JPH09286075A - ラミネート金属板並びにその成型品及び製造方法 - Google Patents
ラミネート金属板並びにその成型品及び製造方法Info
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- JPH09286075A JPH09286075A JP8101190A JP10119096A JPH09286075A JP H09286075 A JPH09286075 A JP H09286075A JP 8101190 A JP8101190 A JP 8101190A JP 10119096 A JP10119096 A JP 10119096A JP H09286075 A JPH09286075 A JP H09286075A
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- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B29—WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
- B29C—SHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
- B29C66/00—General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts
- B29C66/70—General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material
- B29C66/71—General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material characterised by the composition of the plastics material of the parts to be joined
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- Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
- Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 深絞り等の加工時に必要となる金属板とPE
Tフィルムの密着性がよく、剥離欠陥のなく、意匠成型
品の歩留まりが優れたラミネート金属板を得る。 【解決手段】 圧延鋼板8の表面に樹脂シートを加熱溶
着させてなるラミネート金属板10であって、樹脂シー
トが非晶性ポリエチレンテレフタレートのA−PETシ
ート1であるようなラミネート金属板。
Tフィルムの密着性がよく、剥離欠陥のなく、意匠成型
品の歩留まりが優れたラミネート金属板を得る。 【解決手段】 圧延鋼板8の表面に樹脂シートを加熱溶
着させてなるラミネート金属板10であって、樹脂シー
トが非晶性ポリエチレンテレフタレートのA−PETシ
ート1であるようなラミネート金属板。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷蔵庫やエアコン
室外機、さらに家具や玩具等の外郭に用いられる樹脂シ
ートをラミネートした金属板と、それを用いてプレス加
工等によって成形したラミネート金属板の成型品及びそ
の製造方法とに関するものである。
室外機、さらに家具や玩具等の外郭に用いられる樹脂シ
ートをラミネートした金属板と、それを用いてプレス加
工等によって成形したラミネート金属板の成型品及びそ
の製造方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、上述の目的のために生産された外
郭(外壁)用の金属板の外装には、熱硬化性樹脂の他、
熱硬化性樹脂を有機溶剤に溶解させたものや粉体状の熱
可塑性樹脂を用いて塗装していたが、近年、予め自由な
彩色とデザインを施した樹脂シートを加熱溶着したラミ
ネート金属板を用いることによって、多彩な意匠の外装
を容易に選択できるようになってきた。このような目的
・構成からなる複合型金属板を開示する文献として、例
えば、下記に示すものがある。 (a)特開昭57−23584号公報 (b)特開昭61−149340号公報 (c)特開平1−192546号公報 (d)特開平5−42643号公報
郭(外壁)用の金属板の外装には、熱硬化性樹脂の他、
熱硬化性樹脂を有機溶剤に溶解させたものや粉体状の熱
可塑性樹脂を用いて塗装していたが、近年、予め自由な
彩色とデザインを施した樹脂シートを加熱溶着したラミ
ネート金属板を用いることによって、多彩な意匠の外装
を容易に選択できるようになってきた。このような目的
・構成からなる複合型金属板を開示する文献として、例
えば、下記に示すものがある。 (a)特開昭57−23584号公報 (b)特開昭61−149340号公報 (c)特開平1−192546号公報 (d)特開平5−42643号公報
【0003】このような各種樹脂シートの内、機械的強
度や耐熱性、水分や各種イオンの透過に対して優れたバ
リヤー性を有するポリエチレンテレフタレート(以下、
C−PETと呼ぶ)が長期間に及ぶ各種環境下で必要特
性を維持し、品質安定性に関する信頼性が高い。加え
て、所望の彩色が自由かつ豊富に得られるという利点の
多いことから、電気機器を中心とした民生用品、例えば
冷蔵庫やエアコン室外機、さらに家具や玩具等の外郭に
多用されている。
度や耐熱性、水分や各種イオンの透過に対して優れたバ
リヤー性を有するポリエチレンテレフタレート(以下、
C−PETと呼ぶ)が長期間に及ぶ各種環境下で必要特
性を維持し、品質安定性に関する信頼性が高い。加え
て、所望の彩色が自由かつ豊富に得られるという利点の
多いことから、電気機器を中心とした民生用品、例えば
冷蔵庫やエアコン室外機、さらに家具や玩具等の外郭に
