JPH09279362A - 金属部材の表面処理法 - Google Patents
金属部材の表面処理法Info
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- JPH09279362A JPH09279362A JP11552296A JP11552296A JPH09279362A JP H09279362 A JPH09279362 A JP H09279362A JP 11552296 A JP11552296 A JP 11552296A JP 11552296 A JP11552296 A JP 11552296A JP H09279362 A JPH09279362 A JP H09279362A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 苛酷な摩耗環境や腐蝕環境にさらされる金属
部材の内外の表面に耐摩耗層や耐腐蝕層等の耐久性金属
層を溶着形成する際に、肉盛層厚を所望の厚さに設定で
き且つ稀釈率が極めて小さい冶金的接合がなされた所定
成分の耐久性金属層を容易確実に形成できる金属部材の
表面処理法を提供すること。 【解決手段】 本発明に係る金属部材の表面処理法は、
金属部材１の表面に冶金的接合よりなる耐久性金属層を
形成する際に、粉粒状の耐久性金属材料２を該金属部材
１の表面に散布し、交流電源につながれたコイル３を上
記散布材料２の近傍に配備して該コイル３に通電するこ
とにより、金属部材１乃至粉粒状の耐久性金属材料２を
誘導加熱により加熱して該粉粒状の耐久性金属材料２を
溶融し、この溶融した耐久性金属材料２を加熱された金
属部材１の表面に溶着して耐久性金属層４を形成するも
のである。
部材の内外の表面に耐摩耗層や耐腐蝕層等の耐久性金属
層を溶着形成する際に、肉盛層厚を所望の厚さに設定で
き且つ稀釈率が極めて小さい冶金的接合がなされた所定
成分の耐久性金属層を容易確実に形成できる金属部材の
表面処理法を提供すること。 【解決手段】 本発明に係る金属部材の表面処理法は、
金属部材１の表面に冶金的接合よりなる耐久性金属層を
形成する際に、粉粒状の耐久性金属材料２を該金属部材
１の表面に散布し、交流電源につながれたコイル３を上
記散布材料２の近傍に配備して該コイル３に通電するこ
とにより、金属部材１乃至粉粒状の耐久性金属材料２を
誘導加熱により加熱して該粉粒状の耐久性金属材料２を
溶融し、この溶融した耐久性金属材料２を加熱された金
属部材１の表面に溶着して耐久性金属層４を形成するも
のである。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属部材の表面処
理法に関し、さらに詳しくは、各種産業において摩耗環
境や腐蝕環境にさらされる金属部材の内外の表面に優れ
た耐久性を付与するための表面処理法の改良に関する。
理法に関し、さらに詳しくは、各種産業において摩耗環
境や腐蝕環境にさらされる金属部材の内外の表面に優れ
た耐久性を付与するための表面処理法の改良に関する。
【０００２】
【従来の技術】鉄鋼、セメント等の製造業における原材
料や製品材料を移送する設備においては、該材料との接
蝕部は、どのような形状のものであっても、摩耗環境に
さらされる。また、化学，石油化学あるいは水処理など
の産業分野においては、化学反応や多岐にわたる弱酸性
雰囲気などによる腐蝕環境が存在し、金属部材面に腐蝕
摩耗、微細割れなどが発生する危険性が常につきまと
う。
料や製品材料を移送する設備においては、該材料との接
蝕部は、どのような形状のものであっても、摩耗環境に
さらされる。また、化学，石油化学あるいは水処理など
の産業分野においては、化学反応や多岐にわたる弱酸性
雰囲気などによる腐蝕環境が存在し、金属部材面に腐蝕
摩耗、微細割れなどが発生する危険性が常につきまと
う。
【０００３】ところで、かゝる摩耗対策あるいは腐蝕対
策としては、一般にクラッディングと言われる対策目的
に応じた特殊な材料を部材表面に機械的、冶金的に密着
