JPH09286075A - ラミネート金属板並びにその成型品及び製造方法 - Google Patents

ラミネート金属板並びにその成型品及び製造方法

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JPH09286075A
JPH09286075A JP8101190A JP10119096A JPH09286075A JP H09286075 A JPH09286075 A JP H09286075A JP 8101190 A JP8101190 A JP 8101190A JP 10119096 A JP10119096 A JP 10119096A JP H09286075 A JPH09286075 A JP H09286075A
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laminated metal
heat
molded product
laminated
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JP8101190A
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English (en)
Inventor
Yoshio Nishimoto
芳夫 西本
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C66/00General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts
    • B29C66/70General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material
    • B29C66/71General aspects of processes or apparatus for joining preformed parts characterised by the composition, physical properties or the structure of the material of the parts to be joined; Joining with non-plastics material characterised by the composition of the plastics material of the parts to be joined

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  • Laminated Bodies (AREA)
  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 深絞り等の加工時に必要となる金属板とPE
Tフィルムの密着性がよく、剥離欠陥のなく、意匠成型
品の歩留まりが優れたラミネート金属板を得る。 【解決手段】 圧延鋼板8の表面に樹脂シートを加熱溶
着させてなるラミネート金属板10であって、樹脂シー
トが非晶性ポリエチレンテレフタレートのA−PETシ
ート1であるようなラミネート金属板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷蔵庫やエアコン
室外機、さらに家具や玩具等の外郭に用いられる樹脂シ
ートをラミネートした金属板と、それを用いてプレス加
工等によって成形したラミネート金属板の成型品及びそ
の製造方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、上述の目的のために生産された外
郭(外壁)用の金属板の外装には、熱硬化性樹脂の他、
熱硬化性樹脂を有機溶剤に溶解させたものや粉体状の熱
可塑性樹脂を用いて塗装していたが、近年、予め自由な
彩色とデザインを施した樹脂シートを加熱溶着したラミ
ネート金属板を用いることによって、多彩な意匠の外装
を容易に選択できるようになってきた。このような目的
・構成からなる複合型金属板を開示する文献として、例
えば、下記に示すものがある。 (a)特開昭57−23584号公報 (b)特開昭61−149340号公報 (c)特開平1−192546号公報 (d)特開平5−42643号公報
【0003】このような各種樹脂シートの内、機械的強
度や耐熱性、水分や各種イオンの透過に対して優れたバ
リヤー性を有するポリエチレンテレフタレート(以下、
C−PETと呼ぶ)が長期間に及ぶ各種環境下で必要特
性を維持し、品質安定性に関する信頼性が高い。加え