多用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、C−PETは
結晶性の樹脂であるうえ、一般に用いられる樹脂シート
は二軸延伸により高度に配向して結晶性が進み、このた
め接着性に劣るという欠点がある。また、特開昭57−
23584号公報では単に、C−PETフィルムを融点
以上に加熱したロールを用いて金属板に熱圧着してラミ
ネートした金属板を用いている。しかし、この方法では
意匠板を製造するための深絞りやしごき加工時に必要と
なる金属板とPETフィルムの密着性が劣り、剥離欠陥
の発生により、意匠成型品の歩留まりが低い。
結晶性の樹脂であるうえ、一般に用いられる樹脂シート
は二軸延伸により高度に配向して結晶性が進み、このた
め接着性に劣るという欠点がある。また、特開昭57−
23584号公報では単に、C−PETフィルムを融点
以上に加熱したロールを用いて金属板に熱圧着してラミ
ネートした金属板を用いている。しかし、この方法では
意匠板を製造するための深絞りやしごき加工時に必要と
なる金属板とPETフィルムの密着性が劣り、剥離欠陥
の発生により、意匠成型品の歩留まりが低い。
【0005】これら欠点を改良するため、特開昭61−
149340号公報では非常に薄いフィルム内に配向層
とは別の無配向層を作製し、特開平1−192546号
公報と特開平5−42643号公報では、C−PETフ
ィルムに融点が10℃〜40℃も低い無配向性PET層
を熱圧着することによって、無配向層の接着性を応用す
る方法が開示されている。しかし、この方法ではC−P
ETの結晶化度を適度に維持することが無配向層との2
層構造を維持する接着性を確保する上で重要であり、そ
のためには樹脂シートの押し出し温度や延伸率等のフィ
ルム製造工程が複雑で、厳密に工程管理することが必要
となることと、曲げ加工時に係る配向の進展とともに延
伸の歪みが残存して耐薬品性を低下させ、クラックが発
生し易くなるという欠点も合わせ持っている。
149340号公報では非常に薄いフィルム内に配向層
とは別の無配向層を作製し、特開平1−192546号
公報と特開平5−42643号公報では、C−PETフ
ィルムに融点が10℃〜40℃も低い無配向性PET層
を熱圧着することによって、無配向層の接着性を応用す
る方法が開示されている。しかし、この方法ではC−P
ETの結晶化度を適度に維持することが無配向層との2
層構造を維持する接着性を確保する上で重要であり、そ
のためには樹脂シートの押し出し温度や延伸率等のフィ
ルム製造工程が複雑で、厳密に工程管理することが必要
となることと、曲げ加工時に係る配向の進展とともに延
伸の歪みが残存して耐薬品性を低下させ、クラックが発
生し易くなるという欠点も合わせ持っている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の欠点を排除するた
め、本発明に係るラミネート金属板は、金属板にラミネ
ートする樹脂シートとして非晶性ポリエチレンテレフタ
レート(以下、A−PETと呼ぶ)を用いるものであ
る。
め、本発明に係るラミネート金属板は、金属板にラミネ
ートする樹脂シートとして非晶性ポリエチレンテレフタ
レート(以下、A−PETと呼ぶ)を用いるものであ
る。
【0007】すなわち、展延性に優れたA−PETを金
属板に溶着してラミネート金属板を作製し、これを曲げ
や絞り加工を行ってその成型品を得た後、樹脂シートが
溶融に至らない温度以下で加熱処理を行うことによって
硬度、耐熱性、耐薬品性に優れた表面特性を確保するよ
うにしたものである。
属板に溶着してラミネート金属板を作製し、これを曲げ
や絞り加工を行ってその成型品を得た後、樹脂シートが
溶融に至らない温度以下で加熱処理を行うことによって
硬度、耐熱性、耐薬品性に優れた表面特性を確保するよ
うにしたものである。
【0008】ここで、本発明の特徴となっているA−P
ETの適用は、非晶性樹脂特有の高い接着強度と引張り
伸び率、C−PET同様の耐薬品性と光沢を有している
上、熱処理を行えば容易に結晶化度が上昇してC−PE
Tと同等にまで耐熱性(熱変形温度)と剛性や硬度の向
上が図れることを応用したものとなっている。
ETの適用は、非晶性樹脂特有の高い接着強度と引張り
伸び率、C−PET同様の耐薬品性と光沢を有している
上、熱処理を行えば容易に結晶化度が上昇してC−PE
Tと同等にまで耐熱性(熱変形温度)と剛性や硬度の向
上が図れることを応用したものとなっている。
【0009】このうち、A−PETの溶着による金属板
との接着性は、樹脂シートが伸びた後の収縮が少ないた
めに引張りによる塑性変形時における内部歪みが残存せ
ず、曲げや絞り加工で樹脂シートが展延する時に発生金
属板との界面における剪断歪みを軽減して、本来の強い
接着性を維持することになる。
との接着性は、樹脂シートが伸びた後の収縮が少ないた
めに引張りによる塑性変形時における内部歪みが残存せ
ず、曲げや絞り加工で樹脂シートが展延する時に発生金
属板との界面における剪断歪みを軽減して、本来の強い
接着性を維持することになる。
【0010】このような曲げ加工や絞り加工を施した意
匠成型品は、内部歪みが少ないために、加熱や除冷の時
に変形や剥離が発生せず、結晶化度の上昇による溶着性
が低下しても剥離を生じることなく、耐熱性、剛性、硬
度を向上させ、さらに内部歪みの除去の進行によって一
層高い耐薬品性が確保できる。
匠成型品は、内部歪みが少ないために、加熱や除冷の時
に変形や剥離が発生せず、結晶化度の上昇による溶着性
が低下しても剥離を生じることなく、耐熱性、剛性、硬
度を向上させ、さらに内部歪みの除去の進行によって一
層高い耐薬品性が確保できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の構成と効果を発
明の実施の形態に基づき、具体的に説明する。 [実施の形態1]まず、図1は本発明によるラミネート
金属板の構成例を示す断面説明図である。図1におい
て、金属板である圧延鋼板8の表面側に樹脂シートとし
てA−PETシート1が接着されて、本発明によるラミ
