JPH09250042A - 織機の緯糸供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボビン交換作業が容易で、良好な製織状態が
得られ、かつ、ジャンボワインディング過程を省略し得
る緯糸供給装置を提供し、織機の稼働率をあげ、作業性
や生産性を向上する。 【解決手段】 スタンドの上下に所定角度範囲の回動が
可能な回動円板を軸設し、この底部に放射状に複数のボ
ビン支持用アームを回動可能に設置する。各アームに撚
糸セッティングされたボビンを挿入し、各ボビンの糸を
互いに連結して解糸進行するため、連続的稼動が可能と
なり、大容量のシリンダに巻き取ってから織機に供給す
る必要がなく、緯糸の準備工程中の一部が排除される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は撚糸とセッティング
状態を経た緯糸用糸を織機に供給する緯糸供給装置に関
する。詳しくは撚糸をセッティングされた状態からその
まま織機に供給さし、ジャンボワインディング過程を不
要とする緯糸供給装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、撚糸とセッティング状態を経た糸
を織機用の緯糸として供給するには、複数のボビンに、
撚糸とセッティング状態を経た糸をそれぞれ小容量（約
１ｋｇ）ずつ巻き取る方法で複数のボビンに巻き取り、
その後、それぞれのボビンから糸を解き、順に糸を繋い
で大容量のシリンダに巻き取る、いわゆるジャンボワイ
ンディング過程と言われる工程を経る。この場合、約５
ｋｇの糸がシリンダに巻き取られる。糸を巻き取ったシ
リンダを供給スタンドに固定して、織機に緯糸を供給す
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなジャンボワインディング過程を経て大容量のシリン
ダに巻き取られた状態で遂行される緯糸供給方式には次
のような多くの問題点を抱えている。

【０００４】上述した緯糸供給方式はジャンボワインデ
ィング工程を含むことから、高価なジャンボワインディ
ング設備に付加費用がかかる。また、設置に広大な敷地
を要し、設備を扱う作業人員等が必要であることから、
不経済である。さらに、ジャンボワインディング過程に
おける、緯糸の準備作業工程が長くなるため、生産性は
低下するのに、生産原価は上昇してしまう。このよう
に、ジャンボワインディング工程を含む緯糸供給方式
は、織物製品の価格競争力の減少で不利な条件を有す
る。

【０００５】セッティングされた小容量のボビンから解
糸して、再び大容量のシリンダに巻き取ることから、ボ
ビンとシリンダの間には巻取径差がある。ボビンから解
糸して、シリンダに巻き取る糸の直径が、どうしても変
動してしまう。それぞれの糸の直径の変動により、緯糸
準備作業工程に糸の物性変化を伴うため、高品質の織物
製造を妨げる要因となっている。

【０００６】ボビンの糸がすべて解糸されると、織機を
停止させた状態で、空のボビンから巻糸のついた新しい
ボビンと交換する必要がある。そのため、従来の方式で
は織機稼働率が低く抑えられてしまい、生産性の低下を
招いている等の多くの問題点がある。

【０００７】本発明は、緯糸準備過程に必須とされるジ
ャンボワインディング過程を省略し得る緯糸供給装置を
提供し、上記のような問題を解消し、緯糸準備過程を革
新的に改善することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決し、目
的を達成するために、本発明の緯糸供給装置は、スタン
ドの上下に所定角度範囲の回動が可能な回動円板を軸設
し、この底部に放射状に複数のボビン支持用アームを回
動可能に設置する。各アームに撚糸セッティングされた
ボビンを挿入し、各ボビンの糸を互いに連結して解糸進
行が連続的に転移されるようにすることにより、大容量
のシリンダに巻き取ってから織機に供給する必要がな
く、緯糸の準備工程中の一部が排除される。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明の緯糸供給装置の一例の構
成について、説明する。スタンドの上下に固定設置され
る固定ブロックに、フランジ部と軸部とネジ部を備える
固定軸を介し、所定角度範囲内で回動可能に軸設された
一対の回動テーブルを得る。回動テーブルの回動制御構
造には、圧力調節スクリューと金属ボールの安置溝と弾
発スプリングを用いる。回動テーブルの底部に複数配設
されたアームブラケットには、先端にボビン挿入ピン及
び把手を備えたボビン支持用アームがそれぞれ回動可能
に軸設される。ボビン支持用アームは、回動テーブルの
アーム角度セッティング溝に、ロッキング本体とロッキ
ングスプリングとロッキングピンとから構成されるロッ
キング手段により選択的に固定される。各ボビン支持用
アームのボビン挿入ピンの中心軸は、同心円上に配置
し、回動テーブルの中心軸線上で一致させる。即ち、糸
案内構造が各ボビンの中心軸に一致する地点に配置して
いるため、いずれのボビンからも常に一定の張力で解糸
され、良好な製織状態が得られやすい。

