JPH0925101A - メタンの二酸化炭素改質方法及びこの方法に用いる触媒 - Google Patents
メタンの二酸化炭素改質方法及びこの方法に用いる触媒Info
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- JPH0925101A JPH0925101A JP7173682A JP17368295A JPH0925101A JP H0925101 A JPH0925101 A JP H0925101A JP 7173682 A JP7173682 A JP 7173682A JP 17368295 A JP17368295 A JP 17368295A JP H0925101 A JPH0925101 A JP H0925101A
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- Catalysts (AREA)
- Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】触媒としてNiを用いた場合の炭素析出を抑制
することができるメタンの二酸化炭素改質方法を提供す
る。 【解決手段】アルカリ土類金属酸化物又はアルカリ金属
酸化物を助触媒として添加した、ニッケル担持触媒の存
在下で、メタン含有ガスと二酸化炭素含有ガスとを接触
させる。
することができるメタンの二酸化炭素改質方法を提供す
る。 【解決手段】アルカリ土類金属酸化物又はアルカリ金属
酸化物を助触媒として添加した、ニッケル担持触媒の存
在下で、メタン含有ガスと二酸化炭素含有ガスとを接触
させる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、メタン含有ガスと二酸
化炭素含有ガスとを触媒の存在下で接触させて、一酸化
炭素及び水素を含有した合成ガスを製造するメタンの二
酸化炭素改質方法に関し、詳しくは、この方法におい
て、炭素の析出を抑制できる方法に関する。
化炭素含有ガスとを触媒の存在下で接触させて、一酸化
炭素及び水素を含有した合成ガスを製造するメタンの二
酸化炭素改質方法に関し、詳しくは、この方法におい
て、炭素の析出を抑制できる方法に関する。
【0002】
【従来技術】近年、大気中の二酸化炭素(以下、CO2
ともいう。)濃度は増大しており、地球温暖化等、生態
系に及ぼす影響が懸念されている。ここに、かかるCO
2 を固定化し有効利用する方法として、天然ガスの主成
分であるメタンと反応させて化学原料となる合成ガス
(水素と一酸化炭素との混合ガス)に転換する方法(い
わゆるメタンの二酸化炭素改質方法)が試みられてい
る。この反応は、下記の反応式(1)で表される吸熱反
応である。 CH4 +CO2 →2H2 +2CO……(1) (ΔH=247.6kJ/mol)
ともいう。)濃度は増大しており、地球温暖化等、生態
系に及ぼす影響が懸念されている。ここに、かかるCO
2 を固定化し有効利用する方法として、天然ガスの主成
分であるメタンと反応させて化学原料となる合成ガス
(水素と一酸化炭素との混合ガス)に転換する方法(い
わゆるメタンの二酸化炭素改質方法)が試みられてい
る。この反応は、下記の反応式(1)で表される吸熱反
応である。 CH4 +CO2 →2H2 +2CO……(1) (ΔH=247.6kJ/mol)
【0003】通常、かかる反応では、触媒としてVIII属
金属が用いられており、貴金属触媒ではルテニウム(R
u)やロジウム(Rh)が、その他ではニッケル(N
i)が高活性であることが知られている。
金属が用いられており、貴金属触媒ではルテニウム(R
u)やロジウム(Rh)が、その他ではニッケル(N
i)が高活性であることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、卑金属
触媒を用いた場合には、炭素の析出が著しいという問題
があった。炭素の析出は、下記の反応式(2)に示すメ
タンの分解反応に由来するものであり、触媒の劣化、反
応管の閉塞の原因となる。したがって、その析出防止
は、メタンの二酸化炭素改質の実施化には重要な課題で
ある。 CH4 →C+2H2 ……(2)
触媒を用いた場合には、炭素の析出が著しいという問題
があった。炭素の析出は、下記の反応式(2)に示すメ
タンの分解反応に由来するものであり、触媒の劣化、反
応管の閉塞の原因となる。したがって、その析出防止
は、メタンの二酸化炭素改質の実施化には重要な課題で
ある。 CH4 →C+2H2 ……(2)
【0005】そこで、本発明は、前記(1)の反応にお
いて、触媒としてNiを用いた場合の炭素析出を抑制す
ることができるメタンの二酸化炭素改質方法を提供する
ことを目的とする。また、本発明は、かかる二酸化炭素
改質方法に用いるNi担持触媒を提供することを目的と
する。
いて、触媒としてNiを用いた場合の炭素析出を抑制す
ることができるメタンの二酸化炭素改質方法を提供する
ことを目的とする。また、本発明は、かかる二酸化炭素
改質方法に用いるNi担持触媒を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、本発明者らは、ニッケル担持触媒の助触媒とし
てアルカリ土類金属酸化物あるいはアルカリ金属酸化物
に着目し、以下の発明を完成した。すなわち、請求項1
に記載の発明は、アルカリ土類金属酸化物又はアルカリ
金属酸化物を助触媒として添加した、ニッケル担持触媒
の存在下で、メタン含有ガスと二酸化炭素含有ガスとを
接触させることを特徴とするメタンの二酸化炭素改質方
法である。また、請求項2に記載の発明は、前記アルカ
リ土類金属酸化物は、酸化マグネシムあるいは酸化カル
シウムであり、前記アルカリ金属酸化物は、酸化ナトリ
ウムあるいは酸化カリウムであること特徴とするメタン
の二酸化炭素改質方法である。また、請求項3に記載の
発明は、前記アルカリ土類金属酸化物又はアルカリ金属
酸化物は、前記ニッケル担持触媒に対して1〜10wt%
の範囲で添加されていることを特徴とする請求項1又は
2に記載のメタンの二酸化炭素改質方法である。また、
請求項4に記載の発明は、メタンの二酸化炭素改質方法
に用いるニッケル担持触媒であって、前記ニッケル担持
