JPH0926582A - 液晶パネルの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表示ムラの発生の少ない液晶パネルの製造方
法を提供する。 【解決手段】 微細加工された錫添加酸化インディウム
透明電極を主面に有する一対のガラス基板に、それぞれ
ＳＴＮ用ポリイミド配向膜を塗布、硬化し、その表面を
ラビング処理し、次いでアンモニアガスを含む窒素ガ
ス、またはエチルアミンを含む窒素ガスを主面（配向膜
が形成されている側の面）に吹き付け、超純水でよく基
板を洗浄し、赤外線乾燥後、一対の基板の主面を対向さ
せ、ビーズ状のスペーサーを介して６μｍの間隙に調整
し、シール材を用いて貼合せ、空セルを得る。真空注入
法により、ＳＴＮ用液晶混合物（メルク社製 タイプ
“ＺＬＩ−２２９３”）を前記空セルの間隙に注入す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置に用
いられる液晶パネルの製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示装置等、表示装置は、情報機器
におけるディスブレイなどマン・マシーン・インターフ
ェースとしては、是非必要となる技術である。特に、最
近、コンピューター端末等において、小型化を達成する
意味からも、液晶表示装置の役割は極めて重要となって
きている。

【０００３】現在、ワードプロセッサーやノート型パー
ソナルコンピューターには、スーパーツイスティッドネ
マティック（略して、ＳＴＮ）液晶表示装置が多用され
ている。これは、生産コストが安いが、コントラスト等
も満足出来るものである。すなわち個人ユースとしては
十分である。

【０００４】この技術内容は、日本学術振興会情報科学
用有機材料第１４２委員会第５８回合同研究会資料（平
成５年１１月１１日〜１２日開催）に詳しい。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】現在これらのＳＴＮ液
晶表示装置において、表示品位にやや問題がある。すな
わち、均一な表示という観点において、表示ムラが発生
することがある。これは、僅かな輝度ムラに起因してい
る。

【０００６】本発明は、前記課題を解決し、表示ムラの
発生の少ない液晶表示装置に用いられる液晶パネルの製
造方法を提供する事を目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、第１番目の本発明の液晶パネルの製造方法は、透明
電極とラビングされた液晶配向膜とを備えた基板を、ア
ンモニアガスまたは揮発性の低級水溶性アミンガスに晒
し、水洗し、次いで前記基板を用いて空セルとなし、前
記空セルに液晶組成物を充填することを特徴とする。

【０００８】また、前記課題を解決するために、第２番
目の本発明の液晶パネルの製造方法は、透明電極とラビ
ングされた液晶配向膜とを備えた基板を用いて構成され
た空セルに、液晶混合物にアミンを添加してなる液晶組
成物を充填することを特徴とする。

【０００９】さらに、前記課題を解決するために、第３
番目の本発明の液晶パネルの製造方法は、透明電極とラ
ビングされた液晶配向膜とを備えた基板を用いて構成さ
れた空セルに、液晶混合物にエーテルを添加してなる液
晶組成物を充填することを特徴とする。

【００１０】さらに前記課題を解決するために、第４番
目の本発明の液晶パネルの製造方法は、透明電極とラビ
ングされた液晶配向膜とを備えた基板を用いて構成され
た空セルに、液晶混合物にベンゼン、トルエンおよびキ
シレンから選ばれた少なくとも１種を添加してなる液晶
組成物を充填することを特徴とする。

【００１１】また、前記課題を解決するために、第５番
目の本発明の液晶パネルの製造方法は、透明電極とラビ
ングされた液晶配向膜とを備えた基板を用いて構成され
た空セルに、液晶混合物にクロロフォルムを添加してな
る液晶組成物を充填することを特徴とする。

【００１２】また、前記課題を解決するために、第６番
目の本発明の液晶パネルの製造方法は、透明電極とラビ
ングされた液晶配向膜とを備えた基板を用いて構成され
た空セルに、液晶混合物にシリコンオイルを添加してな
る液晶組成物を充填することを特徴とする。

