JPH09250931A - 音片形振動ジャイロ - Google Patents

音片形振動ジャイロ

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JPH09250931A
JPH09250931A JP8085747A JP8574796A JPH09250931A JP H09250931 A JPH09250931 A JP H09250931A JP 8085747 A JP8085747 A JP 8085747A JP 8574796 A JP8574796 A JP 8574796A JP H09250931 A JPH09250931 A JP H09250931A
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JP
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piezoelectric elements
longitudinal direction
mode
electrodes
electrode
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JP8085747A
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Kazuo Mochizuki
一夫 望月
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Abstract

(57)【要約】 【課題】検出感度の向上が達成できると共に、応答特性
が向上し、かつfxモードとfy モードの共振周波数の
誤差が大きくとれ、周波数調整に高い精度を要求されな
い構造の音片形振動ジャイロを提供する。 【解決手段】略同一寸法の直方体をなし、かつ長手方向
の互いに対向する面に電極を設けた圧電セラミック製の
2つの圧電素子15、16からなる。2つの圧電素子1
5、16の長手方向の各一方の電極17、18形成面同
士を接着することにより、長手方向に垂直な断面が略正
方形となる柱状振動片24を構成する。圧電素子15、
16の双方または一方の接着面に対向する面の電極19
〜22が、長手方向に沿って2分割されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば工業用ロボット
や無人搬送車の方位角計測、航空機や船舶等の姿勢制
御、ビデオカメラの面振れ防止あるいは車両ナビゲーシ
ョン用等に用いられる圧電形の振動ジャイロスコープ
(以下振動ジャイロと称す)に係り、特に音片形振動ジ
ャイロに関する。
【0002】
【従来の技術】圧電形の振動ジャイロは、これまで、音
叉や音片と呼ばれる振動片をはじめとして種々の構造の
振動片の振動モードを利用したものが提案されている。
(日本音響学会誌45巻5号(1989)462頁〜4
68頁「圧電形振動ジャイロスコープ」近野正著、また
は「エレクトロ・セラミクス」1991年10月号、2
7頁〜29頁「圧電ジャイロ・センサ技術の基礎」菅原
澄夫他著) このような音片型振動ジャイロの原理は、図8(A)、
(B)により説明される。すなわち、音片ジャイロの基
本は、両端自由な横振動棒であって、いわゆる双振音片
であり、図8(A)に示すように、音片(振動片)1の
中心軸をz軸としたとき、この音片1が第一次共振周波
数でx軸方向にある変位速度ηXでたわみ振動(以下fx
モードと呼ぶ)している状態で、z軸回りに角速度Ωが
与えられると、振動方向と直角方向すなわちy軸方向に
この変位速度ηXに応じたコリオリ力が発生し、図8
(B)に示すように、y軸方向にも同一周波数のたわみ
振動(以下fyモードと呼ぶ)が起振される。x軸方向
にある変位速度ηXが常に一定であればこのy軸方向の
変位速度ηyはz軸回りの角速度Ωに比例する。従っ
て、y軸方向の変位速度ηyを測定すればz軸回りの角
速度Ωを知ることができる。図中n1、n2はノード点
である。圧電素子を使用した音片形振動ジャイロにおい
ては、圧電素子により前記fxモードの振動を励振さ
せ、圧電素子でfyモードの振動を検出する。以下この
原理を用いた振動ジャイロの従来構造や処理回路の構成
について説明する。
【0003】図8(C)は従来の音片形振動ジャイロの
構成例を示す正面図である。この従来例はエリンバー等
の恒弾性金属からなる断面が正方形の恒弾性金属棒(四
角柱)2を使用し、その長手方向の4つの面に圧電セラ
ミックでなる短冊状の圧電素子3a、3b、3c、3d
