JPH09253872A - 非鉄金属溶接用加熱剤 - Google Patents

非鉄金属溶接用加熱剤

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JPH09253872A
JPH09253872A JP6602296A JP6602296A JPH09253872A JP H09253872 A JPH09253872 A JP H09253872A JP 6602296 A JP6602296 A JP 6602296A JP 6602296 A JP6602296 A JP 6602296A JP H09253872 A JPH09253872 A JP H09253872A
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千紀 矢野
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公春 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 火花、スラグの飛散、流出を防止すると共
に、溶接部の溶けすぎを防止することができる非鉄金属
溶接用加熱剤を提供することにある。 【解決手段】 酸化鉄と、シリコンと、二酸化マンガン
から成る。この非鉄金属溶接用加熱剤に、シリコンで還
元されない酸化物から成る燃焼調節剤を配合した。酸化
鉄の組成比が、68重量%〜72重量%である。シリコ
ンの組成比が、24重量%〜28重量%である。二酸化
マンガンの組成比が、3重量%〜5重量%である。シリ
コンは、JISI号相当品であり、且つ、カルシウムの
含有率が、0.2重量%以下である。燃焼調節剤がアル
ミナである。アルミナの配合量は、酸化還元剤に対し外
割で1重量%〜5重量%である。燃焼調節剤が酸化ケイ
素である。酸化ケイ素の配合量は、酸化還元剤に対して
外割で、3重量%〜8重量%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム、ア
ルミニウム合金、銅等の非鉄金属の断片を溶接する加熱
剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミニウム、アルミニウム合
金、銅等の非鉄金属の断片をテルミット反応熱で溶接す
る加熱剤としては、例えば、特開昭48−34049号
公報、特開昭62−253703号公報等に開示される
ものが知られている。そして、これらに用いられる加熱
剤としては、テルミット反応を起こす酸化還元剤が使用
されている。
【0003】この加熱剤は、点火器による点火で反応
し、そのテルミット反応熱によって溶接装置に装着した
溶接材を加熱溶融し接合する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然し、この種の加熱剤
では、テルミット反応中に、火花、スラグ(高温の溶融
反応物)が飛散、流出するという問題があった。
【0005】又、溶接する熱量が高すぎると(アルミニ
ウム系のテルミット剤では、その熱量が約1200cal
/g)、接続材の溶接部に溶けすぎが発生するという問
題があった。本発明は、斯かる従来の問題点を解決する
ために為されたもので、その目的は、火花、スラグの飛
散、流出を防止すると共に、溶接部の溶けすぎを防止す
ることができる非鉄金属溶接用加熱剤を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、酸化
鉄と、シリコンと、二酸化マンガンから成ることを特徴
とするものである。
【0007】請求項2の発明は、請求項1記載の非鉄金
属溶接用加熱剤に、シリコンで還元されない酸化物から
成る燃焼調節剤を配合したことを特徴とするものであ
る。請求項3の発明は、請求項1又は2記載の非鉄金属
溶接用加熱剤において、酸化鉄の組成比が、68重量%
〜72重量%であることを特徴とするものである。請求
項4の発明は、請求項1又は2記載の非鉄金属溶接用加
