JPH09255587A - 水産用抗菌剤 - Google Patents

水産用抗菌剤

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JPH09255587A
JPH09255587A JP8069931A JP6993196A JPH09255587A JP H09255587 A JPH09255587 A JP H09255587A JP 8069931 A JP8069931 A JP 8069931A JP 6993196 A JP6993196 A JP 6993196A JP H09255587 A JPH09255587 A JP H09255587A
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JP
Japan
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plus
bacin
fish
antibacterial agent
seriolicida
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JP8069931A
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English (en)
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Giichi Sugimori
義一 杉森
Shigetoshi Katayama
慈敏 片山
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Shionogi and Co Ltd
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Shionogi and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 魚介類の細菌感染症の予防及び治療手段を提
供する。 【解決手段】 式I: 【化1】 [式中、XはL−HyPro又はL−Pro、Rは−CH3又は
−CH(CH3)2、nは9〜12の整数を表す]で示され
る化合物又はその塩を有効成分とする魚介類における細
菌性疾患の予防又は治療のための水産用抗菌剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に水産業の分野にお
いて魚介類の細菌性疾患の予防及び/又は治療に用いる
ための抗菌剤に関し、さらに詳しくはアシルオクタペプ
チド系化合物を有効成分とする抗菌剤に関する。
【0002】
【従来技術と発明が解決しようとする課題】近年、水産
業の分野では、漁場の確保が困難であったり水産資源の
保全及び確保の必要性から、様々な魚介類の養殖が行わ
れている。しかるに、陸棲動物と同様、水棲動物も種々
の感染性疾病に侵されることから、養殖を効率良く行う
ためには、そのような感染症を適切に予防及び/又は治
療することが不可欠である。魚介類の感染症のうち、病
原菌がグラム陽性の菌である感染症、中でもエンテロコ
ッカス セリオリシダ(Enterococcus seriolicida)に
起因する溶血性連鎖球菌症は年間を通じて発生し、養殖
ブリ等の養殖業における被害の大多数が該疾患に関連し
ている[動生協会会報,26(3):10〜17;1993]。 従
来、このような感染症の予防及び治療には、エリスロマ
イシン、スピラマイシ、リンコマイシン、オキシテトラ
サイクリンなどの抗生物質が汎用されている[JVPA DIG
EST日本動物薬事協会会報,8:21;1995]が、これら既
存薬剤に対する感受性が低下した、所謂、耐性菌の出現
により、適切な予防及び治療が困難になってきた。従っ
て、既存の抗菌剤に対して交差耐性を示さず、優れた抗
菌活性を有する薬剤が必要とされている。しかも、その
ような薬剤はヒト等の動物においては活性を殆ど又は全
く示さないことが好ましい[JVPA DIGEST日本動物薬事協
会会報,8:10;1995]。このように、水産用抗
菌剤には、魚介類に投与した場合には有効な血中濃度を
示し、優れた抗菌活性を示すと同時に、ヒト等の動物に
投与した場合には、血中濃度の上昇を殆ど又は全く示さ
ないことが要求される[JVPA DIGEST日本動
物薬事協会会報,8:10;1995]。しかしながら、その
ような特殊な性質を有する新規な抗菌剤の開発は容易で
はなかった。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、魚介類の
細菌性疾患、特に、グラム陽性菌感染症の予防及び治療
に有効であり、しかもヒト等の動物における安全性が高
く、既存の抗菌剤に交叉耐性を示さない新規な抗菌剤を
提供することを目的として鋭意研究を重ねた結果、ある
種のアシル系抗生物質がこの目的の達成に適することを
見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
式I:
【化3】 [式中、XはL−HyPro又はL−Pro、Rは−CH3
は−CH(CH3)2、nは9〜12の整数を表す]で示さ
れる化合物又はその塩を有効成分とする魚介類における
細菌性疾患の予防又は治療のための水産用抗菌剤を提供
するものである。本発明はまた、当該技術分野で通常用
いられる適当な担体中に上記の化合物I及びその塩から
なる群から選択される2以上の化合物を、含有する水産
