JPH09271187A - 超音波アクチュエータ用振動子 - Google Patents

超音波アクチュエータ用振動子

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JPH09271187A
JPH09271187A JP8075957A JP7595796A JPH09271187A JP H09271187 A JPH09271187 A JP H09271187A JP 8075957 A JP8075957 A JP 8075957A JP 7595796 A JP7595796 A JP 7595796A JP H09271187 A JPH09271187 A JP H09271187A
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JP
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piezoelectric
vibrator
elastic body
phase
rod
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JP8075957A
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English (en)
Inventor
Yasuaki Kawai
泰明 河合
Ookazu Asai
鉅和 浅井
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Publication date
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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)
  • Transducers For Ultrasonic Waves (AREA)
  • Apparatuses For Generation Of Mechanical Vibrations (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定の共振系を利用して移動体の大きな加圧
力に耐え、高推力を得ることができる超音波アクチュエ
ータ用振動子を提供する。 【解決手段】 振動子1の軸方向と平行な中心面を境に
して両側に、第1の圧電体4及び第2の圧電体5が対称
に配置されている。両圧電体4、5はそれぞれ相反する
方向に分極された2層の圧電素子4a,4b、5a,5bと、そ
の間に配置された電極板6a,6bとにより構成されてい
る。対を成す圧電素子4a,4b、5a,5bの分極方向は振動
子1の軸方向と平行で互いに逆方向となっている。圧電
体4,5の第1端部に棒状弾性体2の一端が固定され、
弾性体2の長さは、圧電体4,5の第2端部を固定端と
した状態で弾性体2が縦1次共振振動する際に曲げ2次
振動を随伴励起する長さに設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧電素子を用いた超
音波アクチュエータ用振動子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超音波アクチュエータは、電磁式アクチ
ュエータ等の他のアクチュエータに比較して、小型、軽
量、低コストの割りに高推力が得られるという特長があ
る。この種の超音波アクチュエータ用の圧電振動子とし
て、特開昭63−316674号公報には、振動子先端
に電気信号により任意の方向に曲線閉路の軌跡を描くこ
とができる圧電振動子が提案されている。図24に示す
ように、この圧電振動子51は分極方向が互いに逆にな
った2領域を有する第1の圧電素子51aと、全領域が
同じ分極方向を有する第2の圧電素子51bとが基準電
極52cを挟んで積層されている。第1の圧電素子51
aには基準電極52cと対向するとともに圧電素子51
aを2領域に分割するように電極52a,52bが形成
されている。第2の圧電素子51bには基準電極52c
と対向するように電極52dが形成されている。圧電振
動子51の電極52a,52b側に振動体53が接着さ
れる。そして、電極52a,52bをリード線54aで
短絡した状態で第1の圧電素子51aにリード線54
a,54bを介して交流電源55aから周期電圧を印加
し、第2の圧電素子51bにリード線54b,54cを
介して交流電源55bから周期電圧を印加する。
【0003】第1の圧電素子51aのみに周期電圧が印
加されると、圧電素子51aは振動体53の先端部53
aに円弧状軌跡の往復運動を発生させる。第2の圧電素
子51bのみに周期電圧が印加されると、圧電素子51
bは振動体53の先端部53aに振動体53の中心軸方
向に直線状軌跡の往復運動を発生させる。従って、両圧
電素子51a,51bに印加する電圧の周期を異ならせ
たり、同周期で位相を異ならせて、第1,第2の圧電素
子51a,51bにより発生する振動を合成することに
より、振動体53の先端部53aに曲線閉路の軌跡を形
成する振動を生じさせることができる。
【0004】また、特開平6−197572号公報に
は、図25に示すように、円柱状金属ブロック61、リ
ング状圧電振動子62、分割電極63a,63b、リン
グ状圧電振動子64、リング状電極65及び金属ブロッ
ク66を順次当接状態で積層し、ねじ67で締付け固定
した振動式駆動手段(振動子)68が提案されている。
この振動式駆動手段68は分割電極63a,63bのい
ずれか一方とリング状電極65との間に高周波の交流電
圧を印加することにより、軸方向に縦振動及び屈曲振動