を接着している。各圧電素子3a〜3dにはそれぞれ金
属棒2への接着面とその対向面(表面)に電極が形成さ
れているが、表面に形成された電極4a〜4dのみにつ
いて示されている。各圧電素子3a〜3dは矢印で示す
方向に分極されている。圧電素子3a〜3dの表面の電
極4a〜4dにははんだ付け等によって極細リードが接
続されて入出力端子5a〜5dを構成している。
【0004】金属棒2に固定した圧電素子3a〜3dの
うち、圧電素子3a(または3c)は自励発振回路(図
示せず)に接続して駆動され、他の圧電素子3c(また
は3a)で振動を検出して前記自励発振回路に帰還され
ることで定常的にfxモードの共振周波数で励振され、
圧電素子3b、3dの出力は差動増幅回路(図示せず)
に入力される。金属棒2の中心軸回りに角速度が作用し
ていないときは、圧電素子3b、3dはfx に起因する
振動のみを検出し、それぞれの検出信号の位相および振
幅は同じとなるため、その差はゼロとなり、差動増幅回
路には出力は現れない。特に、圧電素子3b、3dが金
属棒2の接着面の長手方向中心に接着される場合は、も
ともと出力を生じない。
【0005】一方、金属棒2の中心軸回りに角速度が作
用すると、コリオリ力によりfyモードのたわみ振動が
起振される。このとき、fyモードの振動に応じた出力
が差動増幅回路から得られる。
【0006】図8(D)は従来の振動ジャイロの別の例
であり、図8(C)と同様の金属棒2の長手方向の1組
の対面に短冊状の圧電セラミックでなる圧電素子3a、
3cを接着した音片の例であり、本例においても、圧電
素子3a、3cの両面に電極が形成されているが、表面
の長手方向に沿って分割された電極4e〜4hのみが示
されている。前記各電極4e〜4hにははんだ付け等に
よって極細線が接続され、それぞれ入出力端子5a〜5
dを構成している。
【0007】図8(D)の回路においては、自励発振回
路の出力を端子5aおよび/または5bに接続し、端子
5c、5dから自励発振回路の入力に帰還信号を得るこ
とで、図8(C)の場合と同様に音片の自己共振周波数
でfxモードのたわみ振動が継続する。そして、音片の
長手方向の回りに角速度が作用すると、fxモードと同
一周波数のfyモードのたわみ振動が起振される。この
とき、このたわみ振動による屈曲が金属棒2の電極4e
に対応する部分を全体として長手方向に伸ばすように作
用するときは、電極4fの対応する部分は縮むように作
用する。屈曲方向が反転すれば、伸縮関係は逆になり、
電極4eと4fに発生する電荷は逆極性となる。圧電素
子3cについても同様である。
【0008】従って、端子5a、5bからそれぞれ分離
した端子5e、5fに前記差動増幅回路を接続すると、
自励発振回路からの同相入力分はキャンセルされ、前記
差動増幅回路はfyモードによって生じた出力のみを取
り出すことができる。端子5c、5dから分離した端子
5g、5hに差動増幅回路を接続しても同様の結果が得
られる。
【0009】ところで、音片ジャイロを支持する場合、
x、fyモードのそれぞれのたわみ振動の負荷にならな
いように、できるだけ理想ノード点(この理想ノード点
は、音片の両端から全長の約0.224倍の中心軸上の
2つの点であることが知られている)に近い部分を最小
面積で支持することが必要である。
【0010】このように、図8(C)、(D)に示した
ような2組の対辺方向の横振動をそれぞれfx、fyモー
ドに対応させるように構成した四角柱状圧電形音片ジャ
イロの支持方法としては、図9(A)、(B)のような
支持方法が考えられている。
【0011】図9(A)の例は、前記理想ノード点を含
むように、1組の対面に直交する点a、b、c、dに、
できるだけ細くかつ支持に耐える剛性を持った金属線1
1a〜11dを溶接するか、あるいは貫通孔を設けて金
属線を挿通、接着するような工程を伴う。
【0012】図9(B)の例は、fx、fyモードに対す
る負荷のバランスを考慮して、金属線11a、11bと
11c、11dの2組の支持関係を直交させている。
【0013】図9(A)、(B)の支持構造を製品とし
て実現するには、非常に困難な作業工程を伴い、必要な
支持精度や作業コストを得ることが困難である。四角柱
状圧電形音片ジャイロのこのような問題を解決する手段
として、図8(E)に示すような別の従来例が考案され
ている。
【0014】図8(E)に示すものは、音片の構成は図
8(C)、(D)と同じであるが、断面の対角線方向の
横振動をそれぞれfx、fyモードに対応させるため、自
励発振回路の出力を端子5a、5bに接続して圧電素子
