JPH09252767A - 無血清培地、動物細胞の培養方法および蛋白質の製造方法 - Google Patents

無血清培地、動物細胞の培養方法および蛋白質の製造方法

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JPH09252767A
JPH09252767A JP8064367A JP6436796A JPH09252767A JP H09252767 A JPH09252767 A JP H09252767A JP 8064367 A JP8064367 A JP 8064367A JP 6436796 A JP6436796 A JP 6436796A JP H09252767 A JPH09252767 A JP H09252767A
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JP
Japan
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medium
protein
cells
culture
serum
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JP8064367A
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Yasuo Amatsuji
康夫 天辻
Hiroshi Tamashima
博 玉嶋
Yatsuhiro Kamimura
八尋 上村
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Mitsubishi Tanabe Pharma Corp
Original Assignee
Green Cross Corp Japan
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 培地から産生蛋白質の分離精製を容易にする
無血清培地の提供。 【解決手段】 インスリン、ペプトンおよびトランスフ
ェリンを含有させたことを特徴とする無血清培地、この
培地を用いた動物細胞の培養方法、その培養物から該蛋
白質を採取することを特徴とする蛋白質の製造方法。 【効果】 細胞を十分に増殖させることができ、かつ細
胞が産生した蛋白質を培地から分離精製することが容易
であり、さらに細胞を徐々に順化させる必要のない無血
清培地を提供できる。細胞培養を効率よく行い、蛋白質
を大量かつ効率よく得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は無血清培地およびそ
れを用いた動物細胞の培養方法、蛋白質の製造方法に関
する。
【0002】
【従来技術・発明が解決しようとする課題】近年、DN
Aの組換え技術の進歩により、細胞産生物(例えば、蛋
白質)を製造するための動物細胞の培養が次第に重要に
なっている。このような細胞培養を工業的規模で行うに
は、多量の培地が必要になる。
【0003】従来、動物細胞を生育(増殖)させる際の
培地としては、極めて多種の培地、例えば、DMEM培
地〔Morton,H.J.J.(1970)In vitro 6,89〕、F12培地
〔Ham,R.O.(1965) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 53,288〕お
よびRPMI1640培地〔Goding,J.W.(1980)J.Immun
ol.Methods 39,285,JAMA 199(1957)519 〕等が使用され
てきた。しかし、これらの培地を使用して動物細胞を生
育(増殖)させるには、培地に血清を加えなければなら
ない。このため、一般には、ウシ胎児、ウマまたはヒト
等の血清を1〜15%程度の濃度で使用しなければなら
なかった。
【0004】しかし、血清含有培地を使用する際には以
下の様な問題があった。 血清自体が高価なためコスト高となる。 血清にはロット差があり、再現性のある培養には不
利である。 産生物の培養上清からの精製が困難となる。 ウイルスやマイコプラズマの汚染源となる恐れがあ
る。
【0005】このような現状に鑑みて、培地中の血清濃
度を減少させる方法が検討されている。しかし、血清濃
度の減少によって細胞はその増殖性を著しく低下させる
か死滅し、所望の細胞生成物(例えば、蛋白質)の収量
が著しく減少するなどの問題があり、培地中の血清濃度
の減少は困難であった。
【0006】このような理由から、血清を含まず、細胞
が増殖性を失わずに培養されうる無血清培地に対して多
大な関心が持たれている。
【0007】しかし、従来の無血清培地においては、細
胞の増殖性を維持させるために血清アルブミン等の蛋白
