JPH09267058A - ワーク加電塗装システム - Google Patents

ワーク加電塗装システム

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JPH09267058A
JPH09267058A JP10372796A JP10372796A JPH09267058A JP H09267058 A JPH09267058 A JP H09267058A JP 10372796 A JP10372796 A JP 10372796A JP 10372796 A JP10372796 A JP 10372796A JP H09267058 A JPH09267058 A JP H09267058A
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JP
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high voltage
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coating
communication
conveyor
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Application number
JP10372796A
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English (en)
Inventor
Shinichi Nakane
慎一 中根
Tokuyuki Achinami
徳幸 阿知波
Katsuhiro Ishikawa
勝浩 石川
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Trinity Industrial Corp
Original Assignee
Trinity Industrial Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ワーク加電塗装システムにおいて、塗装ブース
外の自動制御装置17の故障不良により高電圧発生装置8
への通信が不能となっても、発生装置8における高電圧
印加動作を自動的に停止することができ、安全性の面で
より改良する。 【解決手段】被塗装物20をスラットコンベヤ1または自
走式台車上の絶縁碍子4a、4bに搭載し搬送するととも
に、発生装置8により高電圧を被塗装物20に印加して、
接地された塗装機を用いて水性塗料で静電塗装を行なう
塗装システムにおいて、発生装置8(特に誘導路より給
電を受けているもの)は各々、自動制御装置17と送受信
しうる過程において、装置17よりの送信が所定の時間の
間途絶えたとき、自ら高電圧印加動作を停止することが
できる制御システムを備えてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワーク加電塗装シ
ステムと呼称されるところの、接地された塗装機および
塗装ロボット等を用い高電圧を被塗装物に印加すること
により、水性塗料で静電塗装を行なう新規な塗装システ
ムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車ボディ等の静電塗装は、一
般に、−60〜−150kVの高電圧を静電塗装機に印
加することにより、絶縁性塗料を接地された被塗装物に
向けて霧化・噴霧するという方法により行なわれてき
た。しかし、この塗装法に使用される絶縁性塗料には、
シンナー等の有害な有機溶剤が多く含まれている。近
年、環境保護の運動が世界的に高まり、産業界における
有機溶剤の使用の規制が叫ばれてきており、これに呼応
して塗装業界においては、有機溶剤を少ししか含まない
塗料、即ち水性塗料(水溶性塗料および狭義の水性塗
料)で以て静電塗装を行なうことが推奨されている。
【0003】しかしながら、水性塗料は導電性を有する
ため、これを静電塗装機より霧化・噴霧する場合には、
その塗装機に印加した高電圧電流が塗料を通じてリーク
しないように、塗料の供給系全体を絶縁処理する必要が
ある。現在、自動車ボディの塗装設備にあっては、通
常、数十色の塗料を使用して多色色替え塗装が為されて
いるので、各色ごとに塗料配管および塗料タンク等をそ
れぞれ絶縁処理することは、非常に煩雑な作業であり、
また、かかる絶縁処理は、防爆チャンバ等の付設をも伴
うので、塗装設備の大変な複雑化および大型化を招くこ
とになる。
【0004】そこで、従来、塗料配管系に絶縁処理を施
すことなく、導電性塗料を用いて静電塗装を行ないうる
ようにするいくつかの塗装システムが提案されている
(実開平 3-105948 号公報、実開平 4-16796号公報等
参照)。しかし、提案されたこれらの塗装システムは、
接触子と集電レールの接触により生じたスパークの熱に
より、これらの表面が徐々に融けていき、やがて凹凸が
形成されるので、接触子および集電レールは頻繁に交換
する必要があり、また、集電レールには塗料が付着しや
すく、頻繁に洗浄処理をなす必要があるという欠点を有
する。また、高電圧印加領域において、被塗装物を通常
のコンベヤから絶縁コンベヤに乗せ換え、そして高電圧
を被塗装物に印加して静電塗装を行なうという方法も提
案されている(特開平 3-224651 号公報、同 4-225857
号公報等)。しかし、この方法では、コンベヤから他の
コンベヤヘの乗り換えの際のスパークの発生を防止する
ために、高電圧印加領域の出入口に電圧の昇降動作を行
なうゾーンを設けることが必要とされ、塗装設備が大掛
かりなものとなる。また、その電圧昇降制御も一般に面
倒である。
【0005】本発明者らは、かかる事情を考慮し、鋭意
研究を重ねた結果、被塗装物への高電圧の印加により、
水性塗料で以て静電塗装をなすことができるところの新
規な塗装システムを開発するに至った。すなわち、その
新規な塗装システムは、特願平 7-61809号等に開示され
るように、接地された塗装機を無端状スラットコンベヤ
の近くに配備するとともに、電磁誘導の一次回路となる
誘導路(リッツ線)を該コンベヤの搬送方向に設置し、
かつ、電磁誘導の二次回路となるピックアップコイルを
該誘導路と非接触で対向するようにコンベヤの走行部材
(スラット)に取付け、また、被塗装物を搭載するため
の電極アタッチメントを該スラット上に絶縁碍子を介し
て絶縁状態で取付け、さらに高電圧発生装置をスラット
上に備え付けて構成され、誘導路とピックアップコイル
の電磁誘導により生じた起電力を昇圧し、それを電極ア
タッチメントに供給することにより、所要の高電圧を搭
載された被塗装物に対して印加し、これと同時に、水性
塗料を塗装機より吐出または噴霧することにより、静電
塗装を行なうという塗装システムであり、本発明者はこ
れをワーク加電塗装システムと呼称する。
【0006】上記の塗装システムは、これまでに提案さ
れた塗装システムとは異なり、スパークの発生や設備の
大型化など、上述した諸欠点が生じず、優れたシステム
である。しかし、本塗装システムの稼働中、塗装ブース
の内部は高電圧が頻繁に印加されている危険な環境にあ
り、例えば、塗装ブース内への作業者の立ち入り等は極
力避けられるべきである。したがって、上記のワーク加
電塗装システムにあっては、稼働時、作業者が塗装ブー
スの外から、被塗装物への高電圧印加および塗装機の塗
料噴霧などに関して監視・制御できるようにすることが
必要とされる。この場合、高電圧発生装置等は稼働時コ
ンベヤ上を常に走行するので、その運転・動作に関して
有線方式の制御法が採用しずらい。
【0007】そこで、本出願人は、特願平 7-61810号、
特願平 7-99862号、特願平 7-63437号等の出願に開示さ
れるように、一方の無線機はスラットコンベヤ上に高電
圧発生装置のコントローラと接続してまた他方の無線機
は塗装ブース外に自動制御装置と接続して備え、そし
て、これら無線機の組を経由するコントローラと自動制
御装置との間の双方向送受信により、被塗装物への高電
圧印加および塗装機の塗料噴霧などに関する自動制御を
行なうという運転制御法を提案した。この運転制御法に
よれば、塗装ブース外からの制御信号の無線送信によ
り、被塗装物への高電圧印加オンオフを制御し、かつ、
コンベヤ上からの監視信号の無線受信により、高電圧の
印加具合などを監視することができ、従って、ワーク加
電塗装システムの確実安全な運転制御が可能になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、かかるワー
ク加電塗装システムにあっては、普通、相当な数(例え
ば約20個)の高電圧発生装置がスラットコンベヤに組
み付けられ、そして、稼働時には、これらが同時に走行
する。しかし、高電圧印加のオンオフ制御は、スラット
コンベヤ上の総ての高電圧発生装置に対して行なう必要
はなく、それら高電圧発生装置の内、その時点その時点
において誘導路よりピックアップコイルを介して実際に
給電を受けているいくつかの高電圧発生装置に対しての
み行ないうるようにするだけで十分である。また、塗装
ブース外の自動制御装置が総ての高電圧発生装置と順番
に送受信するという構成であるとき、各高電圧発生装置
にとっては、自動制御装置との送受信のサイクル時間が
長いものになり、印加制御の迅速性の面で不利となり、
さらに、この構成では、高電圧発生装置の故障不良の発
生に対して適切・迅速な対応を採れない虞がある。そこ
で、出願人は、上述の欠点を解消するために、本出願と
同日付けの特許出願により、塗装ブース外の自動制御装
置と、塗装ブース内を走行する相当数の高電圧発生装置
のうち、その時点において誘導路よりの給電を受け始め
たものより数えて所定数の高電圧発生装置との間で、双
方向の無線送受信をすることができる新規な制御システ
ムを備えたワーク加電塗装システムをさらに提案した。
【0009】しかし、自動制御装置の故障、特に高電圧
発生装置への通信不良が発生したときの対応処置に関し
て、これまでに提案されてきたワーク加電塗装システム
の技術にあっては、更なる改良が必要とされていた。す
なわち、万一、塗装ブース外の自動制御装置の故障、不
良が発生したとき、併せて、塗装ブース内の、特に誘導
路よりの給電を受けているいくつかの高電圧発生装置の
