JPH09255799A - ヤーンプリプレグの製造方法および装置 - Google Patents
ヤーンプリプレグの製造方法および装置Info
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- JPH09255799A JPH09255799A JP7039996A JP7039996A JPH09255799A JP H09255799 A JPH09255799 A JP H09255799A JP 7039996 A JP7039996 A JP 7039996A JP 7039996 A JP7039996 A JP 7039996A JP H09255799 A JPH09255799 A JP H09255799A
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Abstract
たヤーンプリプレグの製造方法および装置を提供する。 【解決手段】回転する溝付きローラの溝部に溶融樹脂を
供給しながら、回転方向の下流側でこの溝付きローラの
溝部に繊維束を接触させることによって、繊維束に溶融
樹脂を含浸することを特徴とするヤーンプリプレグの製
造方法。
Description
材料用の素材であるヤーンプリプレグの製造方法および
製造装置に関する。
Bステージの熱硬化性樹脂を塗布したシート上に補強繊
維をスペーサを介在させながら平行かつシート状に引き
揃え、もう一方の面にシートを積層し、加圧加熱して補
強繊維に樹脂を含浸後、一方のシートおよびスペーサが
介在していた部分をスリッタでスリットして巻き取る
か、樹脂含浸補強繊維をシートからはぎ取ることによっ
てテープ状プリプレグを作る方法が記載されている。
含浸できるという点ではもっとも確実な方法であるが、
樹脂を塗布するためのシートが必要なことや、ライン速
度をあげるのが技術的に困難なためにコスト面で不利で
ある。
連続繊維束をひろげてバンドを作りながら搬送し、加熱
ローラとドクターブレードを使って溶媒のない樹脂でバ
ンドの対向する面を樹脂で被覆し、その次の工程で被覆
したバンドをこねることによって樹脂を含浸させ、つい
で樹脂含浸バンドを圧縮し、最後に冷却することによっ
て断面形状を決定させるヤーンプリプレグの製造方法が
記載されている。
コーティング厚さをローラとドクターブレードの間のダ
イ間隔または孔によって調節している点に特徴がある方
法で、上述の特公昭57−226986号公報に記載の
ものよりは生産性の点で優れていると思われる。
の方法では、複数の連続繊維束を同時に処理することが
困難と考えられる。
た場合を想定すると、ローラ表面に幅方向に一様厚さの
樹脂が塗布されるので繊維束の存在しないローラ表面に
も樹脂が塗布される。この部分の樹脂はローラ面から繊
維束が離れる瞬間に、繊維束の幅の両端部に付着して持
って行かれやすいので繊維束の幅の両端部でのフィラメ
ント切れを起こしやすく、そのため単糸巻き付きなどの
問題が多い。
場合を想定すると、所定のピッチで平行に配列された繊
維束をローラ表面に接触させることになるので、上述の
繊維束両端部でのフィラメント切れのトラブルが連続繊
維束の本数分だけ発生することになり、必ずしも生産性
に優れた方法とはいい難い。
は、バンドの対向する表面をそれぞれ被覆する工程を有
するので、前述の理由からフィラメント切れのトラブル
がさらに多くなることが容易に想像できる。
脂含浸バンドをこねる、圧縮する、冷却するなど多くの
工程が含まれており、設備面でもコストアップ要因を多
くかかえている。