あるいは溶着させている。而して、冶金的接合による溶
着手段として従来より最もひろく採用されているのが肉
盛溶接法であり、耐摩耗層を形成する場合、溶加材とし
て溶接棒、溶接ワイヤーを使用したアーク溶接法が用い
られるのが一般的であり、さらに、耐腐蝕層形成の場合
においても、アーク溶接法やガス溶接法さらにはプラズ
マ粉体肉盛法により所定の耐腐蝕材料を溶融、溶着させ
ることが多く、また、一部ステンレススチール材料やチ
タン材料などの市場需要の多いクラッディングには、爆
発接着や圧延圧着法を採用することもあるが、クラッデ
ィング材料の種類が限られている。
策としては、一般にクラッディングと言われる対策目的
に応じた特殊な材料を部材表面に機械的、冶金的に密着
あるいは溶着させている。而して、冶金的接合による溶
着手段として従来より最もひろく採用されているのが肉
盛溶接法であり、耐摩耗層を形成する場合、溶加材とし
て溶接棒、溶接ワイヤーを使用したアーク溶接法が用い
られるのが一般的であり、さらに、耐腐蝕層形成の場合
においても、アーク溶接法やガス溶接法さらにはプラズ
マ粉体肉盛法により所定の耐腐蝕材料を溶融、溶着させ
ることが多く、また、一部ステンレススチール材料やチ
タン材料などの市場需要の多いクラッディングには、爆
発接着や圧延圧着法を採用することもあるが、クラッデ
ィング材料の種類が限られている。
【０００４】また、耐摩耗層の形成にアーク溶接法を用
いると、必然的に溶接入熱により、部材である母材側に
溶込みを生じて、耐摩耗材料は希釈されることになり、
各溶接条件による各希釈率によって、化学成分低下を発
生させる問題があり、さらに、耐摩耗肉盛溶接材料は、
一般的に溶接割れ感受性が高く、一パスないし一層で所
定の厚さに肉盛溶接されるべきであり、熱管理上さらに
は施工法上、多層盛は煩雑な作業を必要とし、好ましく
ない。
いると、必然的に溶接入熱により、部材である母材側に
溶込みを生じて、耐摩耗材料は希釈されることになり、
各溶接条件による各希釈率によって、化学成分低下を発
生させる問題があり、さらに、耐摩耗肉盛溶接材料は、
一般的に溶接割れ感受性が高く、一パスないし一層で所
定の厚さに肉盛溶接されるべきであり、熱管理上さらに
は施工法上、多層盛は煩雑な作業を必要とし、好ましく
ない。
【０００５】しかしながら、一パス、一層溶接では、そ
の原理上から肉厚が３〜５mmの範囲限定されることが多
く、希釈率の存在および変動により、目標とする耐摩耗
性を安定させることが困難であるのみでなく、必要とさ
れる耐摩耗層も母材表面近傍でいちじるしく希釈され、
加えて３〜５mmの厚さ範囲に限定されて、より薄い層厚
や厚い層厚が必要な場合には極めて困難であり、煩雑な
手段を余儀なくされる。
の原理上から肉厚が３〜５mmの範囲限定されることが多
く、希釈率の存在および変動により、目標とする耐摩耗
性を安定させることが困難であるのみでなく、必要とさ
れる耐摩耗層も母材表面近傍でいちじるしく希釈され、
加えて３〜５mmの厚さ範囲に限定されて、より薄い層厚
や厚い層厚が必要な場合には極めて困難であり、煩雑な
手段を余儀なくされる。
【０００６】一方、耐腐蝕層の形成に際しては、耐摩耗
層とは異なり、静的腐蝕摩耗や割れ対策のために耐摩耗
層のような層厚は設計上も要求されず、部品によっては
1mmの層厚で満足な場合もある。しかしながら耐腐蝕層
は目標成分の変動誤差範囲が小さく、稀釈層は耐腐蝕層
として加味されず、加えて層の厚み方向にも成分値が変
動する従来肉盛溶接法では設計要求成分層が１〜２mmで
あるにもかかわらず、２〜３層の肉盛溶接によって、５
〜７mmの肉盛層を形成せざるをえず、高価な特殊合金材
料を必要以上に多量に肉盛溶接せねばならず、施工コス
トも大きくならざるをえないといった種々の問題があ
る。
層とは異なり、静的腐蝕摩耗や割れ対策のために耐摩耗
層のような層厚は設計上も要求されず、部品によっては
1mmの層厚で満足な場合もある。しかしながら耐腐蝕層
は目標成分の変動誤差範囲が小さく、稀釈層は耐腐蝕層
として加味されず、加えて層の厚み方向にも成分値が変