運転(とりわけ、高電圧印加動作)をも、停止する必要
がある。この場合、高電圧発生装置の動作を停止せず、
そのまま放置すると、被塗装物への高電圧印加動作が、
何ら制御されることなく、為されることとなり、重大な
事故の発生につながる虞がある。なお、これまでのワー
ク加電塗装システムにあっては、相当数の高電圧発生装
置を搬送する最適な手段として、主にスラットコンベヤ
を使用してきたが、これに代えて、自ら走行できる手段
であってかつ高電圧発生装置等を搭載しうるような機構
を利用することも可能であると考えられる。
【0010】本発明は、かかる事情に基づいてなされた
ものであって、自動制御装置の故障・不良により高電圧
発生装置への通信が不能の事態に至ったときも、高電圧
発生装置における高電圧印加動作を自動的に停止するこ
とができ、従って安全性の面でさらに改良されたワーク
加電塗装システムを提供することを課題とするものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】より明確には、本発明に
よるワーク加電塗装システムは、高電圧を被塗装物に印
加することにより、水性塗料で静電塗装を行なうワーク
加電塗装システムにおいて、塗装ブース内に備えられ
た、無端状コンベヤまたは所定の無端軌道に従って走行
する自走式台車と、該コンベヤまたは該自走式台車に組
み付けられ、これらの運転により走行し、搭載された被
塗装物を搬送する相当数の加電ユニットと、被塗装物の
搬送方向に沿って所定の長さで形成された誘導路と、塗
装ブース内に、搬送される被塗装物の近くに配置され
た、接地された塗装機と、塗装ブース外に配備された、
被塗装物への高電圧印加のオンオフ動作並びに該塗装機
の運転・動作を制御する自動制御装置よりなり、そし
て、前記加電ユニットは、 1)絶縁碍子を前記コンベヤ上にまたは前記自走式台車上
に立設しさらに電極アタッチメントをその上に取付けて
なる、被塗装物をそれへの通電可能に搭載できる支持手
段と、 2)前記コンベヤ上にまたは前記自走式台車に、前記誘導
路と非接触で対向するように取付けられたピックアップ
コイルと、 3)前記誘導路と該ピックアップコイルの電磁誘導により
生じた起電力を所要の高電圧電流に変換し、これをコン
トローラの動作に基づいて前記電極アタッチメントに供
給する高電圧発生装置とを備えてなり、また、一方は塗
装ブース外に前記自動制御装置と接続して設け、他方は
塗装ブース内に各々の前記加電ユニットのコントローラ
と接続して設け、これら両者間の双方向送受信を可能に
する無線機の組を備えてなり、さらに、前記加電ユニッ
トの高電圧発生装置は、各々、前記自動制御装置と送受
信しうる過程において前記自動制御装置よりの送信が所
定の時間の間途絶えたとき、自ら高電圧印加動作を停止
することができる制御システムを備えてなることを特徴
とする、ワーク加電塗装システムに関する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるワーク加電塗
装システムに使用される各要素を順に説明する。なお、
以降の説明において、自動制御装置は、親機と呼ぶこと
もあり、また加電ユニットまたは高電圧発生装置(もし
くはそのコントローラ)は、子機と呼ぶこともある。
【0013】本ワーク加電塗装システムは、塗装ブース
内に、無端状コンベヤ、特に無端状スラットコンベヤを
備えるか、または、これに代えて自走式台車を備える。
自走式台車は、被塗装物を搭載することができ、かつ、
自ら有する駆動機構により、塗装ブース内に形成された
所定の無端軌道に従って、走行することができる台車で
あればよい。自走式台車の走行に関する運転制御は、塗
装ブース外の自動制御装置により、為すことができる
が、この場合、加電ユニットに対する高電圧印加の制御
と同様、無線方式の制御法が採られる。
【0014】また、無端状コンベヤは、被塗装物を搬送
するためのコンベヤであって塗装ブース内に実質的に水
平に設置される。無端状スラットコンベヤ、無端状ベル
トコンベヤ等、コンベヤの種類は特に限定されない。該
コンベヤが無端状スラットコンベヤであるとき、その構
成は、並行する2条(あるいは3条以上)のエンドレス
チェーン、その各チェーンの両端が巻き掛けられたスプ
ロケット、および、チェーン間に各々張設された多数の
スラットより成る、一般的なスラットコンベヤ構造でよ
い。なお、より好ましい態様としては、スラットコンベ
ヤの下側には、加圧水(または加圧エア)の噴射器が付
設され、スラット上の絶縁碍子に向けての加圧水等の噴
射によりそれらの洗浄が可能であるところの構成が採用
される。また、スラットとしては、通常、めくら板のス
ラットが用いられるが、絶縁碍子、高電圧発生装置の各
部品、並びに送受信用無線機等を支持することができる
ものであれば、スラットの一部もしくは全体を、多孔
板、格子板またはパンチングメタル板と類似した構造に
仕上げてもよく、また、スラットの一部を切り欠いても
よい。
【0015】塗装機は、塗装ブース内に、搬送される被
塗装物の近くに例えばスラットコンベヤの近くに適宜配
置され、接地された状態に保たれる。この塗装機には、
トップレシプロ塗装装置、サイドレシプロ塗装装置およ
び塗装ロボット等に組み込まれたものが含まれる。本発
明で使用される塗装機は、塗料として、水性塗料または
水溶性塗料を利用するものであり、塗装機自体が接地さ
れた状態で使用される。塗装機としては、静電塗装機お
よび非静電の塗装機のいずれも、使用することができ
る。
【0016】本ワーク加電塗装システムは、塗装ブース
内に、所定の長さで、好ましくは長さの調節可能に形成
された誘導路(リッツ線とも呼ばれる。)を被塗装物の
搬送方向に沿って備えてなる。誘導路は、電磁誘導の一
次回路となるもので、例えば無端状コンベヤの上面より
やや下方に(スラットコンベヤであるとき、その上下の
スラット列の間に)、あるいは自走式台車の下面よりや
や下方に、搬送方向に沿って形成される。誘導路として
は、例えば、適当数の支柱を間隔をおいて配置し、そし
てそれらの支柱の上に多芯ケーブルを搬送方向に沿って
(通常、2本並行に)支持架設した構成のものでよく、
電磁誘導によりピックアップコイルに、高電圧発生装置
の一次電源として必要な起電力が生じる程度の低電力
(自動車ボディの塗装の場合には、例えば単相交流 300
V 〜 600V 、10kHz )が給電源より供給される構成のも
のでよい。従って、誘導路と塗装機との間に強い静電場
が形成されないので、しかもそれら両者の間にスラット
が介在しているので、塗装機からの塗料ミストは誘導路
に静電塗着されないと考えられる。
【0017】また、本ワーク加電塗装システムは、相当
な数(約20ー30個)の加電ユニットを一つの無端状
コンベヤ(スラットコンベヤ)にまたは無端軌道上の各
自走式台車に組み付けてなり、これにより、同時に連続
した静電塗装が可能なように構成される。加電ユニット
は、各々、被塗装物を搭載することができ、そして、無
端状コンベヤ(スラットコンベヤ)または自走式台車の
運転により走行し、これにより搭載された被塗装物を搬
送することができるものである。より具体的には、各々
の加電ユニットは、被塗装物をそれへの通電可能に搭載
できる支持手段と、電磁誘導の二次回路となるピックア
ップコイルよりなる。
【0018】支持手段は、自動車ボディ等の被塗装物
(またはそれを乗せた台車)を載せて支持するととも
に、それらを被塗装物への通電が可能なように搭載する
ことができる手段であり、絶縁碍子を無端状コンベヤ上
に、特にスラットコンベヤであるときスラット表面上
に、または自走式台車上に立設し、さらに電極アタッチ
メントをその上に取付けてなる。絶縁碍子は、例えば柱
形状を成し、無端状コンベヤ上に(スラットコンベヤの
ときスラット表面上に)または自走式台車上に、自動車
ボディの場合には通常前後に1本ずつまたは2本ずつ、
立設される。電極アタッチメントは、絶縁碍子の上に取
り付けられた導電性(金属製)の治具であり、自動車ボ
ディ等の被塗装物が搭載されたとき、それへの通電が可
能となるように構成されている。よって、電極アタッチ
メントは絶縁状態で無端状コンベヤ(スラットコンベ
ヤ)上または自走式台車上に備え付けられているので、
これに高電圧を印加しても、電流が無端状コンベヤ(ス
ラットコンベヤ)または自走式台車の上面へリークしな
い。また、1つの被塗装物に対応する絶縁碍子と電極ア
タッチメントの組は、被塗装物の長さや無端状コンベヤ
もしくは無端軌道の全長等に応じて、適当な数だけ無端
状コンベヤ上に、特にスラットコンベヤのときスラット
表面上に、または自走式台車上に備えられる。
【0019】ピックアップコイルは、電磁誘導の二次回
路となるものであって、無端状コンベヤに、特にスラッ
トコンベヤであるときスラット裏面上に、または自走式
台車に、例えば上記の前後の絶縁碍子の間の位置に、そ
して前記誘導路と非接触で対向するように、取付けられ
る。従って、ピックアップコイルは、無端状コンベヤの
運転により例えばスラットとともに走行し、もしくは自
走式台車の運転走行とともに無端軌道に従って走行し、
そして、このとき、誘導路との間で電磁誘導により起電
力(自動車ボディの塗装の場合には、例えば単相交流 5
0V〜 100V 、10kHz )を生じ、この電流を高電圧発生装
置に出力するものである。本システムでは、誘導路とピ
ックアップコイルが非接触で対向する構造であるので、
電磁誘導により生じた起電力を、ピックアップコイルが
誘導路と対向して走行している間、常に安定して高電圧
発生装置に供給することができる。従って、従来なされ
た高電圧印加領域の出入口ゾーンにおける電圧の昇降制
御をなすことなく、高電圧発生装置のオンオフ操作によ
って、被塗装物への高電圧の印加およびその停止を自動
的に行なうことができる。
【0020】また、上記の加電ユニットはそれぞれ、誘
導路とピックアップコイルの電磁誘導により生じた起電
力を所要の高電圧電流に変換し、これをコントローラの
動作に基づいて電極アタッチメントに供給するところの
高電圧発生装置をさらに備えてなる。高電圧発生装置
は、無端状コンベヤ(スラットコンベヤ)または自走式
台車に組み付けられ、そして、誘導路とピックアップコ
イルの電磁誘導により生じた起電力を一次電源とし、こ
れを昇圧して所要の高電圧電流に変換し、そして、これ
を上記の電極アタッチメントに供給することができる装