3a、3bを同時に励振し、自励発振回路の入力に端子
5cおよび/または5dを接続して圧電素子3cおよび
/または3dに生じる電気信号を帰還させる方法を用い
る。
【0015】図8(E)の音片において、音片の長手方
向の回りに角速度が作用すると、コリオリ力によって、
もう一つの対角方向のたわみ振動が起振され、これがf
yモードに相当する。このとき、圧電素子3aと3b、
および3cと3dには互いに逆極性の電荷が生じるの
で、端子5a、5bから分離した端子5e、5fに差動
増幅回路を接続すると、自励発振回路からの同相入力分
はキャンセルされ、前記差動増幅回路はfxモードによ
って生じた出力のみを取り出すことができる。端子5
c、5dから分離した端子5g、5hに差動増幅回路を
接続しても同様の効果が得られる。
【0016】このように多角形柱状音片の対角方向のた
わみ振動を利用する場合、図9(C)のような支持構造
が採用できる。図9(C)の支持構造は、理想ノード点
から一つの稜線に垂直に交わる点e、fに金属線11
e、11fを溶接し、金属線11e、11fの両端はは
んだ付けされる構造を示している。このような支持構造
を採用しているのは、fxモードとfyモードを音片の対
角線方向に対応させているので、このような稜線支持で
もバランスを保つことが可能であるからである。図9
(C)の支持構造は、図9(A)、(B)の支持構造よ
りも簡便化されることは明らかである。
【0017】図9(D)は図8(E)に示した四角柱状
圧電形振動ジャイロを使用するときの回路例を示すブロ
ック図である。図9(D)に示すように、増幅回路・移
相回路および/またはAGC回路からなる自励発振回路
6の入出力間に音片形振動ジャイロ1が接続される。自
励発振回路6の出力が圧電素子3a、3bを駆動し、f
xモードで振動ジャイロ1を起振する。他の圧電素子3
c、3dで振動を検出して前記自励発振回路6に帰還さ
れることで定常的にfxモードの共振周波数で励振さ
れ、圧電素子3c、3dの出力は差動増幅回路7に入力
される。8a〜8dは各圧電素子3a〜3d間のバラン
スをとるための抵抗素子である。なお実際には製造ばら
つきに起因するアンバランスを調整する回路も含まれる
が図示していない。
【0018】図9(D)において、音片2の中心軸回り
に角速度が作用していないときは、圧電素子3c、3d
はfxに起因する振動のみを検出し、それぞれの検出信
号の位相および振幅は同じとなるため、その差はゼロと
なり、差動増幅回路7には出力は現れない。
【0019】一方、音片2の中心軸回りに角速度が作用
すると、コリオリ力によりfyモードのたわみ振動が起
振される。このとき、fyモードの振動に応じた出力が
差動増幅回路7から得られ、その出力を同期検波回路
9、整流回路10を介して検出することにより、角速度
の方向と大きさに応じた極性と大きさを持つ直流出力が
得られる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】前述した3つの例に示
したように、従来の音片形振動ジャイロは、音片2とし
て四角柱の金属棒を使用し、その各面または一部の面に
圧電素子3a〜3dを接着して構成されている。しかし
ながら、このような従来の音片2の構造には次のような
問題点がある。 ヤング率の大きなエリンバー型合金等の金属を音片に
使用することによって、共振時の高い機械的Q(Qm)
を得ることができ、大きな振動速度(周波数が同じなら
ば振幅)を実現し、ジャイロの感度を確保している反
面、応答性を向上させる場合の障害となっている。 fxモードとfyモードの共振周波数を合わせ込むこと
で最大感度が得られるが、Qm が大きいと、わずかな共
振周波数のズレが大きな感度変動を生じさせる。 このため、例えばfxモードとfyモードの周波数調整を
する場合、高い調整精度が必要となる。
【0021】本発明は、上記した問題点に鑑み、検出感
度の向上が達成できると共に、応答特性が向上し、かつ
xモードとfyモードの共振周波数の誤差が大きくと
れ、周波数調整に高い精度を要求されない構造の音片形
振動ジャイロを提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、略同
一寸法の直方体をなし、かつ長手方向の互いに対向する
面に電極を設けた圧電セラミック製の2つの圧電素子か
らなり、該2つの圧電素子の長手方向の各一方の電極形
成面同士を接着することにより、長手方向に垂直な断面
が略正方形となる柱状音片を構成し、少なくとも一方の
圧電素子の前記接着面に対向する面の電極が、長手方向
に沿って2分割されていることを特徴とする。
