JPH09260176A - コイルの樹脂含浸方法 - Google Patents

コイルの樹脂含浸方法

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JPH09260176A
JPH09260176A JP8068263A JP6826396A JPH09260176A JP H09260176 A JPH09260176 A JP H09260176A JP 8068263 A JP8068263 A JP 8068263A JP 6826396 A JP6826396 A JP 6826396A JP H09260176 A JPH09260176 A JP H09260176A
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JP
Japan
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secondary winding
winding
epoxy resin
vacuum chamber
coil
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JP8068263A
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English (en)
Inventor
Nobuo Kurata
信夫 倉田
Takuya Yasui
卓也 安井
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コイルの巻線間に絶縁性樹脂を確実に含浸さ
せることができる樹脂含浸方法を提供する。 【解決手段】 イグニッションコイル11を真空チャン
バ26内の支持台27上に固定する。排気ポンプ29に
よって真空チャンバ26の内圧を減圧し、注入管34か
らケース12の収容空間13内に液状のエポキシ樹脂を
充填する。そして、制御装置31により制御バルブ30
を開け、分岐通路28a及び排気通路28を通じて真空
チャンバ26内に大気を導入する。次に、真空チャンバ
26内の温度を85℃にまで上げるとともに、制御装置
31から接続端子35及び2次ターミナル24を介して
2次巻線21に対して変動する電圧を印加する。その
後、真空チャンバ26内の温度を150℃にまで上げ、
エポキシ樹脂を硬化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コイルの巻線間に
樹脂を含浸させるための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、導線が複数回巻回されて筒状と
なったコイルでは、隣接する導線間での絶縁性を確保す
る必要がある。特に、使用電圧が高いコイルでは、隣接
する導線間の絶縁抵抗をより大きくすることが望まし
い。そこで、従来よりコイルの導線を絶縁性樹脂により
覆うと共に、同樹脂を導線間に含浸させることにより、
各導線間の絶縁抵抗を増加させる技術が知られている
(例えば、実開平6−31134号公報に記載された
「点火コイル」)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術にあっては以下に示す問題があった。即ち、絶縁
性樹脂はその粘度が比較的大きいため、隣接する導線間
での移動がし難く、導線間に隙間無く絶縁性樹脂を含浸
させることが極めて困難であった。特に、小径の導線を
用いたコイルや、巻線密度が大きいコイルにあっては、
必然的に導線間における隙間が小さくなるため、導線間
への含浸が更に困難なものとなる。
【0004】その結果、図11に示すように、導線51
間には絶縁性樹脂Aが含浸されない空隙52が形成され
ることとなる。尚、図11はボビン53に導線51が捲
着されたコイルの拡大部分断面図を示す。このような空
隙52が形成されると導線51間での絶縁抵抗が減少
し、特に、前記「点火コイル」のように高電圧を発生す
ることを目的とするコイルにあっては、その空隙52に
おいて絶縁破壊が発生する虞があった。