ブレードにもっとも近いローラ表面上で被覆がなされる
との記述がある。すなわち、ドクターブレードの上流側
で溶融樹脂と繊維束とをまず接触させ、その後に、ドク
ターブレードとローラ表面の間に形成されるすき間に繊
維束を通過させることによって樹脂の付着量を調整して
いる。
によって樹脂を狭いすき間に一緒に引き込むので、より
高い含浸効果が期待できる反面、ブレードの上流側に繊
維の毛羽が詰りやすく、連続して安定な状態でヤーンプ
リプレグを製造することはむつかしいという欠点があ
る。
点を解決し、高速で工程安定性にすぐれた無溶媒樹脂を
用いたヤーンプリプレグの製造方法および装置を提供す
ることにある。
決するための本発明のヤーンプリプレグの製造方法は、
回転する溝付きローラの溝部に溶融樹脂を供給しなが
ら、回転方向の下流側でこの溝付きローラの溝部に繊維
束を接触させることによって、繊維束に溶融樹脂を含浸
することを特徴とするものである。
樹脂を含浸させた繊維束を、そのままフィラメントワイ
ンディング法によって繊維強化樹脂製管状物を製造する
方法を特徴とする。
装置は、繊維束に溶融樹脂を含浸するための溝付きロー
ラと、該溝付きローラの溝部に溶融樹脂を供給するため
の溶融樹脂供給装置を備えたことを特徴とする。
は、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエ
ステル樹脂などの未硬化の熱硬化性樹脂組成物をヤー
ン、トウ、ロービング、マルチフィラメントなどの連続
繊維束に対して所定の組成比で含浸したもので、通常、
ボビンなどにいったん巻上げられた形で製品化されてい
る。また、ヤーンプリプレグを出発材料とする繊維強化
複合材料は、通常、ヤーンプリプレグが巻上げられたボ
ビンを所定の本数だけクリールに仕掛けたのち、ヤーン
プリプレグを解舒しながらフィラメントワインディング
装置、オートテープレイアップ装置、ドラムワインディ
ング装置などに導き、管状、シート状など任意の形態に
積層、賦形したのち、これらを加熱してマトリックス樹
脂を硬化させることにより成形される。
ラの溝部に溶融樹脂を供給しながら、回転方向の下流側
でこの溝付きローラの溝部に繊維束を接触させることに
よって、繊維束に溶融樹脂を含浸することを特徴とする
ヤーンプリプレグの製造方法を提供する。
表面の周方向に一定の幅と深さで加工された溝を有する
ローラである。溝の幅は、得ようとするヤーンプリプレ
グの幅に応じて決められるが、およそ2mm以上30m
m以下、さらに好ましくは3mm以上20mm以下であ
る。2mm未満では溝加工がしにくく、また得られる製
品の幅が狭くなりヤーンプリプレグとしての実用性が劣
るようになる。一方、溝の幅が30mmを越えると繊維
束の平行度を維持するのがむつかしくなり、得られるコ
ンポジットの力学特性に不安を生じる。
グの樹脂付着量(以下、Wrという)とは無関係に決め
られ、およそ1mm以上10mm以下、さらに好ましく
は3mm以上10mm以下が適当である。1mm未満で
は、後述するブレードと溝底部のすき間調整がむつかし
くなり、10mmを越えても実質的に意味がなくなり、
またヤーンプリプレグの製造工程で繊維巻き付きがあっ
た場合に繊維を除去することがむつかしくなってくる。
た矩形状のものに限らず、台形状、V字状、U字状のも
のであってもよい。
は、溝付きローラの溝底部に供給することが好ましい
が、台形状や、V字状のように、溝の側壁が垂直でない
場合は、溝側壁部に供給してもよい。
間は、ローラ径、回転数、繊維束の接触角などによって
決まるが、ローラ径については溝底部で50mm以上5