触媒に、アルカリ土類金属酸化物又はアルカリ金属酸化
物を添加してなることを特徴とする触媒である。
ために、本発明者らは、ニッケル担持触媒の助触媒とし
てアルカリ土類金属酸化物あるいはアルカリ金属酸化物
に着目し、以下の発明を完成した。すなわち、請求項1
に記載の発明は、アルカリ土類金属酸化物又はアルカリ
金属酸化物を助触媒として添加した、ニッケル担持触媒
の存在下で、メタン含有ガスと二酸化炭素含有ガスとを
接触させることを特徴とするメタンの二酸化炭素改質方
法である。また、請求項2に記載の発明は、前記アルカ
リ土類金属酸化物は、酸化マグネシムあるいは酸化カル
シウムであり、前記アルカリ金属酸化物は、酸化ナトリ
ウムあるいは酸化カリウムであること特徴とするメタン
の二酸化炭素改質方法である。また、請求項3に記載の
発明は、前記アルカリ土類金属酸化物又はアルカリ金属
酸化物は、前記ニッケル担持触媒に対して1〜10wt%
の範囲で添加されていることを特徴とする請求項1又は
2に記載のメタンの二酸化炭素改質方法である。また、
請求項4に記載の発明は、メタンの二酸化炭素改質方法
に用いるニッケル担持触媒であって、前記ニッケル担持
触媒に、アルカリ土類金属酸化物又はアルカリ金属酸化
物を添加してなることを特徴とする触媒である。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて有用な触媒金属は、Niである。Niは、貴金属
触媒に比べ経済的でかつ安定な供給が可能だからであ
る。また、本発明においてNiを担持する触媒担体とし
ては、多孔性のセラミックスが好適である。一般に40
0〜800℃の範囲の高温でメタンの二酸化炭素改質反
応が行われ、かかる温度範囲での耐熱性が必要だからで
ある。かかる多孔性セラミックスとしては、Al
2 O3 、TiO2 、SiO2 等、特に限定せずに用いる
ことができるが、γAl2 O3 が好適である。γAl2
O3 は、数nmの細孔を形成するのが容易でしかも、耐
熱性の点でSiO2 よりも優れるからである。かかる担
体の形状は、粒状、粉状、膜状等いずれをも問うもので
なく、触媒の調製方法等を考慮して適切な形状を選択す
ることができる。また、粒状、あるいは粉状の場合の好
ましい粒度は、20〜30メッシュ、すなわち、850
〜500μmのの範囲である。
おいて有用な触媒金属は、Niである。Niは、貴金属
触媒に比べ経済的でかつ安定な供給が可能だからであ
る。また、本発明においてNiを担持する触媒担体とし
ては、多孔性のセラミックスが好適である。一般に40
0〜800℃の範囲の高温でメタンの二酸化炭素改質反
応が行われ、かかる温度範囲での耐熱性が必要だからで
ある。かかる多孔性セラミックスとしては、Al
2 O3 、TiO2 、SiO2 等、特に限定せずに用いる
ことができるが、γAl2 O3 が好適である。γAl2
O3 は、数nmの細孔を形成するのが容易でしかも、耐
熱性の点でSiO2 よりも優れるからである。かかる担
体の形状は、粒状、粉状、膜状等いずれをも問うもので
なく、触媒の調製方法等を考慮して適切な形状を選択す
ることができる。また、粒状、あるいは粉状の場合の好
ましい粒度は、20〜30メッシュ、すなわち、850
〜500μmのの範囲である。
【0008】Niを担体に担持させる方法としては、沈
殿法の他、吸着法(含浸法)、細孔充填法あるいは噴霧
法等の浸漬法、さらには、CVD法等を用いることがで
きる。例えば、含浸法による場合のNiの前駆体原料と
しては、硝酸塩、アセチルアセトナト塩、アルコキシ
ド、酢酸塩、カルボニル塩等を用いることができる。含
浸法によれば、これらの前駆体原料の溶液に担体を一定
時間浸漬した後、乾燥し、仮焼し、前駆体原料を熱分解
後、Ni担持触媒とすることができる。なお、本発明の
Ni担持触媒は、さらに、助触媒を添加するため、触媒
の還元は、助触媒の添加後に行う。
殿法の他、吸着法(含浸法)、細孔充填法あるいは噴霧
法等の浸漬法、さらには、CVD法等を用いることがで
きる。例えば、含浸法による場合のNiの前駆体原料と
しては、硝酸塩、アセチルアセトナト塩、アルコキシ
ド、酢酸塩、カルボニル塩等を用いることができる。含
浸法によれば、これらの前駆体原料の溶液に担体を一定
時間浸漬した後、乾燥し、仮焼し、前駆体原料を熱分解
後、Ni担持触媒とすることができる。なお、本発明の
Ni担持触媒は、さらに、助触媒を添加するため、触媒
の還元は、助触媒の添加後に行う。
【0009】本発明に有用な助触媒は、アルカリ土類金
属酸化物又はアルカリ金属酸化物に代表される塩基性酸
化物であり、本発明では、これらの金属酸化物のうち選
択された1種または2種以上を組み合わせて用いること
ができる。かかる助触媒として、好ましくは、酸化マグ
ネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)(以
上、アルカリ土類金属酸化物)であり、酸化ナトリウム
(Na2 O),酸化カリウム(K2 O)(以上、アルカ
リ金属酸化物)である。これらの金属酸化物をNi担持
触媒に添加するには、Niを担体に担持するのと同様
に、沈殿法の他、含浸法、細孔充填法あるいは噴霧法等
の浸漬法、さらにはCVD法等を用いることができる。
属酸化物又はアルカリ金属酸化物に代表される塩基性酸
化物であり、本発明では、これらの金属酸化物のうち選
択された1種または2種以上を組み合わせて用いること
ができる。かかる助触媒として、好ましくは、酸化マグ
ネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)(以
上、アルカリ土類金属酸化物)であり、酸化ナトリウム
(Na2 O),酸化カリウム(K2 O)(以上、アルカ
リ金属酸化物)である。これらの金属酸化物をNi担持
触媒に添加するには、Niを担体に担持するのと同様
に、沈殿法の他、含浸法、細孔充填法あるいは噴霧法等
の浸漬法、さらにはCVD法等を用いることができる。
【0010】例えば、含浸法によりこれらの金属酸化物
を担持させる場合の前駆体原料としては、硝酸塩、アセ
チルアセトナト塩、アルコキシド、酢酸塩、カルボニル
塩等を使用することができ、これらの前駆体原料溶液に
前記Ni担持触媒を含浸した後、さらに、不要成分が除