【0023】請求項2の発明は、前記2つの圧電素子の
接着面は、該接着面と略同一形状の金属板を挟んで接着
され、該金属板は、柱状音片の略ノード点に対応する位
置に支持部を一体的に有することを特徴とする。請求項
3の発明は、前記支持部は屈曲構造を有していることを
特徴とする。請求項4の発明は、前記金属板は前記支持
部を介して一体的に結合された基台への取付部を有する
ことを特徴とする。請求項5の発明は、前記2つの圧電
素子の接着面に対向する面の電極は、それぞれ長手方向
に2分割されており、該2分割された電極間容量と略同
一の容量のキャパシタを、接着面に対して対称位置にあ
る分割電極間に接続してなることを特徴とする。
【0024】
【作用】請求項1においては、音片を主として構成する
材料が、従来のような恒弾性金属ではなく圧電セラミッ
クであり、圧電セラミックは、恒弾性金属に比較してヤ
ング率が小さいため、応答性が向上し、また、音片のQ
m を下げることができ、一方、音片を構成する全ての部
分が必ず駆動、検出に寄与する構成となるため、十分大
きな検出感度が得られる。また、Qmが小さくなること
から、fxモードとfy モードの共振周波数誤差の幅を
大きくとることができる。
【0025】請求項2においては、支持部を有する金属
板を、圧電セラミックの間に挟んで接着することにより
ジャイロが実現できるから、音片支持のための工程を省
略でき、圧電素子接着工程も簡略化される。
【0026】請求項3においては、支持部を屈曲構造と
したことにより、金属板の板面方向の横振動に対し、外
部からの振動への影響が軽減される。
【0027】請求項4においては、金属板に対して支持
部と基台への取付部とを一体的に設けたことにより、金
属板と支持部と基台への取付部とが同時に形成できる。
【0028】2つの圧電素子の接着面に対向する面の電
極を、それぞれ長手方向に2分割した構造においては、
同面の電極間に容量が存在し、対向する面の電極間には
容量が存在しないため、fxモードとfyモードとでは電
気的に非対称となるが、請求項5においては、電極間容
量と略同一の容量のキャパシタを、接着面に対して対称
位置にある分割電極間に接続してなるため、電気的に対
称となり、fxモードとfy モードの各共振周波数間の
誤差を小さくすることができる。
【0029】
【実施例】図1、図2はそれぞれ本発明による音片形振
動ジャイロの一実施例を示す斜視図および分解斜視図で
ある。また、図3(A)、(B)、(C)、(D)はそ
れぞれ該実施例の振動ジャイロの平面図、側面図、底面
図、正面図である。これらの図において、15、16は
圧電セラミックでなる圧電素子であり、各圧電素子1
5、16は略同一寸法の直方体をなし、各圧電素子1
5、16の長手方向の一方の広幅の面には、略全面に電
極17、18を有し、他方の面には、長手方向に沿って
2分割された電極19、20および21、22をそれぞ
れ有する。これらの電極17〜22は、メッキやスパッ
タリング等により形成される。各圧電素子15、16は
図1の矢印g、h方向に分極されている。
【0030】23は両圧電素子15、16の全面電極1
7、18の面間に挟んで接着する金属板であり、該金属
板はエリンバー系合金、ニッケル合金、あるいはリン青
銅等が用いられる。該金属板は圧電素子15、16の接
着面と略同一の平面形状をなす。図3(D)に示すよう
に、両圧電素子15、16間に金属板23を挟んで接着
した状態においては、この接着に一体化された振動子2
4の端面の縦横の寸法W1、W2は略等しく(W1≒W
2)形成される。
【0031】本発明を実施する場合、圧電素子15、1
6間に支持ワイヤを挟み込む構造とするとか、金属板2
3の一部を側面に突出させてその突出部に支持ワイヤを
溶接する等の構造を採用することも可能であるが、本実
施例においては、金属板23における該振動子24の横
振動の略ノード点に対応する位置に予め支持部25〜2
8を一体的に形成し、さらにこれらの支持部25〜28
は基台(図示せず)への取付部29と一体化し、金属板
23と該基台への取付部29と支持部25〜28により
振動子の支持構造体30を構成している。この支持構造
体30は、1枚の金属板を打ち抜くことで、予め各部を
一体的に形成しておくことができる。基台への取付部2
9は、取付部25〜28の各1本または複数本ごとに設
けても良く、また必要であれば支持部25〜28を折り
曲げ加工してもよい。金属板23の厚みは、好ましくは
圧電素子15、16の厚みの1/5〜1/10程度であ
る。また、支持部25〜28の幅はできるだけ狭い方が
