JPH09262930A - 耐熱酸化劣化性、耐低温脆化性および耐水二次密着性に優れたポリプロピレン被覆鋼管 - Google Patents
耐熱酸化劣化性、耐低温脆化性および耐水二次密着性に優れたポリプロピレン被覆鋼管Info
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- JPH09262930A JPH09262930A JP7661696A JP7661696A JPH09262930A JP H09262930 A JPH09262930 A JP H09262930A JP 7661696 A JP7661696 A JP 7661696A JP 7661696 A JP7661696 A JP 7661696A JP H09262930 A JPH09262930 A JP H09262930A
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Abstract
酸化劣化性に優れ、しかも耐水二次密着性および耐陰極
剥離性にも優れる、ポリプロピレン被覆鋼管を提供す
る。 【解決手段】 無水マレイン酸変性ポリプロピレン層お
よびポリプロピレン層は、ポリプロピレンに対して5〜
40重量%のエチレン−プロピレンラバーを有する、エチ
レン−プロピレンブロック共重合体であり、さらに無水
マレイン酸変性ポリプロピレン層およびポリプロピレン
層の各層に、酸化防止剤として、1,3,5−トリメチ
ル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−
4−ヒドロキシルベンジル)ベンゼン、テトラキス−
{メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−
4′−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート}メタ
ン、およびペンタエリスリトール−テトラキス−(β−
ラウリル−チオプロピオネート)のそれぞれを、ポリプ
ロピレンに対して0.03〜1.8 重量%にて配合して成る。
Description
たは配管用鋼管などに利用される、耐熱酸化劣化性、耐
低温脆化性および耐水二次密着性に優れたポリプロピレ
ン被覆鋼管に関するものである。
て配管内の流体効率を向上するために、100 ℃程度の高
温環境にて使用可能な被覆鋼管が求められている。従
来、石油、ガスまたは水道用のラインパイプとして用い
られているポリエチレン被覆鋼管は、ポリエチレンが高
温で軟化するため、その使用可能温度域の上限は60℃程
度である。また、高密度ポリエチレンを用いた場合で
も、使用可能温度域の上限は70〜80℃程度であり、100
℃での連続使用は不可能である。現有のポリエチレン被
覆鋼管の製造設備で使用できる熱可塑性樹脂の内、コス
トを考慮すると、ポリプロピレンが最も好ましいが、実
際の製品に適用するためには、次の(1) 〜(3) の問題点
の全てを克服しなければならない。
レンを酸素の存在する高温環境下に長期間暴露すると、
ポリプロピレンは熱酸化によって劣化する結果、ポリプ
ロピレン層にクラックが発生して防食性が著しく低下す
る。 (2) ポリプロピレンの結晶化度はポリエチレンより高い
ために、0℃程度の低温で脆化し、小さな衝撃でポリプ
ロピレン層に割れが生じる。 (3) ポリプロピレンの熱収縮応力はポリエチレンより大
きいために、ポリエチレン被覆鋼管と比較すると、ポリ
プロピレン被覆鋼管の被覆層の接着強度は被覆層を透過
した水、酸素及びイオンによって低下しやすく、すなわ
ち、耐水二次密着性に劣り、また鋼面に達する欠陥が被
覆層に存在する場合、電気防食に由来する陰極剥離距離
が大きく、すなわち、耐陰極剥離性に劣る。
による劣化を防止する手法について、特開平6−143493
号および特公平6−15221 号各公報あるいは特開平5−
254057号公報等に、それぞれ開示されている。すなわ
ち、特開平6−143493号および特公平6−15221 号各公
報では、特定のフェノール系酸化防止剤とアミン系酸化
防止剤をポリプロピレンに配合することにより、ポリプ
ロピレンの熱酸化劣化を防止している。ここでは、高分
子量のアミン系酸化防止剤を使用しているため耐抽出性
に優れるが、高温乾燥環境では、フェノール系酸化防止
剤と硫黄系酸化防止剤を組み合わせた場合と比較する
と、熱酸化劣化に対する耐性(以下、耐熱酸化劣化性と
いう)は劣るものであった。
のフェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを配合
することにより、ポリプロピレンの熱酸化劣化を防止す
ることが提案されている。この提案では、80℃の熱水に
5000時間浸漬した後、150 ℃のギアオーブンで加熱した
ときの、ポリプロピレン層にクラックが発生する時間に
よって、ポリプロピレン被覆鋼管の耐熱酸化劣化寿命を
評価している。
ピレン被覆鋼管の温度は100 ℃前後と予想されるから、
耐熱酸化劣化性の評価は100 ℃以上で行う必要がある。
一方、100 ℃での耐熱試験は極めて長居時間を要するた