去される。
を担持させる場合の前駆体原料としては、硝酸塩、アセ
チルアセトナト塩、アルコキシド、酢酸塩、カルボニル
塩等を使用することができ、これらの前駆体原料溶液に
前記Ni担持触媒を含浸した後、さらに、不要成分が除
去される。
【0011】このように助触媒成分を前駆体として添加
したNi担持触媒は、触媒反応装置に最も適した形状に
成形されて用いられる。形状は、粒状、粉状、膜状、錠
剤状、モール状等必要に応じて選択することができる。
また、成形方法も、打錠成形、押出し成形、噴霧成形、
転動造粒等の各種方法を用いることができる。
したNi担持触媒は、触媒反応装置に最も適した形状に
成形されて用いられる。形状は、粒状、粉状、膜状、錠
剤状、モール状等必要に応じて選択することができる。
また、成形方法も、打錠成形、押出し成形、噴霧成形、
転動造粒等の各種方法を用いることができる。
【0012】さらに、前駆体を付与したNi担持触媒
は、乾燥され、高温で加熱され前駆体原料塩が熱分解さ
れて酸化物の状態とされることにより、助触媒が金属酸
化物としてNi担持触媒に添加される。熱分解時の加熱
温度は使用した塩の分解温度以上である必要がある。通
常300〜800℃で、1〜3時間行われる。このよう
に、助触媒を添加したNi担持触媒は、還元して、酸化
ニッケルをニッケルとすることにより賦活化され、活性
な触媒となり本発明方法に使用できる。触媒の還元処理
は、本発明方法の実施に際して、反応装置内で行っても
よく、また、予め、還元処理をした触媒を用いることも
できる。したがって、本発明の触媒は、特に触媒賦活化
のための還元処理の有無を問うものではない。
は、乾燥され、高温で加熱され前駆体原料塩が熱分解さ
れて酸化物の状態とされることにより、助触媒が金属酸
化物としてNi担持触媒に添加される。熱分解時の加熱
温度は使用した塩の分解温度以上である必要がある。通
常300〜800℃で、1〜3時間行われる。このよう
に、助触媒を添加したNi担持触媒は、還元して、酸化
ニッケルをニッケルとすることにより賦活化され、活性
な触媒となり本発明方法に使用できる。触媒の還元処理
は、本発明方法の実施に際して、反応装置内で行っても
よく、また、予め、還元処理をした触媒を用いることも
できる。したがって、本発明の触媒は、特に触媒賦活化
のための還元処理の有無を問うものではない。
【0013】助触媒として添加するこれらの金属酸化物
は、総量で、Ni担持触媒に対して1〜10wt%(以
下、単に%という。)で添加されていることが好まし
い。1%より少なくては、助触媒添加の効果が得られ
ず、10%を越えては、助触媒成分によって細孔の閉塞
が起こり、触媒の有効表面積が減少するなどの問題が起
こるからである。また、より好ましくは、5〜10%の
範囲である。
は、総量で、Ni担持触媒に対して1〜10wt%(以
下、単に%という。)で添加されていることが好まし
い。1%より少なくては、助触媒添加の効果が得られ
ず、10%を越えては、助触媒成分によって細孔の閉塞
が起こり、触媒の有効表面積が減少するなどの問題が起
こるからである。また、より好ましくは、5〜10%の
範囲である。
【0014】このように助触媒を添加したNi担持触媒
により、メタンの二酸化炭素改質方法を行う場合、反応
温度は、通常300〜1000℃の範囲であり、好まし
くは、500〜800℃である。また、本発明方法を適
用して、触媒を通常の流通式管型反応器内に充填し、天
然ガスなどメタンを含有するガスと工場で排出された燃
焼ガスなど二酸化炭素を含有するガスを導入して反応を
連続的に行わせることができる。この際の反応温度は、
300〜1000℃、好ましくは、500〜800℃、
圧力は、1〜40気圧好ましくは、1〜30気圧であ
る。
により、メタンの二酸化炭素改質方法を行う場合、反応
温度は、通常300〜1000℃の範囲であり、好まし
くは、500〜800℃である。また、本発明方法を適
用して、触媒を通常の流通式管型反応器内に充填し、天
然ガスなどメタンを含有するガスと工場で排出された燃
焼ガスなど二酸化炭素を含有するガスを導入して反応を
連続的に行わせることができる。この際の反応温度は、
300〜1000℃、好ましくは、500〜800℃、
圧力は、1〜40気圧好ましくは、1〜30気圧であ
る。
【0015】なお、本発明におけるNi担持触媒への助
触媒添加の効果は以下のように考えられる。助触媒とし
て添加するアルカリ土類金属酸化物あるいはアルカリ金
属酸化物は電子供与性であり、Ni表面へ添加した場合
には、Ni表面の電子密度を増すと考えられる。一方、
二酸化炭素は求電子性のガスであるので、触媒表面の電
子密度が高くなると触媒への親和性が向上する。その結
果Ni表面は、二酸化炭素の解離によって生じた酸素吸
着種濃度が高くなり、メタン吸着種の濃度が低下する。
カーボンの析出はメタンの分解反応によるため、メタン
吸着種の濃度が低下すれば、カーボン析出量が低下され
る。
触媒添加の効果は以下のように考えられる。助触媒とし
て添加するアルカリ土類金属酸化物あるいはアルカリ金
属酸化物は電子供与性であり、Ni表面へ添加した場合
には、Ni表面の電子密度を増すと考えられる。一方、
二酸化炭素は求電子性のガスであるので、触媒表面の電
子密度が高くなると触媒への親和性が向上する。その結
果Ni表面は、二酸化炭素の解離によって生じた酸素吸
着種濃度が高くなり、メタン吸着種の濃度が低下する。
カーボンの析出はメタンの分解反応によるため、メタン
吸着種の濃度が低下すれば、カーボン析出量が低下され
る。
【0016】また、かかる助触媒の添加されたNi表面
では、電子密度が増す結果、メタン吸着種(CHx )の
状態が変化する。すなわち、Ni表面の電子密度が増大
することにより、メタンがNi表面に吸着する際の水素
の引き抜きが抑制され、これにより、メタン吸着種(C
Hx )の水素量xが多くなってメタンの分解反応自体が
抑制され、結果として炭素として析出しくくなり、カー
ボン析出量が低下される。
では、電子密度が増す結果、メタン吸着種(CHx )の
状態が変化する。すなわち、Ni表面の電子密度が増大
することにより、メタンがNi表面に吸着する際の水素
の引き抜きが抑制され、これにより、メタン吸着種(C
