JPH09234394A - ワーク加電塗装システム - Google Patents

ワーク加電塗装システム

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JPH09234394A
JPH09234394A JP6918796A JP6918796A JPH09234394A JP H09234394 A JPH09234394 A JP H09234394A JP 6918796 A JP6918796 A JP 6918796A JP 6918796 A JP6918796 A JP 6918796A JP H09234394 A JPH09234394 A JP H09234394A
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JP
Japan
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high voltage
coating
slat
voltage generator
coated
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Application number
JP6918796A
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English (en)
Inventor
Toshio Narita
年男 成田
Shinichi Nakane
慎一 中根
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Trinity Industrial Corp
Original Assignee
Trinity Industrial Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】被塗装物への高電圧印加等に関して無線方式の
自動制御がなされるワーク加電塗装システムにおいて、
誤通信による不必要な高電圧印加を無くし、稼働時作業
者が塗装ブース内に残留したような場合にも、作業者の
安全を確保することができ、安全性のより改良された該
塗装システムを提供する。 【解決手段】被塗装物20をスラットコンベヤ1上の絶縁
碍子4a、4bに搭載しコンベヤ1の運転により搬送すると
ともに、スラット2上の高電圧発生装置8により生じた
高電圧を被塗装物20に印加することにより、接地された
塗装機を用いて水性塗料で静電塗装を行なう塗装システ
ムにおいて、塗装ブース10内において、被塗装物20が加
電域にあるとき発生装置8の運転を可能にし、非加電域
にあるとき発生装置8の運転を不可能にし、さらに緊急
時または必要なとき発生装置8の運転を停止しうる保全
機構(レール30、リミットスイッチ32)を備えてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワーク加電塗装シ
ステムと呼称されるところの、接地された塗装機および
塗装ロボット等を用い高電圧を被塗装物に印加すること
により、水性塗料で静電塗装を行なう新規な塗装システ
ムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車ボディ等の静電塗装は、一
般に、−60〜−150kVの高電圧を静電塗装機に印
加することにより、絶縁性塗料を接地された被塗装物に
向けて霧化・噴霧するという方法により行なわれてき
た。しかし、この塗装法に使用される絶縁性塗料には、
シンナー等の有害な有機溶剤が多く含まれている。近
年、環境保護の運動が世界的に高まり、産業界における
有機溶剤の使用の規制が叫ばれてきており、これに呼応
して塗装業界においては、有機溶剤を少ししか含まない
塗料、即ち水性塗料(水溶性塗料および狭義の水性塗
料)で以て静電塗装を行なうことが推奨されている。
【0003】しかしながら、水性塗料は導電性を有する
ため、これを静電塗装機より霧化・噴霧する場合には、
その塗装機に印加した高電圧電流が塗料を通じてリーク
しないように、塗料の供給系全体を絶縁処理する必要が
ある。現在、自動車ボディの塗装設備にあっては、通
常、数十色の塗料を使用して多色色替え塗装が為されて
いるので、各色ごとに塗料配管および塗料タンク等をそ
れぞれ絶縁処理することは、非常に煩雑な作業であり、
また、かかる絶縁処理は、防爆チャンバ等の付設をも伴
うので、塗装設備の大変な複雑化および大型化を招くこ
とになる。
【0004】そこで、従来、塗料配管系に絶縁処理を施
すことなく、導電性塗料を用いて静電塗装を行ないうる
ようにするいくつかの塗装システムが提案されている
(実開平 3-105948 号公報、実開平 4-16796号公報等
参照)。しかし、提案されたこれらの塗装システムは、
接触子と集電レールの接触により生じたスパークの熱に
より、これらの表面が徐々に融けていき、やがて凹凸が
形成されるので、接触子および集電レールは頻繁に交換
する必要があり、また、集電レールには塗料が付着しや
すく、頻繁に洗浄処理をなす必要があるという欠点を有
する。また、高電圧印加領域において、被塗装物を通常
のコンベヤから絶縁コンベヤに乗せ換え、そして高電圧
を被塗装物に印加して静電塗装を行なうという方法も提
案されている(特開平 3-224651 号公報、同 4-225857
号公報等)。しかし、この方法では、コンベヤから他の
コンベヤヘの乗り換えの際のスパークの発生を防止する
ために、高電圧印加領域の出入口に電圧の昇降動作を行
なうゾーンを設けることが必要とされ、塗装設備が大掛
かりなものとなる。また、その電圧昇降制御も一般に面
倒である。
【0005】本発明者らは、かかる事情を考慮し、鋭意
研究を重ねた結果、被塗装物への高電圧の印加により、
水性塗料で以て静電塗装をなすことができるところの新
規な塗装システムを開発するに至った。すなわち、その
新規な塗装システムは、特願平 7-61809号等に開示され
るように、接地された塗装機を無端状スラットコンベヤ
の近くに配備するとともに、電磁誘導の一次回路となる