て、所望の彩色が自由かつ豊富に得られるという利点の
多いことから、電気機器を中心とした民生用品、例えば
冷蔵庫やエアコン室外機、さらに家具や玩具等の外郭に
多用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、C−PETは
結晶性の樹脂であるうえ、一般に用いられる樹脂シート
は二軸延伸により高度に配向して結晶性が進み、このた
め接着性に劣るという欠点がある。また、特開昭57−
23584号公報では単に、C−PETフィルムを融点
以上に加熱したロールを用いて金属板に熱圧着してラミ
ネートした金属板を用いている。しかし、この方法では
意匠板を製造するための深絞りやしごき加工時に必要と
なる金属板とPETフィルムの密着性が劣り、剥離欠陥
の発生により、意匠成型品の歩留まりが低い。
【0005】これら欠点を改良するため、特開昭61−
149340号公報では非常に薄いフィルム内に配向層
とは別の無配向層を作製し、特開平1−192546号
公報と特開平5−42643号公報では、C−PETフ
ィルムに融点が10℃〜40℃も低い無配向性PET層
を熱圧着することによって、無配向層の接着性を応用す
る方法が開示されている。しかし、この方法ではC−P
ETの結晶化度を適度に維持することが無配向層との2
層構造を維持する接着性を確保する上で重要であり、そ
のためには樹脂シートの押し出し温度や延伸率等のフィ
ルム製造工程が複雑で、厳密に工程管理することが必要
となることと、曲げ加工時に係る配向の進展とともに延
伸の歪みが残存して耐薬品性を低下させ、クラックが発
生し易くなるという欠点も合わせ持っている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の欠点を排除するた
め、本発明に係るラミネート金属板は、金属板にラミネ
ートする樹脂シートとして非晶性ポリエチレンテレフタ
レート(以下、A−PETと呼ぶ)を用いるものであ
る。
【0007】すなわち、展延性に優れたA−PETを金
属板に溶着してラミネート金属板を作製し、これを曲げ
や絞り加工を行ってその成型品を得た後、樹脂シートが
溶融に至らない温度以下で加熱処理を行うことによって
硬度、耐熱性、耐薬品性に優れた表面特性を確保するよ
うにしたものである。
【0008】ここで、本発明の特徴となっているA−P
ETの適用は、非晶性樹脂特有の高い接着強度と引張り
伸び率、C−PET同様の耐薬品性と光沢を有している
上、熱処理を行えば容易に結晶化度が上昇してC−PE
Tと同等にまで耐熱性(熱変形温度)と剛性や硬度の向
上が図れることを応用したものとなっている。
【0009】このうち、A−PETの溶着による金属板
との接着性は、樹脂シートが伸びた後の収縮が少ないた
めに引張りによる塑性変形時における内部歪みが残存せ
ず、曲げや絞り加工で樹脂シートが展延する時に発生金
属板との界面における剪断歪みを軽減して、本来の強い
接着性を維持することになる。
【0010】このような曲げ加工や絞り加工を施した意
匠成型品は、内部歪みが少ないために、加熱や除冷の時
に変形や剥離が発生せず、結晶化度の上昇による溶着性
が低下しても剥離を生じることなく、耐熱性、剛性、硬
度を向上させ、さらに内部歪みの除去の進行によって一
層高い耐薬品性が確保できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の構成と効果を発
明の実施の形態に基づき、具体的に説明する。 [実施の形態1]まず、図1は本発明によるラミネート
金属板の構成例を示す断面説明図である。図1におい
て、金属板である圧延鋼板8の表面側に樹脂シートとし
てA−PETシート1が接着されて、本発明によるラミ
ネート金属板10が構成されている。以下、ラミネート
金属板10の作成方法について説明する。
【0012】はじめに、A−PETシートの作成方法を
図2に示すが、A−PETシート1は汎用の押出機を用
いたシート成形加工により得られる。通常工程に対する
特別な差異は、高温のA−PETシート1aを冷却温度
を低めに設定したロール2によって急冷して結晶の生成
を抑止し、非晶性を確保することに注意を払うことだけ
である。その他の通常の工程は、スクリュー3に導入さ
れたペレットがヒータ4とスクリュー3の回転による摩
擦熱で溶融し、ダイ5から押し出されてロール2で冷却
後、巻取機6に確保する一連の工程は通常の工程と同じ
である。なお、ここで用いた樹脂はNOVAPEX−G
S400(三菱化学KK製)であり、ダイ5から押し出
された後、ロール2に至る迄のA−PETシート1aに
は1. 1〜2. 5倍の延伸をかけながら成形している。
【0013】次に、ラミネート金属板10の作成方法を