め、140 〜160 ℃程度の高温域で耐熱促進試験を行っ
て、その温度依存性からアーレニウスプロットを用い
て、100 ℃での耐熱酸化劣化寿命を推定するのが、一般
的である。その際、推定される寿命は、アーレニウスプ
ロットの傾き(活性エネルギー)に大きく依存するた
め、実使用温度よりも高い特定の一温度において耐熱酸
化劣化寿命に優れたポリプロピレンが、実使用温度でも
耐熱酸化劣化寿命に優れるとは、必ずしも限らない。す
なわち、特開平5−254057号公報の実施例では、150 ℃
における耐熱酸化劣化寿命のみを評価して、その温度依
存性を全く考慮していないため、ここで規定した酸化防
止剤の組み合わせによって、100 ℃前後の実使用温度域
で十分な耐熱酸化劣化性が得られることは、必ずしも保
証されないのである。
の脆化に対する耐性(以下、耐低温脆化性という)につ
いて、特公平1−36784 号および同3−29588 号公報等
では、ポリプロピレンの構造と低温脆化温度を規定する
ことにより、耐低温脆化性および高温での押し込み深さ
を両立させている。なお、押し込み深さとは、DIN 3067
0 に準拠して、圧力をポリプロピレン被覆鋼管の被覆層
に24時間加えた後のへこみ深さであり、その目的は被覆
層の表面硬度を測定することにある。
温脆化温度を規定すると、ポリプロピレンの熱収縮応力
が変化する結果、有機被覆鋼管の重要な性能である、上
記(3) で触れた、耐水二次密着性や耐陰極剥離性に大き
な影響を与えることになる。従って、ポリプロピレンの
構造と低温脆化温度を規定する際には、耐低温脆化性や
耐熱性の他にも、耐水二次密着性や耐陰極剥離性を考慮
して、ポリプロピレンの構造を決定する必要がある。と
ころが、特公平1−36784 号および同3−29588 号公報
に開示の技術は、耐水二次密着性や耐陰極剥離性を考慮
して、ポリプロピレンの構造を規定していないため、耐
低温脆化性に加えて耐水二次密着性や耐陰極剥離性にも
優れたポリプロピレン被覆鋼管は得られていない。
低温環境における脆化が少なく、また酸素の存在する高
温環境において長期にわたって耐熱酸化劣化性に優れ、
しかも耐水二次密着性および耐陰極剥離性にも優れる、
ポリプロピレン被覆鋼管を提供しようとするものであ
る。
解決すべく鋭意研究を行った結果、変性ポリプロピレン
およびポリプロピレンの構造と、これらに含有されるエ
チレン−プロピレンの量を規定し、さらに特定の酸化防
止剤を組み合わせて配合することにより、上記した種々
の特性に優れるポリプロピレン被覆鋼管が得られること
を見出し、この発明を完成した。
エポキシプライマー層、無水マレイン酸変性ポリプロピ
レン層およびポリプロピレン層を順に積層したポリプロ
ピレン被覆鋼管において、上記無水マレイン酸変性ポリ
プロピレン層およびポリプロピレン層は、ポリプロピレ
ンに対して5〜40重量%のエチレン−プロピレンラバー
を有する、エチレン−プロピレンブロック共重合体であ
り、さらに無水マレイン酸変性ポリプロピレン層および
ポリプロピレン層の各層に、酸化防止剤として、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシルベンジル)ベンゼ
ン、テトラキス−{メチレン−3−(3′,5′−ジ−
tert−ブチル−4′−ヒドロキシ−フェニル)プロピオ
ネート}メタン、およびペンタエリスリトール−テトラ
キス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)のそれぞ
れを、ポリプロピレンに対して0.03〜1.8 重量%にて配
合して成ることを特徴とする耐熱性、耐低温脆化性およ
び二次密着性に優れたポリプロピレン被覆鋼管である。
る。この発明に従うポリプロピレン被覆鋼管は、鋼管の
周面上にエポキシプライマー層、無水マレイン酸変性ポ
リプロピレン層およびポリプロピレン層を順に積層した
構造になる。ここで、エポキシプライマー層を接着する
鋼管の周面は、エポキシプライマー層との接着強度を向
上させるために、表面を清浄に保つことが重要である。
すなわち、鋼管表面の酸化層および油などを除去し、そ
の表面粗さを十点平均粗さでRz:40〜100 μm 程度に仕
上げておくことが好ましい。なお、酸化層および油など
を除去する手段はとくに限定されないが、例えばスチー
ルブラスト処理またはスチールグリッド処理等が有利に
適合する。
ライマー層は、二液または一液のエポキシプライマーで
あり、その膜厚は鋼管の表面粗さを考慮すると、20〜10
0 μm 程度にすることが好ましい。また、ポリプロピレ
ン被覆鋼管における、耐陰極剥離性および耐水二次密着
性をさらに向上させるために、エポキシプライマー中に
無機顔料としてリン酸系やクロム酸系の防錆顔料を、主
剤であるエポキシ樹脂に対して5〜40重量%添加するこ
とができる。さらに、耐陰極剥離性および耐水二次密着
性を向上させるために、エポキシプライマー層を鋼管に
塗布する前に鋼管表面にクロメート処理を施すことも可
能である。
レイン変性ポリプロピレン層、そしてポリプロピレン層
を形成する。ここで、無水マレイン変性ポリプロピレン
層は、低温での耐脆化性に優れ、かつ高温の弾性率の高