【0005】又、前述したような絶縁破壊が発生しない
場合であっても、コイルが温度上昇した場合に、空隙5
2が形成された部分と絶縁性樹脂Aによって満たされた
部分との間における熱膨張係数の差、即ち、空気と前記
樹脂Aとの熱膨張係数の差によって、導線51間の絶縁
性樹脂Aに熱応力による歪みが発生し同樹脂Aの割れを
招く虞があった。
【0006】本発明は、このような事情を鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、コイルの巻線
間に絶縁性樹脂を確実に含浸させることができる樹脂含
浸方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、コイルの巻線に対して大きさの変動す
る電流を流しつつ、前記巻線間に絶縁性樹脂を含浸させ
ることをその要旨とするものである。
【0008】(作用)本発明によれば、巻線に対して大
きさの変動する電流が流される。このように、電流の大
きさが変動することにより巻線には振動が発生する。
【0009】即ち、巻線に電流が流れると、その電流値
及び巻線の抵抗値の大きさに比例する熱が発生して同巻
線は熱膨張する。これに対して、巻線に流れる電流の大
きさが減少すると、熱膨張した巻線は冷却されて収縮す
る。このような熱膨張及び収縮を繰り返すことにより巻
線には振動が発生する。
【0010】更に、巻線に電流が流れると、巻線の各部
分には、他の部分によって形成された磁界によって電磁
力が作用する。そして、この電磁力は巻線を流れる電流
の大きさによって変化するため、その電流の大きさが変
動すると巻線の各部分は振動する。
【0011】そして、前述した熱膨張及び収縮による巻
線の振動と、前記電磁力による巻線の振動とによって、
巻線の隣接する各部分には相対的な位置変化が繰り返し
発生する。このような位置変化が繰り返し発生すること
によって、巻線の周囲にある絶縁性樹脂の移動が促され
るとともに、巻線間の空隙内にある空気が外部に押し出
されるため、絶縁性樹脂は巻線間に確実に含浸される。
【0012】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)本発明を車両等の点火装置の一部を
構成するイグニッションコイルの製造方法として具体化
した第1の実施形態について図1〜7を参照して説明す
る。
【0013】図2は本実施の形態におけるイグニッショ
ンコイル11の断面図である。このイグニッションコイ
ル11のケース12は合成樹脂からなり、同図に示すよ
うに、その内部には一端側(同図の右端側)が開口され
た収容空間13が形成されている。この収容空間13内
には、1次ボビン14、2次ボビン15、イグナイタ1
6等のイグニッションコイル11を構成する部品が配設
されるとともに、絶縁性樹脂としてのエポキシ樹脂10
(図2では図示せず)が充填されている。このエポキシ
樹脂10により各部品は絶縁された状態で固定されてい
る。又、エポキシ樹脂10には所定量の強化フィラー
(ガラス繊維、結晶シリカ等)が添加されており、その
機械的強度の向上が図られている。
【0014】1次ボビン14は、ケース12内部を貫通
して設けられたコア17の周囲に外嵌されており、その
周囲には例えば軟銅線を絶縁被膜によって被覆した1次
巻線18が捲着されている。また、1次ボビン14の外
周には、2次ボビン15が外嵌されている。この2次ボ
ビン15には複数の巻線溝19がリブ20によって区画
形成されており、同巻線溝19内には2次巻線が図3に
示すように捲着されている。2次巻線21は1次巻線1
8と同様、軟銅線を絶縁被膜によって被覆したものであ
り、又、その径は1次巻線18と比較して小径となって
いる。
【0015】図5は図3の部分拡大断面図である。同図
に示すように、2次巻線21の各部分の間には前記エポ
キシ樹脂10が隙間無く含浸されている。尚、本実施形
態における2次巻線21は本発明の巻線に相当し、又、
2次ボビン15及び同ボビン15に捲着された2次巻線
21は本発明のコイルに相当する。
【0016】ケース12には一対の2次ターミナルキャ