熱剤において、シリコンの組成比が、24重量%〜28
重量%であることを特徴とするものである。
【0008】請求項5の発明は、請求項1又は2記載の
非鉄金属溶接用加熱剤において、二酸化マンガンの組成
比が、3重量%〜5重量%であることを特徴とするもの
である。請求項6の発明は、請求項1又は2記載の非鉄
金属溶接用加熱剤において、シリコンは、JISI号相
当品であり、且つ、カルシウムの含有率が、0.2重量
%以下であることを特徴とするものである。
【0009】請求項7の発明は、請求項2記載の非鉄金
属溶接用加熱剤において、燃焼調節剤がアルミナである
ことを特徴とするものである。請求項8の発明は、請求
項2記載の非鉄金属溶接用加熱剤において、アルミナの
配合量は、酸化還元剤に対し外割で1重量%〜5重量%
であることを特徴とするものである。
【0010】請求項9の発明は、請求項2記載の非鉄金
属溶接用加熱剤において、燃焼調節剤が酸化ケイ素であ
ることを特徴とするものである。請求項10の発明は、
請求項9記載の非鉄金属溶接用加熱剤において、酸化ケ
イ素の配合量は、酸化還元剤に対して外割で、3重量%
〜8重量%であることを特徴とするものである。
【0011】(作用)請求項1乃至6の発明に係る酸化
鉄、シリコン、二酸化マンガンから成る酸化還元剤は、
テルミット反応中の火花の発生はない。然し、組成比に
より、スラグの飛散、流出、溶接部の溶け過ぎが発生す
る。組成比を種々に変えて試験した結果を表1に示す。
【表1】 表1から明らかなように、スラグの飛散、流出は、シリ
コンの組成比が21重量%以下では発生し易くなり、溶
け過ぎは、シリコンの組成比が29重量%以上では発生
し易くなる。この結果より、テルミット反応中のスラグ
の流動を防止し、溶接部の溶け過ぎを防止する組成とし
ては、酸化鉄68重量%〜72重量%、シリコン24重
量%〜28重量%、二酸化マンガン3重量%〜5重量%
が適切であることが判明した。
【0012】尚、二酸化マンガンとシリコンの反応熱は
酸化鉄の場合と比べ約40%程高いため二酸化マンガン
を少量加えると反応が安定する。然し、二酸化マンガン
が少な過ぎると効果がなく、多すぎると燃焼速度が不安
定となる。二酸化マンガンの組成比は3重量%〜5重量
%の範囲であれば問題はないが、表1ではより適切であ
ることが判明した4重量%とした場合について説明し
た。
【0013】シリコンには、不純物として、P、S、F
e、Caが含まれており、これらは加熱剤の燃焼性能に
影響を及ぼす。特に、Caの量が増えると、燃焼が阻害
され、酸化還元反応がシリコンの粒子の表面のみで行わ
れ、粒子の内部まで達しないため、見かけ状の反応速度
が速くなる。溶接の可否を左右する要因として、加熱剤
の熱量と共に、反応速度、即ち、単位時間当たりの加熱
剤の発生熱量と燃焼速度が重要である。
【0014】アルミニウム、アルミニウム合金、銅等の
非鉄金属の断片の溶接に適する加熱剤の燃焼速度は、大
凡0.50mm/secであり、シリコン中のCaの割
合を0.20重量%以下とする必要がある。
【0015】請求項2、請求項7乃至10の発明に係る
燃焼調節剤は、加熱剤の熱量を調整し、溶接部の溶け過
ぎを防止する。請求項7の発明に係る燃焼調節剤のアル
ミナは、アルミナと酸化鉄の酸素とシリコンとの反応で
ムライトを生成しこの時の吸熱反応で、熱量を調節する
ことができる。
【0016】請求項8の発明に係るアルミナは、アルミ
ナの量が外割で1重量%では、熱量の調整がほとんど無
く、逆に、アルミナの両が外割で5重量%を越えると、
溶接に必要とされる熱量に達しなくなる。請求項9の発
明に係る燃焼調節剤の酸化ケイ素は、酸化鉄の酸素とシ
リコンとの酸化還元反応時に、酸化ケイ素がテルミット
反応を阻害し、熱量を調節ことができる。
【0017】請求項10の発明に係る酸化ケイ素は、酸
化ケイ素の量が外割で3重量%未満では、熱量の調節が
殆ど無く、逆に、酸化ケイ素の量が外割で8重量%を越