Hx )の水素量xが多くなってメタンの分解反応自体が
抑制され、結果として炭素として析出しくくなり、カー
ボン析出量が低下される。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、アルカリ土類金属酸化
物あるいはアルカリ金属酸化物を助触媒として添加した
Ni担持触媒下で、メタンと二酸化炭素を接触させるこ
とにより、触媒表面での炭素析出量が低減されたメタン
の二酸化炭素改質反応が達成される。
物あるいはアルカリ金属酸化物を助触媒として添加した
Ni担持触媒下で、メタンと二酸化炭素を接触させるこ
とにより、触媒表面での炭素析出量が低減されたメタン
の二酸化炭素改質反応が達成される。
【0018】
【実施例】以下、本発明を具現化した実施例を示す。 (実施例1〜12) 〔触媒の合成〕触媒担体として、20/30メッシュに
粉砕したγAl2 O3 (住友化学(株)製、KHS−4
6)を用いた。このγAl2 O3 に、ニッケルの原料塩
として硝酸ニッケルを用い、Ni金属量がNiを担持さ
せた状態の触媒全体の10%となるように、含浸法によ
りNiを担持させた。すなわち、所定濃度の硝酸ニッケ
ル溶液にγAl2 O3 を一定時間浸漬した後、110℃
で一晩乾燥させ、800℃で3時間仮焼し、Ni担持触
媒を得た。
粉砕したγAl2 O3 (住友化学(株)製、KHS−4
6)を用いた。このγAl2 O3 に、ニッケルの原料塩
として硝酸ニッケルを用い、Ni金属量がNiを担持さ
せた状態の触媒全体の10%となるように、含浸法によ
りNiを担持させた。すなわち、所定濃度の硝酸ニッケ
ル溶液にγAl2 O3 を一定時間浸漬した後、110℃
で一晩乾燥させ、800℃で3時間仮焼し、Ni担持触
媒を得た。
【0019】次に、このNi担持触媒に対して各種金属
酸化物を助触媒として添加し、実施例1〜12の触媒を
調製した。すなわち、アルカリ土類金属酸化物として、
MgO及びCaOを選び、アルカリ金属酸化物としてN
a2 O及びK2 Oを選び、それぞれの金属酸化物の添加
量が前記Ni担持触媒の重量に対して1、5、10%と
なるように担持した。各種金属酸化物の原料としては、
それぞれの硝酸塩とし、これらの硝酸塩溶液に前記Ni
担持触媒を分散させ、含浸法により各種前駆体を付与し
たNi担持触媒を調製した。この後、110℃で一晩乾
燥後、800℃で3時間仮焼することにより、各種前駆
体を酸化物として、表1に示す実施例1〜12の触媒を
調製した。これらの触媒について、以下の項目について
触媒性能の評価を行った。
酸化物を助触媒として添加し、実施例1〜12の触媒を
調製した。すなわち、アルカリ土類金属酸化物として、
MgO及びCaOを選び、アルカリ金属酸化物としてN
a2 O及びK2 Oを選び、それぞれの金属酸化物の添加
量が前記Ni担持触媒の重量に対して1、5、10%と
なるように担持した。各種金属酸化物の原料としては、
それぞれの硝酸塩とし、これらの硝酸塩溶液に前記Ni
担持触媒を分散させ、含浸法により各種前駆体を付与し
たNi担持触媒を調製した。この後、110℃で一晩乾
燥後、800℃で3時間仮焼することにより、各種前駆
体を酸化物として、表1に示す実施例1〜12の触媒を
調製した。これらの触媒について、以下の項目について
触媒性能の評価を行った。
【表1】 実施例の種類
【0020】1.カーボン析出量の測定 実施例1〜12の各触媒について、図1に示す固定床流
通式管型反応装置を用いて、800℃で3時間、H2 気
流中で還元し、そのままメタンの二酸化炭素改質反応
(以下、単にCH4 −CO2 反応という。)反応を実施
して、触媒に付着したカーボン量を測定した。図1
(a)には反応装置全体の概略が示され、(b)には触
媒が充填された触媒部の構造が示されている。なお、対
照例として、実施例と同様に調製したNi担持触媒に助
触媒を添加せずに、還元処理したものについても併せて
カーボン量を測定した。また、併せて、メタンのみを反
応装置に流通させて、メタン分解反応のみを行わせた場
合のカーボン量も測定した。
通式管型反応装置を用いて、800℃で3時間、H2 気
流中で還元し、そのままメタンの二酸化炭素改質反応
(以下、単にCH4 −CO2 反応という。)反応を実施
して、触媒に付着したカーボン量を測定した。図1
(a)には反応装置全体の概略が示され、(b)には触
媒が充填された触媒部の構造が示されている。なお、対
照例として、実施例と同様に調製したNi担持触媒に助
触媒を添加せずに、還元処理したものについても併せて
カーボン量を測定した。また、併せて、メタンのみを反
応装置に流通させて、メタン分解反応のみを行わせた場
合のカーボン量も測定した。
【0021】〔CH4 −CO2 反応の条件〕 反応ガス組成:CH4 15ml/min CO2 15ml/min 反応温度 :800℃ 反応時間 :5時間 触媒量 :約0.1g 〔CH4 分解反応の条件〕 ガス組成 :CH4 15ml/min Ar 15ml/min 反応温度 :800℃ 反応時間 :5時間 触媒量 :約0.1g
【0022】なお、カーボン量の測定は、炭素分析器
(堀場製作所製、EMIA−110)を用いて、反応後
の触媒を高温酸素気流中で燃焼させ発生した二酸化炭素
の赤外スペクトルの特定のパンドの吸光度を測定してカ
ーボン量Wcを測定した。そして、以下の計算式から触
媒1g当たりのカーボン量を算出した。 カーボン量〔mg/g触媒〕=Wc/(W−Wc)×10
00 Wc;カーボン量(g) W ;反応後の触媒採取量(g)
(堀場製作所製、EMIA−110)を用いて、反応後
の触媒を高温酸素気流中で燃焼させ発生した二酸化炭素
の赤外スペクトルの特定のパンドの吸光度を測定してカ
ーボン量Wcを測定した。そして、以下の計算式から触
媒1g当たりのカーボン量を算出した。 カーボン量〔mg/g触媒〕=Wc/(W−Wc)×10
00 Wc;カーボン量(g) W ;反応後の触媒採取量(g)
【0023】2.反応次数の測定 実施例6の触媒(CaO10%添加触媒)につき、固定
床流通式管型反応装置を用いて反応管内に各触媒gを充
填し、H2 気流中、800℃、3時間還元後、以下の条
件でCH4 −CO2 反応を行い、ここではメタン転化率
を測定し、反応次数を求めた。メタン転化率は、触媒反
