JPH0924614A - 液体噴射記録ヘッド用保護膜材料および該保護膜材料を用いた液体噴射記録ヘッドおよび液体噴射記録ヘッドキット - Google Patents

液体噴射記録ヘッド用保護膜材料および該保護膜材料を用いた液体噴射記録ヘッドおよび液体噴射記録ヘッドキット

Info

Publication number
JPH0924614A
JPH0924614A JP17490095A JP17490095A JPH0924614A JP H0924614 A JPH0924614 A JP H0924614A JP 17490095 A JP17490095 A JP 17490095A JP 17490095 A JP17490095 A JP 17490095A JP H0924614 A JPH0924614 A JP H0924614A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
jet recording
recording head
protective film
liquid jet
epoxy resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17490095A
Other languages
English (en)
Inventor
Masashi Miyagawa
昌士 宮川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP17490095A priority Critical patent/JPH0924614A/ja
Publication of JPH0924614A publication Critical patent/JPH0924614A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ性の高い記録液体を吐出する液体噴
射記録ヘッドの基板上の配線を十分に保護することので
きる耐アルカリ性の保護層材料を提供するとともに、こ
の耐アルカリインク性の高い保護膜材料による保護膜を
配線パターン上に形成し、電流のリークおよび配線パタ
ーンの腐食を防止することにより、液体噴射記録ヘッド
および該記録ヘッドを有する液体噴射記録装置の信頼性
を高めることを主たる目的とする。 【解決手段】 保護層材料として、エポキシ樹脂と芳香
族オニウム塩とを少なくとも含有するコーティング材料
を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録方式に用いる記録液小滴を発生するための液体噴射記
録ヘッドの基板上に形成された配線を保護するために用
いる保護膜材料、および該保護膜材料により配線が保護
された基板を有する液体噴射記録ヘッド、該記録ヘッド
を有する液体噴射記録装置、さらには該液体噴射記録ヘ
ッドを有する液体噴射記録ヘッドキットに関するもので
ある。なお、ここで、記録とは、布、糸、紙、シート材
等のインク付与を受けるインク支持体すべてへのインク
付与等(プリント)を含むもので、記録装置は、各種情
報処理装置すべてあるいはその出力器としてのプリンタ
を含むものであり、本発明はこれらへの用途が可能なも
のである。
【0002】
【従来の技術】バブルジェット記録方式(液体噴射記録
方式)に適用される液体噴射記録ヘッドは、一般に微細
な記録液吐出口(以下、オリフィスと呼ぶ)、液流路お
よび該液流路の一部に設けられる液体吐出エネルギー発
生部とを備えている。液体吐出エネルギー発生部は電気
熱変換素子であるヒーターより形成される。一般的な電
気熱変換素子が形成される基板は、シリコンウエハー等
に、熱の拡散を制御するための熱伝導率の低い被膜を形
成し、次いで電気抵抗の高い金属部材によってヒーター
を形成した後、該ヒーターに電気エネルギーを付与する
ための配線パターンを配設し、該配線の保護膜を形成す
ることにより、作製される。また、バブルジェット記録
方式においては、気泡の消泡時のキャビテーションによ
るヒーターの破壊を防止するため、保護膜上に耐キャビ
テーション膜を形成する場合もある。
【0003】これら被膜は、蒸着やスパッタリング等の
真空成膜技術とフォトリソグラフィーによる被膜の加工
によって、パターン形成される。
【0004】このようにして配線を保護する被膜が形成
された基板上にインク流路を形成することによってバブ
ルジェット記録ヘッドが作製される。
【0005】該バブルジェット記録ヘッドの作製に際し
て、インクと電気配線パターンを隔絶する被膜は保護膜
のみであり、該被膜の保護膜特性は極めて重要である。
すなわち、該被膜の絶縁特性が不十分な場合は、電気熱
変換素子に付与される電気信号のリークを招いたり、更
には配線パターンの腐食等を起こしたりする場合が多
い。該被膜を真空成膜手段によって形成することは可能
であるが、真空成膜手段を使用する場合はピンホールの
形成を皆無とすることが極めて難しく、ヘッドが大型化
した場合は歩留りの低下を招いてしまう。真空成膜手段
においては、一般的には酸化シリコンや窒化シリコン等
を保護膜として形成する場合が多いが、これら被膜の膜