【００１３】また、前記課題を解決するために、第７番
目の本発明の液晶パネルの製造方法は、透明電極とラビ
ングされた液晶配向膜とを備えた基板を用いて構成され
た空セルに、液晶混合物に脂肪族炭化水素を添加してな
る液晶組成物を充填することを特徴とする。

【００１４】更に、前記課題を解決するために、第８番
目の本発明の液晶パネルの製造方法は、透明電極とラビ
ングされた液晶配向膜とを備えた基板を用いて構成され
た空セルに、液晶混合物に脂肪族フタル酸エステルを添
加してなる液晶組成物を充填することを特徴とする。

【００１５】

【発明の実施の形態】液晶表示装置の液晶パネルに於け
る表示の輝度ムラは、基板界面近傍での液晶分子の配向
の僅かな不均一性に起因すると想定される。

【００１６】これは、液晶配向膜ラビング後、不純物有
機分子の基板への局所的な、不均一な吸着が生起し、こ
れが液晶分子のプレティルトやアンカリング強度を変え
ることに結果すると思われる。

【００１７】このような不純物有機分子としては、例え
ば、様々の建材や、工場内の簡易仕切りに使用されてい
る塩ビカーテンなどのポリ塩化ビル樹脂中などに配合さ
れている可塑剤等が空気中に蒸発する場合など、環境に
多くあり、しかも揮発性の有機分子が考えられる。すな
わち、この種のものが、液晶配向膜ラビング後の基板上
に析出すると考えられる。液晶パネルに表示ムラを発生
するこの種の有機不純物としては、本発明者らの検討で
はエステル化合物が多い。この析出は基板上において、
均一であると考えられる。次に、液晶組成物の注入の時
には、液晶の基板への接触点において、この不純物が若
干液晶に溶解し、また、温度変化等の要因により、不純
物は基板界面に析出ないし、より強固な結合でもって析
出すなわち吸着する。この析出ないし吸着において、析
出ムラないし吸着ムラが発生する。液晶混合物を空セル
に注入充填する場合に液晶混合物が基板全面に瞬時に接
触することにはならず、基板の場所によって液晶と接触
するのに時間的ズレが生じる事によっても不純物の基板
面への析出ムラないし吸着ムラが発生する。

【００１８】この析出ムラないし吸着ムラは、注入速度
を、大きくすれば、軽減されることは経験的にわかって
いる。また、前記想定から考えられることは、基板に付
着した有機不純物の液晶組成物への溶解度を、非常に大
きくするか、または僅かにするかが、課題を解決するた
めに重要であると考えられる。すなわち液晶組成物が中
途半端な溶解度を有するのが問題であろうと考えれる。

【００１９】さらに、課題の解決のための、もう一つの
可能性は、空セル形成前に前記有機不純物を分解し、水
洗除去することである。本発明の課題を解決するための
手段のうち、透明電極と液晶配向膜とを備えた基板の前
記液晶配向膜ラビング後の基板をアンモニアガスまた
は、揮発性の低級水溶性アミンガスに晒し、そのあと水
洗し、次いでこの基板を用いて空セルとなし、液晶組成
物をこの空セルに充填してなる液晶パネルの製造方法
は、有機不純物である前記エステル化合物を分解し、後
の水洗で洗い流すものである。

【００２０】揮発性の低級水溶性アミンとしては、例え
ば炭素数が１〜３のアミンが好ましく、具体例としては
メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンなどが例
示される。これらのアミンは常温で液体であるので、こ
れらのアミンガスに基板を晒す方法としては、例えば窒
素ガスなどの比較的不活性な適宜のガスを、これらの液
体アミンの液面沿って流し、このアミンの蒸気を窒素ガ
スに含ませて、このアミンを含有した窒素ガスに基板を
晒すやり方などが例示される。

