JPH09281064A - 被測定物の内面状態の検出方法 - Google Patents

被測定物の内面状態の検出方法

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JPH09281064A
JPH09281064A JP8691996A JP8691996A JPH09281064A JP H09281064 A JPH09281064 A JP H09281064A JP 8691996 A JP8691996 A JP 8691996A JP 8691996 A JP8691996 A JP 8691996A JP H09281064 A JPH09281064 A JP H09281064A
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Hiroyuki Ichikawa
裕之 市川
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】被測定物表面の温度分布により配管やタンク等
の内部の腐食部位やスケール付着等の内面状態を検出す
る方法において、非接触温度センサ等で被測定物表面の
温度分布を肉眼でも容易に検知でき、検知の作業効率を
向上できる被測定物の内面状態の検出方法を提供する。 【解決手段】配管10の腐食診断箇所に配管表面温度差
検出用の蓄熱物質12を接着する。そして、配管10に
水24を流し配管10の表面温度を安定させる。配管1
0の表面温度を安定させた後、配管10の表面温度より
10から30度程度高くした状態に加熱したシート状の
ヒータ20を蓄熱物質12に約30秒間密着させ、蓄熱
物質12に一定熱量を与える。この後、このヒータ20
を瞬時に撤去し、センサ部16と温度分布表示装置18
を用いて蓄熱物質12の温度分布を観測する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は被測定物の内面状態
の検出方法に係り、特に非接触温度センサを用いて配管
内部の腐食部位やスケール等の付着位置を非破壊測定す
る被測定物の内面状態の検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、配管やタンク内の腐食部分やスケ
ール付着等の内部状態を検出する方法として、非接触温
度センサを用いて配管やタンクの外部表面の温度を測定
する方法が知られている。この非接触温度センサによる
方法は、配管やタンク等の被測定物内にできた腐食やス
ケール付着等による凹凸によって、その部分における熱
の伝わる速度が異なることを利用したものである。即
ち、一定温度の流体や液体が流れて、均一な温度(定常
温度)を保持している被測定物の内面側か外面側に、定
常温度とは異なる温度の液体で加温又は冷却(ヒートシ
ョック)し、その後定常温度に戻る過程を解析すること
によって、被測定物の内面状態を計測するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、非接触
温度センサにより配管表面の温度を検知する際、金属の
熱変化が速いため、検知範囲を小面積に分割しなければ
ならず、このため広範囲の視野を得るために連続検知用
の大掛かりな装置が必要となる。また、検知時に配管表
面の微小な凹凸による太陽光等の乱反射によりノイズが
発生するため、使用する環境が限られてしまうとういう
問題があった。
【0004】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、被測定物表面の温度分布により配管やタンク等
の内部の腐食部位やスケール付着等の内面状態を検出す
る方法において、非接触温度センサ等で被測定物表面の
温度分布を肉眼でも容易に検知することができるととも
に、検知の作業効率を向上できる被測定物の内面状態の
検出方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、配管やタンク等の中空の被測定物内面の腐
食部位やスケール付着位置等の内面状態の検出方法にお
いて、前記被測定物の表面に均一厚の蓄熱物質を設け、
前記被測定物の表面温度を定常温度に安定させ、前記蓄
熱物質の温度を前記被測定物の定常温度と異なる温度に
加温又は冷却し、前記加温又は冷却によって前記蓄熱物
質の温度分布が一様になった後、前記加温又は冷却を停
止させ、前記加温又は冷却の停止直後から前記蓄熱物質
の温度分布を検知し、前記検知した温度分布に基づいて
前記被測定物の内面状態を検出することを特徴としてい
