JPH09275233A - 磁気抵抗効果多層膜 - Google Patents

磁気抵抗効果多層膜

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JPH09275233A
JPH09275233A JP8082788A JP8278896A JPH09275233A JP H09275233 A JPH09275233 A JP H09275233A JP 8082788 A JP8082788 A JP 8082788A JP 8278896 A JP8278896 A JP 8278896A JP H09275233 A JPH09275233 A JP H09275233A
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JP
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layer
magnetic field
exchange coupling
film
coupling magnetic
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JP8082788A
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Shin Noguchi
伸 野口
Shigeo Fujii
重男 藤井
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Proterial Ltd
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Hitachi Metals Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
    • H01F10/324Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer
    • H01F10/3268Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the exchange coupling being asymmetric, e.g. by use of additional pinning, by using antiferromagnetic or ferromagnetic coupling interface, i.e. so-called spin-valve [SV] structure, e.g. NiFe/Cu/NiFe/FeMn

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハードディスク装置の記録密度は年々飛躍的
に上昇している。このニーズにマッチした高記録密度に
対応できる高感度再生ヘッドを提供するものである。 【解決手段】 非磁性層で分離された2層以上の強磁性
層を有し、反強磁性層からの交換結合磁界が印加される
ピン層と交換結合磁界が印加されないフリー層からなる
磁気抵抗効果多層膜の構成であって、ピン層はCoで形
成され、Ni−Mnによる反強磁性層からの交換結合磁
界は25kA/m以上で飽和している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気ヘッドあるいは磁気
センサ等の感磁部に使用される磁気抵抗効果素子に係わ
り、特に強磁性層と反強磁性層間で作用する交換結合磁
界を利用した磁気抵抗効果多層膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ハードディスク装置に代表される磁気記
録再生装置の大容量化、高記録密度化にともない、記録
媒体に情報を記録する単位である記録ビットはますます
小さくなってきている。このため、極小になった記録ビ
ットが発生する磁束量は減少する一方になるため、従来
の磁束の変化を電気的信号に変換する誘導型磁気ヘッド
では信号出力が低下してしまい情報の再生が一層困難に
なって来ている。そこで、記録用ヘッドと再生用ヘッド
は別々の機構をとることにして、特に再生時にはより高
い感度を発現できる記録再生分離型磁気ヘッドが提案さ
れ、その開発が活発化している。