動する従来肉盛溶接法では設計要求成分層が１〜２mmで
あるにもかかわらず、２〜３層の肉盛溶接によって、５
〜７mmの肉盛層を形成せざるをえず、高価な特殊合金材
料を必要以上に多量に肉盛溶接せねばならず、施工コス
トも大きくならざるをえないといった種々の問題があ
る。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
技術にみられる種々の問題を解決することを課題として
研究開発されたもので、苛酷な摩耗環境や腐蝕環境にさ
らされる金属部材の内外の表面に耐摩耗層や耐腐蝕層等
の耐久性金属層を溶着形成する際に、肉盛層厚を所望の
厚さに設定でき且つ稀釈率が極めて小さい冶金的接合が
なされた所定成分の耐久性金属層を容易確実に形成でき
る金属部材の表面処理法を提供することを目的とする。
技術にみられる種々の問題を解決することを課題として
研究開発されたもので、苛酷な摩耗環境や腐蝕環境にさ
らされる金属部材の内外の表面に耐摩耗層や耐腐蝕層等
の耐久性金属層を溶着形成する際に、肉盛層厚を所望の
厚さに設定でき且つ稀釈率が極めて小さい冶金的接合が
なされた所定成分の耐久性金属層を容易確実に形成でき
る金属部材の表面処理法を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決し、そ
の目的を達成するために、本発明は、金属部材の表面に
冶金的接合よりなる耐久性金属層を形成する際に、粉粒
状の耐久性金属材料を該金属部材の表面に散布し、交流
電源につながれたコイルを上記散布材料の近傍に配備し
て該コイルに通電することにより、金属部材乃至粉粒状
の耐久性金属材料を誘導加熱により加熱して該粉粒状の
耐久性金属材料を溶融し、この溶融した耐久性金属材料
を加熱された金属部材の表面に溶着して耐久性金属層を
形成することを特徴とする金属部材の表面処理法を提供
するものである。
の目的を達成するために、本発明は、金属部材の表面に
冶金的接合よりなる耐久性金属層を形成する際に、粉粒
状の耐久性金属材料を該金属部材の表面に散布し、交流
電源につながれたコイルを上記散布材料の近傍に配備し
て該コイルに通電することにより、金属部材乃至粉粒状
の耐久性金属材料を誘導加熱により加熱して該粉粒状の
耐久性金属材料を溶融し、この溶融した耐久性金属材料
を加熱された金属部材の表面に溶着して耐久性金属層を
形成することを特徴とする金属部材の表面処理法を提供
するものである。
【０００９】また、本発明は、上記のように構成した金
属部材の表面処理法において、粉粒状の耐久性金属材料
に耐摩耗材料を用いて、金属部材の表面に耐摩耗層を形
成することを特徴とする金属部材の表面処理法、及び粉
粒状の耐久性金属材料に耐腐蝕材料を用いて、金属部材
の表面に耐腐蝕層を形成することを特徴とする金属部材
の表面処理法をそれぞれ提供するものである。なお、本
発明で言う「粉粒状」とは、「粉体単独のもの」及び
「粒体単独のもの」並びに「粉体と粒体を混合したも
の」を指称するものである。
属部材の表面処理法において、粉粒状の耐久性金属材料
に耐摩耗材料を用いて、金属部材の表面に耐摩耗層を形
成することを特徴とする金属部材の表面処理法、及び粉
粒状の耐久性金属材料に耐腐蝕材料を用いて、金属部材
の表面に耐腐蝕層を形成することを特徴とする金属部材
の表面処理法をそれぞれ提供するものである。なお、本
発明で言う「粉粒状」とは、「粉体単独のもの」及び
「粒体単独のもの」並びに「粉体と粒体を混合したも
の」を指称するものである。
【００１０】
【発明の実施の形態】本発明の第一の実施の形態を図１
及び図２に基づいて説明すれば、摩耗環境若しくは腐蝕
環境にさらされる金属部材１の表面に、耐摩耗材料若し
くは耐腐蝕材料の粉末２を所定の厚さに散布し、該金属
部材１及び粉末材料２を囲繞して形成配備したコイル３
に交流電源より通電して金属部材１を誘導加熱し、該金
属部材１の熱エネルギーにより上記粉末材料２を溶融し
て金属部材１の表面に溶着させ、設定条件にしたがって
通電が終了すれば、溶着金属は凝固し、金属部材１の表