ネート金属板10が構成されている。以下、ラミネート
金属板10の作成方法について説明する。
明の実施の形態に基づき、具体的に説明する。 [実施の形態1]まず、図1は本発明によるラミネート
金属板の構成例を示す断面説明図である。図1におい
て、金属板である圧延鋼板8の表面側に樹脂シートとし
てA−PETシート1が接着されて、本発明によるラミ
ネート金属板10が構成されている。以下、ラミネート
金属板10の作成方法について説明する。
【0012】はじめに、A−PETシートの作成方法を
図2に示すが、A−PETシート1は汎用の押出機を用
いたシート成形加工により得られる。通常工程に対する
特別な差異は、高温のA−PETシート1aを冷却温度
を低めに設定したロール2によって急冷して結晶の生成
を抑止し、非晶性を確保することに注意を払うことだけ
である。その他の通常の工程は、スクリュー3に導入さ
れたペレットがヒータ4とスクリュー3の回転による摩
擦熱で溶融し、ダイ5から押し出されてロール2で冷却
後、巻取機6に確保する一連の工程は通常の工程と同じ
である。なお、ここで用いた樹脂はNOVAPEX−G
S400(三菱化学KK製)であり、ダイ5から押し出
された後、ロール2に至る迄のA−PETシート1aに
は1. 1〜2. 5倍の延伸をかけながら成形している。
図2に示すが、A−PETシート1は汎用の押出機を用
いたシート成形加工により得られる。通常工程に対する
特別な差異は、高温のA−PETシート1aを冷却温度
を低めに設定したロール2によって急冷して結晶の生成
を抑止し、非晶性を確保することに注意を払うことだけ
である。その他の通常の工程は、スクリュー3に導入さ
れたペレットがヒータ4とスクリュー3の回転による摩
擦熱で溶融し、ダイ5から押し出されてロール2で冷却
後、巻取機6に確保する一連の工程は通常の工程と同じ
である。なお、ここで用いた樹脂はNOVAPEX−G
S400(三菱化学KK製)であり、ダイ5から押し出
された後、ロール2に至る迄のA−PETシート1aに
は1. 1〜2. 5倍の延伸をかけながら成形している。
【0013】次に、ラミネート金属板10の作成方法を
示すが、ラミネート金属板10は特に断りのない限り、
図3に示すように、任意の厚さのA−PETシート1上
に1mm厚のゴムシート7を重ね、それらを250℃に
加熱した0. 3mm厚の圧延鋼板8の上に載せたもの
を、10kg/cmの線圧力下で3cm/secの速度
で圧着ロール9の間を通過させて溶着させて、図1に示
す構造のラミネート金属板10を形成し、以下に示す実
施形態の試験用試料とした。このとき、最終工程の冷却
工程では2秒以内で70℃に到達するように冷却ロール
11の温度を調整して、A−PETシート1の非晶性を
確保するようにしている。
示すが、ラミネート金属板10は特に断りのない限り、
図3に示すように、任意の厚さのA−PETシート1上
に1mm厚のゴムシート7を重ね、それらを250℃に
加熱した0. 3mm厚の圧延鋼板8の上に載せたもの
を、10kg/cmの線圧力下で3cm/secの速度
で圧着ロール9の間を通過させて溶着させて、図1に示
す構造のラミネート金属板10を形成し、以下に示す実
施形態の試験用試料とした。このとき、最終工程の冷却
工程では2秒以内で70℃に到達するように冷却ロール
11の温度を調整して、A−PETシート1の非晶性を
確保するようにしている。
【0014】[実施の形態2]ラミネート金属板を意匠
成型品として用いるための適性試験を行い、次の試験項
目、すなわち接着強度、屈曲試験、表面硬度及び耐熱性
について、実施例及び比較例についてそれぞれ評価を行
った。
成型品として用いるための適性試験を行い、次の試験項
目、すなわち接着強度、屈曲試験、表面硬度及び耐熱性
について、実施例及び比較例についてそれぞれ評価を行
った。
【0015】{試験1;接着強度}ラミネート金属板1
0を用いた成型品におけるシートの剥離に関する耐性と
して接着( 溶着) 強度を調べた。A−PETシート1の
厚さが350μmのものを用いて作成したラミネート金
属板10を80℃で5分、さらに140℃で10分間の
加熱後、10℃/sec以下の条件で除冷を行った。こ
れを200mm×25mmの大きさに裁断し、接着強度
用実施例1の試料として使用した。接着強度の測定は、
長手方向の端部から25mmを強制的に剥離した非接着
部をチャックにはさみ、JIS・K- 6854に準拠し
た浮動ローラ法による剥離強度を測定し、後述の表1に
示すように、剥離強度が0. 3以上を◎、0. 2以上を
○、0. 2以下を×と評価した。
0を用いた成型品におけるシートの剥離に関する耐性と
して接着( 溶着) 強度を調べた。A−PETシート1の
厚さが350μmのものを用いて作成したラミネート金
属板10を80℃で5分、さらに140℃で10分間の
加熱後、10℃/sec以下の条件で除冷を行った。こ
れを200mm×25mmの大きさに裁断し、接着強度
用実施例1の試料として使用した。接着強度の測定は、
長手方向の端部から25mmを強制的に剥離した非接着
部をチャックにはさみ、JIS・K- 6854に準拠し
た浮動ローラ法による剥離強度を測定し、後述の表1に
示すように、剥離強度が0. 3以上を◎、0. 2以上を
○、0. 2以下を×と評価した。
【0016】{試験2;屈曲試験}部材としての曲げや
絞り加工によって成型品形状に賦型する時に、ラミネー
ト金属板10が曲がることによってA−PETシート1
にかかる引っ張り変形に対する耐性を評価するため、任
意の曲げ角が得られるJIS・K- 5400−8に準拠
した曲げ試験における亀裂発生の確認試験を行った。心
棒の直径がφ2mm〜φ10mmまで変化させてラミネ
ート金属板10を屈曲させて、ラミネートフィルムすな
わちA−PETシート1の表面にクラックが発生せずに
「折り曲げに耐える」と評価しうる試料に用いた心棒の
最小直径を求め、その値が1mm以下を◎、3mm以下
を○、4mm以上を×と評価した。試料に用いたA−P