【００２１】また、本発明方法おいて、液晶混合物にア
ミンを添加して液晶組成物となし、空セルにこの液晶組
成物を充填する液晶パネルの製造方法の場合には、有機
不純物である前記エステル化合物を添加されたアミンに
よって分解し、液晶組成物への可溶性を向上させるもの
である。従って、基板界面への析出を実質的に妨げるも
のである。この場合に用いられるアミンとしては、例え
ば炭素数６〜４００程度のアミンが用いられる。好まし
い具体例としては、例えばトリ−ｎ−プロピルアミン、
ベンジルアミン、ヘプチルアミン、ジェファーミンなど
が挙げられる。

【００２２】アミンの添加量は、液晶組成物に対して
０．０１〜０．１重量％程度でアミンの種類に応じて適
宜調整すればよい。他の添加物を用いた場合も同様であ
るが、このような添加物の添加量は、例えば液晶の並び
が悪くなるなど、液晶の特性に悪影響を与えない範囲で
添加すればよく、従って添加する化合物の種類に応じて
変わり得るので一概に規定する事はできない。また、ジ
ェファーミンのように高分子で液晶に溶解しにくいもの
は溶解し得る範囲で用いればよく、例えばジェファーミ
ンの場合には０．０１〜０．０７重量％程度である。

【００２３】本発明方法おいて、液晶混合物にエーテル
を添加して液晶組成物となし、空セルにこの液晶組成物
を充填する液晶パネルの製造方法においては、エーテル
を添加する事によって、エステル等の有機不純物の液晶
への溶解度を向上させ、有機不純物の基板界面への析出
を妨げるものである。

【００２４】本発明で用いるエーテルとしては、例えば
炭素数が８〜１５程度のエーテルが好ましく用いられ、
好ましいエーテルの具体例としては、例えばジ−ｎ−ブ
チルエーテル、ジ−ｎ−ぺンチルエーテルなどが挙げら
れる。エーテルの添加量としては、液晶組成物に対して
０．０１〜０．５重量％程度が好ましい。

【００２５】さらに、本発明方法おいて、液晶混合物に
ベンゼン、トルエンおよびキシレンから選ばれた少なく
とも１種を添加して液晶組成物となし、空セルにこの液
晶組成物を充填する液晶パネルの製造方法に於いては、
ベンゼン、トルエンまたはキシレンを添加することによ
り、エステル等の有機不純物の液晶への溶解度を向上さ
せ、有機不純物の基板界面への析出を妨げるものであ
る。

【００２６】ベンゼン、トルエンおよびキシレンから選
ばれた少なくとも１種の添加量（これらの２種以上を用
いる場合には合計の添加量）としては、液晶組成物に対
して０．０１〜０．５重量％程度が好ましい。

【００２７】また、本発明方法おいて、液晶混合物にク
ロロフォルムを添加して液晶組成物となし、空セルにこ
の液晶組成物を充填する液晶パネルの製造方法に於いて
は、クロロフォルムを添加することによって、エステル
等の有機不純物の液晶への溶解度を向上させ、有機不純
物の基板界面への析出を妨げるものである。

【００２８】クロロフォルムの添加量としては、液晶組
成物に対して０．０１〜０．５重量％程度が好ましい。
また、本発明に於いて、液晶混合物にシリコンオイルを
添加して液晶組成物となし、空セルにこの液晶組成物を
充填する液晶パネルの製造方法に於いては、シリコンオ
イルを添加することによって、空セルへ液晶組成物を注
入充填する際の液晶組成物の注入速度を向上させ、この
結果として、表示のムラを少なくさせるものである。

【００２９】本発明で用いるシリコンオイルとしては、
例えば重合度が１０〜１００程度のシリコンオイルが好
ましく用いられ、好ましいシリコンオイルの具体例とし
ては、例えば東芝シリコーン株式会社製の“ＴＳＦ４５
１−１００”（重合度：約９０）、“ＴＳＦ４５１−
５”（重合度：約１０）、“ＴＳＦ４５１−３０”（重
合度：約２０）、“ＴＳＦ４５１−５０”（重合度：約
４５）などが挙げられ、中でも“ＴＳＦ４５１−１０
０”が特に好ましい。