【0003】図11は記録再生分離型磁気ヘッドの構成
である。下部磁極45、上部磁極46およびコイル44
からなる記録ヘッド52は、従来と同様にコイルに電流
を通じることによって磁極先端部に磁界が発生する誘導
型の機構となっている。ボトムシールド膜42、ミッド
シールド膜43、磁気抵抗効果膜41および電極48か
らなる再生部は外部磁界に対して電気抵抗の変化を示す
磁気抵抗効果材料を感磁部として使用し、記録ビットか
ら漏洩する磁界の変化を電気抵抗変化によって生じた電
圧の変化として出力する。再生信号は、Ni−Fe合金
等で構成される磁気抵抗効果膜(MR膜)41の両端に
一対の電極48を取り付けて定電流を流しておき、記録
媒体からの信号磁界をMR膜41の抵抗変化による電圧
変化変動分として検出、即ち再生するものである。この
ような方式の再生ヘッドは感磁部素子にMR膜が用いら
れるため、磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)と呼ば
れる。MRヘッドが感じる磁界変化の振幅をHとし、ま
たそのとき発生される電圧変化の振幅をVとすると、V
とHの間には次の関係がある。 V=(Δρ/Hs)・w・j・H (1) ここで、Δρはヘッドに用いられた磁気抵抗効果材料の
最大の比抵抗の変化量であり、またHsはその抵抗変化
に要する磁界の大きさである。Δρは抵抗変化量、Hs
は飽和磁界と呼ばれる。wは磁気抵抗効果型ヘッドのト
ラック幅、jはセンス電流の電流密度である。飽和磁界
Hsは主に、磁気抵抗効果材料の一軸異方性による異方
性磁界Hk、感磁部の形状異方性による異方性磁界Hs
hapeおよびノイズ抑制のために印加されるバイアス
磁界Hbiasの3つの要因からなり、次の式で表すこ
とができる。 Hs=Hk+Hshape+Hbias (2) 以上のように磁気抵抗効果型ヘッドの再生電圧変化Vに
影響を及ぼす要因は数多いが、それらのうち磁気抵抗効
果材料はΔρとHkを通じて再生電圧の大きさに影響を
与える。(1)および(2)式から明らかなように、再
生出力を大きくするためには高いΔρと低いHkをもっ
た磁気抵抗効果材料が必要となる。
【0004】磁気抵抗効果材料としてはこれまで0.6
μΩcm程度のΔρを有するNiーFe合金膜が実用に
供されてきたが、強磁性層と非磁性層を積層した多層膜
において巨大磁気抵抗効果が発見されて以来、Ni−F
e合金膜を上回るΔρを持った多層磁気抵抗効果材料を
再生ヘッドに応用する研究開発が活発となっている。
【0005】図10に特開平4−358310号公報に
開示されている、巨大磁気抵抗果を示す多層膜の断面を
示す。この多層膜は、別名スピンバルブ膜と呼ばれてい
る。この多層膜はCu非磁性層33で分離された上下2
層の強磁性層即ちNi−Feフリー層32およびNi−
Feピン層34を有し、Ni−Feピン層34の上に積
層されたFeMn反強磁性層35からなる構成である。
Ni−Feピン層34には隣接するFeMn反強磁性層
35から交換結合磁界が印加されるため、Ni−Feピ
ン層34の磁化方向が束縛される。一方、Ni−Feフ
リー層32の磁化は記録媒体からの信号磁界に対して自
由に変化することができる。Ni−Feフリー層32が
このように信号磁界に対して磁化方向が変化するため、
Ni−Feピン層34とNi−Feフリー層32の磁化
は平行と反平行の間を推移することになる。スピンバル
ブ膜の電気抵抗はNi−Feピン層34とNi−Feピ
ン層32の磁化が同じ向きの平行に配列したときよりも
逆向きの反平行に配列したときの方が高くなる。
【0006】スピンバルブ膜のΔρの値は強磁性層また
は非磁性層に用いる材料の物性値と、さらに各層の厚さ
に依存することが知られている。例えば、強磁性層にC
oを使用すればNi−Fe合金を使用した場合よりΔρ
が高くなり、非磁性層にCuを使用すればAg,Auよ
りもΔρは増大する。またΔρは非磁性層の厚さに強く
依存し、ピン層とフリー層を磁気的に分離できる範囲で
非磁性層を薄くするほどΔρが増加する。このように高
いΔρを得るために種々の検討がなされているが今まで
に報告されているスピンバルブ膜のΔρは高々2μΩc
mであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のようにハードデ
ィスク装置の記録密度は年々飛躍的に上昇しており、高
