JPH09263768A - 炭素材用含浸ピッチとその評価方法 - Google Patents

炭素材用含浸ピッチとその評価方法

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JPH09263768A
JPH09263768A JP7696796A JP7696796A JPH09263768A JP H09263768 A JPH09263768 A JP H09263768A JP 7696796 A JP7696796 A JP 7696796A JP 7696796 A JP7696796 A JP 7696796A JP H09263768 A JPH09263768 A JP H09263768A
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Japan
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pitch
impregnated
molecular weight
carbon material
quinoline
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JP7696796A
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Kozo Yumitate
浩三 弓立
Kazuhiro Hasegawa
和広 長谷川
Mikio Kunitake
幹生 國武
Hideaki Okada
英晃 岡田
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素材の製造に用いられる含浸ピッチを、簡
便に迅速にしかも正確に評価可能な方法、および、含浸
性、炭化歩留の両者に優れた炭素材用含浸ピッチの提
供。 【解決手段】 キノリンを溶剤とするゲルパーミエイシ
ョンクロマトグラフィーにより、炭素材用含浸ピッチの
分子量(MW )分布を測定し、MW が 150以下の成分量
およびMW が2000以上の成分量により含浸性および炭化
歩留を評価する炭素材用含浸ピッチの評価方法、およ
び、実質的に 100%キノリン可溶分からなる炭素材用含
浸ピッチであって、該ピッチが、前記分子量(MW )分
布の測定において、MW が 150以下の成分とMW が2000
以上の成分を含有せず、さらに好ましくは、分子量(M
W )が230 に単一のピークを有し、他のピークを有さな
い炭素材用含浸ピッチ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製鋼用黒鉛電極、
機械用、化学装置用カーボンおよび炭素耐火物など炭素
材用の含浸用ピッチ(以下含浸ピッチと記す)の評価方
法並びに含浸性および炭化歩留に優れた炭素材用含浸ピ
ッチに関する。
【0002】
【従来の技術】炭素材料、例えば製鋼用黒鉛電極、機械
用、化学装置用カーボンおよび炭素耐火物などの炭素材
は、一般に、石油コークス、ピッチコークスなどの骨材
コークスをバインダーピッチなどの結合材で固めて焼成
および黒鉛化して製造されている。
【0003】この焼成および黒鉛化の過程で、結合材中
の低分子量成分が蒸発したり、高分子量成分が熱分解す
るため、炭素材は気孔が多く、嵩比重および機械強度が
小さく、電気抵抗が大きい、特性の劣るものとなる。こ
のため、炭素材の気孔にピッチなどを含浸し、焼成ある
いは黒鉛化処理を繰り返して嵩比重を大きくする含浸、
焼成、黒鉛化工程が1〜10回繰り返して行われる。
【0004】この場合、含浸ピッチの特性としては、炭
素材の微細な気孔にまで含浸され、かつ、この含浸速度
が速く、更には焼成時の炭化歩留が高いことが要求され
る。この含浸ピッチの評価法としては、軟化点、および
ピッチ中のトルエン不溶分量、キノリン不溶分量など、
溶剤不溶分量を計測するのが一般的である。例えば、特
公昭60−50723 号公報においては、ピッチ中に存在する
キノリン不溶分が含浸性を阻害するとして、ピッチに芳
香族系溶媒と脂肪族系溶媒とを混合し、キノリン不溶分
を痕跡量にする製造法が示されている。
【0005】さらに、特開平4−328195号公報において
は、含浸性、熱安定性に優れた含浸用ピッチとして、G
PC(gel permeation chromatography )において、分
子量が 200のピークと分子量が 250のピークの比が0.30
以下であり、かつ分子量が 500のピークと分子量が 250
のピークの比が0.55以下である含浸ピッチが提案されて
いる。
【0006】含浸用ピッチの最も重要な要求品質は、
炭素材の微細な気孔にまで含浸され、かつ、この場合の