が発生し、駆動面61a上の任意の一点は楕円軌跡を描
いて運動する。振動式駆動手段68の長さ(金属ブロッ
ク66の図示下端から駆動面61aまでの長さ)を適当
に選ぶと、振動式駆動手段68は前記縦振動及び屈曲振
動に共振し、縦振動及び屈曲振動の最大振幅が駆動面6
1aに現れる。そして、交流電圧を印加する分割電極6
3a,63bを切り換えることにより、楕円軌跡の運動
方向が変更可能となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開昭63−3166
74号公報に記載の圧電振動子では、第1の圧電素子5
1aに、左右の分極方向が異なるものを用いているた
め、圧電素子中心近傍の境界では未分極領域が存在し、
左右に均一な分極処理を施すことが難しいため、左右の
振動特性を合わせ難い。また、この第1の圧電素子51
aは、左右両端の最大変位によって振動体53の先端部
53aに円弧状往復振動を生じさせる。そのため、円弧
状往復振動の変位を大きくさせるためには、第1の圧電
素子51aの左右両端の距離を大きく取る構造となって
いる。
【0006】また、第1の圧電素子51aの分極方向が
右側と左側で異なっている。その結果、図26(a)に
示すように、圧電振動子51の左側は、上が伸びた時に
下が縮み、下が伸びた時に上が縮む振動となる。また、
図26(b)に示すように、右側は上下同じに伸縮す
る。従って、第1の圧電素子51aは、第2の圧電素子
51bがある場合、右と左の振動が異なり、かつ圧電素
子が一体構造になっているので、互いに両振動変位の影
響を受けることになり、振動子全体の振動変位が小さく
抑えられてしまい効率の悪い振動子になる可能性があ
る。
【0007】さらに、振動変位を拡大させるため、第1
の圧電素子51a及び第2の圧電素子51bをそれぞれ
複数ずつ積層化することも提案されているが、上述の不
均一な振動変位特性を生じる第1の圧電素子51a及び
第2の圧電素子51bの組合せを選定しているため、そ
の効果はあまり期待できないと考えられる。従って、こ
の圧電振動子は構造から判断すると比較的低推力用のア
クチュエータ用振動子としては有効であるが、小型で大
きな推力を必要とするアクチュエータ用振動子には適さ
ないと思われる。
【0008】特開平6−197572号公報に記載の装
置では、圧電振動子62、64を金属ブロック61、6
6で挟持した構成で縦振動及び屈曲振動の長さ共振を利
用している。従って、振動子の最適な支持固定方法が無
いため、振動の節(ノード)近傍にフランジを設けた
り、外周の数カ所に周辺支持固定部位を設けるなどの必
要があり、装置が大型化するという問題がある。
【0009】本願発明者は前記の問題を解消するため、
圧電素子の伸縮振動と振動子全体の形状による伸縮振動
以外の振動の合成(連成)振動を利用した超音波アクチ
ュエータ用振動子を提案した(特願平7ー196774
号)。図27に示すように、この振動子71は一対の円
形リング状の弾性体72の間に、第1の圧電体73及び
第2の圧電体74が配置され、六角穴付ボルト75及び
ナット76によりワッシャ77を介して締付け固定され
ている。両圧電体73、74はそれぞれ相反する方向に
分極された半割リング状の圧電素子73a,73b,7
4a、74bと、その間に配置された電極板78a、7
8bとから構成され、振動子71の軸方向と平行な中心
面を境にして両側に対称に配置されている。
【0010】この振動子71は第1の圧電体73の電極
板78aがアンプ79及びフェイズシフタ80を介して
2相発振器81と接続され、第2の圧電体74の電極板
78bがアンプ79を介して2相発振器81と接続さ
れ、両弾性体72が接地された状態で使用される。この
振動子71は第1及び第2の圧電体73、74に対して
印加する電圧の位相差を変更して、所定の周波数電圧で
駆動すると、振動子71の先端等に曲線閉路の軌跡を形
成する振動が生じる。
【0011】この振動子71は特定の共振系を利用しな
い振動子であるため、アクチュエータとして利用した場
合に、その推力が1つの振動子を利用した際に数百gオ
ーダであった。また、特定の共振系を利用しないため、
その設計の自由度がある反面、高推力を得るための設計
は難しい状況にあった。
【0012】本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされ
たものであって、その目的は特定の共振系を利用して移
動体の大きな加圧力に耐え、高推力を得ることができる
超音波アクチュエータ用振動子を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、振動子の軸方向に対し
て、圧電素子を少なくとも2層に配置し、そのうちの少
なくとも2層の圧電素子を、前記軸方向と平行な面を境
にして第1の圧電体と第2の圧電体とに分割して配置す
るとともに、第1の圧電体と第2の圧電体はそれぞれ前
記軸方向と直交する面を境にして互いに異なる側にそれ
ぞれの分極方向が前記軸方向と平行で互いに逆方向とな
る圧電素子で構成し、その圧電素子の軸方向の第1端部
に棒状弾性体の一端を固定し、その棒状弾性体の長さ
を、前記圧電素子の第2端部を固定端とした状態で棒状
弾性体が縦1次共振振動する際に曲げ2次振動を随伴励
起する長さとした。
【0014】請求項2に記載の発明では、振動子の軸方
向に対して、圧電素子を少なくとも2層に配置し、その
うちの少なくとも2層の圧電素子を、前記振動子の軸を
中心として、それぞれ90゜位相がずれた位置に4個の
圧電体に分割し、1組の圧電体は振動子の軸を含む第1
の平面を境にして互いに異なる側に配置し、他の1組の
圧電体は振動子の軸を含むとともに第1の平面と直交す
る第2の平面とを境にして互いに異なる側に配置し、そ