厚は十分な絶縁特性を得るために1μ以上形成すること
が好ましく、このような厚膜の真空成膜に関しては、被
膜の応力に起因するクラックの発生や、突発的微小粒子
の付着を完全には防止できない場合が多い。そのため、
真空成膜法による保護膜の作製においては、ピンホール
等による絶縁不良が、発生する確率が高く、歩留りを低
減してしまう大きな原因となっている。
【0006】一方、半導体作製等に使用されるポリイミ
ド系樹脂を用いて保護膜を形成すれば、ピンホールの無
い良好な絶縁膜を作製することが可能である。このよう
な有機系保護膜のスピンコート法によれば、被膜の膜厚
を0.2μm以上とすることによりピンホールの発生を
ほとんど防止することが可能であり、また、クラックの
ない良好な保護膜を形成することが可能である。しか
し、バブルジェット記録ヘッドのインクとしては、近
年、インク中に溶解する染料の会合や凝集を防止するた
めに、アルカリ強度の高いインクを用いる場合がある。
すなわち、インクの水素イオン濃度を高く設定すること
により、染料は安定にインク中に溶解せしめることが可
能である。このため、インク中にPH10程度の緩衝液
を添加したり、尿素や苛性ソーダを添加してPHを10
程度に保持する手段が講じられている。
【0007】しかしながら、前記したポリイミド系保護
膜では該アルカリに対しては十分な化学的耐性を有して
おらず、該アルカリにより加水分解を受けて剥離してし
まう、という問題を有している。このことは、従来汎用
的に使用されるポリイミド系保護膜ではアルカリインク
を使用した場合のパッシベーション被膜として十分な信
頼性を実現できないことを示唆している。
【0008】また、ポリイミドに代るスピンコート可能
な高分子系保護膜材料として実用化されている物とし
て、シリコン樹脂を挙げることができるが、該樹脂の焼
成温度は400℃以上と極めて高いこと、しかも厚膜に
てクラックが発生しやすい、という問題点を有してい
る。
【0009】また、液体噴射記録ヘッドのパッシベーシ
ョン被膜としては、半導体デバイス程の高い耐熱性を要
求されないため、汎用的高分子化合物を適用することは
可能である。すなわち、一般的半導体デバイスは、樹脂
封止やセラミック封止工程での400℃あるいは700
℃の温度にても変質しない特性を要求されるため、高分
子系パッシベーション材料としてはポリイミドやシリコ
ン樹脂に限定されてしまう。しかしながら、液体噴射記
録ヘッドにおいては、該工程が存在しないため、パッシ
ベーション膜に要求される耐熱性はそれほど高いもので
はなく、200〜300℃程度であれば十分に使用する
ことが可能である。このような耐熱温度は汎用的高分子
化合物においても実現できる値であり、液体噴射記録ヘ
ッド用パッシベーション被膜材料としては耐アルカリ特
性に主眼をおいて樹脂を選択することができる。
【0010】しかしながら、一般的に耐アルカリ性に優
れる高分子化合物は、密着性や、塗布溶剤に対する溶解
性や、感光性を付与するための反応性に劣るものであ
り、保護膜として使用する場合には問題が生じる。例え
ば、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエ
ーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエステル等の高
分子化合物は、耐アルカリ性は高いものの、汎用的な溶
剤に溶解し難く、また密着性も良好ではない。しかも、
不飽和二重結合や水酸基、引抜きを受け易い水素原子等
が存在しないため、感光特性を付与することが難しい、
という問題がある。すなわち、このような耐アルカリ性
に優れる高分子化合物は、活性な反応基を有しておら
ず、密着性や感光性の付与には極めて問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の諸点
に鑑みてなされたものであって、アルカリ性の高い記録
液体を吐出する液体噴射記録ヘッドの基板上の配線を十
分に保護することのできる耐アルカリ性の保護層材料を
提供するとともに、この耐アルカリインク性の高い保護
膜材料による保護膜を配線パターン上に形成し、電流の
リークおよび配線パターンの腐食を防止することによ
り、液体噴射記録ヘッドおよび該記録ヘッドを有する液
体噴射記録装置の信頼性を高めることを主たる課題とす
る。
【0012】また、本発明は、保護膜材料として感光特
性を有する材料を使用することにより、通常のフォトリ
ソグラフィー工程にて、簡便にまた高精度でパターン化
された保護膜を形成することにより、安価に信頼性の高
い液体噴射記録ヘッドおよび記録装置を提供することを
課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、本発明の保護層材料は、エポキシ樹脂と芳香族オニ
ウム塩とを少なくとも含有するコーティング材料を用い
ることを特徴としている。
【0014】図1は、本発明による保護膜材料を液体噴
射記録ヘッドの電気熱変換素子を形成した基板上にパタ
ーン形成した模式図を示す。図1において、ガラスある
いはシリコン等の基板1上に、ヒーター(電気熱変換素
子)2、配線パターン3、およびヒーター2のキャビテ