用抗菌剤を提供するものである。ここに、「担体」なる
語句は、水棲動物に特定の医薬を投与する場合に用いら
れる任意の形態の担体を意味し、例えば、後述する様々
な飼料及び製剤的に許容される担体が含まれる。本発明
において魚介類とは、淡水魚、海水魚を含む魚類、アサ
リ、ハマグリなどの貝類、海老、蟹などの甲殻類を意味
する。
【0004】本発明の抗菌剤の有効成分である化合物I
はアシルオクタペプチドとして、その塩と共に、特開平
3−188098号公報に開示されている。該公報に
は、この物質のメシチリン耐性ブドウ球菌に対する抗菌
作用が開示されているが、魚介類における抗菌活性及び
ヒト等の陸棲動物での安全性については全く開示されて
いない。周知のごとく、魚介類では、環境への適応のた
め、様々な器官の機能や代謝機構が陸棲動物のそれとは
大きく異なっており、陸棲動物における活性測定の結果
をそのまま魚介類にあてはめることはできない。実際、
後述の試験例に示すように、式Iの化合物を経口投与し
た後の血中濃度は、哺乳動物や鳥類では殆ど上昇しない
が、魚介類では投与1時間後にピークを有する上昇が認
められた。この結果は、上記公報の開示内容からは到底
予測できないものであり、化合物Iが魚介類、特に魚類
の細菌感染症の予防及び/又は治療に適した、優れた特
性を有する新規な水産用抗生物質であることを示してい
る。
【0005】本明細書中、式Iで示される化合物を、上
記公報の記載に従い、プラスバシン(Plusbacin)と呼
称する。代表的なプラスバシン類化合物として、下記の
8種類が知られている。式Iにおいて、XがL−HyPr
o、nが10、Rが−CH3である化合物(プラスバシン
1);XがL−HyPro、nが9、Rが−CH(CH3)
2である化合物(プラスバシンA2);XがL−HyPr
o、nが10、Rが−CH(CH3)2である化合物(プラ
スバシンA3);XがL−HyPro、nが12、Rが−C
3である化合物(プラスバシンA4);XがL−Pro、
nが10、Rが−CH3である化合物(プラスバシン
1);XがL−Pro、nが9、Rが−CH(CH3)2
ある化合物(プラスバシンB2);XがL−Pro、nが
10、Rが−CH(CH3)2である化合物(プラスバシ
ンB3);及びXがL−Pro、nが12、Rが−CH3
ある化合物(プラスバシンB4)。本明細書中、「L−
HyPro」はL−トランス−3−ヒドロキシプロリン
を、「D−HyAsp」はD−トレオ−β―ヒドロキシア
スパラギン酸を、「L−HyAsp」はL−トレオ−β―
ヒドロキシアスパラギン酸を、「aThr」はアロートレ
オニンを意味する。
【0006】本発明の目的にとっては、上記の8種類の
プラスバシン及びその塩のみならず、式Iで示される抗
菌活性を有する他のプラスバシン類の化合物及びその塩
も有用である。本発明に有用なプラスバシンの塩には、
リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、マ
グネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、又は塩
酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素等の無機酸、及び酢
酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、リン
ゴ酸、アジピン酸、コハク酸等の有機酸との塩が含まれ
る。なお、本明細書中、単にプラスバシンというとき
は、プラスバシンA1〜A4及びB1〜B4をはじめとする
式Iの化合物及びその塩の各々、又はそれらの任意の組
み合わせからなる混合物、あるいは式Iで示される化合
物すべてを指すものとする。
【0007】プラスバシンは、後述するインビトロ(in
vitro)及びインビボ(in vivo)の試験例の結果から
明らかなように、グラム陽性菌に対して抗菌活性を示
す。しかも、プラスバシンの経口投与における血中移行
性は、魚類等の水棲動物のみにおいて認められることか
ら、該物質を含有する魚介類を動物が摂取することによ
る影響はほとんど無く、安全性が高い。即ち、プラスバ
シンは、エンテロコッカス セリオリシダ(Eseriolic
ida)、ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、クロス
トリジウム パーフリンゲンス(Clostridium perfringe
ns)等のグラム陽性菌に対して抗菌活性を示し、さら
に、マクロライド系、リンコマイシン系及びテトラサイ
クリン系薬剤に低感受性のエンテロコッカス セリオリ
シダ(Eseriolicida)に対しても抗菌活性を示した。
また、エンテロコッカス セリオリシダ(Eseriolicid
a)を人工的に感染させたブリに対する治療有効性も確
認された。
【0008】一方、急性毒性試験の結果は、本発明の抗
菌剤の安全性が高いことを示している。また、マウス、
ラットなどの哺乳動物、ニワトリなどの鳥類及びニジマ
ス、鯉、ブリなどの魚類に対する経口投与による血中へ
の移行性試験で、魚類でのみ血中への移行性を示す優れ
た特性を有する抗菌剤であることを意味している。これ
らの試験結果は、本発明のプラスバシンを有効成分とす
る抗菌剤が、魚介類、特に魚類における、プラスバシン
に感受性を有するグラム陽性菌による感染症の予防及び
治療に有用であり、魚の生存率を高める目的で日常的に
魚に投与し得ることを示すものである。本発明の抗菌剤
は、特に、魚類のエンテロコッカス セリオリシダ(E.