含浸速度が速い、すなわち含浸性に優れることと、さら
に、焼成時の炭化歩留が大きい、すなわち炭化特性に
優れることである。これに対し、ピッチは極めて多種類
の多環芳香族炭化水素から成る混合物であるので、その
性状や組成を正確に評価するのは困難である。
【0007】すなわち、従来の含浸ピッチの評価方法と
しては、軟化点、固定炭素の他にも、元素分析、各種有
機溶剤を用いた溶剤分割による方法があるが、これらの
方法によってもピッチの性状や組成を正確に評価するの
は困難であり、かつ供試試料の粉砕粒度の調整など前処
理が必要で、多大の時間を要する問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の問題を解決し、より簡便な方法で、迅速でしかも正
確に、炭素材の製造に用いられる含浸ピッチを評価する
方法並びに含浸性および炭化歩留の両者に優れた炭素材
用含浸ピッチを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、キノリン
を溶剤とするゲルパーミエイションクロマトグラフィー
により、炭素材用含浸ピッチの分子量(MW )分布を測
定し、MW が 150以下の成分量およびMW が2000以上の
成分量により含浸性および炭化歩留を評価することを特
徴とする炭素材用含浸ピッチの評価方法である。
【0010】第2の発明は、実質的に 100%キノリン可
溶分からなる炭素材用含浸ピッチであって、該ピッチ
が、キノリンを溶剤とするゲルパーミエイションクロマ
トグラフィーによる分子量(MW )分布の測定におい
て、MW が 150以下の成分とMWが2000以上の成分を含
有しないことを特徴とする炭素材用含浸ピッチである。
前記第2の発明においては、前記含浸ピッチの分子量
(MW )分布において、分子量(MW )が230 に単一の
ピークを有し、他のピークを有さないことが好ましい。
【0011】なお、前記第1の発明、第2の発明におい
ては、分子量(MW )は、重量平均分子量を示し、以
下、分子量(MW )と記す。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。炭素材の嵩比重および機械強度を上げ、電気抵抗
を小さくするための含浸−炭化工程は主として下記(1)
、(2) の工程から構成される。 (1)ピッチ含浸工程:含浸ピッチを、気孔の多い炭素
材の気孔の細部にまで含浸させる工程であり、この工程
では、ピッチは、通常、ピッチの軟化点よりも 100〜20
0 ℃高い温度で、溶融状態で使用され、しかも、ピッチ
を炭素材の細部まで含浸させる目的で、1〜20kg/cm2
の加圧下で行われる。
【0013】(2)炭化工程:気孔が含浸ピッチで含浸
された炭素材は、引き続いて炭化処理され、含浸ピッチ
を炭化物とする。この炭化工程でも、含浸ピッチの40〜
70wt%は蒸発し、残りの30〜60wt%が炭素材の気孔中に
残存する。
【0014】炭素材の嵩比重を上げる場合、通常、この
含浸−炭化工程を1〜10回繰り返す。本発明者らは、含
浸ピッチの特性と炭素材製造における含浸−炭化工程と
の関係を調べた結果、キノリンを溶剤とするGPCによ
って測定した含浸ピッチの分子量分布において、分子量
(Mw )が150 以下の成分量および分子量(Mw )が20
00以上の成分量と、含浸ピッチの含浸性、炭化特性との
間に極めて密接な関連があることを見い出した。
【0015】また、上記分子量(MW )分布において、
W が 150以下の成分とMW が2000以上の成分を含有せ
ず、さらに好ましくは、分子量(MW )が230 に単一の
ピークを有し、他のピークを有さない含浸ピッチが優れ
た含浸性、炭化特性を有していることを見い出した。炭
素材用含浸ピッチとして具備すべき特性は、(1) 含浸工
程、(2) 炭化工程の工程別に次のとおりである。
【0016】(1) 炭素材の気孔にピッチを含浸させるた
め、この含浸性を阻害する成分を含有しないことと、炭
素材の微細な気孔にまでピッチが浸透するために、ピッ
チ中に適度のオイル分と低分子成分を含有すること。 (2) 炭化工程における歩留を大きくするために、適切な
量および質の高分子成分を含有すること。
【0017】本発明者らは、前記(1) および(2) におい
て要求される含浸ピッチについて、特に重要な特性とな
る低分子成分と高分子成分の組成についての極めて有効
な品質評価方法を見い出した。ピッチ類は、前記したよ
うに極めて多種類の多環芳香族炭化水素より成る集合体
であるので、ピッチ類の評価方法としては、従来の軟化
点、溶剤分割、固定炭素などの分析、測定では充分では
ない。
【0018】このため、上記した特性値に代わり、含浸
ピッチの特性を正確に、かつ迅速に評価可能な方法が必
要となる。ピッチ含浸工程において、炭素材の気孔中に