ップ22(図2では一方のみを示す)が一体的に形成さ
れている。この2次ターミナルキャップ22内にはハイ
テンションコード(図示しない)を挿入するための接続
孔23がそれぞれ形成されるとともに、各接続孔23内
にはケース12の内部側から2次ターミナル24が挿入
され固定されている。各2次ターミナル24には2次巻
線21の巻始め側及び巻終わり側の端末部分(いずれも
図示しない)がそれぞれ電気的に接続されている。
【0017】次に、以上の構成を備えたイグニッション
コイル11の製造方法について説明する。イグニッショ
ンコイル11は、以下に説明する充填工程、含浸工程、
及び硬化工程を順次行うことにより製造される。
【0018】図1は、上記各工程を行うための製造装置
25の概略構成を示している。この製造装置25は、真
空チャンバ26、排気ポンプ29、制御装置31等を備
えている。前記真空チャンバ26には排気通路28を介
して制御装置31により駆動される排気ポンプ29が接
続されている。又、真空チャンバ26と排気ポンプ29
との間にある排気通路28には一端側が開放された分岐
通路28aが接続されている。分岐通路28aの途中に
は制御弁30が設けられており、同制御弁30は制御装
置31によって開閉制御される。制御装置31によって
制御弁30が閉じられると、前記排気ポンプ29により
真空チャンバ26内の空気を吸引して外部に排出し、同
チャンバ26内を減圧することが可能となる。
【0019】真空チャンバ26内に配設された支持台2
7の上面には、略L字形状をなす一対の固定治具32が
配置されるとともに、各治具32はボルト33によって
支持台27に締付固定されている。前記イグニッション
コイル11は、各固定治具32によって挟持され固定さ
れている。
【0020】又、真空チャンバ26の上部には注入管3
4が設けられている。この注入管34を通じてエポキシ
樹脂10が前記ケース12内の収容空間13内に注入可
能となっている。
【0021】イグニッションコイル11の各接続孔23
内にはそれぞれ接続端子35(図1では一方の接続端子
35のみを示す)がそれぞれ挿入されるとともに、各接
続端子35は各2次ターミナル24に電気的に接続され
ている。従って、各接続端子35は、前記2次巻線21
の巻始め側及び巻終わり側の端末部分にそれぞれ電気的
に導通された状態となっている。更に、各接続端子35
は前記制御装置31に接続されている。この制御装置3
1によって各接続端子35に対し電圧を印加することに
より、2次巻線21には所定の電流を流すことができ
る。
【0022】以下、上記充填工程、含浸工程、及び硬化
工程について説明する。 (充填工程)充填工程では、先ず、図1に示すように、
真空チャンバ26の支持台27上にイグニッションコイ
ル11が固定される。そして、制御装置31によって、
排気ポンプ29が駆動されるとともに、制御バルブ30
が閉じられる。その結果、排気ポンプ29により真空チ
ャンバ26内の空気が前記排気通路28を通じて外部に
排出され、同真空チャンバ26の内圧が所定圧(約1.
0Torr)にまで減圧される。
【0023】次に、前記注入管34からケース12の収
容空間13内にエポキシ樹脂10が注入され同空間13
内はエポキシ樹脂10により満たされる。尚、エポキシ
樹脂10は、図示しない調合糟にて硬化剤が添加される
とともに、温度管理されることにより所定の流動性を有
したものとなっている。
【0024】前記収容空間13内に所定量のエポキシ樹
脂10が注入された後、制御装置31によって制御バル
ブ30が開けられると共に排気ポンプ29の運転が停止
される。その結果、真空チャンバ26内には前記分岐通
路28a及び排気通路28を通じて大気が導入され、同
チャンバ26の内圧が略大気圧にまで昇圧される。この
際、2次ボビン15に捲着された2次巻線21の表面側
(図1の外周側、図3では上側)の圧力が、内部側(図
3の下側)の圧力より一時的に増加する。その結果、2
次巻線21の表面近傍にあるエポキシ樹脂10は、その
圧力差により内部側に移動して2次巻線21の間に浸透
する。ここで、エポキシ樹脂10は十分な流動性を有し