seriolicida)に起因する連鎖球菌症の治療及び予防に
有用である。この感染症はブリ養殖における被害の最大
原因の1つとされており、ブリ養殖業界で大きい問題と
なっているが、本発明は、その問題の解決に大きく貢献
するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のプラスバシン類は、プラ
スバシン産生能を有する菌を培地に培養し、培養物から
常法通り分離、精製することにより得られる。そのよう
な菌として、特開平3−188098に記載のシュード
モナス属の菌(例えばPseudomonas sp. PB−6250
(FERM BP−2938))を挙げることができ
る。培養物からのプラスバシンの精製は、それが菌体内
に蓄積されるか、あるいは培地に分泌されるかにより異
なるが、いずれも溶媒抽出、晶析、カラムクロマトグラ
フィー等の当業者既知の方法を用いて行うことができ
る。下記の製造例では、シュードモナス属の菌を培地に
培養し、生産されたプラスバシンを菌体内から、又は菌
体外から精製する方法を示している。しかしながら、本
発明の目的は、抗菌活性を有する限り、任意の起源から
任意の製造方法で得られたプラスバシンを用いて達成す
ることができる。従って、本明細書に記載の方法以外の
方法で得られるプラスバシン類も本発明の範囲に包含さ
れる。
【0010】本発明の抗菌剤を魚類に経口もしくは非経
口投与する場合には、プラスバシンをそのまま、あるい
は適当な剤形に製剤化して投与してもよいが、一般的に
は、通常使用される担体(例えば、脱脂米糠、脱脂大豆
粉、ふすま、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、乳
糖、水、本発明の抗菌活性に影響を及ぼさない化学物質
等)と混合したものを投与するか、このような混合した
もの、もしくはプラスバシン単独を魚類用飼料もしくは
水と混合して投与する方法が好ましい。 ここで使用するプラスバシンは、必ずしも精製品である
必要はなく、菌の培養物、粗製物(プラスバシン生産菌
を培地に培養して得られる培養物の部分的な製生物)、
さらにはプラスバシンを含有する菌体そのものであって
もよい。また、プラスバシンは上記の製薬上許容される
塩の形で用いることもできる。グラム陽性菌に起因する
疾病の予防、治療を目的としてプラスバシンを投与する
場合、魚種によって異なるが、1日当たりの投与量は、
体重kgあたり、通常、1mg/kg〜200mg/kg、好まし
くは5mg/kg〜150mg/kg、より好ましくは10mg/
kg〜100mg/kgである。
【0011】本発明のプラスバシンを餌料に混合して用
いる場合、餌料は魚類用の餌料として一般に使用される
ものであればいずれでもよい。そのような餌料は、通
常、いわし、さばなどの魚体のぶつ切り又はミンチにし
た生餌、魚類用配合飼料としてとうもろこし、ふすま、
米、麦、綿実粕、マイロ、大豆粕、魚粉、脱脂米糠、油
粕、アルファルファ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウ
ム、塩化ナトリウム、塩化コリン、各種ビタミン剤(ビ
タミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB1、ビ
タミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、パントテン酸
カルシウム、ニコチン酸アミド、葉酸)、無機塩(硫酸
マグネシウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸亜鉛、ヨウ化カリ
ウム、硫酸コバルト)等の一部又は全部を混合して調製
される。餌料には、水産分野で許容されている他の添加
物、例えば、他の抗菌剤や殺菌剤等を添加してもよい。
【0012】本発明に係るプラスバシン含有餌料中のプ
ラスバシン含有量は、それらを単独で使用する場合、そ
れらの任意の混合物を使用する場合、それらを含有する
菌体、それらを含む抽出粗製物を使用する場合のいずれ
であっても、使用するプラスバシンの濃度は、前記1日
当たりの投与量をもとにして、必要な量のプラスバシン
が餌料中に含有されるように計算して、個々の魚の餌料
にすることが好ましい。あるいは、本発明の抗菌剤は、
水産分野で用いられている通常の経口投与に適した剤
型、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、ペレッ
ト等の固形剤;水剤;油性懸濁剤;又はシロップ剤もし
くはエリキシル剤等の液剤のいずれかの剤型に製剤化す
ることができる。これらの製剤は、そのまま、あるいは
餌料に混合して与えることができる。その調製に際して
は、慣用の賦形剤、結合剤、滑沢剤、水性溶剤、油性溶
剤、乳化剤、懸濁化剤等のいずれも用いることができ、
また、他の添加剤、例えば保存剤、安定剤、ビタミン
剤、他の抗菌剤、殺菌剤等を含むものであってもよい。
本発明の抗菌剤は魚介類一般に投与できる。また、魚介
類の飼育法は、一般に行われている方法をそのまま用い
ればよい。
【0013】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく
説明する。製造例1 プラスバシンの製造 実質上、特開平3−188098に記載の方法と同様に
して製造する。 (a)発酵生産工程:グルコース10g、酵母エキス5
g、水道水1000ml(pH無調製)よりなる培地1L
を含む2L容エルレンマイヤーフラスコにシュードモナ
ス種(Pseudomonas sp. )PB−6250(FERM
BP−2938)の培養スラントの菌体を無菌的に懸濁
させる。これを毎分250回転で、28℃、18時間振
盪培養を行う。この培養物7Lを、コーンスターチ10
g、ポテトスターチ10g、CA−1(動物飼料)20
g、水道水1000ml(pH無調製)からなる培地20
0Lを含む500Lタンクに接種し、通気量200L/
分で、毎分250回転、28℃、72時間培養する。
【0014】(b)抽出,精製工程: (1)上記の培養液約200Lに食塩25kgを加え、希
塩酸でpH3.0に調製し、シャープレス遠心機で遠心
分離する。菌体部分を70%アセトン54Lで2回抽出
し、抽出液を減圧下で濃縮し、大部分のアセトンを留去
する。残った水性溶液(15L)に水10Lを加え、希
水酸化ナトリウムでpH8.0に調製し、ダイヤイオン
HP−20(三菱化成社製)のカラム(10L)に通過
せしめ、プラスバシンを吸着させる。カラムを水洗後、
30%アセトンから100%アセトンまでの濃度勾配溶
出法により溶出する。活性のある溶出分画を集め(10
L)、減圧下、大部分のアセトンを留去した後、pH
2.5(希塩酸により調製)でブタノール5Lで抽出す
る。ブタノール抽出液を減圧下で濃縮し、アセトンを加
えることによりプラスバシンを含む粗粉末(以下、プラ
スバシン群と記す)23.9gを得た。
【0015】(2)クロロホルム−エタノール−10%
酢酸(4:7:2)溶媒で充填したシリカゲルカラム
(メルク社製,70−230メッシュ,1000g)
に、上記の粗粉末(23g)を上記溶媒で溶解した溶液
を載せ、同溶媒で展開溶出する。活性のある溶出分画を
集め、減圧下、水及びブタノールを加えながら濃縮す
る。濃縮液より抗菌剤をpH2.0でブタノールで抽出
し、アセトンを加えることにより、抗菌剤の粗粉末6.