置であり、一般に変電ユニット、コントローラ、高電圧
発生器、並びに接地スイッチより構成される。高電圧発
生装置は高電圧の発生源であることから、好ましくは、
この装置の各部品(特にコントローラ等)は、一個もし
くはそれより多い個数の防爆ケーシングの中に収容され
る。
【0021】変電ユニットは、ピックアップコイルから
の起電力電流をコントローラへの一次電源に適合する電
流(普通、60Hzまたは50Hzの低周波電流)に調整する装
置であり、例えば、ピックアップコイルからの起電力電
流を集める端子、および、交流・直流変換部品並びにイ
ンバータ等より構成される。コントローラは、変電ユニ
ットと高電圧発生器の間に接続された、高電圧印加のオ
ン・オフ制御等を行なう制御装置であって、所定の制御
信号(例えば 12Vまたは 24V直流信号)を高電圧発生器
に送るとともに、印加される電圧・電流のモニター並び
にリーク電流等のモニターを行なう。従って、コントロ
ーラは、一般に高電圧印加のオン・オフ制御回路、印加
電圧・電流のモニター回路等を備えている。特に、コン
トローラは、無端状コンベヤ上または自走式台車上の送
受信用無線機とも接続されており、高電圧印加オン信号
が自動制御装置より無線機を介して入力されたときに
は、その印加オン信号を高電圧発生器に送り、所定の高
電圧を被塗装物に印加せしめ、これと同時に、被塗装物
への高電圧印加が為されたことを表わす信号を、無線機
を介して自動制御装置に送り、これに続いて、印加され
た電圧・電流値に関するモニター信号を無線機を介して
自動制御装置に送るという制御を為すように、また、高
電圧印加オフ信号が自動制御装置より無線機を介して入
力されたときには、その印加オフ信号を高電圧発生器に
送り、被塗装物への高電圧印加を停止せしめ、これと同
時に、高電圧印加が停止されたことを表わす信号を、無
線機を介して自動制御装置に送るという制御を為すよう
に、構成されている。高電圧発生器は、高周波パルス発
振器、変圧器および倍電圧整流回路(コッククロフト回
路)等を含み、コントローラからの電圧信号を受けて所
要の高電圧電流(自動車ボディの塗装の場合には、例え
ば、−60 kV 〜−150 kV (あるいは、+60 kV
〜+150 kV )、400μA )を発生させる装置であ
る。なお、自動車ボディ等の被塗装物に正の高電圧を印
加するかまたは負の高電圧を印加するかについては、被
塗装物の形状、塗装装置等の設置状況などに応じて適宜
選択することができる。接地スイッチ(高電圧遮断スイ
ッチとも呼称される)は、電極アタッチメントから無端
状コンベヤ上もしくは自走式台車上へのリーク電流が増
大した場合または接地された塗装機等が高電圧印加され
た被塗装物に異常に接近した場合等により異常な電圧が
生じているとき、あるいは何らかの原因で所要の高電圧
が印加されないときにおいて、高電圧発生器を短絡させ
て印加電圧を接地電圧にまで降下せしめる装置であっ
て、システムの安全確保のために、通常、高電圧発生器
と併せて設けられる。接地スイッチとしては、ソレノイ
ド等よりなる機械式接地スイッチ、または最近の電子ス
イッチ、あるいはこれらの組合せが使用される。
【0022】自動制御装置は、塗装ブース外に配備され
た、コンピュータ内蔵の制御装置であって、本システム
の運転制御全般に関して、例えば無端状コンベヤもしく
は自走式台車の運転および誘導路への給電の他、被塗装
物への高電圧印加のオンオフ動作、並びに、塗料噴霧に
関する各塗装機の運転動作などに関して自動制御を行な
う装置であり、スプレーコントローラおよび各種の検知
手段と各々接続されるとともに、送受信用無線機を介し
て無端状コンベヤ上もしくは自走式台車上のコントロー
ラとも通信可能となっている。そして、特に高電圧印加
に関しては、送受信用無線機の組を経由した双方向通信
による自動制御方式が採用される。すなわち、自動制御
装置は、高電圧印加を指令する制御信号を無端状コンベ
ヤ上もしくは自走式台車上の高電圧発生装置に向けて無
線送信し、同時に、印加された高電圧を表わすモニター
信号を無端状コンベヤ上もしくは自走式台車上の高電圧
発生装置から無線受信し、そして、それが正常値である
とき、塗料噴霧を指令する信号をスプレーコントローラ
に送ることにより、水性塗料を塗装機より噴霧せしめ
て、これにより静電塗装を為すという制御を行なう。ス
プレーコントローラは、自動制御装置からの指令信号に
従って、塗装ブース内のいくつかの(トップ、サイド)
レシプロ塗装装置並びに塗装ロボット等の運転、およ
び、これらに組み込まれたベル型等の各塗装機からの塗
料噴霧(吐出)動作に関する制御を行なう装置であっ
て、通常、塗装ブース外に配備される。なお、制御用電
線・ケーブルは塗装装置等より、塗装ブースの側壁また
はその下側の空間を通り抜けてスプレーコントローラに
接続されている。
【0023】また、本ワーク加電塗装システムは、双方
向送受信を可能にする無線機の組を備えている。二組の
送受信用無線機のうち一方は、無端状コンベヤ上に(ス
ラットコンベヤのときスラット上に)もしくは自走式台
車上に取付けられるか、あるいは防爆ケーシングの中に
高電圧発生装置とともに収容され、加電ユニット(高電
圧発生装置)のコントローラと接続されている。他方の
送受信用無線機は、塗装ブース外の自動制御装置と接続
して備えられる。これにより、本塗装システムは、これ
ら無線機の組を経由して、塗装ブース内の加電ユニット
のコントローラと塗装ブース外の自動制御装置との間で
双方向の送受信が可能なように構成されている。すなわ
ち、塗装ブース外の自動制御装置からは、高電圧印加の
オン・オフ信号(あるいは接地スイッチのオン信号)等
が送信され、加電ユニットのコントローラがこれらの信
号を受信し、一方、加電ユニットのコントローラから
は、実際に印加されている電圧・電流値(並びにリーク
電流値)等の各モニター信号が送信され、塗装ブース外
の自動制御装置がこれらの信号を受信し、従って、かよ
うな双方向の無線通信により、高電圧印加に関する自動
制御がなされ得るようになっている。
【0024】送受信用無線機としては、一の装置で同時
に(デジタルまたはアナログ)送受信可能な(複信方
式)無線機でもよいが、送信専用の無線機と受信専用の
無線機とを組み合わせて利用してもよい。より好ましく
は、通信周波数をある周波数帯域に拡げた拡散波に、信
号を乗せて通信を行なうところのスペクトル拡散通信方
式( Spread Spectrum Communication )の無線機(S
S無線機と呼ばれる)が使用される。この無線通信方式
は、外乱(雑電波、妨害電波の障害)を非常に受けにく
く、通信エラーが極めて少ないという点で、有利であ
る。また、通信手段としては、電波(周波数3000G
Hz以下、より好ましくは30kHz〜30MHzの電
磁波)通信のほか、マイクロ波通信、光通信(例えば、
可視光線もしくは赤外線を用いたもの)、または音波通
信(例えば超音波を用いたもの)でもよい。電波通信の
場合、データの直列伝送に適する規格(例えば、RS−
232C)の通信を採用するのがよい。また光通信は、
電波通信と比べて、電磁波障害をあまり受けない点で、
また防爆構造がより容易である点で、より好ましい。ま
た、電波通信の場合には、アンテナおよび無線通信用電
気回路を備えた一般的な無線機(特にSS無線機)が利
用され、マイクロ波通信の場合には、送受信回路に導波
管または空胴共振器を備えた無線機が利用され、さらに
光通信の場合には、発光器(ビーム発射器)および受光
器(ビーム受光器)の組合せを備えた無線機が利用され
る。
【0025】したがって、本ワーク加電塗装システムに
おいては、自動車ボディ等の被塗装物を無端状コンベヤ
上(無端状スラットコンベヤのときスラット上)もしく
は自走式台車上の電極アタッチメントに搭載し、続いて
無端状コンベヤの運転によりスラット等を走行させるか
あるいは自走式台車それ自体を走行させると、これに伴
い被塗装物が搬送され、このとき、ピックアップコイル
と誘導路との間で電磁誘導により生じた起電力が加電ユ
ニットの高電圧発生装置により所要の高電圧電流に変換
され、そして、コントローラの動作に基づいて高電圧を
電極アタッチメントを介して被塗装物に適時印加され
る。これと同時に、自動制御装置からの指令に従うスプ
レーコントローラの制御に基づいて、接地された塗装機
より水性塗料が被塗装物に向けて霧化・噴霧され、これ
により水性塗料が被塗装物の表面に被覆される。このよ
うにして、本塗装システムでは、水性塗料を用いた被塗
装物への高電圧印加による静電塗装が可能である。
【0026】本ワーク加電塗装システムは、各々の加電
ユニット(高電圧発生装置)と自動制御装置とに、それ
ぞれの動作制御のための制御システムを有する。加電ユ
ニットの高電圧発生装置に各々備えられる制御システム
は、例えば、高電圧発生器、印加電圧、電流の測定器、
並びに無線機などと接続される、CPUおよびメモリ等
よりなる。メモリは、例えば、初期、通常および緊急用
各プログラムのためのプログラム領域、設定データのた
めの不揮発領域、並びに、無線機および印加電圧測定器
等からの入力データと無線機および高電圧発生器への出
力データのための揮発領域より構成される。また、自動
制御装置に備えられる制御システムは、例えば、シーケ
ンサ(塗装の順序、塗装機の操作など、塗装過程一般に
関する順序回路)および無線機などと接続される、CP
Uおよびメモリ等よりなる。メモリは、例えば、初期、
通常および緊急用各プログラムのためのプログラム領
域、および、無線機およびシーケンサからの入力データ
とこれらへの出力データとのための揮発領域、並びに、
給電を受けうる個所に同時に位置するいくつかの(例え
ば5個の)制御すべき加電ユニットの各々の識別および
新たに給電を受けた加電ユニットの識別のための揮発領
域より構成される。
【0027】そして、本発明のワーク加電塗装システム
は、特徴的なことに、加電ユニットの高電圧発生装置
は、各々、自動制御装置と送受信しうる過程において自
動制御装置よりの送信が所定の時間の間途絶えたとき、
自ら高電圧印加動作を停止することができる制御システ
ムを備えている。この制御システムは、例えば、自動制
御装置と送受信しうる過程において、自動制御装置より
の送信データが例えばメモリ領域「データ入力」に入力
されないとき、さらに、メモリ領域「データ入力」空で
