JPH09274042A - ヒトcyp2e1に対する抗体 - Google Patents

ヒトcyp2e1に対する抗体

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JPH09274042A
JPH09274042A JP13449396A JP13449396A JPH09274042A JP H09274042 A JPH09274042 A JP H09274042A JP 13449396 A JP13449396 A JP 13449396A JP 13449396 A JP13449396 A JP 13449396A JP H09274042 A JPH09274042 A JP H09274042A
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JP
Japan
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glu
peptide
cyp2e1
antibody
antigen
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JP13449396A
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English (en)
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Hirohisa Matsushita
洋久 松下
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Nichirei Corp
Original Assignee
Nichirei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 チトクロームp450の分子種CYP2
E1を構成するペプタイド断片を抗原として得られるヒ
トCYP2E1を認識する抗体。 【効果】 ヒトCYP2E1を迅速且つ正確に測定する
ことができ、生体内での各種変化を知ることにより、癌
や糖尿病等の診断、治療に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒトチトクローム
p−450の一分子種であるCYP2E1に対する抗体
及びそれを用いるヒトCYP2E1の測定システムに関
する。
【0002】
【従来の技術】チトクロームp−450(以下、「p4
50」ということもある)とは還元型で一酸化炭素と結
合し、450nmに吸収最大を示すヘム蛋白質酵素の総
称である。この酵素は生体外異物の解毒やステロイドホ
ルモンなど生体内物質の合成、代謝などに深く関与す
る。細菌から哺乳動物までp450の分布は極めて広
く、そして150種以上が知られている。
【0003】薬物代謝に関するp450は大きく1〜4
群に分類することが出来、そして多くのp450は薬剤
投与により特定のp450が誘導される。
【0004】2群に属するCYP2E1分子種はアルコ
ールやアセトンなどによって誘導され、エタノール、ア
ニリン、ニトロソアミンなどを酸化的に代謝し、基質特
異性の広いことが知られている。動物実験などではエタ
ノールの摂取によりp450CYP2E1の誘導が確認
されており(Journal of Biological Chemistry ; 261
(35) 16689-16697, 1986)、また、ヒトにおいてもアル
コール中毒患者にてp450CYP2E1が増えること
が示唆されている(Biochemistry : 25(22)6731-6735,
1986)。また、アルコール性肝障害などにp450CY
P2E1が関連していることが考えられている(Bioche
mistry : 25(22)6731-6735, 1986)。一方、CYP2E
1はN−ニトロソジメチルアミン、ベンゼン、四塩化炭
素など発癌物質の代表的な活性化に関与しており、CY
P2E1の表現系は発癌物質の感受性の個体差に影響す
ることが示唆されている(抗酸菌病研究所雑誌:44(2)1
29-140, 1992)。癌においてp450の過剰発現の認め
られる例も報告されている。そのほかに、糖尿病、飢餓
状態によっても誘導されることが知られている(Bioche
mical Biophysical Research Communications : 142, 1
077-1083, 1987及びMolecular Endocrinology : 1,542-
547, 1987)。
