JPH09253622A - 浄化槽およびその組立方法 - Google Patents

浄化槽およびその組立方法

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JPH09253622A
JPH09253622A JP6867496A JP6867496A JPH09253622A JP H09253622 A JPH09253622 A JP H09253622A JP 6867496 A JP6867496 A JP 6867496A JP 6867496 A JP6867496 A JP 6867496A JP H09253622 A JPH09253622 A JP H09253622A
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tank
upper tank
fraction
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inflow
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JP6867496A
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Inventor
Hideki Hamanaka
英機 浜中
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Publication date
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  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 必要とされる成形金型の数が少なく、しかも
種々の容量の浄化槽の槽体を容易に製作することができ
る浄化槽の構造およびその製造方法を提供すること。 【解決手段】 槽体が、上槽流入部分画3と、上槽放流
部分画4と、下槽流入部分画5と、下槽放流部分画6
と、前記上槽流入部分画3および上槽放流部分画4の間
に配置される上槽中間分画7a〜7dとを少なくとも有
し、下槽流入部分画5の軸方向長さが、上槽流入部分画
3の軸方向長さよりも長く成形してあり、下槽放流部分
画6の軸方向長さが、上槽放流部分画4の軸方向長さよ
りも長く成形してあり、これら分画が、反応射出成形法
により得られるポリノルボルネン系樹脂で形成してあ
り、各分画に形成してあるフランジ8相互が接合されて
組み立てられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部品の共通化を図
ることができる浄化槽およびその組立方法に関する。
【0002】
【従来の技術】建設省告示第20,945号(平成7年
12月27日)による浄化槽構造基準により、例えば人
数11〜30人用の中大型浄化槽は、有効水深1600
mm以上が確保できる、容量8.2〜17m3 の比較的大
きな槽体であることを要する。
【0003】このような大きさの従来の浄化槽は、直径
約2000mmの円筒形の槽体で、フィラメントワインデ
ィング(FW)法による不飽和ポリエステル樹脂(FR
P)で構成してある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、FRP製の浄
化槽の槽体では、その施工時にガラス繊維粉が舞い、作
業環境が悪く、しかも、肉厚のばらつきが生じ易く、槽
体の機械的強度の確保が困難であった。
【0005】そこで、このような槽体をノルボルネン系
モノマーの反応射出成形体で成形することが検討されて
いる。ノルボルネン系モノマーの反応射出成形体は、耐
食性および耐衝撃性に優れ、しかも常圧に近い低圧で成
形できるので大型金型を用いる成形が容易であることか
ら、槽体を構成する材質として好適である。
【0006】ところが、浄化槽は、その処理能力に応じ
て、必要とされる容量がまちまちである。したがって、
各種の大きさの浄化槽用槽体をその都度設計し、金型を
製作していたのでは、製造コストが増大する。本発明
は、このような実状に鑑みてなされ、必要とされる成形