えると、溶接に必要とされる熱量に達しなくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を図面に示す
実施形態について説明する。
【0019】図1は、請求項1乃至10に係る非鉄金属
溶接用加熱剤をアルミニウム製の接続材の断片を溶接す
る溶接装置に適用した実施形態を示す。 (実施形態1)図において、1は、収容部を示す。この
収容部1は、例えば、角筒形状のセラミック製の加熱剤
容器2と、2分割の角筒状鉄板製の保持部材3と、二つ
の留金具4、4と、角筒状の塞板6と、加熱剤7と、点
火器5とから成るものである。
【0020】この収容部1は、予め加熱剤容器2の内側
に保持部材3を配置し、一方の端部に角筒状の塞板6を
取り付けて底付の角筒状体に形成した後、この角筒状体
内に加熱剤7を充填すると共に、残りの端部に塞板6を
取り付け、最後に点火器5を取り付けることによって形
成される。セラミック製の加熱剤容器2は、厚さ5mm
〜10mmのセラミックを角筒状に形成したものであ
る。又、塞板6も同様にセラミック製で形成されてい
る。
【0021】2分割の角筒状鉄板製の保持部材3は、図
2乃至図4に示すように、両端に鍔部3a、3aを有す
る。この2分割の角筒状鉄板製の保持部材3は、例え
ば、1.5mmの厚みの鉄板で形成され、その鍔部3
a、3aを断面略コの字状の留金具4、4によって被嵌
されることによって角筒状体に構成される。
【0022】留金具4、4は、断面略コの字状の鉄板製
の部材4a、4aと、その内側に取り付けられるセラミ
ックシート4b、4bとで構成される。このセラミック
シート4b、4bは、溶接時に溶融するアルミニウム製
の溶接材8が鍔部3a、3aの合わせ面から漏出するの
を防ぐためのものである。又、2分割の角筒状鉄板製の
保持部材3の内面、鍔部3a、コの字状の鉄板製の部材
4a、4aには、加熱溶融時の熱伝導度が0.006cal/se
c/cm2/℃/cm以上の塗型剤が塗布されている。この塗
型剤としては、黒鉛、純BeO焼結体、純MgO焼結
体、純Al23焼結体が望ましい。
【0023】本実施形態では、加熱溶融時の熱伝導度が
0.006cal/sec/cm2/℃/cm以上の塗型剤としては、例
えば、日本黒鉛工業株式会社製のプロハイト#15系
(天然鱗状黒鉛20wt%、界面活性剤7wt%、水7
3wt%)を用い、これを2分割の角筒状鉄板製の保持
部材3の内面にスプレーで塗布した。このプロハイト#
15系の代わりにフォセコ・ジャパン製のダイコート#
140を用いてもよい。
【0024】加熱剤7は、テルミット反応で代表される
金属酸化物と金属又は金属合金とのテルミット反応を応
用したものである。加熱剤7の組成配合比としては、F
3471重量%、Si25重量%、MnO24重量%と
した。ここで、Fe34は、FeO48.0重量%以
上、Fe2340.0重量%以上から成り、粒度200
メッシュ通過92%以上のミルスケールである。
【0025】Siは、JIS1号品(低カルシウム品)
であり、塊状品の品質規格は次の通りである。Si98
重量%以上、C0.10重量%以下、P0.05重量%
以下、S0.05重量%以下、Fe0.7重量%以下、
Ca0.2重量%以下。MnO2は、含量85.0重量
%以上、粒度200メッシュ通過80.0%以上であ
る。
【0026】この加熱剤7は、テルミット反応中に、熱
を発するだけで、火花の吹出、スラグの流動はない。点
火器5は、図示しない電源から点火器5内部の発熱体へ
伝わり点火薬に点火し加熱剤7に着火するものである。
収容部1内には、アルミニウム製の溶接材8が配置され
ているが、このアルミニウム製の溶接材8は、アルミニ
ウム製の接続材9と実質的に同質か或いは良質のものが
用いられる。
【0027】一方、内面に加熱溶融時の熱伝導度が0.00
6cal/sec/cm2/℃/cm以上の塗型剤が塗布された2分
割の角筒状鉄板製の保持部材3は、図3に示すように、
中央部にアルミニウム製の溶接材8を配した状態で、図
5及び図6の示すように、重ね合わされ、その外側にセ
ラミックシートから成る断熱シート10が巻き付けられ
