と、
種子結晶を下端部に保持し、前記貴金属製るつぼ内の原
料融液液面に対して垂設された種子結晶保持体と、前記
種子結晶保持体を回転させながら上昇させる回転引上げ
機構とを具備することを特徴としている。
【0014】第1の単結晶引上げ装置は、特に請求項2
に記載したように、前記貴金属製るつぼの多段テーパ部
は、前記直胴部に繋がる第1のテーパ部と、この第1の
テーパ部より急峻な角度を有し、前記底面部に繋がる第
2のテーパ部とを有すること、さらには請求項3に記載
したように、前記耐火保温筒と耐火るつぼとの間に、耐
火バブルが充填されていることを特徴としている。
【0015】また、第2の単結晶引上げ装置は、単結晶
原料が収容される貴金属製るつぼと、前記貴金属製るつ
ぼの外周面と接するように配置され、複数に分割された
耐火保温筒と、前記貴金属製るつぼおよび耐火保温筒を
収容する耐火るつぼと、前記耐火保温筒と耐火るつぼと
の間に充填された耐火バブルと、前記耐火るつぼを囲繞
するように配置され、前記単結晶原料を溶融する原料溶
融手段と、種子結晶を下端部に保持し、前記貴金属製る
つぼ内の原料融液液面に対して垂設された種子結晶保持
体と、前記種子結晶保持体を回転させながら上昇させる
回転引上げ機構とを具備することを特徴としている。
【0016】本発明における第1の単結晶引上げ装置に
おいては、下部に多段テーパ部または湾曲部を有する貴
金属製るつぼを用いており、原料融液の液面が多段テー
パ部に到達しても、当初は比較的角度が緩やかなテーパ
部分に存在するため、単結晶の曲りや融液ごと固化して
るつぼ壁に固着する現象等が起こりにくい。従って、原
料融液の増加や結晶成長条件の変更等を行うことなく、
単結晶原料を有効に利用して容易に単結晶を長尺化する
ことができる。また、単結晶引上げ終了時の原料融液の
最終液面を確実に多段テーパ部内に存在させることがで
きるため、貴金属製るつぼの変形を有効に防止すること
ができる。
【0017】また、貴金属製るつぼの周囲には分割され
た耐火保温筒を配置しているため、原料融液の液滴がか
かっても収縮や溶解等を生じるおそれがほとんどない。
従って、保温効果を安定に保つことができる。さらに、
貴金属製るつぼの直胴部を耐火保温筒で保持しているた
め、たとえ多段テーパ部や湾曲部が変形しても、全体的
な位置が変化することはない。これらによって、温度分
布を安定に維持することができる。そして、耐火保温筒
は分割型としているため、貴金属製るつぼの変形を十分
に許容することができ、クラックの発生等を招くことが
ない。
【0018】第2の単結晶引上げ装置においては、貴金
属製るつぼの周囲に分割された耐火保温筒を配置してい
るため、上述したように原料融液の液滴がかかっても収
縮や溶解等を生じるおそれがほとんどない。従って、保
温効果を安定に保つことができ、単結晶の引上げ歩留り
等の向上を図ることが可能となる。そして、耐火保温筒
は分割型としているため、貴金属製るつぼの変形を十分
に許容することができ、さらに耐火保温筒と耐火るつぼ
との間には、バックアップ材として耐火バブルを充填し
ているため、分割型の耐火保温筒が極端に広がることも
ない。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について図面を参照して説明する。
【0020】図1は、本発明の一実施形態による単結晶
引上げ装置の要部を模式的に示す断面図である。同図に
おいて、11は単結晶原料が収容される多段テーパ状貴
金属製るつぼであり、この多段テーパ状貴金属製るつぼ
11の下部には多段テーパ部11aが形成されている。
なお、貴金属製るつぼ11の材質は、育成する例えば酸
化物単結晶材料に応じて、Pt、Pt−Rh、Ir等か
ら選択される。
【0021】この多段テーパ状貴金属製るつぼ11の多
段テーパ部11aは、例えば図2に示すように、直胴部
11bに繋がる第1のテーパ部11a-1と、この第1の
テーパ部11a-1と底面部11cとの間を繋ぐ第2のテ
ーパ部11a-2とを有している。これら第1および第2
のテーパ部11a-1、11a-2の形成角度は、第2のテ
ーパ部11a-2の角度α2 が第1のテーパ部11a-1の