誘導路を該コンベヤの搬送方向に設置し、かつ、電磁誘
導の二次回路となるピックアップコイルを該誘導路と非
接触で対向するようにコンベヤの走行部材(スラット)
に取付け、また被塗装物を搭載するための電極アタッチ
メントを該スラット上に絶縁碍子を介して絶縁状態で取
付け、さらに高電圧発生器をもスラット上に備え付けて
構成され、誘導路とピックアップコイルの電磁誘導によ
り生じた起電力を昇圧し、それを電極アタッチメントに
供給することにより、所要の高電圧を搭載された被塗装
物に対して印加し、これと同時に、水性塗料を塗装機よ
り吐出または噴霧することにより、静電塗装を行なうと
いう塗装システムであり、本発明者はこれをワーク加電
塗装システムと呼称する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の塗装システム
は、これまでに提案された塗装システムとは異なり、ス
パークの発生や設備の大型化など、上述した諸欠点が生
じず、優れたシステムである。そして、次なる課題とし
ては、該システムの運転制御法を確立する必要が生じ
た。一般に、塗装システムの稼働時、作業者が塗装ブー
ス内に立ち入ることは極力避けられなければならない。
その理由は、作業者の立入りにより塗装ブース内を流れ
る清澄空気の整流が乱れ、塗装不良をひき起こす場合が
あるからであり、また、より重要な理由は、稼働中の塗
装ブースの内部は高電圧が頻繁に印加されている環境に
あり、作業者にとって危険だからである。従って、上記
のワーク加電塗装システムにあっては、稼働時、作業者
が塗装ブースの外から、被塗装物への高電圧印加および
塗装機の塗料噴霧などに関して監および制御できるよう
にすることが必要とされる。特に、ワーク加電塗装シス
テムにあっては、スラットコンベヤの運転時、コンベヤ
上の高電圧発生器等が常に走行しているので、その運転
・動作に関しては、有線方式の制御法が採用しずらい。
【0007】そこで、本出願人は、特願平 7-61810号、
特願平 7-99862号、特願平 7-63437号等の出願に開示さ
れるように、一方の送受信機はスラットコンベヤ上に高
電圧発生器のコントローラと接続してまた他方の送受信
機は塗装ブース外に自動制御装置と接続して備え、そし
て、これら二組の送受信機を経由するコントローラと自
動制御装置との間の無線通信により、被塗装物への高電
圧印加および塗装機の塗料噴霧などに関する自動制御を
行なうという運転制御法を提案した。
【0008】この方法によれば、塗装ブースの外からの
制御信号の無線送信により、被塗装物への高電圧印加オ
ンオフを制御し、かつ、コンベヤ上からの監視信号の無
線受信により、高電圧の印加具合などを監視することが
できる。従って、上記の無線方式の運転制御法は、基本
的には、ワーク加電塗装システムに適した制御法である
といえる。しかし、この無線方式の運転制御法において
は、制御信号等の誤送信、誤受信により、高電圧発生器
の誤動作が起き、本来高電圧が印加されるはずのない場
所または時において、被塗装物等への高電圧の印加がな
され、従って本塗装システムの各装置、各部品の損傷が
生じ、また仮に作業者が塗装ブース内に残っていたとき
には、人の感電事故が発生するという可能性が、極稀な
確率ではあるが、存在する。特に、この制御法の実際の
利用にあっては、塗装効率の向上の観点から、塗装ブー
ス外の一つの自動制御装置とスラットコンベヤ上のいく
つかの高電圧発生器のコントローラとの間で各々別個に
かつ同時に送受信を行なうという方法が一般に採られる
ので、つまり、数多くの送受信機相互の間で同時に双方
向多重通信がなされることになるので、信号の誤送信、
誤受信による高電圧発生器の誤動作が起きる可能性は、
より高まる。また、上記の運転制御法にあっては、高電
圧印加のオンオフ動作が塗装ブース外からの無線方式の
自動制御に基づいてなされるため、被塗装物の搬送路の
うちいずれの区域においても高電圧印加がなされ得る。
その上、作業者は塗装ブース内において、その場所が本
来高電圧印加がなされる域であるかまたは高電圧印加が
なされない区域であるのか、自らの目で確認することが
できない。従って、仮に、稼働時、作業者が塗装ブース
内に残ってしまったような場合に、作業者は自らの安全
を確保しにくいという問題がある。さらに、万一、本シ
ステムの稼働時、作業者が塗装ブース内に残ったとき、
作業者は塗装ブース内において被塗装物への高電圧印加
動作を停止することができず、従って、安全性に関し
て、この点で問題が残されている。
【0009】本発明は、かかる事情に基づいてなされた
ものであって、被塗装物への高電圧印加等に関して無線
方式の自動制御がなされるところのワーク加電塗装シス
テムにおいて、誤通信による不必要な高電圧印加を無く
し、稼働時作業者が塗装ブース内に残留したような場合
にも、作業者の安全を確保することができ、安全性に関
してより改良されたワーク加電塗装システムを提供する
ことを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】より明確には、本発明に
よるワーク加電塗装システムは、高電圧を被塗装物に印
加することにより、水性塗料で静電塗装を行なうワーク
加電塗装システムにおいて、塗装ブース内に実質的に水
平に設置された無端状スラットコンベヤと、塗装ブース
内に該コンベヤの近くに配置された、接地された塗装機
と、前記コンベヤのスラット表面上に絶縁碍子を立設し
かつその上に電極アタッチメントを取付けて成り、被塗
装物またはその台車を被塗装物への通電可能に搭載でき
る支持手段と、前記コンベヤの上下のスラット列の間
に、搬送方向に沿って所定の長さで形成された誘導路
と、前記コンベヤのスラット裏面上に該誘導路と非接触
で対向するように取付けられたピックアップコイルと、
前記コンベヤのスラット上に備えられた、前記誘導路と
ピックアップコイルの電磁誘導により生じた起電力を所
要の高電圧電流に変換し、これをコントローラの動作に
基づいて前記電極アタッチメントに供給する高電圧発生
装置と、前記塗装ブース外に配備された、被塗装物への
高電圧印加のオンオフ動作並びに前記塗装機の運転・動