【００１０】一対の回動テーブルに装着された複数のボ
ビンのうち、最初のボビンの糸が解糸を終えると、その
終糸が隣接する他のボビンの始糸に連結されている状態
であるので、自然に後続ボビンの解糸に継続され、解糸
を終えた初期ボビンはボビン挿入ピンから分離し、代わ
りに新しいボビンを装着した後、最終的に解糸されるボ
ビンの終糸を新しいボビンの始糸と結束させる。このよ
うな動作は織機の稼動中にも可能で、ボビン交換する時
毎に反復的に行う。

【００１１】回動テーブルを強制的に下方に回転させる
と、回動構造の金属ボールが既存の安置溝から外れ、ネ
ジ孔内で回動テーブルとともに移動し、周辺の任意の安
置溝に安着しうるため、ボビン支持用アームは所定角度
範囲で選択的に回動するようになる。例えば、ボビン支
持用アームに装着されたボビンを交換する場合、回動テ
ーブルを強制的に下方に回してボビン支持用アームを下
ろせば、高い位置にあるボビン支持用アームのボビン交
換作業が容易となる。ロッキングピンのロッキング突部
を内側に押すと、ロッキングスプリングが収縮してロッ
キングピンが没入し、ボビン支持用アームの拘束力が解
除される。ボビン支持用アームを回動テーブル後方に回
動させれば、他のボビンとの干渉や緯糸供給を妨げず
に、ボビン交換作業ができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の緯糸供給装置の実施例につい
て、添付した図面に基づいて装置の構成を詳細に説明す
る。図１は本発明の実施例における緯糸供給装置を構成
する要部を示す斜視図である。図２は本発明の実施例に
おける緯糸供給装置を説明する正面図である。

【００１３】本発明の緯糸供給装置は、スタンド９０の
上端に固定されるための一対の固定片１１と、固定片１
１の上下に一体に延長形成される上下側支持体１２、１
４と、前記上下側支持体１２、１４の端部外面に固定設
置される固定ブロック１３とから構成される支持フレー
ム１０と；前記固定ブロック１３に所定角度範囲内で回
動可能に軸設され、底面に所定角度に傾いた複数のアー
ム角度セッティング溝２１を備える一対の回動テーブル
２０と；前記回動テーブル２０の底部の、図３に示すア
ームブラケット２２に回動可能に軸設され、自由端部に
ボビン挿入ピン３１及び把手３２を備えるボビン支持用
アーム３０と；前記アーム３０を選択的に固定、解除さ
せるために、図３および図４に示すように、回動テーブ
ル２０の底面にアーム３０と同数で設置されるロッキン
グ本体４１と、ロッキングスプリング４２によりロッキ
ング本体４１内でスライド可能に設置され、前後端部に
それぞれアーム３０を選択的に拘束させるロッキング突
部４４及び突出制限部材４５を備えるロッキングピン４
３とから構成されるロッキング手段４０と；前記回動テ
ーブル２０を回動可能な状態に固定ブロック１３に結合
させるためのもので、フランジ部５１と軸部５２とネジ
部５３を備える固定軸５０と；図３に示すように、前記
フランジ部５１の同心円上に等間隔に形成される複数の
ネジ孔６１に締結される圧力調節スクリュー６２と、前
記各ネジ孔６１と一致するように回動テーブル２０上
に、凹入形成される金属ボール６３の安置溝６４と、圧
力調節スクリュー６２と金属ボール６３間に弾設され、
金属ボール６３に加圧力を付与するための弾発スプリン
グ６５とから構成されるテーブル回動制御構造６０と；
固定ブロック１３に固定された固定棒８０の端部に各ボ
ビン１１０の中心軸が一致する地に位置し、ボビン１１
０から解糸される糸を織機に案内するための糸案内構造
７０とをそれぞれ結合構成したものである。図面のう
ち、１００は解糸順序を基準としたボビンの始糸であ
り、１０１は終糸を示すものである。

【００１４】このように構成される本発明の作用効果を
詳細に説明すると次のようである。図３は本発明の実施
例における緯糸供給装置を説明する断面図である。図４
は本発明の実施例における緯糸供給装置のロッキング手
段を説明する拡大断面図であって、図３のＡ−Ａ断面を
示す。