ある状態が所定の時間の間継続するかどうかを判断し、
その状態が所定の時間以上継続したと判断したとき、非
常停止信号を高電圧発生器のコントローラに出力し、こ
れにより高電圧発生器の高電圧印加動作を自動的に停止
せしめるというものである。ここで、自動制御装置より
の「データ入力」が空である状態が所定の時間の間継続
するかどうかを判断するのは、何らかの事情により一時
的に通信不良が生じた場合も考えられるからである。所
定の時間は1秒間ぐらいが適当であろう。
【0028】また、本発明のワーク加電塗装システム
は、より好ましくは、無線方式による高電圧印加の制御
に関して、とりわけ、塗装ブース内で走行する相当数の
高電圧発生装置の内、その時点において誘導路より給電
を受けているいくつかの高電圧発生装置と塗装ブース外
の自動制御装置との間で双方向の送受信を可能にするた
めに、次のような制御システムを有することができる。
すなわち、加電ユニットの高電圧発生装置は、各々、加
電ユニットが誘導路よりピックアップコイルを介して給
電を受けたとき、起動完了信号を無線機を介して自動制
御装置に送信し、続いて該加電ユニットが誘導路よりの
給電を受けている間、自動制御装置と送受信する制御シ
ステムを備え、これとともに、自動制御装置は、起動完
了信号を受信した所定数の加電ユニットに対して、各加
電ユニットについて個別に、無線機を介して加電ユニッ
トのコントローラと送受信する制御システムを備えてな
る。上記の加電ユニットの制御システムは、例えば、稼
働時において、加電ユニットが誘導路よりピックアップ
コイルを介して給電を受けたとき(あるいは、加電ユニ
ットが稼働当初より給電を受けうる個所に位置すると
き)、「初期プログラム」が動作し、そして、高電圧発
生装置および無線機の起動が完了した時点で、起動完了
信号を出力し、これを無線機を介して自動制御装置に送
信し、続いて、加電ユニットが給電を受けている間は、
「通常プログラム」が動作し、自動制御装置との間で送
受信することができるものである。また、上記の自動制
御装置の制御システムは、例えば、高電圧発生装置の制
御システムからの起動完了信号を新たに受信したとき、
制御すべき加電ユニットを最新のものより順にソート処
理し(あるいは、稼働当初においては、制御すべき加電
ユニットのアドレスを並び替え)、続いて、「通常プロ
グラム」が動作し、所定数の加電ユニットに対して、各
加電ユニットについて個別に(例えばアドレス順に)、
無線機を介して加電ユニットのコントローラと送受信す
ることができるものである。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により説明す
る。図1ないし図12は、本実施例のワーク加電塗装シ
ステムを示す。図1および図2は該塗装システムの全体
を示し、図3および図4はその主要部を示し、図5はそ
の主要部における防爆ケーシングの内部構造を示すもの
である。図6は本塗装システムにおける、高電圧印加の
制御に関する構成を説明する図であり、図7は加電ユニ
ットの制御システムの構成を示し、また、図8は自動制
御装置の制御システムの構成を示す。図9および図10
は加電ユニットの制御システムが為す制御の流れ図であ
り、また図11および図12は自動制御装置の制御シス
テムが為す制御の流れ図である。
【0030】本ワーク加電塗装システムは、自動車ボデ
ィの静電塗装システムであり、図1および図2に示すよ
うに、塗装ブース10内に、自動車ボディ搬送用の無端
状スラットコンベヤ1を実質的に水平に設置するととも
に、該コンベヤ1の近くにその搬送方向(図中、矢印A
の方向)に沿って、塗装ロボット22、サイドレシプロ
塗装装置23およびトップレシプロ塗装装置24を配備
して成る。これらの塗装装置は各々、ベル型等の塗装機
(図示せず)を組み込んでおり、各塗装機は接地された
状態に保たれている。いずれの塗装機も、塗料として、
水性塗料または水溶性塗料を利用するものである。な
お、これらの図中、26は自動車ボディを塗装ブース内
に搬入するためのターンテーブルを示す。
【0031】スラットコンベヤ1は、並行する2条の無
端状コンベヤチェーン27、27の両端をそれぞれスプ
ロケット25、25に巻き掛け、2条の該コンベヤチェ
ーン27、27の間に多数のスラット2・・を張設して
なり、従って、上下に二つのスラット列3、3が形成さ
れている。また、スラットコンベヤ1のスラット2の表
面上には、支持手段として、絶縁碍子4a、4bが立設
され、かつ、その上には、電極アタッチメント5が夫々
取付けられている。これらの部材は、自動車ボディ20
の乗った台車21を載せて支持することができ、かつそ
の際、電極アタッチメント5から自動車ボディ20への
通電を可能にする手段である。
【0032】図3および図4に詳細に示すように、絶縁
碍子4a、4bは、柱形状を成し、スラットコンベヤ1
のスラット2・・の表面上に、前後に1基ずつ、適当な
間隔を開けて立設されている。また、電極アタッチメン
ト5は、絶縁碍子4a、4bの上に取り付けられた電極
部材(金属製)であり、自動車ボディ20の乗った台車
21がその上に搭載されたとき、それへの通電が可能と
なっている。従って、電極アタッチメント5は絶縁状態
でスラットコンベヤ1上に備え付けられているので、こ
れに高電圧を印加しても、電流がスラットコンベヤ1表
面へリークしない構造となっている。
【0033】また、図1、図3および図4に示すよう
に、スラットコンベヤ1の上下二つのスラット列3、3
の間には、電磁誘導の一次回路となる誘導路(リッツ線
ともいう)6が、搬送方向に沿って所定の長さで形成さ
れている。そして、図6に示すように、誘導路6の一端
には、ダミーボックス29を介して、給電源のHID制
御盤30が接続されている。なお、ダミーボックス29
は、周波数特性の調整等のため、余分長の誘導路6を収
納することができるボックスである。従って、この誘導
路6には、給電源(HID制御盤)30より、高周波用
複合多芯ケーブルを介して、例えば単相交流 600V 、10
kHz という低い電力(高電圧発生装置の一次電源として
必要な起電力が電磁誘導によりピックアップコイルに生
じる程度の電力)が供給される。したがって、誘導路6
と塗装機との間に強い静電場が形成されずしかもスラッ
ト2・・で遮蔽されているので、塗料ミストは誘導路6
に静電塗着されにくい構成となっている。
【0034】またスラットコンベヤ1のスラット2裏面
上には、図4に明確に示すように、電磁誘導の二次回路
となるピックアップコイル7が、誘導路6と非接触で対
向するように取付けられている。ピックアップコイル7
は、図3に示すように、前の絶縁碍子4aと後の絶縁碍
子4bとの間に設けられている。従って、ピックアップ
コイル7は、スラットコンベヤ1の運転によりスラット
2とともに走行するが、このとき、誘導路6と非接触で
対向しているので、電磁誘導による例えば単相交流 100
V 、10kHz という起電力電流を生じ、これを下記の高電
圧発生装置8に出力することができる。したがって、本
塗装システムでは、電磁誘導の一次回路と二次回路が非
接触で対向する構造であるので、生じた起電力は、ピッ
クアップコイル7が誘導路6と対向して走行している
間、常に安定して出力され、従って、高電圧発生装置8
のオンオフ操作により、自動車ボディ20への高電圧の
印加およびその停止を自動的に行なうことができる。
【0035】また本実施例では、図3に示すように、ス
ラットコンベヤ1は絶縁碍子4a、4b間の部位におい
て、3個の防爆ケーシング9・・がそれぞれ、左右のコ
ンベヤチェーン27、27に取り付けられている。防爆
ケーシング9は、図5に示すように、左右の側面部に鍔
部31、31を有し、そして、ボルト32を用いて各鍔
部31とチェーン27とを締着することにより、スラッ
トコンベヤ1のチェーン27、27に装着されている。
すなわち、各防爆ケーシング9は、スラットコンベヤ1
のチェーン27、27に着脱自在に備えられている。そ
して、防爆ケーシング9の中には、図5に示すように、
高電圧発生装置8が収容され、並びに下記の送信用無線
機11と受信用無線機12の組も収容されている。3個
の防爆ケーシング9がそれぞれ、同装置8等の一部の部
品を収容し、全体として高電圧発生装置8および送受信
用無線機11、12がスラットコンベヤ1のスラット列
3上に組み付けられるようにしてもよい。
【0036】高電圧発生装置8は、変電ユニット13
(端子台、受電ボックス、インバータ等が含まれ
る。)、コントローラ14および高電圧発生器15より
なる。なお、これら部品の接続関係は、図6の概略図に
示す。また、変電ユニット13の中の図示しない端子台
は、ピックアップコイル7と接続され、これからの起電
力を集める部品である。受電ボックスは、端子台と接続
され、集められた起電力(交流)を直流に変換する部品
であり、さらにインバータは、受電ボックスと接続さ
れ、変換された直流電流を再び交流に変換しかつ変調す
る部品である。従って、ピックアップコイル7からの起
電力電流は、かかる変電ユニット13の機能により、例
えば 60 Hzの低周波電流という、コントローラ14への
一次電源に適合する電流に調整される。
【0037】コントローラ14は、変電ユニット13と
高電圧発生器15の間に接続された高電圧印加のオンオ
フ制御等のための制御装置であって、所定の制御信号
(例えば 12 V または 24 V 直流信号)を高電圧発生器
15に送るとともに、印加されている高電圧値、印加時
の電流値およびリーク電流値等のモニターを行なう。
【0038】また、高電圧発生器15は、上記の電極ア
タッチメント5と接続された、高周波パルス発振器、変
圧器および倍電圧整流回路等を含む装置であって、コン
トローラ14からの制御信号を受けて、自動車ボディ2
0の塗装に必要とされる -60kV 〜 -150 kV(あるいは
+60 kV 〜 +150 kV)、例えば 400μA という高電圧電
流を発生させ、そしてこれを電極アタッチメント5に出
力する。
【0039】従って、高電圧発生装置8は、誘導路6と
ピックアップコイル7の電磁誘導により生じた起電力
を、所要の高電圧電流( -90 kV (あるいは +90 kV
)、 400μA )に昇圧し、これをコントローラ14の
制御に基づいて電極アタッチメント5に供給しうる装置
である。さらに、高電圧発生装置8は、図6に示すよう