ETシート1の厚さは50±3μmであり、試験の目的
から本試験の試料には加熱処理を行わないこととした。
絞り加工によって成型品形状に賦型する時に、ラミネー
ト金属板10が曲がることによってA−PETシート1
にかかる引っ張り変形に対する耐性を評価するため、任
意の曲げ角が得られるJIS・K- 5400−8に準拠
した曲げ試験における亀裂発生の確認試験を行った。心
棒の直径がφ2mm〜φ10mmまで変化させてラミネ
ート金属板10を屈曲させて、ラミネートフィルムすな
わちA−PETシート1の表面にクラックが発生せずに
「折り曲げに耐える」と評価しうる試料に用いた心棒の
最小直径を求め、その値が1mm以下を◎、3mm以下
を○、4mm以上を×と評価した。試料に用いたA−P
ETシート1の厚さは50±3μmであり、試験の目的
から本試験の試料には加熱処理を行わないこととした。
【0017】{試験3;表面硬度}成型品の使用時にお
ける擦れや引っかきなどによるきず発生に対する耐性を
評価するため、表面硬度を調べた。試料には、A−PE
Tシート1の厚さが50±3μmのもの用いた。これ
を、80℃で5分、更に140℃で10分間の加熱後、
10℃/sec以下の条件で除冷を行った。これを、J
IS・K- 5401に基づく鉛筆硬度法による表面硬さ
を調べ、2H以上を◎、HB以下を○、それ以上を×と
評価した。
ける擦れや引っかきなどによるきず発生に対する耐性を
評価するため、表面硬度を調べた。試料には、A−PE
Tシート1の厚さが50±3μmのもの用いた。これ
を、80℃で5分、更に140℃で10分間の加熱後、
10℃/sec以下の条件で除冷を行った。これを、J
IS・K- 5401に基づく鉛筆硬度法による表面硬さ
を調べ、2H以上を◎、HB以下を○、それ以上を×と
評価した。
【0018】{試験4;耐熱性}この試験では、一般的
な電気機器の実用および製造上の最高温度である80℃
における耐熱性の評価を行った。A−PETシート1の
厚さが50±3μmのもの用いて作成したラミネート金
属板10をガラス転移点以上の100℃で5分、さらに
熱変形温度以下の140℃で10分間の加熱後、10℃
/sec以下の条件で除冷を行ったものを実施例1試料
とした。耐熱性の評価は、300mm×300mmの大
きさの試料の上にA−PETの350μm厚さのシート
を、さらに80℃に予熱した重さ9kgの鉄板を重ね合
わせて10分間保持した試料について、その前後の光沢
の変化をJIS・K−7160に準拠した方法により調
べた。測定値の変化量から、5以下を◎、15未満を
○、15以上を×と評価した。
な電気機器の実用および製造上の最高温度である80℃
における耐熱性の評価を行った。A−PETシート1の
厚さが50±3μmのもの用いて作成したラミネート金
属板10をガラス転移点以上の100℃で5分、さらに
熱変形温度以下の140℃で10分間の加熱後、10℃
/sec以下の条件で除冷を行ったものを実施例1試料
とした。耐熱性の評価は、300mm×300mmの大
きさの試料の上にA−PETの350μm厚さのシート
を、さらに80℃に予熱した重さ9kgの鉄板を重ね合
わせて10分間保持した試料について、その前後の光沢
の変化をJIS・K−7160に準拠した方法により調
べた。測定値の変化量から、5以下を◎、15未満を
○、15以上を×と評価した。
【0019】{比較例及び参考例}テレフタル酸とエチ
レングリコールからなるC−PETシート(図示せず)
を用いて実施例1と同様に形成したラミネート鋼板(図
示せず)の試料を比較例1−1、テレフタル酸およびイ
ソフタル酸とエチレングリコールのポリエステル共重合
体(モル比=80:20)をラミネート用シートとして
用いた同様試料を比較例1−2とし、実施例1の場合と
同様の試験1〜4を各々行った。なお、A−PETシー
ト10の加熱処理を行わないものについては参考例とし
て同様の試験を行った。以上の各試験結果をまとめて、
表1に示した。
レングリコールからなるC−PETシート(図示せず)
を用いて実施例1と同様に形成したラミネート鋼板(図
示せず)の試料を比較例1−1、テレフタル酸およびイ
ソフタル酸とエチレングリコールのポリエステル共重合
体(モル比=80:20)をラミネート用シートとして
用いた同様試料を比較例1−2とし、実施例1の場合と
同様の試験1〜4を各々行った。なお、A−PETシー
ト10の加熱処理を行わないものについては参考例とし
て同様の試験を行った。以上の各試験結果をまとめて、
表1に示した。
【0020】
【表1】
【0021】以上の結果から、A−PETを使用した実
施例1及び参考例の試料は、加熱処理の有無を問わず、
有効な性能を確保し、成型時や使用時に大きな問題発生
の無いことが予測できる程に優れた性能を示した。これ
に対し、従来のC−PETを使用した比較例1−1で
は、曲げや絞り加工時に鋼板との剥離や亀裂発生が、ま
た比較例1−2のようにポリエステル樹脂でラミネート
したものは実使用時の耐熱性に関する問題の発生が、そ
れぞれ予測できることが明らかである。そして、特筆す
べきことは、本発明に係る実施例1の試料のように、熱
処理前に成形加工を行いさらに実使用状態では熱処理を
施したものは、従来では見られない程の極めて優れた特
性を有するラミネート金属板が得られることである。
施例1及び参考例の試料は、加熱処理の有無を問わず、
有効な性能を確保し、成型時や使用時に大きな問題発生
の無いことが予測できる程に優れた性能を示した。これ
に対し、従来のC−PETを使用した比較例1−1で
は、曲げや絞り加工時に鋼板との剥離や亀裂発生が、ま
た比較例1−2のようにポリエステル樹脂でラミネート
したものは実使用時の耐熱性に関する問題の発生が、そ
れぞれ予測できることが明らかである。そして、特筆す
べきことは、本発明に係る実施例1の試料のように、熱
処理前に成形加工を行いさらに実使用状態では熱処理を
施したものは、従来では見られない程の極めて優れた特
性を有するラミネート金属板が得られることである。
【0022】[実施の形態3]本実施形態では、ラミネ
