JPH09272762A - 複合フィルム用エチレン系共重合体組成物および複合フィルム - Google Patents

複合フィルム用エチレン系共重合体組成物および複合フィルム

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JPH09272762A
JPH09272762A JP8247096A JP8247096A JPH09272762A JP H09272762 A JPH09272762 A JP H09272762A JP 8247096 A JP8247096 A JP 8247096A JP 8247096 A JP8247096 A JP 8247096A JP H09272762 A JPH09272762 A JP H09272762A
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JP
Japan
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ethylene
acid
rosin
composite film
density
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JP8247096A
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English (en)
Inventor
Mamoru Takahashi
橋 守 高
Takashi Nakagawa
川 貴 中
Tetsushi Kasai
井 徹 志 笠
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ヒートシール強度、ホットタック性に優れるエ
チレン系共重合体組成物および基材フィルムと前記組成
物層とからなる複合フィルムを提供すること。 【解決手段】(A)エチレンと炭素数4〜20のα−オ
レフィンとの共重合体であって、密度が0.88〜0.95g/cm
3 、190℃、2.16kg荷重におけるMFRが1〜50g/10
分、DSCで測定した融点(Tm)と密度(d)とがTm
<400×d−250を満たすエチレン・α−オレフィ
ン共重合体;99〜60重量部と、(B)密度が0.91〜
0.93g/cm3 、MFRが0.1〜20g/10分である高圧ラジカ
ル法低密度ポリエチレン;1〜40重量部と、(C)ポ
リオレフィン用結晶核剤;前記(A)と(B)との合計
量100重量部に対して0.001〜5重量部とからな
り、密度が0.88〜0.95g/cm3 、MFRが1〜30g/10分、
溶融張力が0.5〜10gである複合フィルム用エチレン系
共重合体組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合フィルム用エ
チレン系共重合体組成物および該組成物が基材フィルム
上にコーティングされた複合フィルムに関するものであ
る。
【0002】
【発明の技術的背景】近年、食品および医薬品などの包
装材として、紙などの基材上にシーラント(ヒートシー
ル)層を設けた複合フィルムが広く用いられている。こ
の複合フィルムは、基材とシーラント材とを、ドライラ
ミネート法、共押出法、押出コーティング法などの方法
により積層することにより製造されている。
【0003】ところでシーラント材としては、従来、低
密度ポリエチレン(LDPE)として知られている高圧
法ポリエチレンが広く用いられている。このLDPE
は、押出コーティング時の加工性に優れており、また酸
化防止剤などの各種添加剤を配合しないでも使用するこ
とができる。しかしながらLDPEは、完全シール開始
温度、ホットタック性などが必ずしも充分ではないた
め、LDPEの改良あるいは代替が望まれている。
【0004】本発明者らは、このような状況に鑑み鋭意
検討した結果、特定のエチレン・α−オレフィン共重合
体と、結晶核剤とからなるエチレン系共重合体組成物
は、完全シール開始温度が低く、かつホットタック性に
優れたシーラント層を形成することができることを見出
して本発明を完成するに至った。
【0005】
【発明の目的】本発明は、完全シール開始温度が低く、
かつホットタック性に優れるエチレン系共重合体組成
物、および基材フィルムと、該基材フィルム上に形成さ
れた前記組成物層とからなり完全シール開始温度が低
く、かつホットタック性に優れる複合フィルムを提供す
ることを目的としている。
【0006】
【発明の概要】本発明に係る複合フィルム用エチレン系
共重合体組成物は、 (A)エチレンと炭素原子数が4〜20のα−オレフィ
ンとの共重合体であって(i)密度が0.88〜0.9
5g/cm3 の範囲にあり、(ii)190℃、2.16
kg荷重におけるメルトフローレートが1〜50g/10
分の範囲にあり、(iii)示差走査型熱量計(DSC)
により測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温度
(Tm(℃))と密度(d(g/cm3 ))とが、 Tm<400×d−250 で示される関係を満たすエチレン・α−オレフィン共重
合体;99〜60重量部と、 (B)高圧ラジカル法により製造される低密度ポリエチ
レンであって(i)密度が0.91〜0.93g/cm
3 の範囲にあり、(ii)190℃、2.16kg荷重に
おけるメルトフローレートが0.1〜20g/10分の範
囲にある低密度ポリエチレン;1〜40重量部と、 (C)ポリオレフィン用結晶核剤;前記(A)エチレン
・α−オレフィン共重合体と(B)低密度ポリエチレン
との合計量100重量部に対して0.001〜5重量部
とからなり、(i)密度が0.88〜0.95g/cm
3 の範囲にあり、(ii)190℃、2.16kg荷重に
おけるメルトフローレートが1〜30g/10分の範囲に
あり、(iii)溶融張力が0.5〜10gの範囲である
ことを特徴としている。
【0007】本発明に係る複合フィルムは、基材フィル
ムと、該基材フィルム上に形成された前記エチレン系共
重合体組成物層とからなることを特徴としている。本発
明では、前記基材フィルムが、ポリアミドフィルムであ
ることが好ましい。
【0008】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る複合フィルム
用エチレン系共重合体組成物および基材フィルム上に前
記組成物層が形成された複合フィルムについて具体的に
説明する。
【0009】本発明に係るエチレン系共重合体組成物
は、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体と、
(B)低密度ポリエチレンと、(C)ポリオレフィン用
結晶核剤とから形成されている。
【0010】まず本発明に係るエチレン系共重合体組成
物を形成する各成分について説明する。(A)エチレン・α−オレフィン共重合体 本発明に係るエチレン系共重合体組成物を形成する
(A)エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレン
と炭素原子数が4〜20のα−オレフィンとのランダム
