JPH09248603A - 冷間タンデム圧延方法および冷間タンデム圧延機 - Google Patents

冷間タンデム圧延方法および冷間タンデム圧延機

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JPH09248603A
JPH09248603A JP8061019A JP6101996A JPH09248603A JP H09248603 A JPH09248603 A JP H09248603A JP 8061019 A JP8061019 A JP 8061019A JP 6101996 A JP6101996 A JP 6101996A JP H09248603 A JPH09248603 A JP H09248603A
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茂 小川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高生産性の実現と製造コストの低減とを可能
とする圧延機および圧延方法を提供する。 【解決手段】 4スタンド以上の冷間タンデム圧延機に
おいて冷間圧延を行う際、少なくとも最終スタンドにお
いて圧延材の変形抵抗の30%以上、好ましくは40%
以上の圧延張力を負荷して圧延する冷間タンデム圧延方
法と、 【外1】 出側コイラー1基の出力または出側コイラー1基と出側
ブライドルロールの出力の合計をWc 、最終スタンドの
圧延機の主電動機の出力をWM した場合、 【外2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、4スタンド以上の
冷間圧延機を有する冷間タンデム圧延機において、高生
産性の実現と製造コストの低減とを可能とする圧延方法
およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】冷間タンデム圧延機においてワークロー
ル速度を増大させたり、圧下率を増大させたりするとヒ
ートスクラッチが発生する。ヒートスクラッチとは、ロ
ールバイト内のロールと圧延材との界面温度が上昇しロ
ールバイト内で油膜破断が生じた結果発生するワークロ
ールと圧延材との金属接触による焼付き疵のことであ
る。
【0003】ヒートスクラッチが発生すると製品の表面
欠陥が生じるので製品歩留が低下するばかりか、ヒート
スクラッチの生じた圧延スタンドのワークロール組み替
えが必要なため生産性が著しく低下するという問題があ
った。従って、ヒートスクラッチ防止に関しては例えば
特開平5−98283号公報に開示されているように耐
焼付き性に優れた圧延潤滑油を使用する方法や、特開昭
56−111505号公報に開示されているようにクー
ラント量を制御して板やワークロールの温度を低下させ
る方法や、特開平6−63624号公報に開示されてい
るようにワークロール速度を低減する方法などがある。
いずれの方法もロールバイト内のロールと圧延材との界
面温度の上昇を防止するかまたはロールバイト内の界面
温度が上昇しても油膜破断が生じないようにするかの方
法に関する。しかしながら、耐焼付き性に優れた圧延潤
滑油の使用はコストアップの可能性があり、クーラント
量の制御による板およびロール温度制御は、効果はある
がその応答性に若干の問題があり、ワークロール速度の
低下は生産性が低下するという問題がある。
【0004】生産性の低下および製造コストの上昇を招
かずにヒートスクラッチを防止する方法として、特開昭
60−49802号公報には、圧下スケジュールや張力
を変更することが開示されているものの、その制御量に
はハード的な理由から限界があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の冷間タンデム圧
延方法では、上述したような効果には限界がある。その
理由は、例えば、生産性の低下および製造コストの上昇
を招かずにヒートスクラッチを防止する方法では、圧下
スケジュールを変更する場合、板厚精度が一時的に悪化
する恐れがあるという問題がある。また、張力を変更す
る方法の場合、張力を高くすることによって圧延圧力が
低下し、摩擦発熱が軽減されるためヒートスクラッチ防
止効果が得られるが、ヒートスクラッチ防止のために張
力を上げて行くことを考える場合、板破断が生じやすく
