JPH09255615A - 1,3−ジクロルアセトンの製造方法 - Google Patents

1,3−ジクロルアセトンの製造方法

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JPH09255615A
JPH09255615A JP8070238A JP7023896A JPH09255615A JP H09255615 A JPH09255615 A JP H09255615A JP 8070238 A JP8070238 A JP 8070238A JP 7023896 A JP7023896 A JP 7023896A JP H09255615 A JPH09255615 A JP H09255615A
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JP
Japan
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chloride
dichloroacetone
mmol
palladium
reaction
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Application number
JP8070238A
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English (en)
Inventor
Shuji Ichikawa
修治 市川
Hiroshi Iwane
寛 岩根
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1,3−ジクロルアセトンの製造方法の提
供。 【解決手段】 次記三成分、(A)パラジウム及び/又
はパラジウム化合物、(B)マンガン化合物、鉛化合物
及び銅化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の
化合物、及び(C)ヨウ素化合物、の存在下、アセトン
及び/又はモノクロルアセトンを塩化物及び酸素と反応
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1,3−ジクロル
アセトンの製造方法に関する。詳しくは、本発明は、特
定成分の存在下、アセトン又はモノクロルアセトンを塩
化物及び酸素と反応させて1,3−ジクロルアセトンを
製造する方法に関する。1,3−ジクロルアセトンは、
塩素原子が1及び3位に置換しているため、クロルアセ
トン類の中でも合成中間体として特に有用であり、例え
ば、殺菌剤、殺だに剤製造用中間体として、又、ポリマ
ー、木材パルプ等の結合剤として用いられる。また、
1,3−ジクロルアセトンを水素化した1,3−ジクロ
ルプロパノールは、苛性アルカリや石灰乳によって容易
にエピクロルヒドリンに変化するので、エポキシ樹脂や
合成ゴムの原料であるエピクロルヒドリンの前駆体とし
ても有用である。
【0002】
【従来の技術】アセトンからクロルアセトン類への塩素
化方法については、従来からいろいろ報告されている。
米国特許第2,635,118号明細書には、ジ及びト
リクロルアセトン中、塩素及びアセトンを導入すること
により、ジ及びトリクロルアセトンを製造する方法が開
示されており、また、米国特許第3,397,240号
明細書には、モノハロアセトンの製造の際に、副生物と
して、1,3−ジクロルアセトン及び1,1−ジクロル
アセトンが1対2〜4のモル比で生成することが述べら
れている。また、特開昭54−130511号公報に
は、アセトン又はモノクロルアセトンを塩化ヨウ素含有
の水性混合物の存在下に塩化物及び塩素と反応させて
1,3−ジクロルアセトンを製造する方法が提案されて
おり、そして、特公平7−23332号公報には、同じ
反応を非水系で行う方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アセト
ン又はモノクロルアセトンを原料とし、塩素を用いる塩
素化反応は、目的とする1,3−ジクロルアセトンに比
べ1,1−ジクロルアセトンが大量に副生するという問
題点を有している。また、アセトン又はモノクロルアセ
トンを塩化ヨウ素の存在下、塩化物及び塩素と反応させ
る場合には、1,3−ジクロルアセトンの収率は向上
し、塩化ヨウ素の使用量を当量以下に減らすことが可能