記録密度に対応した高感度再生ヘッドに対する需要は止
むことがない。このため、より高い特性を有した磁気抵
抗効果材料が必要とされている。特開平4−35831
0号公報記載のスピンバルブ膜では、Δρは高々2μΩ
cmであって、今後ますます発展するハードディスク装
置の高記録密度化に対して必ずしも充分とは言えない。
本発明の目的は従来にはない高いΔρを有したスピンバ
ルブ膜を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】我々はスピンバルブ膜に
ついて鋭意検討を重ねた結果、ピン層にCoを用いたス
ピンバルブ膜のΔρは交換結合磁界とともに増加するこ
とを見出した。典型的な場合、15kA/m以上の交換
結合磁界をCoピン層に印加すれば2μΩcm以上のΔ
ρが得られ、さらに交換結合磁界を25kA/m以上と
すればΔρは3μΩcmに達し、従来にはない高い値が
得られる。Coピン層に25kA/m以上の強い交換結
合磁界を印加するには反強磁性層にNiMn合金を使用
するのが適当であり、NiMn層やCoピン層の厚さを
調節すれば40kA/m程度までの交換結合磁界を発生
させることができる。このようにピン層にCo、反強磁
性層にNiMnを使用すれば高いΔρを有したスピンバ
ルブ膜を提供することができる。
【0009】ピン層にCoを使用したスピンバルブ膜で
は、ピン層に印加される交換結合磁界が強いほど高い抵
抗変化量Δρを示す。これは、Coピン層の磁気飽和に
関係している。交換結合磁界の大きさが十分でない場
合、Coピン層の磁化は飽和に至っておらず、場所によ
っては交換結合磁界の方向から外れた磁化も存在する。
このような磁化はΔρへの寄与が小さいため、Coピン
層の磁気飽和が十分でないと、スピンバルブ膜全体が示
すΔρは低い値に留まる。交換結合磁界を大きくしてい
くとCoピン層の磁化は飽和に近づき、磁化方向の分布
が小さくなるのでΔρのロスも小さくなり、スピンバル
ブ膜全体のΔρが上昇する。つまり、ピン層にCoを用
いたスピンバルブ膜では、25kA/m以上の強い交換
結合磁界をCoピン層に印加してこの層の磁化を飽和さ
せることが、高いΔρを得る上で極めて重要である。反
強磁性層にNiMnを用いれば、従来から良く知られた
FeMnを用いた場合より強い交換結合磁界をCoピン
層に印加することができるので、その強い交換結合磁界
を通して高いΔρを発生させることができる。このとき
得られるΔρの値は3μΩcmにも達する。
【0010】Δρの観点からピン層はCoであることが
望ましいが、軟磁気特性に劣るCoをフリー層にそのま
ま用いたのでは、たとえ高いΔρが得られたとしても高
い磁界感度は望めない。この問題は、フリー層をNi−
Fe合金層と薄いCo層の2層膜とし、Co層がCu層
に隣接する構成とすれば解決できる。スピンバルブ膜に
おける磁気抵抗効果はCu非磁性層と強磁性層との界面
近傍における伝導電子のスピン依存散乱に由来するとさ
れている。従って、Δρは非磁性層と接している強磁性
原子によって左右され、その界面から離れた位置にある
強磁性原子にはあまり関係しない。そこで、Cu非磁性
層と接するように薄いCo層を配置すれば、Δρを損な
うことなく、しかもこのCo層と交換相互作用で磁化が
結合したNi−Fe合金層の軟磁気特性によって、低い
外部磁界でもフリー層の磁化(Co層とNi−Fe層の
磁化が一体化したもの)が回転することができる。この
ようにして、磁界感度を向上させることができる。
【0011】
【実施例】以下の実施例に基づいて本発明を詳細に説明
する。 (実施例1)本発明による多層膜の構成を図1に示す。
この多層構成による試料は、厚さ5nmのTa下地層1
1の上にCoのフリー層12(厚さ5nm)、Cuの非
磁性層13(厚さ2nm)、Coのピン層14(厚さ5
nm)、NiーMn反強磁性層15(厚さ0〜35n
m)、Ta保護層16(厚さ5nm)を順次堆積させた
ものである。試料の作製にはイオンビームスパッタ装置
を用いた。成膜条件はイオンビームの加速電圧1500
V、イオン電流6mA、Ar圧力0.06Paであり、
基板面内に8kA/mの静磁界を印加しながら成膜し
た。基板温度は室温である。
【0012】NiMnはCuAuI型規則合金のθNi
Mnである場合に反強磁性を示す。しかし、成膜状態で
はNiMnは不規則合金となっており、反強磁性を示さ