応後のガス中のCH4 濃度及びH2 濃度をガスクロマト
グラフィーにより測定して行った。また、転化率が5%
以下となるように触媒量は0.15gとした。なお、
1.炭素析出量と同様に、助触媒を添加していないNi
担持触媒を対照例として併せて反応次数を求めた。
床流通式管型反応装置を用いて反応管内に各触媒gを充
填し、H2 気流中、800℃、3時間還元後、以下の条
件でCH4 −CO2 反応を行い、ここではメタン転化率
を測定し、反応次数を求めた。メタン転化率は、触媒反
応後のガス中のCH4 濃度及びH2 濃度をガスクロマト
グラフィーにより測定して行った。また、転化率が5%
以下となるように触媒量は0.15gとした。なお、
1.炭素析出量と同様に、助触媒を添加していないNi
担持触媒を対照例として併せて反応次数を求めた。
【0024】〔CH4 −CO2 反応条件〕 反応ガス組成:CH4 15ml/CO2 5〜25ml、
Arで全ガス流量を60ml/minとする。CO2 1
5ml/CH4 5〜25ml、Arで全ガス流量を60
ml/minとする。 反応温度 :700℃
Arで全ガス流量を60ml/minとする。CO2 1
5ml/CH4 5〜25ml、Arで全ガス流量を60
ml/minとする。 反応温度 :700℃
【0025】 メタン転化率=全CH4 量のうちH2 への転換量/反応前の全CH4 量 =生成ガスのH2 濃度/(2生成ガスのCH4 濃度+生成ガス のH2 濃度)
【0026】反応次数は、流量から分圧を計算し、転化
率と分圧とを両対数グラフにプロットし、その傾きから
求める。なお、CO2 とCH4 の吸着種の反応は表面反
応であり、反応速度は、吸着種の表面被覆率の一次反応
として表される(ラングミュア・ヒンシェルウッド反応
機構)。メタンと二酸化炭素の同一活性点への競争吸着
を仮定すると表面被覆率は、ラングミュア式で与えら
れ、その結果反応速度rは次式で示すことができる。 r=kKCH4 KCO2 pCH4 pCO2 /(1+KCH4 pCH4
+KCO2 pCO2 )2 k:反応速度定数 K:吸着平衡定数 θ:吸着種の表面被覆率 p:ガスの分圧
率と分圧とを両対数グラフにプロットし、その傾きから
求める。なお、CO2 とCH4 の吸着種の反応は表面反
応であり、反応速度は、吸着種の表面被覆率の一次反応
として表される(ラングミュア・ヒンシェルウッド反応
機構)。メタンと二酸化炭素の同一活性点への競争吸着
を仮定すると表面被覆率は、ラングミュア式で与えら
れ、その結果反応速度rは次式で示すことができる。 r=kKCH4 KCO2 pCH4 pCO2 /(1+KCH4 pCH4
+KCO2 pCO2 )2 k:反応速度定数 K:吸着平衡定数 θ:吸着種の表面被覆率 p:ガスの分圧
【0027】この式において、触媒表面のガスに対する
親和性が高いと平衡定数Kは大きい値をとり、親和性が
低いと平衡定数Kは小さい値をとる。したがって、CO
2 の親和性が非常に大きく、CH4 の親和性がほとんど
ない場合には、 r=KpCO2 -1pCH4 と近似され、反応速度は、CO2 分圧に対して−1次と
なる。一方、CH4 の親和性が非常に大きく、CO2 の
親和性がほとんどない場合には、 r=KpCH4 -1pCO2 と近似され、反応速度は、CH4 分圧に対して−1次と
なる。したがって、反応次数が負であれば触媒のそのガ
スに対する親和性が高く、正であれば親和性が低いこと
を示す。
親和性が高いと平衡定数Kは大きい値をとり、親和性が
低いと平衡定数Kは小さい値をとる。したがって、CO
2 の親和性が非常に大きく、CH4 の親和性がほとんど
ない場合には、 r=KpCO2 -1pCH4 と近似され、反応速度は、CO2 分圧に対して−1次と
なる。一方、CH4 の親和性が非常に大きく、CO2 の
親和性がほとんどない場合には、 r=KpCH4 -1pCO2 と近似され、反応速度は、CH4 分圧に対して−1次と
なる。したがって、反応次数が負であれば触媒のそのガ
スに対する親和性が高く、正であれば親和性が低いこと
を示す。
【0028】3.反応速度の測定 各実施例の触媒につき、図1に示す固定床流通式管型反
応装置を用いて反応管内に各触媒を充填し、H2 気流
中、800℃、3時間還元後、以下の条件でCH 4 −C
O2 反応を行い、2.反応次数の測定と同様に、メタン
転化率を測定し、反応速度を求めた。なお、転化率が数
%である場合には、微分反応器として近似でき、転化率
から直接反応速度が計算できるため、メタン転化率が5
%以下となるように触媒量は0.15mgとした。
応装置を用いて反応管内に各触媒を充填し、H2 気流
中、800℃、3時間還元後、以下の条件でCH 4 −C
O2 反応を行い、2.反応次数の測定と同様に、メタン
転化率を測定し、反応速度を求めた。なお、転化率が数
%である場合には、微分反応器として近似でき、転化率
から直接反応速度が計算できるため、メタン転化率が5
%以下となるように触媒量は0.15mgとした。
【0029】〔CH4 −CO2 反応条件〕 反応ガス組成:CH4 /CO2 /Ar=15/15/3
0〔ml/min〕 反応温度 :400〜800℃
0〔ml/min〕 反応温度 :400〜800℃
【0030】反応速度r〔mol・s-1g-1〕は、転化
率をxとし、単位時間当たりのガス流量を例えばメタン
Vml/min(20℃)、使用した触媒重量をWgと
すると、 r= V×x/(24000×60W)〔mol・s-1
g-1〕 の式で求めることができる。
率をxとし、単位時間当たりのガス流量を例えばメタン
Vml/min(20℃)、使用した触媒重量をWgと
すると、 r= V×x/(24000×60W)〔mol・s-1
g-1〕 の式で求めることができる。
【0031】4.Ni活性表面積の測定 H2 気流中、800℃、3時間の還元後の実施例1〜1
2の各触媒について、パルス吸着法により、触媒表面に
COガスを吸着させて、全COガス吸着量を測定した。
なお、本測定は還元後の触媒を室温に戻した後行い、C
Oパルスは5回打ち込んだ。本測定においては、COと
Niはほぼ化学量論的に1:1で結合するのでCO吸着
量は触媒表面に露出したNi原子数を示している。した
