JPH09256157A - Zn−Mg蒸着めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

Zn−Mg蒸着めっき鋼板の製造方法

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JPH09256157A
JPH09256157A JP9326996A JP9326996A JPH09256157A JP H09256157 A JPH09256157 A JP H09256157A JP 9326996 A JP9326996 A JP 9326996A JP 9326996 A JP9326996 A JP 9326996A JP H09256157 A JPH09256157 A JP H09256157A
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plating
vacuum
amount
partial pressure
steel sheet
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JP9326996A
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Kazuyuki Sakamoto
和志 坂本
Yasumi Ariyoshi
康実 有吉
Yasushi Fukui
康 福居
Minoru Saito
実 斎藤
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 蒸着法により常に正常な組織のZn−Mgめ
っき層を有する鋼板を製造する。 【構成】 真空室に導入された鋼帯に蒸着Znめっきに
続き蒸着Mgめっきを施す際、1回目のZnめっきから
Mgめっきまでの時間をT1 (秒),その区間の酸素分
圧をH1 (Pa),Mgめっきから2回目のZnめっき
までの時間をT2(秒),その区間の酸素分圧をH2
(Pa)とするとき、H1 ×T1 ≦40及びH2 ×T2
≦4の条件が満足されるように時間T1 ,T2 及び酸素
分圧H1 ,H2 を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建材、家電、自動車等
の構造材や部品に適し、耐食性、塗装性、加工性、溶接
性等に優れたZn−Mg蒸着めっき鋼板の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】鋼板の耐食性を向上させるため、従来か
ら各種の表面処理方法が採用されている。なかでも、代
表的な表面処理方法であるZnめっきには主として電気
めっき法、溶融めっき法が採用されている。耐食性の向
上に対する要求は年々高まる傾向にあり、これに伴って
溶融めっき法、電気めっき法において種々の改良が提案
されている。溶融めっき法でZnめっき鋼板の耐食性を
向上させようとすると、Znめっき層の付着量を増加さ
せる、すなわち、めっき層を厚くすることがまず考えら
れる。しかし、製造面から付着量の上限が制約されるた
め、付着量の増加によって耐食性の向上を図ることには
限界がある。また、めっき層が厚くなると、めっき鋼板
をプレス成形するときにカジリ、フレーキング等の欠陥
を発生させる原因になりやすい。
【0003】一方、電気めっき法で同様に付着量を増加
させることも考えられる。しかし、電気めっき法で付着
量を増加させることは、めっきを析出させるために通電
する電気量を増加させることであり、めっき鋼板のコス
トアップにつながる。そこで、電気めっき法では、Zn
−Ni合金めっき等のZn合金めっきを施すことによっ
て耐食性の向上を図っている。しかし、Zn−Ni合金
めっき層は、硬質で脆いため、成形時にめっき層に割れ
や欠け等の欠陥を発生させやすい。このような欠陥がめ
っき層に発生すると、欠陥部を介して下地鋼が露出する
ため、めっき層本来の性能が発揮されず、欠陥部を起点
とした腐食が進行する。
【0004】以上のような背景から、高耐食性のZn系
めっき鋼板を蒸着法で製造することが試みられている。