る。
【0028】又、加熱剤容器2の外側には、セラミック
シートから成る保温カバー12が接着剤、針金等で取り
付けられている。これは、冷寒地等の大気温度の条件に
より使用するが、外気により溶融物が早く冷えてしま
い、溶接不良を起こさないようにするためのものであ
る。
【0029】次に、このように構成された本実施形態の
作用を説明する。先ず、2分割の保持部材3の内面に、
加熱溶融時の熱伝導度が0.006cal/sec/cm2/℃/cm以
上の塗型剤を塗布する。次に、図3に示すように、2分
割の保持部材3の一方側から中央部に向かってアルミニ
ウム製の溶接材8を配し、その後、図4に示すように、
鍔部3a、3aを合わせ、次いで、図5に示すように、
保持部材3の外周に留金具4、4を被嵌し、2分割の保
持部材3の外側に断熱シート10を巻き付ける。次い
で、この保持部材3を加熱剤容器2の内側に配し、留金
具4と加熱剤容器2との間に一方の塞板6を取り付けて
角筒状体を形成した後、この角筒状体内に加熱剤7を充
填し、残りの塞板6を取り付ける。最後に、加熱剤7が
充填されている箇所に点火器5を取り付けることによっ
て、収容部1を形成する。
【0030】このように構成された溶接装置には、保持
部材3の両端側から接続するアルミニウム製の接続材9
が挿入され、保持部材3の中央部に位置するアルミニウ
ム製の溶接材8に当接させる。これによって、溶接の準
備が完了する。この状態で点火器5を操作すると、テル
ミット反応を起こす加熱剤7が反応し、そのテルミット
反応熱が保持部材3を介してアルミニウム製の溶接材8
に加えられて加熱溶融する。
【0031】その後、加熱が終わり温度が低くなり、溶
融物が凝固し始め、アルミニウムが冷却固化したところ
で、収容部1を取り除き、2分割の保持部材3を分解す
ることによって溶接したアルミニウム接続材14を得る
ことができる。以上のように、本実施形態は、加熱剤7
の反応熱によってアルミニウム製の溶接材8が加熱溶融
したとき、2分割の保持部材3の内側に塗布された加熱
溶融時の熱伝導度が0.006cal/sec/cm2/℃/cm以上の
塗型剤はスラグの残留熱をアルミニウム製の接続材11
を経由して放冷する際の熱媒体となり、積極的に放冷す
ることができるので、加熱剤容器2内部の熱勾配が、溶
融接合部13の温度より高く維持され、気泡による凹み
部や収縮による鋳巣部を覆い、溶融接合部13に凹みや
鋳巣による溶接不良を防止することができる。
【0032】加えて、溶接完了後に、2分割の保持部材
3と両接続材9、9を容易に分離することができる。
又、2分割の保持部材3に挿入されているアルミニウム
製の溶接材8より外側の外周、即ち、塞板6と接する部
位で、二つの断熱シート10、10が巻き付けてあるの
で、加熱剤7の燃焼熱量がアルミニウム製の接続材9に
伝わりにくく、アルミニウム製の接続材9からの放熱が
少ない。
【0033】又、2分割の保持部材3の鍔部3a、3a
に取り付けた留金具4、4は、その内側にセラミックシ
ート4b,4bが配してあるので、溶接時に溶融するア
ルミニウム製の溶接材9の溶融物が鍔部3a、3aの合
わせ面から漏出するのを防止する。そして、加熱剤7の
組成配合比として、Fe3471重量%、Si25重量
%、MnO24重量%としたので、この反応では、熱を
発するだけで、火花の吹出、スラグの吹出を防止するこ
とができる。
【0034】尚、本発明に係る非鉄金属溶接用加熱剤が
適用される方法及び装置は、上記実施形態のものに限ら
ず、非鉄金属接続材の形状により、例えば、円筒状体の
もの等、適用できる。又、本発明に係る非鉄金属溶接用
加熱剤は、上記実施形態による接続材の他に、非鉄金属
の電気導体の単線やより線の加熱剤としても適用でき
る。
【0035】(実施形態2)図1に示す実施形態1と同
様の溶接装置で、加熱剤7は、実施形態1の加熱剤にア
ルミナを添加した。この加熱剤7の組成配合比として
は、Fe3471重量%、Si25重量%、MnO24重
量%と、外割でAl231〜5重量%とした。この加熱