がって、単位面積あたりのNi原子数1.54×1019
原子/m2 とCO吸着量からNi活性表面積を求めるこ
とができる。また、CO吸着測定後の触媒を用いてXR
D測定を行った。
2の各触媒について、パルス吸着法により、触媒表面に
COガスを吸着させて、全COガス吸着量を測定した。
なお、本測定は還元後の触媒を室温に戻した後行い、C
Oパルスは5回打ち込んだ。本測定においては、COと
Niはほぼ化学量論的に1:1で結合するのでCO吸着
量は触媒表面に露出したNi原子数を示している。した
がって、単位面積あたりのNi原子数1.54×1019
原子/m2 とCO吸着量からNi活性表面積を求めるこ
とができる。また、CO吸着測定後の触媒を用いてXR
D測定を行った。
【0032】これらの評価結果を図2ないし図7及び表
2に示す。
2に示す。
【0033】図2には、CH4 −CO2 反応において、
各実施例及び対照例のカーボン析出量が示されている。
カーボン析出量は、助触媒を添加していない対照例の触
媒では、触媒1gあたり470mgものカーボンが析出
するのに対し、助触媒の添加によりカーボン析出量は、
ほぼ100mg/g以下に抑えられた。特に、CaOを
添加した実施例4〜6は、他の触媒に比較して、カーボ
ン析出量が低減されており、中でも実施例5、6(添加
量5、10%)については、10mg/g以下であっ
た。
各実施例及び対照例のカーボン析出量が示されている。
カーボン析出量は、助触媒を添加していない対照例の触
媒では、触媒1gあたり470mgものカーボンが析出
するのに対し、助触媒の添加によりカーボン析出量は、
ほぼ100mg/g以下に抑えられた。特に、CaOを
添加した実施例4〜6は、他の触媒に比較して、カーボ
ン析出量が低減されており、中でも実施例5、6(添加
量5、10%)については、10mg/g以下であっ
た。
【0034】また、助触媒の種類とカーボン析出量との
関係では、MgO添加触媒とK2 O添加触媒では、添加
量1%で、析出量は極小を呈し、添加量の増加によって
やや析出量がやや増加するものの、添加量1、5、10
%で比較的安定した値を呈する一方、CaO添加触媒と
Na2 O添加触媒では、添加量1%、5%で析出量が大
きく低減されるが、5%と10%とでは析出量に変化が
見られないという傾向があった。
関係では、MgO添加触媒とK2 O添加触媒では、添加
量1%で、析出量は極小を呈し、添加量の増加によって
やや析出量がやや増加するものの、添加量1、5、10
%で比較的安定した値を呈する一方、CaO添加触媒と
Na2 O添加触媒では、添加量1%、5%で析出量が大
きく低減されるが、5%と10%とでは析出量に変化が
見られないという傾向があった。
【0035】さらに、ガス組成をCH4 とCO2 とから
CH4 のみに変えてメタン分解反応のみが発生するよう
な条件でのカーボン析出量を図3に示す。この結果から
明らかなように、実施例においては、CH4 のみのガス
組成の方が、CH4 とCO2 との混合ガスの場合よりも
炭素析出量が多くなっている。これは、メタン種の吸着
種の増加によると考えられる。ところが、CH4 ガス下
での対照例と実施例とを比較すると、実施例のカーボン
析出量は、対照例の数分の1程度に低減されている。す
なわち、メタン吸着種のみしか存在しない場合であっ
て、CO2 吸着種と競合しない状態でも、カーボン析出
量が低減している。このことは、メタン吸着種のみの存
在下、メタンの分解反応自体が抑制されていると考えら
れる。このように、Ni担持触媒に助触媒として金属酸
化物を添加することにより、炭素析出量を大幅に低減で
きることが明らかであった。
CH4 のみに変えてメタン分解反応のみが発生するよう
な条件でのカーボン析出量を図3に示す。この結果から
明らかなように、実施例においては、CH4 のみのガス
組成の方が、CH4 とCO2 との混合ガスの場合よりも
炭素析出量が多くなっている。これは、メタン種の吸着
種の増加によると考えられる。ところが、CH4 ガス下
での対照例と実施例とを比較すると、実施例のカーボン
析出量は、対照例の数分の1程度に低減されている。す
なわち、メタン吸着種のみしか存在しない場合であっ
て、CO2 吸着種と競合しない状態でも、カーボン析出
量が低減している。このことは、メタン吸着種のみの存
在下、メタンの分解反応自体が抑制されていると考えら
れる。このように、Ni担持触媒に助触媒として金属酸
化物を添加することにより、炭素析出量を大幅に低減で
きることが明らかであった。
【0036】図4に示す反応次数の結果では、対照例で
は、メタン分圧に対して−0.3次、二酸化炭素分圧に
対して+0.2次の反応次数をとる。これより、対照例
の助触媒無添加Ni担持触媒がメタンに対する親和性が
高いことが明らかである。これに対して、図5に示す実
施例6(CaO10%添加触媒)の反応次数の結果で
は、実施例6のCaOを10%添加したNi担持触媒で
は、メタン分圧に対して+0.4次、二酸化炭素分圧に
対して−0.6次となり、反応次数の符号が逆転し、こ
の助触媒の添加によってNi表面がメタン親和性から二
酸化炭素親和性に変化したことが明らかである。
は、メタン分圧に対して−0.3次、二酸化炭素分圧に
対して+0.2次の反応次数をとる。これより、対照例
の助触媒無添加Ni担持触媒がメタンに対する親和性が
高いことが明らかである。これに対して、図5に示す実
施例6(CaO10%添加触媒)の反応次数の結果で
は、実施例6のCaOを10%添加したNi担持触媒で
は、メタン分圧に対して+0.4次、二酸化炭素分圧に
対して−0.6次となり、反応次数の符号が逆転し、こ
の助触媒の添加によってNi表面がメタン親和性から二
酸化炭素親和性に変化したことが明らかである。
【0037】表2には、他の助触媒添加した実施例の反
応次数を併せて示す。CaO以外の金属酸化物を添加し
たNi担持触媒の実施例においても、二酸化炭素に対す
る反応次数の符号は負になっており、二酸化炭素親和性
が高くなっていることが明らかであった。
応次数を併せて示す。CaO以外の金属酸化物を添加し
たNi担持触媒の実施例においても、二酸化炭素に対す
る反応次数の符号は負になっており、二酸化炭素親和性
が高くなっていることが明らかであった。
【0038】
【表2】