であるが、毒性、腐食性が高くまた比較的高価な塩素を
大量に使用すること、又、使用量が減少したとは言え、
同様に毒性、腐食性が高く、且つ高価な塩化ヨウ素を、
なお使用しなければならないという問題点がある。本発
明の課題は、毒性、腐食性が高く、且つ高価である塩素
及び塩化ヨウ素を使用せずに高い選択率で1,3−ジク
ロルアセトンを製造する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために安価なアセトン又はモノクロルアセト
ンを原料とし、一工程により1,3−ジクロルアセトン
を製造する手法を種々検討した結果、これらの原料を特
定の三成分の存在下で塩化物及び酸素と反応させること
により、毒性、腐食性が高く、また高価である塩素及び
塩化ヨウ素を用いることなく、酸素雰囲気下で1,3−
ジクロルアセトンが効率よく生成し、しかも1,1−ジ
クロルアセトンの生成が抑制されることを見出し本発明
を完成するに到った。
【0005】即ち、本発明は、次記三成分、(A)パラ
ジウム及び/又はパラジウム化合物、(B)マンガン化
合物、鉛化合物及び銅化合物からなる群から選ばれた少
なくとも一種の化合物、及び(C)ヨウ素化合物、の存
在下、アセトン及び/又はモノクロルアセトンを塩化物
及び酸素と反応させることを特徴とする1,3−ジクロ
ルアセトンの製造方法にある。
【0006】本発明者等の検討では、本反応の機構は、
アセトンのクロル化反応により生成した中間物質である
モノクロルアセトンに対して、塩化ヨウ素から発生した
ヨウ素カチオンが、モノクロルアセトンの3位に求電子
置換反応を起こし、1−クロル−3−ヨードアセトンが
生成し、生成した1−クロル−3−ヨードアセトンのヨ
ウ素置換炭素原子に、反応系内に存在する塩化物イオン
が求核置換反応を起こし、目的とする1,3−ジクロル
アセトンが比較的高い選択率で得られるものと推定され
た。塩素は、酸化剤として作用しヨウ素カチオンの発生
を促進しているが、本発明では、酸素と前記(A)及び
(B)の化合物により、(C)のヨウ素化合物からヨウ
素カチオンを発生させ、該ヨウ素カチオンとアセトン又
はモノクロルアセトンとの反応により1,3−ジクロル
アセトンを生成させるものと推定される。以下、本発明
の方法を詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
(原料)本発明に使用される望ましい原料は、入手の容
易さからアセトンである。また、アセトンから常用の方
法(例えば、特開昭62−134178号公報)により
得られたモノクロルアセトンも原料として用いることが
できる。また、アセトンとモノクロルアセトンとの任意
の混合物も原料として使用できる。
【0008】(塩化物)本発明で用いられる塩化物とし
ては特に限定されるものではないが、例えば、塩化水
素、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物、遷
移金属塩化物又は塩化アンモニウム化合物等が挙げられ
る。より好ましい具体例としてはアルカリ金属塩化物と
して塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩
化セシウムであり、アルカリ土類金属塩化物として塩化
マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ベリリウム及び塩
化バリウムであり、遷移金属塩化物としては塩化コバル
ト、塩化マンガン、塩化ニッケル、塩化鉄又は塩化亜鉛
等が挙げられる。塩化アンモニウム化合物は、一般式
(I)
【0009】
【化1】R1 2 3 4 + Cl- (I)
【0010】(式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は、水
素、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜6の置換
基を有してもよいフェニル基又はナフチル基を表わし、
それぞれ同一でも、異なってもよい。)で表わされる化
合物である。R1 ないしR4 の具体例としては、例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、フェ
ニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げら
れる。
【0011】これらの塩化物のいずれかを用いた場合に