金型の数が少なく、しかも種々の容量の浄化槽の槽体を
容易に製作することができる浄化槽の構造およびその製
造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る浄化槽は、槽体が、上槽流入部分画
と、上槽放流部分画と、下槽流入部分画と、下槽放流部
分画と、前記上槽流入部分画および上槽放流部分画の間
に配置される上槽中間分画とを少なくとも有し、下槽流
入部分画の軸方向長さが、上槽流入部分画の軸方向長さ
よりも長く成形してあり、下槽放流部分画の軸方向長さ
が、上槽放流部分画の軸方向長さよりも長く成形してあ
り、これら分画が、反応射出成形法により得られるポリ
ノルボルネン系樹脂で形成してあり、各分画に形成して
あるフランジ相互が接合されて組み立てられることを特
徴とする。
【0008】前記上槽中間分画が、同一形状の一対の半
割曲折板から成り、両半割曲折板間の上部隙間に、開閉
自在な開口部が形成された蓋枠体が取り付けてあること
が好ましい。本発明に係る浄化槽の製造方法は、下槽流
入部分画の軸方向長さが、上槽流入部分画の軸方向長さ
よりも長く成形してあり、下槽放流部分画の軸方向長さ
が、上槽放流部分画の軸方向長さよりも長く成形してあ
り、それぞれが反応射出成形によるポリノルボルネン系
樹脂で構成された上槽流入部分画と、上槽放流部分画
と、下槽流入部分画と、下槽放流部分画とを準備する工
程と、前記上槽流入部分画と、上槽放流部分画との間に
接続可能に形成され、軸方向長さが異なる複数種類の上
槽中間分画であって、反応射出成形によるポリノルボル
ネン系樹脂で構成された複数種類の上槽中間分画を準備
する工程と、前記下槽流入部分画と、下槽放流部分画と
の間に接続可能に形成され、軸方向長さが異なる複数種
類の下槽中間分画であって、反応射出成形によるポリノ
ルボルネン系樹脂で構成された複数種類の下槽中間分画
を準備する工程と、必要とされる浄化槽の能力に応じ
て、複数種類の上槽中間分画のうちから1の上槽中間分
画を選択する工程と、前記選択された上槽中間分画と前
記上槽放流部分画と前記下槽流入部分画とを組み立てた
場合の上槽が接続される長さの下槽と成るように、複数
種類の下槽中間分画のうちから1の下槽中間分画を選択
するか、または下槽中間分画を用いないことを選択する
工程と、前記選択された1の上槽中間分画と、前記選択
された1または0の下槽中間分画と、前記上槽流入部分
画と、上槽放流部分画と、下槽流入部分画と、下槽放流
部分画とを組み立てて、浄化槽の槽体を構成する工程と
を有する。
【0009】本発明に係る浄化槽およびその組立方法に
よれば、上槽流入部分画と、上槽放流部分画と、下槽流
入部分画と、下槽放流部分画とに関しては、浄化槽の容
量が相違しても同じものを用いることができる。容量を
変えるには、上槽中間分画の軸方向長さを変化させるの
みで良い。下槽中間分画に関しては、上槽中間分画の軸
方向長さに合うものを用いれば良い。下槽流入部分画と
下槽放流部分画とを接続した場合の軸方向長さは、上槽
流入部分画と上槽放流部分画とを接続した場合の軸方向
長さよりも長いので、例えば11人またはこれよりやや
多い程度の少人数用の浄化槽では、下槽中間分画を用い
ることなく、下槽流入部分画と下槽放流部分画とを直接
に接続すれば良い。
【0010】複数種類の上槽中間分画の各軸方向長さと
下槽中間分画の軸方向長さは、たとえば次のようにして
決定される。まず、槽の胴部の横断面形状および有効断
面積Aを定める。槽の胴部の横断面形状は、槽体の胴部
の横断面における槽体の高さをHとし、槽体の幅をWと
し、槽体の側壁の曲率半径をR1 とした場合に、1.0
≦R1 /W≦2.0および1.0≦R1 /H≦2.0と
することが好ましい。
【0011】1.0>R1 /Wまたは1.0>R1 /H
では、槽体の胴部の断面形状が円に近くなる。同じ幅と
同じ高さとでは、矩形断面に近い形状の方が断面積が大
きくなり、容量が大きい。また、2.0<R1 /Wまた
は2.0<R1 /Hでは、槽体の胴部の断面形状が矩形
断面に近い形状となり、容量が増大するが、槽体の機械
的強度が不足する傾向にある。
【0012】胴部の横断面形状が決定されたら、その有
効断面積Aを用いて、必要とされる数種類の容量をそれ