【００３０】シリコンオイルの添加量としては、液晶組
成物に対して０．００１〜０．０２重量％程度が好まし
い。同様な効果は以下の場合にも期待される。すなわ
ち、本発明に於いて、液晶混合物に脂肪族炭化水素を添
加して液晶組成物となし、空セルにこの液晶組成物を充
填する液晶パネルの製造方法に於いては、脂肪族炭化水
素を添加することによって、空セルへ液晶組成物を注入
充填する際の液晶組成物の注入速度を向上させ、この結
果として、表示のムラを少なくさせるものである。

【００３１】本発明で用いる脂肪族炭化水素としては、
当然常温で液状の脂肪族炭化水素であり、例えば炭素数
が２０〜３０程度の液状の脂肪族炭化水素が好ましく用
いられる。好ましい脂肪族炭化水素の具体例としては、
例えば松村石油研究所株式会社製“ＭＲ−２００”（炭
素数２７〜２９の脂肪族炭化水素オイル）、“ＭＲ−１
００”（炭素数２５〜２６の脂肪族炭化水素オイル）な
どが挙げられる。

【００３２】脂肪族炭化水素の添加量としては、液晶組
成物に対して０．００１〜０．０２重量％程度が好まし
い。また本発明に於いて、液晶混合物に脂肪族フタル酸
エステルを添加して液晶組成物となし、空セルにこの液
晶組成物を充填する液晶パネルの製造方法に於いては、
脂肪族フタル酸エステルを添加することによって、液晶
組成物の空セルへの注入速度を向上させるとともに、エ
ステル等の有機不純物の液晶への溶解度を制限し、結果
として表示のムラを削減するものである。

【００３３】本発明で用いる脂肪族フタル酸エステルと
しては、例えば当該エステルを構成する脂肪族アルコー
ル残基セグメントの炭素数が１〜１０程度のエステルが
好ましく用いられ、好ましい脂肪族フタル酸エステルの
具体例としては、例えばフタル酸エチルヘキシル、フタ
ル酸ジブチル、フタル酸ジエチルなどが挙げられ、中で
もが特にフタル酸エチルヘキシルが好ましい。脂肪族フ
タル酸エステルの添加量としては、液晶組成物に対して
０．０１〜０．１重量％程度が好ましい。

【００３４】本発明において、液晶パネル用の空セルを
作成するには、周知の手法が採用でき、具体的には、例
えば透明電極と液晶配向膜とを備えた基板の液晶配向膜
をラビング処理し、このラビング処理された一対の基板
の液晶配向膜が形成されている面を対向させ、スペーサ
ーを配して所定の間隙を保ちつつ、周辺部近傍をシール
材を用いて貼り合わせる事によって空セルを作製でき
る。この空セルの間隙に液晶混合物を注入充填するに
は、シール材に開けられた小さな穴から周知の真空注入
法などにより行う事ができる。

【００３５】

【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 （実施例１）微細加工された錫添加酸化インディウム透
明電極（以後、ＩＴＯと称する）を主面に有する一対の
ガラス基板に、それぞれ、ＳＴＮ用ポリイミド配向膜を
塗布し、硬化させた。この表面を、周知の通常の方法で
ラビング処理し、得られた基板をそのまま、約３日間、
塩ビカーテン（ポリ塩化ビニル樹脂製のカーテン）で囲
まれた清浄雰囲気に保管した。

【００３６】次いで、アンモニアガスを含む窒素ガス、
またはエチルアミンを含む窒素ガスを主面（配向膜が形
成されている側の面）に吹き付けた。更に、超純水でよ
く基板を洗浄し、赤外線乾燥後、一対の基板の主面を対
向させ、ビーズ状のスペーサーを介して６μｍの間隙に
調整し、シール材を用いて貼合せ、空セルを得た。次に
公知の真空注入法により、ＳＴＮ用液晶混合物（メルク
社製 タイプ“ＺＬＩ−２２９３”）を前記空セルの間
隙に注入した。