34g得た。
【0016】(3)上記粗粉末を、下記の条件による高
速液体クロマトグラフィーに付し、精製分画を得た。 カラム:YMC AP−324 S15/30 300
A ODS(山村化学社製) 移動層:アセトニトリル−50mM硫酸ナトリウムを含む
50mMリン酸緩衝液、pH7.5(36:64) 流速:100ml/分 紫外線吸収検出機により220nmで検出。試料はpH
8.0の水に溶解し、1回につき500mgを注入した。
【0017】上記のクロマトグラフィーにより,最初に
成分A1及びB1を含む分画が、次に、成分A2及びB2
含む分画が、最後にA3,A4,B3及びB4を含む分画が
溶出される。各々の分画を分取して集め、減圧下で濃縮
後、pH2.5でブタノールで抽出する。この抽出液を
0.1N塩酸、次いで水で洗浄する。更に、減圧下濃縮
し、アセトンを加えることにより、A1及びB1塩酸塩混
合物150mg、A2及びB2塩酸塩混合物2.14g及び
3,A4,B3及びB4塩酸塩混合物1.0gが得られ
た。
【0018】(4)プラスバシンA1〜A4及びB1から
4各成分は、上記の各々の混合物から、下記の条件に
よる高速液体クロマトグラフィーを再び行って分離し
た。 カラム:ウルトロン7CN 20×250mm(信和化工
社製) 移動層:アセトニトリル−50mM硫酸ナトリウムを含む
50mMリン酸緩衝液、pH2.2(A1及びB1の分離の
場合,26:74,A2及びB2,A3,B3,A4及びB4
の場合,28:72) 流速:11.25ml/分 紫外線吸収検出機により220nmで検出。 試料は50%メタノールに溶解し、1回につき5mgを注
入した。各成分の分画を分取し、減圧下、濃縮し、pH
2.5でブタノールで抽出し、その抽出液を0.1N塩
酸、次いで、水で洗浄後、更に減圧下濃縮し、アセトン
を加えることにより、各成分の塩酸塩を得た。A1及び
1の混合物77mgからA1塩酸塩23mg及びB1塩酸塩
6mgが得られた。A2及びB2の混合物100mgからA2
塩酸塩68mg及びB2塩酸塩4mgが得られた。A3
4、B3及びB4の混合物150mgからA3塩酸塩52m
g、A4塩酸塩10mg、B3塩酸塩5mg及びB4塩酸塩2mg
が得られた。
【0019】製造例2 プラスバシンの製造 (a)発酵生産工程:菌体外に生産物を分泌するシュー
ドモナス属の菌株を選択し、製造例1と同様にして培養
する。 (b)抽出、精製工程 上記の発酵液約260L(含有量347g)にクロロホ
ルム2.7Lを添加して3時間撹拌殺菌を行う。次い
で、6N塩酸にて発酵液をpH2に調節した後、n−ブ
タノール/メタノール(1:1)288Lを加え、1時
間撹拌抽出した。シャープレス遠心分離機(関西遠心分
離株式会社製)にて菌体を分離することによって清澄な
抽出液を得た。抽出液は減圧濃縮し、アセトンを留去し
た後、濃縮液に塩化ナトリウム20kgを加えて塩析
し、n−ブタノール抽出液142Lを得た。ブタノール
抽出液は水を加えながら減圧濃縮、留去後アセトン18
Lを加えることにより、粗プラスバシン917g(含有
量226g)が黄褐色粉末として得られた。粗プラスバ
シン369gを水30Lに懸濁した。撹拌しながら2N
水酸化ナトリウムを添加してプラスバシンを溶解し、最
終pHを8.2とした後、Dowex 1×2(酢酸タイプ)
18×40cmカラムに通過させた。カラムを水洗、0.