いエチレン−プロピレンブロック共重合体の変性物、そ
してポリプロピレン層は、同様にエチレン−プロピレン
ブロック共重合体とすることが肝要である。
あるが、ポリプロピレンの結晶化度はポリエチレンのそ
れより高いため、ポリプロピレンはポリエチレンよりも
高い、0℃前後の温度で脆化する。ところで、ラインパ
イプは、主に屋外で使用されるが、寒冷地では施工時に
外気温が−20℃に達することもあり、その際、小さな衝
撃で鋼管のポリプロピレン層に割れが生じるため、この
ような環境下ではポリプロピレン被覆鋼管の使用は困難
である。
改善するには、ポリプロピレンに一部ポリエチレンを添
加することが有利である。このポリエチレンを添加した
ポリプロピレンは、その構造から、ランダム共重合体と
ブロック共重合体とに大別される。前者のランダム共重
合体は、融点がポリプロピレンよりも大幅に低下するた
め高温で軟化し、120 ℃での押し込み深さが著しく低下
する。一方、後者のブロック共重合体は、ポリプロピレ
ンの融点の低下が小さいにもかかわらず、脆化温度が大
きく低下するため、この発明では、耐低温脆化性と120
℃での押し込み深さを両立させるために、エチレン−プ
ロピレンブロック共重合体を用いるのである。
ピレンブロック共重合体は、エチレン−プロピレンラバ
ーの含有率が5〜40重量%でなければならない。なぜな
ら、エチレン−プロピレンラバーの含有率が5重量%未
満では、ポリプロピレンの熱収縮応力が大きくなるた
め、耐水二次密着性および耐陰極剥離性がポリエチレン
被覆鋼管よりも著しく劣る上、耐低温脆化性も改善され
ない。一方、エチレン−プロピレンラバーの含有率が40
重量%をこえると、良好な耐水二次密着性、耐陰極剥離
性および耐低温脆化性が得られるものの、ポリプロピレ
ンの融点が低下すにため、120 ℃での押し込み深さが急
激に増加し、高温環境下でポリプロピレン層の十分な表
面硬さを確保できない。
層の膜厚は100 〜500 μm およびポリプロピレン層の膜
厚は2〜4mmとすることが、それぞれ好ましい。なぜな
ら、無水マレイン酸変性ポリプロピレン層の膜厚が100
μm 未満では接着強度が著しく低下し、500 μm 超では
コストに見合うだけの効果が得られない。そして、ポリ
プロピレン層の膜厚が2mm未満では、防食性が著しく低
下し、4mm超では接着界面にかかる熱収縮応力が増大
し、耐陰極剥離性が低下する。
ン層およびポリプロピレン層の各層に、添加する酸化防
止剤として、1,3,5−トリメチル−2,4,6−ト
リス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシルベ
ンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−
(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシ−
フェニル)プロピオネート}メタン、およびペンタエリ
スリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピ
オネート)を、それぞれポリプロピレンに対して5〜40
重量%にて配合することが、肝要である。
に土砂中に埋設して使用されるため、耐熱酸化劣化性は
勿論、耐抽出性にも優れた酸化防止剤を選定しなければ
ならない。すなわち、上記の酸化防止剤のうち、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシルベンジル)ベンゼン
は、分子量が大きく、かつ分子内に加水分解されやすい
エステル基を持たないため、特に耐抽出性に優れるが、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシルベンジル)ベン
ゼンの単独では、長期にわたって優れた耐熱酸化劣化性
を発現できないため、酸化劣化防止性能に優れたフェノ
ール系酸化防止剤と、これと相乗効果を発揮する硫黄系
酸化防止剤を併用する。そして、併用するフェノール系
酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤は、耐抽出性の観点から
極力高分子量のものが有利であるから、フェノール系酸
化防止剤には、テトラキス−{メチレン−3−(3′,
5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシ−フェニ
ル)プロピオネート}メタンを、これと併用する硫黄系
酸化防止剤には、ペンタエリスリトール−テトラキス−
(β−ラウリル−チオプロピオネート)を、それぞれ採
用することとした。
酸変性ポリプロピレン層およびポリプロピレン層の各層
に、それぞれポリプロピレンに対して0.03〜1.8 重量%
にて配合する。すなわち、各酸化防止剤の配合量が0.03
重量%未満の場合は、100 ℃前後の高温環境において20
年以上の長期にわたり、優れた耐熱酸化劣化性を付与す
ることが難しい。一方、各酸化防止剤配合量が1.8 重量
%を越える領域では、添加した酸化防止剤がポリプロピ
レン表面にブリードアウトして外観を損ねることにな
る。
重量%を満足すれば、酸化防止剤同士の配合比は特に限