【００３７】アンモニアガスを含む窒素ガス、またはエ
チルアミンを含む窒素ガスに晒す工程を含まない、周知
の通常の同様に作成されたＳＴＮ液晶パネルと比較し
て、スジなどの発生は全く認められず、均一表示と言う
点に関して、表示のムラは格段に向上していた。

【００３８】（実施例２）実施例１と同様の、微細加工
された錫添加酸化インディウム透明電極（以後、ＩＴＯ
と称する）を主面に有する一対のガラス基板に、それぞ
れ実施例１と同様に、ＳＴＮ用ポリイミド配向膜を塗布
し、硬化させた。この表面を、実施例１と同様に周知の
通常の方法でラビング処理し、得られた基板を実施例１
と同様にそのまま、約３日間、ポリ塩化ビニル樹脂製の
カーテンで囲まれた清浄雰囲気に保管した。次いで超純
水でよく基板を洗浄し、赤外線乾燥後、実施例１と同様
に一対の基板の主面を対向させ、ビーズ状のスペーサー
を介して６μｍの間隙に調整し、シール材を用いて貼合
せ、空セルを得た。次に実施例１と同様の公知の真空注
入法により、前記空セルの間隙に実施例１で用いたＳＴ
Ｎ用液晶混合物に更にトリ−ｎ−プロピルアミンを約
０．１重量％添加して得た液晶組成物を注入した。

【００３９】トリ−ｎ−プロピルアミンを添加していな
い点を除いては同様に作成されたＳＴＮ液晶パネルと比
較して、スジなどの発生が全く認められず、均一表示と
いう点に関して、表示のムラは格段に向上していた。

【００４０】（実施例３）実施例２と同様の微細加工さ
れたＩＴＯ透明電極を主面に有する一対のガラス基板
に、それぞれ実施例２と同様のＳＴＮ用ポリイミド配向
膜を塗布し、硬化させた。この表面を、実施例２と同様
の方法でラビング処理した。得られた基板を、実施例２
と同様に約３日間、ポリ塩化ビニル樹脂製のカーテンで
囲まれた清浄雰囲気に保管した。次いで超純水でよく基
板を洗浄し、赤外線乾燥後、実施例２と同様に一対の基
板の主面を対向させて、ビーズ状のスペーサーを介して
６μｍの間隙に調整し、シール材を用いて貼合せ、空セ
ルを得た。

【００４１】次に実施例２と同様の真空注入法により、
前記空セルの間隙に実施例１で用いたＳＴＮ用液晶混合
物に更にジ−ｎ−ブチルエーテルを約０．１重量％添加
して得た液晶組成物を注入した。

【００４２】ジ−ｎ−ブチルエーテルを添加していない
点を除いては同様に作成されたＳＴＮ液晶パネルと比較
して、スジなどの発生が全く認められず、均一表示とい
う点に関して、表示のムラは格段に向上していた。

【００４３】（実施例４）実施例２と同様の微細加工さ
れたＩＴＯ透明電極を主面に有する一対のガラス基板
に、それぞれ実施例２と同様のＳＴＮ用ポリイミド配向
膜を塗布し、硬化させた。この表面を、実施例２と同様
の方法でラビング処理した。得られた基板を、実施例２
と同様に約３日間、ポリ塩化ビニル樹脂製のカーテンで
囲まれた清浄雰囲気に保管した。次いで超純水でよく基
板を洗浄し、赤外線乾燥後、実施例２と同様に一対の基
板の主面を対向させて、ビーズ状のスペーサーを介して
６μｍの間隙に調整し、シール材を用いて貼合せ、空セ
ルを得た。

【００４４】次に実施例２と同様の真空注入法により、
前記空セルの間隙に実施例１で用いたＳＴＮ用液晶混合
物にそれぞれベンゼン約０．１重量％、またはトルエン
約０．１重量％、またはキシレン約０．１重量％添加し
て得た液晶組成物を注入した。