おいても、1,3−ジクロルアセトンは良好な選択率で
得られるが、主として経済的な理由で、塩化リチウム、
塩化ナトリウム、塩化カリウムが好ましい。用いられる
塩化物の量は、1,3−ジクロルアセトンを生成するの
に少なくとも充分な量である。即ち、アセトンを原料と
した場合、アセトン1モルにつき2モルが、モノクロル
アセトンを原料とした場合モノクロルアセトン1モルに
つき1モルが必要である。アセトンとモノクロルアセト
ンとの混合物を原料とした場合その組成比より、塩化物
の使用量は決定される。通常1〜5当量、好ましくは1
〜2当量の範囲で用いられる。
【0012】(酸素)本発明に用いられる酸素は、高純
度のものは素より、空気等、窒素、アルゴン、二酸化炭
素等反応に悪影響を及ぼさない他のガスで希釈されてい
るものでも使用することができる。入手の容易さからは
空気が好ましい。
【0013】(触媒) (A)成分 本発明に用いられるパラジウム又はパラジウム化合物
は、パラジウム黒、パラジウムカーボン、パラジウム/
アルミナ、パラジウム/シリカ等の担持パラジウム、塩
化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、硫
酸パラジウム、硝酸パラジウム等のパラジウムの無機塩
類;酢酸パラジウム、シュウ酸パラジウム等のパラジウ
ムの有機酸塩類等である。また、パラジウム(II)アセ
チルアセトナートや、パラジウムに一酸化炭素、ニトリ
ル類、アミン類、ホスフィン類、オレフィン類等が配位
したパラジウムの錯化合物、例えばPdCl2 (PhC
N) 2 、PdCl2 (PPh3 2 、Pd(CO)(P
Ph3 3 、[Pd(NH34 ]Cl2 、Pd(C2
4 )(PPh3 2 等、或いはそれら錯化合物が反応
系中で生成されるような化合物類とパラジウムとの混合
物を使用することもできる。反応に用いられるパラジウ
ム成分の量は、原料に対してモル比で10-5〜1の範囲
であることが好ましく、特に10-4〜10-1の範囲であ
ることが好ましい。
【0014】(B)成分 (1)マンガン化合物 本発明に用いられるマンガン化合物は、例えば二価又は
三価のマンガン化合物が好ましく、具体的には、フッ化
マンガン、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガ
ン、硫酸マンガン、炭酸マンガン、硝酸マンガン等の無
機塩類;ギ酸マンガン、酢酸マンガン、安息香酸マンガ
ン、サリチル酸マンガン等の有機酸塩類;アセチルアセ
トナトマンガン(II)又は(III)、マンガンに一酸化炭
素、ニトリル類、アミン類、ホスフィン類、オレフィン
類等が配位した錯化合物:それら錯化合物が反応系中で
生成するような化合物類とマンガンとの混合物等が挙げ
られる。反応に用いられるマンガン化合物の量は、特に
制限はないが、パラジウム成分(A)に対してモル比で
10-3〜102 の範囲であることが好ましく、特に10
-2〜10の範囲であることが好ましい。
【0015】(2)錯化合物 本発明に用いられる鉛化合物は、例えば二価又は四価の
鉛化合物が好ましく、具体的には、酸化鉛、フッ化鉛、
塩化鉛、臭化鉛、ヨウ化鉛、硫酸鉛、炭酸鉛、硝酸鉛、
クロム酸鉛等の無機塩類;ギ酸鉛、酢酸鉛、安息香酸鉛
等の有機酸塩類;フタロシアニン鉛(II)等、鉛にアミ
ン類等が配位した錯化合物、それら錯化合物が反応系中
で生成するような化合物類と鉛との混合物等が挙げられ
る。反応に用いられる鉛化合物の量は、特に制限はない
が、パラジウム成分(A)に対してモル比で10-3〜1
2 の範囲であることが好ましく、特に10-2〜10の
範囲であることが好ましい。
【0016】(3)銅化合物 本発明に用いられる銅化合物は、例えば一価又は二価の
銅化合物が好ましく、具体的には、酸化銅、フッ化銅、
塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、硫酸銅、炭酸銅、硝酸銅等
の無機塩類;ギ酸銅、酢酸銅、安息香酸銅、オクタデカ
ン酸銅等の有機酸塩類;アセチルアセトナト銅(I)又
は(II)、銅に一酸化炭素、ニトリル類、アミン類、ホ
スフィン類、オレフィン類等が配位した錯化合物:それ
ら錯化合物が反応系中で生成するような化合物類と銅と
の混合物等が挙げられる。反応に用いられる銅化合物の
量は、特に制限はないが、パラジウム成分(A)に対し
てモル比で10-3〜102 の範囲であることが好まし