00mm以下、さらに好ましくは90mm以上300m
m以下が使いやすく好ましい。また、繊維束と溝付きロ
ーラの接触角は30〜180゜、さらに好ましくは60
〜120゜となるようにする。接触角が30゜未満にな
ると、繊維束と溶融樹脂の接触時間が短過ぎるので樹脂
の含浸性が悪くなり、一方で180゜を越えるとローラ
への繊維の巻き付きが起こりやすくなる。また、ローラ
の溝底部での周速は、繊維束の搬送速度とほぼ同じにす
るのが好ましい。
との接触が完了した溝底部にはほとんど樹脂が残らず、
ローラが1回転後溝底部にあらたに溶融樹脂が塗布され
る。繊維束に含浸させる樹脂量は、回転する溝付きロー
ラの溝の内側に、溝幅とほぼ同様の幅を有するブレード
を挿入し、溝の底部とブレードの間に形成されるすき間
の大きさを調整することによって制御される。
から2mmが好ましく、0.01mmから1mmがさら
に好ましい。
の幅がほぼ溝幅に一致することが好ましい。ブレードの
幅が溝幅より小さいと、溝の側面とブレードの間に形成
されるすき間から必要以上の量の樹脂が下流側の溝底部
に塗布されるため所定のWrが得られなかったり、平
(溝なし)ローラを用いた場合と同じようにヤーンプリ
プレグの幅の両端部での単糸切れが起こりやすくなる。
粘度が1ポイズ以上200ポイズ以下、さらに好ましく
は1ポイズ以上100ポイズ以下の範囲となるような温
度に、加熱されているのが好ましい。
が低過ぎてブレードと溝の底部のすき間を調整するだけ
では塗布される樹脂量を正確に制御することがむつかし
くなり、100ポイズを越えると樹脂の繊維束への含浸
性が十分でなくなることがある。
前に、繊維束を予熱することがさらに好ましい。その理
由は、繊維束を予熱することによって繊維束と溶融樹脂
が接触したときに樹脂粘度が下がり、樹脂含浸がさらに
容易となり、予熱しない場合より繊維束の搬送速度を上
げることができ、生産性向上につながるからである。繊
維束の予熱温度範囲は溶融樹脂の温度以上で、かつ(溶
融樹脂の温度+100℃)以下が好ましい。繊維束の予
熱温度が溶融樹脂の温度未満では、繊維束と溶融樹脂が
接触した瞬間に樹脂温度が下がって粘度上昇を起こし、
含浸が不十分となることがある。一方、予熱温度が(溶
融樹脂の温度+100℃)を越えると樹脂のゲル化が起
こり、良好な品位のヤーンプリプレグが得られにくくな
る。
を拡幅すればさらに樹脂含浸性の向上が可能になる。も
っとも好ましいのは、繊維束が溶融樹脂と接触する前
に、繊維束を予熱しながら拡幅することである。
維束の搬送方向に対して直角に、交互に配置して、繊維
束をしごくなど既知の方法を用いることができる。
繊維束に樹脂を含浸した後に、少なくとも1個の回転す
る加熱ローラに接触させることによって樹脂の含浸を促
進することも可能である。このとき、繊維束が第2のロ
ーラと接触する面は、第1の溝付きローラと接触した面
と同じ側でもよいし、反対側でもよい。
浸繊維束の温度が、0℃〜35℃の範囲に制御されてい
ることが好ましい。0℃未満で巻上げると、繊維束が凍
って剛直なためヤーンプリプレグの折れ曲がりが生じ、
一方、35℃を越えると、巻上げなどの工程で樹脂が移
動しやすくなり、ヤーンプリプレグのWrの変動をもた
らす。
囲に制御する方法は、ドライブシテーションのローラに
冷却水を循環する、ヤーンプリプレグに冷風をあてるな
どの方法があるが、ヤーンプリプレグの搬送速度が10
0m/分以下ならば、積極的に冷却しなくとも室温雰囲
気下であれば、ヤーンプリプレグはだいたい0℃〜35
℃の温度範囲に保てる。
に、ヤーンプリプレグとの離型性にすぐれた材質からな
