JPH09273089A - ゴム補強用スチールコード及びゴム複合体 - Google Patents

ゴム補強用スチールコード及びゴム複合体

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JPH09273089A
JPH09273089A JP8108674A JP10867496A JPH09273089A JP H09273089 A JPH09273089 A JP H09273089A JP 8108674 A JP8108674 A JP 8108674A JP 10867496 A JP10867496 A JP 10867496A JP H09273089 A JPH09273089 A JP H09273089A
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rubber
core strand
strands
wire
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JP8108674A
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Yoshiyuki Oguro
義之 小黒
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Tokyo Seiko Co Ltd
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Tokyo Seiko Co Ltd
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    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
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    • D07B1/06Ropes or cables built-up from metal wires, e.g. of section wires around a hemp core
    • D07B1/0606Reinforcing cords for rubber or plastic articles
    • D07B1/0646Reinforcing cords for rubber or plastic articles comprising longitudinally preformed wires
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    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の3層構造のスチールコードに匹敵する強
度を持ちながら簡素な構造で、しかも芯ストランドの内
部までゴムを良く浸透させることができる低コストの2
層構造スチールコードを提供する。 【解決手段】4または5本の素線を同一方向に同一撚り
ピッチで同時に撚り合わせた芯ストランドの周りに該芯
ストランドの素線本数より5本多い本数の側素線を螺旋
状に巻き付けるように撚り合わせた2層構造のスチール
コードであり、しかも芯ストランドを構成する素線の1
本以上が撚り合わせの波くせとは別の連続した小波くせ
を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はゴム製品の補強に用
いられるスチールコード及びこれを補強材として用いた
ゴム複合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車用のタイヤや搬送用コンベ
アベルトなどのゴム製品にはその補強用としてスチール
コードが使われている。このうち、トラック・バス用の
大型ラジアルタイヤや、土砂や重量物品の搬送用コンベ
アベルトなどに対する補強用スチールコードには、複数
本の素線を2層〜4層に配した多層撚り構造、あるいは
複数本の素線を撚り合わせたストランドをさらに複数本
撚り合わせた複層撚り構造のものなどが使われている。
ところで最近、車両や搬機などの燃費削減やコスト低減
の要求からこれらに使用される部品類の軽量化や簡素化
が試みられており、これに呼応すべくこれら部品類に関
係するゴム製品の補強用として使われるスチールコード
についても軽量化と構成の簡素化の要求が強くなってい
る。
【0003】まず、スチールコードに用いられる素線の
強度に関し、現状では炭素を0.70〜0.76重量%
含有する炭素鋼線材を原料に用い、素線の直径d(mm)と
の関係で、引張強さZ(kgf/mm2)<−200d+365
(kgf/mm2)の普通強度のものが一般的に使われている。
また、炭素を0.80〜0.86重量%含有する炭素鋼
線材を原料に用いて、Z≧−200d+365(kgf
/mm2)の高強度のものも実用化が進みつつある。さ
らに、より高い炭素含有量の炭素鋼原料を用いて超高強
度化の研究も行われている。次に、スチールコードの構
造に関しては、図9に示すトラック・バス用で代表され
る大型のラジアルタイヤのカーカス部6の補強用スチー
ルコードとして、現在、図7(a)、(b)に示すような3層
構造のスチールコードが主として用いられている。な
お、図9において、7はビード部、8はベルト部であ
る。これらスチールコードは3層構造であるため、これ
を製造するときには、まず、1×3の芯ストランドAを
撚り、次に、この周りに7〜9本の素線を撚り合わせて
第1シースBとし、更に、この第1シースBの周りに1