面に耐摩耗若しくは耐腐蝕層４が形成される。なお、円
滑に溶着させるために、微量の造滓剤（スラグ成分）を
添加してもよい。
及び図２に基づいて説明すれば、摩耗環境若しくは腐蝕
環境にさらされる金属部材１の表面に、耐摩耗材料若し
くは耐腐蝕材料の粉末２を所定の厚さに散布し、該金属
部材１及び粉末材料２を囲繞して形成配備したコイル３
に交流電源より通電して金属部材１を誘導加熱し、該金
属部材１の熱エネルギーにより上記粉末材料２を溶融し
て金属部材１の表面に溶着させ、設定条件にしたがって
通電が終了すれば、溶着金属は凝固し、金属部材１の表
面に耐摩耗若しくは耐腐蝕層４が形成される。なお、円
滑に溶着させるために、微量の造滓剤（スラグ成分）を
添加してもよい。
【００１１】上記の耐摩耗若しくは耐腐蝕層４の形成
は、原理的には誘導加熱された金属部材１の表面の熱エ
ネルギーの作用によって、通電容量と時間との関係によ
り粉末材料２が溶融し、金属部材１の表面に溶着凝固し
て行われるものである。
は、原理的には誘導加熱された金属部材１の表面の熱エ
ネルギーの作用によって、通電容量と時間との関係によ
り粉末材料２が溶融し、金属部材１の表面に溶着凝固し
て行われるものである。
【００１２】次に、上記本発明の第一の実施の形態に対
応する実施例について説明する。 （実施例１）鉄鋼、セメント業における重摩耗対策の耐
摩耗クラッド鋼板を、耐摩耗材料として粉末材料を使用
して製作した場合について、図１及び図２に示すような
囲繞型のコイルに、周波数400ＫＨＺ・30ＫＷの高周波
電源をつないで製作した実施例を以下に示す。 金属プレート部材； ＳＳ−400 ６mm厚×200mm巾×1000mm長 粉末材料； 鉄系粉体50％＋タングステンカーバイド（Ｗ2Ｃ）50％ （粒度−250〜＋60ミクロン) 散布厚； ８mm 高周波発振器条件; コイル負荷電圧：360Ｖ,コイル負荷電流170Ａ コイル巾： 250mm コイル〜プレート部材通過速度; 100mm／min 以上の条件により、プレート部材６mm厚、肉盛クラッド
層３mm厚の耐摩耗クラッド鋼板を製作した。 耐摩耗クラッド鋼板の性能； 従来のカーバイド系肉盛
５mm厚のクラッド鋼板の耐久度を３〜３．５倍延長し得
た。
応する実施例について説明する。 （実施例１）鉄鋼、セメント業における重摩耗対策の耐
摩耗クラッド鋼板を、耐摩耗材料として粉末材料を使用
して製作した場合について、図１及び図２に示すような
囲繞型のコイルに、周波数400ＫＨＺ・30ＫＷの高周波
電源をつないで製作した実施例を以下に示す。 金属プレート部材； ＳＳ−400 ６mm厚×200mm巾×1000mm長 粉末材料； 鉄系粉体50％＋タングステンカーバイド（Ｗ2Ｃ）50％ （粒度−250〜＋60ミクロン) 散布厚； ８mm 高周波発振器条件; コイル負荷電圧：360Ｖ,コイル負荷電流170Ａ コイル巾： 250mm コイル〜プレート部材通過速度; 100mm／min 以上の条件により、プレート部材６mm厚、肉盛クラッド
層３mm厚の耐摩耗クラッド鋼板を製作した。 耐摩耗クラッド鋼板の性能； 従来のカーバイド系肉盛
５mm厚のクラッド鋼板の耐久度を３〜３．５倍延長し得
た。
【００１３】（実施例２）化学プラント、電力業などに
使用される耐腐蝕、耐熱、耐摩耗クラッド鋼板を、実施
例１と同一の囲繞型のコイル及び高周波電源を使用し且
つ下記粉末材料を使用して製作した実施例を以下に示
す。 金属プレート部材； ＳＳ−400 ６mm厚×150mm巾×600mm長 粉末材料； Ｃo（コバルト）系耐熱高合金（ステライトＮo.6） （粒度−120〜＋60ミクロン) 散布厚； ５mm 高周波発振器条件; コイル負荷電圧：370Ｖ,コイル負荷電流180Ａ コイル巾：180mm コイル〜プレート部材通過速度; 110mm／min 以上の条件により、プレート部材６mm厚、肉盛クラッド
層２mm厚の耐腐蝕、耐熱、耐摩耗クラッド鋼板を製作し
た。 耐腐蝕、耐熱、耐摩耗クラッド鋼板の性能； 耐蝕性能
を落とさずに、コストを４０％低減し得た。