なかでも、Zn−Mg合金めっきは、優れた妨食作用を
有する。たとえば、特開昭64−17853号公報で
は、0.5〜40重量%のMgを含むZn−Mg合金め
っき層を形成することを開示している。また、Zn−M
g合金めっき層と下地鋼との間にZn、Ni、Cu、M
g、Al、Fe、Co、Ti等の中間層を介在させると
き、めっき層の密着性及び加工性が向上することが、特
開平2−141588号公報で紹介されている。また、
本発明者らは、積層構造を有するZn−Mgめっき鋼板
の製造方法として、特願平6−58624号及び特願平
6−205928号を出願した。新しく提案した製造方
法では、連続走行する鋼板上にZn、Mg、Znの順に
独立して順次蒸着めっきを行い、蒸着終了後のめっき鋼
板が保有する熱によってZnとMgの拡散反応を進行さ
せている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】真空中で蒸着法により
めっきを行う場合、真空中に含まれるあるガス成分によ
ってめっき表面が汚染され、その汚染量がある限界を越
えると正常な組織のめっき層が形成されない。めっき表
面の汚染には、めっき表面が酸化されて薄い酸化膜で覆
われること等がある。真空中に含まれるガス成分のう
ち、めっき表面を酸化により汚染する性質があるもっと
も代表的な成分として水蒸気(H2 O)及び酸素(O
2 )を挙げることができる。ガス成分によってめっき表
面が汚染された場合、汚染量がある限界以内であれば、
表面が汚染を受けていてもその上には正常な組織のめっ
き層が形成される。汚染の量が僅かであればめっき表面
の酸化層が極めて薄く、酸化層の上にめっきが行われた
場合でも実際には酸化層を突き破って酸化層の上下のめ
っき層の間で拡散が進むために正常な組織のめっき層が
成長するためである。
【0006】しかし、汚染量が限界値を越えると、汚染
面の上に形成されるめっき層は、めっき表面の結晶同士
が完全に連続せず、隣接する結晶との間に空隙が存在す
る緻密性のないめっきとなる。更に表面汚染量が増える
と、隣接する結晶との間の空隙が大きく広がり、汚染面
の上のめっきがところどころにしか付着していない不連
続なめっきとなる。更に表面汚染量が増えると、めっき
はまったく付着しなくなる。本発明は、このような問題
を解消すべく案出されたものであり、鋼板上にZn及び
Mgを蒸着めっきしてZn−Mgめっき層を形成する場
合の製造工程に沿って、Znめっき上にMgめっきを行
う場合に正常なめっき層が形成されるために許される酸
素起因の限界汚染量、更にMgめっき上にZnめっきを
行う場合に正常なめっき層が形成されるために許される
酸素起因の限界汚染量をそれぞれ規定することによっ
て、常に正常な組織をもつZn−Mgめっき鋼板を製造
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のZn−Mg合金
めっき鋼板製造方法は、その目的を達成するため、真空
室に導入された鋼帯に蒸着Znめっきに続き蒸着Mgめ
っきを施す際、ZnめっきからMgめっきまでの間の時
間をT1 (秒),その間にZnめっき表面が保持される
真空中の酸素分圧をH1 (Pa)とするとき、H1 ×T
1 ≦40の条件が満足されるように時間T1 及び酸素分
圧H1 を制御することを特徴とする。蒸着Mgめっきに
続いて蒸着Znめっきを施す場合には、Mgめっきから
Znめっきまでの間の時間をT2 (秒),その間にMg
めっき表面が保持される真空中の酸素分圧をH2 (P
a)とするとき、H2 ×T2 ≦4の条件が満足されるよ
うに時間T2 及び酸素分圧H2 を制御する。Zn→Mg
→Znの順で蒸着めっきする場合には、1回目のZnめ
っきからMgめっきまでの時間をT1 (秒),その区間
の酸素分圧をH1 (Pa),Mgめっきから2回目のZ
nめっきまでの時間をT2 (秒),その区間の酸素分圧
をH2 (Pa)とするとき、H1 ×T1 ≦40及びH2
×T2 ≦4の条件が満足されるように時間T1 ,T2
び酸素分圧H1 ,H2 を制御する。
【0008】
【作用】真空中には多くのガス種成分が存在している
が、その中から本発明で酸素(O2 )を取り上げる理由