3〜15本の素線を撚り合わせて第2シースCとするこ
とになる。従って、コードに撚り上げるまでに3工程も
要し、また、その構成素線数が23〜27本と非常に多
いことから、大変な手間がかかり、製造コストも高いも
のになっている。
【0004】そこで、最近では、この3層構造に代わる
簡素化構造として、図8(a)、(b)に示すような断面のも
の、すなわち、直径が0.20〜0.23mm程度の素
線を用いて構成素線本数が10〜12本の2層構造のス
チールコード、すなわち1×3の芯ストランドAを撚
り、次にこの周りに7〜9本の素線を撚り合わせてシー
スBとしたスチールコードが使われ始めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記2層構造のスチー
ルコードは3層構造の代替として開発されたものである
がいまだ問題があり、適当とはいえなかった。すなわ
ち、2層構造のスチールコードでは構成素線本数が大き
く減るため、スチールコードとして必要な強度を確保す
るためには、素線の直径を大きくすることが必要とな
る。従来の3層構造においては、主として直径が0.1
75mm程度の素線が使われ、コードの破断荷重は14
5kgf以上程度であった。その理由は素線の直径がこ
れより大きい素線を用いると、スチールコードが硬くな
りすぎてタイヤなどの製造時における成形工程での加工
が難しくなり、使い難くなるからである。したがって、
2層構造の場合に、素線の直径を前記範囲以上に大きく
することは難しく、炭素含有量を高くした高強度素線を
用いても、タイヤ特に大型のラジアルタイヤにおいて
は、従来の3層構造の強度(破断荷重145kgf以上)
に匹敵するものが得られない。このため、3層構造スチ
ールコードを全面的に2層構造スチールコードに転換使
用することは実際上できなかった。
【0006】また、ゴム製品に用いられるスチールコー
ドにおいては、ゴム製品製造の加硫工程において、ゴム
がスチールコードの表面だけでなく、その内部までよく
浸透することが重要である。その理由は、ゴム製品は使
用中に傷を受けたりして補強層にまで達すると外部から
侵入した水がコード内部のゴム浸透がない空隙部を伝わ
ってしまう。従ってコードの全長に水が伝播して錆びが
広がることになる。こうなるとスチールコードの強度低
下が起こるだけでなく、錆びの進行によってコード表面
のゴムとの接着層が破壊され、いわゆる剥離(セパレー
ション)現象が発生してしまう。このような状態におい
ては、ゴムと補強材としてのコードとの一体性が損なわ
れゴム複合体としての機能が大きく低下することになる
からである。
【0007】この点に関して、図7(a)の3層構造のス
チールコードにおいては、芯ストランドA、第1シース
B及び第2シースCの各層とも素線間に隙間がほとんど
ないため、ゴムがコード内部にほとんど浸透しない欠点
がある。また、図8(a)の2層構造のスチールコードも
芯ストランドAとシースBの各層とも素線間に隙間がほ
とんどないため、やはりゴムの浸透性が悪いという欠点
がある。図7(b)のものは第1シースB及び第2シース
Cのそれぞれの素線数を減らして各層の素線間に隙間を
設けており、図8(b)のものもシースBの素線数を減ら
すことにより素線間に隙間を設けてゴム浸透性を改良し
ているが、この場合でも、芯ストランドAの内部までは
やはりゴムがほとんど浸透しない欠点があった。なお、
2層構造で素線本数を増やすとすれば、芯ストランドを
1×4や1×5にすればよいが、この構造の芯ストラン
ドでは各素線に囲まれたゴムが浸透し難い中心部の空隙
部断面積が大きくなるため、耐錆性が悪くなり、致命的
な欠陥になるので今まで使われていなかった。
【0008】本発明は前記のような問題点を解消するた
めに研究して創案されたもので、その目的とするところ
は、従来の3層構造のスチールコードに匹敵する強度を
持ちながら簡素な構造でしかも芯ストランドの内部まで
ゴムを良く浸透させることができ、それでいて製造コス
トも安い理想的な2層構造のスチールコードを提供する
ことにある。また、本発明の第2の目的は、耐食性がよ
く、しかも安価で軽量なラジアルタイヤで代表されるゴ
ム複合体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、4〜5本の素線を同一方向に同一撚りピッチ
で同時に撚り合わせて芯ストランドとし、この周りに該
芯ストランドの素線本数より5本多い本数の側素線を螺
旋状に巻き付けるように撚り合わせた2層構造のスチー
ルコードであって、芯ストランドを構成する素線の1本
以上が撚り合わせの波くせとは別に連続した小波くせを
有している構成としたものである。
【0010】前記小波くせは、好適には下記式(1)(2)の
条件を満たす連続した小波くせを有するものとするもの
である。この連続した小波は螺旋状であってもよいし、
平面的な二次元波でもよい。 p=0.3P〜0.6P …(1) h=0.04mm〜0.20mm …(2) 〔p:小波のピッチ長さ(mm)、P:芯ストランドの撚りピ
ッチ長さ(mm)、h:小波の高さ〕 芯ストランドとその周りの側素線(シース)の撚り方向は
一般的には同じ方向であるが、逆方向でもよい。
【0011】本発明は、さらに好ましくは、スチールコ
ードを構成する素線として、炭素を0.70〜0.76
重量%含有する炭素鋼(公称72C材)で作られ、しかも
各素線が直径0.18〜0.25mmで、かつ下記式を
満たす引張強さZを有するものを使用する。 Z≧−200d+365 〔Z:引張強さ(kgf/mm2)、d:直径(mm)〕 あるいは、スチールコードを構成する素線が炭素を0.