ート金属板10を応用した成型品の一つとして、図4に
示したような断面形状を有する冷蔵庫の断熱箱体の外郭
を構成する外箱の表面保護層に応用した場合の適性を評
価する試験を行った。厚さが100μmのA−PETシ
ート1を金属板である0. 5mm厚の冷間圧延鋼板8に
溶着させたラミネート金属板10を用いて、図5に示す
ように、ロールフォーマによって内箱12と嵌合するた
めに非常に小さな曲率で折り曲げ加工をしたフランジ嵌
合部分16を有する部材を、さらに図6に示すような門
形に折り曲げ加工して外箱13を形成した。そして、こ
れに100℃×5分と140℃×10分の加熱後、10
℃/sec以下の速度で冷却することによってA−PE
Tの剛性と耐熱性を向上させたものを実施例2の試料に
用いた。この外箱を応用した冷蔵庫は三菱電機KKの内
容積が120Lの小型冷凍冷蔵庫である「MR−12」
で、試料数は3個である。
ート金属板10を応用した成型品の一つとして、図4に
示したような断面形状を有する冷蔵庫の断熱箱体の外郭
を構成する外箱の表面保護層に応用した場合の適性を評
価する試験を行った。厚さが100μmのA−PETシ
ート1を金属板である0. 5mm厚の冷間圧延鋼板8に
溶着させたラミネート金属板10を用いて、図5に示す
ように、ロールフォーマによって内箱12と嵌合するた
めに非常に小さな曲率で折り曲げ加工をしたフランジ嵌
合部分16を有する部材を、さらに図6に示すような門
形に折り曲げ加工して外箱13を形成した。そして、こ
れに100℃×5分と140℃×10分の加熱後、10
℃/sec以下の速度で冷却することによってA−PE
Tの剛性と耐熱性を向上させたものを実施例2の試料に
用いた。この外箱を応用した冷蔵庫は三菱電機KKの内
容積が120Lの小型冷凍冷蔵庫である「MR−12」
で、試料数は3個である。
【0023】{試験4;製造時の外観変化確認試験}冷
蔵庫の断熱箱体15(図4参照)は、ABS樹脂製の内
箱12をA−PETシート1を用いたラミネート金属板
10を成形加工した外箱13に装着した後、ラミネート
金属板10と同様のラミネート金属板である背面板17
と亜鉛メッキ鋼板である底板18を装着し、それら間隙
に断熱材14を構成する硬質ウレタンフォームを発泡充
填して製造する。試験は、この発泡充填時の外箱13に
は、40〜50℃の予熱を行った上に断熱材14の反応
熱が加わり、最高80℃にも達する。この熱によってラ
ミネートしたA−PETシート1表面の変形を伴う光沢
の変化(低下)を調べた。JIS・K−7160に準拠
した光沢測定を行い、発泡前後における平均値の変化量
と、発泡後の最大値と最小値の差としての分布との2項
目について調べた。何れの評価においても、測定値の変
化量が、5以下を◎、15未満を○、15以上を×と評
価した。
蔵庫の断熱箱体15(図4参照)は、ABS樹脂製の内
箱12をA−PETシート1を用いたラミネート金属板
10を成形加工した外箱13に装着した後、ラミネート
金属板10と同様のラミネート金属板である背面板17
と亜鉛メッキ鋼板である底板18を装着し、それら間隙
に断熱材14を構成する硬質ウレタンフォームを発泡充
填して製造する。試験は、この発泡充填時の外箱13に
は、40〜50℃の予熱を行った上に断熱材14の反応
熱が加わり、最高80℃にも達する。この熱によってラ
ミネートしたA−PETシート1表面の変形を伴う光沢
の変化(低下)を調べた。JIS・K−7160に準拠
した光沢測定を行い、発泡前後における平均値の変化量
と、発泡後の最大値と最小値の差としての分布との2項
目について調べた。何れの評価においても、測定値の変
化量が、5以下を◎、15未満を○、15以上を×と評
価した。
【0024】{試験5;耐環境試験}図6に示したよう
に試作した冷蔵庫の断熱箱体14を屋外に6月から8月
までの3カ月間放置し、意匠面部分、特に折曲げ部にお
ける錆の発生やラミネートしたA−PETシート1の浮
き等の外観変化を調べた。錆や浮きが全く発生しなかっ
たものを◎、白化程度の変化を確認したが錆や浮きに至
っていないものを○、錆や浮きが確認できたものを×と
して評価した。また、別の冷蔵庫の断熱箱体では、−3
0℃と60℃の環境試験室内で各々2時間以上放置した
後、もう一方の部屋に30秒以内に移動させる「繰り返
し熱衝撃試験」を行い、特に、コーナー部表面における
A−PETシート1のクラック発生状況等を調べた。ク
ラックが全く発生しなかったものを◎、スジ状の白化を
確認したが割れに至っていないものを○、割れが確認で
きたものを×として評価した。
に試作した冷蔵庫の断熱箱体14を屋外に6月から8月
までの3カ月間放置し、意匠面部分、特に折曲げ部にお
ける錆の発生やラミネートしたA−PETシート1の浮
き等の外観変化を調べた。錆や浮きが全く発生しなかっ
たものを◎、白化程度の変化を確認したが錆や浮きに至
っていないものを○、錆や浮きが確認できたものを×と
して評価した。また、別の冷蔵庫の断熱箱体では、−3
0℃と60℃の環境試験室内で各々2時間以上放置した
後、もう一方の部屋に30秒以内に移動させる「繰り返
し熱衝撃試験」を行い、特に、コーナー部表面における
A−PETシート1のクラック発生状況等を調べた。ク
ラックが全く発生しなかったものを◎、スジ状の白化を
確認したが割れに至っていないものを○、割れが確認で
きたものを×として評価した。
【0025】{比較例2}冷蔵庫のラミネート金属板と
して、これまで一般に用いられているフィルムのC−P
ETを表層に30μm、PVC−PVAc共重合体が8
0μmの厚さである二層シートをイソフタル酸系−テレ
フタル酸系エステル共重合樹脂の接着剤で鋼板とラミネ
ートしたものを用いて、同様に冷蔵庫断熱箱体(図示せ
ず)を成形し、これを比較例2として実施例2と同時に
評価を実施した。以上の各試験結果を表2に示した。
して、これまで一般に用いられているフィルムのC−P
ETを表層に30μm、PVC−PVAc共重合体が8
0μmの厚さである二層シートをイソフタル酸系−テレ
フタル酸系エステル共重合樹脂の接着剤で鋼板とラミネ