作を制御する自動制御装置と、一方は塗装ブース外に該
自動制御装置と接続して設け、他方は前記コンベヤのス
ラット上に前記コントローラと接続して取付けてなる、
コントローラと自動制御装置との間の無線通信を可能に
する二組の送受信機とを備えてなり、そして、塗装ブー
ス内において、前記高電圧発生装置と連係して設けられ
た、被塗装物が加電域にあるときには、高電圧発生装置
の運転を可能にし、被塗装物が非加電域にあるときに
は、高電圧発生装置の運転を不可能にし、さらに、被塗
装物が加電域にあっても緊急時または必要なときには、
高電圧発生装置の運転を停止することができる保全機構
をさらに備えてなることを特徴とする、ワーク加電塗装
システムに関する。
【0011】本発明のより好ましい態様は、以下に示す
いずれかの保全機構を備えたワーク加電塗装システムに
関する。 (1) 保全機構は、レールを塗装ブース内に被塗装物の搬
送方向に加電域にわたってかつ変位可能に備えるととも
に、前記高電圧発生装置と接続されたリミットスイッチ
を前記スラットコンベヤ上に、前記レールとの接触によ
りオンオフ動作して高電圧発生装置の運転を可能にする
ように設けてなる。 (2) 保全機構は、反射面材を塗装ブース内に被塗装物の
搬送方向に加電域にわたってかつ変向可能に備えるとと
もに、投光器および前記高電圧発生装置と接続された受
光センサを前記スラットコンベヤ上に、投光器から発し
た光が前記反射面材で反射されて受光センサに入射する
とき、高電圧発生装置の運転を可能にするように設けて
なる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるワーク加電塗
装システムに使用される各要素を順に説明する。
【0013】無端状スラットコンベヤは、被塗装物を搬
送するためのコンベヤであって、塗装ブース内に実質的
に水平に設置される。その構成は、並行する2条(ある
いは3条以上)のエンドレスチェーン、その各チェーン
の両端が巻き掛けられたスプロケット、および、チェー
ン間に各々張設された多数のスラットより成る、一般的
なスラットコンベヤ構造でよい。なお、より好ましい態
様としては、スラットコンベヤの下側には、加圧水(ま
たは加圧エア)の噴射器が付設され、スラット上の絶縁
碍子に向けての加圧水等の噴射によりそれらの洗浄が可
能であるところの構成が採用される。また、スラットと
しては、通常、めくら板のスラットが用いられるが、絶
縁碍子、高電圧発生装置の各部品、並びに無線送受信機
等を支持することができるものであれば、スラットの一
部もしくは全体を、多孔板、格子板またはパンチングメ
タル板と類似した構造に仕上げてもよく、また、スラッ
トの一部を切り欠いてもよい。
【0014】塗装機は、塗装ブース内にスラットコンベ
ヤの近くに適宜配置され、接地された状態に保たれる。
この塗装機には、トップレシプロ塗装装置、サイドレシ
プロ塗装装置および塗装ロボット等に組み込まれたもの
が含まれる。本発明で使用される塗装機は、塗料とし
て、水性塗料または水溶性塗料を利用するものであり、
塗装機自体が接地された状態で使用される。塗装機とし
ては、静電塗装機および非静電の塗装機のいずれも、使
用することができる。
【0015】支持手段は、自動車ボディ等の被塗装物
(またはそれを乗せた台車)を載せて支持するととも
に、それらを被塗装物への通電が可能なように搭載する
ことができる手段であり、絶縁碍子と電極アタッチメン
トからなる。絶縁碍子は、例えば柱形状を成し、スラッ
トコンベヤのスラット表面上に、自動車ボディの場合に
は通常前後に1本ずつまたは2本ずつ、立設される。電
極アタッチメントは、絶縁碍子の上に取り付けられた導
電性(金属製)の治具であり、自動車ボディ等の被塗装
物が搭載されたとき、それへの通電が可能となるように
構成されている。よって、電極アタッチメントは絶縁状
態でスラットコンベヤ上に備え付けられているので、こ
れに高電圧を印加しても、電流がスラットコンベヤの表
面へリークしない。また、1つの被塗装物に対応する絶
縁碍子と電極アタッチメントの組は、被塗装物の長さや
スラットコンベヤの全長等に応じて、適当な数だけスラ
ットコンベヤのスラット表面上に備えられる。
【0016】誘導路は、電磁誘導の一次回路となるもの
で、スラットコンベヤの上下のスラット列の間に、搬送
方向に沿って所定の長さで形成される。誘導路として
は、例えば、適当数の支柱を間隔をおいて配置し、そし
てそれらの支柱の上に多芯ケーブルを搬送方向に沿って
(通常、2本並行に)支持架設した構成のものでよく、
電磁誘導によりピックアップコイルに、高電圧発生装置
の一次電源として必要な起電力が生じる程度の低電力
(自動車ボディの塗装の場合には、例えば単相交流300V
〜 600V 、10kHz )が給電源より供給される構成のも
のでよい。従って、誘導路と塗装機との間に強い静電場
が形成されないので、しかもそれら両者の間にスラット
が介在しているので、塗装機からの塗料ミストは誘導路
に静電塗着されないと考えられる。
【0017】ピックアップコイルは、電磁誘導の二次回
路となるもので、スラットコンベヤのスラット裏面上に
例えば上記の前後の絶縁碍子の間の位置に、そして前記
誘導路と非接触で対向するように、取付けられる。従っ
て、ピックアップコイルはスラットコンベヤの運転によ
りスラットとともに走行し、またこのとき、誘導路との
間で電磁誘導により起電力(自動車ボディの塗装の場合
には、例えば単相交流50V〜 100V 、10kHz )を生じ、
この電流を高電圧発生装置に出力するものである。本シ
ステムでは、誘導路とピックアップコイルが非接触で対
向する構造であるので、電磁誘導により生じた起電力
を、ピックアップコイルが誘導路と対向して走行してい
る間、常に安定して高電圧発生装置に供給することがで
きる。従って、従来なされた高電圧印加領域の出入口ゾ
ーンにおける電圧の昇降制御をなすことなく、高電圧発
生装置のオンオフ操作によって、被塗装物への高電圧の
印加およびその停止を自動的に行なうことができる。
【0018】高電圧発生装置は、前記誘導路とピックア
ップコイルの電磁誘導により生じた起電力を一次電源と