【0039】この二酸化炭素親和性の増大は、金属酸化
物が電子供与性であり、Ni表面の電子密度を増大させ
たことによる。電子密度の増大により、Ni表面での酸
素吸着種の濃度が高くなり、逆にメタン吸着種の濃度が
低下する。このように、助触媒添加による反応次数の逆
転現象は、カーボン析出量の低減現象に対応している。
物が電子供与性であり、Ni表面の電子密度を増大させ
たことによる。電子密度の増大により、Ni表面での酸
素吸着種の濃度が高くなり、逆にメタン吸着種の濃度が
低下する。このように、助触媒添加による反応次数の逆
転現象は、カーボン析出量の低減現象に対応している。
【0040】また、図6に示す反応速度の測定結果で
は、MgO添加系の実施例1〜3では、無添加のNi担
持触媒である対照例とほぼ同程度の反応速度であった
が、他の実施例では、反応速度は低下していた。これ
は、Ni表面へのメタン吸着種の濃度が低下することに
よるものと考えられ、助触媒の添加によるカーボン析出
量の低減現象に対応している。
は、MgO添加系の実施例1〜3では、無添加のNi担
持触媒である対照例とほぼ同程度の反応速度であった
が、他の実施例では、反応速度は低下していた。これ
は、Ni表面へのメタン吸着種の濃度が低下することに
よるものと考えられ、助触媒の添加によるカーボン析出
量の低減現象に対応している。
【0041】一方、図7の各実施例及び対照例のNi活
性表面積との関係によれば、CaOを添加した触媒(実
施例4〜6)は、添加量にかかわらず活性表面積は一定
であった。それ以外の系では、1%の添加量で活性表面
積は無添加時の約1/10に減少した。また、MgOや
K2 O添加系では、1%の添加量で活性表面積は明らか
な極小を呈し、5%、10%の添加量で活性表面積が回
復し、特にMgO添加触媒では、無添加時よりも活性表
面積が増大し、また、K2 O添加触媒では、無添加時よ
りもやや減少する程度である。一方、Na2 O添加触媒
では、添加量が増えても、活性表面積は低下したままで
ある。
性表面積との関係によれば、CaOを添加した触媒(実
施例4〜6)は、添加量にかかわらず活性表面積は一定
であった。それ以外の系では、1%の添加量で活性表面
積は無添加時の約1/10に減少した。また、MgOや
K2 O添加系では、1%の添加量で活性表面積は明らか
な極小を呈し、5%、10%の添加量で活性表面積が回
復し、特にMgO添加触媒では、無添加時よりも活性表
面積が増大し、また、K2 O添加触媒では、無添加時よ
りもやや減少する程度である。一方、Na2 O添加触媒
では、添加量が増えても、活性表面積は低下したままで
ある。
【0042】MgOやK2 O添加系における活性表面積
の変化、特に、1%での添加量の極小は、カーボン析出
量の変化の傾向と対応しており、一方、CaOやNa2
O添加系、特にCaO添加触媒における活性表面積の変
化、すなわち、助触媒添加量に対して活性表面積の変化
が小さいことは、添加量によって析出量の変化が小さい
というカーボン析出量の変化の傾向に対応している。こ
のように、Ni活性表面積の変化は、実施例でのカーボ
ン析出量の低減現象に対応していた。
の変化、特に、1%での添加量の極小は、カーボン析出
量の変化の傾向と対応しており、一方、CaOやNa2
O添加系、特にCaO添加触媒における活性表面積の変
化、すなわち、助触媒添加量に対して活性表面積の変化
が小さいことは、添加量によって析出量の変化が小さい
というカーボン析出量の変化の傾向に対応している。こ
のように、Ni活性表面積の変化は、実施例でのカーボ
ン析出量の低減現象に対応していた。
【図1】固定床流通式管型反応装置の概略を示す図であ
る。
る。
【図2】助触媒添加量とカーボン析出量との変化を示す
グラフ図である。
グラフ図である。
【図3】ガス組成とカーボン析出量との変化を示すグラ
フ図である。
フ図である。
【図4】対照例(助触媒無添加のNi担持触媒)の反応
次数を示すグラフ図である。
次数を示すグラフ図である。
【図5】実施例6(CaO10%添加Ni担持触媒)の
反応次数を示すグラフ図である。
反応次数を示すグラフ図である。
【図6】各種助触媒添加Ni担持触媒の反応速度を示す
グラフ図である。
グラフ図である。
【図7】各種助触媒添加Ni担持触媒のNi活性表面積
を示すグラフ図である。
を示すグラフ図である。
フロントページの続き (72)発明者 森 聰明 三重県四日市市白須賀1丁目9番18号 (72)発明者 堀内 達郎 愛知県名古屋市熱田区六野二丁目4番1号 財団法人ファインセラミックスセンター 内 (72)発明者 佐久間 かおり 愛知県名古屋市熱田区六野二丁目4番1号 財団法人ファインセラミックスセンター 内 (72)発明者 福井 武久 愛知県名古屋市熱田区六野二丁目4番1号 財団法人ファインセラミックスセンター 内 (72)発明者 久保 幸雄 愛知県名古屋市熱田区六野二丁目4番1号 財団法人ファインセラミックスセンター 内
Claims (4)
- 【請求項1】アルカリ土類金属酸化物又はアルカリ金属
酸化物を助触媒として添加した、ニッケル担持触媒の存
在下で、メタン含有ガスと二酸化炭素含有ガスとを接触
させることを特徴とするメタンの二酸化炭素改質方法。 - 【請求項2】前記アルカリ土類金属酸化物は、酸化マグ
ネシムあるいは酸化カルシウムであり、前記アルカリ金
属酸化物は、酸化ナトリウムあるいは酸化カリウムであ
ること特徴とするメタンの二酸化炭素改質方法。 - 【請求項3】前記アルカリ土類金属酸化物又はアルカリ
金属酸化物は、前記ニッケル担持触媒に対して1〜10
wt%の範囲で添加されていることを特徴とする請求項1
又は2に記載のメタンの二酸化炭素改質方法。 - 【請求項4】メタンの二酸化炭素改質方法に用いるニッ
ケル担持触媒であって、 前記ニッケル担持触媒に、アルカリ土類金属酸化物又は
アルカリ金属酸化物を添加してなることを特徴とする触