【0005】本酵素は、肝障害、癌、糖尿病などの好適
なマーカーとしての有用性が指摘されているが、ヒトC
YP2E1を正確に且つ簡便に測定、検出することので
きるシステムはまだ確立されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ヒトCYP2E1の測
定により種々の生体内変化を把握することができ、ヒト
CYP2E1の測定は診断及び治療面においてきわめて
有用であることにもかかわらず、上記のように、ヒトC
YP2E1を簡便且つ正確に測定する満足できるシステ
ムは、現時点では開発されていない。本発明は、このよ
うな技術の現状のもとにおいて、満足できるヒトCYP
2E1アッセイシステムを新たに開発する目的でなされ
たものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に鋭意研究を行った結果、このようなアッセイシステム
としてはイムノアッセイが好適であるとの観点にたち、
更に研究を続けた結果、CYP2E1のペプタイド断片
(つまり、CYP2E1蛋白質中の特定のアミノ酸配列
からなるペプタイド)を免疫原とすることにより得られ
る抗体がヒトCYP2E1蛋白質を高精度、高感度かつ
迅速に測定できることを見出し、本発明が完成されたの
である。
【0008】すなわち、本発明は、CYP2E1蛋白質
の全体を抗原としないでも、その一部を抗原として用い
るだけで、ヒトCYP2E1を特異的に認識する抗体を
きわめて効率的に且つ高い再現性で作成しうること、そ
して、この抗体を用いることによってヒトCYP2E1
を高精度、高感度かつ迅速に測定できるという有用な新
知見を得、この新知見に基づき、本発明は完成されたも
のである。
【0009】本発明を実施するには、免疫原を用いて動
物を免疫する必要がある。免疫原としては、CYP2E
1の一部を用いる。CYP2E1としては、ヒト由来の
ものが好適であるが、他の動物由来のものも使用可能で
ある。
【0010】CYP2E1の一部(つまりペプタイド断
片)を得るには、CYP2E1蛋白質を酵素を用いて及
び/又は化学的ないし物理的に切断してもよい、あるい
は、目的とするペプタイドを化学合成してもよい。例え
ばCYP2E1のアミノ酸配列において親水性の高い領
域を選定し、それに相当するアミノ酸配列よりなるペプ
タイドを常法に従って作製し、これを動物に免疫するこ
とによりヒトCYP2E1に反応する抗体を得ることが
できる。例えば、化学合成したペプタイドの端にシステ
インを付けそれを介しキャリア蛋白質を結合させること
により免疫原性を高め、動物に免疫することといった公
知の方法により抗体を得ることが出来る。免疫する動物
としてはマウス、ラット、ウサギ、ヒツジ等を利用する
ことが出来る。
【0011】本発明においてはこのようにして作成した
ポリクロナール抗体のほか、モノクローナル抗体を使用
することができる。モノクローナル抗体は、常法にした
がって作成することができ、例えば、上記した免疫原を
用いてマウス等を免疫し、その脾細胞、リンパ節細胞等
の抗体産生細胞を得、これとミエローマとを細胞融合法
を用いて融合細胞(ハイブリドーマ)を形成させ、上記
免疫原に特異的に結合する抗体を産生するクローンを選
択し、これを培養することにより、モノクローナル抗体
を得ることができる。
【0012】そして、このようにして得られた抗体を用
いる免疫測定法によりCYP2E1の測定は行われる。
免疫測定法としては放射免疫測定法、酵素免疫測定法、
蛍光免疫測定法、ウエスタンブロット法、免疫沈降法、
免疫組織染色法など公知の方法が掲げられる。
【0013】特に異なる認識部位をもつ抗体の組み合わ
せからなる測定方法が著しく高感度にCYP2E1の検
出を可能にさせる。その際、それぞれ別のエピトープを
認識する二種類のCYP2E1に対する抗体を用いる
が、このCYP2E1に対する抗体はペプタイドを動物
に免疫することにより作成される。例えば、下記実施例
においては、それぞれCYP2E1に対する抗体はウサ
ギ由来のポリクローナル抗体を用いた。固相に抗体を結
合させ、CYP2E1と固相抗体と異なるエピトープを
認識する標識抗体を反応させる。抗体に標識されたもの
を常法に従い定量することによりCYP2E1の高感度
な検出定量が可能となる。以下、本発明について詳述す
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係るヒトCYP2E1に
対する抗体を作成するために使用する免疫原としては、
ヒト及び/又は動物のチトクロームp450の分子種C