5M酢酸アンモニウム溶液で洗浄後、50%メタノール
/0.5M酢酸アンモニウム溶液からプラスバシンを溶
出させた。溶出液を4℃で一晩冷却して析出した結晶性
のプラスバシンをろ別後、アセトンで洗浄した。真空乾
燥して精製プラスバシン36g(TLC 1スポット)
が黄色粉末として得られた。プラスバシンとしてはA1
1、A2、B2、A3、A4(B3)等、6〜7種以上の成
分が含まれている。
【0020】(c)プラスバシンA3の分離精製 上記(b)で得た混合物からインビトロの抗菌活性が高
いプラスバシンA3を分離精製した。 (1) プラスバシンの粗分画 上記の精製プラスバシン(TLC 1スポット)黄色粉
末16gを脱イオン水150mlに溶解させる。予め29
%アセトニトリル/50mMリン酸塩バッファー(pH
7.5)溶液で平衡化したBakerbond WpC4(平均粒
径40ミクロン)ガラスカラム80mm × 400mm(カ
ラム容積:約2L)に載せ、同バッファーを用い、流速
85ml/ml(カラム内圧:2.5−3.6kg/cm2)で溶
出(12L)を行い、プラスバシンA1、B1成分を分画
した。次いで、アセトニトリル濃度を30%に上昇させ
て溶出(約9L)し、プラスバシンA2、B2成分を分画
した。最後にアセトニトリル濃度を31%に上昇させて
溶出(約6L)し、プラスバシンA3、A4成分を分画し
た。各分画物はアセトニトリルを留去した後、塩酸酸性
(pH2)としてn−ブタノール抽出、濃縮液にアセト
ンを加えて無色粉末とした。かくしてプラスバシン
3、A4混合物4.5gが得られた。
【0021】(2) プラスバシンA3の単離 逆相CN HPLCによるプラスバシンA3成分とA4
分の分離 プラスバシンA3、A4混合物0.5gを50%メタノー
ル水6mlに溶解した後、HPLC分取を行った。HPL
C分取条件は下記のとおりである。 カラム:R-555-15,S-15,120A,CN 50 ×500mm (YMC) 移動層:28%アセトニトリル/50mMリン酸(pH
2.2) 流量:100ml/分(内圧 17−24kg/cm2G) 検出:220nm 分析用HPLCで単一ピークを示すプラスバシンA3
分を集めて減圧濃縮して溶媒を留去し、産生溶液からn
−ブタノール抽出を行った。n−ブタノール抽出物は十
分水洗した後、減圧濃縮し、アセトンを加えて無色粉末
とした。精製プラスバシンA3(カルボン酸)195mg
が得られた。
【0022】(3) プラスバシンA3ナトリウム塩の製
造 精製プラスバシンA3(カルボン酸)を精製水に溶解
し、撹拌しながら1N水酸化ナトリウムをゆっくりと加
えてpHを7.0に調節後、溶液を凍結乾燥すると無色
粉末としてプラスバシンA3ナトリウム塩197mgが得
られた。
【0023】プラスバシンは、特開平3−188098
に記載のごとく、グラム陽性菌に対して優れた抗菌活性
を有することが分かっているが、その水産用抗菌剤とし
ての有用性を以下の方法で試験した。試験例1 急性毒性 製造例で得たプラスバシンの急性毒性をラット及びマウ
スでの経口あるいは腹腔内投与で試験した。その結果、
試験を行った最大投与量(経口投与:300mg/kg,腹腔内
投与:100mg/kg)において両動物の雌雄共死亡例が出現
しなかった。以下に、ラット及びマウスにおけるプラス
バシンA3の経口あるいは腹腔内投与での無毒性量を示
す。
【表1】 本発明に係る化合物の魚毒性を農林省の定めた「魚類に
対する毒性試験」(40農政B第2,735号)に準じてヒメ
ダカを10mg/L試験液に96時間放飼したが、試験期間中
に異常は認められず,動物及び魚類に対して低毒性物質
としての特徴を有していることがわかった。
【0024】試験例2 畜産及び水産分野における主要
細菌性疾病起因菌に対する抗菌活性 プラスバシンA3の畜産及び水産分野における主要細菌
性疾病起因菌に対する抗菌活性をin vitroで試験し
た。 即ち、表2に示す14菌種14菌株に対する抗菌
活性を、日本化学療法学会標準法に準じて寒天平板希釈
法あるいは液体希釈法で最小発育阻止濃度(MIC)を
求めた。試験成績を表2に示す。
【表2】 MIC(μg/ml) 菌種 菌株名 プラスバシンA3 Escherichia coli NIHJ JC-2 >12.5Klebsiella pneumoniae ATCC 27736 >12.5Bordetella bronchiseptica H16 >12.5Treponema hyodysenteriae ATCC 27164 >12.5Actinobacillus pleuropneumoniae NB-001 >12.5Salmonella Enteritidis 8966(PT34) >12.5Pasteurella multocida D-6 >12.5Pasteurella piscicida No.2 >12.5Staphylococcus aureus FDA 209P 0.39Streptococcus agalactiae ATCC 9925 3.13Clostridium perfringens ATCC 13124 0.78Enterococcus seriolicida S-3452 0.2Mycoplasma gallisepticum S6 >12.5Mycoplasma hyodysenteriae ST-11 >12.5 表2から明らかに、プラスバシンはスタフィロコッカス