く、特に10-2〜10の範囲であることが好ましい。本
発明の方法ではマンガン化合物、鉛化合物及び銅化合物
は、単独で使用してもよいし、二種以上を、同時に用い
てもよい。
【0017】(C)成分 本発明の方法で用いるヨウ素化合物は、有機ヨウ素化合
物、ヨウ素及びヨウ化物に大別できる。本発明で用いる
有機ヨウ素化合物とは置換しうるIを有するヨウ素化合
物を意味し、例えば、ヨードメタン、ジヨードメタン、
1,2−ジヨードエタン、ヨウ化アセトン、ヨウ化酢酸
等である。これら化合物は反応系内に存在する塩化物イ
オンにより求核反応を受けヨウ化物イオンを生じること
ができる。ここで、ヨウ素は、I2 で示される分子式を
有する分子状ヨウ素を意味する。
【0018】また、本発明の方法はヨウ化物としてヨウ
化水素、アルカリ金属ヨウ化物、アルカリ土類金属ヨウ
化物、遷移金属ヨウ化物及びヨウ化アンモニウム化合物
を用いることができる。具体的にはアルカリ金属ヨウ化
物としてはヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化
カリウム、ヨウ化セシウムであり、アルカリ土類金属ヨ
ウ化物としてはヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウ
ム、ヨウ化ベリリウム及びヨウ化バリウムであり、遷移
金属ヨウ化物としてはヨウ化マンガン、ヨウ化鉛、ヨウ
化銅、ヨウ化コバルト、ヨウ化ニッケル、ヨウ化鉄及び
ヨウ化亜鉛等が挙げられる。ヨウ化アンモニウム化合物
は、一般式(I)
【0019】
【化2】R1 2 3 4 + Cl- (I)
【0020】(式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は、水
素、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜6の置換
基を有してもよいフェニル基又はナフチル基を表わし、
それぞれ同一でも、異なってもよい。)で表わされる化
合物である。R1 ないしR4 の具体例としては、例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、フェ
ニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げら
れる。
【0021】これらヨウ素化合物のいずれを用いた場合
においても、本発明の触媒により効率よくヨウ素カチオ
ンが発生し、1,3−ジクロルアセトンを得ることがで
きるが、ヨウ素及びヨウ化水素、アルカリ金属ヨウ化
物、アルカリ土類金属ヨウ化物、遷移金属ヨウ化物、ヨ
ウ化アンモニウム化合物等のヨウ化物が好ましい。特に
好ましくはヨウ化アンモニウム化合物であり、効率よく
目的とする1,3−ジクロルアセトンを得ることができ
る。
【0022】用いられるヨウ素化合物の量は、パラジウ
ム成分(A)に対してモル比で10 -3〜102 の範囲で
あることが好ましく、特に10-2〜10の範囲であるこ
とが好ましい。また、(B)成分としてヨウ化マンガ
ン、ヨウ化鉛及びヨウ化銅を用いる場合、必ずしも、
(C)成分として、更にヨウ素化合物を添加する必要は
ない。上記(A)、(B)及び(C)成分の濃度が、高
過ぎると反応速度は大きくなるが、原料や生成物の分解
等の副反応が起り易く、1,3−ジクロルアセトンの収
率が悪くなる。触媒量が少な過ぎるときは、反応速度が
遅くなり経済的でない。
【0023】(反応方法)反応はアセトン、モノクロル
アセトン又はそれらの混合物(原料)及び塩化物と上記
成分(A)〜(C)からなる各成分とを反応装置に仕込
み、酸素により加圧し、加熱下で充分撹拌することによ
って行われる。酸素は、反応に影響を与えない不活性ガ
スで希釈した状態で用いることも可能である。希釈した
場合、反応圧力は全圧で1〜100気圧、好ましくは1
〜50気圧の範囲であり、酸素分圧は0.1〜50気
圧、好ましくは0.5〜30気圧の範囲である。不活性
ガスと酸素との組成比は任意の割合をとることが可能で
あるが、安全性の観点から、その燃焼範囲から外れた組
成比であることが好ましい。反応ガス組成は、燃焼範囲
が温度、圧力等によって変化するので、一義的には決め
られないが、通常、希釈ガス過剰で、酸素分圧を全圧に
対し5〜40%程度で用いるのが好ましい。
【0024】なお、希釈ガスが余り多すぎると酸素の分
圧が低下するので好ましくない。また、反応の進行と共