使用される耐腐蝕、耐熱、耐摩耗クラッド鋼板を、実施
例１と同一の囲繞型のコイル及び高周波電源を使用し且
つ下記粉末材料を使用して製作した実施例を以下に示
す。 金属プレート部材； ＳＳ−400 ６mm厚×150mm巾×600mm長 粉末材料； Ｃo（コバルト）系耐熱高合金（ステライトＮo.6） （粒度−120〜＋60ミクロン) 散布厚； ５mm 高周波発振器条件; コイル負荷電圧：370Ｖ,コイル負荷電流180Ａ コイル巾：180mm コイル〜プレート部材通過速度; 110mm／min 以上の条件により、プレート部材６mm厚、肉盛クラッド
層２mm厚の耐腐蝕、耐熱、耐摩耗クラッド鋼板を製作し
た。 耐腐蝕、耐熱、耐摩耗クラッド鋼板の性能； 耐蝕性能
を落とさずに、コストを４０％低減し得た。
【００１４】本発明の第二の実施の形態を図３及び図４
に基づいて説明すれば、腐蝕環境若しくは高温加熱環境
或は摩耗環境にさらされる金属部材１１の表面に、耐腐
蝕材料若しくは耐熱材料或は耐摩耗材料の、直径１〜９
mm程度の粉末体と粒状体の混合材料１２を所定の厚さに
散布し、この散布混合材料１２の直上に近接して形成配
備した渦巻状のコイル３０に交流電源より通電して、金
属部材１１の表面を誘導加熱するのみでなく、散布され
た混合材料１２にも誘導電流を発生させて加熱、溶融
し、加熱された金属部材１１の表面に溶着させ、設定条
件にしたがって通電が終了すれば、溶着金属は凝固し、
金属部材１１の表面に耐腐蝕若しくは耐熱或いは耐摩耗
層１４が形成される。なお、円滑に溶着させるために、
溶融直後に適量の製滓剤（スラグ成分）を併せて散布添
加してもよい。
に基づいて説明すれば、腐蝕環境若しくは高温加熱環境
或は摩耗環境にさらされる金属部材１１の表面に、耐腐
蝕材料若しくは耐熱材料或は耐摩耗材料の、直径１〜９
mm程度の粉末体と粒状体の混合材料１２を所定の厚さに
散布し、この散布混合材料１２の直上に近接して形成配
備した渦巻状のコイル３０に交流電源より通電して、金
属部材１１の表面を誘導加熱するのみでなく、散布され
た混合材料１２にも誘導電流を発生させて加熱、溶融
し、加熱された金属部材１１の表面に溶着させ、設定条
件にしたがって通電が終了すれば、溶着金属は凝固し、
金属部材１１の表面に耐腐蝕若しくは耐熱或いは耐摩耗
層１４が形成される。なお、円滑に溶着させるために、
溶融直後に適量の製滓剤（スラグ成分）を併せて散布添
加してもよい。
【００１５】上記の耐腐蝕若しくは耐熱或は耐摩耗層１
４の形成は、原理的には誘導加熱、溶解法を利用するも
のであって、渦巻状のコイル１３に電流を流すことによ
り、金属部材１１或は混合材料１２の表面に逆向きの渦
電流が誘発され、金属部材１１或は混合材料１２の持っ
ている固有の電気抵抗によって表面から加熱されるもの
であって、通電容量と時間の関係により、容量の小さい
混合材料１２はやがては溶解し、同時併行的に誘導加熱
された金属部材１１の表面に溶着凝固するものである。
４の形成は、原理的には誘導加熱、溶解法を利用するも
のであって、渦巻状のコイル１３に電流を流すことによ
り、金属部材１１或は混合材料１２の表面に逆向きの渦
電流が誘発され、金属部材１１或は混合材料１２の持っ
ている固有の電気抵抗によって表面から加熱されるもの
であって、通電容量と時間の関係により、容量の小さい
混合材料１２はやがては溶解し、同時併行的に誘導加熱
された金属部材１１の表面に溶着凝固するものである。
【００１６】なお、上記混合材料１２の場合は、直径が
約１mm以下のものでは溶解に至る誘導加熱が困難であ
り、また、直径が９mm以上のものでは溶解に至るまでに
長時間を必要とするため、その間に金属部材１１は表面
のみでなく全体的に加熱される関係から目的上好ましく
ない。
約１mm以下のものでは溶解に至る誘導加熱が困難であ
り、また、直径が９mm以上のものでは溶解に至るまでに
長時間を必要とするため、その間に金属部材１１は表面
のみでなく全体的に加熱される関係から目的上好ましく
ない。
【００１７】次に、上記本発明の第二の実施の形態に対