ていないため、2次巻線21の表面側の部分にのみエポ
キシ樹脂10が含浸され、2次巻線21の内部側にはエ
ポキシ樹脂10が含浸されない部分が形成される。
【0025】(含浸工程)上記充填工程の後、含浸工程
が行われる。含浸工程では、真空チャンバ26内の温度
が室温(約20℃)から85℃に上げられる。そして、
真空チャンバ26内はその温度に約2時間保持される。
【0026】更に、含浸工程では、前記制御装置31か
ら各接続端子35を介して2次巻線21に対し所定の電
圧が断続的に印加される。即ち、本実施形態では、図4
(b),図6に示すように、各2次巻線21への通電が
「ON」の状態となると、同巻線21には、イグニッシ
ョンコイル11の常用電圧の約2倍に相当する電圧(2
4V)が所定時間印加される。これに対して各接続端子
35への通電が「OFF」の状態となると電圧の印加が
停止する。そして、以上の「ON」及び「OFF」の状
態が所定の周期tで繰り返される。尚、2次巻線21に
電圧が印加される時間(以下、「印加時間T1 」とい
う) 、及び電圧の印加が停止している時間(以下、
「停止時間T2 」という)は、本実施形態においていず
れも「2min.」に設定されている。従って、本実施形態
において、前記周期tは「4min. 」となり、1sec.間
に電圧の印加が繰り返される回数(以下、「変動周波
数」という)は、4.2*10^(−3)Hz(「^」
はべき乗を表す)となっている。
【0027】以上のように、各2次巻線21に対して電
圧が印加されることにより、同巻線21には電流が流
れ、同巻線21の抵抗値と電流値の大きさに比例する熱
が発生する。更に、2次巻線21に発生する熱量は、各
2次巻線21に対する通電が「ON」及び「OFF」の
状態を繰り返すタイミングに同期して変動する。その結
果、2次巻線21の温度は図4(a)に示すように前記
変動周波数と同じ周期で変動するようになる。
【0028】ここで、2次巻線21の温度が上昇する
と、同巻線21は熱膨張して前記2次ボビン15の周方
向における長さが増加する。その結果、2次巻線21の
隣接した各部分における相対的な位置が前記周方向にお
いて変化する。例えば、図7において実線の矢印で示す
ように、2次巻線21の各部分は前記周方向に相対的に
移動し、同方向における位置が変化する。尚、図7にお
いて、矢印の長さは、2次巻線21の各部分における移
動量を示している。
【0029】これに対して、2次巻線21の温度が低下
すると、熱膨張していた2次巻線21は収縮する。従っ
て、熱膨張による相対的な位置変化が生じていた2次巻
線21の各部分は、例えば、図7の点線の矢印で示すよ
うに移動して、熱膨張を生じる前の状態に再び戻る。
【0030】その結果、2次巻線21はその温度変化に
同期して振動する。このように2次巻線21の各部分が
振動することにより、同巻線21によって囲まれた空隙
内にある空気はその空隙から押し出される。更に、2次
巻線21の振動によって、同巻線21の周囲にあるエポ
キシ樹脂10の移動が促される。その結果、エポキシ樹
脂10は2次巻線21の各部分間に形成された空隙内に
確実に含浸される。
【0031】更に、2次巻線21は熱膨張及び収縮によ
ってその周方向における長さのみならず、その径方向に
おける大きさも変動する。その結果、前述したようなエ
ポキシ樹脂10の含浸が更に促進される。
【0032】尚、2次巻線21に対して電流が流れ、同
巻線21が温度上昇した際の温度は、同巻線21の周囲
にあるエポキシ樹脂10の温度を必要以上に上昇させな
い温度である必要がある。即ち、エポキシ樹脂10の温
度を所定温度以上に上昇させた場合、同樹脂10の硬化
反応が急激に進行して大きな内部歪みを残したまま同樹
脂10が硬化してしまう虞があるためである。そこで、
本実施形態では、上記のようなエポキシ樹脂10の急激
な硬化反応が生じないように、2次巻線21に流す電流
値が調節され、前記2次巻線21が温度上昇した際の温
度が「110℃」となるよう設定されている。
【0033】更に、本実施形態では、2次巻線21に電
流が流れると同巻線21の各部分には、他の部分によっ