し、これを昇圧して所要の高電圧電流に変換し、そして
これを上記の電極アタッチメントに供給する装置であっ
て、スラットコンベヤのスラット表面上にまたはスラッ
ト裏面上に組み付けられる。この発生装置は一般に、変
電ユニット、コントローラ、高電圧発生器、並びに接地
スイッチより構成される。また通常、いくつかの組の高
電圧発生装置が一のスラットコンベヤ上に組み付けら
れ、これにより、同時に連続した静電塗装が可能なよう
に構成される。なお、高電圧発生装置は、高電圧の発生
源であることから、これに適当な防爆措置を施すことが
より好ましい。従って、より好ましい態様にあっては、
高電圧発生装置(特にコントローラ等)が防爆ケーシン
グの中に収容されている。
【0019】変電ユニットは、ピックアップコイルから
の起電力電流をコントローラへの一次電源に適合する電
流(普通、60Hzまたは50Hzの低周波電流)に調整する装
置であり、例えば、ピックアップコイルからの起電力電
流を集める端子、および、交流・直流変換部品並びにイ
ンバータ等より構成される。
【0020】コントローラは、変電ユニットと高電圧発
生器の間に接続された、高電圧印加のオン・オフ制御等
を行なう制御装置であって、所定の制御信号(例えば 1
2Vまたは 24V直流信号)を高電圧発生器に送るととも
に、印加される電圧・電流のモニター並びにリーク電流
等のモニターを行なう。従って、コントローラは、一般
に高電圧印加のオン・オフ制御回路、印加電圧・電流の
モニター回路等を備えている。特に、コントローラは、
スラットコンベヤ上の無線送受信機とも接続されてお
り、高電圧印加オン信号が自動制御装置より無線送受信
機を介して入力されたときには、その印加オン信号を高
電圧発生器に送り、所定の高電圧を被塗装物に印加せし
め、これと同時に、被塗装物への高電圧印加が為された
ことを表わす信号を、無線送受信機を介して自動制御装
置に送り、これに続いて、印加された電圧・電流値に関
するモニター信号を無線送受信機を介して自動制御装置
に送るという制御を為すように、また、高電圧印加オフ
信号が自動制御装置より無線送受信機を介して入力され
たときには、その印加オフ信号を高電圧発生器に送り、
被塗装物への高電圧印加を停止せしめ、これと同時に、
高電圧印加が停止されたことを表わす信号を、無線送受
信機を介して自動制御装置に送るという制御を為すよう
に、構成されている。
【0021】高電圧発生器は、高周波パルス発振器、変
圧器および倍電圧整流回路(コッククロフト回路)等を
含み、コントローラからの電圧信号を受けて所要の高電
圧電流(自動車ボディの塗装の場合には、例えば、 -60
kV 〜 -150 kV(あるいは、+60 kV 〜 +150 kV)、 40
0μA )を発生させる装置である。なお、自動車ボディ
等の被塗装物に正の高電圧を印加するかまたは負の高電
圧を印加するかについては、被塗装物の形状、塗装装置
等の設置状況などに応じて適宜選択することができる。
また、より好ましくは、高電圧発生器は、スラット上の
絶縁碍子の内部に、その接続端子が電極アタッチメント
と電気的に接続するように装填される。高電圧発生器の
装填は、例えば、適当容量のボアを絶縁碍子の内部に形
成し、小型化された高電圧発生器をそのボアの中に収容
し、高電圧発生器とボア周壁との間の空隙を絶縁油また
は絶縁性樹脂で充満するという方法により、なされる。
【0022】接地スイッチ(高電圧遮断スイッチとも呼
称される)は、電極アタッチメントからスラット上への
リーク電流が増大した場合または接地された塗装機等が
高電圧印加された被塗装物に異常に接近した場合等によ
り異常な電圧が生じているとき、あるいは何らかの原因
で所要の高電圧が印加されないときにおいて、高電圧発
生器を短絡させて印加電圧を接地電圧にまで降下せしめ
る装置であって、システムの安全確保のために、通常、
高電圧発生器と併せて設けられる。接地スイッチとして
は、ソレノイド等よりなる機械式接地スイッチ、または
最近の電子スイッチ、あるいはこれらの組合せが使用さ
れる。
【0023】自動制御装置は、塗装ブース外に配備され
た、コンピュータ内蔵の制御装置であって、本システム
の運転制御全般に関して、例えばスラットコンベヤの運
転および誘導路への給電の他、被塗装物への高電圧印加
のオンオフ動作、並びに、塗料噴霧に関する各塗装機の
運転動作などに関して自動制御を行なう装置であり、ス
プレーコントローラおよび各種の検知手段と各々接続さ
れるとともに、無線送受信機を介してスラットコンベヤ
上のコントローラとも通信可能となっている。そして、
特に高電圧印加に関しては、二組の送受信機を経由した
双方向無線通信により、その自動制御が為される。すな
わち、自動制御装置は、高電圧印加を指令する制御信号
をスラットコンベヤ上の高電圧発生装置に向けて無線送
信し、同時に、印加された高電圧を表わすモニター信号
をスラットコンベヤ上の高電圧発生装置から無線受信
し、そして、それが正常値であるとき、塗料噴霧を指令
する信号をスプレーコントローラに送ることにより、水
性塗料を塗装機より噴霧せしめて、これにより静電塗装
を為すという制御を行なう。スプレーコントローラは、
自動制御装置からの指令信号に従って、塗装ブース内の
いくつかの(トップ、サイド)レシプロ塗装装置並びに
塗装ロボット等の運転、および、これらに組み込まれた
ベル型等の各塗装機からの塗料噴霧(吐出)動作に関す
る制御を行なう装置であって、通常、塗装ブース外に配
備される。なお、制御用電線・ケーブルは塗装装置等よ
り、塗装ブースの側壁またはその下側の空間を通り抜け
てスプレーコントローラに接続されている。
【0024】また、二組の無線送受信機のうち一方は、
スラットコンベヤのスラット上に取付けられ、高電圧発
生装置のコントローラと接続されている。また、他方の
無線送受信機は、塗装ブース外の自動制御装置と接続し
て備えられる。これにより、本塗装システムは、これら
二組の無線送受信機を経由して、スラット上のコントロ
ーラと塗装ブース外の自動制御装置との間で双方向通信
が可能なように構成されている。すなわち、塗装ブース
外の自動制御装置からは、高電圧印加のオン・オフ信号