定する必要はないが、フェノール系酸化防止剤の総配合
量、つまり1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ
ス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシルベン
ジル)ベンゼンおよびテトラキス−{メチレン−3−
(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシ−
フェニル}プロピオネート)メタンの合計配合量と、硫
黄系酸化防止剤の配合量との比が、1:1〜1:5の範
囲にあることが好ましい。
に説明する。まず、ブラスト加工にてRz:75μm の表面
粗さに仕上げた、板厚6.0 mmの鋼板に、エポキシプライ
マーを30〜40μm の厚さで塗布した。ここで使用した、
エポキシプライマーは、硬化剤にジシアンジアミドおよ
び触媒にイミダゾール化合物をそれぞれ配合した、一液
型エポキシプライマーに、さらにストロンチウムクロメ
ートを添加したものである。
0 ℃でゲル化させた後、その上に、無水マレイン変性の
エチレン−プロピレンブロック共重合体によるシートと
エチレン−プロピレンブロック共重合体によるシートと
を重ねて、加圧力:1 kgf/cm2 、加熱温度:180 ℃お
よび圧着時間:10分間の条件にて圧着し、無水マレイン
変性ポリプロピレン層(膜厚:400 μm )およびポリプ
ロピレン層(膜厚:2mm)を形成した。また、比較とし
て、エチレン−プロピレンランダム共重合体によるポリ
プロピレン層を、同様に形成した被覆鋼板も同様に作製
した。
について、押し込み深さ、耐低温衝撃性、耐陰極剥離性
および耐水二次密着性を調査した。すなわち、押し込み
深さは、DIN30670に準拠して120 ℃で測定し、耐低温衝
撃性は、ASTM G14の落錘衝撃試験(高さ:30cmおよび
重さ:5kgf )に準拠して、−20℃,−10℃,0℃で行
い、ポリプロピレン層の亀裂の有無をピンホールテスタ
ーにて調査した。
に達する直径:6mmの人工欠陥を作製し、80℃の3%Na
Cl水溶液中で標準電極に対して、−1.5 Vの電位を鋼板
に30日間印加した後、被覆層の剥離距離を測定した。
Cl水溶液中に1000時間浸漬する処理の前後における、被
覆層の接着強度を、ピール試験法(剥離角度:90°およ
び剥離速度:10mm/min )で測定した。
陰極剥離性および耐水二次密着性を調査した結果につい
て示す。なお、この種ポリプロピレン被覆鋼管に対する
目標値は、120 ℃押し込み深さは0.3 mm以下、耐低温衝
撃性はわれ発生温度が−20℃以下、耐陰極剥離性は80℃
×30日で6mm以下および耐水二次密着性は処理後密着強
度が80℃×1000時間で10 kgf/cm2 以上である。
チレン−プロピレンラバー含有率が5〜40重量%のエチ
レン−プロピレンブロック共重合体としたときに限っ
て、上記した目標値を満足することが明らかである。す
なわち、エチレン−プロピレンラバー含有率が5重量%
未満のエチレン−プロピレンブロック共重合体を用いる
比較例1は、耐低温衝撃性、耐陰極剥離性および耐水二
次密着性に劣り、またエチレン−プロピレンラバー含有
率が40重量%をこえるエチレン−プロピレンブロック共
重合体を用いる比較例2は、120 ℃の押し込み深さが増
大した。一方、エチレン−プロピレンランダム共重合体
を用いる比較例3〜6は、エチレン−プロピレンラバー
の含有率に係わらず、いずれも、押し込み深さ、耐低温
衝撃性、耐陰極剥離性および耐水二次密着性を同時に満
足することができない。
ー含有率が20%のエチレン−プロピレンブロック共重
合体からなる、前記プロピレン層と無水マレイン酸変性
プロピレン層について、各プロピレン層に種々の酸化防
止剤を配合して、同様にプロピレン被覆鋼板を作製し、
その耐熱酸化劣化性について調査した。
/2試験片に打ち抜いたポリプロピレン(板厚2mm)を
140 、150 、160 ℃のギヤオーブンとオートクレーブ中
に暴露した後、引張試験(チャック間距離40mm、引張速
度20mm/min )を行い、加熱後のポリプロピレンの破断
伸び(初期破断伸びは約400 %)が50%になった時間
を、その温度での耐熱酸化劣化寿命と定義し、140 、15
0 、160 ℃の耐熱酸化劣化寿命のアーレニウスプロット
から100 ℃での耐熱酸化劣化寿命を推定した。なお、オ
ートクレーブの内部は純水で満たし、1週間毎に水を交
換した。従って、ギヤオーブンを用いた試験から求めた
結果は、乾燥環境での耐熱酸化劣化寿命を意味し、オー
トクレーブから求めた結果は湿潤環境での耐熱酸化劣化
寿命を意味する。
に示す。なお、この種のポリプロピレン被覆鋼管に対す
る目標値は、乾燥環境および湿潤環境において、いずれ
も20年以上である。
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシルベンジル)ベン
ゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3′,5′−ジ
−tert−ブチル−4′−ヒドロキシ−フェニル)プロピ