充分にピッチが浸透するには、ピッチ中に適度の低分子
成分が含有されることが必要であるが、逆に低分子成分
が過度に含まれると、次工程の炭化工程において、この
低分子成分の存在のために、気孔中に含浸されたピッチ
が気孔から留出し易くなり、結局炭化歩留が小さくなる
ので好ましくない。
【0019】さらに、低分子成分が過度に含まれると、
これらの成分は含浸時に揮発分となり、環境および作業
性の点から好ましくない。また、コールタールピッチ中
には、通常、カーボンを主成分とする直径1μm以下の
フリーカーボンと呼ばれる固体粒子が存在するが、この
フリーカーボンは気孔を閉塞させ、ピッチの含浸性を妨
げるため、好ましくない。
【0020】このフリーカーボンは、いかなる溶剤にも
溶解せず、キノリン不溶分である。本発明者らは、この
キノリン不溶分であるフリーカーボンの他に、ピッチの
含浸性を妨げる成分が、キノリン可溶分の中にも存在す
ることを見い出した。すなわち、ピッチ中のキノリン可
溶分の中でも、かなり高分子の成分が、炭素材表面およ
び気孔の中においてゴム状の物質となり、ピッチの含浸
性を妨げる。
【0021】ピッチを含浸された炭素材の炭化焼成工程
においては、前記したように、炭化歩留が大きいことが
望ましく、このための評価指標として、通常、ピッチの
固定炭素の値が用いられ、炭化歩留の向上の面からは、
含浸ピッチには高分子成分が含まれることが好ましい。
このように、含浸ピッチとして具備すべき特性を満足さ
せるには、含浸ピッチを構成する分子量分布が重要にな
る。
【0022】本発明においては、分子量分布の測定は下
記の方法により行った。 ・分析方法:GPC(gel permeation chromatography ) ・測定装置:ウォーターズ社(米)製 ポンプ:6000A 型 検出器:RI 401 ・カラム :Shodex(昭和電工(株)社製) GPC AQ−803S ×2(:カラムを2本直列に接続) ・カラム温度:80℃ ・溶媒 :キノリン ・流速 :1ml/min ・標準サンプル:ポリエチレングリコール 重量平均分子量(MW )=105 ,2×104 ,7500,3000,1000,300 本発明による含浸ピッチは、フリーカーボンと呼ばれる
キノリン不溶分を全く含有しないものである。
【0023】キノリン不溶分は、炭素材の気孔を閉塞さ
せ、ピッチの含浸性を妨げる。本発明者らは、実質的に
全てキノリン可溶分から成る、優れた特性を有する含浸
ピッチを見出し、さらに、その分子量分布を測定した結
果、分子量(MW )が150以下の成分と分子量(MW
が2000以上の成分を含有していないピッチが優れた含浸
ピッチであることが明らかとなった。
【0024】また、含浸ピッチとしては、前記した分子
量分布の測定結果で、分子量分布において、分子量(M
W )=230 に単一のピークを有し、他のピークを有しな
い、分子量分布が狭いピッチが、特に含浸性に優れてい
ることが分かった。分子量(以下MW と記す)が150 以
下の成分を含むピッチは、含浸後の炭化工程において炭
化歩留が小さくなり、さらには含浸工程における環境お
よび作業性の問題を生じる。
【0025】また、MW が2000以上の成分を含むピッチ
は、当該成分が、含浸時においてゴム状物質となり炭素
材の気孔を閉塞し、含浸性を著しく劣化させる。以上述
べた機構により、分子量(Mw )が 150超え、2000未満
の成分を有する含浸ピッチが含浸性に優れたものとな
る。含浸工程の次の工程である炭化焼成工程において
は、炭化歩留が大きいことが好ましく、そのためには高
分子量成分が多い方が望ましい。
【0026】本発明において、特に優れた特性を有する
含浸ピッチは、分子量(MW )が 150超え、2000未満の
分子量分布を有し、かつ当該分子量の範囲において、M
W =230に単一のピークを有する分子量分布の狭いピッ
チである。かかる分子量分布の狭いピッチは、炭化歩留
も大きく、この面からも優れた含浸ピッチであることが
明らかとなった。
【0027】以上述べたように、キノリンを溶剤とする
ゲルパーミエイションクロマトグラフィーによる含浸ピ
ッチの分子量(MW )分布の測定において、MW が 150
超え、2000未満の成分のみから成り、さらに好ましく
は、分子量(MW )=230 に単一のピークを有し、他の
ピークを有さないピッチが、炭素材用含浸ピッチとして
満足する特性を有する。
【0028】このような含浸用ピッチ、より好ましくは
含浸用コールタールピッチは、下記の方法により得られ
る。まず、コールタール中に含まれるフリーカーボンと
呼ばれるキノリン不溶分を、遠心分離、静置分離、ろ過
などによって分離する。この際、分離効率を向上させる
ために、溶剤添加、ピッチの加温などを行うことが好ま