剤7は、テルミット反応中に、熱を発するだけで、発熱
中流動するものではない。
【0036】この反応では、燃焼調節剤のアルミナと四
三酸化鉄の酸素とシリコンとの反応でムライトを生成
し、この時の吸熱反応で熱量を調整し、溶け過ぎを防止
するものである。ここで、加熱剤7の熱量は、四三酸化
鉄とシリコンと酸化マンガンの比率によって変えること
ができるが、これら3成分の比率を変えるだけでは溶接
に要求される熱量とする調整が困難であった。
【0037】そこで、熱量を調節できる剤を種々研究の
結果、アルミナを添加することによって、酸化還元反応
に寄与する四三酸化鉄の酸素とシリコンとが、アルミナ
によってムライトを発生し、熱量を低下させることが確
認された。実験によると、実施形態1の加熱剤7におい
て、加熱剤7をFe3471重量%、Si25重量%、
MnO24重量%とすると、その熱量は475cal/
gであった。
【0038】この酸化還元剤に、アルミナを0.5重量
%添加すると、その熱量は470cal/gであった。
この酸化還元剤に、アルミナを1重量%添加すると、そ
の熱量は465cal/gであった。この酸化還元剤
に、アルミナを2重量%添加すると、その熱量は460
cal/gであった。
【0039】この酸化還元剤に、アルミナを3重量%添
加すると、その熱量は450cal/gであった。この
酸化還元剤に、アルミナを4重量%添加すると、その熱
量は440cal/gであった。
【0040】この酸化還元剤に、アルミナを5重量%添
加すると、その熱量は430cal/gであった。この
酸化還元剤に、アルミナを6重量%添加すると、その熱
量は415cal/gであった。又、図1に示すアルミ
ニウム接続材9、9の溶接に必要とされる熱量は、大凡
440cal/gとされている。これは、溶接時の熱量
と溶接後のアルミニウム接続材の引っ張り強度との関係
から求められている。
【0041】従って、上述のアルミナの添加量は、酸化
還元剤100重量%に対し1〜5重量%が好適であるこ
とが確認できた。特に、酸化還元剤100重量%に対し
アルミナ2〜4重量%が好適であったことが確認でき
た。特に、ムライトを生成することによって熱量を調整
するものであるが、本発明はこれに限らず、酸化還元剤
の反応生成物である酸化ケイ素を予め添加することによ
っても同様の結果を得ることが可能となる(請求項9及
び10)。
【0042】実験によると、酸化ケイ素の添加量は、酸
化還元剤100重量%に対し3〜8重量%が好適である
ことが確認できた。
【0043】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1乃至請求項
6に係る非鉄金属溶接用加熱剤によれば、酸化鉄、シリ
コン、二酸化マンガンから成る酸化還元剤(テルミット
剤)は、テルミット反応中に熱を発するだけで、火花、
スラグ(高温の溶融反応物)を飛散、流出することはな
く、屋内に留まらず屋外での溶接作業が安全に施工でき
る。
【0044】又、請求項2乃至10に係る非鉄金属溶接
用加熱剤では、酸化剤、シリコン、二酸化マンガンから
成る酸化還元剤に、シリコンで還元されない酸化物から
なる燃焼調節剤を配合したものであるから、溶接に必要
な熱量の調整が可能となり、溶接部の溶け過ぎを防止す
ることができる。
【0045】請求項7乃至8に係る非鉄金属溶接用加熱
剤によれば、燃焼調節剤のアルミナが酸化還元剤の酸素
とシリコンとでムライトを生成し、燃焼温度を抑えるこ
とができる。請求項9乃至10に係る非鉄金属溶接用加
熱剤によれば、酸化還元反応の生成物を添加するので、
酸化還元反応が阻害され、燃焼温度の上昇を抑えること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1乃至10に係る非鉄金属溶接用加熱剤
をアルミニウム製の接続材の断片を溶接する溶接装置に
適した実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のイ−イ線に沿った断面図である。