オネート}メタン、およびペンタエリスリトール−テト
ラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)のそれ
ぞれを、ポリプロピレンに対して0.03〜1.8 重量%にて
配合した場合に、上記の目標値が達成されることがわか
る。これに対して、上記3種の酸化防止剤のいずれかの
配合量が少ない比較例7、3種の酸化防止剤のいずれか
が配合されていない比較例8〜10、そして上記3種以外
の酸化防止剤を組み合わせた比較例11〜13は、どれも十
分な耐熱酸化劣化性が得られなかった。
熱酸化劣化性、耐低温脆性および二次密着性に優れたポ
リプロピレン被覆鋼管を得ることができる。
Claims (1)
- 【請求項1】 鋼管の周面上に、エポキシプライマー
層、無水マレイン酸変性ポリプロピレン層およびポリプ
ロピレン層を順に積層したポリプロピレン被覆鋼管にお
いて、上記無水マレイン酸変性ポリプロピレン層および
ポリプロピレン層は、ポリプロピレンに対して5〜40重
量%のエチレン−プロピレンラバーを有する、エチレン
−プロピレンブロック共重合体であり、さらに無水マレ
イン酸変性ポリプロピレン層およびポリプロピレン層の
各層に、酸化防止剤として、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロキシルベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチ
レン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒ
ドロキシ−フェニル)プロピオネート}メタン、および
ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−
チオプロピオネート)のそれぞれを、ポリプロピレンに
対して0.03〜1.8 重量%にて配合して成ることを特徴と
する耐熱酸化劣化性、耐低温脆化性および耐水二次密着
性に優れたポリプロピレン被覆鋼管。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP7661696A JP3591122B2 (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | 耐熱酸化劣化性、耐低温脆化性および耐水二次密着性に優れたポリプロピレン被覆鋼管 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7661696A JP3591122B2 (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | 耐熱酸化劣化性、耐低温脆化性および耐水二次密着性に優れたポリプロピレン被覆鋼管 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09262930A true JPH09262930A (ja) | 1997-10-07 |
JP3591122B2 JP3591122B2 (ja) | 2004-11-17 |
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JP7661696A Expired - Fee Related JP3591122B2 (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | 耐熱酸化劣化性、耐低温脆化性および耐水二次密着性に優れたポリプロピレン被覆鋼管 |
Country Status (1)
Country | Link |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006110793A (ja) * | 2004-10-13 | 2006-04-27 | Jfe Steel Kk | 樹脂被覆重防食鋼材 |
US20140123851A1 (en) * | 2011-07-05 | 2014-05-08 | Aker Engineering & Technology As | Construction element for co2 capture |
-
1996
- 1996-03-29 JP JP7661696A patent/JP3591122B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US9278308B2 (en) * | 2011-07-05 | 2016-03-08 | Aker Engineering & Technology As | Construction element for CO2 capture |
AU2012280258B2 (en) * | 2011-07-05 | 2017-05-18 | Aker Carbon Capture Norway As | Construction element for CO2 capture |
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