共重合体である。
【0011】ここで炭素原子数が4〜20のα−オレフ
ィンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-
メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセ
ン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセ
ン、1-エイコセンなどが挙げられる。
【0012】エチレン・α−オレフィン共重合体(A)
では、エチレンから導かれる構成単位は、55〜99重
量%、好ましくは65〜98重量%、より好ましくは7
0〜96重量%の割合で存在し、炭素原子数が4〜20
のα−オレフィンから導かれる構成単位は1〜45重量
%、好ましくは2〜35重量%、より好ましくは4〜3
0重量%の割合で存在することが望ましい。
【0013】エチレン・α−オレフィン共重合体の組成
は、10mmφの試料管中で約200mgの共重合体を
1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試
料の 13C−NMRスペクトルを、測定温度120℃、測
定周波数25.05MHz 、スペクトル幅1500Hz
、パルス繰返し時間4.2sec.、パルス幅6μsec.の
測定条件下で測定して決定される。
【0014】このようなエチレン・α−オレフィン共重
合体は、密度が0.88〜0.95g/cm3 、好まし
くは0.890〜0.935g/cm3 、より好ましく
は0.900〜0.930g/cm3 の範囲にあること
が望ましく、190℃、2.16kg荷重におけるメル
トフローレート(MFR)が1〜50g/10分、好まし
くは5〜40g/10分、より好ましくは7〜20g/10
分の範囲にあることが望ましく、示差走査型熱量計(D
SC)により測定した吸熱曲線における最大ピーク位置
の温度(Tm(℃))と密度(d(g/cm3 ))と
が、 Tm<400×d−250 好ましくは Tm<450×d−297 より好ましくは Tm<500×d−344 特に好ましくは Tm<550×d−391 で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0015】なお、本発明において密度、MFRおよび
Tmは以下のようにして測定される。密度 密度(g/cm3 )は、190℃における2.16kg
荷重でのMFR測定時に得られるストランドを120℃
で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したの
ち、密度勾配管で測定した。
【0016】MFR MFR(g/10分)は、ASTM D1238−65T
に従い190℃、2.16kg荷重の条件下に測定され
る。
【0017】Tm DSCにより測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度
(Tm(℃))は、試料約5mgをアルミパンに詰め1
0℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持
したのち20℃/分で室温まで降温し、次いで10℃/
分で昇温する際の吸熱曲線より求められる。測定は、パ
ーキンエルマー社製DSC−7型装置を用いた。
【0018】(B)低密度ポリエチレン 本発明に係るエチレン系共重合体組成物を形成する
(B)低密度ポリエチレンは、従来公知の高圧ラジカル
法で製造されたポリエチレンであって、密度が0.91
〜0.93g/cm3 、好ましくは0.91〜0.92
g/cm3 の範囲にあり、MFRが0.1〜20g/10
分、好ましくは1〜10g/10分の範囲にある低密度ポ
リエチレンが用いられる。
【0019】低密度ポリエチレンのMFRの値が上記の
ような範囲にあると、基材上にシーラント層を形成した
ときに膜厚が均一なシーラント層を有する複合フィルム
が得られるようなエチレン系共重合体組成物となる。な
おMFRが20g/10分を超えるとシーラント層の膜厚
が不均一になりやすい。
【0020】このような低密度ポリエチレン(B)は、
エチレンの単独重合体のみならず、本発明の目的を損な
わない範囲であれば、エチレンから導かれる単位ととも
に他の重合性単量体から導かれる単位を少量含むエチレ
ン共重合体であってもよく、たとえば酢酸ビニルあるい
はアクリル酸エステルなどから導かれる単位を20重量
%以下の割合で含むエチレン共重合体であってもよい。
【0021】(C)ポリオレフィン用結晶核剤 ポリオレフィン用結晶核剤としては、従来知られている
種々のポリオレフィン用核剤が制限されることなく用い
られる。このようなポリオレフィン用結晶核剤として下
記に挙げる芳香族リン酸エステル塩、ベンジリデンソル
ビトール、芳香族カルボン酸、ロジン系核剤などが例示
される。
【0022】芳香族リン酸エステル塩としては、下記式
(I)で表される化合物を挙げることができる。
【0023】
【化1】
【0024】(式中、R4 は酸素原子、硫黄原子または
炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示し、R5 および
6 は水素原子または炭素原子数は1〜10の炭化水素
基を示し、R5 およびR6 は同種であっても異種であっ
てもよく、R5 同士、R6 同士またはR5 とR6 とが結
合して環状となっていてもよく、Mは1〜3価の金属原
子を示し、nは1〜3の整数である。) 前記式(I)で表される化合物として具体的には、ナト
リウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニ
ル) フォスフェート、ナトリウム-2,2'-エチリデン-ビ
ス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート、リチ
ウム-2,2'-メチレン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)
フォスフェート、リチウム-2,2'-エチリデン-ビス(4,
6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-
2,2'-エチリデン-ビス(4-i-プロピル-6-t-ブチルフェ
ニル) フォスフェート、リチウム-2,2'-メチレン-ビス
(4-メチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、リ
チウム-2,2'-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェ
ニル) フォスフェート、カルシウム-ビス[2,2'-チオビ
ス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート]
、カルシウム-ビス[2,2'-チオビス(4-エチル-6-t-ブ
チルフェニル) フォスフェート] 、カルシウム-ビス
[2,2'-チオビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォス
フェート] 、マグネシウム-ビス[2,2'-チオビス(4,6-
ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート] 、マグネシウム
-ビス[2,2'-チオビス-(4-t-オクチルフェニル) フォ
スフェート] 、ナトリウム-2,2'-ブチリデン-ビス(4,6
-ジ-メチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,
2'-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォ
スフェート、ナトリウム-2,2'-t-オクチルメチレン-ビ
ス(4,6-ジ-メチルフェニル) フォスフェート、ナトリ
ウム-2,2'-t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジ-t- ブチ
ルフェニル) フォスフェート、カルシウム- ビス-(2,
2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォス
フェート) 、マグネシウム-ビス[2,2'-メチレン-ビス
(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート] 、バリ
ウム-ビス[2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェ
ニル) フォスフェート] 、ナトリウム-2,2'-メチレン-
ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェー
ト、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブ
チルフェニル) フォスフェート、ナトリウム(4,4'-ジ
メチル-5,6'-ジ-t-ブチル-2,2'-ビフェニル) フォスフ
ェート、カルシウム-ビス[(4,4'-ジメチル-6,6'-ジ-t
-ブチル-2,2'-ビフェニル) フォスフェート] 、ナトリ
ウム-2,2'-エチリデン-ビス(4-m-ブチル-6-t-ブチルフ
ェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,2'-メチレン-
ビス(4,6-ジ-メチルフェニル) フォスフェート、ナト
リウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-エチルフェニル)
フォスフェート、カリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4,6
-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート、カルシウム-
ビス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニ
ル) フオスフェート] 、マグネシウム-ビス[2,2'-エチ
リデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェー
ト] 、バリウム-ビス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-
t-ブチルフェニル) フォスフェート] 、アルミニウム-
トリス[2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェ
ル)フォスフェート] およびアルミニウム-トリス[2,
2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォ
スフェート] およびこれらの2個以上の混合物を例示す
ることができる。特にナトリウム-2,2'-メチレン-ビス
(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェートが好まし
い。
【0025】芳香族リン酸エステル塩として、下記式
(II)で表される化合物を挙げることができる。
【0026】
【化2】
【0027】(式中、R7 は水素原子または炭素原子数
が1〜10の炭化水素基を示し、Mは1〜3価の金属原
子を示し、nは1〜3の整数である。) 前記式(II)で表される化合物として具体的には、ナト
リウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、
ナトリウム-ビス(4-メチルフェニル)フォスフェー
ト、ナトリウム-ビス(4-エチルフェニル)フォスフェ
ート、ナトリウム-ビス(4-i-プロピルフェニル)フォ
スフェート、ナトリウム-ビス(4-t-オクチルフェニ
ル)フォスフェート、カリウム-ビス(4-t-ブチルフェ
ニル)フォスフェート、カルシウム-ビス(4-t-ブチル
フェニル)フォスフェート、マグネシウム-ビス(4-t-
ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム-ビス(4-t
-ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウム-ビス
(4-t-ブチルフェニル)フォスフェートおよびこれらの
2種以上の混合物を例示することができる。特にナトリ
ウム-ビス(4-t-ブチルフェニル) フォスフェートが好
ましい。
【0028】ベンジリデンソルビトールとしては、下記
式(III)で表される化合物を挙げることができる。
【0029】
【化3】
【0030】(式中、R8 は互いに同一でも異なってい
てもよく、水素原子または炭素原子数が1〜10の炭化
水素基を示し、mおよびnはそれぞれ0〜5の整数であ
る。) 前記式(III)で表される化合物として具体的には、1,
3,2,4-ジベンジリデンソルビトール、1,3-ベンジリデン
-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3-ベンジ
リデン-2,4-p-エチルベンジリデンソルビトール、1,3-p
-メチルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、
1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビト
ール、1,3-p-メチルベンジリデン-2,4-p-エチルベンジ
リデンソルビトール、1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-p
-メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メ
チルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エチ
ルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-n-プロ
ピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-i-プ
ロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-n-
ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-s-
ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-t-
ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(2',
4'-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ
(p-メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ
(p-エトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3-ベンジ
リデン-2-4-p-クロルベンジリデンソルビトール、1,3-p
-クロルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、
1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデン
ソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-エチ
ルベンジリデンソルビトール、1,3-p-メチルベンジリデ
ン-2,4-p-クロルベンジリデンソルビトール、1,3-p-エ
チルベンジリデン-2,4-p-クロルベンジリデンソルビト
ールおよび1,3,2,4-ジ(p-クロルベンジリデン)ソルビ
トールおよびこれらの2個以上の混合物を例示でき、特
に1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ
(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p
-エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3-p-クロルベ
ンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、
1,3,2,4-ジ(p-クロルベンジリデン)ソルビトールおよ
びそれらの2種以上の混合物が好ましい。
【0031】上記のようなベンジリデンソルビトールの
中では、下記式(IV)で表される化合物を好ましい例と
して挙げることができる。
【0032】
【化4】
【0033】(式中、R8 は互いに同一でも異なってい
てもよく、メチル基またはエチル基を示す。) 芳香族カルボン酸としては、下記式(V)で表されるア
ルミニウムヒドロキシジパラt-ブチルベンゾエートなど
を挙げることができる。
【0034】
【化5】
【0035】ロジン系の結晶核剤としては、たとえばロ
ジン酸の金属塩があり、ロジン酸の金属塩とはロジン酸
と金属化合物との反応生成物をいう。ロジン酸として
は、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの
天然ロジン;不均化ロジン、水素化ロジン、脱水素化ロ
ジン、重合ロジン、α, β-エチレン性不飽和カルボン
酸変性ロジンなどの各種変性ロジン;前記天然ロジンの
精製物、変性ロジンの精製物などを例示できる。なお、
前記α, β−エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンの
調製に用いられる不飽和カルボン酸としては、たとえば
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、
無水イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリ
ル酸などを挙げることができる。これらの中では、天然
ロジン、変性ロジン、天然ロジンの精製物および変性ロ
ジンの精製物からなる群より選ばれる少なくとも一種の
ロジン酸であることが好ましい。ここで、ロジン酸は、
ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソ
ピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオ
アビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン
酸、テトラヒドロアビエチン酸などから選ばれる樹脂酸
を複数含んでいる。
【0036】前記ロジン酸と反応して金属塩を形成する
金属化合物としては、ナトリウム、カリウム、マグネシ
ウムなどの金属元素を有し、かつ前記ロジン酸と造塩す
る化合物が挙げられる。具体的には、前記金属の塩化
物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酸化物、水酸化
物などが挙げられる。
【0037】本発明では、ロジン系の結晶核剤が好適で
あり、特にデヒドロアビエチン酸、デヒドロアビエチン
酸誘導体、ジヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン
酸誘導体、ジヒドロピマル酸、ジヒドロピマル酸誘導体
から選ばれる少なくとも1種のロジン酸の金属塩である
ことが好ましい。
【0038】ロジン酸系の結晶核剤の中でも、前記ロジ
ン酸が、下記式(i-a)で表されるロジン酸〔化合物
(i-a)〕および下記式(i-b)で表されるロジン酸
〔化合物(i-b)〕から選ばれる少なくとも1種のロジ
ン酸であるロジン系結晶核剤が好ましい。
【0039】
【化6】
【0040】式(i-a)および式(i-b)中、R1 、R
2 およびR3 は、互いに同一でも異なっていてもよく、
水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリー
ル基である。
【0041】アルキル基として具体的には、メチル、エ
チル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、
tert-ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチルなどの炭
素原子数が1〜8のアルキル基が挙げられ、これらの基
はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハ
ロゲンなどの置換基を有していてもよい。
【0042】シクロアルキル基として具体的には、シク
ロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどの炭
素原子数が5〜8のシクロアルキル基が挙げれ、これら
の基はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ
基、ハロゲンなどの置換基を有していてもよい。
【0043】アリール基としては、フェニル基、トリル
基、ナフチル基などの炭素原子数が6〜10のアリール
基が挙げられ、これらの基はヒドロキシル基、カルボキ
シル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有して
いてもよい。