良いが、強度との関係も踏まえて適宜選定される。実施
例においては、金属板23の厚みの1.0〜2.0倍と
した。また、実施例においては、支持部25〜28の構
造は、支持面内(金属板面内)方向の横振動に対し外部
からの影響を防止する目的で、支持部25〜28を屈曲
構造にしている。
【0032】図3(A)〜(D)に示すように、電極1
9〜22には、リード線31〜34が、はんだ付けやワ
イヤボンドの手法により接続される。これらのリード線
31〜34は、振動に影響を与えないように極細線を用
いると共に、ノード点に近い部分に接続される。また、
金属板23は駆動回路の電気的基準点に接続される。
【0033】図4は本発明による振動ジャイロの作動原
理を説明する図であり、音片24は圧電素子15、16
の分割電極19〜22に対応する4つのブロック〜
から構成される。すなわち、支持部25〜28によって
支持された四角柱状の音片24を構成する2つの圧電素
子15、16を分割電極に対応してそれぞれ2つに分
け、全体を4つのブロック〜で示している。
【0034】図4のようにx、y、z軸を定めた場合、
x方向すなわちfxモードの横振動を効果的に励振する
ためには、電極19、20に発振回路の出力を接続し、
圧電横効果によって、のブロック全体を同時にz方
向に伸縮するようにする。横振動によってブロック、
も、と逆相に伸縮するので、電極21、22には
同相の電荷を生じる。この出力を発振回路の入力に帰還
する。
【0035】この音片24がz軸回りに回転すると、y
軸方向の横振動が起振される。すなわち、ブロック、
が伸びる場合、ブロック、は縮み、また、ブロッ
ク、が縮む場合はブロック、は伸びるように圧
電素子15、16をひずませる振動である。したがっ
て、ブロックと(またはと)には逆相の電荷が
生じる。従って、電極19、20または電極21、22
の信号の差を検出することで、fyモードの振動をfx
ードから分離して検出できる。
【0036】図5(A)は図1〜図4に示した音片24
の駆動回路の例を示す。図5(A)において、図9
(D)と同じ符号は同じ機能を有する回路である。
【0037】図5(B)は別の駆動回路の構成例であ
り、x軸とy軸を入れ替えて支持面内方向の横振動をf
xモード、支持面に垂直方向の横振動をfyモードとして
使用するように、自励発振回路6の出力をそれぞれ圧電
素子15、16の電極19、21に加え、圧電素子1
5、16の電極20、22から取り出すように構成した
ものである。本例の駆動回路においても、図5(A)の
回路と同様の作用が得られる。
【0038】ところで、音片ジャイロは、fxモードと
yモードの共振周波数を一致させることによって高い
検出感度を得ている。上記実施例においても同様に、音
片24の一部を削る等のトリミングにより、各モードの
共振周波数を合わせる調整を行う。この共振周波数調整
工程では、各電極19〜22のインピーダンス特性をモ
ニターしたり、fxおよびfy方向の伝送特性をモニター
する方法が行われる。
【0039】図3(E)は図4の各ブロック〜の電
気的接続関係を表している。本発明の構造を採用する場
合、圧電素子15、16の幅に対し、厚みが十分小さけ
れば、分割電極19と20、21と22との間の極間容
量は無視できる程小さいが、実施例のように、厚みが幅
の略1/2と厚い場合には、無視できない大きさの電極
間容量C1を持つ。これに対し、別の隣り合うブロック
との間、およびととの間の電極間、すなわち電
極19と21、電極20と22との間には電極間容量を
持たない。すなわちfx方向とfy方向では電気的に非対
称となっている。
【0040】ところで、実使用下ではfxモードは周波
数調整工程と同様に電気的に励振する使用方法である
が、fyモード(検出側)はコリオリ力という外力の作
用によって生じるため、電気的な励振は行われておら
ず、周波数調整工程においてfyモードを電気的に励振
してモニターするために接続される電気的負荷と実使用
下の電気的負荷とは異なる。特に図3(E)のように電
気的に非対称の場合は、調整工程でfxモードとfyモー
ドの周波数に誤差を生じ易い。
【0041】従って、図3(F)のように、ブロック
の電極19とブロックの電極21の間、およびブロッ
クの電極20とブロックの電極22との間に、略等
価な容量C2を挿入し、電気的に完全に対称とする構成
とすることが、fxモードとfy モードの周波数に誤差
を生じないようにする意味で有効である。
【0042】図6(A)〜(D)は図3(A)〜(D)
に対応させて描いた本発明の他の実施例であり、一方の
圧電素子15の一方の電極を長手方向の中央で2分割し