応する実施例について説明する。 （実施例３）化学プラント、石油化学或は酸性水処理な
どの分野で使用されるクラッド鋼板を、耐腐蝕、耐熱及
び耐摩耗材料として粉末材料と粒状材料が混在する混合
材料を使用して製作した場合について、図３及び図４に
示すような金属プレート部材１１の片面直上に配設した
コイルに、周波数200ＫＨＺ、100ＫＷの高周波電源をつ
ないで製作した実施例を以下に示す。 金属プレート部材； ＳＵＳ−304 ９mm厚×300mm巾×600mm長 粉粒混合材料； Ｃo（コバルト）系耐熱高合金60％＋Ｗ2Ｃ（タングステンカ ーバイド）40％ （粒度；Ｃo系高合金−120〜＋60ミクロン，Ｗ2Ｃ２〜５mm) 散布厚； ８mm 高周波発振器条件; コイル負荷電圧：380Ｖ,コイル負荷電流190Ａ コイル巾：370mm コイル〜プレート部材通過速度; 120mm／min 以上の条件により、プレート部材９mm厚、肉盛クラッド
層２．５mm厚の耐摩耗クラッド鋼板を製作した。 耐摩耗クラッド鋼板の性能； 従来の５mm厚のクラッド
鋼板と同等の耐久度でコストを４５％低減し得た。
応する実施例について説明する。 （実施例３）化学プラント、石油化学或は酸性水処理な
どの分野で使用されるクラッド鋼板を、耐腐蝕、耐熱及
び耐摩耗材料として粉末材料と粒状材料が混在する混合
材料を使用して製作した場合について、図３及び図４に
示すような金属プレート部材１１の片面直上に配設した
コイルに、周波数200ＫＨＺ、100ＫＷの高周波電源をつ
ないで製作した実施例を以下に示す。 金属プレート部材； ＳＵＳ−304 ９mm厚×300mm巾×600mm長 粉粒混合材料； Ｃo（コバルト）系耐熱高合金60％＋Ｗ2Ｃ（タングステンカ ーバイド）40％ （粒度；Ｃo系高合金−120〜＋60ミクロン，Ｗ2Ｃ２〜５mm) 散布厚； ８mm 高周波発振器条件; コイル負荷電圧：380Ｖ,コイル負荷電流190Ａ コイル巾：370mm コイル〜プレート部材通過速度; 120mm／min 以上の条件により、プレート部材９mm厚、肉盛クラッド
層２．５mm厚の耐摩耗クラッド鋼板を製作した。 耐摩耗クラッド鋼板の性能； 従来の５mm厚のクラッド
鋼板と同等の耐久度でコストを４５％低減し得た。
【００１８】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の金属部材
の表面処理法によれば、金属部材上に冶金的に接合され
た耐摩耗層あるいは耐腐蝕層等の耐久性金属層を形式す
るに際し、目的、用途に応じた肉厚の、しかも稀釈のほ
とんどない目標化学成分の溶着層を容易且つ安価に形成
できるものであって、技術的、経済的に極めて利用度の
高いクラッディング材を提供できるものである。
の表面処理法によれば、金属部材上に冶金的に接合され
た耐摩耗層あるいは耐腐蝕層等の耐久性金属層を形式す
るに際し、目的、用途に応じた肉厚の、しかも稀釈のほ
とんどない目標化学成分の溶着層を容易且つ安価に形成
できるものであって、技術的、経済的に極めて利用度の
高いクラッディング材を提供できるものである。
【図１】本発明の実施状態を示す簡略側面図である。
【図２】図１の平面図である。
【図３】本発明の他の実施状態を示す簡略側面図であ
る。
る。
【図４】図３の平面図である。
１ 金属プレート部材 ２ 粉末材料 ３ コイル ４ 耐摩耗層若しくは耐腐蝕層 １１ 金属プレート部材 １２ 粉粒混合材料 １３ コイル １４ 耐腐蝕層若しくは耐熱層或は耐摩耗層
Claims (3)
- 【請求項１】 金属部材の表面に冶金的接合よりなる耐
久性金属層を形成する際に、粉粒状の耐久性金属材料を
該金属部材の表面に散布し、交流電源につながれたコイ
ルを上記散布材料の近傍に配備して該コイルに通電する
ことにより、金属部材乃至粉粒状の耐久性金属材料を誘
導加熱により加熱して該粉粒状の耐久性金属材料を溶融
し、この溶融した耐久性金属材料を加熱された金属部材
の表面に溶着して耐久性金属層を形成することを特徴と
する金属部材の表面処理法。 - 【請求項２】 粉粒状の耐久性金属材料に耐摩耗材料を