ぞれ割り算し、浄化槽の槽体の全体軸方向長さを決定す
る。たとえば16人槽、20人槽、24人槽、28人槽
とのそれぞれの容量の浄化槽について、必要とされる全
体軸方向長さが決定される。ただし、この計算に際して
は、浄化槽の両端部の形状、すなわち、上槽流入部分画
と上槽放流部分画と下槽流入部分画と下槽放流部分画と
の形状を考慮する必要がある。浄化槽の横断面は、軸方
向に必ずしも均一でなく、両端部での形状に起因する容
量の減少分を考慮して、必要とされる容量に対応した浄
化槽の槽体の全体軸方向長さを決定する。計算された長
さに端数が生じる場合には、繰り上げる。
【0013】上槽流入部分画と、上槽放流部分画と、下
槽流入部分画と、下槽放流部分画とは、下槽流入部分画
の軸方向長さが、上槽流入部分画の軸方向長さよりも長
くなり、かつ、下槽放流部分画の軸方向長さが、上槽放
流部分画の軸方向長さよりも長く成るように決定してあ
る。しかも、下槽流入部分画と下槽放流部分画とを接続
した長さは、必要とされる容量の内の最小の容量に対応
する全体軸方向長さに対応する。
【0014】したがって、必要とされる容量に対応した
複数種類の全体軸方向長さから、上槽流入部分画と上槽
放流部分画との軸方向長さを引算すれば、複数の上槽中
間分画の軸方向長さが決定される。複数の軸方向長さを
有する上槽中間分画のうち、長い軸方向長さを有する上
槽中間分画が、それよりも短い軸方向長さの上槽中間分
画と上槽中間分画の組合せで同じ長さのものを構成する
ことができる場合には、必ずしも、その長い軸方向長さ
を有する上槽中間分画を準備する必要はない。短いもの
を繋いで構成することができるからである。その場合に
は、さらに金型の数を削減することができる。
【0015】複数種類の下槽中間分画の軸方向長さは、
必要とされる容量に対応した複数種類の全体軸方向長さ
から、下槽流入部分画と下槽放流部分画との軸方向長さ
を引算すれば、複数の下槽中間分画の軸方向長さが決定
される。その決定された下槽中間分画の軸方向長さは0
の場合もあり得る。たとえば少人数用の浄化槽では、下
槽中間分画無しで、下槽流入部分画と下槽放流部分画と
が直接に接続される。その場合の上槽中間分画は、最小
の軸方向長さのものが用いられる。
【0016】複数の軸方向長さを有する下槽中間分画の
うち、長い軸方向長さを有する下槽中間分画が、それよ
りも短い軸方向長さの下槽中間分画のと槽中間分画の組
合せで同じ長さのものを構成することができる場合に
は、必ずしも、その長い軸方向長さを有する下槽中間分
画を準備する必要はない。短いものを繋いで構成するこ
とができるからである。その場合には、さらに金型の数
を削減することができる。
【0017】このように、本発明では、複数種類の容量
に対応した11人〜30人用の中大型浄化槽を、極力小
数の金型で低コストに組み立てることができる。また、
本発明に係る浄化槽の槽体を構成する複数の分画は、そ
れぞれノルボルネン系モノマーの反応射出成形体で成形
してあるので、得られる中大型浄化槽の耐食性および耐
震性が向上する。また、FRP製の浄化槽に比べ、その
製造時に、ガラス繊維粉が舞うこともなく、作業環境が
良好であり、短時間に成形することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る中大型浄化槽
およびその製造方法を、図面に示す実施形態に基づき、
詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る浄化
槽の槽体の斜視図、図2は下槽の分解斜視図、図3
(A),(B)は槽体の胴部の断面図、図4は開閉自在
な開口部が形成された蓋枠体の斜視図、図5は接続部の
一例を示す要部断面図、図6(A)〜(C)は槽体の組
立方法の一例を示す側面図、平面図および正面図、図7
(A),(B)〜9(A),(B)は槽体の組立方法の
他の例を示す側面図および平面図である。
【0019】図1に示すように、本実施形態に係る浄化
槽2の槽体は、上槽流入部分画3と、上槽放流部分画4
と、下槽流入部分画5と、下槽放流部分画6と、前記上
槽流入部分画3および上槽放流部分画4の間に配置され
る上槽中間分画7a〜7dとを少なくとも有する。下槽
中間分画9a〜9cは、必要に応じて取り付けられる。