示すが、ラミネート金属板10は特に断りのない限り、
図3に示すように、任意の厚さのA−PETシート1上
に1mm厚のゴムシート7を重ね、それらを250℃に
加熱した0. 3mm厚の圧延鋼板8の上に載せたもの
を、10kg/cmの線圧力下で3cm/secの速度
で圧着ロール9の間を通過させて溶着させて、図1に示
す構造のラミネート金属板10を形成し、以下に示す実
施形態の試験用試料とした。このとき、最終工程の冷却
工程では2秒以内で70℃に到達するように冷却ロール
11の温度を調整して、A−PETシート1の非晶性を
確保するようにしている。
【0014】[実施の形態2]ラミネート金属板を意匠
成型品として用いるための適性試験を行い、次の試験項
目、すなわち接着強度、屈曲試験、表面硬度及び耐熱性
について、実施例及び比較例についてそれぞれ評価を行
った。
【0015】{試験1;接着強度}ラミネート金属板1
0を用いた成型品におけるシートの剥離に関する耐性と
して接着( 溶着) 強度を調べた。A−PETシート1の
厚さが350μmのものを用いて作成したラミネート金
属板10を80℃で5分、さらに140℃で10分間の
加熱後、10℃/sec以下の条件で除冷を行った。こ
れを200mm×25mmの大きさに裁断し、接着強度
用実施例1の試料として使用した。接着強度の測定は、
長手方向の端部から25mmを強制的に剥離した非接着
部をチャックにはさみ、JIS・K- 6854に準拠し
た浮動ローラ法による剥離強度を測定し、後述の表1に
示すように、剥離強度が0. 3以上を◎、0. 2以上を
○、0. 2以下を×と評価した。
【0016】{試験2;屈曲試験}部材としての曲げや
絞り加工によって成型品形状に賦型する時に、ラミネー
ト金属板10が曲がることによってA−PETシート1
にかかる引っ張り変形に対する耐性を評価するため、任
意の曲げ角が得られるJIS・K- 5400−8に準拠
した曲げ試験における亀裂発生の確認試験を行った。心
棒の直径がφ2mm〜φ10mmまで変化させてラミネ
ート金属板10を屈曲させて、ラミネートフィルムすな
わちA−PETシート1の表面にクラックが発生せずに
「折り曲げに耐える」と評価しうる試料に用いた心棒の
最小直径を求め、その値が1mm以下を◎、3mm以下
を○、4mm以上を×と評価した。試料に用いたA−P
ETシート1の厚さは50±3μmであり、試験の目的
から本試験の試料には加熱処理を行わないこととした。
【0017】{試験3;表面硬度}成型品の使用時にお
ける擦れや引っかきなどによるきず発生に対する耐性を
評価するため、表面硬度を調べた。試料には、A−PE
Tシート1の厚さが50±3μmのもの用いた。これ
を、80℃で5分、更に140℃で10分間の加熱後、
10℃/sec以下の条件で除冷を行った。これを、J
IS・K- 5401に基づく鉛筆硬度法による表面硬さ
を調べ、2H以上を◎、HB以下を○、それ以上を×と
評価した。
【0018】{試験4;耐熱性}この試験では、一般的
な電気機器の実用および製造上の最高温度である80℃
における耐熱性の評価を行った。A−PETシート1の
厚さが50±3μmのもの用いて作成したラミネート金
属板10をガラス転移点以上の100℃で5分、さらに
熱変形温度以下の140℃で10分間の加熱後、10℃
/sec以下の条件で除冷を行ったものを実施例1試料
とした。耐熱性の評価は、300mm×300mmの大
きさの試料の上にA−PETの350μm厚さのシート
を、さらに80℃に予熱した重さ9kgの鉄板を重ね合
わせて10分間保持した試料について、その前後の光沢
の変化をJIS・K−7160に準拠した方法により調
べた。測定値の変化量から、5以下を◎、15未満を
○、15以上を×と評価した。
【0019】{比較例及び参考例}テレフタル酸とエチ
レングリコールからなるC−PETシート(図示せず)
を用いて実施例1と同様に形成したラミネート鋼板(図
示せず)の試料を比較例1−1、テレフタル酸およびイ
ソフタル酸とエチレングリコールのポリエステル共重合
体(モル比=80:20)をラミネート用シートとして
用いた同様試料を比較例1−2とし、実施例1の場合と
同様の試験1〜4を各々行った。なお、A−PETシー
ト10の加熱処理を行わないものについては参考例とし
て同様の試験を行った。以上の各試験結果をまとめて、
表1に示した。
【0020】
【表1】
【0021】以上の結果から、A−PETを使用した実
施例1及び参考例の試料は、加熱処理の有無を問わず、
有効な性能を確保し、成型時や使用時に大きな問題発生
の無いことが予測できる程に優れた性能を示した。これ
に対し、従来のC−PETを使用した比較例1−1で