ない。そのため、NiMnを反強磁性のθNiMnに変
態させるために成膜した試料に290℃で3時間の磁界
中熱処理を施した。NiMnによる交換結合磁界は熱処
理中の印加磁界の方向に発生する。
【0013】実施例1と同様の多層構成で反強磁性層に
従来から良く知られたFeMnを使用した試料を比較の
ために作製した。この試料を比較例1とする。比較例1
の作製方法は実施例1と同じである。ただし、FeMn
は成膜状態でも反強磁性を示すため、熱処理は施してい
ない。
【0014】さらに、実施例1と同様の多層構成で反強
磁性層にFeMn、ピン層とフリー層にはNi−Fe合
金を用いた試料を比較例2として作製した。比較例2の
作製方法も実施例1と同じであるが熱処理は施していな
い。
【0015】上記のように作製した試料の磁界に対する
抵抗変化の一例を図2に示す。測定は4端子法を適用
し、試料に1mAの直流電流を通電して行った。外部磁
界は交換結合磁界の方向と平行に印加し、交換結合磁界
とは逆方向に外部磁界を印加した場合を正方向とした。
図に示すように試料の電気抵抗は、磁界を負方向から正
方向へスイープさせると0磁界付近で急峻に増大して最
大値をとった後、緩やかに減少する(図中A曲線部)。
次に、逆方向に印加磁界をスイープさせると電気抵抗
は、往路に比べてより低磁界側で緩やかに増大した後、
0磁界付近で急激に減少する(図中B曲線部)。0磁界
付近での急峻な抵抗変化はフリー層12の磁化回転に起
因しており、正磁界側での緩やかな抵抗変化はピン層1
4の磁化反転に起因するものである。従って、正磁界側
での大きなヒステリシスはピン層14の磁化曲線と対応
している。
【0016】試料のもつ磁気抵抗効果の大きさを表す指
標として、以下ではΔρを用いることにする。Δρは、
スピンバルブ膜が示す最大の比抵抗から、印加磁界−8
0kA/mにおける比抵抗を引いた値として定義する。
【0017】反強磁性層15からの交換結合磁界Hex
は次のように定義する(図2参照)。まず、ピン層14
の磁化反転によるヒステリシスカーブ上でΔρの半分に
なる点pおよびqを求める。次に、点pおよびqの中点
oを求め、点oと0磁界軸との距離をHexとして定義
する。即ち、反強磁性層15との交換結合によって、ピ
ン層14のヒステリシスループがシフトした量をHex
として定義する。
【0018】図3には、実施例1および比較例1におけ
る交換結合磁界Hexと反強磁性層の層厚との関係を示
す。また、図4にはΔρと反強磁性層の層厚との関係を
示す。図3および図4から明らかなように厚さ7.5n
m以上のNiMn反強磁性層はFeMnよりも強い交換
結合磁界をピンCo層に印加することができ、そのとき
実施例1が示すΔρもFeMnを用いた比較例1のそれ
より高くなる。
【0019】図5および図6には、HexとΔρのピン
Co層厚依存性をそれぞれ示す。NiMnおよびFeM
n反強磁性層の厚さは15nmとした。いずれのピン層
厚でも実施例1の方が比較例1より強いHexが発生し
ており、高いΔρが得られている。以上のようにNiM
nは強い交換結合磁界および高いΔρを発生させること
ができる点で、スピンバルブ膜の反強磁性材料として従
来のFeMnより優れていることが分かる。
【0020】さらにNiMnはFeMnより耐食性が優
れているという報告(Tsann Linet.al.;Appl.Phys.Let
t.Vol.65,No.9,1183(1994).)があることから、NiM
nを用いたスピンバルブ膜はFeMnを用いたものより
もヘッド製造プロセス中で腐食されるおそれが少なく、
信頼性においても優れていると言える。
【0021】図7は、横軸に交換結合磁界、縦軸にΔρ
をとって図3〜6のデータを整理したものである。図中
●印はピン層にCo、反強磁性層NiMnを用いて反強
磁性層厚を変化させたデータ点、■印はピン層にCo、
反強磁性層にNiMnを用いてピン層厚を変化させたデ
ータ点、□印はピン層にCo、反強磁性層にFeMnを
用いてピン層厚を変化させたデータ点、○印はピン層に
Co、反強磁性層にFeMnを用いて反強磁性層厚を変
化させたデータ点である。これらのデータ点は何れも同
一の曲線上に良く乗っており、交換結合磁界の増加とと
もにΔρも増加していくという傾向が現れている。この
ことから層厚や反強磁性材料がΔρを支配する直接の要
因ではなく、交換結合磁界の大きさがΔρを支配する直