80〜0.86重量%含有する炭素鋼(公称82C材)で
作られ、しかも各素線が直径0.18〜0.25mmで
かつ下記式を満たす引張強さZを有するものを使用す
る。 Z≧−200d+400 〔Z:引張強さ(kgf/mm2)、d:直径(m
m)〕 また、第2の目的を達成するため本発明は、上記スチー
ルコードを補強材として使用したゴム複合体としたもの
で、とりわけ、大型のトラック・バス用ラジアルタイヤ
のカーカス部補強などゴム製品の補強に用いたものであ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明を添付図面に基づいて
詳細に説明する。図1は本発明によるゴム補強用スチー
ルコードの一例を示しており、素線の直径が同一の5本
の素線W1、W2、W3、W4、W5を同一方向に同一
撚りピッチで同時に撚り合わせて1×5の芯ストランド
Dとし、この周りに芯ストランドDの素線と同一直径の
10本の素線W1〜W10を螺旋状に撚り合わせてシース
Eを形成したものである。図3は本発明のスチールコー
ドの他の例を示しており、この例では素線の直径が同一
の4本の素線W1、W2、W3、W4を同一方向に同一
撚りピッチで同時に撚り合わせて1×4の芯ストランド
Dとし、この周りに芯ストランドDの素線と同一直径の
9本の素線W1〜W9を螺旋状に撚り合わせてシースEを
形成している。
【0013】何れの例においても、芯ストランドDを構
成する素線W1〜W5またはW1〜W4は表面に真鍮或
いは亜鉛めっきを施した直径が0.18〜0.25mm
の素線である。しかも、本発明では、素線W1〜W5ま
たはW1〜W4のうち少なくとも1本の素線に、図4に
模式的に示すように、コードに撚り合わせる波とは異な
る連続小波くせ10を有しているものを用いている。図
4では素線をWと表している。図2は芯ストランドDを
5本の素線とした場合を示しており、(a)は1本の素線
W1に連続小波くせ10を付けた例である。(b)は2本
の素線W1、W3に連続小波くせ10を付けたものであ
り、図1はこれに該当する。(c)は5本の素線W1〜W
5のすべてに連続小波くせ10を付けたものである。も
とより、図示しないが3本の素線、4本の素線に連続小
波くせ10を付けたものも本発明に含まれる。また、図
3は芯ストランドDを4本の素線とした場合を示してお
り、(a)は1本の素線W3に連続小波くせ10を付けた
例である。(b)は2本の素線W1、W3に連続小波くせ
10を付けたものである。(c)は4本の素線W1〜W4
のすべてに連続小波くせ10を付けたものである。もと
より、図示しないが3本の素線に連続小波くせ10を付
けたものも本発明に含まれる。
【0014】前記連続小波くせ10は、螺旋状であって
も、二次元的平面状のものであってもよい。複数本の素
線に連続小波くせ10をつけた場合、その連続小波くせ
付き素線は隣接して配置されていてもよいし、連続小波
くせをつけない素線と交互に配置されていてもよい。何
れにしても本発明では、シースEが芯ストランドDを構
成する素線本数より5本多い本数の素線から構成されて
いるため、シースEの素線間には少なくとも一部に隙間
sを有しており、この隙間sからゴムを浸透させること
ができる。しかも、芯ストランドDを構成する4本また
は5本の素線の少なくとも1本が撚り合わせによる波と
異なる連続小波くせ10を有している。このため、芯ス
トランドDにおいても素線間の少なくとも一部に隙間s
が創成され、この隙間sを通してゴムをコード内部まで
よく浸透させることができる芯ストランドDおよびシー
スEの素線径は基本的には同一とするが、場合によって
は異なるものを含んでいてもよい。また、芯ストランド
DとシースEの撚り方向は、同じであってもよいし、異
なっていてもよい。
【0015】素線の連続小波くせ10は、スチールコー
ドを解いて取り出した1本の素線を図4で代表的に示す
ように、ピッチ長さpは芯ストランドDの撚りピッチ長
さPに対して0.3P〜0.6Pの範囲、高さhは0.