を説明する。正常に運転されている通常の真空装置の場
合、真空漏れがなく、また外部からガスを導入する操作
をしない限り、真空中に残留する主なガス成分は水蒸気
(H2 O)である。これは、真空容器の内壁に吸着され
ていた水蒸気が蒸発するためであり、吸着水蒸気を通常
の真空排気の操作で完全に放出させてしまうことは不可
能である。したがって、通常の真空容器でめっきを行う
場合、めっきの表面を酸化するガス成分として、まず水
蒸気(H2 O)が最も支配的な成分である。そこで、本
発明者等は、真空中で鋼帯にZn,Mg,Znの順にそ
れぞれ蒸着めっっきを施してZn−Mgめっき層を形成
する場合について、真空中にある水蒸気(H2 O)によ
ってめっき表面が汚染されても正常なめっき組織が形成
されるための限界汚染量を調査し、特願平7−3477
39号で出願した。
【0009】水蒸気以外にもめっき表面を汚染する成分
としてO2 が考えられる。真空装置へのO2 導入原因と
しては、装置の真空に漏洩(リーク)があり、大気が真
空中に導かれる場合や、外部から意図的に導入するガス
に混入していること等が挙げられる。装置の真空漏れ
は、構造物の結合部や回転運動を導入する部分の封止が
不完全であること等が原因である。そこで、本発明者等
は、真空中で蒸着めっきによりZn−Mgめっき層を形
成する場合について、真空中のO2 によってめっき表面
が汚染されても正常なめっき組織が形成されるための限
界汚染量を調査した。汚染量は、汚染される雰囲気に曝
される時間が長いほど多くなると考えられるので、雰囲
気中の酸素(O2 )の分圧をH(Pa)とし、その雰囲
気中に曝される時間T(秒)との積H×Tで汚染量を表
現できる。
【0010】本発明者等は、Zn−Mgめっき鋼板の製
造設備において鋼板上に形成されためっき層の組織と、
めっき鋼板を製造したときの雰囲気や製造条件との関連
を調査した結果から、Znめっき上にMgめっきを行う
場合と、Mgめっき上にZnめっきを行う場合にそれぞ
れ異なる酸素起因の許容汚染量があることを見い出し
た。1回目のZnめっき上にMgめっきを行う場合、Z
nめっきからMgめっきまでの間の時間をT1 (秒)、
その時間T1 の間にZnめっき表面が保持される真空中
の酸素分圧をH1 (Pa)とするとき、H1 ×T1 ≦4
0が酸素起因の許容汚染量である。Mgめっき上に2回
目のZnめっきを行う場合には、MgめっきからZnめ
っきまでの間の時間をT2 (秒)、その時間T2 の間に
Mgめっき表面が保持される真空中の酸素分圧をH2
(Pa)とするとき、H2 ×T2 ≦4が酸素起因の許容
汚染量である。これら条件が満足されるように時間T
1 ,T2 及び酸素分圧H1 ,H2 を設定するとき、常に
正常な組織をもつZn−Mgめっき鋼板が製造される。
【0011】Zn、Mg、Znの順に蒸着めっきを行っ
て形成される正常なZn−Mgめっきの断面構造図を図
1に示す。図1には鋼板の片面にのみめっき層が形成さ
れている例が図示されているが、本発明は、片面めっ
き、両面めっきを問わない。正常なZn−Mgめっき鋼
板の断面は、図1に示す3層構造の場合、鋼板上にMg
濃度0.5重量%以下のZn−Mg合金層(第1層)、
Mg濃度7重量%以上のZn−Mg合金層(第2層)、
そして最表層にMg濃度0.5重量%以下のZn−Mg
合金層(第3層)が順次積層された多層構造をもつ。真
空中で蒸着法によりめっきを行う場合、真空中に含まれ
るガス成分によってめっき表面が汚染され、その汚染量
がある限界量を越えると正常な組織のめっき層が形成さ
れないという問題がある。鋼板上にZn、Mg、Znの
順に蒸着めっきを行ったもので、1回目のZnめっきの
上にMgめっきを行う際のZnめっき上の汚染量が限界
量を越えた場合のめっき組織の一例を図2と図3に、M
gめっき上の汚染量が限界量を越えた場合のめっき組織
を図4に示す。
【0012】図2及び図3は、汚染された第1層の上に
Mgを蒸着めっきした場合に起こるめっき層の組織の例
を図示している。まず、40Pa・秒を越える汚染を受
けた第1層の上にMgをめっきすると、Mgめっき層は
図2に示したように歯抜け状の組織となる。このMgめ