る被膜を形成した芯材の表面に、2〜40゜の綾角でヤ
ーンプリプレグを巻上げることを特徴とするヤーンプリ
プレグ巻上げ方法を提供する。芯材としては、コスト的
にすぐれている紙管がよく使われるが、紙管の表面に直
接ヤーンプリプレグを巻くと、ヤーンプリプレグの粘着
性の樹脂が紙管の表面に取られるため、解舒されたヤー
ンプリプレグのWrが低下するという問題点がある。そ
こで、紙管などの芯材の表面に、塩ビ、ポリエステル、
ポリアミド、ポリプロピレンなどのフィルムで被膜を形
成し、この上にヤーンプリプレグを2〜40゜の綾角で
巻上げるのが好ましい。
軸に対する角度のことを指し、この角度が2゜未満で
は、樹脂のタック性のためにヤーンプリプレグが解舒し
にくくなり、一方、綾角が40゜を越えるとヤーンプリ
プレグの巻姿が悪くなり、輸送中の振動などによってヤ
ーンプリプレグが芯材から脱落するおそれがある。な
お、綾角は5〜35゜がさらに好ましい。
浸させた繊維束を、そのままフィラメントワインディン
グ法によって芯材に巻回し、芯材ごと加熱することによ
って樹脂を硬化させたのち脱芯することを特徴とする繊
維強化樹脂製管状物の製造方法を提供する。
って繊維強化樹脂製管状物を製造するには、樹脂の付着
していない連続繊維束を所定の樹脂溶液の貯蔵された浴
の中に浸漬しながら芯材に巻回し、芯材ごと加熱するこ
とによって樹脂を硬化させたのち脱芯するという方法が
採用されてきた。本発明は、前述の方法によって樹脂を
含浸させた繊維束、すなわちヤーンプリプレグを、その
ままフィラメントワインディングすることに特徴があ
る。従来のフィラメントワインディング方法では、巻き
取り速度、および樹脂溶液濃度などによってWrが変動
しやすいとか、過剰な樹脂を繊維束に付着させたのちに
樹脂を絞りとる工程が必要などの問題点があったが、本
発明では、樹脂含浸の過程でWrが所定の値に設定され
ているので、従来のような煩雑な工程を省略し、繊維含
有率の安定した繊維強化樹脂製管状物を得ることが可能
である。
浸させた繊維束を、そのままフィラメントワインディン
グ法によって可とう性チューブをかぶせた芯材に巻回し
たのち、芯材のみをぬいて可とう性チューブ付きのプリ
フォームとし、このプリフォームを型のキャビティ内に
設置し、可とう性チューブに内圧をかけながら加熱する
ことによって樹脂を硬化させることを特徴とする繊維強
化樹脂製管状物の製造方法を提供する。
どに代表される繊維強化樹脂製管状物を製造する場合
は、樹脂の付着していない連続繊維束を所定の樹脂溶液
の貯蔵された浴の中に浸漬しながらフィラメントワイン
ディング法によって可とう性チューブをかぶせた芯材に
巻回したのち、芯材のみをぬいて可とう性チューブ付き
のプリフォームとし、このプリフォームを型のキャビテ
ィ内に設置し、可とう性チューブに内圧をかけながら加
熱することによって樹脂を硬化させるという方法が取ら
れてきた。
浸させた繊維束を、そのままフィラメントワインディン
グ法によって可とう性チューブをかぶせた芯材に巻回す
るので、前述と同様の理由から、従来の工程を省略し、
かつ安定した繊維強化樹脂製管状物を効率よく製造でき
る。
含浸するための溝付きローラと、該溝付きローラの溝底
部に溶融樹脂を供給するための溶融樹脂供給装置を備え
たことを特徴とするヤーンプリプレグの製造装置を提供
する。
置の好ましい態様は、(A)繊維束を供給するクリー
ル、(B)樹脂溶融装置、(C)溶融樹脂を計量しなが
ら樹脂溜めに供給する溶融樹脂計量供給装置、(D)溶
融樹脂溜め部を有し、溝付きローラへ溶融樹脂を供給す