ーション破壊を保護するための耐キャビテーション膜
(図示せず)が形成されており、このような基板1上に
本発明による保護膜材料による保護膜層5をパターン形
成して構成されている。
【0015】
【発明の実施の形態】一般的に、エポキシ樹脂は、酸無
水物やアミン化合物により硬化する熱硬化性樹脂である
が、酸無水物にて硬化させた硬化物は、アルカリにて加
水分解反応するため、アルカリ性インクに対する耐性は
良好なものではない。一方、アミン硬化した硬化物は、
ガラス転移温度が低く良好な絶縁膜としては使用できな
い。また、これら材料は感光特性を持たないため、その
パターン加工は簡便には行なえない等の問題を有してい
る。
【0016】本出願人らは、エポキシ樹脂の硬化物性を
鋭意検討したところ、エポキシ樹脂を芳香族オニウム塩
にて硬化せしめた被膜は、アルカリ性インクに対して極
めて高い耐性を有するとともに、そのガラス転移温度も
150℃以上とすることが可能であり、しかも高い感光
特性を付与できることを見出した。エポキシ樹脂の芳香
族オニウム塩による硬化物は、エーテル結合による硬化
反応が主たる反応であるため、酸無水物硬化によるエス
テル結合やアミンによるアミン結合等のようにアルカリ
による加水分解を受けずらく、また、高い耐熱性を有す
る原因と推定することができる。
【0017】本発明による保護膜材料としては、エポキ
シ環を有するエポキシ樹脂であれば、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水
添加ビスフェノールエポキシ樹脂、クレゾールノボラッ
クエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、
およびこれらエポキシ樹脂をカプロラクトン変性、オキ
シアルキル変性等、変性した物の何れも使用することは
可能である。もちろん、水添加やカプロラクトンあるい
はポリオキシ変性することによって、アルカリインクに
対する耐性は低下するが、液体噴射記録ヘッドに要求す
る信頼性のスペックと被膜の特性との相関より選択する
ことは可能である。
【0018】本出願人らの検討によれば、芳香環を有す
るエポキシ樹脂、さらにはシクロヘキシル環や直鎖アル
キル等を含まないエポキシ樹脂がより高い耐アルカリイ
ンク性を有することが判明した。すなわち、ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹
脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノ
ボラックエポキシ樹脂が最も好ましく使用できる。これ
は長鎖炭化水素結合がアルカリによる分解反応を受けや
すいためと想定できる。
【0019】特に好ましくは、これらエポキシ樹脂は、
常温にて固体状の物がそのパターニング工程における適
用性が高い。すなわち、常温にて固体状のエポキシ樹脂
を汎用的塗布溶剤にて溶解し、通常のソルベントコート
法にて基板上に塗布することによって、膜厚の再現性良
く塗布できるためである。また、該被膜は溶剤の乾燥に
よって取扱いが容易となり、また、粘着性等も低減する
ため、汎用のフォトリソブラフィー装置でのパターニン
グが可能となる。すなわち、常温にて液体状のエポキシ
樹脂を用いた場合は、塗布溶剤が飛散した後も、被膜の
流動性が損失せず、膜厚の再現性や膜厚分布の均一性を
実現できない場合が多い。さらには、該被膜を塗布した
基板は、粘着性を有しており、露光装置、現像装置、ア
ッシング装置等の装置への樹脂の付着が起こり易いとと
もに、該基板にゴミが付着した場合の除去もできなくな
ってしまう。しかも、常温にて固体状のエポキシ樹脂
は、一般的にはエポキシ当量が高いため、エポキシ樹脂
の致命的欠点である可撓性がないという問題も発現し難
くなる。このことにより、保護膜の密着性をより高くで
きるというメリットを有することができる。
【0020】以上記載したように、本発明に最も好まし
いエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型およびビ
スフェノールF型エポキシ樹脂が挙げられ、これらの樹
脂においては、エポキシ当量が400以上のものがより
好ましい。上市されるエポキシ樹脂の中では、ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂として、エピコート1001
(エポキシ当量450〜500),1002(600〜
700),1003(670〜770),1004(8
75〜975),1007(1750〜2200),1
009(2400〜3300),1010(3000〜
5000)等が好ましい。またビスフェノールF型樹脂
としては、エピコート1003F(エポキシ当量700
〜800),1004F(875〜975),1005
F(950〜1050)等を挙げることができる。
【0021】エポキシ樹脂に感光特性を付与するため
に、芳香族オニウム塩を添加する必要がある。芳香族オ
ニウム塩としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフル
オロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフ
ルオロフォスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサ
フルオロボーレートおよびこれらジフェニルヨードニウ
ム塩の溶解性を高めたジ−tert−ブチル−ジフェニ
ルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、または
フォスフェート、ボーレート等を挙げることができる。
また、上市されているオニウム塩としては、アデカ
(株)社製SP−170,SP−150、チバガイギー
社製イルガキュア261等を挙げることができる。これ
らオニウム塩は0.1〜5部の添加が望ましい。
【0022】また、エポキシ樹脂の密着性を向上せしめ
るために、シランカップリング剤の添加も有効である。
シランカップリング剤としては、何れのカップリング剤
を用いても構わないが、最も好ましくは、分子構造中に
オキシラン環を有するものが良好な密着性を実現でき
る。例えば、日本ユニカー社製A−187等が好まし
い。これらシランカップリング剤の添加量は、1〜20
部が好ましい。添加量が少ないと十分な密着性を実現で
きず、また、多過ぎると耐熱性の低下を来す。
【0023】また、エポキシ当量5000以上の高分子
エポキシ樹脂や、フェノキシ樹脂の添加も、被膜の密着
性や可撓性を高めることに有効である。これら高分子バ
インダーの添加は1〜50部が最も好ましく使用でき
る。50部を越えて添加することによって、パターンの
解像性の低下や被膜の耐熱性の低下を来す。
【0024】上記した組成物は、5〜50wt%の濃度
にて溶剤に溶解して使用することが好ましい。溶剤とし
ては、上記組成物を溶解し、また良好な被膜を形成する
適度の沸点を有する溶剤が好ましい。例えば、シクロヘ
キサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、
酢酸エチル、酢酸ブチル、2−エトキシエチルアセテー
ト等のエステル系溶剤、ジエチレングリコールジメチル
エーテル、エチレングリコールエチルエーテル等のエー
テル系溶剤等何れの溶剤を使用しても構わない。
【0025】上記した組成物を溶剤に溶解せしめた保護
膜溶液は、一般的なソルベントコート法にて基板に塗布
する。ソルベントコート法としては、スピンコート法、
ロールコート法等を挙げることができる。一般的に液体
噴射記録ヘッドに使用される基板は、シリコンやガラス
製ウェハー上に、電気熱変換素子および該素子に電気信
号を付与する配線が施されている。また、電気熱変換素
子表面は、一般的には、真空成膜法にて形成した保護膜
およびバブルの消泡時のキャビテーションによる素子の
破壊を防止する被膜等が形成されているものである。塗
布後、塗布溶剤を除去するベーキングを実施する。該ベ
ーキングは、溶剤が除去できれば何れの温度にて行なっ
ても構わないが、一般的にはオーブンであれば60〜1
50℃の温度にして10〜30分間、ホットプレートで
あれば90〜200℃の温度にて30〜120秒間が好
ましい。
【0026】ベーキングした基板は、露光装置にて保護
膜パターンのパターン露光を行なう。パターンとして
は、基本的には電気熱変換素子表面とワイヤーボンディ
ング等の電気実装を行なう箇所は露呈し、配線パターン
は被覆することの基本的要件を満たせば、該箇所以外は
被覆しても、また被覆しなくても構わない。露光は汎用
的な露光装置であれば何れの装置でも使用できる。
【0027】本発明による保護膜材料は、塗布溶剤を飛
散せしめることにより、常温にて固体化するものであ
り、通常のフォトレジストと同様の取扱方法にて、露光
が可能である。また、本発明による保護膜材料は、酸素
による反応阻害を受けない材料であるため、そのパター
ン露光工程は、窒素雰囲気を形成したり、マスクとの密
着を行なったりする必要がなく、簡便にて実施できる。
本発明による保護膜材料は、ネガ型の感光特性を有する
ものであり、現像後に残存せしめる箇所は、露光される
ようなマスクパターンの作製が必要である。
【0028】露光後、そのままパターンの現像を実施し
ても構わないが、好ましくは、若干のベーキング処理を
施すことはパターンの密着性や感度を高めることに有効
である。エポキシの開環重合は、熱によって反応が促進
するためであり、一般的には40〜90℃の温度にて1
〜10分間のベーキングが有効である。もちろん解像性
等の要求が厳しい場合では、露光量を多めにしてベーキ
ング処理を施さなくても構わない。
【0029】現像は、汎用的な有機溶剤であれば何れの
溶剤にて行なっても良く、塗布溶剤として記載したケト
ン、エステル、エーテル系溶剤あるいはN−メチルピロ
リドン、ジメチルスルフォキシド等にて行なうことがで
きる。現像は、シャワー、ディップ、パドル等の何れの
現像方式にて行なっても構わない。
【0030】現像後に、架橋密度を高め、耐熱性や密着
性を向上せしめるためにベーキングを施す。該ベークは
100〜300℃の温度にて30分〜2時間程度行な
う。最後に発生した残渣を除去するためにアッシングを
行なっても構わない。該アッシングは、汎用の酸素プラ
ズマアッシング装置を使用することが可能であり、該装