なる。また、既存の冷間タンデム圧延機ではヒートスク
ラッチは後段スタンドで発生しやすく、しかも張力は設
備上の問題からスタンド間張力しか上げられない。従っ
て、後段スタンドでは入側張力の方が出側張力よりも大
きくなりやすい。このため後段スタンドにおいて圧延材
とワークロール間のスリップやチャタリング等が発生し
易くなり、新たな問題が生じることになる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記したような
従来法の問題点を解決するためのものであり、本発明の
要旨は、4スタンド以上の冷間圧延機を有する冷間タン
デム圧延機において冷間圧延を行う際、少なくとも最終
圧延スタンドにおいて圧延材の変形抵抗の30%以上の
圧延張力を負荷して圧延する冷間タンデム圧延方法であ
り、また、4スタンド以上の冷間圧延機を有する冷間タ
ンデム圧延機と冷間タンデム圧延機の出側にコイラーま
たはコイラーおよびブライドルロールとを有する冷間タ
ンデム圧延機において、
【0007】
【外3】
【0008】該冷間タンデム圧延機の出側コイラー1基
の主電動機の出力または出側コイラー1基の主電動機の
出力および出側ブライドルロールの主電動機との出力の
合計をWc 、冷間タンデム圧延機の最終圧延スタンドの
主電動機の出力をWM した場合、
【0009】
【外4】
【0010】
【発明の実施の形態】圧延速度が速くなればなるほど、
ロールバイト内に導入される圧延潤滑油の量は増大し摩
擦係数は減少する。従って、出側板速度とワークロール
速度の比から定義される先進率は減少する。また、入側
張力が出側張力よりも大きいほど先進率は減少する。従
って、高速度および入側張力が大きくなるほど先進率は
小さくなる傾向がある。ところで、鋼種や圧下スケジュ
ールによって異なるが、先進率がある値(限界値)以下
になるとスリップやチャタリングが発生する。スリップ
が発生するとロールバイト内の圧延材とワークロール間
の相対すべり速度が急激に大きくなり、このため摩擦発
熱が急激に増大しヒートスクラッチが発生する。また、
チャタリングが発生するとその部分は板厚の規格外の部
分となるばかりではなくチャタマークが発生するので表
面品質も損なわれる。従って、スリップやチャタリング
を防ぐためには、先進率の値を前述した限界値よりも大
きくする必要がある。そのためには出側張力の値を入側
張力の値とのバランスを考慮して大きくしなければなら
ない。
【0011】図1は張力を広範囲に変化させた実験より
得られたチャタリングおよびスリップの発生率(張力負
加比κ=0.05時のチャタリングおよびスリップの発
生率を1とする)と張力負加比の関係を表す図である。
ここで、κは張力負荷比であり、圧延スタンドの入側お
よび出側における張力のレベルを表す指標であり、張力
/圧延材の変形抵抗で表される。即ち、圧延スタンドの
入側および出側の張力負荷比をκb およびκf とする
と、当該圧延スタンドにおける入側張力σb および出側
張力σf は、圧延材の引張試験から得られる圧延スタン
ド入側および出側の圧延材の0.2%耐力σyiおよびσ
yoに前述の張力負荷比を乗じた値、即ち、σb =κb σ
yi,σf =κf σyoとなる。なお、以降の説明において
は、張力負荷比あるいはκと記した場合、この張力負荷
比あるいはκは圧延スタンドの入側および出側の張力負
荷比κb およびκf の双方を含むものとする。
【0012】図1より明らかなように、チャタリングや
スリップの発生しない安定圧延を実現するためには、張
力負加比κは0.3以上必要である。図2は張力負荷比
を変化させた場合の実験から求めた圧延荷重比[無張力
圧延時(κ=0)の圧延荷重を1とする]に及ぼす張力
負荷比κの影響を示すものである。また、図3は図2に
示したのと同じ圧延条件でワークロールの摩耗量(荷重
と滑りを加えた状態で、10万回ほど回転させた後のワ
ークロールの重量を実験前のワークロール重量から減じ
た重量)に及ぼす張力負荷比κの影響[無張力圧延時
(κ=0)の摩耗量を耐摩耗性1とする]を示すもので
ある。
【0013】図2および図3より、張力負荷比κが大き
ければ大きいほどロールバイト内の圧力および接触弧長
が減少するので、圧延荷重比および耐摩耗性に及ぼす張
力負荷比の効果は大きいことが明らかになった。図4は