(あるいは接地スイッチのオン信号)等が送信され、ス
ラットコンベヤ上のコントローラがこれらの信号を受信
し、一方、スラットコンベヤ上のコントローラからは、
実際に印加されている電圧・電流値(並びにリーク電流
値)等の各モニター信号が送信され、塗装ブース外の自
動制御装置がこれらの信号を受信し、従って、かかる双
方向無線通信により、高電圧印加に関する自動制御がな
され得るようになっている。
【0025】無線送受信機としては、一の装置で同時に
(デジタルまたはアナログ)送受信可能な(複信方式)
無線機でもよいが、送信専用の無線機と受信専用の無線
機とを組み合わせて利用してもよい。また、通信手段と
しては、電波(周波数3000GHz以下、より好まし
くは30kHz〜30MHzの電磁波)通信のほか、マ
イクロ波通信、光通信(例えば、可視光線もしくは赤外
線を用いたもの)、または音波通信(例えば超音波を用
いたもの)でもよい。光通信は、電波通信と比べて、電
磁波障害をあまり受けない点で、また防爆構造がより容
易である点で、より好ましい。電波通信の場合には、ア
ンテナおよび無線通信用電気回路を備えた一般的な無線
機が利用され、マイクロ波通信の場合には、送受信回路
に導波管または空胴共振器を備えた無線機が利用され、
さらに光通信の場合には、発光器(ビーム発射器)およ
び受光器(ビーム受光器)の組合せを備えた無線機が利
用される。
【0026】したがって、本ワーク加電塗装システムに
おいては、自動車ボディ等の被塗装物をスラット上の電
極アタッチメントに搭載し、スラットコンベヤを運転さ
せると、スラットの走行とともに被塗装物が搬送され、
このとき、ピックアップコイルと誘導路との間で電磁誘
導により生じた起電力がスラット上の高電圧発生装置に
より所要の高電圧電流に変換され、そして、コントロー
ラの動作に基づいて高電圧を電極アタッチメントを介し
て被塗装物に適時印加される。これと同時に、自動制御
装置からの指令に従うスプレーコントローラの制御に基
づいて、接地された塗装機より水性塗料が被塗装物に向
けて霧化・噴霧され、同塗料が被塗装物の表面に被覆さ
れる。このように、本塗装システムでは、水性塗料を用
いた、被塗装物への高電圧印加による静電塗装が可能で
ある。
【0027】そして、本発明のワーク加電塗装システム
は、特徴的なことに、塗装ブース内において、さらに保
全機構を高電圧発生装置と連係して備えてなる。この保
全機構は、被塗装物が加電域(被塗装物の搬送路のうち
高電圧印加がなされるべきである区域)にあるときに
は、高電圧発生装置の運転を可能にし、被塗装物が非加
電域(被塗装物の搬送路のうち高電圧印加がなされるべ
きでない区域)にあるときには、高電圧発生装置の運転
を不可能にし、さらに被塗装物が加電域にあっても緊急
時または必要なときには、高電圧発生装置の運転を停止
することができる機構である。
【0028】保全機構の具体的な構成は、特に限定され
るものでない。その典型的な一つの例は、塗装ブース内
において、レールを被塗装物の搬送方向に加電域にわた
って据え付け、かつ、油圧シリンダ装置もしくはギア駆
動装置等を用いて該レールを変位可能に、例えば上下に
昇降可能にまたはスラットコンベヤに対して進退可能に
備え、これとともに、リミットスイッチをスラットコン
ベヤ上に高電圧発生装置と接続して設け、該リミットス
イッチが前記レールとの接触によりオンオフ動作(普
通、オン動作)することにより、高電圧発生装置の運転
を可能にするように構成されたものである。非加電域に
おいては、レールが布設されないので、リミットスイッ
チが動作せず、従って、信号の誤通信等により高電圧発
生器が誤動作しうる状態に至ったとしても、高電圧発生
装置の運転を不可能に保つことができる。また、作業者
は、レールの有る無しで、その場所が加電域であるのか
それとも非加電域であるのか容易に判別、確認すること
ができ、自らの身の安全を容易に図ることができる。さ
らに、作業者は、油圧シリンダ装置等を作動させて、レ
ールをリミットスイッチと接触しない位置まで変位せし
めることにより、被塗装物が加電域にあっても高電圧発
生装置の運転を停止することができ、従って、稼働時塗
装ブース内に残ったときにも、自らの身を高電圧印加か
ら護ることができる。
【0029】保全機構の他の例としては、塗装ブース内
において、投光器(例えば光電管)をスラットコンベヤ
上に取り付けるとともに、鏡板、鏡面金属板等の反射面
材を被塗装物の搬送方向に加電域にわたって、かつ、回
動自在にする支持軸等を用いて変向可能(例えば傾動自
在)に備え、そして、受光センサをスラットコンベヤ上
に高電圧発生装置と接続して設け、前記投光器から発し
た光が前記反射面材で反射されて前記受光センサに入射
するとき、高電圧発生装置の運転を可能にするように構
成されているものが挙げられる。非加電域においては、
反射面材が備えられていないので、投光器からの光が受
光センサに入射せず、従って、信号の誤通信等により高
電圧発生器が誤動作しうる状態に至ったとしても、高電
圧発生装置の運転を不可能に保つことができる。また、
作業者は、反射面材の有る無しで、その場所が加電域で
あるのかそれとも非加電域であるのか容易に判別、確認
することができ、自らの身の安全を容易に図ることがで
きる。さらに、作業者は、反射面材を変向せしめて、投
光器からの光が受光センサに入射しないようにすること
により、被塗装物が加電域にあっても高電圧発生装置の
運転を停止することができ、従って、稼働時塗装ブース
内に残ったときにも、自らの身を高電圧印加から護るこ
とができる。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により説明す
る。図1ないし図8は、本実施例のワーク加電塗装シス
テムを示す。図1および図2は該塗装システムの全体を
示し、図3および図5はその主要部を示す。また、図4
は、その運転制御法を説明するものであり、そして、図
6ないし図8は、本実施例に特徴的な保全機構を示すも
のである。
【0031】本ワーク加電塗装システムは、自動車ボデ
ィの静電塗装システムであり、図1および図2に示すよ
うに、塗装ブース10内に、自動車ボディ搬送用の無端