る溶融樹脂供給装置、(E)溶融樹脂を繊維束に含浸す
るための溝付きローラ、(F)ヤーンプリプレグを巻上
げるワインダ、(G)クリールからワインダまで繊維束
を搬送するドライブステーション、(H)(B)、
(C)、(D)、(E)部に熱媒を循環させる装置、を
備えたものである。
るクリール(A)から引出され、溶融樹脂を繊維束に含
浸するための溝付きローラ(E)に導かれる。溶融樹脂
を繊維束に含浸するための溝付きローラ(E)には、樹
脂溶融装置(B)および溶融樹脂を計量しながら樹脂溜
めに供給する溶融樹脂計量供給装置(C)、溶融樹脂溜
め部を有し、溝付きローラへ溶融樹脂を供給する溶融樹
脂供給装置(D)が付帯装置として付いており、所定の
樹脂量を連続繊維束に供給できる機構を有する。繊維束
の搬送はクリールからワインダまで繊維束を搬送するド
ライブステーション(G)によって行なわれ、最終的に
ヤーンプリプレグはヤーンプリプレグを巻上げるワイン
ダ(F)で芯材の上に巻き取られる。
(D)、(E)には加熱のために、熱媒を循環させる装
置(H)が連結され、所定の温度に保持される。
束の巻径がかわっても、同じ解舒張力で解舒できるよう
な機構を有するものが好ましい。
ーラを接触させることによって接触部のみの樹脂を溶融
し、下部の樹脂溜まりへ落下させる方式のものが構造が
簡単で好ましい。この方式では、加熱ローラに押し当て
る仕切板を取り付けることによって、溶融樹脂を計量し
ながら樹脂溜めに供給する溶融樹脂計量供給装置(C)
を兼ねることができる。すなわち、ローラ表面のすき間
の大きさ、ローラの回転数と幅をかえることによって溶
融樹脂を計量しながら樹脂溜めに供給することができ
る。
述の方式に限定されるものではなく、既知のチューブポ
ンプやギアポンプなどを用いることもできる。なお、溶
融樹脂計量供給装置(C)として、チューブポンプやギ
アポンプを用いた場合は、溶融樹脂の溜め部を有し、溝
付きローラへ溶融樹脂を供給する溶融樹脂供給装置
(D)を省略してもよい。
溶融樹脂を供給する溶融樹脂供給装置(D)は、ブレー
ドを組込んだ形で溝付きローラに取り付けられ、この部
分に溜まった樹脂は、ブレードと溝底部に形成されたす
き間を通って、溝底部に塗布される。
ローラ(E)は、実質的には溝付きキスローラであっ
て、溝底部に塗布された溶融樹脂と繊維束が接触する。
(F)は、既知のワインダを用いることができる。
が好ましいが、特に限定されない。また、巻姿が良好と
なるようにいわゆる“端面くずし”と呼ばれる方式のも
のが好ましい。
るドライブステーション(G)は、少なくとも1個の回
転ローラで構成され、少なくとも繊維束との300mm
の接触長さを確保できるものが好ましい。
粘着性の樹脂が付着しないようにテフロン、シリコンラ
バー、ポリプロピレンフィルムなどで被覆するのが好ま
しい。
(D)、(E)部に熱媒を循環させる装置(H)を含
む。熱媒を循環する装置(H)としては、温水装置と循
環ポンプを組合わせたものやオイルヒーターと循環ポン
プを組合わせたものが用いられる。
溶融樹脂を繊維束に含浸するための装置(E)の間に繊
維束を予熱する装置を有するのがさらに好ましい。
度より低いと、繊維束と溶融樹脂が接触した瞬間に樹脂
温度が低下して、樹脂の粘度が高くなり、樹脂の繊維束
への含浸を阻害するためである。繊維束の予熱温度は、
前述のとおり、溶融樹脂の温度以上で、(溶融樹脂の温
度+100℃)以下であることが好ましい。
ーなど通常の加熱装置が使えるが、毛羽の発生を抑制
し、かつ高速での処理が可能なことから、回転する加熱
ローラに繊維束を接触させるのがもっとも好ましい。こ