は、曲げや絞り加工時に鋼板との剥離や亀裂発生が、ま
た比較例1−2のようにポリエステル樹脂でラミネート
したものは実使用時の耐熱性に関する問題の発生が、そ
れぞれ予測できることが明らかである。そして、特筆す
べきことは、本発明に係る実施例1の試料のように、熱
処理前に成形加工を行いさらに実使用状態では熱処理を
施したものは、従来では見られない程の極めて優れた特
性を有するラミネート金属板が得られることである。
【0022】[実施の形態3]本実施形態では、ラミネ
ート金属板10を応用した成型品の一つとして、図4に
示したような断面形状を有する冷蔵庫の断熱箱体の外郭
を構成する外箱の表面保護層に応用した場合の適性を評
価する試験を行った。厚さが100μmのA−PETシ
ート1を金属板である0. 5mm厚の冷間圧延鋼板8に
溶着させたラミネート金属板10を用いて、図5に示す
ように、ロールフォーマによって内箱12と嵌合するた
めに非常に小さな曲率で折り曲げ加工をしたフランジ嵌
合部分16を有する部材を、さらに図6に示すような門
形に折り曲げ加工して外箱13を形成した。そして、こ
れに100℃×5分と140℃×10分の加熱後、10
℃/sec以下の速度で冷却することによってA−PE
Tの剛性と耐熱性を向上させたものを実施例2の試料に
用いた。この外箱を応用した冷蔵庫は三菱電機KKの内
容積が120Lの小型冷凍冷蔵庫である「MR−12」
で、試料数は3個である。
【0023】{試験4;製造時の外観変化確認試験}冷
蔵庫の断熱箱体15(図4参照)は、ABS樹脂製の内
箱12をA−PETシート1を用いたラミネート金属板
10を成形加工した外箱13に装着した後、ラミネート
金属板10と同様のラミネート金属板である背面板17
と亜鉛メッキ鋼板である底板18を装着し、それら間隙
に断熱材14を構成する硬質ウレタンフォームを発泡充
填して製造する。試験は、この発泡充填時の外箱13に
は、40〜50℃の予熱を行った上に断熱材14の反応
熱が加わり、最高80℃にも達する。この熱によってラ
ミネートしたA−PETシート1表面の変形を伴う光沢
の変化(低下)を調べた。JIS・K−7160に準拠
した光沢測定を行い、発泡前後における平均値の変化量
と、発泡後の最大値と最小値の差としての分布との2項
目について調べた。何れの評価においても、測定値の変
化量が、5以下を◎、15未満を○、15以上を×と評
価した。
【0024】{試験5;耐環境試験}図6に示したよう
に試作した冷蔵庫の断熱箱体14を屋外に6月から8月
までの3カ月間放置し、意匠面部分、特に折曲げ部にお
ける錆の発生やラミネートしたA−PETシート1の浮
き等の外観変化を調べた。錆や浮きが全く発生しなかっ
たものを◎、白化程度の変化を確認したが錆や浮きに至
っていないものを○、錆や浮きが確認できたものを×と
して評価した。また、別の冷蔵庫の断熱箱体では、−3
0℃と60℃の環境試験室内で各々2時間以上放置した
後、もう一方の部屋に30秒以内に移動させる「繰り返
し熱衝撃試験」を行い、特に、コーナー部表面における
A−PETシート1のクラック発生状況等を調べた。ク
ラックが全く発生しなかったものを◎、スジ状の白化を
確認したが割れに至っていないものを○、割れが確認で
きたものを×として評価した。
【0025】{比較例2}冷蔵庫のラミネート金属板と
して、これまで一般に用いられているフィルムのC−P
ETを表層に30μm、PVC−PVAc共重合体が8
0μmの厚さである二層シートをイソフタル酸系−テレ
フタル酸系エステル共重合樹脂の接着剤で鋼板とラミネ
ートしたものを用いて、同様に冷蔵庫断熱箱体(図示せ
ず)を成形し、これを比較例2として実施例2と同時に
評価を実施した。以上の各試験結果を表2に示した。
【0026】
【表2】
【0027】表2に示した実施の形態3の結果から、本
発明によるA−PETシート1をラミネート金属板10
に適用し、それを冷蔵庫の外箱13に成形加工した実施
例2の試料は、鋼板8との剥離による浮きや曲げ加工部
における割れなどの欠陥発生が非常に少なく、しかも、
従来品の比較例2との比較においても優れていることが
分かった。
【0028】[実施の形態4]本実施の形態では、ビー
ル等の缶を製造するために行う絞り加工による樹脂シー
トのクラックや缶表面からの浮きなどに関する耐性を調
べる目的で、缶状の成型品における欠陥の発生を調べ
た。A−PETシート1の厚さが50μmであり、板の
厚さが250μmであるクロメート処理を行ったブリキ
にラミネートしたラミネート金属板10を用い、ラミネ
ート面が内側になるよう、ビール缶状の絞り・しごき加
工缶に成形した。この缶を、100℃×5分、次に14