れぞれの分極方向が前記軸方向と平行で互いに逆方向と
なる圧電素子で構成し、その圧電素子の軸方向の第1端
部に棒状弾性体の一端を固定し、前記棒状弾性体の長さ
を、前記圧電素子の第2端部を固定端とした状態で棒状
弾性体が縦1次共振振動する際に曲げ2次振動を随伴励
起する長さとした。
【0015】請求項3に記載の発明では、請求項1又は
請求項2に記載の発明において、前記棒状弾性体には振
動子の振動の節となる部位近傍に溝状のネック部が形成
されている。
【0016】請求項4に記載の発明では、請求項1〜請
求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記棒状
弾性体には振動子を前記圧電素子の第2端部側において
固定部に支持するための締結具が螺合される雌ねじ部が
形成されている。
【0017】請求項1に記載の発明の振動子は、図1に
示すように、振動子1は棒状の弾性体2が圧電素子と対
向する側において、その基端が剛体からなる固定部3に
片持ち状態で固定されて使用される。そして、弾性体2
の縦1次共振長さ共振周波数で第1の圧電体4及び第2
の圧電体5に90゜の位相差を与えて交流駆動電圧を印
可すると、弾性体2が縦1次共振振動する際に曲げ2次
振動が随伴励起される。振動子1の軸方向と平行な面を
境にして両側に配置された第1の圧電体4及び第2の圧
電体5の伸縮振動により、図2(a)〜(d)に示すI
〜IVの工程の変位を生じる。
【0018】図2(a)の第I工程では、第1及び第2
の圧電体4、5が共に伸び、全体としては軸方向の伸び
となる。図2(b)の第II工程では、第2の圧電体5が
伸び、第1の圧電体4が縮むので全体として左方向に曲
げを生じる。図2(c)の第III 工程では、第1及び第
2の圧電体4、5が共に縮むので、全体としては軸方向
に縮むことになる。図2(d)の第IV工程では、第1の
圧電体4が伸び、第2の圧電体5が縮むので全体として
右方向に曲げを生じる。
【0019】従って、弾性体2の先端面2aの任意の一
点(例えば質点M)は図3(a)に示すように、楕円軌
跡Qの運動を行う。第1の圧電体4に対して第2の圧電
体5が90゜の遅れとなる位相差で交流駆動電圧が印可
されると、振動子1の先端部近傍の面内歪みは、図2の
工程I→IV→III →IIの順に生じ、質点Mの動きは図3
(b)に示すように、反時計回り方向の楕円軌跡Qとな
る。従って、弾性体2の先端面2aに移動体を載せた場
合、両圧電体4、5に印可する駆動電圧の位相差を18
0゜変更することにより、方向転換が可能となる。
【0020】また、第1の圧電体4(A相)のみの駆動
と、第2の圧電体5(B相)のみの駆動との切り換えに
よって楕円軌跡の方向の切換、即ち、移動体の方向転換
を行うことが可能となる。
【0021】本発明の振動子は棒状弾性体の縦1次長さ
共振振動を利用するため、振動振幅が大きく取れる。ま
た、振動子の片側を剛体に支持して固定部とするため、
振動子に加わる大きな加圧力に耐え得るようになり、従
来の超音波アクチュエータ用振動子に比べて、高推力の
アクチュエータにできる。また、縦1次共振周波数に対
応する振動子の棒状弾性体の長さと形状を適宜選択する
ことにより、高推力を得るための振動子の設計を簡単に
行える利点がある。
【0022】請求項2に記載の発明では、第1の平面を
境にしてそれぞれ反対側に位置する圧電体を駆動する場
合と、第2の平面を境にしてしてそれぞれ反対側に位置
する圧電体を駆動する場合とで、移動体の移動方向が9
0゜変更される。
【0023】請求項3に記載の発明では、振動子の振動
の節となる部位近傍に溝状のネック部が形成されないも
のに比較して、共振の尖鋭度及び動アドミッタンスが良
好となる。
【0024】請求項4に記載の発明では、棒状弾性体に
形成された雌ねじ部に螺合される締結具を介して、振動
子が圧電素子の第2端部側において固定部(剛体)に支
持される。圧電素子及び弾性体を固定(積層化)する手
段として、接着接合によるものと比較して、締結具を用
いて固定する方が、駆動時に圧電素子がずれ難く、安定
な振動特性を得ることができる。
【0025】本発明の振動子を利用した超音波アクチュ
エータは、電磁式アクチュエータでは使用が困難な特殊
環境(高磁場下、高真空下等)において、軽量、低速、
高推力が要求される機器類及び装置等に使用する目的に
適している。
【0026】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)以下、本発明を具体化した第1の
実施の形態を図4〜図12に基づいて説明する。振動子
1は、図5に示すような、円柱状の弾性体2と、半割リ
ング状の圧電素子4a等と、ほぼ半割リング状の電極板
6a等とを組み合わせて、締結具としての六角穴付ボル
ト7で基台8に締付け固定することにより形成されてい
る。
【0027】図4に示すように、振動子1の軸方向と平
行な中心面を境にして両側に、第1の圧電体4及び第2
の圧電体5が対称に配置されている。両圧電体4、5は
それぞれ相反する方向に分極された(振動子1の軸方向
と直交する面を境にして互いに異なる側にそれぞれの分
極方向が振動子の軸方向と平行で互いに逆方向となる)
2層の圧電素子4a,4b,5a,5bとその間に配置
された電極板6a,6bにより構成されている。圧電素
子4a等の分極方向は矢印で示す。
【0028】弾性体2は材質を鋼として、外径30mm
で中心部近傍に、M10の雌ねじ部2bが形成されると
ともに、その奥に中空部が形成されている。そして、六
角穴付ボルト7が雌ねじ部2bに螺合されるようになっ
ている。弾性体2として、長さが20mm、30mm、
40mm、50mmの4種類用意した。
【0029】圧電素子4a等は材質をPZT(ジルコン