っき層の上に2回目のZnめっきを行っても、第1層の
上は汚染されているのでその上にZnめっきが乗ること
はなく、歯抜け状組織の上に形成されるだけである。そ
のため、図3に示すように、表面をZnめっきが覆うこ
とにはならない。Mgめっき層の表面が汚染された図4
のケースでは、第2層であるMg濃度7重量%以上のZ
n−Mg合金層が最表層(第3層)によって完全に覆わ
れず、めっき表面のところどころでMg濃度7重量%以
上のZn−Mg合金層(第2層)が露出しためっき鋼板
となった状態になる。
【0013】このような問題が起きやすいZn−Mg蒸
着めっき鋼板の製造方法において、真空中のガス成分の
うちめっき表面を汚染する作用を持つ酸素(O2 )の分
圧と、その雰囲気中にめっき表面が曝される時間との積
でめっき表面が受ける汚染量が定量的に把握される。許
容汚染量は、本発明者等の実験結果から1回目のZnめ
っきからMgめっきまでの区間が40Pa・秒以下であ
り、またMgめっきから2回目のZnめっきまでの区間
においては4Pa・秒以下であることが判明した。そし
て、これら許容汚染量以下となるように酸素分圧及び保
持時間を調整することにより、常に良好な組織をもつZ
n−Mg合金めっき鋼板が得られる。
【0014】本発明に従ったZn−Mg合金めっき鋼板
は、たとえば図5に設備構成を示す蒸着めっきラインで
製造される。めっき原板10は、ペイオフリール11か
ら巻き戻され、無酸化炉20及び還元焼鈍炉25で表面
活性化及び焼鈍された後、入側真空シール部31を通っ
て真空室30に導かれる。真空室30に導かれためっき
原板10は、まず真空室30内の第1Zn蒸着室40で
蒸着Znめっきされ、続いてMg蒸着室50でMg蒸着
めっきされ、更に第2Zn蒸着室60で2回目の蒸着Z
nめっきを施された後、出側真空シール部32を経て真
空室30を出る。真空室30を出ためっき鋼板15は、
窒素雰囲気中で冷却する冷却装置70で冷却され、最後
に巻取りリール16に巻き取られる。
【0015】真空室30の入側及び出側には、入側真空
シール部31及び出側真空シール部32が設けられてお
り、真空室30の内部は、図示されていない複数の真空
ポンプによって排気され減圧保持される。真空室30の
内部各所に、図6に示すように真空雰囲気分析装置81
〜86が設置されている。真空雰囲気分析装置81〜8
6として分圧真空計を使用するとき、ガス成分ごとの分
圧を直ちに知ることができる。真空雰囲気分析装置81
は第1Zn蒸着室40の出側に取り付けられており、シ
ールロール42までのゾーンAのガス成分を測定する。
真空雰囲気分析装置82は、第1Zn蒸着室40の出側
シールロール42からMg蒸着室50の入側シールロー
ル51までの長いゾーンBにおける雰囲気を測定するた
めに設けられている。ゾーンBには、局部的に空気を真
空室30の内部に導入できるように可変リーク弁35が
設けられている。真空雰囲気分析装置83は、Mg蒸着
室50の入側に設けられており、シールロール51から
Mg蒸着室50までのゾーンCにおける真空雰囲気を測
定する。
【0016】真空雰囲気分析装置84は、Mg蒸着室5
0の出側に設けられており、Mg蒸着室50からMg蒸
着室50と第2Zn蒸着室60とを仕切るシールロール
61までのゾーンDにおける真空雰囲気を測定する。真
空雰囲気分析装置85は、第2Zn蒸着室60の入側に
設置されており、シールロール61から第2Zn蒸着室
までのゾーンEを測定する。ゾーンEにも、局部的に空
気を真空室30の内部に導入できるように可変リーク弁
36が設けられている。真空雰囲気分析装置86は、第
2Zn蒸着室60の出側に設置されており、第2Zn蒸
着室60から出側シールロール62までのゾーンFを測
定する。めっき鋼板が各区間を通過する際に受ける汚染
の量は、それぞれの区間の真空雰囲気分析装置81〜8
6で測定される酸素分圧にそれぞれの区間を通過するた
めにかかる時間の積であると考えてよい。したがって、
1回目のZnめっきの後、Mgめっきまでの間に受ける
汚染の量は、ゾーンA〜Cにわたってそれぞれの区間で
受ける汚染量の合計となる。同様にMgめっきから2回