YP2E1を構成する各種のペプタイド断片が広く使用
することができ、また、下記するアミノ酸配列を有する
各種ペプタイドも抗原として使用することができる。
【0015】(1)下記のアミノ酸配列を有するペプタ
イドI Arg-Gln-Val-His-Ser-Ser-Trp-Asn-Leu-Pro-Pro-Gly-Pr
o-Phe (2)下記のアミノ酸配列を有するペプタイドII Glu-Leu-Lys-Asn-Ile-Pro-Lys-Ser-Phe-Thr-Arg-Leu-Al
a-Gln (3)下記のアミノ酸配列を有するペプタイドIII Tyr-Gly-Met-Gly-Lys-Gln-Gly-Asn-Glu-Ser-Arg-Ile-Gl
n-Arg-Glu (4)下記のアミノ酸配列を有するペプタイドIV Lys-His-Phe-Asp-Tyr-Asn-Asp-Glu-Lys-Phe-Leu-Arg-Le
u-Met (5)下記のアミノ酸配列を有するペプタイドV Ser-Glu-Arg-Val-Lys-Glu-His-His-Gln-Ser-Leu-Asp-Pr
o-Asn-Cys (6)下記のアミノ酸配列を有するペプタイドVI Glu-Met-Glu-Lys-Glu-Lys-His-Ser-Ala-Glu-Arg-Leu-Ty
r-Thr (7)下記のアミノ酸配列を有するペプタイドVII Glu-Ile-Glu-Glu-Lys-Leu-His-Glu-Glu-Ile-Asp-Arg-Va
l-Ile (8)下記のアミノ酸配列を有するペプタイドVIII Gln-Glu-Phe-Pro-Asp-Pro-Glu-Lys-Phe-Lys-Pro-Glu-Hi
s-Phe-Leu-Asn
【0016】抗原としては、上記したCYP2E1蛋白
質の各種ペプタイド断片及び/又はペプタイドI〜VIII
がそのまま使用できるほか、これらのペプタイドのアミ
ノ酸配列の一部をアミノ酸の置換、削除、挿入及び/又
は転移を行って得た改変ペプタイドも使用することがで
きる。
【0017】免疫は常法にしたがい、例えば前述したペ
プタイドの全て又は一部又はその改変ペプタイドを用
い、また必要あれば常用されるキャリアー蛋白質と結合
した後、アジュバントと共に動物に必要回数注射するこ
とによって行う。注射する動物としては、マウス、ウサ
ギ、ラット、ヒツジ等を使用することができ、注射する
方法は公知の方法に従う事ができる。そして注射した動
物より採血し、抗血清を得る。得られた抗血清より本発
明の抗体を得るには従来知られているいずれの方法でも
構わない。例えば、アフィニティクロマトグラフィー等
蛋白質の精製方法が適宜採用される。
【0018】本発明の抗体としては、上記したポリクロ
ーナル抗体のほかモノクローナル抗体も包含される。モ
ノクローナル抗体を作成するには、上記した(改変)ペ
プタイドを免疫原として、例えばマウスに免疫し、その
脾細胞、リンパ節細胞あるいはBリンパ球を抗体産生細
胞として得ることが必要である。また、免疫原として
は、ペプタイド断片のほか、p450産生細胞を必要あ
ればアルコールを用いて誘導処理した後、目的とする遺
伝子のcDNAを単離し、これをベクターに組み込んだ
後、これをマウス繊維芽細胞等のレシピエントに形質導
入し、得られた形質導入細胞株(トランスフェクタン
ト)を作成し、これを免疫原として用いてもよい。
【0019】このようにして得た抗体産生細胞とマウ
ス、ヒトあるいはラットの骨髄腫細胞とをいわゆる細胞
融合法を用いて融合細胞(ハイブリドーマ)を形成さ
せ、上記トランスフェクタントに特異的に結合する抗体
を産生するクローンを選択することによって、モノクロ
ーナル抗体を得ることができる。
【0020】このようにして作成した抗体は、ヒトCY
P2E1に対する特異性がきわめて高く、本酵素を特異
的、選択的に認識して反応し、これと結合する性質を有
するため、本抗体を利用して既述した各種方法によって
ヒトCYP2E1のイムノアッセイを行うことができ
る。
【0021】イムノアッセイとしては、例えば固相免疫
測定法が挙げられる。固相免疫測定法としては、検出手
段により放射免疫測定法、酵素免疫測定法、蛍光免疫測
定法、化学発光免疫測定法などが掲げられるが、その中
でも高感度測定が可能で、特殊な設備が不要な酵素免疫
測定法(EIA)が望ましい方法である。
【0022】固相法による酵素免疫測定は一般に3段階
で行われるが、第一段階と第二段階を同時に行う2段階
による測定も可能であり、いわゆるサンドイッチ法が有
利に利用される。 第一段階:検体としてCYP2E1を含む体液または組
織抽出液を希釈し、抗CYP2E1抗体固相化担体とイ