角度α1 より直胴部11bの外周面に対して急峻(α2
>α1 )となるように設定されている。ここで言う直胴
部11bとは、平行径部分のことである。
【0022】すなわち、直胴部11bに繋がる第1のテ
ーパ部11a-1の角度α1 を比較的緩やかとし、底面部
11cに向けてより急峻な角度(α2 )をつけている。
これら第1および第2のテーパ部11a-1、11a-2の
角度α1 、α2 の具体的な数値は特に限定されるもので
はないが、α1 は10〜20°程度、またα2 は30〜40°程
度とすることが好ましい。角度α1 があまり急峻である
と、単結晶の曲り防止効果等が十分に得られないおそれ
があり、一方角度α2 があまり緩やかすぎると、貴金属
製るつぼ11の変形防止効果等が十分に得られないおそ
れがある。
【0023】多段テーパ部11aの形成位置t1 は、る
つぼ11の高さTの 1/2程度(具体的には 1/3T〜 1/2
T)とすることが好ましい。多段テーパ部11aの形成
位置t1 があまり低すぎると、角度α1 、α2 (特にα
1 )が急峻となって、単結晶の曲り防止効果等が十分に
得られないおそれがあり、一方あまり高すぎると残融液
が多くなりすぎて、原料の利用効率が低下する。下側の
第2のテーパ部11a-2の形成位置t2 は、それぞれの
角度α1 、α2 に応じて設定すればよいが、例えば 1/3
T〜 1/4Tとすることが好ましい。
【0024】なお、多段テーパ部11aの段数は 2段に
限らず、 3段以上の多段状としてもよい。この場合、直
胴部11b側から順に角度が急峻(角度大)となるよう
に設定することが好ましい。
【0025】また、上述した多段テーパ状貴金属製るつ
ぼ11に代えて、図3に示すように、下部に湾曲部12
aが形成された湾曲状貴金属製るつぼ12を用いること
もできる。この湾曲状貴金属製るつぼ12の湾曲部12
aは、直胴部12bから底面部12cに向けて径小とな
るように形成されている。湾曲部12aの曲率は一定と
してもよいが、底面部12c側ほど曲率が小さくなるよ
うに変化させることが好ましい。湾曲部12aの形成位
置t1 は、上述した多段テーパ状貴金属製るつぼ11の
多段テーパ部11aと同様とすることが好ましい。
【0026】多段テーパ部11aを有する多段テーパ状
貴金属製るつぼ11(あるいは湾曲状貴金属製るつぼ1
2)の周囲には、貴金属製るつぼ11の直胴部11bの
外周面と接するように、図4に示すような複数に分割さ
れた耐火保温筒(分割型耐火保温筒)13が配置されて
いる。分割型耐火保温筒13は、耐火バブルに比べて高
密度の耐火物アルミナ等からなるものである。多段テー
パ状貴金属製るつぼ11および分割型耐火保温筒13
は、耐火るつぼ(場合によっては外側保温筒)14内に
収容されており、さらに分割型耐火保温筒13の外側、
すなわち分割型耐火保温筒13と耐火るつぼ14との間
には、バックアップ材として耐火バブル15が充填され
ている。耐火バブル15としては、アルミナバブル、マ
グネシアバブル、ジルコニアバブル等が用いられる。
【0027】上記した耐火るつぼ14の周囲には、原料
溶融用ヒータとして高周波発振器の出力端ワークコイル
16が設置されており、これにより貴金属製るつぼ11
内に投入された単結晶原料が加熱溶融されて原料融液1
7となる。そして、図示を省略した回転引上げ機構に接
続された種子結晶保持体(図示せず)の下端に種子結晶
18を取り付け、この種子結晶18を原料融液17に浸
漬した後、種子結晶保持体を回転させながら徐々に引上
げることによって、単結晶19例えばLiTaO3 やL
iNbO3 等の酸化物単結晶の育成が行われる。
【0028】上述した構成を有する単結晶引上げ装置に
おいては、多段テーパ部11aを有する多段テーパ状貴
金属製るつぼ11を用いているため、単結晶19の引上
げが進んで原料融液17の液面Lが多段テーパ部11a
に到達しても、当初は比較的角度が緩やかな第1のテー
パ部11a-1内にある。この比較的角度が緩やかな第1
のテーパ部11a-1内に液面Lが存在する間は、単結晶
の曲りや融液17ごと固化してるつぼ壁に固着する現象
等が起こりにくいため、原料融液の増加や結晶成長条件