0℃×10分の加熱を行った後、10℃/sec以下の
冷却速度でアニールしたものを実施例3の試料として形
成した。
【0029】{試験6;製造後の欠陥確認試験}缶にお
けるラミネート部の上記のブリキ板との剥離欠陥を確認
するために、80℃の熱水投入後による膨れ変形として
目視観察した。他方、ピンホールの発生については2N
−塩酸を缶内部に投入、ラミネート部に発生する色( 黄
変) や形状( 膨れ) の変化について調べた。何れの調査
も、錆や浮き全く発生しなかったものを◎、白化程度の
変化を確認したが錆や浮きに至っていないものを○、錆
や浮きが確認できたものを×として評価した。
【0030】{試験7;耐環境試験}前記の試験6でピ
ンホールやクラックのないラミネートが施されているこ
とを確認した成型品(「製造後の欠陥確認試験」を完了
したもの)にPH=3. 5に調整した塩酸を投入、40
℃の雰囲気中で30日間放置した後のラミネート部にお
ける色の変化やスジの発生等の外観変化を調べた。ま
た、別の成型品では−30℃と80℃の試験槽内で各々
1hr放置後、もう一方の槽内に10秒以内に移動させ
る「繰り返し熱衝撃試験」を行い、A−PETシートの
クラック発生状況を調べた。何れの調査も、クラックが
全く発生しなかったものを◎、スジ状の白化を確認した
が割れに至っていないものを○、割れが確認できたもの
を×として評価した。
【0031】{比較例3}缶用途としてこれまで一般に
用いられている二軸配向C−PETシート(図示せず)
を20μmの厚さで表層に、C−PETシートより融点
が20℃低いポリエステル樹脂を接着層として10μm
の厚さで配設した二層シートをブリキとラミネートした
ラミネート金属板(図示せず)を用い、同様に絞り・し
ごき加工により成形した缶を比較例3とし、実施例3と
同様の評価を実施した。上述の各試験結果を表3に示し
た。
【0032】
【表3】
【0033】表3の結果に示されるように、ポリエチレ
ンテレフタレートは特に二軸配向のようなC−PETの
場合本質的に耐酸性に劣り、僅かな欠陥があっても割れ
や白化が進展して、明確に確認できることになってい
る。しかし、本発明で使用する非晶性のA−PETシー
ト1で形成した実施例3の試料では、実用上の問題に至
るような欠陥を示すこともなく、欠陥確認の検査項目で
従来品で見られるようなピンホール等の発生が生じてい
ないし、さらに耐環境試験による耐高温塩酸や繰り返し
熱衝撃等の評価も良好(○又は◎)という好結果を示し
た。
【0034】以上の結果から、A−PETシートの使用
は接着剤との接着性や加工時の延伸性に優れた性能を有
している反面、これを加熱処理することによって剛性や
耐熱性の向上、さらには加工時に蓄積された残存歪みを
無くすることができる効果がある。これによって、従来
のラミネート用シートでは、曲げや絞りなどの成形加工
の容易性と、それを曲げや絞り等の成形加工を行った成
型品におけるピンホールや割れ等の欠陥発生がない上、
耐熱性や表面硬度などの成型品品質を高めるための性能
の両立が困難であったが、本発明によれば、これを達成
できる製造方法とその成型品を提供できる。
【0035】つまり、本発明によれば、延伸性や接着性
に優れたA−PETをラミネートしたラミネート金属板
10を用いて曲げや絞り加工によって使用製品に適合す
る所定の形状の成型品を得た後、溶着したラミネート用
シートが溶融に至らない温度以下、好ましくは70℃か
ら100℃の低温領域と140℃から160℃の高温で
熱処理することにより、硬度及び耐熱性に優れた表面特
性を確保することができる。従って、曲げや絞り加工を
容易に施すことができるのに加えて、その後の熱処理に
よって耐熱性、剛性、硬度が向上するのみならず、内部
歪みの除去による高い耐薬品性を有する意匠成型品を提
供することができる効果がある。
【0036】以上述べた実施の形態1〜4では、ラミネ
ート用シートとしてA−PETのみを用いてラミネート
金属板および成型品を得たが、中間層(金属板とA−P
ETシートとの間)に低価格の塩化ビニル等を用いて原
価低減を図ったり、表層に低発泡シートを用いて触感を
向上させる等して多層化を行うことも可能で、これによ
ってさらに特有の付加価値を向上させることもできる。
【0037】また、当然のことであるが、従来のラミネ
ート用シートに用いていたC−PETと同様、ホットメ
ルト型およびホットメルトと熱硬化性樹脂との混合物な
どを接着剤として用いてA−PETをラミネートした後
に成形加工し、必要に応じて加熱処理を行うことによっ
ても、同様の優れた効果が得られる。
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明による請求項1およ