て電極35、36を形成し、それぞれに略ノード点にお
いて極細線でなるリード線37、38に接続したもの
で、fxモードとして支持面に対して垂直方向の横振動
が使用される。この実施例においては、電極35と36
のいずれか一方を駆動用、他方を帰還用として使用する
ことにより、fxモードで励振し、fyモードの検出は、
圧電素子16側の長手方向に沿って2分割した電極2
1、22により生じる出力の差を取る。
【0043】図6(E)〜(H)は図3(A)〜(D)
に対応させて描いた本発明の他の実施例であり、圧電素
子15の2分割電極を全面電極39に変えたものであ
り、極細線でなるリード線40が略ノード点近傍に接続
される。本例においても、fxモードとして、支持面に
対して垂直方向の横振動が使用され、全面電極39は駆
動用に使用され、圧電素子16側の電極21、22は、
図6(A)と同様に検出用に使用される。
【0044】図7(A)は音片を構成する四角柱に恒弾
性金属を用いた従来例(図8(C)、(D)に図示した
音片)のfxモードの伝送特性(駆動用電極と帰還用電
極間)について同一条件下で図1〜図4の実施例の音片
ジャイロと比較したものである。図7(B)は従来例、
図7(C)は前記実施例について、それぞれfxモード
の伝送特性の測定に用いた回路図であり、図示のよう
に、図7(B)、(C)とも同じインピーダンスZ1
2を入力端に接続して、入力電圧V1と出力電圧V2
関係を測定するものである。
【0045】本実施例のものは、音片24の断面寸法を
約2mm×2mm、長さを17mmとした場合において、共振
周波数は約23.5KHzであった。一方、従来構造のも
のは、10mm×1mmの短冊状の圧電素子を用いて、共振
周波数が実施例に近くなるように金属棒2のエリンバー
系合金の寸法を定めた結果、共振周波数は25KHzであ
った。
【0046】図7(A)の伝送特性図は、従来例と実施
例の比較のため、横軸の周波数はスパンを示すものと
し、共振点が横軸上で一致するように修正して描いてあ
る。図中、曲線I、Jはそれぞれ実施例と従来例のゲイ
ンを示し、また、K、Lはそれぞれ実施例と従来例の位
相特性を示す。両者のQmを比較すると、従来例のQmが
約2000であるのに対し、実施例の場合には約800
と小さい値が得られた。しかしながら、実施例の方が従
来例より10dB近くゲインが大きくなっている。
【0047】このように、本発明によれば、Qmが小さ
くなるにも拘らず、大きなゲインが得られるが、これ
は、圧電セラミックが恒弾性金属に比較して小さなヤン
グ率であることから、本発明のように音片全体を圧電素
子で構成することによりQmを下げることが可能となっ
たのであり、一方、音片を構成するすべての部分が必ず
駆動、検出に寄与する構成としたことにより、十分大き
な検出感度が得られることとなる。このように、Qmを
下げることにより、fxモードの共振周波数とfyモード
の共振周波数とを厳密に一致させなくとも大きな検出感
度を得ることができる。
【0048】
【発明の効果】請求項1によれば、音片の全体をほぼ圧
電セラミックで構成したので、検出感度の向上が達成で
きる。また、圧電セラミックはヤング率が小さいため
に、従来のように、恒弾性金属が多くの部分を示す従来
品に比較し、応答特性が向上し、かつ検出感度を高める
ことができる。また、Qmを小さくすることができるた
め、fxモードとfyモードの共振周波数の誤差を大きく
とることができ、周波数調整に高い精度を要求されない
ため、製造が容易となり、価格の低減を図ることができ
る。
【0049】請求項2によれば、支持部を一体的に形成
した金属板の両面に圧電素子を接着して音片を構成した
ので、対辺方向のたわみ振動を使用する振動ジャイロを
容易に実現でき、これにより、音片支持部を音片に付け
るための工程を省略できる。また、対角モードを用いて
支持構造を簡略化した従来構造の場合でも、圧電素子は
金属棒の長手方向に4枚必要で、これらを同時に接着す
る工程を実現することも困難であるから、それぞれ対向
する2枚の素子の接着に2工程を必要とするが、本発明
は、圧電素子の金属板に対する接着工程が1工程です
む。このように、接着工程が1工程ですむことと、前述
のように、支持部取付け工程が省略できることとから、
振動ジャイロの製造工程が極めて簡略化される。
【0050】請求項3によれば、支持部を屈曲構造とし
たので、支持面内方向に対し、外部からの影響を軽減で
きる。
【0051】請求項4によれば、金属板と支持部と基台
への取付部とを一体的に構成したので、基台への取付部