【0020】図1,2に示すように、各分画3,4,
5,6,7a〜7d,9a〜9dには、接続用のフラン
ジ8が形成してある。図1,2に示すように、下槽を構
成する分画5,6,9a〜9cには、槽の外側または内
側に突出するフランジが形成してあることが好ましい。
【0021】本実施形態では、図5に示すように、フラ
ンジ8の先端部8aが、基端部に対して厚肉に構成して
ある。しかも、フランジ8の先端部8aの合わせ面18
が、基端部の合わせ面20よりも突出するように構成し
てある。先端部8aの合わせ面18と基端部の合わせ面
20との段差Sは、好ましくは0.5〜2.5mm程度で
ある。フランジ8の先端部8aの厚みt1 は、フランジ
8の基端部の厚さをt 2 とした場合に、t2 +2〜30
mm(好ましくは3〜15mm)であることが望ましい。基
端部の厚さt2 は、フランジ8が形成される分画の厚さ
3 と同程度である。
【0022】フランジ8において、先端部の合わせ面1
8と基端部の合わせ面20との間には、接着剤溝16と
パッキン溝14とが形成してある。接着剤溝16には、
接着剤26が充填され、パッキン溝14には、パッキン
12が配置される。フランジ8,8相互は、パッキン1
2の外側位置で、ボルト22およびナット24により締
め付け固定される。接着剤26としては、ポリウレタン
系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリアクリレート系
接着剤などを用いることができる。パッキンとしては、
ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチ
レン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、これらの発泡
体、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、ウレタン
エラストマー、シリコンゴム、軟質ポリ塩化ビニル(P
VC)などで構成されたものを用いることができる。
【0023】本実施形態では、フランジ8の先端部の厚
みt1 を厚くすることで、フランジ8の補強となり、フ
ランジ8の部分に外力が作用しても、その部分が破損す
るおそれが少なくなる。また、フランジ8の先端部の厚
みt1 を厚くすることで、その先端部の合わせ面18が
長手方向に沿って波打つ形状となることがなくなり、合
わせ面18の平滑化を図ることができる。
【0024】また、段差Sを設けることで、フランジ
8,8相互をボルト22およびナット24で締め付ける
際に、パッキン12が都合良く押し潰され、シール性が
向上する。本実施形態では、図1に示すように、上槽中
間分画7a〜7dは、1対の形状が同じ曲折板で構成し
てあり、その天井部に隙間40が開くようになってい
る。この隙間40には、開閉自在な開口部11と盲板1
3とが形成された蓋枠体10a〜10dが取り付けてあ
る。蓋枠体10a〜10dの軸方向長さは、各上槽中間
分画7a〜7dに合わせてあり、開口部11および盲板
13の配置数は、浄化槽の大きさに応じ、従って蓋枠体
の軸方向長さに応じて変更可能である。また、蓋は図4
に示すように一方にヒンジを設けると槽内または槽外へ
の不測の落下を防止できるので好ましい。
【0025】本実施形態に係る中大型浄化槽2の槽体
は、処理能力が11人〜30人用の中大型浄化槽の槽体
であり、たとえば11〜16人用の浄化槽の槽体が図6
(A)〜(C)に示すように組み立てられ、17〜20
人用の浄化槽の槽体が図7(A),(B)に示すように
組み立てられ、21〜24人用の浄化槽の槽体が図8
(A),(B)に示すように組み立てられ、25〜28
人用の浄化槽の槽体が図9(A),(B)に示すように
組み立てられる。
【0026】本実施形態では、図6〜図9に示すよう
に、異なる処理能力の浄化槽であっても、槽体の上槽流
入部分画3と、上槽放流部分画4と、下槽流入部分画5
と、下槽放流部分画6とが、共通の構成部材を用いて組
み立てられている。槽体の上槽流入部分画3は、図1に
示すように、流入口30とマンホール32とを有し、上
槽放流部分画4は、放流口34とマンホール36とを有
する。これらの軸方向長さ(長手方向長さ)は、それぞ