状スラットコンベヤ1を実質的に水平に設置するととも
に、該コンベヤ1の近くにその搬送方向(図中、矢印A
の方向)に沿って、塗装ロボット22、サイドレシプロ
塗装装置23およびトップレシプロ塗装装置24を配備
して成る。これらの塗装装置は各々、ベル型等の塗装機
(図示せず)を組み込んでおり、各塗装機は接地された
状態に保たれている。いずれの塗装機も、塗料として、
水性塗料または水溶性塗料を利用するものである。な
お、これらの図中、26は自動車ボディを塗装ブース内
に搬入するためのターンテーブルを示す。
【0032】スラットコンベヤ1は、並行する2条のエ
ンドレスチェーン27、27の両端をそれぞれスプロケ
ット25、25に巻き掛け、2条の該チェーン27、2
7の間に多数のスラット2・・を張設してなり、従っ
て、上下にスラット列3、3が形成されている。また、
スラットコンベヤ1のスラット2の表面上には、支持手
段として、絶縁碍子4a、4bが立設され、かつ、その
上には、電極アタッチメント5が夫々取付けられてい
る。これらの部材は、自動車ボディ20の乗った台車2
1を載せて支持することができ、かつその際、電極アタ
ッチメント5から自動車ボディ20への通電を可能にす
る手段である。絶縁碍子4a、4bと電極アタッチメン
ト5との組は、塗装対象の自動車ボディ20ごとにそれ
ぞれ対応するように、適当な数、備えられる。
【0033】図3および図5に詳細に示すように、絶縁
碍子4a、4bは、柱形状を成し、スラットコンベヤ1
のスラット2・・の表面上に、前後に1基ずつ、適当な
間隔を開けて立設されている。また、電極アタッチメン
ト5は、絶縁碍子4a、4bの上に取り付けられた電極
部材(金属製)であり、自動車ボディ20の乗った台車
21がその上に搭載されたとき、それへの通電が可能と
なっている。従って、電極アタッチメント5は絶縁状態
でスラットコンベヤ1上に備え付けられているので、こ
れに高電圧を印加しても、電流がスラットコンベヤ1表
面へリークしない構造となっている。
【0034】また、図1および図5に示すように、スラ
ットコンベヤ1の上下のスラット列3、3の間には、電
磁誘導の一次回路となる誘導路6が、搬送方向に沿って
所定の長さで形成されている。この誘導路6には、給電
源より、高周波用複合多芯ケーブルを介して、例えば単
相交流 600V 、10kHz という低い電力(高電圧発生装置
の一次電源として必要な起電力が電磁誘導によりピック
アップコイルに生じる程度の電力)が供給される。従っ
て、誘導路6と塗装機との間に強い静電場が形成されず
しかもスラット2・・で遮蔽されているので、塗料ミス
トは誘導路6に静電塗着されにくい構成となっている。
【0035】またスラットコンベヤ1のスラット2裏面
上には、図5に明確に示すように、電磁誘導の二次回路
となるピックアップコイル7が、誘導路6と非接触で対
向するように取付けられている。ピックアップコイル7
は、図1および図3に示すように、前の絶縁碍子4aと
後の絶縁碍子4bとの間に設けられている。従って、ピ
ックアップコイル7は、スラットコンベヤ1の運転によ
りスラット2とともに走行するが、このとき、誘導路6
と非接触で対向しているので、電磁誘導による例えば単
相交流 100V 、10kHz という起電力電流を生じ、これを
下記の高電圧発生装置8に出力することができる。した
がって、本塗装システムでは、電磁誘導の一次回路と二
次回路が非接触で対向する構造であるので、生じた起電
力は、ピックアップコイル7が誘導路6と対向して走行
している間、常に安定して出力され、従って、高電圧発
生装置8のオンオフ操作により、自動車ボディ20への
高電圧の印加およびその停止を自動的に行なうことがで
きる。
【0036】また、スラットコンベヤ1のスラット2表
面上には、高電圧発生装置8が組み付けられている。高
電圧発生装置8は、図3に明確に示すように、変電ユニ
ット13(端子台、受電ボックス、インバータ等が含ま
れる。)、コントローラ14および高電圧発生器15よ
りなり、カバー構造物9の中に備えられている。なお、
カバー構造物9は、長期間の使用によっては生じるであ
ろう塗料ミスト・塵埃の高電圧発生装置8への付着を防
止するために備えられている。
【0037】また、変電ユニット13の中の図示しない
端子台は、ピックアップコイル7と接続され、これから
の起電力を集める部品である。受電ボックスは、端子台
と接続され、集められた起電力(交流)を直流に変換す
る部品であり、さらにインバータは、受電ボックスと接
続され、変換された直流電流を再び交流に変換しかつ変
調する部品である。従って、ピックアップコイル7から
の起電力電流は、かかる変電ユニット13の機能によ
り、例えば 60 Hzの低周波電流という、コントローラ1
4への一次電源に適合する電流に調整される。コントロ
ーラ14は、変電ユニット13と高電圧発生器15の間
に接続された高電圧印加のオンオフ制御等のための制御
装置であって、所定の制御信号(例えば 12 V または 2
4 V 直流信号)を高電圧発生器15に送るとともに、印
加されている高電圧値、印加時の電流値およびリーク電
流値等のモニターを行なう。また、高電圧発生器15
は、上記の電極アタッチメント5と接続された、高周波
パルス発振器、変圧器および倍電圧整流回路等を含む装
置であって、コントローラ14からの制御信号を受け
て、自動車ボディ20の塗装に必要とされる -60kV 〜
-150 kV(あるいは +60 kV 〜 +150 kV)、例えば 400
μA という高電圧電流を発生させ、そしてこれを電極ア
タッチメント5に出力する。なお、本塗装システムで
は、図3に示すように、高電圧発生器15の出力端子よ
り導かれた高電圧ケーブル16は、スラット2の表面側
から、スラット2の裏面側を経由して、絶縁碍子4aの
内部を通って碍子4a上側の電極アタッチメント5に接
続されている。ケーブル16は絶縁碍子4aの内部にて
絶縁性樹脂でモールド充填されている。従って、高電圧
ケーブル16への塗料ミスト等の付着が軽減されてスパ
ークの発生が防止されるとともに、ケーブル16表面へ
の水分付着が抑えられリーク電流の発生も減少する。