に酸素が不足した場合には、都度、加圧補給してもよい
し、また一定組成の混合ガスを反応器に連続供給しても
よい。反応温度は30〜150℃の範囲である。反応温
度は30℃より低くしても1,3−ジクロルアセトンへ
の反応選択率の改善は認められないし、150℃より高
くする場合はむしろ反応選択率の低下が起る傾向にあ
る。また、温度が低いときは触媒の溶解度が下がり、反
応速度に制限が生じ、また、温度が高いときは反応系の
圧力が上昇し、工学的な制約も増し得策でない。反応時
間は反応条件により異なるが通常は数分から数十時間で
ある。
【0025】反応に際しては、溶媒として、例えばヘキ
サン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベ
ンゼン、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、ギ酸メチ
ル、アセトニトリル、スルホラン、ジメチルホルムアミ
ド、エチレングリコール、ジブチルエーテル等の不活性
溶媒を用いることができる。原料を反応溶媒として使用
した場合は特に他の溶媒を用いる必要はない。反応終了
後、反応混合物をそのまま或いは固形物を濾別分離後、
蒸留精製や晶析等の精製方法により、高純度の1,3−
ジクロルアセトンを精製単離することが可能である。更
に濾別若しくは蒸留残渣から得られる(A)〜(C)の
各成分はそのまま回収後、次の反応に再使用することが
可能である。
【0026】
【実施例】以下、実施例及び比較例により、本発明を更
に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、これらの実施例に限定されるものではない。なお、
生成物を、ガスクロマトグラフィーを用い、ノナンを内
部標準物質とした内部標準法によって定量分析し、下式
により収率及び選択率を求めた。
【0027】
【数1】
【0028】
【数2】
【0029】上記式中、1,1−DCAは1,1−ジク
ロルアセトンを1,3−DCAは1,3−ジクロルアセ
トンを意味する。
【0030】実施例1 テフロン製内筒を装着した内容積30mlのステンレス
製オートクレーブにモノクロロアセトン1.83g(1
8.84mmol)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)
パラジウム(II)76.2mg(0.198mmo
l)、マンガン(II)アセチルアセトナート・二水和物
114.6mg(0.40mmol)、ヨウ化エチルア
ンモニウム257.2mg(1.0mmol)、塩化リ
チウム876.0mg(20.8mmol)及び溶媒と
してエチレングリコールジブチルエーテル4.1mlを
入れ、系内を乾燥空気で置換した後、乾燥空気10気圧
(酸素分圧2気圧)を導入し、撹拌子を用いて100℃
で5時間撹拌混合した。反応器を冷却し開封して反応液
を得た。ガスクロマトグラフィーによって生成物を定量
分析した結果、未反応のモノクロルアセトン10.86
ミリモル、1,3−ジクロルアセトン2.29ミリモル
及び1,1−ジクロルアセトン0.06ミリモルが生成
していた。収率は28.7%、選択率は97.6%であ
った。
【0031】比較例1 下記(1)〜(3)で示した触媒を添加しない三通りの
ブランク実験を、他の条件は全て実施例1と同一にして
実施した。 (1)ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(I
I) (2)マンガン(II)アセチルアセトナート・二水和物 (3)ヨウ化エチルアンモニウム その結果、(1)から(3)のいずれの場合も1,3−
ジクロルアセトン及び1,1−ジクロルアセトンは全く
生成しなかった。
【0032】比較例2 実施例1で用いたオートクレーブにモノクロルアセトン
1.21g(12.45mmol)、塩化ヨウ素196
8mg(12.12mmol)及び溶媒としてエチレン
グリコールジブチルエーテル3.8mlを入れ、系内を
乾燥空気で置換した後、乾燥空気1気圧を導入し、撹拌
子を用いて25℃で5時間撹拌混合した。反応器を開封
して反応液を得た。ガスクロマトグラフィーによって生
成物を定量分析した結果、未反応のモノクロルアセトン
1.90ミリモル、1,3−ジクロルアセトン1.13
ミリモル及び1,1−ジクロルアセトン0.48ミリモ
ルが生成していた。収率は10.7%、選択率は70.