の場合、毛羽発生を抑えるために、キスローラの周速は
繊維束の搬送速度と同じにするのが好ましい。
リール(A)と、溶融樹脂を繊維束に含浸するための溝
付きローラ(E)の間に繊維束を拡幅する装置を有する
のが好ましい。その理由は、繊維束が拡幅されているほ
ど樹脂含浸が促進されるからで、繊維束を拡幅しながら
加熱できるように加熱ゾーンに前述のしごきバーなどを
配置すると、さらに拡幅効果が増す。
るための溝付きローラ(E)には、溶融樹脂の溜め部を
有し、溝付きローラへの溶融樹脂を供給する溶融樹脂供
給装置(D)、すなわち溝付き加熱ローラ、溝付き加熱
ローラの溝の内側に挿入するブレード、および溶融樹脂
を溜める装置が組み込まれていることを特徴とする。こ
のような装置構成をとることによって、溶融樹脂を溜め
る装置の所で溶融樹脂が、ブレードの先端と加熱ローラ
の溝底部との間に形成されたすき間から、溝底部へ一定
量だけ塗布されていく。溝底部に塗布される樹脂量はす
き間の大きさとローラの回転数によって一義的に決定付
けられ、すき間が一定であれば溝底部の周速と繊維束の
搬送速度が同じであるかぎり、繊維束の搬送速度に無関
係に一定のWrを保つことができる。
に挿入するブレードの先端と溝底面との間に形成される
すき間の大きさは、0.01mm以上2mm以下、さら
に好ましくは0.01mm以上1mm以下の範囲で制御
可能なことを特徴とする。樹脂粘度にもよるが、すき間
の大きさ0.01mm未満では樹脂が供給されないので
ほとんど樹脂が付着せず、2mmを越えると樹脂がたれ
流し状態となり、実質的にWrが制御しにくくなる。
融樹脂供給装置(D)が、加熱可能であって、溶融樹脂
を繊維束に含浸する溝付きローラ(E)の繊維束とロー
ラの接触する部分よりローラ回転方向の上流側に位置す
ることを特徴とする。
よく、かつ正確に溶融樹脂を溝底面に一定量塗布するこ
とが可能であり、しかも繊維束とローラの接触する部分
は、この部分より下流側にあるので、確実に塗布された
樹脂が繊維束に含浸されて、次工程に搬送される。
てさらに具体的に説明する。
一実施例を示す概略図である。
り、図3は、溝付きローラ部の概略正面図である。
れた連続繊維束2は引き出されて、溝付きローラ3の下
部に接触し、次いでドライブステーション8を通じて、
ワインダ9に導かれ巻き取られる。溝付きローラ3に近
接して、ブレード5Aを先端に有する樹脂を貯める底板
が設けられた溶融樹脂供給装置4、該溶融樹脂供給装置
4の上方に、樹脂供給装置7が配置されている。該樹脂
供給装置7は、加熱ローラ7Aと、該加熱ローラ7Aに
供給される樹脂ブロック7Bが加熱ローラ7Aによって
溶融され、該溶融樹脂を加熱ローラ7Aに押し当てる仕
切板7Cを取り付けることによって、溶融樹脂を計量し
ながら樹脂溜め部4に供給するようになっている。
に、溝部10を有しており、該溝部10の底部とブレー
ド5Aの間には一定のすき間6が形成され、溝付きキス
ローラ3の回転によって樹脂溜まりにある樹脂が所定
量、溝底部に塗布され、該溝部10接触して走行する繊
維束2に樹脂を含浸させるようになっている。
レカT700SC−24000−50Cと、エポキシ樹
脂を用いて、ヤーンプリプレグを製造した。
樹脂エピコート828を20部、エピビス固形樹脂エピ
コート1001を45部、フェノールノボラック型エポ
キシ樹脂エピコート154を35部、硬化剤としてジシ
アンジアミド3.5部、DCMU(3,4ジクロロフェ
ニル1、1ジメチルウレア)を4部とした。
度を80℃に保持し、この部分に80℃で溶融させたエ
ポキシ樹脂を一定量供給した。このとき、ブレードと溝