【0044】このような化合物(i-a)および化合物
(i-b)のなかでは、R1 、R2 およびR3 がそれぞ
れ、同一または異なるアルキル基であるロジン酸が好ま
しく、R 1 がi-プロピル基であり、R2 およびR3 がメ
チル基であるロジン酸がより好ましい。このようなロジ
ン酸の金属塩は、特に結晶性樹脂の結晶化速度の向上効
果が優れる。
【0045】化合物(i-a)として具体的には、デヒド
ロアビエチン酸などが挙げられ、化合物(i-b)として
具体的には、ジヒドロアビエチン酸などが挙げられる。
このような化合物(i-a)および化合物(i-b)のうち
で、たとえば式(i-a)で表されるロジン酸は、ガムロ
ジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジン
を不均化または脱水素化し、次いで精製することにより
得られる。なお、天然ロジンには、ピマル酸、サンダラ
コピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチ
ン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒ
ドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロア
ビエチン酸などの樹脂酸が、通常複数種含まれている。
【0046】化合物(i-a)の金属塩としては、下記式
(ii-a)で表される化合物〔化合物(ii-a)〕が挙げら
れ、化合物(i-b)の金属塩としては、下記式(ii-b)
で表される化合物〔化合物(ii-b)〕が挙げられる。
【0047】
【化7】
【0048】式(ii-a)および(ii-b)中、R1 、R2
およびR3 は、前記式(i-a)および式(i-b)と同様
である。Mは、1〜3価の金属イオンであり、具体的に
は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セ
シウムなどの1価の金属イオン;ベリリウム、マグネシ
ウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛な
どの2価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属
イオンが挙げられる。これらのうち1価または2価の金
属イオンであることが好ましく、ナトリウムイオン、カ
リウムイオン、マグネシウムイオンであることがより好
ましい。
【0049】nは、前記金属イオンMの価数と同一の整
数であり、1〜3の整数である。化合物(ii-a)および
化合物(ii-b)のなかでは、R1 、R2 およびR3 がそ
れぞれ、同一もしくは異なるアルキル基であるロジン酸
金属塩、または、Mが1価もしくは2価の金属イオンで
あるロジン酸金属塩が好ましく、R1 がi-プロピル基で
あり、R2 およびR3 がメチル基であるロジン酸金属
塩、または、Mがナトリウムイオン、カリウムイオンも
しくはマグネシウムイオンであるロジン酸金属塩がより
好ましく、R1 がi-プロピル基であり、R2 およびR3
がメチル基であり、かつ、Mがナトリウムイオン、カリ
ウムイオンもしくはマグネシウムイオンであるロジン酸
金属塩が特に好ましい。このようなロジン酸金属塩は、
特に結晶化速度の向上効果が優れる。
【0050】化合物(ii-a)として具体的には、たとえ
ばデヒドロアビエチン酸リチウム、デヒドロアビエチン
酸ナトリウム、デヒドロアビエチン酸カリウム、デヒド
ロアビエチン酸ベリリウム、デヒドロアビエチン酸マグ
ネシウム、デヒドロアビエチン酸カルシウム、デヒドロ
アビエチン酸亜鉛、デヒドロアビエチン酸アルミニウム
などのデヒドロアビエチン酸金属塩などが挙げられ、デ
ヒドロアビエチン酸ナトリウム、デヒドロアビエチン酸
カリウム、デヒドロアビエチン酸マグネシウムが好まし
い。
【0051】化合物(ii-b)として具体的には、たとえ
ばジヒドロアビエチン酸リチウム、ジヒドロアビエチン
酸ナトリウム、ジヒドロアビエチン酸カリウム、ジヒド
ロアビエチン酸ベリリウム、ジヒドロアビエチン酸マグ
ネシウム、ジヒドロアビエチン酸カルシウム、ジヒドロ
アビエチン酸亜鉛、ジヒドロアビエチン酸アルミニウム
などのジヒドロアビエチン酸金属塩などが挙げられ、ジ
ヒドロアビエチン酸ナトリウム、ジヒドロアビエチン酸
カリウム、ジヒドロアビエチン酸マグネシウムが好まし
い。
【0052】上述したロジン酸金属塩の製造方法として
は、従来公知の方法が採用できる。このようなロジン酸
金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられ
る。2種以上の組み合わせとしては、ロジン酸が同一で
あり金属が異なるロジン酸金属塩との組み合わせ、ロジ
ン酸が異なり金属が同一であるロジン酸金属塩の組み合
わせ、ロジン酸が異なり金属が異なるロジン酸金属塩の
組み合わせが挙げられる。これらの中では、ロジン酸が
同一であり金属が異なるロジン酸金属塩を少なくとも2
種含むロジン酸金属塩を用いることが好ましい。
【0053】少なくとも2種のロジン酸部分金属塩中の
ロジン金属塩の量比は任意であるが、少なくとも2種の
ロジン酸部分金属塩中のロジン酸金属塩の合計量に対し
て、1種のロジン酸金属塩が1モル%以上、好ましくは
5〜95モル%、他の1種以上のロジン酸金属塩が99
モル%未満、好ましくは95〜5モル%の割合となるよ
うに組み合わせることが望ましい。
【0054】少なくとも2種のロジン酸部分金属塩の組
み合わせとしては、ロジン酸部分カリウム塩と、ロジン
酸部分ナトリウム塩またはロジン酸部分マグネシウム塩
との組み合わせが好ましい。さらに、2種のロジン酸部
分金属塩中のロジン酸金属塩の合計量に対しロジン酸カ
リウム塩が20モル%以上、好ましくは40〜99モル
%、より好ましくは45〜80モル%、ロジン酸ナトリ
ウム塩またはロジン酸マグネシウム塩が80モル%未
満、好ましくは60〜1モル%、より好ましくは55〜
20モル%の割合となるように組み合わせることが望ま
しい。
【0055】このような少なくとも2種の金属を含むロ
ジン酸部分金属塩は、1種の金属のみを含むロジン酸部
分金属塩に比べて(A)エチレン・α−オレフィン共重
合体と(B)低密度ポリエチレンとの組成物への分散性
に優れる。
【0056】上記のようなロジン酸金属塩を主成分とす
る結晶核剤の中では、ロジン酸部分金属塩が好ましい。
ここでロジン酸部分金属塩とは、ロジン酸金属塩と未反
応のロジン酸との混合物、および未反応のロジン酸を含
まないロジン酸金属塩の両方を意味する。このロジン酸
部分金属塩中には、ロジン酸金属塩が10〜100モル
%、好ましくは20〜70モル%、特に好ましくは30
〜50モル%の割合で含有されていることが望ましい。
【0057】その他の結晶核剤としては、高融点ポリマ
ー、芳香族カルボン酸や脂肪族カルボン酸の金属塩、無
機化合物などを例示できる。高融点ポリマーとしては、
ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペンタン
などのポリビニルシクロアルカン、ポリ3-メチル-1-ペ