接の要因となっていることがわかる。先に述べた様に、
スピンバルブ膜のΔρは、強磁性層や非磁性層に用いら
れる材質、あるいは非磁性層の厚さなどに依存すること
は良く知られていたが、交換結合磁界に依存して図7の
ように変化することはこれまで知られていなかった。図
7の結果は、スピンバルブ膜のΔρに影響を与えるパラ
メーターの一つとして交換結合磁界が重要な役割を果た
していることを示している。
【0022】ピン層にCoを用いたスピンバルブ膜でΔ
ρが図7のような交換結合磁界依存性を示すのは、次の
理由による。スピンバルブ膜の電気抵抗はピン層とフリ
ー層の磁化方向が平行のとき最小、反平行のとき最大と
なる。比較的弱い外部磁界に対してもこのような磁化配
列の変化が容易に起こるようにするため、スピンバルブ
膜ではフリー層の磁化は自由に回転できるようにしてお
き、ピン層の磁化は反強磁性層からの交換結合磁界によ
って一方向に固定するようにしている。しかし、交換結
合磁界がピン層の磁化を完全に飽和させるほど大きくな
い場合、ピン層には交換結合磁界の方向と外れた向きの
磁化が場所によっては存在し得る。つまり、ピン層の磁
化方向は交換結合磁界の方向を中心として分布をもつ。
交換結合磁界の方向と外れた向きの磁化は、たとえフリ
ー層の磁化が外部磁界によって反転したとしても完全に
は反平行とならないためΔρに対する寄与が小さくな
る。交換結合磁界が強くなっていくとピン層の磁化が飽
和に近づいていくため磁化方向の分布によるΔρのロス
は小さくなり(即ちΔρが上昇し)、ピン層の磁化が飽
和するとΔρの上昇も飽和する。この時のΔρがその材
料が本来示し得る最大値である。
【0023】図7の結果を見るとCoピン層を飽和させ
るためには25kA/mの強い交換結合磁界が必要であ
ることが分かる。これはCoは軟磁気特性に劣るため、
磁気飽和させるのに強い磁界を必要とするためである。
図7の中には軟磁気特性の良好なNi−Fe合金をピン
層に用いた比較例2の結果も併せて示したが、比較例2
では10kA/mの弱い交換結合磁界でもΔρは飽和し
ている。従って、交換結合磁界とともにΔρが上昇して
いくという結果は、軟磁気特性の悪いCoのような材料
をピン層に用いた場合に特有の現象であると言える。ま
た、Δρの飽和値がCoとNi−Fe合金とで異なるの
は両者の電子構造の違いに起因しており、Coピン層を
十分磁気飽和させた場合のΔρは、従来良く使用されて
いたNi−Fe合金を使用した場合の3倍以上もの高い
Δρが得られる。
【0024】以上のようにピン層にCoを使用したスピ
ンバルブ膜では、強い交換結合磁界によってCoピン層
の磁化を飽和させることが高いΔρを得る上で非常に重
要である。25kA/m以上の交換結合磁界を印加すれ
ばCoピン層は飽和し、その結果3μΩcmと従来には
ない高いΔρを得ることができる。しかも、交換結合磁
界を25kA/m以上とすればΔρの交換結合磁界に対
する依存性が小さくなるので、ヘッド製造過程でのバラ
ツキやセンス電流による素子温度の上昇等によって交換
結合磁界が変動したとしてもΔρは実質的にその大きさ
を変えないという利点もある。
【0025】25kA/m以上の交換結合磁界を得るた
めには、図3からNiMn反強磁性層の厚さを15nm
以上とすれば良い。しかし、比抵抗の高いNiMn層を
厚くするとスピンバルブ膜全体の抵抗が増大するため、
ジュール熱による熱雑音も増大するという弊害を招く。
この観点からはNiMn層は薄い方が好ましい。図3の
データでは、NiMn層の厚さが25nmを越えるとH
exが飽和するため、NiMn層の厚さを25nmより
厚くするメリットはない。従って、NiMn反強磁性層
の厚さは15〜25nmの範囲とすることが適当であ
る。また図5の結果から、反強磁性層をNiMnとし
て、Coピン層厚を1〜5nmの範囲とすれば25kA
/m以上の交換結合磁界を得ることができる。
【0026】上の実験結果は、軟磁気特性に劣り、磁化
も大きいCoに十分な交換結合磁界を印加するには反強
磁性層にNiMnを用いることが適当であることを示し
ている。しかし、図7のデータ点は反強磁性層の材料が
NiMnである場合もFeMnである場合も同一の曲線
上に乗っていることから、反強磁性層の材料に関係なく
一般的に図7の関係が成り立つと考えられる。従って、
NiMn以外にもCoピン層に25kA/m以上の交換