1%であった。
【0033】実施例2 モノクロルアセトン1.72g(17.67mmo
l)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(I
I)77.2mg(0.201mmol)、酢酸銅(I
I)・二水和物74.3mg(0.37mmol)、ヨ
ウ化エチルアンモニウム95.7mg(0.37mmo
l)、塩化リチウム84.2mg(18.6mmol)
及び溶媒としてエチレングリコールジブチルエーテル
3.9mlを用いた以外は実施例1と同じ酸素分圧、反
応温度、反応時間で塩素化反応を実施した。結果、未反
応のモノクロルアセトン11.38ミリモル、1,3−
ジクロルアセトン1.36ミリモル及び1,1−ジクロ
ルアセトン0.18ミリモルが生成していた。収率は2
1.7%、選択率は88.2%であった。
【0034】実施例3 モノクロルアセトン1.81g(18.64mmo
l)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(I
I)74.9mg(0.195mmol)、サリチル酸
マンガン(II)132.9mg(0.40mmol)、
ヨウ化エチルアンモニウム100.9mg(0.39m
mol)、塩化リチウム835.8mg(19.8mm
ol)及び溶媒としてエチレングリコールジブチルエー
テル3.7mlを用いた以外は実施例1と同じ酸素分
圧、反応温度、反応時間で塩素化反応を実施した。結
果、未反応のモノクロルアセトン12.29ミリモル、
1,3−ジクロルアセトン1.85ミリモル及び1,1
−ジクロルアセトン0.15ミリモルが生成していた。
収率は29.1%、選択率は92.4%であった。
【0035】実施例4 モノクロルアセトン1.75g(17.95mmo
l)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(I
I)72.5mg(0.189mmol)、ヨウ化銅
(I)72.0mg(0.38mmol)、塩化リチウ
ム796.7mg(18.9mmol)及び溶媒として
エチレングリコールジブチルエーテル2.9mlを用い
た以外は実施例1と同じ酸素分圧、反応温度、反応時間
で塩素化反応を実施した。結果、未反応のモノクロルア
セトン10.21ミリモル、1,3−ジクロルアセトン
1.79ミリモル及び1,1−ジクロルアセトン0.2
8ミリモルが生成していた。収率は23.1%、選択率
は86.4%であった。
【0036】実施例5 モノクロルアセトン2.17g(22.29mmo
l)、酢酸パラジウム(II)54.0mg(0.241
mmol)、酢酸マンガン(II)・四水和物229.2
mg(0.94mmol)、ヨウ化エチルアンモニウム
305.4mg(1.19mmol)、塩化リチウム9
88.1mg(23.5mmol)及び溶媒としてジメ
チルホルムアミド2.2mlを用いた以外は実施例1と
同じ酸素分圧、反応温度、反応時間で塩素化反応を実施
した。結果、未反応のモノクロルアセトン15.67ミ
リモル、1,3−ジクロルアセトン1.37ミリモル及
び1,1−ジクロルアセトン0.41ミリモルが生成し
ていた。収率は20.7%、選択率は74.4%であっ
た。
【0037】実施例6 モノクロルアセトン1.50g(15.39mmo
l)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(I
I)63.2mg(0.165mmol)、酸化鉛(I
I)73.6mg(0.33mmol)、ヨウ化エチル
アンモニウム80.5mg(0.31mmol)、塩化
リチウム660.2mg(15.7mmol)及び溶媒
としてジメチルホルムアミド3.9mlを用いた以外は
実施例1と同じ酸素分圧、反応温度、反応時間で塩素化
反応を実施した。結果、未反応のモノクロルアセトン1
0.25ミリモル、1,3−ジクロルアセトン1.09
ミリモル及び1,1−ジクロルアセトン0.29ミリモ
ルが生成していた。収率は21.3%、選択率は79.