しい。
【0029】さらに、コールタールのキノリン可溶分中
の高分子成分は、後の蒸留工程で熱重合し、分子量2000
以上の成分となり好ましくないため、フリーカーボンを
分離する際に同時に分離することが望ましい。このキノ
リン可溶分中の高分子成分の分離・除去は、溶剤とし
て、コールタールに対して溶解力の小さい、好ましくは
沸点範囲が85〜250 ℃である、コールタール軽油、中
油、またはこれらの混合油を用い、該高分子成分を溶剤
不溶分として除去することが好ましい。
【0030】さらに、溶液の粘度を下げるために、30〜
90℃に加温することが好ましい。このようにして、フリ
ーカーボンおよびコールタールのキノリン可溶分中の高
分子成分が分離除去されたコールタールは、蒸留によ
り、コールタール中の軽質分を留去すると同時に、熱に
よる重縮合反応を行わせ、高分子成分を生成させ、前記
した分子量が2000未満の分子量分布を得る。
【0031】さらに、MW が 150以下の成分を含まない
含浸用ピッチを得るためには、蒸留を40mmHg以下の減圧
下で行うことが好ましく、この場合、スチームを用いた
水蒸気蒸留を用いることが、熱重合による高分子成分の
生成を抑制し、低分子成分を効率良く留去するために、
より好ましい。蒸留温度は、低分子成分を充分に留去
し、かつ加熱によるMW が2000以上の高分子成分の生成
を回避するために、 250〜320 ℃の温度範囲が望まし
い。 250℃未満の場合、MW が 150以下の低分子成分が
残存し、 320℃超えの場合、MW が2000以上の高分子成
分が生成する。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。 (実施例1)フリーカーボンを2wt%含有するコールタ
ール100 重量部に、石炭系中油(コールタール中油)を
30重量部添加し、遠心分離機(:遠心効果3200G)を用
い、80℃の温度で、フリーカーボンと同時にコールター
ル中の高分子成分を除去した。
【0033】このキノリン不溶分および高分子成分を含
まないコールタールを、20lオートクレーブを用い、減
圧下〔=20mmHg(絶対圧)〕、 250℃の条件下、熱処理
して含浸用ピッチを得た。得られたピッチの特性は、軟
化点=85℃、キノリン不溶分=Trace 、固定炭素=53wt
%であった。
【0034】なお、これらの測定はJIS K 2425に基づい
て行った。次に、上記で得られたピッチの分子量分布
を、前記した測定方法を用いて測定した。測定結果を、
図1に示す。図1に示すように、得られたピッチは、M
W =230 にピークが見られ、MW が150 超え、2000未満
の範囲にあることが分かった。
【0035】ピッチの含浸性の評価は、嵩比重が 1.7g
/ccの人造黒鉛電極( 200mmφ× 120mm)へ、得られた
ピッチを、 250℃、5kg/cm2 の加圧条件下で10分間含
浸させた後に切断し、前記電極の半径深さ方向への含浸
状況を観察した。この結果、前記したピッチを含浸した
場合、電極の半径深さ方向において、中心軸の箇所まで
ピッチが含浸され、本発明のピッチが含浸性に優れてい
ることが分かった。
【0036】(実施例2)実施例1で得られたキノリン
不溶分および高分子成分を含まないコールタールを、20
lオートクレーブを用い、減圧下〔=20mmHg(絶対
圧)〕、 280℃の条件下、熱処理して含浸用ピッチを得
た。得られたピッチの特性は、軟化点=95℃、キノリン
不溶分=Trace 、固定炭素=57wt%であった。
【0037】このピッチは、MW =230 にピークが見ら
れ、MW が150 超え、2000未満の範囲にあることが分か
った。このピッチの含浸性を、実施例1と同様の方法で
評価した結果、前記した電極の中心軸までピッチが含浸
され、本発明のピッチが含浸性に優れていることが分か
った。
【0038】(実施例3)フリーカーボンを3wt%含有
するコールタール 100重量部に、石炭系軽油を 150重量
部添加し、静置分離にて40℃の温度でフリーカーボンと
同時にコールタール中の高分子成分を除去した。このキ
ノリン不溶分および高分子成分を含まないコールタール
を、20 lオートクレーブを用い、スチーミングの条件下
で、 310℃で熱処理した。スチーミングの蒸気供給量は
400g/hrであった。得られたピッチの特性は、軟化点=
82.5℃、キノリン不溶分=Trace 、固定炭素=55wt%で
あった。
【0039】このピッチは、MW =230 にピークが見ら
れ、MW が150 超え、2000未満の範囲にあることが分か
った。このピッチの含浸性を、実施例1と同様の方法で
評価した結果、前記した電極の中心軸までピッチが含浸
され、本発明のピッチが含浸性に優れていることが分か
った。