ンキュベーションさせ、検体中のCYP2E1を担体に
結合させる。 第二段階:担体を洗浄後、酵素標識した抗CYP2E1
質抗体とインキュベーションさせ、酵素標識抗体を担体
に結合したCYP2E1に結合させる。 第三段階:担体を洗浄後、酵素基質液にインキュベーシ
ョンさせ、担体に結合した酵素の量に応じた基質または
産物の濃度の変化を求める。
【0023】このように固相化酵素免疫測定法で用いら
れる二種の抗体は、お互いに異なるエピトープを認識す
るものであることが必要である。それゆえ固相化抗体と
酵素標識抗体における抗体は相違している必要がある。
例えば、固相化抗体としてペプタイドIIIを抗原として
得られる抗体、標識としてペプタイドVIIIを抗原として
得られる抗体を使用したり、あるいはその逆にしたりす
ることができる。
【0024】抗CYP2E1抗体の固相化担体の調製
は、蛋白質を固相面に結合する既知の方法を用いて容易
に行うことが出来る。例えば、固相化担体としては通
常、ビーズ、マイクロプレート、チューブ等が用いられ
る。これらの固相面に抗CYP2E1抗体を結合する方
法としては、物理吸着、化学結合等既知の固定化技術が
適宜利用できる。
【0025】測定の高感度化は、抗体とCYP2E1蛋
白質との反応(第一、第二段階)と担体に結合した酵素
量の測定(第三段階)の反応向上により達成されるが、
それぞれの反応時間の延長により達成することが出来
る。
【0026】また、本発明に係るイムノアッセイにおい
て、酵素標識抗体を使用するほか、アビジン−ビオチン
系を利用して、酵素標識抗体にかえてビオチン標識した
抗体を用い、そして酵素としてアビジン標識酵素を用い
てアッセイ系を組み立ててもよい。アビジンとしては、
卵白由来のアビジン、微生物由来のアビジン(例えばス
トレプトアビジン)等がいずれも使用可能である。
【0027】標識酵素としては、西洋ワサビペルオキシ
ダーゼ(HRP)、ウシ小腸アルカリフォスファター
ゼ、β−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオ
キシダーゼ等の酵素免疫分析法(EIA)に常用される
酵素が適宜使用され、これらの酵素に適合しEIAで常
用される発色基質が適宜使用される。発色基質として
は、例えばHRPの場合は、3,3′,5,5′−テト
ラメチルベンジジン(TMBZ)、TMBZ・HCl、
TMBZ・PS、ABTS、o−フェニレンジアミン、
p−ヒドロキシフェニル酢酸等が使用され、アルカリフ
ォスファターゼの場合は、p−ニトロフェニルフォスフ
ェート、4−メチルウンベリフェリルフォスフェート等
が使用され、β−ガラクトシダーゼの場合は、o−ニト
ロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド、4−メチル
ウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド等が使
用される。
【0028】酵素と基質とを反応させ、各基質にそれぞ
れ特有の吸光度又は蛍光光度等を測定し、もってCYP
2E1の測定を行う。なお、標識としては、酵素のほ
か、ラジオアイソトープ、FITC(Fluorescein isot
hiacyanate isomer)、やローダミンといった蛍光物質
等常用される標識が適宜使用される。以下、本発明の実
施例について述べる。
【0029】
【実施例1:抗原及び抗体の作成】アミノ酸配列のN末
端にシステインを加えたペプタイドの合成をベックマン
社の9013自動ペプタイド合成装置を用いて固相化法
により行った後、高速クロマトグラフィーにより精製し
た。得られたペプタイドのアミノ酸組成は1規定の塩酸
で120℃で一晩加水分解してアミノ酸分析装置を用い
て測定し、理論値と一致することを確認した。このペプ
タイドにキャリアー蛋白質を以下のように結合した。即
ち、抗原ペプタイド10mgとウシサイログロブリン3
mgを1mlの蒸留水に溶解し、30mgの1−エチル
−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボンイミド
塩酸を加え遮光し室温で一晩反応させた後、蒸留水で十
分に透析した。抗原ペプタイドとキャリアー蛋白質とが
結合したか否かはSDS−PAGEにより確認した。
【0030】得られたキャリアー蛋白質とペプタイド結
合物(100μgのペプタイドに相当する)をフロイン
ドの完全アジュバントと共にウサギの背部に注射した。
以降、毎週100μgのペプタイド相当の抗原蛋白質を
フロインドの不完全アジュバントと混合して同様に合計
8回免疫した。最後免疫後、10日目に全採血を行ない