04mm〜0.20mmの範囲にすることが好ましい。
その理由は、ピッチ長さpが0.3P未満では波加工が
きつくなってスチールコードの耐疲労性が低下しやす
く、一方、0.6Pを超えると、張力がかかった場合に
小波くせが伸びやすく、それによりせっかくの隙間が減
少ないし消失してゴム浸透性が低下しやすいからであ
る。また、高さhは、これが0.04mmより小さいと
隙間が小さくなるためゴム浸透性が低下し、0.20m
mより大きいと芯ストランドDの型崩れが起きやすく、
コードの均一性が低下しやすくなって好ましくないから
である。
【0016】本発明において、スチールコードを構成す
る素線は、直径d(mm)と引張強さZ(kgf/mm2)との関係
において、高強度材(Z≧−200d+365)や超高
強度材(Z≧−200d+400)を用いることが望ま
しい。従来、高強度材はその原料として炭素を0.80
〜0.86重量%含有する炭素鋼が用いられている。超
高強度材は現在未だほとんど使われておらず、原料とし
ては炭素を0.90重量%を超える炭素鋼を用いたもの
が考えられている。しかし、このような高炭素鋼を用い
た場合には、原料のコストアップは避けられず、また、
原料の製鋼工程においては偏析が多くなったり、この原
料線材を用いてスチールコード製造する工程において、
熱処理が難しくなったりする。したがって、原料の炭素
含有量はできるだけ低いほうが好ましい。しかし、低い
炭素含有量の原料を用いて素線強度を高くするには、素
線製造工程における最終伸線の総加工度を更に大きくす
ることが必要になる。単純にこれを行うと素線の靭性が
劣化し、それにより伸線やその後の撚線工程において断
線が多発して生産が大きく低下したり、製品としてのス
チールコードにおいて、撚りにより強度が低下(素線の
強度利用効率低下)したり、耐疲労性が悪かったりして
実用化できない。
【0017】本発明はこうした問題を解決し、より低い
炭素含有量の原料を用いてより安価な前記スチールコー
ドを提供できるようにしたものである。すなわち、Z≧
−200d+365を得る場合には、炭素を0.70〜
0.76重量%含有する炭素鋼を用いる。また、Z≧−
200d+400得る場合には、炭素を0.80〜0.
86重量%含有する炭素鋼を用いる。原料線材のC以外
の基本的成分組成例としては、重量%でSl:0.12
〜0.35、Mn:0.3〜0.9、残部Fe及び不可
避的不純物からなるものが挙げられるが、前記基本成分
組成にCrやNiなどを合金元素として所定量添加して
いてもよい。
【0018】そして、酸洗−コーティングなどの前処理
の後、連続乾式伸線を行って中間線を得しめ、これを加
熱後焼入れし、めっきを施して最終原料とし、連続湿式
伸線を行って素線を得るが、この連続湿式伸線工程で以
下の条件を採用する。 引き抜きダイスとしてアプローチ角度(2α)が8〜
10°、ベアリング長さが0.3d1(d1=引抜き孔
径)のものを使用する。 仕上げ引き抜きを2個のダイスを重ねたダブルダイス
を使用して行い、出口側ダイスで減面率を1.2〜3.