目のZnめっきまでの間に受ける汚染の量は、ゾーンD
及びEで受ける汚染の量の合計である。
【0017】
【実施例】板厚0.5mm及び板幅700mmの未焼鈍
冷延鋼板をめっき原板とし、これを図5に示す蒸着めっ
き装置を使用して、Zn−Mgめっき鋼板を製造した。
めっき原板の成分は表1に示す通りである。
【0018】
【0019】得られたZn−Mgめっき鋼板から試験片
を切り出し、めっき層の断面組織を電子顕微鏡(SE
M)により観察した。その結果を表2及び表3に示す。
また、表2及び表3には各めっき鋼板を製造したときの
雰囲気測定結果として、ゾーンA〜Eの各区間で測定さ
れた酸素(O2 )分圧と、ゾーンA〜Cで受ける汚染量
の推定合計、更にゾーンD〜Eで受ける汚染量の推定合
計も示している。表2及び表3に示したZn−Mgめっ
き鋼板の製造に当たっては、通板速度は50m/分とし
た。これにより、鋼板がゾーンA及びゾーンC〜Eの各
区間を通過するための所要時間が2.4秒、ゾーンBで
は19.2秒になる。真空度は4〜400Paとした。
酸素分圧は、ゾーンB,Eに設けられている可変リーク
弁35,36の開度を調節し、空気導入量を制御するこ
とにより異なる値に設定した。めっき付着量を片面当り
30g/m2 とし、鋼板の両面をめっきした。製造番号
1〜12のめっき鋼板はMgめっき時の鋼板温度が30
0℃、製造番号13〜24のめっき鋼板については20
0℃となるように条件を設定した。
【0020】
【0021】
【0022】表2及び表3に示した各製造番号のZn−
Mgめっき鋼板の製造条件とめっき組織の判定結果か
ら、汚染量が本発明で従った範囲になるように保持時間
及び酸素分圧を維持するとき、層構造が良好なZn−M
gめっき鋼板が得られることが判った。汚染量の計算例
を製造番号1を例にとって説明する。ゾーンAの酸素分
圧は0.015Paであった。また、この区間を鋼板が
通過するための所要時間は前述のとおり2.4秒であ
る。このことから、ゾーンAでの汚染量は、0.015
Pa×2.4秒=0.04Pa・秒となる。同様に、ゾ
ーンBについては、0.3Pa×19.2秒=5.8P
a・秒となる。ゾーンCについては、0.017Pa×
2.4秒=0.04Pa・秒となる。3つのゾーンA〜
Cの合計汚染量(約6Pa・秒が、この製造条件の場合
の1回目のZnめっきからMgめっきまでの間の汚染量
となる。
【0023】他方、めっき層の層構造は、表2及び表3
に示すように汚染量に応じて変化した。なお、表2,3
におけるめっき層の組織判定結果は、図3,図4のよう
な異常構造が発生したものを×,異常構造のない健全な
多層構造をもつものを○として評価した。表2及び表3
にみられるように、1回目のZnめっきからMgめっき
までの間の汚染量が40Pa・秒を越えた場合、Mgめ
っきの表面が図2のように空隙の多いものとなり、最終
的に形成されたZn−Mgめっきは図3のような異常な
断面組織となった。Mgめっきから2回目のZnめっき
までの間の汚染量が4Pa・秒を越える場合も、図4に
示したような異常な組織となった。この結果は、Mgめ
っきする際の鋼板温度が300℃でも200℃でも同様
であった。
【0024】本発明者等は、水蒸気(H2 O)による汚
染について、正常な組織をもつZn−Mgめっきが形成
されるための条件として1回目のZnめっきからMgめ
っきまでの間の許容汚染量が100Pa・秒以下である
こと、Mgめっきから2回目のZnめっきまでの間の許
容汚染量が9Pa・以下であることをすでに見出してい
る(特願平7−347739号参照)。第2表及び第3
表には、この水蒸気(H2 O)による汚染量の合計も示
している。この知見から、表2及び表3の製造条件で
は、水蒸気(H2 O)による汚染量は酸素(O2 )に由
来する許容汚染量よりもはるかに少ないので、不健全な
組織をもつZn−Mgめっき層の形成は、H2 O汚染で
はなく、O2 汚染が原因であると考えられる。以上の結
果から、真空中の酸素(O2 )によってめっき表面が汚
染されても、1回目のZnめっきからMgめっきまでの
間の汚染量を40Pa・秒以下,Mgめっきから2回目
のZnめっきまでの間の汚染量を4Pa・秒以下にする