る。
【0006】本発明によれば、蓄熱物質を介して被測定
物に熱を伝達することにより、被測定物表面の熱変化速
度を遅延させることができる。従って、被測定物表面の
広い範囲について被測定物表面の各位置における温度変
化の違いを肉眼でも容易に検出することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下添付図面に従って本発明に係
る被測定物の内面状態の検出方法の好ましい実施の形態
を詳説する。図1は本発明に係る被測定物の内面状態の
検出方法によって配管内面の腐食部位を検出する状況を
示した図である。
【0008】同図に示すように、配管10の腐食診断箇
所に均一厚でかつ平滑面を有する配管表面温度差検出用
の蓄熱物質12を接着する。具体的に蓄熱物質12には
テープ類を使用する(例えば、ガムテープ(支持体はス
フ、粘着部はゴム系から成る。))。テープ類は、配管
表面へ蓄熱物質を固定する粘着部があり、配管表面温度
差検出用の蓄熱物質12として大変有効である。また、
テープ類以外に蓄熱物質12としてゲル状の膜を使用す
ることもできる。水分(液分)を帯びたゲル状の薄膜は
蓄熱物質12として有効で、例えば、膜内部に芯として
繊維を封入したもの、若しくは、繊維にゲル状物質を絡
ませたものを配管10に接着する。尚、蓄熱物質12は
熱伝導率0.1〜10W/mK、肉厚0.1〜1mmの
物性値を有するものが好ましいと考えられるが、この限
りではない。
【0009】また、配管10(蓄熱物質12)の表面の
温度分布を測定する非接触温度センサ14を設置する。
この非接触温度センサ14はセンサ部16と温度分布表
示装置18とから構成されており、センサ部16によっ
て配管10から発生する赤外線の強度を非接触で測定し
て、温度分布表示装置18によって配管1の形状と温度
分布をブラウン管18A上に明るさの濃度、色彩等によ
って表示するようになっている。
【0010】このように診断準備を行った後、次に診断
作業を開始する。まず、配管10の表面温度を定常温度
に安定させる。例えば、配管10に温度20度(20度
で通常稼働している配管と過程する)の水24を流し配
管10の表面温度を安定させる。そして、温度調節器2
2に接続したシート状のヒータ20を配管10の表面温
度より10から30度程度高くした状態に加熱してお
き、配管10の表面温度を安定させた後に、このヒータ
20を蓄熱物質12に約30秒間密着させ、蓄熱物質1
2に一定熱量を与える。これにより、配管10の表面に
接着した蓄熱物質12に均一な熱量を保持させる。
【0011】ヒータ20によって蓄熱物質12に一定熱
量を与え、蓄熱物質12に均一な熱量を保持させた後、
このヒータ20を瞬時に撤去し、センサ部16と温度分
布表示装置18を用いて蓄熱物質12の温度分布を観測
する。図2は、シート状のヒータ20撤去後のある瞬間
の対象配管10の表面温度分布の模擬例を示した図であ
る。尚、同図に示す配管10には配管内面側に通称錆瘤
と呼ばれる腐食生成物が付着し、腐食部位26が発生し
ているものとする。
【0012】ヒータ20により蓄熱物質12に一定の熱
量を与え、このヒータ20を撤去すると、蓄熱物資12
が保持している熱量30が配管内部へ熱移動する際に、
配管内部の腐食部位26が熱抵抗となり、蓄熱物質12
の保持している熱量が場所により偏る。これにより、腐
食部位26と健全部28との間に、ある時間において明
確な温度分布がみられる。
【0013】同図に示す模擬例の場合、腐食部位26へ
の熱移動は健全部28の熱移動の速度より遅くなるた
め、温度分布表示装置18のブラウン管18Aに表示さ
れる温度分布は、腐食部位26の方が健全部28より高
い温度を示すようになる。しかし、更に時間が経過する
と温度分布は見られなくなる。図3は、図2に示す配管
10のa,b,c点における温度の時間変化を示してい
る。時間t0 で蓄熱物質12からヒータ20を撤去する
と配管10の表面温度はやや遅れてから急激に20度の
水24(配管内表面温度)に向かって低下していく。配
管10表面に起こるこの遅れや温度の変化速度は、配管
の内表面側にできた腐食部位26の厚さにより熱抵抗と
なる率が異なるため、図3に示すように、ある短時間の
範囲で温度差38が発生し、図2に示すような温度分布
が得られる。尚、この温度分布はヒータ20撤去直後か
ら顕著に見られるが、一定時間経過した後は温度差38
が無くなり、温度分布が不明確となる。これは時間の経
過と共に、蓄熱物質12の熱が金属表面との熱交換によ
って奪われた後、均衡していると考えられる。