酸・チタン酸鉛系の多結晶体)として、外径30mm、
内径10mm、厚み0.5mmの円形リング状のものを
半割にしたものが使用されている。電極板6a,6bに
は厚さ0.1mm程度の銅板を外径30mm、内径10
mmの半割リングの外側に突部を備えた形状に形成した
ものが使用されている。そして、各圧電素子4a等と両
電極板6a,6bとを積層した圧電体4,5を弾性体2
と基台8間に配置したとき、その端面間に隙間がある状
態となるように、各圧電素子4a等及び両電極板6a,
6bはその分割端面が削られた形状となっている。基台
8には材質が鋼で、各辺の長さが100mm、厚みが2
0mmのブロックが使用され、その中心に孔8aが形成
されるとともに、底部に六角穴付ボルト7の頭部を収容
する凹部9が形成されている。
【0030】そして、第1の圧電体4の電極板6aをア
ンプ10及びフェイズシフタ11を介して2相発振器1
2と接続した。第2の圧電体5の電極板6bをアンプ1
0を介して2相発振器12と接続した。また、基台8を
接地した。弾性体2と基台8とは六角穴付ボルト7によ
り互いに導通された状態にあるため、基台8を接地する
ことにより弾性体2も接地される。
【0031】基台8をプラスチック製のバイスで固定し
た状態で、4種類の弾性体2を使用した振動子1につい
て共振周波数を測定した。その結果を図6に示す。図6
において、縦軸は縦1次共振周波数f(kHz)を示し、
横軸は振動子1の弾性体2の長さLを示す。図中黒丸印
は測定で得られた4種類の振動子1の共振周波数を示
し、実線は振動子1の材質を鋼として、一端固定、他端
自由の条件で求めた縦1次共振周波数の計算値を示す。
実際に試作した振動子1は計算値よりも約1〜2kHz高
い値となったが、ほぼ計算値に一致した。従って、計算
値に対して上述の補正を行えば、振動子の駆動(共振)
周波数を見積もることができる。
【0032】次に、アクチュエータ用振動子として利用
できるか否かを検討するため、弾性体2の長さ50mm
の振動子1を用い、第1の圧電体4及び第2の圧電体5
に対して、電圧の位相差を+90°与えて、駆動周波数
を19.5kHzで振動子1を駆動した。そして、振動子
1(弾性体2)にベアリングを押し当てた状態で、ベア
リングの回転方向を観察した。その結果を図7(a)に
示す。
【0033】弾性体2の先端面では、全領域で左方向
(反時計回り方向)にベアリングが回転した。一方、弾
性体2の周面では、圧電体4、5の対向する端面の隙間
と平行で弾性体2の中心軸を含む第1の面P1(図8に
鎖線で図示)と直交する第2の面P2(図8に鎖線で図
示)と交差する位置の動きは、先端面から11〜12m
m付近でベアリングの回転が停止するノード部位が存在
し、そのノード部位を境にして、ベアリングの回転方向
が変わることがわかった。即ち、基台8から弾性体2の
長さの約75〜80%近傍までは右方向(時計回り方
向)の変位の楕円軌跡を生じ、それより先端側では逆方
向となった。
【0034】弾性体2の周面の変位の楕円軌跡は、第2
の面P2と交差する線上でもっとも顕著に生じ、第1の
面P1と交差する線上ではその変位は生じなかった。次
に駆動周波数を19.5kHzに固定し、電圧の位相差を
+90°から−90°に変更して、ベアリングの回転方
向を観察した。その結果を図7(b)に示す。振動子1
の先端面に押し当てたベアリングの回転方向は右方向
(時計回り方向)となり+90°の位相差の場合と逆方
向になることが確認された。また、弾性体2の周面にお
けるベアリングの回転方向も、+90°の位相差の場合
と比べて逆方向になっているのが確認された。
【0035】次に同じ駆動周波数で、第1の圧電体4
(A相)のみの駆動状態での振動子1の動きを観察し
た。その結果、図7(c)に示すように、+90゜の位
相差を与えて駆動した状態(図7(a))とほぼ同じ動
きをしていることがわかった。同様に第2の圧電体5
(B相)のみの駆動状態での振動子1の動きを観察し
た。その結果、A相のみの駆動状態に比べて逆方向の動
きになることが確認された。即ち、図7(d)に示すよ
うに、−90゜の位相差を与えて駆動した状態(図7
(b))とほぼ同じ動きをしていることがわかった。
【0036】これらのことから振動子1の変位の楕円軌
跡の方向転換は、両圧電体4,5に印加する電圧の位相
差の変更あるいは駆動源の切換で行うことが可能であこ
とが判明した。
【0037】次に振動子1の状態をレーザドップラ振動
(速度)計を用いて、非接触状態で観察した。図7
(a)〜(d)の結果を得るためベアリングを用いて観
察した部位について、弾性体2の長さが異なる振動子1
について測定した。測定結果を図9に示す。図9におい
て、振動速度波形aは弾性体2の先端のaで示す位置に
対応し、振動速度波形bは弾性体2のbで示す位置に対
応し、振動速度波形cは弾性体2のcで示す位置に対応
するものである。振動子1の動きは、ベアリングで観察
した結果と同様にすべての振動子1の弾性体2の長さL
の約75〜80%近傍で、振動のノード部位が存在し、
上端と下端では振動速度(図9のX方向成分)の位相変
化があり、振動の方向が変わっているのが確認された。
【0038】この測定結果は、図2で示した振動子1全
体の面内歪みにおける曲げ2次の振動成分(図2の第II
工程及び第IV工程に対応)を測定したものである。図9
から明らかなように、弾性体2が縦1次長さ共振(図9
のY方向の振動)する長さで、曲げ2次振動(図9のX
方向の振動)を随伴励起できる。
【0039】振動子1の弾性体2の長さを変化させた際
の、振動子1のX,Y方向の振幅比Y/Xと弾性体2の
長さLの関係を図10に示す。弾性体2の長さLが20
〜50mmの間では振動子1の振幅比Y/Xの値が1.