ことによって、正常な組織をもつZn−Mgめっき層が
形成され、本来の高耐食性を呈するZn−Mgめっき鋼
板が製造されることが確認される。
【0025】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の製造方
法においては、真空中のガス成分のうちめっき表面を汚
染する作用を持つ酸素の分圧と、その雰囲気中にめっき
表面が曝される時間との積でめっき表面が受ける汚染量
を定量的に把握し、この汚染量が許容値以下となるよう
に各ゾーンの酸素分圧及び保持時間を調整することによ
り、常に良好な組織をもつZn−Mgめっき鋼板を製造
することが可能になる。このようにして得られたZn−
Mgめっき鋼板は、めっき欠陥がなく、Zn−Mgめっ
き本体の高耐食性を活かして各種分野で使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従った3層構造をもつZn−Mgめ
っき鋼板
【図2】 汚染されたZn層の上に蒸着したMg層
【図3】 汚染されたZn層の上にMg及びZnを蒸着
したときのZn−Mgめっき層
【図4】 汚染されたMg層の上にZn蒸着したZn−
Mgめっき層
【図5】 本発明で採用される蒸着めっきライン
【図6】 蒸着めっきラインの各ゾーンに設けた真空雰
囲気分析装置
【符号の説明】
10:めっき原板 11:ペイオフリール 15:
めっき鋼板 16:巻取りリール 20:無酸化炉 25:還元焼鈍炉 30:真空室 31:入側真空シール部 32:出
側真空シール部 35,36:可変リーク弁 40:第1Zn蒸着室 41:入側真空シールロール
42:出側真空シールロール 50:Mg蒸着室 51:入側真空シールロール 60:第2Zn蒸着室 61:シールロール 6
2:出側シールロール 70:冷却装置 81〜86:真空雰囲気分析装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 実 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空室に導入された鋼帯に蒸着Znめっ
    きに続き蒸着Mgめっきを施す際、ZnめっきからMg
    めっきまでの間の時間をT1 (秒),その間にZnめっ
    き表面が保持される真空中の酸素分圧をH1 (Pa)と
    するとき、H1 ×T1 ≦40の条件が満足されるように
    時間T1 及び酸素分圧H1 を制御することを特徴とする
    Zn−Mg蒸着めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 真空室に導入された鋼帯に蒸着Mgめっ
    きに続いて蒸着Znめっきを施す際、MgめっきからZ
    nめっきまでの間の時間をT2 (秒),その間にMgめ
    っき表面が保持される真空中の酸素分圧をH2 (Pa)
    とするとき、H2 ×T2 ≦4の条件が満足されるように
    時間T2 及び酸素分圧H2 を制御することを特徴とする
    Zn−Mg蒸着めっき鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 真空室に導入された鋼帯にZn,Mg,
    Znの順にそれぞれ蒸着めっきを施してZn−Mg合金
    めっき層を形成する際、1回目のZnめっきからMgめ
    っきまでの時間をT1 (秒),その区間の酸素分圧をH
    1 (Pa),Mgめっきから2回目のZnめっきまでの
    時間をT2 (秒),その区間の酸素分圧をH2 (Pa)
    とするとき、H1 ×T1 ≦40及びH2 ×T2 ≦4の条
    件が満足されるように時間T1 ,T2 及び酸素分圧H
    1 ,H2 を制御することを特徴とするZn−Mg蒸着め
    っき鋼板の製造方法。
JP9326996A 1996-03-22 1996-03-22 Zn−Mg蒸着めっき鋼板の製造方法 Withdrawn JPH09256157A (ja)

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