ートしたものを用いて、同様に冷蔵庫断熱箱体(図示せ
ず)を成形し、これを比較例2として実施例2と同時に
評価を実施した。以上の各試験結果を表2に示した。
【0026】
【表2】
【0027】表2に示した実施の形態3の結果から、本
発明によるA−PETシート1をラミネート金属板10
に適用し、それを冷蔵庫の外箱13に成形加工した実施
例2の試料は、鋼板8との剥離による浮きや曲げ加工部
における割れなどの欠陥発生が非常に少なく、しかも、
従来品の比較例2との比較においても優れていることが
分かった。
発明によるA−PETシート1をラミネート金属板10
に適用し、それを冷蔵庫の外箱13に成形加工した実施
例2の試料は、鋼板8との剥離による浮きや曲げ加工部
における割れなどの欠陥発生が非常に少なく、しかも、
従来品の比較例2との比較においても優れていることが
分かった。
【0028】[実施の形態4]本実施の形態では、ビー
ル等の缶を製造するために行う絞り加工による樹脂シー
トのクラックや缶表面からの浮きなどに関する耐性を調
べる目的で、缶状の成型品における欠陥の発生を調べ
た。A−PETシート1の厚さが50μmであり、板の
厚さが250μmであるクロメート処理を行ったブリキ
にラミネートしたラミネート金属板10を用い、ラミネ
ート面が内側になるよう、ビール缶状の絞り・しごき加
工缶に成形した。この缶を、100℃×5分、次に14
0℃×10分の加熱を行った後、10℃/sec以下の
冷却速度でアニールしたものを実施例3の試料として形
成した。
ル等の缶を製造するために行う絞り加工による樹脂シー
トのクラックや缶表面からの浮きなどに関する耐性を調
べる目的で、缶状の成型品における欠陥の発生を調べ
た。A−PETシート1の厚さが50μmであり、板の
厚さが250μmであるクロメート処理を行ったブリキ
にラミネートしたラミネート金属板10を用い、ラミネ
ート面が内側になるよう、ビール缶状の絞り・しごき加
工缶に成形した。この缶を、100℃×5分、次に14
0℃×10分の加熱を行った後、10℃/sec以下の
冷却速度でアニールしたものを実施例3の試料として形
成した。
【0029】{試験6;製造後の欠陥確認試験}缶にお
けるラミネート部の上記のブリキ板との剥離欠陥を確認
するために、80℃の熱水投入後による膨れ変形として
目視観察した。他方、ピンホールの発生については2N
−塩酸を缶内部に投入、ラミネート部に発生する色( 黄
変) や形状( 膨れ) の変化について調べた。何れの調査
も、錆や浮き全く発生しなかったものを◎、白化程度の
変化を確認したが錆や浮きに至っていないものを○、錆
や浮きが確認できたものを×として評価した。
けるラミネート部の上記のブリキ板との剥離欠陥を確認
するために、80℃の熱水投入後による膨れ変形として
目視観察した。他方、ピンホールの発生については2N
−塩酸を缶内部に投入、ラミネート部に発生する色( 黄
変) や形状( 膨れ) の変化について調べた。何れの調査
も、錆や浮き全く発生しなかったものを◎、白化程度の
変化を確認したが錆や浮きに至っていないものを○、錆
や浮きが確認できたものを×として評価した。
【0030】{試験7;耐環境試験}前記の試験6でピ
ンホールやクラックのないラミネートが施されているこ
とを確認した成型品(「製造後の欠陥確認試験」を完了
したもの)にPH=3. 5に調整した塩酸を投入、40
℃の雰囲気中で30日間放置した後のラミネート部にお
ける色の変化やスジの発生等の外観変化を調べた。ま
た、別の成型品では−30℃と80℃の試験槽内で各々
1hr放置後、もう一方の槽内に10秒以内に移動させ
る「繰り返し熱衝撃試験」を行い、A−PETシートの
クラック発生状況を調べた。何れの調査も、クラックが
全く発生しなかったものを◎、スジ状の白化を確認した
が割れに至っていないものを○、割れが確認できたもの
を×として評価した。
ンホールやクラックのないラミネートが施されているこ
とを確認した成型品(「製造後の欠陥確認試験」を完了
したもの)にPH=3. 5に調整した塩酸を投入、40
℃の雰囲気中で30日間放置した後のラミネート部にお
ける色の変化やスジの発生等の外観変化を調べた。ま
た、別の成型品では−30℃と80℃の試験槽内で各々
1hr放置後、もう一方の槽内に10秒以内に移動させ
る「繰り返し熱衝撃試験」を行い、A−PETシートの
クラック発生状況を調べた。何れの調査も、クラックが
全く発生しなかったものを◎、スジ状の白化を確認した
が割れに至っていないものを○、割れが確認できたもの
を×として評価した。
【0031】{比較例3}缶用途としてこれまで一般に
用いられている二軸配向C−PETシート(図示せず)
を20μmの厚さで表層に、C−PETシートより融点
が20℃低いポリエステル樹脂を接着層として10μm
の厚さで配設した二層シートをブリキとラミネートした
ラミネート金属板(図示せず)を用い、同様に絞り・し
ごき加工により成形した缶を比較例3とし、実施例3と
同様の評価を実施した。上述の各試験結果を表3に示し
た。
用いられている二軸配向C−PETシート(図示せず)
を20μmの厚さで表層に、C−PETシートより融点
が20℃低いポリエステル樹脂を接着層として10μm
の厚さで配設した二層シートをブリキとラミネートした
ラミネート金属板(図示せず)を用い、同様に絞り・し
ごき加工により成形した缶を比較例3とし、実施例3と
同様の評価を実施した。上述の各試験結果を表3に示し
た。
【0032】
【表3】
【0033】表3の結果に示されるように、ポリエチレ
ンテレフタレートは特に二軸配向のようなC−PETの
場合本質的に耐酸性に劣り、僅かな欠陥があっても割れ
や白化が進展して、明確に確認できることになってい
る。しかし、本発明で使用する非晶性のA−PETシー
ト1で形成した実施例3の試料では、実用上の問題に至
るような欠陥を示すこともなく、欠陥確認の検査項目で
従来品で見られるようなピンホール等の発生が生じてい
ないし、さらに耐環境試験による耐高温塩酸や繰り返し