ンテン、ポリ3-メチル-1-ブテン、ポリアルケニルシラ
ンなどが挙げられる。
【0058】芳香族カルボン酸や脂肪族カルボン酸のの
金属塩としては、安息香酸アルミニウム塩、p-t-ブチル
安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム、チオ
フェネカルボン酸ナトリウム、ピローレカルボン酸ナト
リウムなどが挙げられる。
【0059】無機化合物としては、シリカ、珪藻土、ア
ルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石
バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、
塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウ
ム、チタン酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシ
ウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊
維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウ
ム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、
アルミニウム粉、硫化モリブデンなどが挙げられる。
【0060】さらに、結晶核剤として、ブロム化ビフェ
ニルエーテル、環状トリエチレングリコールテレフタレ
ートなども使用できる。前記(A)エチレン・α−オレ
フィン共重合体と、(B)低密度ポリエチレンとからな
る組成物に、上記のような(C)ポリオレフィン用結晶
核剤を配合することにより、該組成物の融点を変化させ
ずに、結晶化温度を高く、かつ結晶化速度を速くするこ
とができる。
【0061】エチレン系共重合体組成物 本発明に係るエチレン系共重合体組成物は、(A)エチ
レン・α−オレフィン共重合体;99〜60重量部、好
ましくは90〜70重量部と、(B)低密度ポリエチレ
ン;1〜40重量部、好ましくは10〜30重量部と、
(C)ポリオレフィン用結晶核剤;前記(A)と(B)
との合計量を100重量部としたときに0.001〜5
重量部、好ましくは0.01〜2重量部とから形成され
ている。
【0062】本発明のエチレン系共重合体組成物には、
本発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱
安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキ
ング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止
剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が必要に応じて
配合されていてもよい。また、本発明の趣旨を逸脱しな
い限り他の合成樹脂を少量ブレンドすることができる。
【0063】本発明のエチレン系共重合体組成物は、公
知の任意の方法を採用して製造することができ、たとえ
ばエチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、低密度
ポリエチレン(B)と、ポリオレフィン用結晶核剤
(C)および所望により添加される他成分を、押出機、
ニーダー等を用いて溶融混練することにより得られる。
【0064】このようにして得られたエチレン系共重合
体組成物は、密度が0.88〜0.95g/cm3 、好
ましくは0.890〜0.925g/cm3 の範囲にあ
り、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフロー
レートが1〜30g/10分、好ましくは3〜20g/10
分の範囲にあり、溶融張力が0.5〜10g、好ましく
は1〜8gの範囲にある。
【0065】なお、溶融張力(MT(g))は、溶融さ
せたポリマーを一定速度で延伸した時の応力を測定する
ことにより決定される。すなわち、エチレン系共重合体
組成物を通常の方法で溶融後ペレット化して測定サンプ
ルとし、東洋精機製作所製MT測定器を用い、樹脂温度
190℃、押し出し速度15mm/分、巻取り速度10
〜20m/分、ノズル径2.09mmφ、ノズル長さ8
mmの条件で行った。ペレット化の際、エチレン系共重
合体組成物に、あらかじめ二次抗酸化剤としてのトリ
(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェートを0.0
5重量%、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4'-
ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネー
トを0.1重量%、塩酸吸収剤としてのステアリン酸カ
ルシウムを0.05重量%配合した。
【0066】このような本発明に係るエチレン系共重合
体組成物は、完全シール開始温度が低く、かつホットタ
ック性にも優れ、しかも成膜性に優れているので複合フ
ィルムのシーラントとして好適である。
【0067】複合フィルム 本発明に係る複合フィルムは、基材と、上記のようなエ
チレン系共重合体組成物層とからなり、たとえば基材上
にエチレン系共重合体組成物を押出コーティングするこ
とにより得られる。このようにして形成された複合フィ
ルムでは、上記のエチレン系共重合体組成物層は、通常
シーラント層として機能する。
【0068】基材としては、フィルム形成能を有するも
のであれば特に限定されず、任意の合成樹脂あるいは
紙、アルミニウム箔、セロハンなどを使用することがで
きる。このような合成樹脂としては、例えば、高密度ポ
リエチレン、中または低密度ポリエチレン、エチレン・
酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共
重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテ
ン、ポリ-4-メチル-1-ペンテンなどのオレフィン系重合
体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレ
ン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリルなどビニ
ル系重合体;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン1
0、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ポ
リメタキシリレンアジパミドなどのポリアミド;ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/
イソフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポ
リエステル;ポリビニルアルコール、エチレン・ビニル
アルコール共重合体、ポリカーボネートなどを挙げるこ
とができる。