底のすき間の大きさを0.12mm〜0.18mmの範
囲で変化させるとともに、糸の搬送速度を5m/分から
30m/分まで変化させてヤーンプリプレグを作製し、
あとで溶媒(メチルエチルケトン)を用いてエポキシ樹
脂を除去することによってWrを測定した。なお、溝幅
は10mmとし、樹脂粘度は45ポイズ(80℃)であ
った。結果を表1に示す。
無関係にWrが一定となり、すき間調整のみで所定のW
rを有する無溶媒のヤーンプリプレグを、効率よく製造
できる。
く同様の方法でヤーンプリプレグを作製し、ボビンに巻
上げた。巻上げたヤーンプリプレグを室温23℃の部屋
で、糸速度3m/分で解舒しながら、解舒張力を測定
し、解舒性を評価した。
い張力で、問題なくヤーンプリプレグを解舒できること
がわかる。
ら、ワインダに装着されたボビンのかわりに、直接フィ
ラメントワインディング装置に装着されたナイロンチュ
ーブ(厚さ:50μm)をかぶせた芯材(マンドレル)
に約30゜の角度でヤーンプリプレグを巻上げたのち芯
材を抜いた。ついで、巻上がったプリフォームをラケッ
トフレームの形状のキャビティを有する金型に収納し、
ナイロンチューブ中に空気を吹込みながら、型を130
℃で30分間加熱してエポキシ樹脂を効果させ、ラケッ
トフレームの形状をしたコンポジットを得た。ボイドも
なく、外観、フレームの剛性など特に問題のない良好な
ラケットフレームが得られた。
て、効率よく、安定して、所定の無溶媒樹脂付着量Wr
を有するヤーンプリプレグを製造することができるとい
う効果を奏する。
一実施例を示す概略図である。
Claims (20)
- 【請求項1】回転する溝付きローラの溝部に溶融樹脂を
供給しながら、回転方向の下流側でこの溝付きローラの
溝部に繊維束を接触させることによって、繊維束に溶融
樹脂を含浸することを特徴とするヤーンプリプレグの製
造方法。 - 【請求項2】回転する溝付きローラの溝内に、溝幅とほ
ぼ同じ幅を有するブレードを挿入し、溝の底部とブレー
ドの間に形成されるすき間の大きさを調整することによ
って繊維束に含浸させる樹脂の量を制御することを特徴
とする請求項1に記載のヤーンプリプレグの製造方法。 - 【請求項3】回転する溝付きローラが加熱されているこ
とを特徴とする請求項1または2に記載のヤーンプリプ
レグの製造方法。 - 【請求項4】溶融樹脂の粘度が1ポイズ以上200ポイ
ズ以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
に記載のヤーンプリプレグの製造方法。 - 【請求項5】繊維束が溶融樹脂と接触する前に、繊維束
を少なくとも溶融樹脂の温度以上に加熱することを特徴
とする請求項1〜4のいずれかに記載のヤーンプリプレ
グの製造方法。 - 【請求項6】繊維束が溶融樹脂と接触する前に、繊維束
を拡幅することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
記載のヤーンプリプレグの製造方法。 - 【請求項7】繊維束が溶融樹脂と接触する前に、繊維束
を加熱しながら拡幅することを特徴とする請求項1〜6
のいずれかに記載のヤーンプリプレグの製造方法。 - 【請求項8】繊維束に樹脂を含浸した後に、少なくとも
1個の回転する加熱ローラに接触させることによって樹
脂の含浸を促進することを特徴とする請求項1〜7のい
ずれかに記載のヤーンプリプレグの製造方法。 - 【請求項9】繊維束に溶融樹脂を含浸した後、芯材に巻
上げるに際し、芯材に巻上げる直前の樹脂含浸繊維束の
温度が、0℃〜35℃の範囲に制御されていること特徴