熱衝撃等の評価も良好(○又は◎)という好結果を示し
た。
ンテレフタレートは特に二軸配向のようなC−PETの
場合本質的に耐酸性に劣り、僅かな欠陥があっても割れ
や白化が進展して、明確に確認できることになってい
る。しかし、本発明で使用する非晶性のA−PETシー
ト1で形成した実施例3の試料では、実用上の問題に至
るような欠陥を示すこともなく、欠陥確認の検査項目で
従来品で見られるようなピンホール等の発生が生じてい
ないし、さらに耐環境試験による耐高温塩酸や繰り返し
熱衝撃等の評価も良好(○又は◎)という好結果を示し
た。
【0034】以上の結果から、A−PETシートの使用
は接着剤との接着性や加工時の延伸性に優れた性能を有
している反面、これを加熱処理することによって剛性や
耐熱性の向上、さらには加工時に蓄積された残存歪みを
無くすることができる効果がある。これによって、従来
のラミネート用シートでは、曲げや絞りなどの成形加工
の容易性と、それを曲げや絞り等の成形加工を行った成
型品におけるピンホールや割れ等の欠陥発生がない上、
耐熱性や表面硬度などの成型品品質を高めるための性能
の両立が困難であったが、本発明によれば、これを達成
できる製造方法とその成型品を提供できる。
は接着剤との接着性や加工時の延伸性に優れた性能を有
している反面、これを加熱処理することによって剛性や
耐熱性の向上、さらには加工時に蓄積された残存歪みを
無くすることができる効果がある。これによって、従来
のラミネート用シートでは、曲げや絞りなどの成形加工
の容易性と、それを曲げや絞り等の成形加工を行った成
型品におけるピンホールや割れ等の欠陥発生がない上、
耐熱性や表面硬度などの成型品品質を高めるための性能
の両立が困難であったが、本発明によれば、これを達成
できる製造方法とその成型品を提供できる。
【0035】つまり、本発明によれば、延伸性や接着性
に優れたA−PETをラミネートしたラミネート金属板
10を用いて曲げや絞り加工によって使用製品に適合す
る所定の形状の成型品を得た後、溶着したラミネート用
シートが溶融に至らない温度以下、好ましくは70℃か
ら100℃の低温領域と140℃から160℃の高温で
熱処理することにより、硬度及び耐熱性に優れた表面特
性を確保することができる。従って、曲げや絞り加工を
容易に施すことができるのに加えて、その後の熱処理に
よって耐熱性、剛性、硬度が向上するのみならず、内部
歪みの除去による高い耐薬品性を有する意匠成型品を提
供することができる効果がある。
に優れたA−PETをラミネートしたラミネート金属板
10を用いて曲げや絞り加工によって使用製品に適合す
る所定の形状の成型品を得た後、溶着したラミネート用
シートが溶融に至らない温度以下、好ましくは70℃か
ら100℃の低温領域と140℃から160℃の高温で
熱処理することにより、硬度及び耐熱性に優れた表面特
性を確保することができる。従って、曲げや絞り加工を
容易に施すことができるのに加えて、その後の熱処理に
よって耐熱性、剛性、硬度が向上するのみならず、内部
歪みの除去による高い耐薬品性を有する意匠成型品を提
供することができる効果がある。
【0036】以上述べた実施の形態1〜4では、ラミネ
ート用シートとしてA−PETのみを用いてラミネート
金属板および成型品を得たが、中間層(金属板とA−P
ETシートとの間)に低価格の塩化ビニル等を用いて原
価低減を図ったり、表層に低発泡シートを用いて触感を
向上させる等して多層化を行うことも可能で、これによ
ってさらに特有の付加価値を向上させることもできる。
ート用シートとしてA−PETのみを用いてラミネート
金属板および成型品を得たが、中間層(金属板とA−P
ETシートとの間)に低価格の塩化ビニル等を用いて原
価低減を図ったり、表層に低発泡シートを用いて触感を
向上させる等して多層化を行うことも可能で、これによ
ってさらに特有の付加価値を向上させることもできる。
【0037】また、当然のことであるが、従来のラミネ
ート用シートに用いていたC−PETと同様、ホットメ
ルト型およびホットメルトと熱硬化性樹脂との混合物な
どを接着剤として用いてA−PETをラミネートした後
に成形加工し、必要に応じて加熱処理を行うことによっ
ても、同様の優れた効果が得られる。
ート用シートに用いていたC−PETと同様、ホットメ
ルト型およびホットメルトと熱硬化性樹脂との混合物な
どを接着剤として用いてA−PETをラミネートした後
に成形加工し、必要に応じて加熱処理を行うことによっ
ても、同様の優れた効果が得られる。
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明による請求項1およ
び請求項2によれば、溶着が可能なA−PETを用いる
ことによって、従来のC−PETを用いたラミネート金
属板のように、イソフタル酸系−テレフタル酸系エステ
ル共重合樹脂を接着剤として介在させて金属板とラミネ
ートを行う必要がないために製造が容易になる効果があ
る。
び請求項2によれば、溶着が可能なA−PETを用いる
ことによって、従来のC−PETを用いたラミネート金
属板のように、イソフタル酸系−テレフタル酸系エステ
ル共重合樹脂を接着剤として介在させて金属板とラミネ
ートを行う必要がないために製造が容易になる効果があ
る。
【0039】また、請求項3および請求項6によれば、
A−PETが柔軟性として示される展延性に優れている
ことから、優れた曲げや絞り等の成形加工とそれらの加
工面における欠陥を含む耐薬品性を両立させた成型品を
提供することができる。
A−PETが柔軟性として示される展延性に優れている
ことから、優れた曲げや絞り等の成形加工とそれらの加
工面における欠陥を含む耐薬品性を両立させた成型品を
提供することができる。
【0040】さらに、請求項4、請求項5及び請求項
7、請求項8、請求項9によれば、この成型品を加熱処
理すれば、容易に結晶化が進んで耐熱性、剛性、耐薬品
性がより一層向上し、従来得ることができなかった成形
性と表面特性の性能が両立する優れた成型品が得られ
る。