結合磁界を印加することのできる反強磁性材料を用いれ
ばCoピン層の磁化を飽和させることができ、本実施例
と同様の高いΔρを得ることができる。
【0027】スピンバルブ膜におけるΔρの値は非磁性
層の厚さに依存することは良く知られている。非磁性層
の厚さを変化させた場合における前述の実験と同様の実
験結果を図8に示す。Δρの飽和値は非磁性層厚の増加
とともに減少するが、Δρが交換結合磁界とともに増加
し、およそ25kA/mで飽和に達するという傾向はい
ずれの非磁性層厚でも変わりはない。即ち、非磁性層の
厚さに依らず上記した結果は成り立つ。非磁性層の厚さ
はΔρに影響を与えるだけでなく、ヘッド化した場合、
その動作点等にも影響を与えるパラメーターであるの
で、単に高いΔρを得るためだけに非磁性層を薄くする
わけにはいかない。従って、非磁性層の厚さはヘッドに
要求されるΔρ以外の様々な要請を満たすように設定さ
れなければならないが、図8の結果はどのような非磁性
層厚の場合でもCoピン層の磁化を飽和させれば、その
構成のスピンバルブ膜が示し得る最大のΔρが得られる
ことを示している。
【0028】(実施例2)多層磁気抵抗効果膜の感度を
向上させるためには、Δρを上昇させるだけでなく、軟
磁気特性の優れたフリー層を用いる必要がある。上記の
実施例1ではフリー層にCoを使用していたが、Coは
軟磁気特性が悪いため磁気特性の面ではフリー層に適当
な材料ではない。従来、スピンバルブ膜のフリー層には
軟磁気特性の優れたNi−Fe合金が良く使用されてい
たが、Δρの点ではCoに及ばない。
【0029】Δρとフリー層の軟磁気特性を両立させる
ために(即ち感度の優れた磁気抵抗効果多層膜を得るた
めに)、図9に示した多層膜を作製した。この試料を実
施例2とする。実施例2のフリー層28はNi−Fe層
22(厚さ4nm)と薄いCo層27(厚さ1nm)か
らなっており、Cu非磁性層23と接する側にCo層2
7が位置する構成である。Ni−Fe層22とCo層2
7の磁化は交換相互作用により結合しているため、外部
磁界に対してこれらの磁化は一体となって回転する。そ
の際の磁気特性はフリー層28のほとんどを占めるNi
−Fe合金の軟磁気特性に支配されるため、フリー層2
8全体の磁気特性は実施例1のNi−Fe層22のみの
場合と同様の優れた軟磁気特性を示す。一方、磁気抵抗
効果の起源は非磁性層と強磁性層の界面におけるスピン
依存散乱であるため、Cu非磁性層23と接したCo層
27が大きなスピン依存散乱を起こし、高いΔρを生
む。
【0030】表1は、実施例1(基板/Ta5nm/C
o5nm/Cu2nm/Co3nm/NiMn15nm
/Ta5nm)、比較例2(基板/Ta5nm/Ni−
Fe5nm/Cu2nm/Ni−Fe3nm/FeMn
15nm/Ta5nm)および実施例2のフリー層の軟
磁気特性とΔρを比較したものである。軟磁気特性の指
標としてはフリー層の異方性磁界Hkを用いている。表
に示されているように、実施例2は比較例2と同等の小
さいHkを有し、かつ実施例1と同等の高いΔρをもっ
ている。
【表1】
【0031】本実施例ではフリー層としてNi−Fe合
金を用いたが、それ以外にもNi−Fe−Co合金、C
o基非晶質合金などの軟磁性材料も当然考え得るもので
ある。
【0032】実施例1および2では下地層および保護層
にTaを用いて説明したが、これ以外にもHf、Zr、
Ti等の単金属を用いても良い。これらの金属は薄膜の
状態では非晶質となり、下地膜として用いれば多層膜の
結晶性の向上に効果があるものである。また、これらの
金属はいずれも酸素と反応して安定な不動態層を形成す
るので保護膜としての効果がある。
【0033】
【発明の効果】ハードディスク装置等の高記録密度化に
対応したMRヘッド用の材料として本発明による磁気抵
抗効果多層膜には次の効果がある。ピン層にCoを使用
し、このピン層に25kA/m以上の交換結合磁界He
xを印加してピン層の磁化を飽和させることによって3
μΩcmの従来にはない高いΔρが得られる。しかも、
Hexが25kA/m以上の領域ではΔρの値が飽和す
るため、何らかの原因でHexが多少変動したとして
も、Δρのバラツキは最小限に抑えることができる。C
oピン層に対して上記のような強いHexを印加するた
めの具体的な方法としては反強磁性層にNiMnを使用
することが適当であるが、NiMnは従来良く使用され