の変更等を行うことなく、単結晶19の長尺化が可能と
なる。
【0029】また、単結晶の曲り等を発生させることな
く、単結晶引上げ終了時の原料融液17の最終液面(残
融液の液面)を多段テーパ部11a内、特に角度が急峻
な第2のテーパ部11a-2近傍に存在させることができ
る。従って、再融解時に生じる貴金属製るつぼ11を広
げるようとする力は、多段テーパ部11aに確実にかか
るため、貴金属製るつぼ11の変形を有効に防止するこ
とができる。これは単結晶成長における温度条件の安定
化に繋がりるため、単結晶19の歩留り向上およびるつ
ぼの長寿命化を達成することができる。
【0030】この際、貴金属製るつぼ11を変形させる
圧力は、残融液の液面付近で最大となり、変形したるつ
ぼの最大径と一致する。残融液の液面が多段テーパ部1
1a内に存在しても、その位置が直胴部11bに近いと
変形が直胴部11bにまで及ぶ可能性があるため、単結
晶引上げ終了時の融液液面(固液界面)は、第2のテー
パ部11a-2近傍に存在させることが好ましい。
【0031】また、多段テーパ状貴金属製るつぼ11や
湾曲状貴金属製るつぼ12は各種の単結晶引上げに対し
て有効であるが、特に大型結晶を必要とし、かつ化学的
活性が大であると共に高融点のLiTaO3 やLiNb
3 等の酸化物単結晶の育成に対してより大きな効果を
発揮する。
【0032】上述した実施形態の単結晶引上げ装置にお
いては、単結晶18の曲りや融液17ごと固化してるつ
ぼ壁に固着する現象等の防止効果、および貴金属製るつ
ぼ11の変形防止効果を共に得た上で、分割型耐火保温
筒13を用いていることから保温性を安定に保つことが
できる。すなわち、貴金属製るつぼ11の周囲には高密
度の耐火物アルミナ等からなる分割型耐火保温筒13を
配置しているため、貴金属製るつぼ11内の原料を融解
する際に、強アルカリ成分を含むLiTaO3やLiN
bO3 等の液滴がかかっても、従来のアルミナバブル等
のように容易に収縮したり、また溶解することがほとん
どない。従って、保温効果を安定に保つことができ、温
度分布の変化を抑制することができる。これは単結晶の
製造歩留りの向上に大きく寄与する。
【0033】ここで、一体型の耐火保温筒では、貴金属
製るつぼ11の変形に伴ってクラックの発生等が避けら
れないため、保温性が低下したり、さらには貴金属製る
つぼ11を収容することができなくなってしまう。これ
に対して、本発明では分割型耐火保温筒13を用いてい
るため、貴金属製るつぼ11の変形を十分に許容するこ
とができ、クラックの発生等を招くことがない。このよ
うなことから、分割型耐火保温筒13としては、図4に
示したように、分割部13aが重なるように構成された
複数分割型のものを用いることが好ましい。
【0034】さらに、分割型耐火保温筒13と耐火るつ
ぼ14との間には、バックアップ材としてアルミナバブ
ル等からなる耐火バブル15を充填しているため、分割
型耐火保温筒13が極端に広がることもない。さらに、
耐火バブル15は分割型耐火保温筒13の外側に配置し
ているため、原料融解時に原料融液の液滴がかかって収
縮するようなこともない。
【0035】これらに加えて、分割型耐火保温筒13で
多段テーパ状貴金属製るつぼ11の直胴部11bを保持
しているため、たとえ多段テーパ部11aが変形して
も、全体的な位置、例えば高周波発振器の出力端ワーク
コイル16との相対位置が変化することはないため、温
度分布を安定に維持することができる。これによって
も、単結晶の製造歩留りが向上する。
【0036】なお、上述した単結晶19の曲りや融液1
7ごと固化してるつぼ壁に固着する現象等の防止効果、
貴金属製るつぼ11の変形防止効果、温度分布の安定化
等による製造歩留りの向上効果は、下部に湾曲部12a
を有する湾曲状貴金属製るつぼ12を用いることによっ
ても、同様に実現することができる。
【0037】また、上述した分割型耐火保温筒13およ
びその外周側に配置した耐火バブル15とを有する単結
晶引上げ装置は、多段テーパ状貴金属製るつぼ11や湾
曲状貴金属製るつぼ12を用いる場合に限らず、通常の
一定径の貴金属製るつぼを用いた場合においても効果を
発揮する。すなわち、原料融解時における原料融液の液