【００１５】図３及び図４に示すように、ロッキングピ
ン４３のロッキング突部４４に各アーム３０の底面が支
えられてアーム角度セッティング溝２１内に位置を固定
された状態では、各アーム３０のボビン挿入ピン３１の
中心軸は、アーム３０がアーム角度セッティング溝２１
の傾斜角と同角度に内向に傾いているため、回動テーブ
ル２０の中心軸線上で一致する。

【００１６】このように各ボビン挿入ピン３１の中心軸
を同心円上に位置させ、その中央の一点と一致させた理
由は、解糸されるボビン１１０がどの位置、角度にある
かにかかわらず同一張力で解糸されるようにして良好な
製織状態を付与するためである。

【００１７】このように位置を固定された状態のアーム
３０のボビン挿入ピン３１に、撚糸セッティングされた
糸が満巻されたボビン１１０を装着させた後、図２のよ
うに、先ず解糸されるボビンの終糸１０１と後続解糸ボ
ビンの始糸１００とを連結し、該当ボビンの糸が完全に
解糸されると、自動に後続ボビンの糸が連続的に解糸さ
れるようにする。一方、一対の回動テーブル２０のう
ち、任意のものにはＺ撚糸のボビンが装着され、他のも
のにはＳ撚糸のボビンが装着されるようにする。

【００１８】このような状態で、一対の回動テーブル２
０に装着された複数のＺ、Ｓ撚糸のボビンのうち、始糸
が織機に連結供給される最初のボビンの糸がすっかり解
糸されると、その終糸１０１が隣接する他のボビンの始
糸１００に連結されている状態であるので、自然に後続
ボビンの解糸に継続され、すっかり解糸された初期ボビ
ンをボビン挿入ピン３１から分離し、そのボビン挿入ピ
ンに新しいボビンを装着した後、最終的に解糸されるボ
ビンの終糸１０１を新しいボビンの始糸１００と結束さ
せることになる。このような動作はボビンの糸がすっか
り解糸されて交換する時毎に反復的に行われる。

【００１９】従って、複数のボビンのうち、一つのボビ
ンのみが解糸されるので、織機の稼働中にも新しいボビ
ンの交換が可能になって織機の稼働率を大きく向上させ
ることができるとともに、複数の小容量ボビンの糸を連
続的に連結して供給させるので、織機の緯糸供給に連続
性を付与したもので、複数の小容量ボビンを合わせて大
容量のシリンダに巻き取りすることにより緯糸の供給時
間を延長させるので、織機頻繁な稼働停止を防止しよう
とする既存のジャンボワインディング過程が全く不要に
なるもので、大容量シリンダに巻き取りされた緯糸が全
量解糸されると、停止状態で新しいシリンダで交換すべ
きである既存の不便を解消させる効果があるものであ
る。

【００２０】一方、複数のアーム３０のうち、最上端の
アームに装着されたボビン１１０を交換する場合、アー
ム３０の位置が高くて交換作業がややこしいので、回動
テーブル２０を強制的に下方に回して該当アーム３０を
下に下ろして交換することになる。この際、テーブル回
動制御構造６０の金属ボール６３は既存の安置溝６４か
ら外れネジ孔６１内で回動テーブル２０とともに移動さ
れて周辺の任意の安置溝６４に安着されるもので、ボビ
ンの交換容易性のためアーム３０を所定角度範囲ずつ選
択的に回動させ得るようにしたものである。

【００２１】又、ボビンの交換時、他ボビンとの干渉又
は緯糸供給の障害を避けるためロッキングピン４３のロ
ッキング突部４４を内側に押すと、ロッキングスプリン
グ４２が収縮しながらロッキングピン４３が没入される
もので、アーム３０の拘束力を解除し得ることになるの
で、図３の一点鎖線で示すように後方に回動させて簡便
にボビン１１０を交換させることができるものである。

【００２２】

【発明の効果】上記のように本発明の緯糸供給装置は、
所定角度範囲内で圧力調節スクリューと金属ボールの安
置溝、弾発スプリングを用いて回動可能に軸設された一
対の回動テーブルにボビン支持用アームを回動可能に軸
設している。ボビン支持用アームは、ロッキング本体と
ロッキングスプリングとロッキングピンとから構成され
るロッキング手段により選択的に回動テーブルに固定す
る構造を有し、糸案内構造が各ボビンの中心軸に一致す
る地点に配置されている。