8〜3.0程度まで変更できるのがわかる。
【0040】次に移動体とおもりを兼ねた鋼片を用意
し、振動子1の推力を測定した。図11に示すように、
振動子1の先端に移動体13を載置し、バネばかりSB
に振動子1の軸方向と直交する方向(水平方向)に力が
加わる状態で移動体13とバネばかりSBとを連結し、
移動体13に加えるおもり(図示せず)の重量FWを変
えるとともに、移動体13が移動したときのバネばかり
SBの計測値を推力Fdとした。比較のため、図27に
示した振動子71についても推力Fdを測定した。結果
を図12に示す。図中、破線は振動子71、実線は振動
子1の結果を示す。
【0041】振動子71は、おもりの重量7kgfで推力
約500gが得られたが、重量7kgfを越えた重量を加
えると移動体は動かなかった。一方、振動子1の場合
は、おもりの重量10kgfで2.5kgの推力が得られ
た。おもりの重量10kgf以上でもなお移動体13が動
いたが、測定はおもりの重量10kgfで中断した。この
結果から、本発明の振動子1は比較的高い加圧力にも十
分耐えることができ、高推力が得られることがわかっ
た。
【0042】この実施の形態では以下の効果を有する。 (イ) 振動子1は片持ち状態でその一端側が剛体の固
定部(基台8)に固定された状態で駆動され、棒状弾性
体2が縦1次共振振動する際に曲げ2次振動が随伴励起
される。その結果、振動子1は比較的高い加圧力に十分
耐えることができ、高推力が得られる。
【0043】(ロ) 棒状弾性体2には振動子1を固定
部(基台8)に支持するための締結具(六角穴付ボルト
7)が螺合される雌ねじ部2bが形成されているため、
圧電素子4a,4b,5a,5b及び弾性体2を固定
(積層化)する手段として、接着接合によるものと比較
して、駆動時に圧電素子がずれ難く、安定な振動特性を
得ることができる。
【0044】(ハ) 六角穴付ボルト7による締付け部
が振動子1の中心軸となり、中心軸を挟んで対称に配置
された圧電体4,5に生じる伸縮振動による力が曲げ振
動を励起させ易くなる。
【0045】(ニ) 振動子1を構成する弾性体2の長
さを変更しても、その長さに対応する縦1次共振周波数
で振動子1を駆動することにより、曲げ2次振動が随伴
励起されるため、振動子1の長さの自由度が大きい。
【0046】(ホ) 振動子1を駆動したとき、弾性体
2の変位の楕円軌跡の向きの変更が、両圧電体4,5に
印加する電圧の位相差の変更あるいは、圧電体4,5を
片側ずつ駆動するとともに、駆動する圧電体を変更する
ことで可能となる。従って、アクチュエータ用振動子と
して使用した場合、移動体13の方向転換が簡単にな
る。
【0047】(ヘ) 振動子1が駆動するとき、弾性体
2の先端側の所定位置を挟んで弾性体2の周面に生じる
変位の楕円軌跡の向きが互いに逆方向となるため、弾性
体2の周面を使用することにより、移動体と接触する部
位を軸方向で変えることにより、移動体の方向転換が可
能となる。
【0048】(第2の実施の形態)次に第2の実施の形
態を図13に従って説明する。この実施の形態では弾性
体2の形状を変えて、振動子1としての機能を比較し
た。振動子1の構成は弾性体2のみが異なり、その他の
構成はすべて同じにして行った。弾性体2として縦1次
共振長さLを50mmで一定にし、図13に記号XI〜XV
で示す形状の弾性体2を用意した。XI〜XVの弾性体2の
形状寸法は次の通りである。
【0049】XIは直径30mmの円柱の先端に、幅15
mm、深さ10mmのV溝が形成されている。XII は直
径30mmの円柱の先端に、軸方向の厚み5mm、直径
50mmのフランジが形成されている。
【0050】XIIIは基端が直径30mm、先端が直径2
0mmの円錐台形状に形成されている。XIV は振動子の
節となる部位近傍に、直径20mmで溝幅5mmのネッ
ク部が形成されている。
【0051】XVは圧電体4、5の対向する端面の隙間と
平行で弾性体2の中心軸を含む面と直交する面と交差す
る部位の、振動の節となる部位近傍に、深さ5mmで幅
5mmのくびれ部が形成されている。
【0052】比較例STDとして直径30mmの円柱状
のものを用意した。検討した振動子の動アドミッタンス
特性を比較した結果を図13に示す。図中○印は共振周
波数(fo )を示し、△は共振の尖鋭度(Q)を示し、
×印は動アドミッタンス(Ymo)を示す。
【0053】STDが共振周波数(縦1次共振周波数≒
駆動周波数)fo =19.5kHzに対して、XI〜XVの弾
性体は18〜20kHzの範囲に収まった。検討した振動
子の中では共振の尖鋭度(Q)及び動アドミッタンス
(Ymo)が良かったものは、振動の節となる部位にネッ
ク部を形成したXIV であった。
【0054】また、この5種類の弾性体を使用した振動
子に第1の実施の形態と同様にベアリングを当てて振動
子の動きを観察した結果、STDと同様な動きをしてい
るのが確認された。
【0055】この結果から、振動子の弾性体の形状は長
さを決定すれば、弾性体の若干の形状変更は可能である
ことがわかった。なお、この実施の形態では記号XI〜XV
で示すの単独の形状の例を示したが、XI〜XVの類似形状
並びにXI〜XVを複合させた形状としても、振動子として
同様な機能を発揮すると判断できる。
【0056】(第3の実施の形態)次に第3の実施の形
態を図14〜図16に従って説明する。この実施の形態
では図14に示すように、振動子1の軸を中心として4
個の四半円弧状の圧電体14,15,16,17が同一
平面上に90°ずつ位置的に位相をずらした状態で、各
圧電体14,15,16,17が互いに干渉しない状態
で配置されている。各圧電体14,15,16,17は
それぞれ一対の圧電素子14a,14b、15a,15