実験から求めた表面欠陥発生比率(ヒートスクラッチや
チャタリングあるいは板とロールとの間またはワークロ
ールと中間ロールとの間に異物が入った場合に生じる製
品の表面欠陥発生比率)に及ぼす張力負荷比κの影響
[無張力圧延時(κ=0)の表面欠陥発生率を1とす
る]を示す。図4より、張力負荷比κが大きくなるにつ
れて表面欠陥発生率は減少し、張力負荷比κ=0.3程
度を境にして、表面欠陥が発生しなくなることが明らか
になった。
【0014】以上のことから、張力負荷比κを0.3以
上、好ましくは0.4以上、即ち、張力を当該圧延スタ
ンド入側および出側の圧延材の変形抵抗の30%以上、
好ましくは40%以上の入側および出側張力を負荷する
ものである。これによって、ヒートスクラッチやチャタ
リングおよびスリップ等の発生しない圧延が可能となる
とともに、圧延荷重を低減でき、ワークロール表面の粗
度を長期に維持できる耐摩耗性を確保した圧延が可能と
なる。なお、張力負荷比κが0.7を越えると圧延荷重
の低減および耐摩耗性の向上等の効果は飽和すること、
圧延材の幅方向の端部に微少なクラックがあった場合に
は板が破断する可能性も生じてくるので、張力負荷比の
上限は0.7とするのが好ましい。
【0015】張力負荷比は各スタンドとも、上記のよう
に設定しても良いが、ヒートスクラッチやスリップやチ
ャタリングの発生し易い圧延スタンドのみ設定しても良
い。特に、圧延速度が最も速くなる最終圧延スタンドで
は、ヒートスクラッチやスリップやチャタリングが発生
し易いため、少なくとも最終圧延スタンドにおいては、
張力負荷比κを0.3以上、好ましくは0.4以上に設
定することが望ましい。
【0016】次に、上述した圧延方法を実現するための
冷間タンデム圧延機について説明する。既存のタンデム
圧延機では通常操業レベルの圧延速度(1000〜20
00m・min -1)では、最終スタンド出側にあるコイラ
ー1基の主電動機の出力が小さいため最終スタンド出側
の張力レベルを大きく取ることはできない。現状では、
出側コイラー1基の出力または出側コイラー1基と出側
ブライドルロールの主電動機の合計は、製品板厚が0.
6mm以上の製品が全生産量の50%以上を占める厚手系
の冷間タンデム圧延機では最終スタンドの圧延機の主電
動機の出力の47%以下であり、また、製品板厚が0.
6mm未満の薄手系の製品が全生産量の50%以上を占め
る冷間タンデム圧延機では最終スタンドの圧延機の主電
動機の出力の32%以下である。従って、低炭素鋼の圧
延の場合、最終スタンドの出側の張力レベルは通常5〜
10kgf ・mm-2程度である。低炭素鋼の場合、最終スタ
ンド近傍では加工硬化により変形抵抗は60〜70kgf
・mm-2程度であるので、上記張力レベルは変形抵抗の7
〜17%程度の低い値になっている。このように、最終
スタンド出側張力が低い値になっているため、最終スタ
ンド入側張力も上述したスリップおよびチャタリング防
止の観点から低い値に留まらざるを得ない。また、最終
スタンド入側張力はその上流側の最終スタンド直前の圧
延スタンドの出側張力に等しいことから、その入側張力
も同様に低いレベルとなり、さらにその上流側の張力も
低い値となる。以上のような理由から、従来の冷間タン
デム圧延機における圧延張力は、高々変形抵抗の20%
程度に留まっているのである。
【0017】最終圧延スタンドの最大出側張力は最終ス
タンドの板厚と板幅および板速度に反比例し、コイラー
系の主電動機の出力またはコイラー系とブライドルロー
ルの主電動機の出力の合計に比例する。ここで言う主電
動機の出力とは主電動機の最大出力のことをいう。従っ
て、圧延速度が速くなればなるほど得られる最大張力は
小さくなる傾向にある。即ち、圧延速度が速いほど、張
力負荷比を大きく取ることができなくなる。
【0018】従って、高速圧延時における張力負荷比を
上げる手段としては、コイラー系の主電動機の出力を大
きくする、即ち、最大出力のもっと大きな主電動機に置
き換えるか、あるいは、ブライドルロールを増設する必
要がある。従って、最終圧延スタンドにおいて張力負荷
比κを0.3以上、好ましくは0.4以上にするために
は、最終スタンドの主電動機の出力とコイラー系の主電
動機の出力またはとコイラー系とブライドルロールの主
電動機の出力の合計を最適化する必要がある。そのため