れ下槽流入部分画5および下槽放流部分画6の軸方向長
さよりも短く成形してある。たとえば図6(A)に示す
ように、上槽流入部分画3の軸方向長さL1 は1400
mmであり、上槽放流部分画4の軸方向長さL2 は900
mmであり、下槽流入部分画5の軸方向長さL3 は220
0mmであり、下槽放流部分画6の軸方向長さL4 は14
00mmである。
【0027】本実施形態では、図1に示すように、上槽
流入部分画3および上槽放流部分画4の間に配置される
上槽中間分画7a〜7dは、軸方向長さが異なる同一形
状の一対の半割曲折板で構成される。上槽中間分画7a
〜7dの軸方向長さは、それぞれ1300mm、1800
mm、2400mmおよび2900mmである。1300mmの
上槽中間分画7aは、図6に示す16人槽のためのもの
であり、1800mmの上槽中間分画7bは、図7に示す
20人槽のためのものであり、2400mmの上槽中間分
画7cは、図8に示す24人槽のためのものであり、2
900mmの上槽中間分画7dは、図9に示す28人槽の
ためのものである。なお、2400mmは、1300mm+
1100mmであり、2900mmは、1800mm+110
0mmなので、1100mmの軸方向長さの上槽中間分画を
作成することで、2400mmおよび2900mm単独の上
槽中間分画7c,7dを作成することなく、その長さに
相当する分画を、上槽中間分画7a,7bと1100mm
の上槽中間分画との接続により形成することもできる。
その場合には、さらに金型の共通化に寄与する。
【0028】下槽中間分画9a〜9cの軸方向長さは、
それぞれ500mm、1100mm、および1600mmであ
る。下槽中間分画は、必ずしも装着することなく、図6
に示すように、下槽流入部分画5と下槽放流部分画6と
を直接に接続して、浄化槽の槽体を組み立てても良い。
500mmの下槽中間分画9aは、図7に示す20人槽の
ためのものであり、1100mmの下槽中間分画9bは、
図8に示す24人槽のためのものであり、1600mmの
下槽中間分画9cは、図9に示す28人槽のためのもの
である。なお、1600mmは、500mm+1100mmな
ので、1600mm単独の下槽中間分画9cを作成するこ
となく、その長さに相当する分画を、下槽中間分画9a
と9bとの接続により形成することもできる。その場合
には、さらに金型の共通化に寄与する。
【0029】複数種類の上槽中間分画7a〜7dの各軸
方向長さと下槽中間分画9a〜9cの軸方向長さは、た
とえば次のようにして決定される。まず、槽の胴部の横
断面形状および有効断面積Aを定める。槽の胴部の横断
面形状は、図3に示すように、槽体の胴部の横断面にお
ける槽体の高さをHとし、槽体の幅をWとし、槽体の側
壁の曲率半径をR1 とした場合に、1.0≦R1 /W≦
2.0および1.0≦R1 /H≦2.0とすることが好
ましい。
【0030】1.0>R1 /Wまたは1.0>R1 /H
では、槽体の胴部の断面形状が、図3(B)に示すよう
に、円に近くなる。同じ幅と同じ高さとでは、断面矩形
に近い形状の方が断面積が大きくなり、容量が大きい。
また、2.0<R1 /Wまたは2.0<R1 /Hでは、
槽体の胴部の断面形状が矩形断面に近い形状となり、容
量が増大するが、槽体の機械的強度が不足する傾向にあ
る。
【0031】ここで、槽体の幅Wは、1800〜250
0mm、好ましくは2000〜2300mmで、かつ槽
体の高さHは2000〜3000mm、好ましくは22
00〜2800mmである。WまたはHがそれぞれ18
00mmまたは2000mmより小さければ大型の槽体
が得られない。一方、WまたはHが各々2500mmま
たは2000mmを越えると強度確保のためには経済性
に難点がある。
【0032】また、槽体側壁の曲率半径R1 は、280
0〜5000mm、好ましくは3200〜4200mm
である。R1 が2800mmより小さいと槽体断面形状
が円に近くなり、5000mmより大きいと槽の角部近
傍が角形の断面形状になり、槽にかかる荷重によって生
ずる槽の中央部の変位が大になり好ましくない。
【0033】なお、胴部の角部の曲率半径R2 は、成形
性からは、好ましくは350〜600mmの曲率半径、よ