に、コントローラ14並びに下記の自動制御装置17と
連係して制御を逐次実行するためのインターフェイスボ
ード33をコントローラ14および無線機11、12と
接続して備えている。なお、インターフェイスボード3
3の構成およびその機能は、下記において図7、図9お
よび図10に基づいてさらに説明する。また、高電圧発
生装置8は、安全の確保のために、接地スイッチ34
(図6)をも併設してなるが、この接地スイッチ34
も、コントローラ14からの制御信号を受けてオン作動
し、高電圧発生器15の回路を短絡し、印加電圧を降下
せしめる。
【0040】また、図6に示すように、防爆ケーシング
9の装着部位には、連通路35が形成されており、高電
圧発生装置8からの配線36と電極アタッチメント5等
に配線する外部ケーブル16とは、連通路35内を経由
して、接続コネクタ37により接続されている。なお、
本塗装システムでは、図3に示すように、高電圧発生器
15の出力端子より導かれ電極アタッチメント5に接続
するための外部ケーブル16は、スラット2の裏面側を
経由して絶縁碍子4aの内部を通って碍子4a上側の電
極アタッチメント5に接続されているが、絶縁碍子4a
の内部においては、絶縁性樹脂でモールド充填されてい
る。従って、高電圧ケーブル16への塗料ミスト等の付
着が軽減されてスパークの発生が防止されるとともに、
ケーブル16表面への水分付着が抑えられリーク電流の
発生も減少する。
【0041】要するに、本塗装システムは、塗装ブース
10内において、塗装対象の自動車ボディ20にそれぞ
れ対応するように、適当な数(通常、20〜30個)の
加電ユニット40・・、つまり、支持手段(絶縁碍子4
a、4bと電極アタッチメント5)、ピックアップコイ
ル7および高電圧発生装置8(変電ユニット13、コン
トローラ14、高電圧発生器15、インタフェイスボー
ド33等)、並びに、無線機11、12の組よりなる機
構を、スラットコンベヤ1に組み付けてなり、従って、
稼働時には、これら相当数の加電ユニット40・・がス
ラットコンベヤ1の無端経路に従って順に連続走行する
ようになっている。
【0042】また、本塗装システムは、図2に示すよう
に、塗装ブース10外に、コンピュータ内蔵の自動制御
装置17を配備して成る。この自動制御装置17は、塗
装ブース10内のスラットコンベヤ1の運転走行および
誘導路6への給電の他、自動車ボディ20への高電圧の
印加などに関する自動制御を行ない、本システムの運転
全般を統御する。自動制御装置17は、図6に示すよう
に、塗装の順序、塗装機の操作など、塗装過程一般に関
する順序回路のシーケンサ38(これは、上記のダミー
ボックス29と接続されている。)を備え、さらにシー
ケンサ38および高電圧発生装置8のコントローラ14
と連係して制御を逐次実行するためのインターフェイス
ボード39を、シーケンサ38および下記の送信用無線
機18、受信用無線機19の組とそれぞれ接続して備え
てなる。なお、インターフェイスボード39の構成およ
びその機能は、下記において図8、図11および図12
に基づいてさらに説明する。
【0043】そして、塗装ロボット22、サイドレシプ
ロ塗装装置23並びにトップレシプロ塗装装置24の夫
々の運転、および、これらに組み込まれたベル型等の各
塗装機の塗料噴霧動作については、スプレーコントロー
ラ28が、自動制御装置17からの指示信号に従ってそ
れらの制御を為す。なお、これら制御に用いる電線・ケ
ーブルは、塗装ブース10内の各塗装装置より、ブース
側壁を通り抜けてまたはブース10の下側に配線して、
自動制御装置17およびスプレーコントローラ28に接
続されている。
【0044】さらに、本塗装システムは、高電圧発生装
置8の運転制御、即ち自動車ボディ20への高電圧の印
加制御のために、図5に示すように送信用無線機11お
よび受信用無線機12を防爆ケーシング9の中にコント
ローラ14と接続して収容するとともに、図2、図3に
示すようにこれら無線機と通信可能な他の送信用無線機
18および受信用無線機19を自動制御装置17と接続
して備えて成る。送信機11および受信機12は、図5
に示すように防爆ケーシング9の側面より突出するアン
テナ部(アンテナ線41がエポキシ樹脂等の樹脂モール
ディング42の中に埋設されてなる。)のコネクタ43
と接続されている。また、送信機18および受信機19
は、本実施例では、自動制御装置17の中に組み入れら
れているが、塗装ブース10内に防爆ケースの中に設け
てもよい。上記の無線機はいずれも、SS無線機、つま
りスペクトル拡散通信( SpreadSpectrum Communicatio
n)方式の無線機で、周波数 30kHz〜 30MHzの電波を送
受信する通信デバイスである。図6に示すように、防爆
ケーシング9内の送信機11および受信機12はとも
に、変電ユニット13より電力を供給されて作動し、送
信機11はコントローラ14からの出力信号を自動制御
装置17内の受信機19に向けて無線送信する一方、受
信機12は自動制御装置17内の送信機18からの受信
信号をコントローラ14に送る。
【0045】したがって、本塗装システムによる塗装方
法は、次のとおりである。スラットコンベヤ1の運転
時、相当な数の加電ユニット40・・を連続走行させる
とともに、自動車ボディ20を順次スラット2上の電極
アタッチメント5に搭載していく。自動車ボディ20は
連続して矢印A方向に搬送される。このとき、スラット
2裏側のピックアップコイル7と誘導路6との電磁誘導
により起電力が生じ、次いで、これは加電ユニット40
(高電圧発生装置8)により所要の高電圧電流に変換さ
れ、そしてコントローラ14の制御に基づいて、その高
電圧が電極アタッチメント5を介して自動車ボディ20
に印加される。そして、この高電圧の印加により、接地
された各塗装機から吐出された水性塗料が、自動車ボデ
ィ20に向けて霧化・噴霧され、これにより、水性塗料
の静電塗装が、各自動車ボディ20ごとに行なわれる。
【0046】そして、本実施例では、この場合におい
て、塗装ブース10外の自動制御装置17と、スラット
コンベヤ1上を走行する相当数の加電ユニット40・・
の内、誘導路6からの給電を受け始めたものより数えて
5個の加電ユニット40・・との間でのみ、双方向無線
方式の送受信がなされ、自動車ボディ20への高電圧の
印加制御は、それらの送受信に基づいて為される。すな
わち、塗装ブース10外の自動制御装置17からは、送
信用無線機18を介して、高電圧の印加オン・オフ信
号、設定電圧値の変更信号あるいは接地スイッチのオン
信号が無線送信され、そして、これらの制御信号は、誘
導路6からの給電を受け始めたものより数えて5個の加
電ユニット40・・において、防爆ケーシング9内の受
信用無線機12を介して、高電圧発生装置8のコントロ
ーラ14に受信される。一方、該5個の加電ユニット4
0・・のコントローラ14からは、送信用無線機11を
介して、実際に印加されている電圧値、印加時の電流値
並びにリーク電流値等のモニター信号が無線送信され、
そして、これらのモニター信号は、受信用無線機19を
介して塗装ブース10外の自動制御装置17に受信され
る。なお、モニター信号より、リーク電流の発生等、異
常な事態が検知されたときには、接地スイッチ34のオ
ン信号をコントローラ14に無線送信し、高電圧発生器
15を短絡させて印加電圧を接地電圧にまで降下せしめ
る構成ともなっている。そして、新たに加電ユニット4
0が誘導路6より給電を受け始めたときには、ソート処
理がなされ、従って、誘導路6からの給電を新たに受け
始めたものより数えて5個の加電ユニット40・・と自
動制御装置17との間で、新たな送受信が開始され、自
動制御装置17は、該5個の加電ユニット40・・に対
して、高電圧印加に関する制御を為すように構成されて
いる。より具体的な制御手順は、インターフェイスボー
ド33、39を用いて下記に詳述する。
【0047】また、高電圧発生装置8、つまり子機のイ
ンターフェイスボード33は、図7に示すように、相互
に接続された、中央演算処理装置(CPU)44、メモ
リ装置45および RS232C コンバータ46よりなる。C
PU44は、メモリ装置45内の入力データを読込み、
演算処理をメモリ装置45内の各プログラムに従って為
し、その結果をメモリ装置45内の出力データに書込
み、場合によっては RS232C コンバータ46に出力す
る。メモリ装置45は、プログラム領域とメモリ領域よ
り構成され、プログラム領域は一群のROMからなり、
「初期プログラム」、「通常プログラム」、「緊急プロ
グラム」および「設定プログラム」がそれぞれ、予め書
込まれている。メモリ領域は一群のRAMからなり、
「設定データ」のための不揮発メモリ領域と、「通信入
力」、「通信出力」、「データ入力」および「データ出
力」のための揮発メモリ領域を有する。「通信入力」お
よび「通信出力」のメモリ領域は、それぞれ、 RS232C
コンバータ46と接続されている。また、「データ入
力」のメモリ領域は、A/Dコンバータ47を介して、
高電圧発生器のコントローラ14の出力端子と接続さ
れ、「データ出力」のメモリ領域は、I/Oインターフ
ェイス48を介して、コントローラ14の入力端子と接
続されている。従って、コントローラ14からのアナロ
グ信号(印加電圧、リーク電流等に関する。)は、A/
Dコンバータ47を経てデジタル信号として「データ入
力」のメモリ領域に入力され、一方、各種の制御信号は
「データ出力」のメモリ領域からインターフェイス48
を経てコントローラ14に出力されるように構成されて
いる。また、 RS232C コンバータ46は、 RS232C デー
タの分解および合成をなすデバイスであり、受信用無線
機12より入力された直列伝送データを分解して、これ
をメモリ装置45の「通信入力」のメモリ領域に出力す
るとともに、メモリ装置45の「通信出力」のメモリ領
域より入力されたデータ信号を直列伝送データに合成し
て、これを送信用無線機11に出力するものである。
【0048】また、自動制御装置17、つまり親機のイ
ンターフェイスボード39は、図8に示すように、相互
に接続された、中央演算処理装置(CPU)49、メモ
リ装置50および2個の RS232C コンバータ51、52
よりなる。CPU49は、制御すべき5機の子機(C1
ないしC5)についてアドレス順に、メモリ装置50内