b、16a,16b、17a,17b間に配置された電
極板14c,15c,16c,17cを介してA相ある
いはB相の交流駆動電圧がそれぞれ印加されるようにな
っている。
【0057】電極板14cはアンプ10及びフェイズシ
フタ11を介して2相発振器12に接続され、A相の電
圧が印加されるようになっている。電極板15cはアン
プ10及びフェイズシフタ11を介して2相発振器12
からA相の電圧が印加される状態と、アンプ10を介し
て2相発振器12からB相の電圧が印加される状態とに
スイッチ18を介して切換接続されるようになってい
る。電極板16cはアンプ10を介して2相発振器12
に接続され、B相の電圧が印加されるようになってい
る。電極板17cはアンプ10及びフェイズシフタ11
を介して2相発振器12からA相の電圧が印加される状
態と、アンプ10を介して2相発振器12からB相の電
圧が印加される状態とにスイッチ19を介して切換接続
されるようになっている。両スイッチ18,19は互い
に連動され、電極板15cがA相と接続される場合は電
極板17cがB相と接続され、電極板15cがB相と接
続される場合は電極板17cがA相と接続されるように
なっている。
【0058】従って、スイッチ18をA相と接続する位
置、即ちスイッチ19をB相と接続する位置に切り換え
た状態では、振動子1は図16aに示すように、振動子
1の軸を含み圧電体15と圧電体16との対向する端面
と平行な第1の平面を中心として互いに異なる側に、A
相に接続された圧電体14,15と、B相に接続された
圧電体16,17とがそれぞれ配置された状態となる。
そして、A相とB相とに+90°の位相差を与えて2相
駆動で振動子1を駆動すると第1の平面を中心として振
動し、第1の実施の形態の振動子1と同様にその先端面
で移動体を移動させる場合、移動体を図16(a)の左
側に移動させる。A相とB相とに−90°の位相差を与
えて2相駆動で振動子1を駆動すると、移動体を図16
(a)の右側に移動させる。
【0059】また、スイッチ18をB相と接続する位
置、即ちスイッチ19をA相と接続する位置に切り換え
た状態では、振動子1は図16(b)に示すように、振
動子1の軸を含み、圧電体14(圧電体17)と圧電体
15(圧電体16)との対向する端面と平行な第2の平
面を中心として互いに異なる側に、A相に接続された圧
電体14,17と、B相に接続された圧電体15,16
とがそれぞれ配置された状態となる。そして、A相とB
相とに+90°の位相差を与えて2相駆動で振動子1を
駆動すると第2の面を中心として振動し、第1の実施の
形態の振動子1と同様にその先端面で移動体を移動させ
る場合、移動体を図16(b)の右側に移動させる。A
相とB相とに−90°の位相差を与えて2相駆動で振動
子1を駆動すると、移動体を図16(b)の左側に移動
させる。
【0060】即ち、この実施の形態の振動子1は、全体
形状を大きくすることなく、第1の実施の形態の振動子
1と同じ推力で移動体を移動させることができ、スイッ
チ18,19を切り換えて駆動する圧電体14,15,
16,17を選択することにより、移動体の移動方向を
図15の矢印EW方向と矢印NS方向とに切り換えるこ
とができる。
【0061】(第4の実施の形態)次に多数の振動子1
を使用してアクチュエータに適用した実施の形態を図1
7に従って説明する。長尺の移動体13の長手方向(図
17の左右方向)に沿って複数個(この実施の形態では
3個)の振動子1が配設されている。移動体13を挟ん
で振動子1と反対側にはガイドローラ20が配置されて
いる。振動子1は第1の実施の形態の振動子1とほぼ同
様に構成されている。振動子1の基端側が支持フレーム
20aに対して固定されている。ガイドローラ20はば
ね等の加圧手段(図示せず)を介して移動体13を振動
子1側へ押圧する状態に配設されている。各振動子1の
第1の圧電体4の電極板6aはそれぞれ共通の交流駆動
源21に接続され、第2の圧電体5の電極板6bはそれ
ぞれ共通の交流駆動源22に接続されている(アンプ、
フェイズシフタ等は図示せず)。
【0062】各振動子1の第1の圧電体4と第2の圧電
体5に対して+90°の位相差で交流駆動源21,22
から電圧が印加されると、各振動子1の先端に図17の
反時計方向回りの変位となる楕円軌跡が発生し、移動体
13が図17の左方向へ移動させられる。また、各圧電
体4,5に対して−90°の位相差の電圧が印加される
と、各振動子1の先端に図17の時計方向回りの変位と
なる楕円軌跡が発生し、移動体13が図17の右方向へ
移動させられる。即ち、この多数の振動子1を使用した
アクチュエータでは2個の交流駆動源21,22の印加
電圧の位相差を変更することにより、移動体13の移動
方向を転換できる。
【0063】なお、本発明は前記各実施の形態に限定さ
れるものではなく、例えば、次のように具体化してもよ
い。 (1) 図18に示すように、第1の圧電体4の分極方
向と第2の圧電体5の分極方向とを違えてもよい。即
ち、第1の圧電体4を構成する圧電素子4a,4bの分
極方向は第1の実施の形態と同じで、第2の圧電体5を
構成する圧電素子5a,5bの分極方向は第1の実施の
形態と逆方向とする。あるいは、図18とは逆に、第1
の圧電体4を構成する圧電素子4a,4bの分極方向は
第1の実施の形態と逆で、第2の圧電体5を構成する圧
電素子5a,5bの分極方向を第1の実施の形態と同じ
方向としてもよい。この場合、弾性体2に曲げ振動をよ
り励起させ易くなる。
【0064】(2) 図19に示すように、弾性体2と
基台8との間に配置される第1の圧電体4を構成する圧
電素子4a,4bと、第2の圧電体5を構成する圧電素
子5a,5bとをそれぞれ4層としたり、4層以上の偶