9%としたスキンパスを行う。 使用する引き抜き用ダイスは、少なくともダブルダイ
スの2枚及びそれよりも上流のもの数枚のものに連結ダ
イヤモンドニブを用いる。他は従来の焼結合金ニブを用
いてもよい。 最終引き抜きダイス通過直後のワイヤの温度が150
℃以下になるように制御する。
【0019】前記製造条件を詳しく説明すると、図5は
湿式伸線工程に用いる引き抜きダイス(後述する仕上げ
引き抜き用のダブルダイスを含む)を示している。1は
ニブ2を内蔵したダイスであり、ニブ2はアプローチ部
20の角度2αが8〜10°となっており、またベアリ
ング部21の長さlが0.3d1となっている。従来、ア
プローチ角は引き抜き力が最も低くなることから12°
が一般に採用され、またベアリング長さは0.5dlを
用いるのが一般的であったが、本発明はアプローチ角を
8〜10°と小さくするもので、これにより伸線ワイヤ
の表面と内部の加工を均一化することができ、更には表
面残留応力も低くなるため総加工度を大きくとっても靭
性を保持することができる。また、ベアリング長さを短
くすることにより、ワイヤとの接触長さを短縮し、引き
抜き抵抗を緩和することができる。
【0020】図6は仕上げ引き抜き用のダブルダイス3
を示しており、ケーシング4、4にそれぞれノーマルダ
イス5aとスキンパスダイス5bを近接して直列状に配
置し、所定減面率を2分割して得るようにしている。前
記ノーマルダイス5aとスキンパスダイス5bのニブ2
a、2bはそれぞれ焼結ダイヤモンドで作られ、前記し
たアプローチ角とベアリング長さとなっている。上記の
ようにダブルダイス3の2枚のニブ2a、2bとこれの
上流の引き抜き用ダイスを含めて4枚程度以上のものに
焼結ダイヤモンドニブを用いることにより、第1に焼結
ダイヤモンドが従来の焼結合金に比べて表面の粗さも非
常に平滑なため引き抜き力を低くすることができる。ま
た、引き抜いたワイヤの表面も平滑になり、耐疲労性向
上にも効果がある。第2に焼結ダイヤモンドは特に硬い
ことから、連続引き抜きによる摩耗がほとんどなく、摩
耗によるダイス径の増大とこれによる減面率の変化を防
止できる。ダイヤモンドはそれ自体は高価であるが、上
記のようなことから総合的にみれば安価となる。
【0021】また、仕上げ引き抜き用ダイスとしてダブ
ルダイスを使用して減面率1.2〜3.9%のスキンパ
スを行う。これにより、引き抜きによるワイヤの発熱を
低減し、引き抜き直後の素線温度をシングルダイスの場
合に比べて25〜40℃程度も低減することができる。
しかも、ワイヤ表面の残留応力をマイナス側に低く押え
ることができる。スキンパス用ダイス5bによる引き抜
き減面率を1.2〜3.9%の範囲としたのは、1.1
%以下では加工量が少なすぎ残留応力の緩和作用が少な
く、4.0%以上とあまり大きすぎても残留応力の緩和
作用が少ないからである。そして、最終ダイス通過直後
のワイヤの温度を150℃以下になるように制御する。
これは潤滑液を冷却して所定温度たとえば35℃以下に
保持すればよい。これにより、スキンパスの採用と併せ
て時効によるワイヤの脆化を防ぐことができる。以上の
最終伸線工程条件を採用することにより、原料として製
造コストの増大をもたらさない炭素含有量が低い線材を
用いながら、強度と靭性にすぐれた素線を得ることがで
きる。
【0022】上記のようにして得られた素線を用いて本
発明のスチールコードを製作する方法は任意であるが、
一般的には、ダブルツイスト型バンチャー式撚線機また
はチューブラー撚線機を用い、第1撚線機で芯ストラン
ドDを製作し、それを巻き取って第2撚線機に送ってシ
ースEを形成する方法が採用される。芯ストランドDを
バンチャー式撚り線機で製作する方法には例えば次の2
種類が挙げられよう。第1の方法は、クレードルの入り
口側の中空軸よりも上流側に、素線本数と同数のワイヤ
ツイスタ及び型付け装置をそれぞれ配し、型付け装置の
上流に芯ストランドの素線を巻収したサプライボビンを
設ける方法である。
【0023】この方法において、各ワイヤツイスタは板
状などの形態の回転体に3個のローラを間隔をおいて取
付けたものが用いられる。各型付け装置としては、板状
又は円錐状もしくは筒状の基体に3本ないし5本のピン
を千鳥状に取り付けたものが用いられる、この場合に
は、各型付け装置は位置が固定され、各ワイヤツイスタ