には、先ず、圧延機が成す仕事とコイラー系即ちコイラ
ー単独あるいはコイラーとブライドルロールが成す仕事
を求める必要がある。
【0019】先ず、圧延機が成す仕事を求めるために、
圧延荷重および圧延トルク、先進率等を求める。圧延荷
重Pは例えば式(1)に示すHillの荷重式を用いて
求めることができる。
【0020】
【数1】
【0021】ここで、bは板幅、Km は変形抵抗、σb
およびσf は入側および出側張力、R′は偏平後のワー
クロール半径、Hおよびhは圧延機入側および出側板
厚、r:圧下率、μ:摩擦係数である。なお、変形抵抗
m は予め行われた引張試験の実験結果によって求めら
れた定数a,ε0 ,nの値を用いて式(2)で表され
る。なお、HS は素材板厚(第1スタンド入側板厚)で
あり、εはひずみである。
【0022】
【数2】
【0023】次に、圧延トルクT(上下のロール2本
分)は例えばHillの式を用いると式(3)で表さ
れ、先進率fS は例えばBland&Fordの式を用
いると式(4)で表される。また、式(1)、式
(3)、式(4)中の偏平後のロール半径R′は、式
(5)に示すHitchcoockの式を用いて式
(1)と連成させることによって求めることができる。
なお、式(5)において、Eはロールのヤング率、νは
ロールのポアソン比、πは円周率である。
【0024】
【数3】
【0025】圧延機が単位時間に成す仕事WM は上述の
上下のロール2本分を合わせた圧延トルクTおよび先進
率fS を用いて式(6)で表される。なお、Rはロール
半径、VO は圧延スタンドの出側板速度である。 WM =TVO /{R(1+fS )} (6) このように圧延機が単位時間に成す仕事WM は簡単に求
めることができる。また、式(3)から明らかなよう
に、圧延機の単位時間に成す仕事WM はロールバイト内
で発生する仕事と圧延機前後の全張力で発生する仕事と
から成る。圧延スタンドの入側前張力と出側全張力を等
しくすることによって圧延機前後の全張力で発生する仕
事は無くなるので、タンデム圧延機全体を考慮すると圧
延機入側と出側の全張力は等しい、即ちHσb =hσf
である方が好ましい。
【0026】コイラー系即ちコイラー単独あるいはコイ
ラーとブライドルロールが成す仕事WC は式(7)で表
される。 WC =VO κσy hb (7) 式(7)から張力負荷比κが大きいほどコイラー系が成
す仕事は増大することが明らかである。
【0027】上述した式を用いて、コイラー系が成す仕
事Wc と圧延機が単位時間に成す仕事WM の比を比較す
る。表1に代表的な計算結果を示す。表1では製品板厚
を0.6mm未満に圧延する薄手系および製品板厚を0.
6mm以上に圧延する厚手系の最終スタンドの圧延条件を
想定した。但し、変形抵抗を表す式(2)の定数は、予
め引張試験によって得られた値、a=67kgf ・mm-2
εo =0.03、n=0.2とし、摩擦係数は冷間圧延
の最終スタンドにおける通常の圧延条件において得られ
た代表的な摩擦係数μ=0.05を用いた。
【0028】なお、表1中のロール半径は通常の冷間タ
ンデム圧延機の最終スタンドに使用されている代表的な
ロール半径とし、圧下率、ワークロール速度、素材板厚
は通常の冷間タンデム圧延における代表的な圧延条件の
範囲の値を用いている。
【0029】
【表1】
【0030】このような条件において、最終スタンドの
出側の板厚が0.6mm未満の場合と、0.6mm以上の場
合を想定して、張力負荷比を変えた場合の単位時間にコ
イラー系が成す仕事と圧延機が成す仕事を計算、比較し
た。表1の圧延条件より、同一出側板hおよび同一張力
負加比κで比較すると圧下率rが大きいほど、ロール半
径Rが大きいほど圧延機が単位時間に成す仕事WMが増
大するのでコイラー系が単位時間に成す仕事Wc と圧延
機が単位時間に成す仕事WM の比は小さくなること、ま
た、張力負荷比を大きくした場合には、コイラー系が成
す仕事の割合が増大するのでコイラー系が単位時間に成
す仕事Wc と圧延機が単位時間に成す仕事WM の比は大
きくなることが分かる。
【0031】ところで、最終スタンドの仕事量は最終ス
タンドの電動機の出力に規定され、コイラー系の仕事量
は最終スタンドの仕事量を考慮して決定される。本発明
においては張力負加比κを考慮してその比率を決定する
必要があるため、コイラー系の仕事量は最終スタンドの