の入力データを読込み、演算処理をメモリ装置50内の
各プログラムに従って為し、その結果をメモリ装置50
内の出力データに書込み、場合によっては RS232C コン
バータ51に出力する。また、CPU49は、誘導路6
からの給電を新たに受け始めた子機のアドレス情報等が
メモリ装置50内のAdd領域に入力されたとき、そのデ
ータを読込み、制御すべき5機の子機についてソート処
理をする。メモリ装置50は、プログラム領域とメモリ
領域より構成され、プログラム領域は一群のROMから
なり、「初期プログラム」、「通常プログラム」、「緊
急1プログラム」および「緊急2プログラム」がそれぞ
れ、予め書込まれている。メモリ領域は一群のRAMか
らなり、「通信入力」、「通信出力」、「データ入力」
および「データ出力」のための揮発メモリ領域、並び
に、制御すべき5機の子機のソート処理のための「C
1」、「C2」、「C3」、「C4」、「C5」および
「 Add」の各メモリ領域を有する。「通信入力」および
「通信出力」のメモリ領域は、それぞれ、 RS232C コン
バータ51と接続されている。また、「データ入力」お
よび「データ出力」のメモリ領域は、それぞれ、 RS232
C コンバータ52と接続されている。「C1」、「C
2」、「C3」、「C4」および「C5」の各メモリ領
域は、制御すべき起動中の各子機にそれぞれ対応するも
のであり、識別のための子機のアドレス情報等が随時書
き込まれる。また、「 Add」のメモリ領域は、誘導路6
からの給電を新たに受け始めた子機に対応するものであ
り、給電を新たに受け始めた子機のアドレス情報等が随
時書き込まれる。また、 RS232C コンバータ51は、 R
S232C データの分解および合成をなすデバイスであり、
受信用無線機19より入力された直列伝送データを分解
して、これをメモリ装置50の「通信入力」のメモリ領
域に出力するとともに、メモリ装置50の「通信出力」
のメモリ領域より入力されたデータ信号を直列伝送デー
タに合成して、これを送信用無線機18に出力するもの
である。従って、コントローラ14から受信されたモニ
ター信号(印加電圧・電流値、リーク電流の有無等に関
する。)は、無線機19および RS232C コンバータ51
を経て「通信入力」のメモリ領域に入力され、一方、各
種の制御信号は「通信出力」のメモリ領域から RS232C
コンバータ51および無線機19を経てコントローラ1
4に送信出力されるように構成されている。また、 RS2
32C コンバータ52は、 RS232C データの分解および合
成をなすデバイスであり、シーケンサ38より入力され
た直列伝送データを分解して、これをメモリ装置50の
「データ入力」のメモリ領域に出力するとともに、メモ
リ装置50の「データ出力」のメモリ領域より入力され
たデータを直列伝送データに合成して、これをシーケン
サ38に出力するものである。従って、当該塗装過程に
関するデータ信号は、シーケンサ38から RS232C コン
バータ52を経てメモリ装置50の「データ入力」のメ
モリ領域に入力されるとともに、同装置50の「通信出
力」のメモリ領域から RS232C コンバータ52を経てシ
ーケンサ38に出力されるように構成されている。
【0049】次に、上記のインターフェイスボード3
3、39の機能を流れ図に基づいて説明する。まず、イ
ンターフェイスボード33における制御手順を図9、図
10の流れ図に従って説明する。 1)加電ユニット40は、走行する無端経路のある個所に
おいて、誘導路6より、ピックアップコイル7を介して
給電を受け始める。すなわち、起動電源がピックアップ
コイル7からの起電力に基づいて、変電ユニット13よ
り、高電圧発生器のコントローラ14および無線機1
1、12に投入される(図9)。稼働の当初において
は、いくつかの加電ユニット40が同時に、誘導路6よ
りの給電を受ける。 2)インターフェイスボード33のCPU44は、誘導路
6からの給電により、電源が投入され、「初期プログラ
ム」の動作を開始する。 3)CPU44は、最初に、メモリ装置45のメモリ領域
「通信入力」、「通信出力」、「データ入力」および
「データ出力」を総て空にする。 4)CPU44は、次に、メモリ装置45のメモリ領域
「設定データ」より、SS無線に関する設定データを読
込み、続いて、この設定データをメモリ領域「通信出
力」に書込む。すると、「通信出力」における設定デー
タは、 RS232C コンバータ46に送信される。 5)その後、 RS232C コンバータ46は、設定データに従
い起動の準備をし、準備が完了した時点で、 READY完了
信号をメモリ装置45のメモリ領域「通信入力」に送
る。一方、CPU44は、同時にメモリ領域「通信入
力」を読込み、コンバータ46から READY信号が入力さ
れているかどうかを判断する。この判断は、 READY信号
の入力があるまで、つまり RS232C コンバータ46の起
動の準備が整うまでの間、続行される。 6)CPU44は、 RS232C コンバータ46の起動準備が
整った段階で、各子機についての設定データを読込み、
続いて、起動完了信号をメモリ領域「通信出力」に書込
む。すると、「通信出力」における起動完了信号は、 R
S232C コンバータ46を経て、無線機11より自動制御
装置17に向けて無線送信される。 7)その後、CPU44は、「通常プログラム」の動作を
開始する。 8)まず、CPU44は、メモリ装置45のメモリ領域
「データ入力」を読込む。次に、読み込まれた、コント
ローラ14からのモニター信号に基づいて、高電圧発生
器15等との各接点のうちいずれかが異常であるかどう
かを判断する。 9)そして、CPU44は、いずれかの接点が異常である
と判断したとき、「緊急プログラム」の動作を開始す
る。すなわち、直ちに異常信号をメモリ装置45のメモ
リ領域「通信出力」に書込む。すると、「通信出力」に
おける異常信号は、 RS232C コンバータ46を経て無線
機11より自動制御装置17に無線送信される。そし
て、自動制御装置17は、異常信号の入力により、全運
転を緊急停止する。 10) 反対に、接点の異常がないと判断したとき(平常時
には、この判断がなされる。)、CPU44は、メモリ
装置45のメモリ領域「通信入力」を読込む。 11) 続いて、CPU44は、メモリ領域「通信入力」の
データが空であるかどうかを判断する。なお、親機との
無線通信は、誘導路6よりの給電を受け始めた子機より
数えて5機の子機に対して、子機ごとにそのアドレス順
に従い継続してなされる。したがって、平常時において
は、メモリ領域「通信入力」には、親機からの通信デー
タが一般に書き込まれている。 12) そして、CPU44は、「通信入力」のデータが空
でないと判断したとき、図10に示すように、そのデー
タが親機からの一斉同報通信であるかどうかを判断する
(図中の参照)。次に、「通信入力」のデータが親機
からの一斉同報通信でないと判断したときには、そのデ
ータは当該子機宛ての通信データであるのかどうかを判
断する。そして、CPU44は、「通信入力」のデータ
が、親機からの一斉同報通信であると、または当該子機
宛ての通信データであると判断したとき、そのデータは
データ要求信号(親機が子機の有するデータの送信を求
める信号)であるのかどうかを判断する。なお、「通信
入力」のデータが当該子機宛ての通信データでないと判
断したときは、「通常プログラム」の開始段階に再度戻
る(図中の参照)。 13) そして、CPU44は、「通信入力」のデータが親
機からのデータ要求信号であると判断したとき、メモリ
装置45のメモリ領域「データ入力」を読込み、続い
て、これをメモリ領域「通信出力」に書込む。すると、
「通信出力」におけるデータは、 RS232C コンバータ4
6を経て無線機11より自動制御装置17に無線送信さ
れる。 14) 「通信入力」のデータが親機からのデータ要求信号
でないと判断したとき、CPU44は、次に、その「通
信入力」データが設定開始信号であるかどうかを判断す
る。設定開始信号は、各子機のメモリ領域「設定デー
タ」に関して変更または新規に設定する必要があると
き、設定処理の開始を指示するべく、親機から当該子機
に対して送信される信号である。メモリ領域「設定デー
タ」の変更または新規設定は、塗装過程の条件を変更し
たとき、故障・不良等のため子機の交換をしたときに必
要とされるが、平常の運転時には、必要とされない。 15) そして、CPU44は、「通信入力」データが設定
開始信号でないと判断したとき、そのデータが動作信号
であるかどうかを判断する。動作信号は、電極アタッチ
メント5への高電圧印加のオンオフを、高電圧発生器の
コントローラ14に対して指示する制御信号である。 16) そして、CPU44は、「通信入力」データが動作
信号であると判断したとき、高電圧印加オンオフに関す
る制御データをメモリ領域「データ出力」に書込む。す
ると、その制御データはインターフェイス48を経てコ
ントローラ14、高電圧発生器15に出力され、電極ア
タッチメント5(被塗装物20)に対する高電圧印加の
オンオフ動作が為される。その後、「通常プログラム」
の開始段階に再び戻る(図中の参照)。 17) また、CPU44は、図9に示すように、親機から
の「通信入力」のデータが空であると判断したときに
は、これに続いて、「通信入力」データが空である状態
が、1秒以上の期間にわたって続いているかどうかを判
断する。1秒以上の期間にわたって「通信入力」データ
が空であるという状態は、親機からの送信がその時間
(1秒以上)の間まったく途絶えていることを表わし、
その事態は、親機の通信機能について故障・不良が発生
したことを意味する。 18) そして、CPU44は、1秒以上の期間「通信入
力」データ空の状態が続いていると判断したとき、非常
停止信号をメモリ領域「データ出力」に書込む。する
と、非常停止信号は、インターフェイス48を経てコン
トローラ14に伝えられ、これにより高電圧発生器15
の高電圧印加のオンオフ動作が停止される。従って、親
機の故障・不良により子機への通信が不能となったと
き、子機は自ら高電圧印加動作を停止することができ
る。 19) この場合、またCPU44は、通信異常信号をメモ
リ領域「通信出力」に書込む。すると、通信異常信号
は、 RS232C コンバータ46を経て無線機11より親機
17に無線送信され、親機17において通信異常の状態