とする請求項1〜8のいずれかに記載のヤーンプリプレ
グの製造方法。 - 【請求項10】繊維束に樹脂を含浸した後に、ヤーンプ
リプレグとの離型性にすぐれた材質からなる被膜を形成
した芯材の表面に、2〜40゜の綾角でヤーンプリプレ
グを巻上げることを特徴とするヤーンプリプレグの巻上
げ方法。 - 【請求項11】請求項1から請求項9のいずれかに記載
の方法によって樹脂を含浸させた繊維束を、そのままフ
ィラメントワインディング法によって芯材に巻回し、芯
材ごと加熱することによって樹脂を硬化させたのち脱芯
することを特徴とする繊維強化樹脂製管状物の製造方
法。 - 【請求項12】請求項1から請求項9のいずれかに記載
の方法によって樹脂を含浸させた繊維束を、そのままフ
ィラメントワインディング法によって可とう性チューブ
をかぶせた芯材に巻回したのち、芯材のみをぬいて可と
う性チューブ付きのプリフォームとし、このプリフォー
ムを型のキャビティ内に設置し、可とう性チューブに内
圧をかけながら加熱することによって樹脂を硬化させる
ことを特徴とする繊維強化樹脂製管状物の製造方法。 - 【請求項13】繊維束に溶融樹脂を含浸するための溝付
きローラと、該溝付きローラの溝部に溶融樹脂を供給す
るための溶融樹脂供給装置を備えたことを特徴とするヤ
ーンプリプレグの製造装置。 - 【請求項14】繊維束を供給するクリールと、前記クリ
ールから引き出された繊維束に溶融樹脂を含浸するため
の溝付きローラと、該溝付きローラの溝部に溶融樹脂を
供給するための溶融樹脂供給装置と、該溶融樹脂供給装
置へ計量した溶融樹脂を供給する溶融樹脂計量供給装置
と、前記溝付きローラにより溶融樹脂が含浸された繊維
束を巻上げるワインダと、クリールからワインダまで繊
維束を搬送するドライブステーションと、前記溝付きロ
ーラ、溶融樹脂供給装置、および溶融樹脂計量供給装置
に熱媒を循環させる装置とを備えたことを特徴とするヤ
ーンプリプレグの製造装置。 - 【請求項15】溶融樹脂供給装置が、溶融樹脂の溜め部
を有し、該溜め部の樹脂を前記溝付きローラの溝部に供
給するブレードを備えたものであることを特徴とする請
求項13または14に記載のヤーンプリプレグの製造装
置。 - 【請求項16】繊維束を供給するクリールと、溶融樹脂
の含浸装置との間に、繊維束を予熱する装置を設けたこ
とを特徴とする請求項14または15に記載のヤーンプ
リプレグの製造装置。 - 【請求項17】繊維束を供給するクリールと、溶融樹脂
の含浸装置の間に、繊維束を拡幅する装置を設けたこと
を特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載のヤー
ンプリプレグの製造装置。 - 【請求項18】ブレードの先端と溝底面との間に形成さ
れるすき間の大きさが0.01mm以上2mm以下の範
囲に設定されていることを特徴とする請求項15〜17
のいずれかに記載のヤーンプリプレグの製造装置。 - 【請求項19】溶融樹脂供給装置が、加熱可能であっ
て、かつ繊維束と溝付きローラの接触する部分よりロー
ラ回転方向の上流側に位置することを特徴とする請求項
13〜18のいずれかに記載のヤーンプリプレグの製造
装置。 - 【請求項20】クリールからワインダまで繊維束を搬送
するドライブステーションが、表面を非接着性の材質で
覆われた、少なくとも1個のローラで構成されているこ
とを特徴とする請求項14〜19のいずれかに記載のヤ
ーンプリプレグの製造装置。
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