滴の飛び跳ねは、貴金属製るつぼの形状にかかわらず発
生するため、この液滴の飛び跳ねによる耐火物の収縮や
溶解を抑制することは保温効果の安定化に対して有効で
ある。このような構成は、特に融液中に強アルカリ成分
を含むLiTaO3 やLiNbO3 等の酸化物単結晶を
引上げる際に有効である。
【0038】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0039】実施例1 まず、図2に示したような多段テーパ状Pt−Rh製る
つぼ11を用意した。具体的な形状は、るつぼ口径=180
mmφ、高さT=140mm、多段テーパ部11aの形成位置t
1 =70mm 、第1のテーパ部11a-1の角度α1 = 10°、
第2のテーパ部11a-2の角度α2 = 40°とした。この
ような多段テーパ状Pt−Rh製るつぼ11を、耐火物
アルミナからなる 3分割型の耐火保温筒13内に配置
し、これらを図1に示したように耐火るつぼ14内に収
容すると共に、 3分割型耐火保温筒13と耐火るつぼ1
4との間には、バックアップ材としてアルミナバブル1
5を充填した。
【0040】このような単結晶引上げ装置を用いて、以
下のようにしてLiTaO3 単結晶の引上げを行った。
多段テーパ状Pt−Rh製るつぼ11内には14kgの原料
をチャージし、約 8kgのLiTaO3 単結晶を引上げ
た。
【0041】また、本発明との比較例として、図5に示
した単結晶引上げ装置を用いて、上記実施例と同様にし
てLiTaO3 単結晶の引上げを行った。具体的には、
テーパ角が40°の単一テーパのPt−Rh製るつぼ1を
用い、この単一テーパのPt−Rh製るつぼ1を円錐状
受け面2aを有する耐火受け台2上に配置し、その周囲
に直接アルミナバブル4等を充填した。
【0042】上述したLiTaO3 単結晶の引上げにお
いて、約 100回の引上げ後10回程度のスパンで歩留りが
50%位に低下したときをPt−Rh製るつぼの寿命と判
定した。その結果、実施例1の単結晶引上げ装置におい
ては、引上げ終了時の液面が必ずテーパ部にあること等
に起因して、るつぼ寿命が比較例に比べて 30%程度長く
なった。また、実施例1の単結晶引上げ装置において
は、単結晶の変形度合いが少ないことに加えて、保温性
の安定化やPt−Rh製るつぼとワークコイルとの相対
位置の安定化等によって、単結晶の引上げ歩留りも比較
例に比べて 10%程度向上した。
【0043】実施例2 まず、図3に示したような湾曲状Pt−Rh製るつぼ1
2を用意した。具体的な形状は、るつぼ口径=180mmφ、
高さT=140mm、湾曲部12aの形成位置t1 =70mmと
し、湾曲部12aの曲率は底面部12c側ほど小さくな
るように変化させた。このような湾曲状Pt−Rh製る
つぼ12を、実施例1と同様に、耐火物アルミナからな
る 3分割型の耐火保温筒13内に配置すると共に、 3分
割型耐火保温筒13と耐火るつぼ14との間にバックア
ップ材としてアルミナバブル15を充填した。
【0044】このような単結晶引上げ装置を用いて、実
施例1と同様にして、LiNbO3単結晶の引上げを行
った。また、本発明との比較例として、図5に示した単
結晶引上げ装置を用いて、上記実施例2と同様にしてL
iNbO3 単結晶の引上げを行った。そして、実施例1
と同様にして、るつぼ寿命および単結晶歩留りを評価し
たところ、るつぼ寿命は比較例に比べて 30%程度向上
し、単結晶の引上げ歩留りも比較例に比べて 10%程度向
上した。
【0045】また、るつぼ材として強化Ptを用いた場
合、従来の単一テーパのるつぼでは直胴部とテーパ部と
の接合部にかかる応力が大きく、外力によりクラックが
生じるという問題があったが、下部を緩やかな曲線、す
なわち湾曲部とすることによって、クラックの発生を防
止することができた。このため、より硬く変形しにくい
強化Pt製のるつぼの実用性を大幅に向上させることが
可能となった。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の第1の単
結晶引上げ装置によれば、貴金属製るつぼの変形防止効
果等が十分に得られると共に、テーパ部に起因する単結