抗血清を分離した。この抗血清をプロテインAを用いた
アフィニティークロマトグラフィー法によりIgG分画
を単離した。即ち、プロテインAセファロースCL4B
(ファルマシア社製)2mlをカラムに充填し、10m
lの1.5Mグリシン溶液(pH8.7)で平衡化し
た。血清を同量の1.5Mグリシン溶液(pH8.7)
で希釈してカラムに流してプロテインAにIgGを結合
させた後、3.0mlの1.5Mグリシン溶液(pH
8.7)でカラムを洗った。次に、0.1Mグリシン溶
液(pH3.0)で溶出させIgG分画を得た。この精
製抗体の純度はSDS−PAGE電気泳動にて検定し
た。
【0031】
【実施例2:CYP2E1測定系の作成】精製した抗C
YP2E1抗体(抗原ペプタイド;Gly-Met-Gly-Lys-Gl
n-Gly-Asn-Glu-Ser-Arg-Ile-Gln-Arg-Glu)を2.0μ
g/mlの濃度に希釈し1ウエル当たり100μlずつ
イムノプレート(ヌンク社製)に加えた後、一夜、室温
でインキュベーションし固相化を行なった。0.05%
Tween20、0.9%NaCl溶液にて洗浄後、1
%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むリン酸緩衝液を
1ウエル当たり300μl加え、室温で一晩放置するこ
とによりブロッキングを行なった。ブロッキングしたウ
エルの溶液を捨て標準物質または検体を含む0.5%B
SA,PBSを100μl加え、2時間反応させた。
0.05%Tween20、0.9%NaCl溶液にて
洗浄後、ビオチン標識した抗CYP2E1抗体2μg/
ml(抗原ペプタイド;Glu-Phe-Pro-Asp-Pro-Glu-Lys-
Phe-Lye-Pro-Glu-His-Phe-Leu)を含む0.5%BS
A,PBSを1ウエル当たり100μl加え、室温で一
時間インキュベーションを行なった。0.05%Twe
en20、0.9%NaCl溶液にて洗浄後、ストレプ
トアビジン標識のペルオキシダーゼ40倍希釈(ヒスト
ファイン、ニチレイ)を含む0.5%BSA,PBSを
1ウエル当たり100μl加え、室温で30分間インキ
ュベーションを行なった。0.1mg/mlのテトラメ
チルベンチジンを含む0.1Mクエン酸緩衝液pH4.
0/0.02%過酸化水素を1ウエル当たり100μl
ずつ加え、室温で20分間酵素反応させた。2Nの硫酸
水溶液を50μlずつ加え反応を停止させ450nmの
吸光度をバイオラッド社のマイクロプレートリーダーモ
デル3560で測定した。
【0032】標準物質にラット肝臓より得たS9分画の
可溶化物を用いた。5週令のSDラットに10%のエタ
ノールを含む水道水を10日間与えた一日後に肝臓を摘
出した。摘出された肝臓は0.15M KCl溶液にて
洗浄し肝臓の重さの3倍量の0.15M KCl溶液中
にて鋏みにて細かく裁断した後、ホモジナイザーにて可
溶化した。4℃に冷却した遠心機にて9000gにて2
0分間遠心した後、その上清を滅菌布(ガーゼ)にてろ
過したものをS9分画とした。このS9分画を0.1%
Tween20、PBSにて倍に希釈し4℃で30分間
ときどき攪拌しながら可溶化した後、この溶解液を12
000rpmで30分間遠心し得られた上清を得た。こ
の上清を0.5%BSA,PBSにて80倍希釈したと
き10000ユニット/mlとして標準曲線を作成した
(図1)。ヒト腎臓由来の細胞株OS−RC−2または
ヒト肝臓由来の細胞株HuL−1を0.1%Tween
20、PBSにて1×106個/mlとし4℃で30分
間ときどき攪拌しながら可溶化した後、この溶解液を1
2000rpmで30分間遠心し得られた上清を検体と
し測定をした。その結果、2つの細胞株ともCYP2E
1を検出することが出来た。また、その反応が特異的で
あることの確認試験として検体との反応中に固相化抗体
の抗原であるペプタイド(Cys-Gly-Met-Gly-Lys-Gln-Gl
y-Asn-Glu-Ser-Arg-Ile-Gln-Arg-Glu)5μgを添加し
反応が特異的に阻害されることを確認した。その測定結
果を下記表1に示した。
【0033】
【表1】
【0034】
【実施例3:ヒト血清検体の測定】上記測定法にしたが
って、大腸癌患者血清術前18例及び健常人血清17例
について測定を行い、その結果を図2に示した。その結
果、大腸癌患者血清におけるCYP2E1値の分布は健
常人血清のそれよりも高い分布を示した。
【0035】
【発明の効果】本発明により、CYP2E1蛋白質のペ
プチド断片がCYP2E1蛋白質に対して特異的に結合