り好ましくは450〜550mmの曲率半径を有するこ
とが望ましい。また、各分画を構成する成形体の肉厚t
3 は、特に限定されないが、好ましくは8mm以上であ
る。8mm以上にすることで、槽体として要求される十分
な強度を持たせることができる。ただし、厚さt3 の上
限は、好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以
下、特に好ましくは15mm以下である。厚すぎると、成
形体の製造が困難になる。
【0034】胴部の横断面形状が決定されたら、その有
効断面積Aを用いて、必要とされる数種類の容量をそれ
ぞれ割り算し、浄化槽の槽体の全体軸方向長さを決定す
る。たとえば16人槽、20人槽、24人槽、28人槽
とのそれぞれの容量の浄化槽について、必要とされる全
体軸方向長さが決定される。ただし、この計算に際して
は、浄化槽の両端部の形状、すなわち、上槽流入部分画
3と上槽放流部分画4と下槽流入部分画5と下槽放流部
分画6との形状を考慮する必要がある。浄化槽の横断面
は、軸方向に必ずしも均一でなく、両端部での形状に起
因する容量の減少分を考慮して、必要とされる容量に対
応した浄化槽の槽体の全体軸方向長さLを決定する。計
算された長さに端数が生じる場合には、繰り上げる。
【0035】図6に示すように、上槽流入部分画3と、
上槽放流部分画4と、下槽流入部分画5と、下槽放流部
分画6とは、下槽流入部分画5の軸方向長さL3 が、上
槽流入部分画3の軸方向長さL1 よりも長くなり、か
つ、下槽放流部分画6の軸方向長さL4 が、上槽放流部
分画4の軸方向長さL2 よりも長く成るように決定して
ある。しかも、下槽流入部分画5と下槽放流部分画6と
を接続した長さ(L3 +L4 )は、必要とされる容量の
内の最小の容量(16人槽)に対応する全体軸方向長さ
Lに対応する。
【0036】したがって、必要とされる容量に対応した
複数種類の全体軸方向長さL(=3600mm(16人
槽),4100mm(20人槽),4700mm(24人
槽),5200mm(28人槽))から、上槽流入部分画
3の軸方向長さL1 と上槽放流部分画4の軸方向長さL
2 とを引算すれば、複数の上槽中間分画の軸方向長さ
(1300,1800,2400,2900mm)が決定
される。
【0037】複数種類の下槽中間分画9a〜9cの軸方
向長さは、必要とされる容量に対応した複数種類の全体
軸方向長さL(=3600mm(16人槽),4100mm
(20人槽),4700mm(24人槽),5200mm
(28人槽))から、下槽流入部分画5の軸方向長さL
3 と下槽放流部分画6との軸方向長さL4 を引算すれ
ば、複数の下槽中間分画9a〜9cの軸方向長さ(0,
500,1100,1600mm)が決定される。その決
定された下槽中間分画の軸方向長さは0の場合もあり得
る。たとえば16人用の浄化槽では、図6に示すよう
に、下槽中間分画無しで、下槽流入部分画5と下槽放流
部分画6とが直接に接続される。その場合の上槽中間分
画7aは、最小の軸方向長さのものが用いられる。
【0038】本実施形態では、図1,2に示す分画3,
4,5,6,7a〜7d,9a〜9cと、図4に示す蓋
枠体10a〜10dが、反応射出成形法(RIM)によ
って得られるポリノルボルネン系樹脂で構成され、たと
えば図5に示す手段により接合されて、図6〜9に示す
異なる能力の浄化槽用槽体が組み立てられる。特に、こ
れらは、エラストマーで改質されたノルボルネン系モノ
マーの開環重合体で構成されたものが好ましい。
【0039】エラストマーとしては、例えば、ポリブタ
ジエン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ス
チレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SB
S)、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン−スチレ
ンブロック共重合体(SIS)、エチレン−プロピレン
−ジエンターポリマー(EPT)などを挙げることがで
きる。
【0040】エラストマーの配合割合は、ノルボルネン
系モノマー100重量部に対して、1〜20重量部、好