て形成される磁界により生じる電磁力が作用する。例え
ば、図7において、2次巻線21の一部分Aに生じる電
磁力について説明すると、同部分Aがある位置には、そ
の周囲にある他の部分(例えば、同図において「B」で
示す部分)によって所定の磁束密度を有する磁界が生じ
る。磁界中におかれることにより2次巻線21の一部分
Aには、その磁束密度及び同部分Aを流れる電流の大き
さに比例し、且つ、磁界の方向及び電流の流れる方向の
双方に垂直な方向における電磁力が作用する。2次ボビ
ン15に捲着された2次巻線21の位置は完全に規則的
な配列をなすものではないため、同巻線21にはその位
置により異なった大きさ及び方向の電磁力が作用する。
【0034】そして、2次巻線21に対し断続的に電流
を流すことによって、同巻線21には前記電磁力が断続
的に作用し、2次巻線21の各部分には振動が生じる。
このように2次巻線21に生じた振動により、同巻線2
1によって囲まれた空隙内にある空気はその空隙から押
し出されるとともに、エポキシ樹脂10は同巻線21の
振動によってその移動が促される。その結果、エポキシ
樹脂10は2次巻線21の各部分間に形成された空隙内
に確実に含浸される。
【0035】(硬化工程)上記含浸工程の後、硬化工程
が行われる。硬化工程では、前記充填工程において行わ
れていた各2次巻線21に対する断続的な電圧の印加が
停止される。そして、真空チャンバ26内の温度が、8
5℃から65℃/時間の温度上昇率で150℃にまで上
げられ、その温度に約3時間保持される。この際、収容
空間13内のエポキシ樹脂10は、真空チャンバ26内
の温度と略同様に変化する。そして、エポキシ樹脂10
が高温(150℃)の状態におかれることによって、硬
化反応が促進され同樹脂10は硬化する。エポキシ樹脂
10が硬化することによって、ケース12内の1次ボビ
ン14、2次ボビン15、イグナイタ16等の部材は同
ケース12内に固定される。
【0036】以上説明した本実施の形態は以下の効果を
奏するものである。 (a)本実施形態においては、2次巻線21に対して断
続的に電流を流すことにより、同巻線21は熱膨張及び
収縮が生じて振動する。加えて、2次巻線21の各部分
に生じる電磁力により同巻線21は振動する。
【0037】その結果、2次巻線21の周囲にあるエポ
キシ樹脂10の移動が促進されるとともに、同巻線21
の各部分間に形成された空隙内の空気が同空隙から押し
出されるため、同空隙内にエポキシ樹脂10を確実に含
浸させることができる。従って、2次巻線21の各部分
間にエポキシ樹脂10が含浸されない部位が生じること
を防止することができ、同巻線21における絶縁性を向
上させてイグニッションコイル11の信頼性を向上させ
ることができる。
【0038】(b)本実施形態によれば、2次巻線21
間へのエポキシ樹脂10の含浸が確実に行われるように
なるため、2次巻線21として更に小径のものを採用し
たり、或いは巻線密度を増加させるような設計変更がな
された場合でも対応することができる。その結果、2次
ボビン15或いはイグニッションコイル11全体の小型
化、及び性能向上を図ることが可能となる。
【0039】(c)本実施形態では、機械的強度の向上
を目的としてエポキシ樹脂10に強化フィラーが添加さ
れているが、このように強化フィラーが添加されたエポ
キシ樹脂10は、一般に、2次巻線21間における流動
性が低下するためその含浸が困難となる。しかしなが
ら、本実施形態によれば、強化フィラーが添加されたエ
ポキシ樹脂10であっても、2次巻線21に生じる振動
により同巻線21間に同樹脂10を速やかに含浸させる
ことができる。又、強化フィラーの添加量を増加させて
エポキシ樹脂10の機械的強度を向上させることができ
るため、同樹脂10におけるクラックの発生を抑制する
ことができる。
【0040】(第2の実施形態)次に、本発明を具体化
した第2の実施形態について上記第1の実施形態との相
違点を中心に説明する。本実施形態では、前記含浸工程
において、真空チャンバ26の内圧を変化させるように
した点で上記第1の実施形態と異なっている。