する抗体の抗原になり得るという新知見に基づく、該蛋
白質の測定システムがはじめて開発された。CYP2E
1ペプチドを抗原として得られる抗体は特異性が高いた
め、本測定法は再現性のある結果が得られ、癌その他の
疾患の診断に非常に有効である。また、本抗CYP2E
1抗体を用いる本測定法ないし検出法としては、EI
A、RIA、免疫組織染色法、免疫沈降法、ウエスタン
ブロット法等が挙げられ、これらの方法を総合的に利用
することにより、更に正確な癌その他の疾患の診断が可
能となる。
【0036】本発明によれば、ヒトCYP2E1の測定
方法が提供されるだけでなく、CYP2E1の(改変)
ペプタイド断片を抗原として得られる新規抗ヒトCYP
2E1抗体、及び、必要あればマイクロプレート、緩衝
液、酵素標識抗体、発色基質等をセットにした測定用キ
ットも提供され、ヒトCYP2E1の全測定システムが
有利に提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】CYP2E1の標準曲線を示す。
【図2】ヒト血清抗体中のCYP2E1の測定結果を示
す。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトチトクロームp450の分子種CY
    P2E1を構成するペプタイド断片を抗原として得られ
    るCYP2E1を認識する抗体。
  2. 【請求項2】 下記のアミノ酸配列を有するペプタイド
    Iを抗原として得られる抗体。 Arg-Gln-Val-His-Ser-Ser-Trp-Asn-Leu-Pro-Pro-Gly-Pr
    o-Phe
  3. 【請求項3】 下記のアミノ酸配列を有するペプタイド
    IIを抗原として得られる抗体。 Glu-Leu-Lys-Asn-Ile-Pro-Lys-Ser-Phe-Thr-Arg-Leu-Al
    a-Gln
  4. 【請求項4】 下記のアミノ酸配列を有するペプタイド
    IIIを抗原として得られる抗体。 Tyr-Gly-Met-Gly-Lys-Gln-Gly-Asn-Glu-Ser-Arg-Ile-Gl
    n-Arg-Glu
  5. 【請求項5】 下記のアミノ酸配列を有するペプタイド
    IVを抗原として得られる抗体。 Lys-His-Phe-Asp-Tyr-Asn-Asp-Glu-Lys-Phe-Leu-Arg-Le
    u-Met
  6. 【請求項6】 下記のアミノ酸配列を有するペプタイド
    Vを抗原として得られる抗体。 Ser-Glu-Arg-Val-Lys-Glu-His-His-Gln-Ser-Leu-Asp-Pr
    o-Asn-Cys
  7. 【請求項7】 下記のアミノ酸配列を有するペプタイド
    VIを抗原として得られる抗体。 Glu-Met-Glu-Lys-Glu-Lys-His-Ser-Ala-Glu-Arg-Leu-Ty
    r-Thr
  8. 【請求項8】 下記のアミノ酸配列を有するペプタイド
    VIIを抗原として得られる抗体。 Glu-Ile-Glu-Glu-Lys-Leu-His-Glu-Glu-Ile-Asp-Arg-Va
    l-Ile
  9. 【請求項9】 下記のアミノ酸配列を有するペプタイド
    VIIIを抗原として得られる抗体。 Gln-Glu-Phe-Pro-Asp-Pro-Glu-Lys-Phe-Lys-Pro-Glu-Hi
    s-Phe-Leu-Asn
  10. 【請求項10】 ヒトCYP2E1を構成するペプタイ
    ド断片、及び/又は、ペプタイドI〜VIIIの少なくとも
    ひとつのペプタイドのアミノ酸配列の一部をアミノ酸の
    置換、削除、挿入、及び/又は転移を行って改変ペプタ
    イドを得、得られた改変ペプタイドを抗原として得られ
    る請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の抗体。
  11. 【請求項11】 請求項1〜請求項10のいずれか1項
    に記載の抗体を用いることを特徴とするヒトCYP2E
    1の測定方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜請求項10のいずれか1項
    に記載の抗体を含有することを特徴とするヒトCYP2
    E1の測定用キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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