が表示される。 20) 一方、「通信入力」データ空の状態が1秒以上の期
間にわたって続かなかったときは、「通常プログラム」
の開始段階に再び戻る。これは、親機の通信機能の故障
不良が原因でなく、何らかの理由により生じうる親機と
子機の間の通信の一時的な不通に対処するためである。 21) また、CPU44は、図10に示すように、親機か
らの「通信入力」データが設定開始信号であると判断し
たとき、「設定プログラム」の動作を開始する。 22) まず、CPU44は、メモリ領域「通信入力」を読
込み、親機からの「通信入力」データが書込みデータで
あるか読出しデータであるかを判断する。 23) そして、そのデータが書込みデータであると判断し
たとき、CPU44は、親機からの「通信入力」データ
をメモリ領域「設定データ」に書込む。したがって、子
機の起動において必要とされる各子機に固有な設定デー
タを、親機からの送信により、その子機のメモリ領域
「設定データ」に直接書き込むことができ、よって、本
システムはデータの初期設定のための処理・操作を子機
自体に対して為す必要がないという利点を有する。 24) 反対に、そのデータが読出しデータであると判断し
たとき、CPU44は、メモリ領域「設定データ」を読
込み、続いて、読み込まれた設定データをメモリ領域
「通信出力」に書込む。すると、「通信出力」における
データは、 RS232Cコンバータ46を経て無線機11よ
り親機17に無線送信される。そして親機17は、送信
された設定データ(アドレス情報等)より、当該子機の
同定をすることができる。送信された設定データは、メ
モリ装置50等に記憶され、各子機に対して初期データ
の設定をするときのために準備される。その後、親機1
7は、子機の故障により新たな子機と交換すべくそれを
取り付けたときあるいは塗装プロセスの条件設定を変更
したときなど、当該子機についての新たな設定データを
書込みデータとして送信することにより、プロセス23)
を経て、当該子機について「設定データ」の変更をする
ことができる。
【0050】次に、インターフェイスボード39におけ
る制御手順を図11、図12の流れ図に従って説明す
る。 1)稼働の開始時において、CPU49は、まず、「初期
プログラム」の動作を開始する(図11)。 2)そして、CPU49は、最初に、子機呼び出しのため
の一斉同報信号、これに続いて、データ要求信号をメモ
リ装置50のメモリ領域「通信出力」に書込む。する
と、これらの信号は、 RS232C コンバータ51を経て無
線機18より総ての加電ユニット40(高電圧発生装置
8)に向けて無線送信される。これに関して、誘導路6
よりの給電を受け始めたものより数えて5機の加電ユニ
ット40・・は、既に起動しているので、データ要求信
号を受信したとき、各々の子機に固有のデータ(アドレ
ス情報等)を無線機11より自動制御装置17に無線送
信する。そして、無線送信されたデータは、 RS232C コ
ンバータ51を経てメモリ装置50のメモリ領域「通信
入力」に書き込まれる。 3)そして、CPU49は、メモリ領域「通信入力」を読
込み、上記の5機の加電ユニット40・・の個々のデー
タを入力する。続いて、起動中の子機5機のデータをア
ドレス順に並び替える。これにより、5機の子機に対し
て、子機C1ないし子機C5の番号が割り当てられる。 4)その後、CPU49は、各子機に対して、並び替えら
れた順序に従い、C1から順次個別に、「通常プログラ
ム」の動作を開始する。 5)まず、CPU49は、メモリ装置50のメモリ領域
「データ入力」を読込む。このメモリ領域には、シーケ
ンサ38より、誘導路6への通電状況を含め、塗装プロ
セス全般に関する諸データが、 RS232C コンバータ52
を経て逐次入力される。 6)続いて、CPU49は、「データ入力」より読み込ま
れたデータが非常停止信号を含むものかどうかを判断す
る。非常停止信号は、誘導路6への給電に異常があると
き、シーケンサ38より発せられる信号であり、平常時
には、上記データは非常停止信号を含むものでない。 7)そして、「データ入力」からのデータが非常停止信号
を含むものと判断したとき、CPU49は、「緊急プロ
グラム1」の動作を開始する。まず、子機における高電
圧印加の停止を指示する信号、つまり加電停止信号をメ
モリ領域「通信出力」に書込む。すると、「通信出力」
における加電停止信号は、 RS232C コンバータ51を経
て無線機18より、一斉同報通信として総ての加電ユニ
ット40・・に向けて無線送信される。これにより、各
高電圧発生装置8における高電圧印加が停止される。な
お、その後、「通常プログラム」の開始段階に戻る。 8)そして、「データ入力」からのデータは非常停止信号
を含まないと判断したとき、CPU49は、その時点に
おいて制御対象とされる子機(例えば子機C1)につい
て、シーケンサ38からのメモリ領域「データ入力」の
データとその子機(つまり子機C1)から無線送信され
たメモリ領域「通信入力」のデータとを対比し、データ
内容に変更があったかどうかを判断する。子機は常時走
行しており、今の制御時点におけるデータが前回の制御
時点におけるデータと相違するのは、通常である。従っ
て、上記の判断においては、一般に「データ内容に変更
がある」と判断される。 9)そして、データ内容に変更があると判断したとき、C
PU49は、シーケンサ38からの制御データをメモリ
領域「通信出力」に書込む。すると、「通信出力」にお
ける制御データは、 RS232C コンバータ51を経て無線
機18より、当該子機に対して無線送信される。これに
より、制御対象の高電圧発生装置8は、無線機12で受
信された親機からの制御信号に基づいて、被塗装物20
に対して高電圧印加のオンオフ動作を為す。その後、当
該子機は、高電圧印加に関するモニター信号を、無線機
11より親機に対して無線送信する。無線機19で受信
されたモニター信号は、 RS232C コンバータ51を経て
メモリ装置50のメモリ領域「通信入力」に書き込ま
れ、そして、CPU49はメモリ領域「通信入力」を読
込む。なお、データ内容に変更があると判断したときも
同様に、CPU49は、メモリ領域「通信入力」を読込
む。 10) そして、CPU49は、図12に示すように、読み
込まれた「通信入力」のデータが空であるかどうかを判
断する(図中の参照)。「通信入力」のデータが空で
あるとは、制御対象の当該子機に関して、子機から親機
への無線通信が不通であった場合を指す。不通の原因と
しては、当該子機の故障不良が挙げられるが、何らかの
事情により一時的に通信不良が生じた場合も考えられ
る。平常時であれば、「通信入力」のデータが空である
とは判断されない。 11) 「通信入力」のデータが空でないと判断したとき、
CPU49は、次に、メモリ領域「通信入力」のデータ
において、新たな子機の起動完了信号が入力されている
かどうかを判断する。起動完了信号は、上述したよう
に、子機が誘導路6よりの給電を新たに受け始めたと
き、その子機の動作が「初期プログラム」により開始さ
れ、高電圧発生器15のコントローラ14等の起動が完
了した時点で、出力され、親機に無線送信される信号で
ある。 12) そして、誘導路6よりの給電を受け始めた子機の起
動完了信号が入力されていないと判断したとき、CPU
49は、当該子機についての「通信入力」のデータをメ
モリ領域「データ出力」に書込む。すると、「データ出
力」におけるデータは、 RS232C コンバータ52を経て
シーケンサ38に入力される。これにより、シーケンサ
38は、当該子機からの高電圧印加に関するモニター信
号に基づいて、シーケンス制御を為す。 13) また一方、当該子機についての「通信入力」のデー
タが空であると判断したとき、CPU49は、制御対象
の当該子機に対して、子機データの呼出しを指示するデ
ータ要求信号をメモリ領域「通信出力」に書込む。する
と、「通信出力」におけるデータ要求信号は、 RS232C
コンバータ51を経て無線機18より、当該子機に対し
て無線送信される。これにより、当該子機は、無線機1
2で受信された親機からの信号に基づいて、要求された
データ(高電圧印加に関するモニター信号を含む。)
を、無線機11より親機に対して無線送信する。無線機
19で受信された子機データは、 RS232C コンバータ5
1を経てメモリ装置50のメモリ領域「通信入力」に書
き込まれる。 14) そしてこの時点で、CPU49はメモリ領域「通信
入力」を読込む。続いて、CPU49は、読み込まれた
「通信入力」のデータが空であるかどうかを再度判断す
る。再び「通信入力」のデータが空であるとき、当該子
機に関して故障・不良が発生し、その子機から親機への
無線通信が不通になっているものと考えられる。なお、
この場合には、自動制御装置17は、当該子機の故障不
良を作業者に対して表示する。 15) そして、CPU49は、再び読み込まれた「通信入
力」のデータが空でないと判断したとき、当該子機につ
いての「通信入力」のデータをメモリ領域「データ出
力」に書込む。すると、「データ出力」におけるデータ
は、 RS232C コンバータ52を経てシーケンサ38に入
力される。これにより、シーケンサ38は、当該子機か
らの高電圧印加に関するモニター信号に基づいて、シー
ケンス制御を為す。 16) その後、CPU49は、制御の対象としてきた当該
子機が子機C5であるかどうかを判断する。そして、当
該子機が子機C5であると判断したとき、CPU49
は、次回に呼び出して制御の対象とする子機を子機C1
に設定する。また、当該子機が子機C5でないと判断し
たとき、CPU49は、次回に呼び出して制御の対象と
する子機を当該子機の次のアドレスをもつ子機に設定す
る。例えば、当該子機がC1であるとき、次のアドレス
をもつ子機C2を設定し、当該子機がC2であるとき、
次のアドレスをもつ子機C3を設定し、以降、同様の設
定をする。 17) その後、CPU49は、新たに設定された子機に対
して「通常プログラム」の動作を開始し、そして、手順
4)以降の上述の制御手順を同様に繰り返す(図中の参
照)。 18) また、CPU49は、新たな子機の起動完了信号が
入力されたと判断したとき、起動完了信号が入力された
新たな子機について、子機 No.をメモリ装置50のメモ
リ領域「 Add. 」に書込み、続いて、次のようなソート