【００２３】このような構造により、ボビン支持用アー
ムは、所定角度範囲で選択的に回動し得るため、高い位
置にあるボビン支持用アームのボビン交換作業が容易と
なり、また、回動テーブルに対する拘束力の解除が可能
となるため、ボビン支持用アームを後方に移動し、他の
ボビンとの干渉や緯糸供給を妨げずに、ボビン交換作業
ができる。

【００２４】複数のボビンが一つずつ順に解糸される構
成であるが、いずれのボビンからも常に一定の張力で解
糸され、良好な製織状態が得られ、織機稼動中でも解糸
を終えたボビンの交換が可能となるため、織機の稼働率
が大きく向上し、作業能率の向上と生産性の増大を図る
ことができる。複数の小容量ボビンから大容量のシリン
ダに巻き取りする必要がないため、作業時間が短縮し、
緯糸が連続的に供給されるため、シリンダ交換のために
稼動を停止する必要もなくなる。即ち、ジャンボワイン
ディング工程が不要となることから、作業性や生産性が
向上し、装置設備の減少により原価が節減され、良質の
製織状態が得られる等の効果が期待できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例における緯糸供給装置を構成す
る要部を示す斜視図である。

【図２】本発明の実施例における緯糸供給装置を説明す
る正面図である。

【図３】本発明の実施例における緯糸供給装置を説明す
る断面図である。

【図４】本発明の実施例における緯糸供給装置のロッキ
ング手段を説明する拡大断面図である。

【符号の説明】

１０ 支持フレーム １１ 固定片 １２ 上下側支持体 １３ 固定ブロック １４ 上下側支持体 ２０ 回動テーブル ２１ アーム角度セッティング溝 ２２ アームブラケット ３０ アーム ３１ ボビン挿入ピン ３２ 把手 ４０ ロッキング手段 ４１ ロッキング本体 ４２ ロッキングスプリング ４３ ロッキングピン ４４ ロッキング突部 ４５ 突出制限部材 ５０ 固定軸 ５１ フランジ部 ５２ 軸部 ５３ ネジ部 ６０ テーブル回動制御構造 ６１ ネジ孔 ６２ 圧力調節スクリュー ６３ 金属ボール ６４ 安置溝 ６５ 弾発スプリング ７０ 糸案内構造 ８０ 固定棒 ９０ スタンド １００ 始糸 １０１ 終糸 １１０ ボビン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 スタンド（９０）の上端に固定されるた
   めの一対の固定片（１１）と、固定片（１１）の上下に
   一体に延長形成される上下側支持体（１２）（１４）
   と、前記上下側支持体（１２）（１４）の端部外面に固
   定設置される固定ブロック（１３）とから構成される支
   持フレーム（１０）、 前記固定ブロック（１３）に所定角度範囲内で回動可能
   に軸設され、底面に所定角度に傾いた複数のアーム角度
   セッティング溝（２１）を備える一対の回動テーブル
   （２０）、 前記回動テーブル（２０）の底部のアームブラケット
   （２２）に回動可能に軸設され、自由端部にボビン挿入
   ピン（３１）及び把手（３２）を備えるボビン支持用ア
   ーム（３０）、 前記アーム（３０）を選択的に固定、解除させるため
   に、回動テーブル（２０）の底面にアーム（３０）と同
   数で設置されるロッキング本体（４１）と、ロッキング
   スプリング（４２）によりロッキング本体（４１）内で
   スライド可能に設置され、前後端部にそれぞれアーム
   （３０）を選択的に拘束させるロッキング突部（４４）
   及び突出制限部材（４５）を備えるロッキングピン（４
   ３）とから構成されるロッキング手段（４０）、 前記回動テーブル（２０）を回動可能な状態に固定ブロ
   ック（１３）に結合させるためのもので、フランジ部
   （５１）と軸部（５２）とネジ部（５３）を備える固定
   軸（５０）、 前記フランジ部（５１）の同心円上に等間隔に形成され
   る複数のネジ孔（６１）に締結される圧力調節スクリュ
   ー（６２）と、前記各ネジ孔（６１）と一致するように
   回動テーブル（２０）上に凹入形成される金属ボール
   （６３）の安置溝（６４）と、圧力調節スクリュー（６
   ２）と金属ボール（６３）間に弾設され、金属ボール
   （６３）に加圧力を付与するための弾発スプリング（６
   ５）とから構成されるテーブル回動制御構造（６０）、 固定ブロック（１３）に固定された固定棒（８０）の端
   部に各ボビン（１１０）の中心軸が一致する地点に位置
   し、ボビン（１１０）から解糸される糸を織機に案内す
   るための糸案内構造（７０）をそれぞれ結合して構成さ
   れることを特徴とする織機の緯糸供給装置。