【0038】従って、高電圧発生装置8は、誘導路6と
ピックアップコイル7の電磁誘導により生じた起電力
を、所要の高電圧電流( -90 kV (あるいは +90 kV
)、 400μA )に昇圧し、これをコントローラ14の
制御に基づいて電極アタッチメント5に供給する。な
お、高電圧発生器15は、安全の確保のため、接地スイ
ッチ(図示せず)を併設してなるが、この接地スイッチ
も、コントローラ14からの制御信号を受けてオン作動
し、高電圧発生器15の回路を短絡し印加電圧を降下せ
しめる。また、変電ユニット13およびコントローラ1
4は、高電圧の発生源に対する防爆措置として、総て防
爆ケーシングの中に収容されている。
【0039】また、本塗装システムは、図2に示すよう
に、塗装ブース10外に、コンピュータ内蔵の自動制御
装置17を配備して成る。この自動制御装置17は、塗
装ブース10内のスラットコンベヤ1の運転走行および
誘導路6への給電の他、自動車ボディ20への高電圧の
印加などに関する自動制御を行ない、本システムの運転
全般を統御する。塗装ロボット22、サイドレシプロ塗
装装置23並びにトップレシプロ塗装装置24の夫々の
運転、および、これらに組み込まれたベル型等の各塗装
機の塗料噴霧動作については、スプレーコントローラ2
8が自動制御装置17からの支持信号に従ってそれらの
制御を為す。これら制御に用いる電線・ケーブルは、塗
装ブース10内の各塗装装置より、ブース側壁を通り抜
けてまたはブース10の下側に配線して、自動制御装置
17およびスプレーコントローラ28に接続されてい
る。
【0040】さらに、本塗装システムは、高電圧発生装
置8の運転制御、即ち自動車ボディ20への高電圧の印
加制御のために、図2、図3に示すように無線送信機1
1および無線受信機12をスラットコンベヤ1のスラッ
ト2上にコントローラ14と接続して取付けるととも
に、これらと通信可能な他の無線送信機18および無線
受信機19を自動制御装置17と接続して備えて成る。
送信機18および受信機19は、本実施例では自動制御
装置17の中に組み入れられているが、塗装ブース10
内に防爆ケースの中に設けてもよい。上記の無線機は、
いずれも、アンテナおよび無線通信回路等を備えた、周
波数30kHz〜 30MHzの電波の通信デバイスである。スラ
ット2上の送信機11および受信機12はともに変電ユ
ニット13より電力を供給されて作動し、送信機11は
コントローラ14からの出力信号を自動制御装置17内
の受信機19に向けて無線送信する一方、受信機12は
自動制御装置17内の送信機18からの受信信号をコン
トローラ14に送る。
【0041】従って、本塗装システムは、図4に示され
る方法により自動車ボディ20への高電圧の印加制御が
なされる。すなわち、塗装ブース10外の自動制御装置
17からは、送信機18を介して、高電圧の印加オン・
オフ信号、設定電圧値の変更信号あるいは接地スイッチ
のオン信号が無線送信され、そしてこれらの制御信号
は、スラットコンベヤ1上の受信機12を介して高電圧
発生装置8のコントローラ14に受信される。一方、ス
ラットコンベヤ1上のコントローラ14からは、送信機
11を介して、実際に印加されている電圧値、印加時の
電流値並びにリーク電流値等のモニター信号が無線送信
され、そしてこれらのモニター信号は、受信機19を介
して塗装ブース10外の自動制御装置17に受信され
る。よって、かような双方向の無線通信により、高電圧
印加に関する自動制御がなされ得るようになっている。
なお、一の自動制御装置17とスラットコンベヤ1上の
いくつかのコントローラ14・・との間で各々同時に送
受信でき得るように、双方向多重通信方式が通常採用さ
れる。
【0042】したがって、本塗装システムによる塗装方
法は次のとおりである。スラットコンベヤ1の運転時、
スラット2・・を走行させるとともに自動車ボディ20
を順次スラット2上の電極アタッチメント5に搭載して
いく。自動車ボディ20は連続して矢印A方向に搬送さ
れる。このとき、スラット2裏側のピックアップコイル
7と誘導路6との電磁誘導により起電力が生じ、次い
で、これはスラット2上の高電圧発生装置8(高電圧発
生器15)により所要の高電圧電流に変換され、そして
コントローラ14の制御に基づいて、その高電圧が電極
アタッチメント5を介して自動車ボディ20に印加され
る。この高電圧の印加により、接地された各塗装機から
吐出された水性塗料が自動車ボディ20に向けて霧化・
噴霧され、これにより、水性塗料の静電塗装が各自動車
ボディ20ごとに行なわれる。この場合、自動制御装置
17は、コントローラ14から無線通信された印加電圧
値等の各種モニター信号を作業者に表示するとととも
に、これら信号に基づいて高電圧印加のオンオフ等の各
制御を進行させ、そして、モニター信号よりリーク電流
の発生等、異常な事態が検知されたときには、接地スイ
ッチのオン信号をコントローラ14に無線送信し、高電
圧発生器15を短絡させて印加電圧を接地電圧にまで降
下せしめる。
【0043】そして、本実施例のワーク加電塗装システ
ムは、次のような保全機構を備えている。図2に示すよ
うに、レール30が、塗装ブース10内の、高電圧印加
がなされるべきである区域(加電域)において、被塗装
物20の搬送方向(矢印A方向)に加電域全体にわたっ
て据え付けられている。加電域は、塗装機の移動可能な
範囲に相当するものである。このレール30は、図5お
よび図6に示すように、油圧シリンダ装置31と連結さ
れており、シリンダ装置31の作動により、上下に変位
(昇降)可能となっている。これとともに、リミットス
イッチ32が、スラットコンベヤ1上に高電圧発生装置
8と接続して設けられており、同スイッチ32がレール
30と接触してオン動作することにより、高電圧発生装
置8の運転を可能にするように構成されている。つま
り、高電圧発生装置8は、リミットスイッチ32が動作
オンにあるときに限り、その運転が可能となっている。
【0044】また、図7に示すように、塗装ブース10
内の、高電圧印加がなされるべきでない区域(非加電
域)においては、レール30が布設されていない。従っ