処理を為す。まずメモリ領域「C1」を初期化して空に
し、続いてメモリ領域「C2」のデータをメモリ領域
「C1」に書込み、続いてメモリ領域「C2」を初期化
して空にし、続いてメモリ領域「C3」のデータをメモ
リ領域「C2」に書込み、続いてメモリ領域「C3」を
初期化して空にし、続いてメモリ領域「C4」のデータ
をメモリ領域「C3」に書込み、続いてメモリ領域「C
4」を初期化して空にし、続いてメモリ領域「C5」の
データをメモリ領域「C4」に書込み、続いてメモリ領
域「C5」を初期化して空にし、続いてメモリ領域「 A
dd. 」のデータをメモリ領域「C5」に書込む。よっ
て、かかるソート処理により、起動中で制御の対象とな
る5機の子機が新たに設定される。その一方、もとの子
機C1は制御の対象から外される(この子機は、実際、
このとき同時に、加電域の外に出る。)。従って、加電
ユニット40が誘導路6よりピックアップコイル7を介
して給電を受け始めたとき、その加電ユニット40より
数えて5機の加電ユニット40・・が、高電圧印加に関
する制御の対象に新たに設定される。言い換えると、稼
働時、相当数の加電ユニット40・・が無端軌道に従っ
て連続走行するが、誘導路6よりの給電を受け始めたも
のより数えて5機の加電ユニット40・・を常に対象と
して、高電圧印加に関する制御を為すことができる。 19) その後、CPU49は、「通常プログラム」の開始
段階に戻り、新たに設定された5機の子機に対して、順
次個別に、手順4)以降の上述の制御手順を同様に繰り返
す(図中の参照)。 20) また、CPU49は、手順15) に関連して、子機C
1ないし子機C5の各々について、再び読み込まれた
「通信入力」のデータが空であると判断したとき、つま
り総ての子機からの返答がないと判断したとき、「緊急
プログラム2」の動作を開始する。総ての子機からの返
答がないとは、何らかの原因により、誘導路6よりの給
電を受け始めた子機より数えて5機総ての子機C1ない
しC5の動作が停止している事態を指す。まず、CPU
49は、誘導路電源OFF信号をメモリ領域「データ出
力」に書込む。すると、「データ出力」における誘導路
電源OFF信号は、 RS232C コンバータ52を経てシー
ケンサ38に入力される。シーケンサ38は、誘導路6
の電源をOFFにする指示信号をHID制御盤30に対
して出力し、これにより、誘導路6の電源はOFFにな
る。 21) その後、CPU49は、メモリ領域「データ入力」
を読込み、そして、読み込まれた「データ入力」のデー
タは再起動信号を含むものであるかどうかを判断する。
この判断は、「データ入力」データが再起動信号を含む
と判断されるまでの間、続行される。 22) そして、「データ入力」のデータが再起動信号を含
むと判断したとき、CPU49は、誘導路電源ON信号
をメモリ領域「データ出力」に書込む。すると、「デー
タ出力」における誘導路電源ON信号は、 RS232C コン
バータ52を経てシーケンサ38に入力される。シーケ
ンサ38は、誘導路6の電源をONにする指示信号を、
HID制御盤30に対して出力し、これにより、誘導路
6の電源はONになり、本塗装システムの運転が再開さ
れる。なお、その後、CPU49は、「初期プログラ
ム」の開始段階に戻る(図中の参照)。
【0051】以上のように、高電圧発生装置8は、各
々、稼働時において加電ユニット40が誘導路6よりの
給電を受け始めたとき(あるいは、稼働当初において、
誘導路6よりの給電を受けうる5機の加電ユニット40
に該当するとき)、「初期プログラム」が動作して、高
電圧発生器15のコントローラ14およびコンバータ4
6の起動が完了した時点で、起動完了信号を出力し、こ
れを無線機11を介して自動制御装置17に送信し、続
いて、加電ユニット40が誘導路6よりの給電を受け始
めたものより数えて5機の加電ユニット40に該当する
間は、「通常プログラム」が動作し、自動制御装置17
との間で送受信するという制御システムを備えている。
一方、自動制御装置17は、上記の起動完了信号を新た
に受信したとき、ソート処理により、制御すべき5機の
加電ユニット40・・を新たに選定し(あるいは稼働当
初にあっては、制御すべき5機の加電ユニット40・・
をアドレス順に並び替え)、続いて、「通常プログラ
ム」が動作し、誘導路6よりの給電を受け始めたものよ
り数えて5機の加電ユニット40・・に対して、各加電
ユニット40について個別に(アドレス順に)、無線機
18、19を介して加電ユニット40のコントローラ1
4と送受信するという制御システムを備えている。要す
るに、本ワーク加電塗装システムにあっては、無線方式
による高電圧印加の制御に関して、塗装ブース10内を
走行する相当な数の加電ユニット40・・(高電圧発生
装置8)の内、その時点において誘導路6よりの給電を
受け始めたものより数えて5機の高電圧発生装置8と、
塗装ブース外の自動制御装置17との間で、双方向の送
受信が可能となっている。
【0052】そして、さらに特徴的なことに、高電圧発
生装置8は各々、自動制御装置17と送受信しうる過程
において、自動制御装置17からの送信データがメモリ
領域「データ入力」に入力されていないとき、さらに、
その「データ入力」空の状態が1秒間継続したと判断し
たとき、非常停止信号を高電圧発生器15のコントロー
ラ14に出力することにより、自ら高電圧印加動作を停
止することができるという制御システムを備えている。
従って、自動制御装置17の故障・不良により加電ユニ
ット40への送信が途絶えたときも、高電圧発生装置8
それ自体により高電圧印加動作が停止されるので、被塗
装物への高電圧印加が無制御で為されることもなく、本
塗装システムの安全性がより一層担保される。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ワーク加電塗装システムにおいて、塗装ブース外の自動
制御装置の故障・不良により、塗装ブース内の加電ユニ
ット、特に誘導路よりの給電を実際に受けている加電ユ
ニットへの通信が不能の事態に至ったときも、高電圧発
生装置における高電圧印加動作を自動的に停止すること
ができ、安全性の面で大変優れているという効果が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のワーク加電塗装システムの
全体を示す図である。
【図2】図1に示すワーク加電塗装システムの全体を上
方より見た図である。
【図3】図1に示すワーク加電塗装システムの主要部を
示す正面図である。
【図4】図1に示すワーク加電塗装システムの主要部を
側方より見た図である。
【図5】図3、図4に示される、スラットコンベヤのコ
ンベヤチェーンに装着された防爆ケーシングの内部を示
す部分断面図である。
【図6】図1に示すワーク加電塗装システムにおいて、
高電圧印加の制御に関する構成を説明する概略図であ
る。
【図7】加電ユニット(高電圧発生装置)の制御システ
ムの構成を示す図である。
【図8】自動制御装置の制御システムの構成を示す図で
ある。
【図9】図7に示す制御システムが為す制御の流れ図の
一部である。
【図10】図7に示す制御システムが為す制御の流れ図
の残部である。
【図11】図8に示す制御システムが為す制御の流れ図
の一部である。
【図12】図8に示す制御システムが為す制御の流れ図
の残部である。
【符号の説明】
1 スラットコンベヤ 2 スラット 4a 4b 絶縁碍子 5 電極アタッチメント 6 誘導路 7 ピックアップコイル 8 高電圧発生装置 10 塗装ブース 13 変電ユニット 14 コントローラ 15 高電圧発生器 17 自動制御装置 20 自動車ボディ(被塗装物) 21 台車 22 塗装ロボット 23 サイドレシプロ塗装装置 24 トップレシプロ塗装装置 33 子機のインターフェイスボード 38 シーケンサ 39 親機のインターフェイスボード 40 加電ユニット 44 子機の中央演算処理装置 45 子機のメモリ装置 46 子機のRS232Cコンバータ 49 親機の中央演算処理装置 50 親機のメモリ装置 51 親機のRS232Cコンバータ 52 親機のRS232Cコンバータ A 搬送方向

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高電圧を被塗装物に印加することによ
    り、水性塗料で静電塗装を行なうワーク加電塗装システ
    ムにおいて、 塗装ブース内に備えられた、無端状コンベヤまたは所定
    の無端軌道に従って走行する自走式台車と、 該コンベヤまたは該自走式台車に組み付けられ、これら
    の運転により走行し、搭載された被塗装物を搬送する相
    当数の加電ユニットと、 被塗装物の搬送方向に沿って所定の長さで形成された誘
    導路と、 塗装ブース内に、搬送される被塗装物の近くに配置され
    た、接地された塗装機と、 塗装ブース外に配備された、被塗装物への高電圧印加の
    オンオフ動作並びに該塗装機の運転・動作を制御する自
    動制御装置よりなり、そして、 前記加電ユニットは、 1)絶縁碍子を前記コンベヤ上にまたは前記自走式台車上
    に立設しさらに電極アタッチメントをその上に取付けて
    なる、被塗装物をそれへの通電可能に搭載できる支持手
    段と、 2)前記コンベヤ上にまたは前記自走式台車に、前記誘導
    路と非接触で対向するように取付けられたピックアップ
    コイルと、 3)前記誘導路と該ピックアップコイルの電磁誘導により
    生じた起電力を所要の高電圧電流に変換し、これをコン
    トローラの動作に基づいて前記電極アタッチメントに供
    給する高電圧発生装置とを備えてなり、また、 一方は塗装ブース外に前記自動制御装置と接続して設
    け、他方は塗装ブース内に各々の前記加電ユニットのコ
    ントローラと接続して設け、これら両者間の双方向送受
    信を可能にする無線機の組を備えてなり、さらに、 前記加電ユニットの高電圧発生装置は、各々、前記自動
    制御装置と送受信しうる過程において前記自動制御装置
    よりの送信が所定の時間の間途絶えたとき、自ら高電圧
    印加動作を停止することができる制御システムを備えて
    なることを特徴とする、ワーク加電塗装システム。
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