数層構造としてもよい。なお、隣接して対を成す圧電素
子間には接地電極23を配置する。この場合変位が拡大
する。第1の実施の形態や第3の実施の形態の各圧電体
4,5,14,15,16,17においても同様に、各
圧電体4,5等の各圧電素子4a,4b,5a,5b等
を4層以上の偶数構造とすれば、変位が拡大する。
【0065】(3) 図20に示すように、弾性体2と
基台8との間に90°の位置的位相差で配置された圧電
体14,15,16,17のうち、振動子1の中心軸を
挟んで互いに対向する位置に配置された圧電体14,1
6を、電極板14c,16cを介してA相及びB相の交
流駆動電圧がそれぞれ印加される状態とする(発振器、
フェイズシフタ、アンプ等は図示せず)。また、圧電体
15,17を電極板15c,17c介してC相及びD相
の交流駆動電圧がそれぞれ印加される状態とする(発振
器、フェイズシフタ、アンプ等は図示せず)。この場合
は、A相とB相との2相駆動で振動子1を駆動する状態
と、C相とD相との2相駆動で振動子1を駆動する状態
とに切り換えることにより、移動体の移動方向を90゜
変更することができる。
【0066】(4) 弾性体2の形状は、円柱状に限ら
ず、その軸方向と直交する断面形状が四角形、三角形、
六角形、八角形等の多角柱状のものや中空棒状であって
もよい。そして、第1の圧電体4及び第2の圧電体5等
として対応するリング形状の圧電素子を半割とした形状
や4分割した形状のものを使用する。
【0067】(5) 圧電素子4a,4b等、電極板6
a,6b等の厚みを前記実施の形態と異なる値としても
よい。 (6) 振動子1をアクチュエータとして使用する場
合、例えば図21に示すように、複数の振動子1を剛体
製の支持体24上に1列に固定し、各振動子1の先端面
が走行面25と当接する状態で走行面25上に載置し
て、自走式のアクチュエータ26を構成してもよい。こ
の場合、各振動子1の第1の圧電体4はアンプ10、フ
ェイズシフタ11を介して2相発振器12に接続され、
第2の圧電体5はアンプ10を介して2相発振器12に
接続される。
【0068】そして、第1の圧電体4と第2の圧電体5
とに位相差を有する印加電圧を供給すると、アクチュエ
ータ26は図21の左側あるいは右側へ移動し、その移
動方向は位相差を例えば+90°と−90°に変更する
ことにより方向転換される。また、第3の実施の形態の
振動子1を使用してこのアクチュエータ26を構成する
と、アクチュエータ26は図21の左右方向だけでな
く、紙面と直交する方向にも移動できる。
【0069】(7) 弾性体2及び圧電素子4a,4
b,5a,5b等を積層化する手段として、六角穴付ボ
ルト7を使用する代わりに他のボルトを使用してもよ
い。また、図22に示すように、弾性体2に雄ねじ部2
cを突設し、基台8側に形成したねじ穴8bに雄ねじ部
2cを螺合して圧電素子4a,4b,5a,5b等を弾
性体2と基台8間に締め付け固定してもよい。また、締
結具等により締め付け固定する形態に限らず、接着接合
する形態であってもよい。しかし、締結具等により締め
付け固定する形態の方が接着接合による固定より好まし
い。また、基台8等に固定する前の取扱を便利にするた
め、弾性体2と圧電体4,5等を接着材で仮固定してお
き、基台8等への固定は締結具を使用して行うようにし
てもよい。
【0070】(8) 図23に示すように、第1及び第
2の圧電体4,5の下側に曲げ振動の対称面を挟んで両
側に跨る第3の圧電体27を配置してもよい。第3の圧
電体27はリング状の圧電素子27a,27bとその間
に配置されたリング状の電極板27cとから構成されて
いる。
【0071】前記各実施の形態及び変更例から把握でき
る請求項記載以外の発明について、以下にその効果とと
もに記載する。 (1) 請求項1に記載の発明において、第1の圧電体
と第2の圧電体とはその分極方向が互いに逆方向となる
ように構成されている。この場合、棒状弾性体に曲げ振
動がより励起され易くなる。
【0072】(2) 請求項1に記載の振動子と、その
振動子を構成する第1及び第2の圧電体への印加電圧の
位相差を±90°又はその近辺で切換可能とした電源部
を備えた超音波アクチュエータ。この場合、印加電圧の
位相差を±90°又はその近辺で切り換えるという簡単
な構成で容易に移動体の移動方向を転換できる。
【0073】(3) 請求項2に記載の4個の圧電体
は、第1の面及び第2の面を挟んでそれぞれ2個ずつ位
置するように配置され、各圧電体にそれぞれ設けられた
電極板は、第1の面を挟んで同じ側に位置する各2個の
圧電体にそれぞれ同じ電圧が印加される状態と、第2の
面を挟んで同じ側に位置する各2個の圧電体にそれぞれ
同じ電圧が印加される状態とに、切り換え可能なスイッ
チを介して電源と接続されるように構成されている。こ
の場合、駆動する圧電体と電源との接続状態をスイッチ
を切り換えて変更することにより、移動体の移動方向を
4方向に切り換えることができるとともに、振動子の全
体形状を大きくすることなく大きな推力を確保できる。
【0074】(4) 請求項2又は(3)に記載の振動
子と、その振動子を構成する4個の圧電体に対して、振
動子の軸を含む第1の平面を挟んで反対側に位置する圧
電体同士、あるいは第2の平面を挟んで反対側に位置す
る圧電体同士に、駆動電圧を印加するとともに印加電圧
の位相差を±90°又はその近辺で切換可能とした電源
部を備えた超音波アクチュエータ。この場合、印加電圧
の位相差を±90°又はその近辺で切り換えるという簡
単な構成で容易に移動体の移動方向を4方向に変更でき
る。
【0075】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜請求項