アウレウス(Saureus)、ストレプトコッカス アガラ
クチィエ(Sagalactiae)、クロストリジウムパーフ
リゲンス(Cperfringens)及びエンテロコッカス セ
リオリシダ(Eseriolicida)等のグラム陽性菌に抗菌活
性を有する。
【0025】以下の試験例3〜7に用いたプラスバシン
は、プラスバシンA2、A3、A4、B2、B3の混合物で
ある。試験例3 エンテロコッカス セリオリシダ(Eserioli
cida)に対する抗菌活性 プラスバシンの野外より分離したマクロライド系薬剤、
リンコマイシン、オキシテトラサイクリンなどの薬剤に
耐性を示すエンテロコッカス セリオリシダ(Eserioli
cida)に対する感受性(MIC)と四国及び九州地区よ
り分離した野外分離エンテロコッカス セリオリシダ
(Eseriolicida)66株に対する感受性分布をインビトロ
で試験した。これらの試験成績を表3と表4に示す。
【表3】 MIC(μg/ml) 菌株名 フ゜ラスハ゛シン エリスロマイシン リンコマイシン オキシテトラサイクリン S-3452 0.2 0.2 0.2 0.2 KS-9506 0.2 0.2 >25.0 0.39 KS-9508 0.2 0.2 >25.0 0.39 KS-9525 0.2 >25.0 >25.0 25.0 KS-9537 0.1 >25.0 >25.0 >25.0 SE94-071 0.2 >25.0 >25.0 >25.0 SE94-075 0.05 >25.0 >25.0 25.0 表3から明らかに、プラスバシンはリンコマイシン耐性
株、エリスロマイシン、リンコマイシン及びオキシテト
ラサイクリンの3薬剤に耐性を示す多剤耐性株に対して
も感受性株(S-3452)と同等の感受性を示した。
【0026】
【表4】 MIC(μg/ml)分布 由来 調査株数 0.78 0.39 0.2 0.1 0.05 0.025 0.0125 九州 49 0 0 19 26 4 0 0 四国 17 0 0 7 6 2 2 0 合計 66 0 0 26(39.4) 32(48.5) 6(9.1) 2(3.0) 0 プラスバシンの野外分離エンテロコッカス セリオリシ
ダ(Eseriolicida)66株に対するMICは0.1μg/mlを
中心とする一峰性の分布を示し、プラスバシン低感受性
株が見られなかった。
【0027】試験例4 エンテロコッカス セリオリシ
ダ(Eseriolicida)実験感染ブリに対するプラスバシン
の治療効果 エンテロコッカス セリオリシダ(Eseriolicida)を人
工的に感染させたブリに対するプラスバシンの治療効果
を次の方法で試験した。野外より分離したエンテロコッ
カス セリオリシダ(Eseriolicida) S-3452株をBrain
Heart infusion(BHI、Difco製)液体培地で25℃、
一夜培養した新鮮培養菌液2mlを800gのブリの腹腔内
に接種感染させた(2×109CFU/尾)。プラスバシンは
滅菌蒸留水に溶かしたプラスバシン水溶液としてゾンデ
で強制経口投与した。投与量と投与期間は野外において
seriolicida感染症の治療に通常実施されている方
法に準じて、投与量を体重kgあたり25、50あるいは100m
gを、それぞれ感染直後と以降24時間間隔2回、合計3
回与えた。陽性対照としてエリスロマイシンを体重kgあ
たり50mgとなるように給餌配合飼料に混和して、プラス
バシンと同様3回与えた。感染対照には薬剤を一切与え
なかった。これらの群には一群25尾を割り当てたが、感
染対照群で1尾の事故死があったため、この群のみ24尾
として試験を継続した。試験期間中の飼育条件は水温15
〜20℃の自然の成り行きにまかせ、給餌は一日一回冷凍
イカナゴを規定量与えた。感染後20日間生死を観察し、
生存率を指標に有効性を評価した。結果を表5に示し
た。
【0028】
【表5】 群 供試尾数 生存尾数 生存率(%) 感染対照 24 4 16.7 プラスバシン 25mg/kg 25 25 100** 50mg/kg 25 25 100** 100mg/kg 25 25 100** エリスロマイシン 50mg/kg 25 25 100** **:感染対照を基準にP<0.01 感染対照群の生存率が16.7%であったのに対して、プラ
スバシン投与群の生存率はすべて100%であった。この
結果からプラスバシンはエンテロコッカス セリオリシ
ダ(Eseriolicida)感染ブリに対して低投与濃度で有効
な治療効果を示すと判定された。
【0029】試験例5 哺乳動物および鳥類におけるプ
ラスバシンの経口投与による吸収性 哺乳動物(ラット、マウス)および鳥類(ニワトリ)に
おけるプラスバシンの経口投与による吸収性を次の方法
で調べた。投与量を体重kgあたり300mgになるよう
に調製したプラスバシン水溶液を経口用ゾンデで強制経
口投与し、ラットでは投与1、3時間目に、マウスとニ
ワトリでは投与1、3および6時間目に常法により採血
し、血漿中のプラスバシン濃度を測定した。血中濃度を
エンテロコッカス セリオリシダ(Eseriolicida)を