【0069】また基材が合成樹脂フィルム(シート)で
あるときには、この合成樹脂フィルムは、無配向であっ
てもよく一軸または二軸に延伸されていてもよい。これ
らの基材は用途、被包装物により適宜選択することがで
きる。たとえば被包装物が腐敗しやすい食品である場合
には、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、エチレン・ビ
ニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ
エステルのような、透明性、剛性、ガス透過抵抗性の優
れた樹脂を用いることができる。被包装物が菓子あるい
は繊維製品などである場合には、透明性、剛性、水透過
抵抗性の良好なポリプロピレンなどを用いることが好ま
しい。
【0070】本発明に係る複合フィルムは、たとえば
(A)エチレン・α−オレフィン共重合体(A)と、
(B)低密度ポリエチレンと、(C)ポリオレフィン用
結晶核剤とを、たとえばV−ブレンダー、リボンブレン
ダー、ヘンシエルミキサー、タンブラーブレンダーなど
で混合した後、基材上にT−ダイで押出コーティングす
る方法、あるいは(A)エチレン・α−オレフィン共重
合体と、(B)低密度ポリエチレンと、(C)ポリオレ
フィン用結晶核剤を前述の方法で混合した物を、押出機
を用いて160〜220℃の温度で溶融混練しながらペ
レットを作り、そのペレットをT−ダイで基材上に押出
コーティングする方法により製造することができる。
【0071】また上記のように基材上にエチレン系共重
合体組成物を押出コーティングする際には、基材に直接
エチレン系共重合体組成物を押出コーティングしてもよ
く、また基材と該組成物との接着力を高めるために、基
材に予め公知の方法たとえば有機チタン系、ポリエチレ
ンイミン系、イソシアネート系などのアンカーコート剤
を塗布したり、あるいは接着性ポリオレフィン、高圧法
ポリエチレンなどの下貼樹脂層を設けた後にエチレン系
共重合体組成物を押出コーティングしてもよい。
【0072】基材上にエチレン系共重合体組成物または
下貼樹脂を押出コーティングする際の加工温度(T−ダ
イ下の樹脂温度)は、基材とエチレン系共重合体組成
物、基材と下貼樹脂(接着性ポリオレフィン、高圧法ポ
リエチレンなど)、下貼樹脂とエチレン系共重合体組成
物との接着性およびラミネート製品のヒートシール性、
生産性を考慮して決められるが、好ましくは230〜3
30℃であり、より好ましくは280〜320℃、さら
に好ましくは285〜305℃である。
【0073】また基材と下貼樹脂、または基材とエチレ
ン系共重合体組成物と接着性を確保するために、T−ダ
イから押出した樹脂の溶融膜にオゾンを吹きかけて膜の
表面を強制酸化することも有効である。
【0074】押出コーティングは、好ましくは20〜3
00m/分、より好ましくは40〜200m/分の加工
速度で行なわれる。上記のような本発明に係る複合フィ
ルムのホットタック試験の値(剥離距離)は、たとえば
基材がナイロンフィルムである複合フィルムの場合に
は、通常50mm以下、好ましくは30mm以下であ
り、完全シール開始温度は通常125℃未満、好ましく
は120℃以下である。
【0075】
【発明の効果】本発明に係るエチレン系共重合体組成物
は、(A)エチレン・α−オレフィン共重合体と、
(B)低密度ポリエチレンと、(C)ポリオレフィン用
結晶核剤とから形成されているので、結晶化温度が高
く、かつ結晶化速度が速く、しかも完全シール開始温度
が低く、ホットタック性に優れている。
【0076】本発明に係る複合フィルムは、完全シール
開始温度が低く、ホットタック性に優れている。
【0077】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0078】なお、本明細書において完全シール開始温
度の測定およびホットタック試験は以下のようにして行
った。完全シール開始温度 テスター産業製ヒートシーラーを用いてヒートシールを
行った。複合フィルムを約120×120mm(2枚1
組)の大きさに切り出し、シール圧力2kg/cm2
シール時間1秒、シール幅5mmで複合フィルムの1辺
をヒートシールする。シールバーの設定温度は5℃きざ
みで変更しながら各温度でヒートシールした複合フィル
ムを作成する。ヒートシール部と直角に幅15mm×長
さ100mmの試験片を切り出し、インストロン型万能
材料試験機のエアチャックに、ヒートシール部の反対側
の2辺をセットする。チャック間距離30mm、引張速
度300mm/分で引張試験を行い、シール部が剥離せ
ずに、基材の一部が破断した時の、最も低いヒートシー
ル温度を完全シール開始温度とする。
【0079】ホットタック試験 長さ550mm×幅50mmの試験片を重ね合わせ、7
0℃から5℃きざみで130℃までの温度、幅10m
m、長さ30mmのシールバーにより、2kg/cm2
の圧力で1秒間シール後、除圧と同時に各試験片に45
gの荷重をかけてシール部を強制剥離し、剥離した距離
(mm)によりホットタック剥離強度の評価を行った。
すなわち剥離距離の短いものほどヒートシール直後の剥
離力に対する抵抗が大きく好ましい(ホットタック性に
優れる)。
【0080】
【製造例1】エチレン・α−オレフィン共重合体(A-1)の製造 [触媒の調製]250℃で10時間乾燥したシリカ10
kgを154リットルのトルエンで懸濁状にした後、0
℃まで冷却した。その後、メチルアミノキサンのトルエ
ン溶液(Al=1.33mol/リットル)57.5リ
ットルを1時間で滴下した。この際、系内の温度を0℃
に保った。引続き0℃で30分間反応させ、次いで1.
5時間かけて95℃まで昇温し、その温度で20時間反
応させた。その後60℃まで降温し上澄液をデカンテー
ション法により除去した。このようにして得られた固体
成分をトルエンで2回洗浄した後、トルエン100リッ
トルで再懸濁化した。この系内へビス(1-メチル-3-n-
ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
のトルエン溶液(Zr=27.0mmol/リットル)
16.8リットルを80℃で30分間かけて適下し、更
に80℃で2時間反応させた。その後、上澄液を除去
し、ヘキサンで2回洗浄することにより、1g当り3.
5mgのジルコニウムを含有する固体触媒を得た。
【0081】[予備重合触媒の調製]2.5molのト
リイソブチルアルミニウムを含有する87リットルのヘ
キサンに、上記で得られた固体触媒870gおよび1-ヘ
キセン260gを加え、35℃で5時間エチレンの予備
重合を行うことにより、固体触媒1g当り10gのポリ
エチレンが予備重合された予備重合触媒を得た。
【0082】[重合]連続式流動床気相重合装置を用
い、全圧20kg/cm2-G 、重合温度80℃でエチレ
ンと1-ヘキセンとの共重合を行った。上記で調製した予
備重合触媒をジルコニウム原子換算で0.045mmo
l/h、トリイソブチルアルミニウムを5mmol/h
の割合で連続的に供給し、重合の間一定のガス組成を維
持するためにエチレン、1-ヘキセン、水素、窒素を連続
的に供給した(ガス組成;1-ヘキセン/エチレン=0.