4に記載の発明によれば、大きな振幅が得られる共振系
で、大きな加圧力に耐え得る構造のため、高推力のアク
チュエータ用振動子が得られる。
【0076】請求項2に記載の発明によれば、移動体の
移動方向を直交する4方向(例えば、前後左右の4方
向)に変更することができる。請求項3に記載の発明に
よれば、振動子の振動の節となる部位近傍に溝状のネッ
ク部が形成されないものに比較して、共振の尖鋭度及び
動アドミッタンスが良好となる。
【0077】請求項4に記載の発明によれば、圧電素子
及び弾性体を接着接合により固定(積層化)するものと
比較して、駆動時に圧電素子がずれ難く、安定な振動特
性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 振動子の構成を示す模式図。
【図2】 振動子先端の変位を示す模式図。
【図3】 変位の楕円軌跡の模式図。
【図4】 第1の実施の形態の振動子構成を示す模式断
面図。
【図5】 (a)は圧電素子の斜視図、(b)は電極板
の斜視図、(c)は弾性体の斜視図。
【図6】 弾性体の長さと振動子の共振周波数との関係
を示す線図。
【図7】 (a)はA,B相の位相差+90°、(b)
はA,B相の位相差−90°、(c)はA相のみ、
(d)はB相のみで振動子を駆動した場合の弾性体表面
の変位の楕円軌跡の状態を示す模式図。
【図8】 振動子の曲げ振動の中心面と圧電体の関係を
示す模式平面図。
【図9】 振動子の振動速度波形と振動子の動きを示す
模式図。
【図10】振動子の振幅比と弾性体長さとの関係を示す
線図。
【図11】振動子の推力測定方法を示す模式図。
【図12】振動子の推力とおもりの重量との関係を示す
線図。
【図13】弾性体の形状と振動子の特性との関係を示す
グラフ。
【図14】第3の実施の形態の圧電体及び電極板の配置
を示す模式平面図。
【図15】同じく振動子の模式斜視図。
【図16】(a)は振動子の模式正面図、(b)は振動
子を圧電体16,17側から見た模式側面図。
【図17】第4の実施の形態のアクチュエータの模式
図。
【図18】変更例の振動子の模式正面図。
【図19】別の変更例の振動子の模式正面図。
【図20】変更例の振動子の圧電体及び電極板の配置を
示す模式平面図。
【図21】自走式アクチュエータの概略側面図。
【図22】変更例の振動子の模式断面図。
【図23】別の変更例の振動子の模式正面図。
【図24】従来装置の概略斜視図。
【図25】別の従来装置の概略分解斜視図。
【図26】従来装置の作用を示す模式図。
【図27】別の振動子の模式図。
【符号の説明】
1…振動子、2…弾性体、4…第1の圧電体、4a,4
b…圧電素子、5…第2の圧電体、5a,5b…圧電素
子、7…締結具としての六角穴付ボルト、8…固定部と
しての基台、14〜17…圧電体、14a〜17a,1
4a〜17a…圧電素子。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動子の軸方向に対して、圧電素子を少
    なくとも2層に配置し、そのうちの少なくとも2層の圧
    電素子を、前記軸方向と平行な面を境にして第1の圧電
    体と第2の圧電体とに分割して配置するとともに、第1
    の圧電体と第2の圧電体はそれぞれ前記軸方向と直交す
    る面を境にして互いに異なる側にそれぞれの分極方向が
    前記軸方向と平行で互いに逆方向となる圧電素子で構成
    し、その圧電素子の軸方向の第1端部に棒状弾性体の一
    端を固定し、その棒状弾性体の長さを、前記圧電素子の
    第2端部を固定端とした状態で棒状弾性体が縦1次共振
    振動する際に曲げ2次振動を随伴励起する長さとしたこ
    とを特徴とする超音波アクチュエータ用振動子。
  2. 【請求項2】 振動子の軸方向に対して、圧電素子を少
    なくとも2層に配置し、そのうちの少なくとも2層の圧
    電素子を、前記振動子の軸を中心として、それぞれ90
    ゜位相がずれた位置に4個の圧電体に分割し、1組の圧
    電体は振動子の軸を含む第1の平面を境にして互いに異
    なる側に配置し、他の1組の圧電体は振動子の軸を含む
    とともに第1の平面と直交する第2の平面とを境にして
    互いに異なる側に配置し、それぞれの分極方向が前記軸
    方向と平行で互いに逆方向となる圧電素子で構成し、そ
    の圧電素子の軸方向の第1端部に棒状弾性体の一端を固
    定し、前記棒状弾性体の長さを、前記圧電素子の第2端
    部を固定端とした状態で棒状弾性体が縦1次共振振動す
    る際に曲げ2次振動を随伴励起する長さとしたことを特
    徴とする超音波アクチュエータ用振動子。
  3. 【請求項3】 前記棒状弾性体には振動子の振動の節と
    なる部位近傍に溝状のネック部が形成されている請求項
    1又は請求項2に記載の超音波アクチュエータ用振動
    子。
  4. 【請求項4】 前記棒状弾性体には振動子を前記圧電素
    子の第2端部側において固定部に支持するための締結具
    が螺合される雌ねじ部が形成されている請求項1〜請求
    項3のいずれか1項に記載の超音波アクチュエータ用振
    動子。
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WO2020154227A1 (en) * 2019-01-23 2020-07-30 California Institute Of Technology Multi-stack piezo actuator

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