【0041】即ち、本実施形態では、図8(a),
(b)に示すように、2次巻線21に対する通電が「O
N」の状態となると、制御装置31により制御弁30が
閉じられるとともに、排気ポンプ29によって真空チャ
ンバ26の内圧が大気圧から約1.0Torrにまで減圧さ
れる。これに対して2次巻線21に対する通電が「OF
F」の状態となると、前記制御弁30が開かれ前記分岐
通路28a及び排気通路28を通じて真空チャンバ26
内には大気が導入され、同チャンバ26の内圧は大気圧
となる。その結果、真空チャンバ26の内圧は、2次巻
線21に印加する電圧の変動に同期して変動する。
【0042】本実施形態は上記第1の実施形態の特徴に
加え、更に以下の特徴を有するものである。 (a)2次巻線21に印加する電圧の変動に同期させて
真空チャンバ26内の内圧を変動させることにより、2
次巻線21の周囲にあるエポキシ樹脂10の移動を更に
促進させるとともに、同巻線21間の空隙内にある空気
を外部に押し出すことができる。即ち、真空チャンバ2
6内が減圧されると、2次巻線21間の空隙内部に残留
している空気は、2次巻線21間の内部側から表面側に
向けて移動し同巻線21の外部に排出される。そして、
2次巻線21の振動によってエポキシ樹脂10は前記空
隙内を満たすように移動する。従って、本実施形態によ
れば、2次巻線21間に空隙が形成されることを更に防
止することができ、上記第1の実施形態と比較して、2
次巻線21間にエポキシ樹脂10をより確実に含浸させ
ることができる。
【0043】(第3の実施形態)次に、本発明を具体化
した第3の実施形態について説明する。本実施形態で
は、前記含浸工程において2次巻線21に印加される電
圧の変動周波数が、第1の実施形態と比較して大きく設
定されている。即ち、前記印加時間T1 及び停止時間T
2 が、本実施形態では、いずれも5msecに設定され、変
動周波数が第1の実施形態における変動周波数の約10
^4倍以上に相当する100fzとなっている。
【0044】このように、本実施形態では、第1の実施
形態と比較して2次巻線に印加する電圧の変動周波数が
大きいため、第1の実施形態において説明した、2次巻
線21の熱膨張及び収縮に起因して発生する振動の大き
さが極めて小さくなる。即ち、前記変動周波数が大きい
ため、その電圧の変動に2次巻線21の温度変化が追従
できず、その温度変化量が減少するためである。
【0045】これに対して、2次巻線21の各部分に作
用する電磁力は、前述したような追従遅れを生じること
がないため、前記変動周波数と同じ振動数で変動する。
その結果、本実施形態では、第1の実施形態と比較して
単位時間当たりに2次巻線21が振動する回数が増加し
て効率的に2次巻線21の周囲にあるエポキシ樹脂10
の移動を促すとともに、同巻線21間に存在する空隙内
の空気を押し出すことができる。従って、エポキシ樹脂
10の含浸を確実に行うことができる。
【0046】尚、本実施形態において、前記周期tは、
2次巻線21の時定数to (=L/R、R:2次巻線2
1の抵抗値、L:2次巻線21のインダクタンス)の約
3倍〜5倍に設定されている。このように、前記周期t
を設定したのは以下の理由による。即ち、前記周期tを
前記時定数to の3倍よりも小さく設定した場合には、
2次巻線21を流れる電流の最大値と最小値の差が小さ
くなる。その結果、2次巻線21における振動の振幅が
減少してしまう。これに対して、前記周期tを時定数t
o の5倍よりも大きく設定した場合には、前記変動周波
数が減少して2次巻線21が単位時間当たり振動する回
数が減少する。従って、いずれの場合も、エポキシ樹脂
10の含浸を促す作用が低下することとなって好ましく
ない。本実施形態では、周期tを前記時定数to の3〜
5倍に設定したことにより、前記エポキシ樹脂10の含
浸を効率的に行うことができる。
【0047】(第4の実施形態)次に、本発明を具体化
した第4の実施形態について上記第1の実施形態との相
違点を中心に説明する。
【0048】本実施形態では、図9に示すように、コア
17の一端部に、前記2次ボビン15の軸心方向(同図