用いて、金属部材の表面に耐摩耗層を形成することを特
徴とする請求項１に記載の金属部材の表面処理法。 - 【請求項３】 粉粒状の耐久性金属材料に耐腐蝕材料を
用いて、金属部材の表面に耐腐蝕層を形成することを特
徴とする請求項１に記載の金属部材の表面処理法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11552296A JPH09279362A (ja) | 1996-04-11 | 1996-04-11 | 金属部材の表面処理法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11552296A JPH09279362A (ja) | 1996-04-11 | 1996-04-11 | 金属部材の表面処理法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09279362A true JPH09279362A (ja) | 1997-10-28 |
Family
ID=14664617
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11552296A Pending JPH09279362A (ja) | 1996-04-11 | 1996-04-11 | 金属部材の表面処理法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH09279362A (ja) |
Citations (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS52116735A (en) * | 1976-03-29 | 1977-09-30 | Nippon Steel Corp | Method of forming anticorrosive film on surfaces of stainless steel articles |
| JPS59219425A (ja) * | 1983-05-25 | 1984-12-10 | N D C Kk | 軸受材料の製造法 |
| JPS6039172A (ja) * | 1983-08-12 | 1985-02-28 | Toshiba Mach Co Ltd | ライニング層形成方法及びその装置 |
| JPS616284A (ja) * | 1984-06-21 | 1986-01-11 | Taiho Kogyo Co Ltd | 銅−鉛軸受材料の製造方法及び装置 |
| JPH07124638A (ja) * | 1993-10-29 | 1995-05-16 | Dai Ichi High Frequency Co Ltd | 外面に金属等のライニングを施した金属曲げ条材の製造方法 |
-
1996
- 1996-04-11 JP JP11552296A patent/JPH09279362A/ja active Pending
Patent Citations (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS52116735A (en) * | 1976-03-29 | 1977-09-30 | Nippon Steel Corp | Method of forming anticorrosive film on surfaces of stainless steel articles |
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| JPH07124638A (ja) * | 1993-10-29 | 1995-05-16 | Dai Ichi High Frequency Co Ltd | 外面に金属等のライニングを施した金属曲げ条材の製造方法 |
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