【００４５】ベンゼンまたはトルエンまたはキシレンを
添加していない点を除いては同様に作成されたＳＴＮ液
晶パネルと比較して、スジなどの発生が全く認められ
ず、均一表示という点に関して、表示のムラは格段に向
上していた。

【００４６】（実施例５）実施例２と同様の微細加工さ
れたＩＴＯ透明電極を主面に有する一対のガラス基板
に、それぞれ実施例２と同様のＳＴＮ用ポリイミド配向
膜を塗布し、硬化させた。この表面を、実施例２と同様
の方法でラビング処理した。得られた基板を、実施例２
と同様に約３日間、ポリ塩化ビニル樹脂製のカーテンで
囲まれた清浄雰囲気に保管した。次いで超純水でよく基
板を洗浄し、赤外線乾燥後、実施例２と同様に一対の基
板の主面を対向させて、ビーズ状のスペーサーを介して
６μｍの間隙に調整し、シール材を用いて貼合せ、空セ
ルを得た。

【００４７】次に実施例２と同様の真空注入法により、
前記空セルの間隙に実施例１で用いたＳＴＮ用液晶混合
物にクロロフォルムを約０．１重量％添加して得た液晶
組成物を注入した。

【００４８】クロロフォルムを添加していない点を除い
ては同様に作成されたＳＴＮ液晶パネルと比較して、ス
ジなどの発生が全く認められず、均一表示という点に関
して、表示のムラは格段に向上していた。

【００４９】（実施例６）実施例２と同様の微細加工さ
れたＩＴＯ透明電極を主面に有する一対のガラス基板
に、それぞれ実施例２と同様のＳＴＮ用ポリイミド配向
膜を塗布し、硬化させた。この表面を、実施例２と同様
の方法でラビング処理した。得られた基板を、実施例２
と同様に約３日間、ポリ塩化ビニル樹脂製のカーテンで
囲まれた清浄雰囲気に保管した。次いで超純水でよく基
板を洗浄し、赤外線乾燥後、実施例２と同様に一対の基
板の主面を対向させて、ビーズ状のスペーサーを介して
６μｍの間隙に調整し、シール材を用いて貼合せ、空セ
ルを得た。

【００５０】次に実施例２と同様の真空注入法により、
前記空セルの間隙に実施例１で用いたＳＴＮ用液晶混合
物に、高純度シリコンオイル（東芝シリコーン株式会社
製“ＴＳＦ４５１−１００”、重合度約９０）を約０．
０１重量％添加して得た液晶組成物を注入した。

【００５１】高純度シリコンオイルを添加していない点
を除いては同様に作成されたＳＴＮ液晶パネルと比較し
て、スジなどの発生が全く認められず、均一表示という
点に関して、表示のムラは格段に向上していた。

【００５２】（実施例７）実施例２と同様の微細加工さ
れたＩＴＯ透明電極を主面に有する一対のガラス基板
に、それぞれ実施例２と同様のＳＴＮ用ポリイミド配向
膜を塗布し、硬化させた。この表面を、実施例２と同様
の方法でラビング処理した。得られた基板を、実施例２
と同様に約３日間、ポリ塩化ビニル樹脂製のカーテンで
囲まれた清浄雰囲気に保管した。次いで超純水でよく基
板を洗浄し、赤外線乾燥後、実施例２と同様に一対の基
板の主面を対向させて、ビーズ状のスペーサーを介して
６μｍの間隙に調整し、シール材を用いて貼合せ、空セ
ルを得た。

【００５３】次に実施例２と同様の真空注入法により、
前記空セルの間隙に実施例１で用いたＳＴＮ用液晶混合
物に、高純度脂肪族炭化水素オイル（松村石油研究所株
式会社製“ＭＲ−２００”、炭素数２７〜２９）約０．
０１重量％添加して得た液晶組成物を注入した。