025、水素/エチレン=1.3×10-3、エチレン濃
度=70%)。
【0083】得られたエチレン・α−オレフィン共重合
体(A-1)の収量は、5.8kg/hrであり、密度が
0.921g/cm3 であり、MFRが11.5g/10
分であり、DSCにより測定した吸熱曲線の最大ピーク
位置の温度(Tm)が114.8℃であった。結果を表
1に示す。
【0084】
【製造例2】密度が0.905g/cm3 、MFRが1
0.9g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体と
なるようにガス組成を変更し、重合温度を70℃とした
以外は製造例1と同様にしてエチレン・α−オレフィン
共重合体(A-2)を製造した。結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【実施例1】エチレン系共重合体組成物の調製 前記製造例1で製造したエチレン・α−オレフィン共重
合体(A-1)80重量部、および密度が0.917g/
cm3 、MFRが3.0g/10分である高圧ラジカル法
低密度ポリエチレン(B-1)20重量部を溶融混練する
ことにより、表2に示すような組成物(C-1)を得た。
【0087】次に、前記組成物(C-1)100重量部に
対して、デヒドロアビエチン酸のカリウム・ナトリウム
塩(カルボキシル基の当量に対する、カリウム金属の当
量が15%、ナトリウム金属の当量が15%である金属
塩)を0.3重量部配合し、溶融混練によりペレット化
してエチレン系共重合体組成物(D-1)のペレットを得
た。
【0088】基材の調製 厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム上へ、イソシ
アネート系アンカコート剤を塗布し、その上に前記と同
様の低密度ポリエチレン(B-1)を20μmの厚みでコ
ーティングして基材層としてのナイロンフィルム基材を
作製した。
【0089】押出コーティング 前記エチレン系共重合体組成物(D-1)のペレットを6
5mmφの押出機(設定温度:300C)で溶融後、幅
500mmのT−ダイにより、前記ナイロンフィルム基
材上に、30μm厚で押出コーティングした結果、膜厚
が均一なシーラント層を有する複合フィルムが得られ
た。得られた複合フィルムの性能試験を行った結果を表
3に示す。
【0090】
【参考例1】実施例1においてエチレン系共重合体組成
物(D-1)のペレットを用いる代わりに、実施例1で製
造した組成物(C-1)のペレットを用いたこと以外は実
施例1と同様にして前記ナイロンフィルム基材上に組成
物(C-1)を30μm厚で押出コーティングした結果、
膜厚が均一なシーラント層を有する複合フィルムが得ら
れた。得られた複合フィルムの性能試験を行った結果を
表3に示す。
【0091】
【実施例2】製造例2で製造したエチレン・α−オレフ
ィン共重合体(A-2)80重量部、および実施例1で用
いたものと同様の高圧ラジカル法低密度ポリエチレン
(B-1)20重量部を溶融混練することにより、表2に
示すような組成物(C-2)を得た。
【0092】組成物(C-2)100重量部に対して、実
施例1で用いたものと同じデヒドロアビエチン酸のカリ
ウム・ナトリウム塩を0.3重量部配合し、溶融混練に
よりペレット化してエチレン系共重合体組成物(D-2)
のペレットを得た。
【0093】実施例1においてエチレン系共重合体組成
物(D-1)のペレットを用いる代わりに、前記エチレン
系共重合体組成物(D-2)のペレットを用いた以外は、
実施例1と同様にして、前記ナイロンフィルム基材上に
エチレン系共重合体組成物(D-2)を30μm厚で押出
コーティングした結果、膜厚が均一なシーラント層を有
する複合フィルムが得られた。得られた複合フィルムの
性能試験を行った結果を表3に示す。
【0094】
【参考例2】実施例1においてエチレン系共重合体組成
物(D-1)のペレットを用いる代わりに、実施例2で製
造した組成物(C-2)のペレットを用いた以外は実施例
1と同様にして前記ナイロンフィルム基材上に組成物
(C-2)を30μm厚で押出コーティングした結果、膜
厚が均一なシーラント層を有する複合フィルムが得られ
た。得られた複合フィルムの性能試験を行った結果を表
3に示す。
【0095】
【表2】
【0096】
【表3】
【0097】
【表4】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)エチレンと炭素原子数が4〜20の
    α−オレフィンとの共重合体であって(i)密度が0.
    88〜0.95g/cm3 の範囲にあり、(ii)190
    ℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが1
    〜50g/10分の範囲にあり、(iii)示差走査型熱量
    計により測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温
    度(Tm(℃))と密度(d(g/cm3 ))とが、 Tm<400×d−250 で示される関係を満たすエチレン・α−オレフィン共重
    合体;99〜60重量部と、 (B)高圧ラジカル法により製造される低密度ポリエチ
    レンであって(i)密度が0.91〜0.93g/cm
    3 の範囲にあり、(ii)190℃、2.16kg荷重に
    おけるメルトフローレートが0.1〜20g/10分の範
    囲にある低密度ポリエチレン;1〜40重量部と、 (C)ポリオレフィン用結晶核剤;前記(A)エチレン
    ・α−オレフィン共重合体と(B)低密度ポリエチレン
    との合計量100重量部に対して0.001〜5重量部
    とからなり、(i)密度が0.88〜0.95g/cm
    3 の範囲にあり、(ii)190℃、2.16kg荷重に
    おけるメルトフローレートが1〜30g/10分の範囲に
    あり、(iii)溶融張力が0.5〜10gの範囲にある
    ことを特徴とする複合フィルム用エチレン系共重合体組
    成物。
  2. 【請求項2】基材フィルムと、該基材フィルム上に形成
    された請求項1に記載のエチレン系共重合体組成物層と
    からなることを特徴とする複合フィルム。
  3. 【請求項3】前記基材フィルムが、ポリアミドフィルム
    である請求項2に記載の複合フィルム。
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