仕事量はロール速度、ロール径、圧下率などの圧延条件
を考慮して評価した最終スタンドの仕事量を勘案して決
める必要がある。式(1)〜式(6)から分かるよう
に、最終スタンド圧延機の仕事量は、圧下率、ロール径
が大きくなるほど増大するため、仕事量が大きい条件、
圧延トルクの大きな、従って圧下率、ロール半径が大き
い条件、即ち、表1のNo. 4とNo. 8のロール半径25
0mm、圧下率30%以上の条件における仕事量に基づい
てコイラー系の能力を検討するのが望ましい。
【0032】以上のことから、本発明の方法実施する上
で、有利な圧延設備を検討する場合、即ちその能力を十
分に発揮させるためには、最終スタンドが行うことので
きる最大の仕事に対してコイラーが行うべき最小の仕事
を規定する必要がある。最終スタンドが行うことができ
る最大の仕事は最終スタンドの主電動機の出力(最大出
力)によって決定されるので、コイラー系が行うべき最
小の仕事も同様にコイラー系の主電動機の出力(最小出
力)によって決定される。従って、上述の圧延条件に示
すように、コイラー系が単位時間に成す仕事Wc と圧延
機が単位時間に成す仕事WM の比が求まればコイラー系
に必要な主電動機の最小出力が、圧延機の主電動機の最
大出力から簡単に求めることができる。
【0033】さて、前述したように安定した冷間タンデ
ム圧延を行うためには張力負加比κは0.3以上必要で
ある。そのためには、表1から分かるように、コイラー
系の仕事は、製品板厚が0.6mmの製品を製造する冷間
タンデム圧延機では最終スタンドの圧延機の仕事の50
%以上、また、製品板厚が0.2mmの薄手系の製品を製
造する冷間タンデム圧延機では最終スタンドの圧延機の
仕事の35%以上必要であることが分かる。即ち、コイ
ラー系の主電動機の出力は、製品板厚が0.6mmの製品
を製造する冷間タンデム圧延機では最終スタンドの圧延
機の主電動機の50%以上、また、製品板厚が0.2mm
の薄手系の製品を製造する冷間タンデム圧延機では最終
スタンドの圧延機の主電動機の出力の35%以上必要で
ある。
【0034】なお、出側コイラーのみで大きな張力を発
生させる代わりに、コイラー切り替え時も考慮して最終
スタンドと出側コイラーの間に張力負荷用のブライドル
ロールを設置しても良い。この場合は、出側コイラー1
基と出側ブライドルロールの出力の合計が上記条件を満
足すればよい。
【0035】
【外5】
【0036】出側コイラー1基の主電動機の出力または
出側コイラー1基と出側ブライドルロールの主電動機の
出力の合計をWc 、最終スタンドの圧延機の主電動機の
出力をWM した場合、
【0037】
【外6】
【0038】なお、その際前述したように全圧延張力
(圧延張力に板厚と板幅を乗じた値)は圧延機入側と出
側で同じ値にすることによって、圧延機には過剰な負荷
(メカロスも含む)はかからなくなり電力原単位も向上
することから、圧延機入・出側で全圧延張力を等しくす
る方が好ましい。
【0039】
【実施例】本発明の実施に用いた冷間タンデム圧延機の
概要を図5に示す。図5において、冷間タンデム圧延機
は4スタンドの4段圧延機から構成されている。圧延材
(1)は各圧延スタンドで圧延され、ブライドルロール
(2)を通ってコイラー(3)で巻き取られている。圧
延条件を以下に示す。なお、ブライドルロール有りの2
0kgf ・mm-2場合、圧延機出側〜ブライドルロール間の
張力は30kgf ・mm -2であり、ブライドルロール出側〜
コイラー間の張力は10kgf ・mm-2の意味であり、ブラ
イドルロール有りの0kgf ・mm-2場合、圧延機出側〜ブ
ライドルロール間の張力は30kgf ・mm-2であり、ブラ
イドルロール出側〜コイラー間の張力は30kgf ・mm-2
の意味である。
【0040】 ワークロール径 (D) :φ480mm ワークロール速度(VR ):1000m・min -1 入側張力 (σb ):21.4kgf ・mm-2(κb ≒0.32) 出側張力 (σf ):30kgf ・mm-2(κf ≒0.40) 入側板厚 (H) :0.84mm 出側板厚 (h) :0.60mm 板幅 (b) :988mm 素材板厚 (HS ):3.2mm 材質 :低炭素鋼σy =67(ε+0.03)0.2 kgf ・mm-2 圧延潤滑 :牛脂系2%エマルジョン(60℃) ブライドルロール張力 :0kgf ・mm-2,20kgf ・mm-2 本来、このタンデムミルは圧延速度が1800m・min