【００５４】高純度脂肪族炭化水素オイルを添加してい
ない点を除いては同様に作成されたＳＴＮ液晶パネルと
比較して、スジなどの発生が全く認められず、均一表示
という点に関して、表示のムラは格段に向上していた。

【００５５】（実施例８）実施例２と同様の微細加工さ
れたＩＴＯ透明電極を主面に有する一対のガラス基板
に、それぞれ実施例２と同様のＳＴＮ用ポリイミド配向
膜を塗布し、硬化させた。この表面を、実施例２と同様
の方法でラビング処理した。得られた基板を、実施例２
と同様に約３日間、ポリ塩化ビニル樹脂製のカーテンで
囲まれた清浄雰囲気に保管した。次いで超純水でよく基
板を洗浄し、赤外線乾燥後、実施例２と同様に一対の基
板の主面を対向させて、ビーズ状のスペーサーを介して
６μｍの間隙に調整し、シール材を用いて貼合せ、空セ
ルを得た。

【００５６】次に実施例２と同様の真空注入法により、
前記空セルの間隙に実施例１で用いたＳＴＮ用液晶混合
物に、フタル酸エチルヘキシルを約０．０１重量％添加
して得た液晶組成物を注入した。

【００５７】フタル酸エチルヘキシルを添加していない
点を除いては同様に作成されたＳＴＮ液晶パネルと比較
して、スジなどの発生が全く認められず、均一表示とい
う点に関して、表示のムラは格段に向上していた。

【００５８】

【発明の効果】以上本発明は、表示ムラの発生の少ない
液晶パネルの製造方法を提供できる。従って液晶表示装
置の表示品位の向上を実現するに有力な方法を提供する
ものであり、産業に貢献するところ大である。

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 透明電極とラビングされた液晶配向膜と
   を備えた基板を、アンモニアガスまたは揮発性の低級水
   溶性アミンガスに晒し、水洗し、次いで前記基板を用い
   て空セルとなし、前記空セルに液晶組成物を充填するこ
   とを特徴とする液晶パネルの製造方法。
2. 【請求項２】 透明電極とラビングされた液晶配向膜と
   を備えた基板を用いて構成された空セルに、液晶混合物
   にアミンを添加してなる液晶組成物を充填することを特
   徴とする液晶パネルの製造方法。
3. 【請求項３】 透明電極とラビングされた液晶配向膜と
   を備えた基板を用いて構成された空セルに、液晶混合物
   にエーテルを添加してなる液晶組成物を充填することを
   特徴とする液晶パネルの製造方法。
4. 【請求項４】 透明電極とラビングされた液晶配向膜と
   を備えた基板を用いて構成された空セルに、液晶混合物
   にベンゼン、トルエンおよびキシレンから選ばれた少な
   くとも１種を添加してなる液晶組成物を充填することを
   特徴とする液晶パネルの製造方法。
5. 【請求項５】 透明電極とラビングされた液晶配向膜と
   を備えた基板を用いて構成された空セルに、液晶混合物
   にクロロフォルムを添加してなる液晶組成物を充填する
   ことを特徴とする液晶パネルの製造方法。
6. 【請求項６】 透明電極とラビングされた液晶配向膜と
   を備えた基板を用いて構成された空セルに、液晶混合物
   にシリコンオイルを添加してなる液晶組成物を充填する
   ことを特徴とする液晶パネルの製造方法。
7. 【請求項７】 透明電極とラビングされた液晶配向膜と
   を備えた基板を用いて構成された空セルに、液晶混合物
   に脂肪族炭化水素を添加してなる液晶組成物液晶組成物
   を充填することを特徴とする液晶パネルの製造方法。
8. 【請求項８】 透明電極とラビングされた液晶配向膜と
   を備えた基板を用いて構成された空セルに、液晶混合物
   に脂肪族フタル酸エステルを添加してなる液晶組成物を
   充填することを特徴とする液晶パネルの製造方法。