【0040】(比較例1)フリーカーボンを1wt%含有
するコールタールを、20lオートクレーブを用い、減圧
下〔=20mmHg(絶対圧)〕、 250℃の条件下、熱処理し
て含浸用ピッチを得た。得られたピッチの特性は、軟化
点=90℃、キノリン不溶分=2wt%、固定炭素=52wt%
であった。
【0041】このピッチの含浸性を、実施例1と同様の
方法で評価した結果、電極の表層部分、すなわち電極の
半径深さ方向において、表層から20%の深さ迄しかピッ
チが含浸されていなかった。 (比較例2)実施例1のキノリン不溶分および高分子成
分を含まないコールタールを、20lオートクレーブを用
い、減圧下〔=50mmHg(絶対圧)〕、 330℃の条件下、
熱処理して含浸用ピッチを得た。
【0042】得られたピッチの特性は、軟化点=90℃、
キノリン不溶分=Trace 、固定炭素=53wt%であった。
このピッチの分子量分布を測定した結果、MW が 150以
下の成分は含まれていないものの、MW が2000以上の成
分が10%含有されていた。また、このピッチの含浸性
を、実施例1と同様の方法で評価した結果、電極の表層
部分、すなわち電極の半径深さ方向において、表層から
30%の深さ迄しかピッチが含浸されていなかった。
【0043】(比較例3)実施例1のキノリン不溶分お
よび高分子成分を含まないコールタールを、20lオート
クレーブを用い、減圧下〔=200mmHg (絶対圧)〕、 2
80℃の条件下、熱処理して含浸用ピッチを得た。得られ
たピッチの特性は、軟化点=83℃、キノリン不溶分=Tr
ace 、固定炭素=48wt%であった。
【0044】このピッチの分子量分布を測定した結果、
W が2000以上の成分は含まれていないものの、MW
150以下の成分が8%含有されていた。また、このピッ
チは固定炭素量が少なく、かつ含浸テスト時に揮発分が
多く発生し、作業環境および作業性の面で著しく劣るも
のであった。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、炭素材の製造に用いら
れる含浸用ピッチの含浸性および炭化歩留を、簡便な方
法で迅速に、しかも正確に評価でき、また含浸性および
炭化歩留の両者に優れた炭素材用含浸ピッチを得ること
が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる含浸用ピッチの分子量分布を示
すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 國武 幹生 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 岡田 英晃 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キノリンを溶剤とするゲルパーミエイシ
    ョンクロマトグラフィーにより、炭素材用含浸ピッチの
    分子量(MW )分布を測定し、MW が 150以下の成分量
    およびMW が2000以上の成分量により含浸性および炭化
    歩留を評価することを特徴とする炭素材用含浸ピッチの
    評価方法。
  2. 【請求項2】 実質的に 100%キノリン可溶分からなる
    炭素材用含浸ピッチであって、該ピッチが、キノリンを
    溶剤とするゲルパーミエイションクロマトグラフィーに
    よる分子量(MW )分布の測定において、MW が 150以
    下の成分とM W が2000以上の成分を含有しないことを特
    徴とする炭素材用含浸ピッチ。
  3. 【請求項3】 前記含浸ピッチの分子量(MW )分布に
    おいて、分子量(M W )が230 に単一のピークを有し、
    他のピークを有さない請求項2記載の炭素材用含浸ピッ
    チ。
JP7696796A 1996-03-29 1996-03-29 炭素材用含浸ピッチとその評価方法 Pending JPH09263768A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011521072A (ja) * 2008-05-22 2011-07-21 グラフテック インターナショナル ホールディングス インコーポレーテッド 高いコークス化値を有するピッチ

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011521072A (ja) * 2008-05-22 2011-07-21 グラフテック インターナショナル ホールディングス インコーポレーテッド 高いコークス化値を有するピッチ

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