てきたFeMnより耐食性が良好であるため、ヘッドの
信頼性向上という点でも効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による磁気抵抗効果多層膜の積層構成の
断面図である。
【図2】本発明による磁気抵抗効果多層膜の磁気抵抗効
果特性曲線である。
【図3】交換結合磁界Hex対反強磁性層厚依存性であ
る。
【図4】抵抗変化量Δρ対反強磁性層厚依存性である。
【図5】交換結合磁界HexとCoピン層厚の関係を示
す。
【図6】抵抗変化量ΔρとピンCo層厚の関係を示す。
【図7】抵抗変化量Δρと交換結合磁界Hexの関係を
示すグラフ。
【図8】Cu層厚をパラメーターとした抵抗変化量Δρ
の交換結合磁界依存性Hexを示す。
【図9】他の実施例の構成を示す断面図である。
【図10】従来の多層磁気抵抗効果膜の構成断面図であ
る。
【図11】従来の記録再生分離型ヘッドの構造断面図で
ある。
【符号の説明】
11,21,31 下地層、13,23,33 非磁性
層、16,26,36保護層、12,32 フリー層、
14,24,34 ピン層、15,25,35 反強磁
性層、28 積層されたフリー層(Ni−Fe層22と
Co層27が積層されたもの)、41 磁気抵抗効果膜
(MR膜)、42 ボトムシールド膜、43 ミッドシ
ールド膜、44 コイル、45 下部磁極、46 上部
磁極、47 基板、48 電極、51 磁気抵抗効果型
ヘッド(MRヘッド)、52記録ヘッド。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性層で分離された2層以上の強磁性
    層を有し、この分離された強磁性層のうち1層は隣接す
    る反強磁性層からの交換結合磁界が印加される構造の磁
    気抵抗効果多層膜において、前記反強磁性層から交換結
    合磁界が印加される強磁性層はCoで形成されるととも
    に、該Co層の磁化が隣接する反強磁性層からの交換結
    合磁界によって飽和していることを特徴とする磁気抵抗
    効果多層膜。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の磁気抵抗効果多層膜に
    おいて、前記反強磁性層からの交換結合磁界の強さが2
    5kA/m以上であることを特徴とする磁気抵抗効果多
    層膜。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれかに記載の磁
    気抵抗効果多層膜において、前記反強磁性層がNi−M
    n合金であることを特徴とする磁気抵抗効果多層膜。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の磁気抵抗効果多層膜に
    おいて、前記反強磁性層の厚さが15〜25nmの範囲
    にあることを特徴とする磁気抵抗効果多層膜。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の磁気抵抗効果多層膜に
    おいて、前記反強磁性層から交換結合磁界が印加される
    強磁性層の厚さが1〜5nmの範囲にあることを特徴と
    する磁気抵抗効果多層膜。
  6. 【請求項6】 非磁性層で分離された2層以上の強磁性
    層を有し、この分離された強磁性層のうち1層は隣接す
    る反強磁性層からの交換結合磁界が印加される構造の磁
    気抵抗効果多層膜において、前記反強磁性層から交換結
    合磁界が印加される強磁性層がCoであり、かつ前記反
    強磁性層がNi−Mn合金であることを特徴とする磁気
    抵抗効果多層膜。
  7. 【請求項7】 請求項1から6のいずれか1つに記載の
    磁気抵抗効果多層膜において、前記非磁性層がCuであ
    ることを特徴とする磁気抵抗効果多層膜。
  8. 【請求項8】 請求項1から7のいずれか1つに記載の
    磁気抵抗効果多層膜において、前記反強磁性層からの交
    換結合磁界が印加されない強磁性層はCo層と軟磁性層
    との2層体であると共に、Co層が前記非磁性層に隣接
    する構造であることを特徴とする磁気抵抗効果多層膜。
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