のZ方向)におけるコア17の加速度を検出するための
加速度センサ36が振動検出用センサとして取り付けら
れている。加速度センサ36は前記制御装置31に接続
されており、同制御装置31は加速度センサ36からの
検出信号に基づいて前記Z方向におけるコア17の加速
度を検出することができる。
【0049】前記含浸工程において、2次巻線21に対
し変動する電圧が印加されると、前述したように2次巻
線21の各部分には電磁力が発生する。この際、2次ボ
ビン15、1次ボビン14、コア17等の部材には、こ
の2次巻線21の各部分に発生した電磁力の合力が作用
する。その結果、前記各部材15,14,17には、そ
の合力を起振力とした振動が発生する。
【0050】そして、本実施形態では、前記コア17の
Z方向における加速度が最大となるように、即ち、コア
17が前記起振力により共振状態となるように、前記制
御装置31によって2次巻線21に印加される電圧を制
御し変動周波数を調節するようにしている。
【0051】従って、本実施形態によれば、前記Z方向
におけるコア17、2次ボビン15、或いは1次ボビン
14等の部材の振動が増加するため、既に説明した熱膨
張・収縮による振動、電磁力による振動に加えて、前記
各部材の振動によって、2次巻線21の周囲にあるエポ
キシ樹脂10の移動が促されるとともに、2次巻線21
の各部分間に形成された空隙内の空気が同空隙から押し
出される。その結果、前記空隙内にエポキシ樹脂10を
確実に含浸させることができる。
【0052】以上、本発明を具体化した実施の形態につ
いて説明したが、本発明は以下のようにして具体化する
こともできる。 (1)上記第1の実施形態は、2次巻線21に対する通
電が「ON」の状態となると、同巻線21には一定電圧
が印加されるものであったが、印加電圧を図10(a)
に示すように変化させてもよい。即ち、2次巻線21に
対して同巻線21の時定数to の3〜5倍に相当する周
期tで変動する電圧を所定時間印加した後、電圧の印加
を停止する。この際、2次巻線21に電圧を印加する時
間T3 、及びその電圧の印加を停止する時間T4 は、上
記第1の実施形態と同様に、いずれも「2min.」とし、
従って、電圧の印加及び停止の周期tを「4min.」とす
る。
【0053】第1の実施形態は、主に熱膨張・収縮によ
る2次巻線21の振動により、又、第2の実施形態は、
主に電磁力によって同巻線21に生じる振動によりエポ
キシ樹脂10の含浸を促進させるものであったが、2次
巻線21に印加する電圧を図10(a)に示すように変
化させることにより、前記双方の振動による含浸促進効
果を略同程度に奏することができる。
【0054】又、2次巻線21に対して印加する電圧
は、図10(b)に示すように変化させてもよい。図1
0(b)に示すように同巻線21に印加する電圧を変化
させた場合には、2次巻線21に対して電圧を印加する
時間のうち、一定電圧を印加する時間T5 と、変動する
電圧を印加する時間T6 との割合を変化させることによ
って、前述したエポキシ樹脂10の含浸促進効果が最も
大きくなるように調整することができる。
【0055】(2)2次巻線21に印加する電圧は、2
次巻線21の抵抗値、エポキシ樹脂10の硬化温度等を
考慮して適宜変更することができる。又、上記各実施形
態では、2次巻線21に対して所定時間電圧を印加した
後、電圧の印加を停止するようにしたが、必ずしも、電
圧の印加を停止する必要はない。即ち、印加電圧はその
変動幅が十分に大きく、電圧の変動により2次巻線21
の熱膨張・収縮による振動、電磁力による振動、或い
は、コア17等の部材が共振することによる振動が発生
してエポキシ樹脂10の含浸が促進されるものであれば
よい。
【0056】(3)第4の実施形態では、加速度センサ
36により2次ボビン15の軸方向における加速度を検
出し、その加速度が最大となるように前記変動周波数を
調節するようにしたが、例えば、図9において、左右方
向の加速度を検出し、同方向における加速度が最大とな
るように前記変動周波数を調節するようにしてもよい。