7、請求項8、請求項9によれば、この成型品を加熱処
理すれば、容易に結晶化が進んで耐熱性、剛性、耐薬品
性がより一層向上し、従来得ることができなかった成形
性と表面特性の性能が両立する優れた成型品が得られ
る。
【図1】 本発明によるラミネート金属板の構造を示す
断面図である。
断面図である。
【図2】 本発明に用いたA−PETシートを製造する
ための成型機の概念図である。
ための成型機の概念図である。
【図3】 本発明のラミネート金属板の製造装置の概念
図である。
図である。
【図4】 冷蔵庫断熱箱体の壁部の断面図である。
【図5】 冷蔵庫のフランジにおける外箱と内箱の嵌合
部分の断面図である。
部分の断面図である。
【図6】 冷蔵庫の断熱材充填前の箱体の構成図であ
る。
る。
1 A−PETシート、、8 圧延鋼板、9 圧着ロー
ル、10 ラミネート金属板、12 内箱、13 外
箱、14 断熱材、15 断熱箱体、16 フランジ嵌
合部分。
ル、10 ラミネート金属板、12 内箱、13 外
箱、14 断熱材、15 断熱箱体、16 フランジ嵌
合部分。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 9:00
Claims (9)
- 【請求項1】 金属板の表面に樹脂シートを加熱溶着さ
せてなるラミネート金属板であって、 前記樹脂シートが非晶性ポリエチレンテレフタレートで
あることを特徴とするラミネート金属板。 - 【請求項2】 樹脂シートが2層以上で構成され、少な
くとも表面層に非晶性ポリエチレンテレフタレートを用
いてなることを特徴とする請求項1記載のラミネート金
属板。 - 【請求項3】 金属板の表面に樹脂シートである非晶性
ポリエチレンテレフタレートシートを加熱溶着させてな
るラミネート金属板を所定の製品に使用する形状に成形
加工したことを特徴とする前記ラミネート金属板の成型
品。 - 【請求項4】 ラミネート金属板を成形加工後、加熱処
理することを特徴とする請求項3記載の成型品。 - 【請求項5】 ラミネート金属板の成形加工後に行う加
熱処理はガラス転移点温度以上熱変形温度以下であるこ
とを特徴とする請求項3又は請求項4記載の成型品。 - 【請求項6】 樹脂シートが2層以上で構成され、少な
くとも表面層に非晶性ポリエチレンテレフタレートを用
いてなることを特徴とする請求項3、請求項4又は請求
項5記載の成型品。 - 【請求項7】 非晶性ポリエチレンテレフタレートのシ
ートを金属板上に加熱溶着したラミネート金属板を製作
する工程と、 このラミネート金属板を成形加工した後に加熱処理する
工程とを具備したことを特徴とする成型品の製造方法。 - 【請求項8】 ラミネート金属板を成形加工した後に行
う加熱処理はガラス転移点温度以上熱変形温度以下で行
うことを特徴とする請求項7記載の成型品の製造方法。 - 【請求項9】 ラミネート金属板を成形加工した後で行
う加熱処理が、ガラス転移点温度以上の低温での加熱後
に熱変形温度以下の高温での加熱を組み合わせて行うこ
とを特徴とする請求項8記載の成型品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8101190A JPH09286075A (ja) | 1996-04-23 | 1996-04-23 | ラミネート金属板並びにその成型品及び製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8101190A JPH09286075A (ja) | 1996-04-23 | 1996-04-23 | ラミネート金属板並びにその成型品及び製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09286075A true JPH09286075A (ja) | 1997-11-04 |
Family
ID=14294048
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8101190A Pending JPH09286075A (ja) | 1996-04-23 | 1996-04-23 | ラミネート金属板並びにその成型品及び製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09286075A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002337295A (ja) * | 2001-05-14 | 2002-11-27 | Toppan Printing Co Ltd | 化粧シート |
KR100738792B1 (ko) * | 2005-08-23 | 2007-07-12 | 주식회사 엘지화학 | 유기 발광 소자 및 이의 제조방법 |
JP2022516291A (ja) * | 2019-01-02 | 2022-02-25 | ノベリス・インコーポレイテッド | 容器末端クロージャライナー、及び容器末端クロージャライナーの調製方法 |
-
1996
- 1996-04-23 JP JP8101190A patent/JPH09286075A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002337295A (ja) * | 2001-05-14 | 2002-11-27 | Toppan Printing Co Ltd | 化粧シート |
KR100738792B1 (ko) * | 2005-08-23 | 2007-07-12 | 주식회사 엘지화학 | 유기 발광 소자 및 이의 제조방법 |
JP2022516291A (ja) * | 2019-01-02 | 2022-02-25 | ノベリス・インコーポレイテッド | 容器末端クロージャライナー、及び容器末端クロージャライナーの調製方法 |
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