成分の添加が必要であり、そのため細胞が産生した蛋白
質を分離精製するために複雑な工程が必要となるため問
題となっていた。
【0008】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもの
であり、細胞の十分な増殖性が得られると共に、蛋白質
を分離精製することが容易であり、かつ細胞を順化させ
ることが容易にできる無血清培地を提供することを第1
の目的とする。
【0009】本発明の第2の目的は、効率的な動物細胞
の培養方法を提供することである。
【0010】本発明の第3番目の目的は、蛋白質を発現
可能な動物細胞より蛋白質を大量に製造する方法を提供
することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究を重ねた結果、インスリン、ペ
プトンおよびトランスフェリンを含有させた培地を用い
ることにより、細胞を十分に増殖させることができ、か
つ細胞の順化工程がなくとも細胞が生育でき、アルブミ
ンを含まないために蛋白質の分離精製が容易にできるこ
と、またこの無血清培地を用いることにより蛋白質を大
量に生産できることを見出して本発明を完成した。
【0012】即ち、第1番目の発明は、インスリン、ペ
プトンおよびトランスフェリンを含有させることを特徴
とする無血清培地である。
【0013】第2番目の発明は、上記第1番目の本発明
培地を用いて培養する動物細胞の培養方法である。
【0014】第3番目の発明は、形質転換させた動物細
胞を上記第1番目の本発明培地を用いて培養して蛋白質
を発現させ、培養物から該蛋白質を採取することを特徴
とする蛋白質の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の無血清培地は、実質的に
血清を含有しないものであり、基本培地に、インスリ
ン、ペプトンおよびトランスフェリンを含有させた培地
である。本発明の培地は特にアルブミンの添加を必要と
することなく、細胞の十分な増殖性を維持することがで
き、アルブミンを添加しないために培養物からの蛋白質
の分離精製が極めて容易になる。
【0016】基本培地としては、一般的に用いられる基
礎培地が挙げられ、すなわち通常動物細胞が同化しうる
炭素源、消化しうる窒素源および無機塩等を含有させた
ものが用いられ、また、必要に応じて微量栄養促進物
質、前駆物質などの微量有効物質を配合してもよい。か
かる基礎培地としては、細胞培養のためのすべての公知
培地を使用することができ、例えば前述のDMEM培
地、F12培地およびRPMI1640培地が例示さ
れ、特にRPMI1640培地が好適である。
【0017】本発明において使用されるインスリンは、
その由来には特に制限はなく、好適にはウシ由来インス
リン又は組換えヒトインスリンが使用される。本発明に
おいて使用されるペプトンは、その由来には特に制限は
なく、好適には牛肉由来ペプトン(BP)が使用され
る。
【0018】本発明の無血清培地におけるインスリンの
含有量は、0.1mg/L〜10mg/L、就中0.1mg/
L〜2mg/L、ペプトンの含有量は、0.1g/L〜1
0g/L、就中1g/L〜6g/L、トランスフェリン
の含有量は、0.5mg/L〜15mg/L、就中9m
g/L〜11mg/Lである。
【0019】本発明の無血清培地には、必要に応じてヒ
ポキサンチン0.1mg/L〜100mg/L、就中10mg
/L〜15mg/L、チミジン0.01mg/L〜100mg
/L、就中2mg/L〜5mg/L、セレン0.01μg/
L〜100μg/L、就中2μg/L〜5μg/L、α
−トコフェロール(ビタミンE)0.001mg/L〜1
0mg/L、就中0.1mg/L〜0.5mg/Lを加えるこ
とができる。
【0020】また、耐性遺伝子を有するベクターを含有
する形質転換された動物細胞を培養しようとする場合に
は、プラスミド形質転換の安定性を保つために該培地に
更にベクター中に含有された耐性遺伝子に相応する選択
剤を加えることもある。選択剤としては、当業者には周
知のもの、例えばネオマイシン、ヒグロマイシン、マイ
コフェノール酸、ヒポキサンチン、キサンチン、アミノ
ブチリンまたはメトトレキセイト(MTX)およびその
誘導体が例示される。
【0021】本発明の無血清培地で培養可能な動物細胞
としては、その細胞自体が蛋白質発現可能なものでも、
遺伝子工学により形質転換され異種蛋白を発現するもの
であってもよい。細胞自体が蛋白質を発現するものとし
て、例えば、モノクローナル抗体を産生するハイブリド
ーマ、IFN−αを産生する白血球、ナマルバ細胞、B
ALL−1細胞、IFN−βを産生する線維芽細胞、I
FN−γを産生するリンパ球、プロUKあるいはUKを