媒。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7173682A JPH0925101A (ja) | 1995-07-10 | 1995-07-10 | メタンの二酸化炭素改質方法及びこの方法に用いる触媒 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7173682A JPH0925101A (ja) | 1995-07-10 | 1995-07-10 | メタンの二酸化炭素改質方法及びこの方法に用いる触媒 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0925101A true JPH0925101A (ja) | 1997-01-28 |
Family
ID=15965152
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7173682A Pending JPH0925101A (ja) | 1995-07-10 | 1995-07-10 | メタンの二酸化炭素改質方法及びこの方法に用いる触媒 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0925101A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002282694A (ja) * | 2001-03-28 | 2002-10-02 | Shimadzu Corp | 炭素製造用触媒 |
KR100395095B1 (ko) * | 1999-12-24 | 2003-08-21 | 재단법인 포항산업과학연구원 | 메탄 개질용 니켈-망간-알루미나계 촉매 제조방법, 이에따라 제조된 촉매 및 이를 이용한 메탄의 이산화탄소개질방법 |
KR100406363B1 (ko) * | 1998-12-11 | 2004-01-24 | 주식회사 포스코 | 니켈-알루미나촉매제조방법,이에따라제조된니켈-알루미나촉매및이를이용한메탄의이산화탄소개질방법 |
US6852668B2 (en) * | 2001-12-03 | 2005-02-08 | University Of Western Ont | Catalyst for hydrocarbon reforming reaction |
JP2011148648A (ja) * | 2010-01-20 | 2011-08-04 | Chiba Inst Of Technology | 気体化石燃料から水素を抽出する方法 |
JP2013255911A (ja) * | 2012-06-14 | 2013-12-26 | Mitsubishi Chemicals Corp | 合成ガス製造用触媒および合成ガスの製造方法 |
JP2015536894A (ja) * | 2012-10-31 | 2015-12-24 | コリア・インスティテュート・オブ・マシナリー・アンド・マテリアルズKorea Institute Of Machinery & Materials | 純酸素燃焼と触媒転換工程を連携した融合型二酸化炭素転換システム |
JP2017039631A (ja) * | 2015-08-21 | 2017-02-23 | Jfeスチール株式会社 | 混合ガスの製造方法 |
WO2023022212A1 (ja) * | 2021-08-19 | 2023-02-23 | 国立大学法人徳島大学 | アルミ二ウムドロス残灰の用途 |
-
1995
- 1995-07-10 JP JP7173682A patent/JPH0925101A/ja active Pending
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100406363B1 (ko) * | 1998-12-11 | 2004-01-24 | 주식회사 포스코 | 니켈-알루미나촉매제조방법,이에따라제조된니켈-알루미나촉매및이를이용한메탄의이산화탄소개질방법 |
KR100395095B1 (ko) * | 1999-12-24 | 2003-08-21 | 재단법인 포항산업과학연구원 | 메탄 개질용 니켈-망간-알루미나계 촉매 제조방법, 이에따라 제조된 촉매 및 이를 이용한 메탄의 이산화탄소개질방법 |
JP2002282694A (ja) * | 2001-03-28 | 2002-10-02 | Shimadzu Corp | 炭素製造用触媒 |
US6852668B2 (en) * | 2001-12-03 | 2005-02-08 | University Of Western Ont | Catalyst for hydrocarbon reforming reaction |
JP2011148648A (ja) * | 2010-01-20 | 2011-08-04 | Chiba Inst Of Technology | 気体化石燃料から水素を抽出する方法 |
JP2013255911A (ja) * | 2012-06-14 | 2013-12-26 | Mitsubishi Chemicals Corp | 合成ガス製造用触媒および合成ガスの製造方法 |
JP2015536894A (ja) * | 2012-10-31 | 2015-12-24 | コリア・インスティテュート・オブ・マシナリー・アンド・マテリアルズKorea Institute Of Machinery & Materials | 純酸素燃焼と触媒転換工程を連携した融合型二酸化炭素転換システム |
US10180253B2 (en) | 2012-10-31 | 2019-01-15 | Korea Institute Of Machinery & Materials | Integrated carbon dioxide conversion system for connecting oxyfuel combustion and catalytic conversion process |
JP2017039631A (ja) * | 2015-08-21 | 2017-02-23 | Jfeスチール株式会社 | 混合ガスの製造方法 |
WO2023022212A1 (ja) * | 2021-08-19 | 2023-02-23 | 国立大学法人徳島大学 | アルミ二ウムドロス残灰の用途 |
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