ましくは2〜15重量部である。エラストマーの配合割
合が少ないと、可撓性が低下する。逆に、エラストマー
の配合割合が多すぎると、ガラス転移温度が低下し、か
つ、強度が低下するので好ましくない。
【0041】モノマーは、ジシクロペンタジエンやジヒ
ドロジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、ト
リシクロペンタジエン等のノルボルネン環を有するシク
ロオレフィンである。メタセシス触媒は、六塩化タング
ステン、トリドデシルアンモニウムモリブデート、トリ
(トリデシル)アンモニウムモリブデート等のモリブデ
ン酸有機アンモニウム塩等のノルボルネン系モノマーの
塊状重合用触媒として公知のメタセシス触媒であれば特
に制限はないが、モリブデン酸有機アンモニウム塩が特
に好ましい。
【0042】活性剤(共触媒)としては、エチルアルミ
ニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等の
アルキルアルミニウムハライド、これらのアルコキシア
ルキルアルミニウムハライド、有機スズ化合物等が挙げ
られる。反応射出成形の前準備として、ノルボルネン系
モノマー、メタセシス触媒および活性剤を主材とする反
応射出成形用材料をノルボルネン系モノマーとメタセシ
ス触媒とよりなる液と、前記のノルボルネン系モノマー
と活性剤とよりなる液との安定な2液に分けて別の容器
に入れておく。反応射出成形に際しては、この2液を混
合し、次いで、この混合液を、金型のキャビティ内に注
入し、キャビティ内で塊状重合して、分画3,4,5,
6,7a〜7d,9a〜9cを得る。
【0043】反応射出成形に用いる金型は、必ずしも剛
性の高い高価な金型である必要はなく、金属製金型に限
らず、樹脂製金型、または単なる型枠を用いることがで
きる。ノルボルネン系樹脂の反応射出成形は、低粘度の
反応液を用い、比較的低温低圧で成形できるためであ
る。金型内は不活性ガスでシールし、重合反応に用いる
成分類は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で貯蔵し、
かつ操作することが好ましい。
【0044】金型温度は、好ましくは、10〜150
℃、より好ましくは、30〜120℃、さらに好ましく
は、50〜100℃である。金型圧力は通常0.1〜1
00Kg/cm2 の範囲である。重合時間は、適宜選択
すればよいが、通常、反応液の注入終了後、30秒〜2
0分、好ましくは、5分以下である。
【0045】本実施形態に係る分画は、反応射出成形法
により得られるポリノルボルネン系樹脂で構成してある
ので、比較的大型の成形体を容易に成形することができ
る。また、ポリノルボルネン系樹脂は、比剛性は低いが
比強度は高いという材料的特徴を利用して、組合せ後の
浄化槽用槽体として必要とされる十分な耐圧を有するこ
とができる。
【0046】なお、本発明は、上述した実施形態に限定
されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変する
ことができる。たとえば、上述した実施形態では、16
人用、20人用、24人用、28人用の浄化槽の槽体を
組み立てる場合を実施形態として説明したが、本発明で
は、その他の人数用の浄化槽の槽体の組合せも有り得
る。
【0047】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係る
浄化槽およびその組立方法によれば、複数種類の容量に
対応した例えば11人〜30人用の中大型浄化槽を、極
力小数の金型で低コストに組み立てることができる。
【0048】また、本発明に係る浄化槽の槽体を構成す
る複数の分画は、それぞれノルボルネン系モノマーの反
応射出成形体で成形してあるので、得られる中大型浄化
槽の耐食性および耐震性が向上する。また、FRP製の
浄化槽に比べ、その製造時に、ガラス繊維粉が舞うこと
もなく、作業環境が良好であり、短時間に成形すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る浄化槽の槽体
の斜視図である。
【図2】図2は下槽の分解斜視図である。
【図3】図3(A),(B)は槽体の胴部の断面図であ