指標菌とするバイオアッセイ法で調べたが、本測定法に
よる検出限界は0.1μg/mlである。結果を表6に示す。
【表6】 動物 投与量 投与後の時間 出現率 平均血中濃度 (mg/kg) (時間) (%) (μg/ml) ラット(雄) 300 1 1/3(33.3) 0.062±0.107 3 0/3( 0 ) <0.1 マウス(雌) 300 1 0/3( 0 ) <0.1 3 0/3( 0 ) <0.1 6 0/3( 0 ) <0.1 ニワトリ 300 1 0/3( 0 ) <0.1 3 0/3( 0 ) <0.1 6 0/3( 0 ) <0.1 ラットで、投与1時間目に3匹中1匹から0.186μg/ml
の血中濃度が観察されたが、それ以外の動物における血
中濃度は検出限界以下であった。 この結果は、プラスバ
シンが哺乳動物および鳥類においては、経口投与で吸収
されにくい性質の物質であることを示している。
【0030】試験例 6 魚類におけるプラスバシン
の経口投与による吸収性(1) 魚類(ブリ)におけるプラスバシンの経口投与による吸
収性を次の方法で調べた。魚体重40〜50gのブリにプラ
スバシン水溶液を体重kgあたり50mgになるように強
制経口投与し、投与1、3、6、12および24時間目に常
法により採血し、上記試験例5と同様の方法で血漿中の
プラスバシン濃度を測定した。結果を表7に示す。
【表7】 投与後の時間(時間) 魚種 条件 No. 0 1 3 6 12 24 ブリ 水溶液 1 − 1.16 0.65 0.95 − − 2 − 1.95 0.88 0.75 − − 3 − 1.60 1.04 0.70 0.48 − 4 − 1.22 1.35 0.70 0.74 − 5 − 1.22 0.51 0.88 0.86 − 6 − 1.50 0.70 1.30 1.04 − −:検出限界(0.1μg/ml)以下,数値:血中濃度(単位;μg/ml) プラスバシン水溶液経口投与後のプラスバシンの血中濃
度は投与1時間目をピークに、それ以後漸次低下し、12
時間目には6尾中2尾で、24時間目には全例で検出限界
以下に低下した。
【0031】試験例 7 魚類におけるプラスバシンの
経口投与による吸収性(2) 魚類(ブリ)におけるプラスバシンの経口投与による吸
収性を次の方法で調べた。体重150〜200gのブリにプラ
スバシン水溶液あるいはブリ用配合飼料にプラスバシン
を混和したプラスバシン混餌で,体重kgあたり50mgにな
るように経口投与した。 投与後、水溶液では1,3,24
時間目に、混餌では1,3,6,12,24時間目に常法に
よって採血し、血漿中のプラスバシン濃度を調べた。結
果を表8に示す。
【表8】 投与後の時間(時間) 魚種 条件 No. 0 1 3 6 12 24 ブリ 水溶液 1 − − 1.95 NT NT 0.72 2 − 0.28 0.94 NT NT 0.76 3 − 0.70 2.00 NT NT 1.18 4 − 0.37 1.15 NT NT 0.72 5 − − 0.46 NT NT 0.79 混 餌 1 − 1.30 0.73 1.20 0.51 2 − 1.48 0.90 0.95 0.41 3 0.71 0.92 1.35 0.71 1.00 4 0.34 0.92 0.85 0.86 1.30 5 NT NT NT NT 0.54 −:検出限界(0.1μg/ml)以下,数値:血中濃度(単位;μg/ml) NT:調査せず プラスバシン水溶液、混餌のいずれの場合でも、血中濃
度の推移は類似している。これら試験例6及び7の結果
は、プラスバシンが魚類で吸収されやすい性質を持つ物
質であることを示している。
【0032】上記の試験例1〜7の結果から、プラスバ
シンは、グラム陽性菌に抗菌活性を有し、水産分野で最
大の養殖規模を誇っている養殖ブリにおける主要疾病で
ある連鎖球菌症の起因菌であるエンテロコッカス セリ
オリシダ(E.seriolicida)に対して有効な抗菌活性と
治療効果を示し、かつ哺乳動物や鳥類では吸収され難
く、魚類では吸収され易い安全性の高い化合物であるこ
とが分かる。これは、プラスバシンは水産分野における
グラム陽性菌に起因する疾病の予防と治療を介して効率
的な魚介類の飼育に貢献し得ることを示唆している。本
発明の水産性抗菌剤は、配合飼料あるいは生餌に有効量
のプラスバシンを添加することにより調製することがで
きる。その例を以下に示すが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
【0033】実施例1 配合飼料 魚粉 61% コーングルテンミール(大豆油粕) 12% デンプン 10% その他* 16% *その他:グルテン、グァーガム、リン酸カルシウム、
アルファルファモールからなる混合物。
【0034】実施例2 配合飼料 魚粉 80% コーングルテンミール(大豆油粕) 10% 小麦 6% その他* 4% * その他:グァーガム、炭酸カルシウム、豆乳粕、リ
ン酸カルシウム、飼料用酵母からなる混合物。
【0035】実施例3 生餌 養殖水産動物用の生餌(主にまいわし) 賦形物質* * 賦形物質:グァーガム、ビール酵母、米糠油粕、小
麦粉、軽質流動パラフィン、無水ケイ酸、カルボキシメ
チルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウ
ム、乳糖、コーンスターチ、ポリオキシエチレンソルビ
タン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ
糖脂肪酸エステル等の単物質あるいは2物質以上含む混
合物。 これら配合飼料あるいは生餌にプラスバシンを1日当た
り魚体重1kgにつき、プラスバシン10〜100mgを混合し
て摂取させる。プラスバシンを飼料に混合して投与する
以外に魚に経口、筋肉内、皮下等に投与することも可能
である。更には、水溶液として魚を水溶液中につける、
所謂、薬浴として投与することも可能である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年4月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】本発明の抗菌剤を魚類に経口もしくは非経
口投与する場合には、プラスバシンをそのまま、あるい
は適当な剤形に製剤化して投与してもよいが、一般的に
は、通常使用される担体(例えば、脱脂米糠、脱脂大豆
粉、ふすま、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、乳
糖、水、本発明の抗菌活性に影響を及ぼさない化学物質
等)と混合したものを投与するか、このような混合した
もの、もしくはプラスバシン単独を魚類用飼料もしくは
水と混合して投与する方法が好ましい。 ここで使用するプラスバシンは、必ずしも精製品である
必要はなく、菌の培養物、粗製物(プラスバシン生産菌
を培地に培養して得られる培養物の部分的な製生物)、
さらにはプラスバシンを含有する菌体そのものであって
もよい。また、プラスバシンは上記の製薬上許容される
塩の形で用いることもできる。グラム陽性菌に起因する
疾病の予防、治療を目的としてプラスバシンを投与する
場合、魚種によって異なるが、1日当たりの投与量は、
体重kgあたり、通常、1mg〜200mg、好ましくは5mg
〜150mg、より好ましくは10mg〜100mgである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】プラスバシンは、特開平3−188098
に記載のごとく、グラム陽性菌に対して優れた抗菌活性
を有することが分かっているが、その水産用抗菌剤とし
ての有用性を以下の方法で試験した。試験例1 急性毒性 製造例で得たプラスバシンの急性毒性をラット及びマウ
スでの経口あるいは腹腔内投与で試験した。その結果、
試験を行った最大投与量(経口投与:300mg/kg,腹腔内
投与:100mg/kg)において両動物の雌雄共死亡例が出現
しなかった。以下に、ラット及びマウスにおけるプラス
バシンA3の経口あるいは腹腔内投与での無毒性量を示
す。
【表1】 本発明に係る化合物の魚毒性を農林水産省の定めた「魚
類に対する毒性試験」(40農政B第2,735号)に準じて
ヒメダカを10mg/L試験液に96時間放飼したが、試験期
間中に異常は認められず,動物及び魚類に対して低毒性
物質としての特徴を有していることがわかった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】
【表5】 群 投与量(mg/kg) 供試尾数 生存尾数 生存率(%) 感染対照 24 4 16.7 プラスバシン 25 25 25 100** 50 25 25 100** 100 25 25 100** エリスロマイシン 50 25 25 100** **:感染対照群を基準にP<0.01 感染対照群の生存率が16.7%であったのに対して、プラ
スバシン投与群の生存率はすべて100%であった。この
結果からプラスバシンはエンテロコッカス セリオリシ
ダ(Eseriolicida)感染ブリに対して低投与量で有効な
治療効果を示すと判定された。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式I: 【化1】 [式中、XはL−HyPro又はL−Pro、Rは−CH3又は
    −CH(CH3)2、nは9〜12の整数を表す]で示され
    る化合物又はその塩を有効成分とする魚介類における細
    菌性疾患の予防又は治療のための水産用抗菌剤。
  2. 【請求項2】 式I: 【化2】 [式中、XはL−HyPro又はL−Pro、Rは−CH3又は
    −CH(CH3)2、nは9〜12の整数を表す]で示され
    る化合物及びその塩からなる群から選択される2種以上
    の化合物を含有する水産用抗菌剤。
  3. 【請求項3】 グラム陽性菌に起因する疾患の予防又は
    治療に用いられる請求項1又は2に記載の水産用抗菌
    剤。
  4. 【請求項4】 式Iにおけるnが9、10又は12であ
    る請求項1又は2に記載の水産用抗菌剤。
  5. 【請求項5】 式IにおけるXがL−HyPro、nが1
    0、そしてRが−CH(CH3)2である請求項1又は2に
    記載の水産用抗菌剤。
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