は撚線機本体の弓の回転方向と同方向に公転される。こ
の公転を得るには、バンチャー式撚り線機からの動力を
図示しないクラッチや変速機を介して導き、各回転体相
互を歯車やタイミングベルトなどによって連携させれば
よい。芯ストランドDを製造するに当っては、各サプラ
イボビンから必要数の素線を引出し、各素線をそれぞれ
型付け装置のピンを経由した後、ワイヤツイスタに導
き、ワイヤツイスタの入口側のローラと中央のローラに
巻き付け、さらに出口側ローラでガイドさせ、そして、
ボイスに集め、中空軸を介してガイドロールから弓を経
由し、他方のガイドロールから中空軸を介して過撚機に
導き、キャプスタンを介して巻取りボビンに導く。この
状態で中空軸を駆動して弓を回転させると共にこれと所
要の比で各ワイヤツイスタを素線通過ラインを中心とし
それ自体回転させれば、素線は型付け装置のピンを通過
することにより連続した螺旋状の小波くせが付けられ
る。この状態で各素線はボイスに送られて束にされ、小
波くせが付けられた各素線は中空軸からガイドロールに
いたる過程で同時に第1回の撚りが入れられ、ガイドロ
ールから中空軸に到る過程で第2回の撚りが入れられて
芯ストランドDとなる。このようにして得られた芯スト
ランドはさらに第2撚線機で外周にシース用の素線が配
され、芯ストランドト同方向または逆方向に撚り合わさ
れることによって本発明コードとされる。
【0024】芯ストランドDをバンチャー式撚り線機で
製作する第2の方法はワイヤツイスタを省略し、型付け
装置のみを使用し、該型付け装置を素線軸のまわりで弓
と逆方向に回転させる方法である。なお、素線の連続小
波くせを二次元的な波とする場合には、型付け装置とし
て一対の歯車を用い、それら歯車の間に素線を通過させ
ればよい。
【0025】
〔具体例1〕
1)原料として、化学成分が重量%でC:0.72、S
i:0.22、Mn:0. 53、残部Fe及び不可避
的不純物からなるA線材と、C:0.82、Si:
0.20、Mn:0.51、残部Fe及び不可避的不純
物からなるB線材を原 料に用いた。該原料線材を酸
洗、コーティングなどの前処理を施した後、連続乾式伸
線して仕上りの素線直径と強度に応じた所定の直径の
A、B線材についてそれぞれ4種類の中間線とした。こ
れらの中間線をガス炉で加熱した後、流動床炉にて焼入
れ(パテンティング処理)した後、電解酸洗に続いて、所
定量の銅と亜鉛の2層の電気めっきを施し、この後、流
動床炉でめっきを熱拡散させて真鍮めっきとし、これを
最終原料とした。 2)更に、これらの最終原料を連続湿式伸線して直径
0.20〜0.23mmの素線を製作した。これらの最
終原料線を用いて従来の方法及び前記の条件に
よる本発明方法で種々の素線を製作した。そしてこれら
の素線を用いて、前記方法により本発明の1×4+9及
び1×5+10構造のスチールコード、及び従来の1×
3+9+15、1×3+8+13及び1×3+8構造の
スチールコードを製作した。なお、本発明のスチールコ
ードの芯ストランドの素線の連続小波くせは螺旋状と
し、これを前記第1の方法で施した。これらの素線とコ
ードの特性を表1及び表2に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】表1ないし表2において、素線の製造方法
の「新」とは、本発明方法を指す。「ゴム浸透度」は1本
の直線状のコードを100grの張力下で未加硫ゴム中
に入れて加流してサンプルを作った後、ゴム中のコード
を取り出し、このコードを長手方向に分解し、ゴムのコ
ード内部への浸透度を目視で観察して完全に浸透してい
るものを100%として判定した。表中に第1シースと
あるが、これは本発明の実施例においては第2シースを
有しないため、シースEを意味する。
【0029】表1ないし表2から明らかなように、実施
例1〜10は従来の3層構造のスチールコードに匹敵す
るコード強力が得られ、しかも従来の3層構造や2層構
造スチールコードでは達成できなかったコード芯の内部
までゴムが良く浸透していることがわかる。比較例1は
素線条件は満足しているものの、連続小波くせを付けな
かった場合であり、強度特性はよいものの、ゴム浸透度
が非常に劣っている。
【0030】
【発明の効果】上記説明した請求項1によれば、簡素な
構造でかつゴム浸透性の非常に優れた2層構造の特に大
型の車両用ラジアルタイヤのカーカス部補強用などに好