-1の能力があるが、その圧延速度で本発明を適用した場
合には出側コイラー側のモーター出力が不足する。そこ
で、圧延速度を落とし、出側コイラー系の仕事がその際
の最終スタンドの仕事の0.5以上にした。
【0041】従来の圧延方法として、表2に示したのと
同じ条件で、入側張力が12kgf ・mm-2(κb =0.1
8)、出側張力が5kgf ・mm-2(κf =0.07)、ブ
ライドルロール張力0kgf ・mm-2の圧延を行い本発明と
比較した。図6はワークロールの耐摩耗性をワークロー
ルの表面粗さで示したものである。従来の圧延では圧延
トン数で200トン程度で、ワークロールの表面が平滑
になり過ぎスリップが生じたのでワークロールの組み替
えを余儀なくされた。しかし、本発明を用いることより
ワークロールの表面粗さは圧延トン数で400トンでも
従来のスリップが発生した表面粗さよりも大きくスリッ
プも発生しなかった。従って本発明を用いることによっ
て、ワークロールの耐摩耗性は約2倍以上に向上した。
また、本発明を用いることにより、従来発生していた表
面欠陥(全生産量の約2%程度の発生率)は全く発生し
なくなった。この効果は、ブライドルロール張力には無
関係に得ることができた。ただし、ブライドルロール張
力が0kgf ・mm-2の場合、巻き取られたコイルの中には
一部巻き締まりによる疵が発生することがあったので、
ブライドルロール張力をかけることによってコイラーの
張力レベルをあまり上げないようにすることが好まし
い。
【0042】なお、コイル側のモータ出力を最終スタン
ドの出側コイラー側出力の1/2以上に改造することに
よって、減速する必要はなくなり生産性は増大すること
は明らかである。このように、本発明を適用することに
よって、高生産性の実現と製造コストの低減とを可能と
することができる。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、タンデム圧延機で冷間
圧延を行う際、少なくとも最終スタンドでの圧延張力を
圧延材の変形抵抗の30%以上、即ち張力負荷比を0.
3以上とすることによってスリップ、チャタリングの発
生を低減することができる。これによって、鋼板の表面
欠陥の発生防止、ロールの耐摩耗性の向上に大きな効果
を得ることができる。
【0044】また、最終スタンドにおける張力負荷比を
考慮して、最終圧延スタンドの出力とコイラー系の出力
を適切に設定することができるため、スリップやチャタ
リングの発生を低減するに必要な圧延機を適切に得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スリップ・チャタリング率に及ぼす張力負荷比
の影響を示す図。
【図2】圧延荷重比に及ぼす張力負荷比の影響を示す
図。
【図3】耐摩耗性に及ぼす張力負荷比の影響を示す図。
【図4】表面欠陥発生率に及ぼす張力負荷比の影響を示
す図。
【図5】本発明に用いた冷間タンデム圧延機の概要図。
【図6】本発明の効果を示す図で、ロール表面粗度と圧
延トン数の関係を示す図。
【符号の説明】
1…圧延材 2…ブライドルロール 3…コイラー

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4スタンド以上の冷間圧延機を有する冷
    間タンデム圧延機において冷間圧延を行う際、少なくと
    も最終圧延スタンドにおいて圧延材の変形抵抗の30%
    以上の圧延張力を負荷して圧延することを特徴とする冷
    間タンデム圧延方法。
  2. 【請求項2】 4スタンド以上の冷間圧延機を有する冷
    間タンデム圧延機と冷間タンデム圧延機の出側にコイラ
    ーまたはコイラーおよびブライドルロールとを有する冷
    間タンデム圧延機において、該冷間タンデム圧延機で製
    造する 【外1】 または出側コイラー1基の主電動機の出力および出側ブ
    ライドルロールの主電動機との出力の合計をWc 、冷間
    タンデム圧延機の最終圧延スタンドの主電動機の出力を
    M した場合、 【外2】
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