も金属板と共に打ち抜き等により同時に形成でき、半田
付け等の工程も省略でき、製造工程をより簡略化でき
る。
【0052】請求項5によれば、音片の対向する面の電
極間にキャパシタを設けることにより、隣接する電極間
の容量と、対向する面の電極間の容量とを一致させるこ
とができ、これにより、電気的非対称によってfxモー
ドとfyモードの共振周波数に誤差を生じることを防止
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による音片形振動ジャイロの一実施例を
示す斜視図である。
【図2】本実施例の分解斜視図である。
【図3】(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ該
実施例の振動ジャイロの平面図、側面図、底面図、正面
図である。(E)は本実施例の音片の等価回路図、
(F)は本発明により付加したキャパシタを含めた等価
回路図である。
【図4】本実施例の動作原理の説明図である。
【図5】(A)、(B)はそれぞれ本実施例の駆動回路
例を示すブロック図である。
【図6】(A)〜(D)はそれぞれ図3(A)〜(D)
に対応させて描いた本発明の他の実施例図、(E)〜
(H)は図3(A)〜(D)に対応させて描いた本発明
の他の実施例図である。
【図7】(A)は本発明の実施例と従来例の特性比較
図、(B)、(C)はそれぞれ従来例と本発明の実施例
の特性測定回路図である。
【図8】(A)、(B)は音片形振動ジャイロの原理を
説明する図、(C)〜(E)は従来の音片の例をそれぞ
れ示す正面図である。
【図9】(A)〜(C)は従来の音片の支持構造をそれ
ぞれ示す斜視図、(D)は(C)の駆動回路の一例を示
す図である。
【符号の説明】
15、16:圧電素子、17〜22:電極、23:金属
板、24:音片、25〜28:支持部、29:基台への
取付部、30:支持構造体、31〜34:リード線、3
5、36:電極、37、38:リード線、39:電極、
40:リード線

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】略同一寸法の直方体をなし、かつ長手方向
    の互いに対向する面に電極を設けた圧電セラミック製の
    2つの圧電素子からなり、 該2つの圧電素子の長手方向の各一方の電極形成面同士
    を接着することにより、長手方向に垂直な断面が略正方
    形となる柱状振動片を構成し、 少なくとも一方の圧電素子の前記接着面に対向する面の
    電極が、長手方向に沿って2分割されていることを特徴
    とする音片形振動ジャイロ。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記2つの圧電素子の接着面は、該接着面と略同一形状
    の金属板を挟んで接着され、 該金属板は、柱状振動片の略ノード点に対応する位置に
    支持部を一体的に有することを特徴とする音片形振動ジ
    ャイロ。
  3. 【請求項3】請求項2において、 前記支持部は屈曲構造を有していることを特徴とする音
    片形振動ジャイロ。
  4. 【請求項4】請求項2または3において、 前記金属板は前記支持部を介して一体的に結合された基
    台への取付部を有することを特徴とする音片形振動ジャ
    イロ。
  5. 【請求項5】請求項1から4までのいずれかにおいて、 前記2つの圧電素子の接着面に対向する面の電極は、そ
    れぞれ長手方向に2分割されており、 該2分割された電極間容量と略同一の容量のキャパシタ
    を、接着面に対して対称位置にある分割電極間に接続し
    てなることを特徴とする音片形振動ジャイロ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007047167A (ja) * 2005-08-08 2007-02-22 Litton Syst Inc 振動梁の節点位置修正方法
JP2008022324A (ja) * 2006-07-13 2008-01-31 Seiko Epson Corp 圧電振動子の支持構造
JP2010060359A (ja) * 2008-09-02 2010-03-18 Murata Mfg Co Ltd 圧電振動子および角速度センサ
JP2012252013A (ja) * 2012-08-09 2012-12-20 Seiko Epson Corp 振動ジャイロ素子およびジャイロセンサ

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