産生するヒト腎細胞、TPAを産生するメラノーマ細胞
(例えば、Bowes細胞)等が例示される。遺伝子工
学により形質転換される株化された宿主細胞としては、
Vero、Hela細胞、chinese hamster ovary(CHO)
Cell line 、WI38、BHK、COS−7、MDCK Cel
l line、C127、HKG、Human kidney Cell lineな
どが挙げられる。具体的には、CHO−K1 (チャイニ
ーズハムスター卵巣細胞 : ATCC CCL61)、BHKハムス
ター腎細胞 : ATCC CCL10)、COS−7(CV-1 Origin,S
V-40細胞 : ATCC CRL1651)、Vero(アフリカミドリ
ザル腎細胞 : ATCC CCL-81) などがあり、更にはマウス
ミエローマ細胞(X63−Ag8−653;P3U
1)、ヒトリンパ芽球細胞(IM-9, ATCC CCL159)、ヒト
ヒトハイブリドーマ作成用親細胞、ならびにこれらのd
hfr欠損株、HGPRT欠損株、ウアバイン耐性株等
が例示される。
【0022】本発明の無血清培地を使用して動物細胞を
培養する方法としては、通常、次の通りにして行われ
る。即ち、本発明の無血清培地を使用する動物細胞の培
養には、培養用としてよく知られているディッシュ、フ
ラスコ、ローラーボトル、スピンナーフラスコ、マイク
ロキャリアー、マイクロカプセルあるいは中空糸を用い
た培養装置などの培養容器が使用できるがこれらに限定
されない。培養方法としては、上記の培養容器などで通
常行われる継代培養のほか、培養槽内から、連続的に、
あるいは間歇的に古い培養液を細胞を含んだまま、ある
いは細胞と分離して抜き出しつつ、それと見合う量の新
しい培養液を供給して、長期間培養条件を一定に制御し
つつ細胞を培養する連続的な培養法などが挙げられる。
特に、本発明の無血清培地を用いる動物細胞の培養はい
わゆる高密度培養が好ましい。具体的には細胞数が10
7 個/ml以上の高密度で行うのが好ましい。その他の
培養条件として培養温度は30〜37℃、培養期間は1
〜10日間が例示される。また、当該培地は適宜交換す
れば、さらに長期間の連続培養が可能である。
【0023】
【実施例】以下に、本発明をより詳細に説明するために
実施例を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限定さ
れるものではない。
【0024】実施例1 (1)無血清培地の作製 基本培地としてRPMI1640培地〔Goding,J.W(198
0)J.Immunol.Methods39,285,JAMA 199(1957) 〕10.
2gを用い、添加物としてインスリン1mg、BP(牛肉
由来ペプトン)5g、トランスフェリン10mg、ヒポキ
サンチン13mg、チミジン4mg、α−トコフェロール
0.13mgおよびセレン4μgを用いて無血清培地1L
を作製した。
【0025】(2)ヒト腎細胞の培養 ヒト腎細胞をマイクロキャリアビーズに付着させたもの
を(1)の無血清培地中に細胞数として、107 cel
ls/mlとなるように添加した。37℃、5%二酸化
炭素の条件で培養したところ、2日間で培養液中に0.
6〜2.5V/ml相当のプロウロキナーゼの産生が確
認できた。その後、2〜3日毎に培養液を交換し、長期
間(少なくとも1ヶ月以上)の連続培養が可能であっ
た。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、細胞を十分に増殖させ
ることができ、かつ細胞が産生した蛋白質を培地から分
離精製することが容易な無血清培地を提供することがで
きる。さらに、本発明の無血清培地では、細胞を徐々に
順化させる必要なく、そのまま増殖させることができ
る。したがって、細胞培養を効率よく行い、蛋白質を大
量かつ効率よく得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インスリン、ペプトンおよびトランスフ
    ェリンを含有することを特徴とする無血清培地。
  2. 【請求項2】 動物細胞を請求項1に記載の無血清培地
    にて培養することを特徴とする動物細胞の培養方法。
  3. 【請求項3】 蛋白質を発現可能な動物細胞を請求項1
    に記載の無血清培地で培養して蛋白質を発現させ、培養
    物から該蛋白質を採取することを特徴とする蛋白質の製
    造方法。
JP8064367A 1996-03-21 1996-03-21 無血清培地、動物細胞の培養方法および蛋白質の製造方法 Pending JPH09252767A (ja)

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