【図3】図1の保持部材の組立中における一方の保持部
材と留金具とを示す分解図である。
【図4】図3の側面から見た斜視図である。
【図5】図1の保持部材の組立状態を示す正面図であ
る。
【図6】図5の側面図である。
【図7】図1により溶接されたアルミニウム接続材を示
す断面図である。
【符号の説明】
1 収容部 2 加熱剤容器 3 保持部材 3a 鍔部 4 留金具 4a コの字状部材 5 点火器 6 塞板 7 加熱剤 8 アルミニウム製の溶接材 9 アルミニウム製の接続材 9a アルミニウム製の接続材の端部 10 断熱シート 11 セラミックシート 12 保温カバー 13 溶融接合部 14 溶接されたアルミニウム製の接続材
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 義光 福島県西白河郡西郷村大字長坂字土生2の 1 日本工機株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化鉄と、シリコンと、二酸化マンガン
    から成ることを特徴とする非鉄金属溶接用加熱剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の非鉄金属溶接用加熱剤
    に、シリコンで還元されない酸化物から成る燃焼調節剤
    を配合したことを特徴とする非鉄金属溶接用加熱剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の非鉄金属溶接用加
    熱剤において、酸化鉄の組成比が、68重量%〜72重
    量%であることを特徴とする非鉄金属溶接用加熱剤。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の非鉄金属溶接用加
    熱剤において、シリコンの組成比が、24重量%〜28
    重量%であることを特徴とする非鉄金属溶接用加熱剤。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載の非鉄金属溶接用加
    熱剤において、二酸化マンガンの組成比が、3重量%〜
    5重量%であることを特徴とする非鉄金属溶接用加熱
    剤。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2記載の非鉄金属溶接用加
    熱剤において、シリコンは、JISI号相当品であり、
    且つ、カルシウムの含有率が、0.2重量%以下である
    ことを特徴とする非鉄金属溶接用加熱剤。
  7. 【請求項7】 請求項2記載の非鉄金属溶接用加熱剤に
    おいて、燃焼調節剤がアルミナであることを特徴とする
    非鉄金属溶接剤用加熱剤。
  8. 【請求項8】 請求項2記載の非鉄金属溶接用加熱剤に
    おいて、アルミナの配合量は、酸化還元剤に対し外割で
    1重量%〜5重量%であることを特徴とする非鉄金属溶
    接用加熱剤。
  9. 【請求項9】 請求項2記載の非鉄金属溶接用加熱剤に
    おいて、燃焼調節剤が酸化ケイ素であることを特徴とす
    る非鉄金属溶接用加熱剤。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の非鉄金属溶接用加熱剤
    において、酸化ケイ素の配合量は、酸化還元剤に対して
    外割で、3重量%〜8重量%であることを特徴とする非
    鉄金属溶接用加熱剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102554458A (zh) * 2010-06-21 2012-07-11 西安理工大学 一种快速焊接修复大型zg20铸钢件缺陷的方法及焊接材料
CN107186375A (zh) * 2017-07-29 2017-09-22 安徽华众焊业有限公司 一种铝焊粉

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