適なゴム補強用スチールコードを安価に提供できるとい
うすぐれた効果が得られる。請求項2によれば、請求項
1の効果に加えて、素線の連続小波くせが所定範囲のピ
ッチ長さと高さを有しているため、疲労性を損なわず、
型崩れも起こさず、適切な隙間を形成することができる
というすぐれた効果が得られる。請求項3によれば、さ
らに強度特性もすぐれた2層構造のゴム補強用スチール
コードとすることができるというすぐれた効果が得られ
る。請求項4と5によれば、請求項1または2の効果に
加え、従来より炭素含有量の低い安価な原料線材を用い
て高強度或いは超高強度なスチールコードとすることが
できるというすぐれた効果が得られる。請求項7によれ
ば、耐食性がよくかつ軽量なラジアルタイヤとすること
ができるというすぐれた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるゴム補強用スチールコードの一例
を示す拡大側面図である。
【図2】(a)、(b)、(c)は本発明の一例を示す模式的断
面図である。
【図3】(a)、(b)、(c)は芯ストランドに4本の素線を
使用した本発明の他の例を示す模式的断面図である。
【図4】本発明のスチールコードの芯ストランドを分解
して取り出した素線の模式的部分拡大側面図である。
【図5】本発明のスチールコード用素線の製造に使用さ
れる引き抜きダイスの断面図である。
【図6】本発明のスチールコード用素線の製造に使用さ
れる仕上げ引き抜きダイスの断面図である。
【図7】(a)、(b)は従来のスチールコードの例を示す模
式的断面図である。
【図8】(a)、(b)は従来のスチールコードの例を示す模
式的断面図である。
【図9】本発明によるスチールコードをカーカス補強材
に適用したラジアルタイヤの一例を示す部分切欠斜視図
である。
【符号の説明】
D 芯ストランド E シース W1〜W5 芯ストランドの素線 W1〜W10 シースの素線 s 隙間 10 連続小波くせ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】4〜5本の素線を同一方向に同一撚りピッ
    チで同時に撚り合わせて芯ストランドとし、この周りに
    該芯ストランドの素線本数より5本多い本数の側素線を
    螺旋状に巻き付けるように撚り合わせた2層構造のスチ
    ールコードであって、芯ストランドを構成する素線の1
    本以上が撚り合わせの波くせとは別に連続した小波くせ
    を有していることを特徴とするゴム補強用スチールコー
    ド。
  2. 【請求項2】芯ストランドの素線の小波くせが下記の式
    (1)(2)を満たしている請求項1に記載のゴム補強用スチ
    ールコード。 p=0.3P〜0.6P …(1) h=0.04mm〜0.20mm …(2) 〔p:小波のピッチ長さ、P:芯ストランドの撚りピッチ
    長さ、h:小波の高さ〕
  3. 【請求項3】破断荷重が145kgf以上である請求項
    1又は請求項2に記載のゴム補強用スチールコード。
  4. 【請求項4】スチールコードを構成する素線が、炭素を
    0.70〜0.76重量%含有する炭素鋼を用いて作ら
    れており、しかも、直径が0.18〜0.25mmでか
    つ引張強さが下記式を満たしている請求項1ないし請求
    項3のいずれかに記載のゴム補強用スチールコード。 Z≧−200d+365 〔Z:引張強さ(kgf/mm2)、d:素線の直径(mm)〕
  5. 【請求項5】スチールコードを構成する素線が、炭素を
    0.80〜0.86重量%含有する炭素鋼を用いて作ら
    れており、しかも直径が0.18〜0.25mmでかつ
    引張強さが下記式を満たす請求項1ないし請求項3のい
    ずれかに記載のゴム補強用スチールコード。 Z≧−200d+400 〔Z:引張強さ(kgf/mm2)、d:素線の直径(mm)〕
  6. 【請求項6】請求項1ないし請求項5記載のスチールコ
    ードを補強材として使用したことを特徴とするゴム複合
    体。
  7. 【請求項7】スチールコードをカーカス部補強材として
    使用したラジアルタイヤである請求項6に記載のゴム複
    合体。
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