更に、加速度センサ36は、例えば、イグニッションコ
イル11を構成する他の部材(例えば、ケース12)に
取り付けられ、同部材の加速度を検出するものであって
もよい。又、イグニッションコイル11の振動検出用セ
ンサとして加速度センサ36を採用したが、例えば、速
度センサ、位置センサ等によりイグニッションコイル1
1の各部材の振動を検出するようにしてもよい。
【0057】(4)上記実施の形態は、本発明に係る樹
脂含浸方法をイグニッションイグニッションコイル11
の製造方法において適用したが、トランス等の各種コイ
ルの製造方法にも適用することができる。
【0058】(5)絶縁性樹脂として熱硬化性のエポキ
シ樹脂10を用いたが、他の熱硬化性樹脂を用いるよう
にしてもよい。また、使用時に巻線の温度上昇が問題と
ならないコイルでは、熱可塑性樹脂を用いるようにして
もよい。
【0059】以上説明した実施の形態から把握される技
術的思想について以下にその効果とともに記載する。 (イ)コイルの巻線に対して大きさの変動する電流を流
すとともに、電流の変動と同期するように前記巻線周囲
の圧力を変動させて前記巻線間に絶縁性樹脂を含浸させ
ることを特徴とするコイルの樹脂含浸方法。
【0060】上記(イ)に記載したコイルの樹脂含浸方
法によれば、巻線を振動させるとともに、同巻線周囲の
圧力を変動させることによって、巻線の周囲にある絶縁
性樹脂の移動を促進させ、更に、巻線間の空隙内にある
空気を外部に押し出して、絶縁性樹脂を巻線間に確実に
含浸させることができる。
【0061】(ロ)コイルの巻線に対して、同コイルの
共振周波数と一致する周波数で変動する電流を流しつつ
前記巻線間に絶縁性樹脂を含浸させることを特徴とする
コイルの樹脂含浸方法。
【0062】上記(ロ)に記載したコイルの樹脂含浸方
法によれば、巻線の振動に加え、コイルの共振により生
じた振動によって、巻線の周囲にある絶縁性樹脂の移動
が促進されるとともに、巻線間の空隙内にある空気が外
部に押し出される。その結果、絶縁性樹脂を巻線間に確
実に含浸させることができる。
【0063】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
巻線に対して大きさの変動する電流を流すことにより巻
線を振動させ、その振動により巻線周囲にある絶縁性樹
脂の移動を促進させるとともに、巻線間の空隙内にある
空気を外部に押し出して、巻線間に絶縁性樹脂を確実に
含浸させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造装置の概略構成を示す断面図。
【図2】イグニッションコイルの断面図。
【図3】2次巻線及び2ボビンを示す部分断面図。
【図4】含浸工程及び硬化工程における2次巻線の温度
変化等を示す線図。
【図5】図3の部分拡大断面図。
【図6】2次巻線に印加される電圧の変化を示す線図。
【図7】2次巻線の一部を拡大して示す斜視図。
【図8】2次巻線に印加される電圧の変化を示す線図。
【図9】コアに取付けられた加速度センサを示す断面
図。
【図10】2次巻線に印加される電圧の変化を示す線
図。
【図11】従来の技術におけるコイルの部分断面図。
【符号の説明】
10…エポキシ樹脂(絶縁性樹脂)、15…2次ボビ
ン、21…2次巻線(15,21によりコイルが構成さ
れる)。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コイルの巻線に対して大きさの変動する
    電流を流しつつ、前記巻線間に絶縁性樹脂を含浸させる
    ことを特徴とするコイルの樹脂含浸方法。
JP8068263A 1996-03-25 1996-03-25 コイルの樹脂含浸方法 Pending JPH09260176A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014167931A1 (ja) * 2013-04-10 2014-10-16 ダイヤモンド電機株式会社 点火コイル

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