1%であった。
【0038】実施例7 モノクロルアセトン1.74g(17.85mmo
l)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(I
I)75.8mg(0.198mmol)、マンガン(I
I)アセチルアセトナート・二水和物113.0mg
(0.39mmol)、ヨウ化エチルアンモニウム26
0.0mg(1.0mmol)、塩化リチウム850.
0mg(20.2mmol)及び溶媒としてスルホラン
3.8mlを用いた以外は実施例1と同じ酸素分圧、反
応温度、反応時間で塩素化反応を実施した。結果、未反
応のモノクロルアセトン12.87ミリモル、1,3−
ジクロルアセトン1.46ミリモル及び1,1−ジクロ
ルアセトン0.49ミリモルが生成していた。収率は2
9.2%、選択率は74.8%であった。
【0039】実施例8 アセトン1.01g(17.34mmol)、酢酸パラ
ジウム(II)60.9mg(0.271mmol)、酢
酸マンガン(II)・四水和物447.5mg(1.83
mmol)、ヨウ化エチルアンモニウム679.3mg
(2.64mmol)、塩化リチウム1538.2mg
(36.6mmol)及び溶媒としてジメチルホルムア
ミド3.7mlを用いた以外は実施例1と同じ酸素分
圧、反応温度で塩素化反応を20時間実施した。結果、
未反応のアセトン13.93ミリモル、モノクロルアセ
トン0.27ミリモル、1,3−ジクロルアセトン0.
39ミリモル及び1,1−ジクロルアセトン0.10ミ
リモルが生成していた。収率は11.6%、選択率は7
9.6%であった。
【0040】
【発明の効果】本発明の方法によれば、アセトン、モノ
クロルアセトン又はこれらの混合物から、塩素又は塩化
ヨウ素を用いた従来の反応に比し、高い選択率で1,3
−ジクロルアセトンを得ることができる。また、毒性、
腐食性が高く、高価な塩素及び塩化ヨウ素を用いること
なく温和な反応条件で、1,3−ジクロルアセトンを得
ることができ工業的な利用価値は極めて高い。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次記三成分、(A)パラジウム及び/又
    はパラジウム化合物、(B)マンガン化合物、鉛化合物
    及び銅化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の
    化合物、及び(C)ヨウ素化合物、の存在下、アセトン
    及び/又はモノクロルアセトンを塩化物及び酸素と反応
    させることを特徴とする1,3−ジクロルアセトンの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 塩化物として塩化水素、アルカリ金属塩
    化物、アルカリ土類金属塩化物、遷移金属塩化物及び塩
    化アンモニウム化合物からなる群から選ばれた少なくと
    も一種の化合物を用いる請求項1に記載の1,3−ジク
    ロルアセトンの製造方法。
  3. 【請求項3】 (C)成分として、ヨウ素、ヨウ化水
    素、アルカリ金属ヨウ化物、アルカリ土類金属ヨウ化
    物、遷移金属ヨウ化物及びヨウ化アンモニウム化合物か
    らなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物を用いる
    請求項1又は2に記載の1,3−ジクロルアセトンの製
    造方法。
JP8070238A 1996-03-26 1996-03-26 1,3−ジクロルアセトンの製造方法 Pending JPH09255615A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103933899A (zh) * 2014-04-04 2014-07-23 江阴市利港第二化工有限公司 多塔反应制一氯丙酮的装置及方法
CN107602365A (zh) * 2017-09-27 2018-01-19 长治市晋宁化工有限公司 一种2‑氯‑1‑(1‑氯环丙基)乙酮的制备方法

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