び請求項2によれば、溶着が可能なA−PETを用いる
ことによって、従来のC−PETを用いたラミネート金
属板のように、イソフタル酸系−テレフタル酸系エステ
ル共重合樹脂を接着剤として介在させて金属板とラミネ
ートを行う必要がないために製造が容易になる効果があ
る。
【0039】また、請求項3および請求項6によれば、
A−PETが柔軟性として示される展延性に優れている
ことから、優れた曲げや絞り等の成形加工とそれらの加
工面における欠陥を含む耐薬品性を両立させた成型品を
提供することができる。
【0040】さらに、請求項4、請求項5及び請求項
7、請求項8、請求項9によれば、この成型品を加熱処
理すれば、容易に結晶化が進んで耐熱性、剛性、耐薬品
性がより一層向上し、従来得ることができなかった成形
性と表面特性の性能が両立する優れた成型品が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるラミネート金属板の構造を示す
断面図である。
【図2】 本発明に用いたA−PETシートを製造する
ための成型機の概念図である。
【図3】 本発明のラミネート金属板の製造装置の概念
図である。
【図4】 冷蔵庫断熱箱体の壁部の断面図である。
【図5】 冷蔵庫のフランジにおける外箱と内箱の嵌合
部分の断面図である。
【図6】 冷蔵庫の断熱材充填前の箱体の構成図であ
る。
【符号の説明】
1 A−PETシート、、8 圧延鋼板、9 圧着ロー
ル、10 ラミネート金属板、12 内箱、13 外
箱、14 断熱材、15 断熱箱体、16 フランジ嵌
合部分。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 9:00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板の表面に樹脂シートを加熱溶着さ
    せてなるラミネート金属板であって、 前記樹脂シートが非晶性ポリエチレンテレフタレートで
    あることを特徴とするラミネート金属板。
  2. 【請求項2】 樹脂シートが2層以上で構成され、少な
    くとも表面層に非晶性ポリエチレンテレフタレートを用
    いてなることを特徴とする請求項1記載のラミネート金
    属板。
  3. 【請求項3】 金属板の表面に樹脂シートである非晶性
    ポリエチレンテレフタレートシートを加熱溶着させてな
    るラミネート金属板を所定の製品に使用する形状に成形
    加工したことを特徴とする前記ラミネート金属板の成型
    品。
  4. 【請求項4】 ラミネート金属板を成形加工後、加熱処
    理することを特徴とする請求項3記載の成型品。
  5. 【請求項5】 ラミネート金属板の成形加工後に行う加
    熱処理はガラス転移点温度以上熱変形温度以下であるこ
    とを特徴とする請求項3又は請求項4記載の成型品。
  6. 【請求項6】 樹脂シートが2層以上で構成され、少な
    くとも表面層に非晶性ポリエチレンテレフタレートを用
    いてなることを特徴とする請求項3、請求項4又は請求
    項5記載の成型品。
  7. 【請求項7】 非晶性ポリエチレンテレフタレートのシ
    ートを金属板上に加熱溶着したラミネート金属板を製作
    する工程と、 このラミネート金属板を成形加工した後に加熱処理する
    工程とを具備したことを特徴とする成型品の製造方法。
  8. 【請求項8】 ラミネート金属板を成形加工した後に行
    う加熱処理はガラス転移点温度以上熱変形温度以下で行
    うことを特徴とする請求項7記載の成型品の製造方法。
  9. 【請求項9】 ラミネート金属板を成形加工した後で行
    う加熱処理が、ガラス転移点温度以上の低温での加熱後
    に熱変形温度以下の高温での加熱を組み合わせて行うこ
    とを特徴とする請求項8記載の成型品の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002337295A (ja) * 2001-05-14 2002-11-27 Toppan Printing Co Ltd 化粧シート
KR100738792B1 (ko) * 2005-08-23 2007-07-12 주식회사 엘지화학 유기 발광 소자 및 이의 제조방법
JP2022516291A (ja) * 2019-01-02 2022-02-25 ノベリス・インコーポレイテッド 容器末端クロージャライナー、及び容器末端クロージャライナーの調製方法

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