て、非加電域ではリミットスイッチ32が動作オンとな
らず、たとえ制御信号の誤通信等により高電圧発生器1
5が誤動作し得る状態に至ったとしても、高電圧発生装
置8の運転を不可能のまま維持することができる。ま
た、作業者は、塗装ブース10内において、レール30
が有るか無いかで、その場所が加電域であるのかそれと
も非加電域であるのか簡単に確認することができ、自ら
の身の安全を容易に図ることができる。さらに、作業者
は、緊急時とかあるいは誤って稼働時塗装ブース10内
に残ってしまったような必要なときにも、図8に示すよ
うに、油圧シリンダ装置31を作動させて、レール30
をリミットスイッチ32と接触しない位置まで下降させ
ることにより、被塗装物20が高電圧印加がなされうる
加電域内にあるときであっても、高電圧発生装置8の運
転を停止することができ、従って、自らの身を高電圧印
加から護ることができる。なお、図5ないし図8におい
て、Bは、塗装ブースの床面(ベース面)を表す。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
被塗装物への高電圧印加等に関して無線方式の自動制御
がなされるところのワーク加電塗装システム(水性塗料
で静電塗装をなす塗装システム)において、誤通信によ
る不必要な高電圧印加を無くすとともに、稼働時作業者
が塗装ブース内に残留したような場合にも、作業者の身
の安全を確保することができ、安全性に関してより改良
されたワーク加電塗装システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のワーク加電塗装システムの全
体を示す図である。
【図2】図1に示すワーク加電塗装システムの全体を上
方より見た図である。
【図3】図1に示すワーク加電塗装システムの主要部を
示す正面図である。
【図4】図1に示すワーク加電塗装システムの運転制御
部の構成を図式的に示す図である。
【図5】実施例のワーク加電塗装システムの主要部を側
方より見た図である。
【図6】実施例のワーク加電塗装システムのうち加電域
における構成、特に保全機構を示す正面図である。
【図7】実施例のワーク加電塗装システムのうち非加電
域における構成を示す正面図である。
【図8】図6に示す保全機構が動作した様相を示す正面
図である。
【符号の説明】
1 スラットコンベヤ 2 スラット 3 スラット列 4a 4b 絶縁碍子 5 電極アタッチメント 6 誘導路 7 ピックアップコイル 8 高電圧発生装置 10 塗装ブース 11 無線送信機 12 無線受信機 13 変電ユニット 14 コントローラ 15 高電圧発生器 17 自動制御装置 18 無線送信機 19 無線受信機 20 自動車ボディ(被塗装物) 21 台車 22 塗装ロボット 23 サイドレシプロ塗装装置 24 トップレシプロ塗装装置 28 スプレーコントローラ 30 レール 31 油圧シリンダ装置 32 リミットスイッチ A 搬送方向

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高電圧を被塗装物に印加することによ
    り、水性塗料で静電塗装を行なうワーク加電塗装システ
    ムにおいて、 塗装ブース内に実質的に水平に設置された無端状スラッ
    トコンベヤと、 塗装ブース内に該コンベヤの近くに配置された、接地さ
    れた塗装機と、 前記コンベヤのスラット表面上に絶縁碍子を立設しかつ
    その上に電極アタッチメントを取付けて成り、被塗装物
    またはその台車を被塗装物への通電可能に搭載できる支
    持手段と、 前記コンベヤの上下のスラット列の間に、搬送方向に沿
    って所定の長さで形成された誘導路と、 前記コンベヤのスラット裏面上に該誘導路と非接触で対
    向するように取付けられたピックアップコイルと、 前記コンベヤのスラット上に備えられた、前記誘導路と
    ピックアップコイルの電磁誘導により生じた起電力を所
    要の高電圧電流に変換し、これをコントローラの動作に
    基づいて前記電極アタッチメントに供給する高電圧発生
    装置と、 前記塗装ブース外に配備された、被塗装物への高電圧印
    加のオンオフ動作並びに前記塗装機の運転・動作を制御
    する自動制御装置と、 一方は塗装ブース外に該自動制御装置と接続して設け、
    他方は前記コンベヤのスラット上に前記コントローラと
    接続して取付けてなる、コントローラと自動制御装置と
    の間の無線通信を可能にする二組の送受信機とを備えて
    なり、そして、 塗装ブース内において、前記高電圧発生装置と連係して
    設けられた、被塗装物が加電域にあるときには、高電圧
    発生装置の運転を可能にし、被塗装物が非加電域にある
    ときには、高電圧発生装置の運転を不可能にし、さら
    に、被塗装物が加電域にあっても緊急時または必要なと
    きには、高電圧発生装置の運転を停止することができる
    保全機構をさらに備えてなることを特徴とする、ワーク
    加電塗装システム。
  2. 【請求項2】 前記保全機構は、レールを塗装ブース内
    に被塗装物の搬送方向に加電域にわたってかつ変位可能
    に備えるとともに、前記高電圧発生装置と接続されたリ
    ミットスイッチを前記スラットコンベヤ上に、前記レー
    ルとの接触によりオンオフ動作して高電圧発生装置の運
    転を可能にするように設けてなる、請求項1に記載のワ
    ーク加電塗装システム。
  3. 【請求項3】 前記保全機構は、反射面材を塗装ブース
    内に被塗装物の搬送方向に加電域にわたってかつ変向可
    能に備えるとともに、投光器および前記高電圧発生装置
    と接続された受光センサを前記スラットコンベヤ上に、
    投光器から発した光が前記反射面材で反射されて受光セ
    ンサに入射するとき、高電圧発生装置の運転を可能にす
    るように設けてなる、請求項1に記載のワーク加電塗装
    システム。
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