晶の曲りやテーパ部の変形等に起因する温度分布の変化
を防止することができる。従って、貴金属製るつぼの長
寿命化を図った上で、単結晶の製造歩留りを向上させる
ことが可能となる。
【0047】また、第2の単結晶引上げ装置によれば、
耐火バブルの収縮や溶解に伴う温度分布の変化を抑制す
ることができるため、単結晶の製造歩留りを向上させる
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による単結晶引上げ装置
の概略構成を模式的に示す断面図である。
【図2】 図1に示す単結晶引上げ装置で用いた多段テ
ーパ状貴金属製るつぼを示す断面図である。
【図3】 本発明で用いられる湾曲状貴金属製るつぼの
一構成例を示す断面図である。
【図4】 図1に示す単結晶引上げ装置で用いた分割型
耐火保温筒の一構成例示す斜視図である。
【図5】 従来の単結晶引上げ装置の概略構成を示す断
面図である。
【符号の説明】
11………多段テーパ状貴金属製るつぼ 11a……多段テーパ部 11a-1…第1のテーパ部 11a-2…第2のテーパ部 12………湾曲状貴金属製るつぼ 13………分割型耐火保温筒 14………耐火るつぼ 15………耐火バブル 16………高周波発振器の出力端ワークコイル 18………種子結晶

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直胴部と、該直胴部の下側から底面部に
    向けて形成された多段テーパ部または湾曲部とを有し、
    単結晶原料が収容される貴金属製るつぼと、 前記貴金属製るつぼの直胴部の外周面と接するように配
    置され、複数に分割された耐火保温筒と、 前記貴金属製るつぼおよび耐火保温筒が収容された耐火
    るつぼと、 前記耐火るつぼを囲繞するように配置され、前記単結晶
    原料を溶融する原料溶融手段と、 種子結晶を下端部に保持し、前記貴金属製るつぼ内の原
    料融液液面に対して垂設された種子結晶保持体と、 前記種子結晶保持体を回転させながら上昇させる回転引
    上げ機構とを具備することを特徴とする単結晶引上げ装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の単結晶引上げ装置におい
    て、 前記貴金属製るつぼの多段テーパ部は、前記直胴部に繋
    がる第1のテーパ部と、この第1のテーパ部より急峻な
    角度を有し、前記底面部に繋がる第2のテーパ部とを有
    することを特徴とする単結晶引上げ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の単結晶引上げ装置におい
    て、 前記耐火保温筒と耐火るつぼとの間に、耐火バブルが充
    填されていることを特徴とする単結晶引上げ装置。
  4. 【請求項4】 単結晶原料が収容される貴金属製るつぼ
    と、 前記貴金属製るつぼの外周面と接するように配置され、
    複数に分割された耐火保温筒と、 前記貴金属製るつぼおよび耐火保温筒を収容する耐火る
    つぼと、 前記耐火保温筒と耐火るつぼとの間に充填された耐火バ
    ブルと、 前記耐火るつぼを囲繞するように配置され、前記単結晶
    原料を溶融する原料溶融手段と、 種子結晶を下端部に保持し、前記貴金属製るつぼ内の原
    料融液液面に対して垂設された種子結晶保持体と、 前記種子結晶保持体を回転させながら上昇させる回転引
    上げ機構とを具備することを特徴とする単結晶引上げ装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012250874A (ja) * 2011-06-02 2012-12-20 Shin-Etsu Chemical Co Ltd イリジウムルツボ及びそれを用いたタンタル酸リチウム単結晶の製造方法
WO2017209144A1 (ja) * 2016-05-30 2017-12-07 京セラ株式会社 坩堝

Cited By (3)

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