【0014】従って、ヒータ20の撤去直後からの配管
10の温度分布変化を目視又はコンピュータ等で観測
し、定常温度に安定するまでに周辺部との温度状態が異
なる部位を検出することにより、配管内の腐食部位、ス
ケールの付着位置等を検出することができる。この時、
蓄熱物質を介して配管10に熱を伝達しているため、配
管10表面の熱変化速度を遅延させることができる。従
って、従来のように検知範囲を小面積に分割する必要が
なく、連続検知用の大がかりな装置を必要とせずに配管
表面の広い範囲を肉眼で容易に検知することができると
ともに、検知のための作業効率を格段に向上することが
できる。また、蓄熱物質の表面は平滑面なので、検知時
において太陽光等による乱反射の影響を受けず、精度良
く検知できる。
【0015】次に、上記実施の形態において蓄熱物質1
2を氷で代用する例を図4に示す。配管表面を液体窒素
32やエアクーラー等により、大気中の水分又は予め霧
吹き等で軽く配管表面に噴霧した水分を瞬時に薄い氷層
34にして配管表面に付着させ、配管内部温度が氷層に
熱移動する際の氷層の温度変化を非接触温度センサ14
を用いて測定する。
【0016】また、シート状のヒータ20を撤去せず、
シート状のヒータ20自体を蓄熱物質とした例を図5に
示す。伝熱性のある両面テープ等によってシート状のヒ
ータ20を配管表面に接着し、一定時間加熱後温度調節
器22を切り、シート状のヒータ20の熱量が配管内部
へ奪われる様子を非接触温度センサ14を用いて測定す
る。これにより、煩わしいシート状のヒータ20の脱着
作業を省くことが可能である。
【0017】更に、蓄熱物質12の上にサーモペイント
36を塗布した例を図6に示す。サーモペイント36と
は、熱を加えると徐々に変色する可逆性の塗料である。
これにより、非接触温度センサ14を用いなくても温度
変化を検知することが可能となる。尚、上記実施の形態
は、配管だけでなく、タンク等の機器にも応用すること
ができる。
【0018】また、超音波厚み計と併用すれば、肉厚の
測定を能率的に行うことができる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る被測定
物の内面状態の検出方法によれば、蓄熱物質によって配
管等の被測定物表面の熱変化速度を遅延させることによ
り、赤外線放射温度分布測定器等を用いて肉眼でも配管
内部の腐食部位やスケール付着位置を検知することがで
き、非破壊で、且つ稼働状態でも容易に検出することが
出来る。
【0020】また、蓄熱物質の表面を平滑面にすること
によって、太陽光等の乱反射を防止し、外乱の影響を受
けずに精度良く配管内部の腐食部位やスケール付着位置
を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、配管内面の腐食部位を検出する状況を
示した図である。
【図2】図2は、配管表面温度分布の模擬例を示した図
である。
【図3】図3は、配管表面各部の経時温度変化を示した
図である。
【図4】図4は、蓄熱物質を氷で代用した例を示した図
である。
【図5】図5は、シート状のヒータを蓄熱物質とする例
を示した図である。
【図6】図6は、非接触温度センサの代わりにサーモシ
ートを使用する例を示した図である。
【符号の説明】
10…配管 12…蓄熱物質 14…非接触温度センサ 16…センサ部 18…温度分布表示装置 20…シートヒータ 22…温度調節器 24…水

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配管やタンク等の中空の被測定物内面の
    腐食部位やスケール付着位置等の内面状態の検出方法に
    おいて、 前記被測定物の表面に均一厚の蓄熱物質を設け、 前記被測定物の表面温度を定常温度に安定させ、 前記蓄熱物質の温度を前記被測定物の定常温度と異なる
    温度に加温又は冷却し、 前記加温又は冷却によって前記蓄熱物質の温度分布が一
    様になった後、前記加温又は冷却を停止させ、 前記加温又は冷却の停止直後から前記蓄熱物質の温度分
    布を検知し、 前記検知した温度分布に基づいて前記被測定物の内面状
    態を検出することを特徴とする被測定物の内面状態の検
    出方法。
  2. 【請求項2】 前記被測定物の表面に前記蓄熱物質を密
    着させて設けるとともに、前記蓄熱物質の表面が平滑面
    になるようにすることを特徴とする請求項1の被測定物
    の内面状態の検出方法。
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