る。
【図4】図4は開閉自在な開口部が形成された蓋枠体の
斜視図である。
【図5】図5は接続部の一例を示す要部断面図である。
【図6】図6(A)〜(C)は槽体の組立方法の一例を
示す側面図、平面図および正面図である。
【図7】図7(A),(B)は槽体の組立方法の他の例
を示す側面図および平面図である。
【図8】図8(A),(B)は槽体の組立方法の他の例
を示す側面図および平面図である。
【図9】図9(A),(B)は槽体の組立方法の他の例
を示す側面図および平面図である。
【符号の説明】
2… 浄化槽 3… 上槽流入部分画 4… 上槽放流部分画 5… 下槽流入部分画 6… 下槽放流部分画 7a〜7d… 上槽中間分画 8… フランジ 9a〜9c… 下槽中間分画

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浄化槽の槽体が、上槽流入部分画と、上
    槽放流部分画と、下槽流入部分画と、下槽放流部分画
    と、前記上槽流入部分画および上槽放流部分画の間に配
    置される上槽中間分画とを少なくとも有し、 下槽流入部分画の軸方向長さが、上槽流入部分画の軸方
    向長さよりも長く成形してあり、 下槽放流部分画の軸方向長さが、上槽放流部分画の軸方
    向長さよりも長く成形してあり、 これら分画が、反応射出成形法により得られるポリノル
    ボルネン系樹脂で形成してあり、 各分画に形成してあるフランジ相互が接合されて組み立
    てられる浄化槽。
  2. 【請求項2】 前記上槽中間分画が、同一形状の一対の
    半割曲折板から成り、両半割曲折板間の上部隙間に、開
    閉自在な開口部が形成された蓋枠体が取り付けてある請
    求項1に記載の浄化槽。
  3. 【請求項3】 下槽流入部分画の軸方向長さが、上槽流
    入部分画の軸方向長さよりも長く成形してあり、下槽放
    流部分画の軸方向長さが、上槽放流部分画の軸方向長さ
    よりも長く成形してあり、それぞれが反応射出成形によ
    るポリノルボルネン系樹脂で構成された上槽流入部分画
    と、上槽放流部分画と、下槽流入部分画と、下槽放流部
    分画とを準備する工程と、 前記上槽流入部分画と、上槽放流部分画との間に接続可
    能に形成され、軸方向長さが異なる複数種類の上槽中間
    分画であって、反応射出成形によるポリノルボルネン系
    樹脂で構成された複数種類の上槽中間分画を準備する工
    程と、 前記下槽流入部分画と、下槽放流部分画との間に接続可
    能に形成され、軸方向長さが異なる複数種類の下槽中間
    分画であって、反応射出成形によるポリノルボルネン系
    樹脂で構成された複数種類の下槽中間分画を準備する工
    程と、 必要とされる浄化槽の能力に応じて、複数種類の上槽中
    間分画のうちから1の上槽中間分画を選択する工程と、 前記選択された上槽中間分画と前記上槽放流部分画と前
    記下槽流入部分画とを組み立てた場合の上槽が接続され
    る長さの下槽と成るように、複数種類の下槽中間分画の
    うちから1の下槽中間分画を選択するか、または下槽中
    間分画を用いないことを選択する工程と、 前記選択された1の上槽中間分画と、前記選択された1
    または0の下槽中間分画と、前記上槽流入部分画と、上
    槽放流部分画と、下槽流入部分画と、下槽放流部分画と
    を組み立てて、浄化槽の槽体を構成する工程とを有す
    る、 浄化槽の組立方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4700789B2 (ja) * 1999-08-05 2011-06-15 オズボーン インダストリーズ インコーポレーテッド 腐敗廃棄物処理システム
CN103588371A (zh) * 2013-10-08 2014-02-19 宁夏大林科技有限公司 上下组合式塑料化粪池
JP3203458U (ja) * 2016-01-19 2016-03-31 アポロ興産株式会社 組立型浄化槽

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