置はバレル、平行平板等のいずれの装置で行なっても構
わない。
【0031】以上記載した汎用的フォトリソグラフィー
工程にて、本発明による液体噴射記録ヘッド用絶縁膜パ
ターンを作製できる。本被膜は、前記したように、ソル
ベントコート法にて塗布するため、ピンホールの無い良
好な絶縁被膜が形成できるとともに、耐アルカリインク
性に優れ、また、耐熱性も200〜300℃を実現でき
る良好な特性を実現できる。
【0032】このようにして形成した基板を使用して液
体噴射記録ヘッドを作製するためには、該基板上にイン
クを流入および吐出せしめるノズルを形成する工程、基
板を切断し、ダイボンを行う工程、電気実装およびイン
ク供給のための実装を行う工程を実施する。
【0033】本発明では、上記した後工程として、何れ
の工程にて行っても構わない。ノズルを形成する工程と
しては、特開昭57−208255号公報,特開昭57
−208256号公報に記載される手段による方法、あ
るいは特開昭61−154947号公報に記載される手
段による方法、あるいはHewlett−Packar
d社ジャーナルP28−31 August’1988
に記載される方法等を挙げることができる。
【0034】例えば、特開昭61−154947号公報
に記載される方法にて作製した液体噴射記録ヘッドの吐
出エレメントの模式図を、図2に示す。図2において、
基板1上にノズル形成材料6にてインク流路7およびイ
ンク吐出孔8が形成されており、該ノズル形成材料6上
には天井部材9が貼り合わせてある。天井部材9にはイ
ンクを供給するための貫通孔10が設けられている。
【0035】本発明は、特に液体噴射記録(インクジェ
ット記録)方式の中でも、バブルジェット方式の記録ヘ
ッド、記録装置において優れた効果をもたらすものであ
る。
【0036】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている。基本的な原理を用い
て行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド
型、コンチィニュアス型の何れにも適用可能であるが、
特にオンデマンド型の場合には、液体噴射記録ヘッド
(インク)が保持されているシートや液路に対応して配
置された電気熱変換素子に、記録情報に対応した少なく
とも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変
換体に核沸騰を越える急激な温度上昇を与える熱エネル
ギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に核沸騰を起
こさせ、結果的にこの駆動信号に一対一に対応した気泡
を液体(インク)内に形成できるので有効である。この
気泡の成長、収縮により吐出孔を介して液体(インク)
を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。
【0037】この駆動信号をパルス形状とすると、即時
適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優
れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第446
3359号明細書、同第4345262号明細書に記載
されているようなものが適している。なお、上記熱作用
面の温度上昇率に関する発明として米国特許第4313
124号明細書に記載されている条件を採用すると、更
に優れた記録を行うことができる。
【0038】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出孔、液流路、電気熱変換
体素子の組合せ構成(直線状液流路または直角状液流
路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構
成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国
特許第459600号明細書を用いた構成も本発明に含
まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体素子に
対して、共通するスリットを電気熱変換体素子の吐出部
とする構成を開示する特開昭59−123670号公報
や熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出孔に反応
させる構成を開示する特開昭59−138461号公報
に基づいた構成にしても本発明は有効である。
【0039】さらに、記録紙の全幅にわたり同時に記録
ができるフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述
した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組
合せによって、その長さを満たす構成や、一体的に形成
された一個の記録ヘッドとしての構成の何れでも良い
が、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮すること
ができる。
【0040】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドにおいても、本発明は有効であ
る。また、記録装置に記録ヘッドに対する回復手段や予
備的な補助手段等を付加することは、本発明により得ら
れる記録ヘッドの効果を一層安定にできるので、好まし
いものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッド
に対しての、キャッピング手段、クリーニング手段、加
圧あるいは吸引手段、電気熱変換体素子あるいはこれと
は別の加熱素子、あるいはこれらの組合せによる予備加
熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを行う
手段等を付加することも安定した記録を行うために有効
である。
【0041】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録
ヘッドを一体的に構成した装置、または複数個を組合せ
て構成した何れでもよいが、異なる色の複色カラーまた
は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装
置の記録ヘッドにも、本発明は極めて有効である。
【0042】また、本発明により得られる記録ヘッド
は、インクが液体でなくとも、室温やそれ以下で固化す
るインクであって、室温で軟化もしくは液体となるも
の、あるいは、インクジェットにおいて一般的に行われ
ている温度調整範囲である30℃以上70℃以下で軟化
もしくは液体となるものにも適用できる。すなわち、記
録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温を、インクの
固体状態から液体状態への態変換のエネルギーとして吸
収させることで防止するか、または、インクの蒸発防止
を目的として放置状態で固化するインクを用いるかし
て、いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付
与によってインクが液化してインク状態として吐出する
ものや記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始める
もの等のような、熱エネルギーによって初めて液化する
性質のインク使用も本発明に係わる記録ヘッドには適用
可能である。
【0043】このような場合インクは、特開昭54−5
66847号公報あるいは特開昭60−71260号公
報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔
に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変
換体素子に対して対向するような形態としても良い。本
発明においては、上述した各インクに対して最も有効な
ものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0044】図3は、本発明により得られた液体噴射記
録ヘッドをインクジェットカートリッジ(IJC)とし
て装着したインクジェット記録装置(IJRA)の一例
を示す外観斜視図である。
【0045】図において、20はプラテン24上に送紙
されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐出を行う
ノズル群を備えたインクジェットカートリッジ(IJ
C)である。16はIJC20を保持するキャリッジH
Cであり、駆動モーター17の駆動力を伝達する駆動ベ
ルト18の一部と連結し、互いに平行に配設された2本
のガイドシャフト19Aおよび19Bと摺動可能とする
ことによりIJC20の記録紙の全幅にわたる往復移動
が可能となる。
【0046】26はヘッド回復装置であり、IJC20
の移動経路の一端、例えばホームポジションと対向する
位置に配設される。伝動機構23を介したモーター22
の駆動力によって、ヘッド回復装置26を動作せしめ、
IJC20のキャッピングを行う。このヘッド回復装置
26のキャップ部26AによるIJC20へのキャッピ
ングに関連させて、ヘッド回復装置26内に設けた適宜
の吸引手段によるインクの吸引もしくはIJC20への
インク供給経路に設けた適宜の加圧手段によるインク圧
送を行い、インクを吐出孔より強制的に排出させること
によりノズル内の増粘インクを除去する等の吐出回復処
理を行う。また、記録終了時等にキャッピングを施すこ
とによりIJC20が保護される。
【0047】30は、ヘッド回復装置26の側面に配設
され、シリコンゴムで形成されるワイピング部材として
のブレードである。ブレード30はブレード保持部材3
0Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復装置2
6と同様、モーター22および伝動機構23によって動
作し、IJC20の吐出面との係合が可能となる。これ
により、IJC20の記録動作における適切なタイミン
グで、あるいはヘッド回復装置26を用いた吐出回復処
理後に、ブレード30をIJC20の移動経路中に突出
させ、IJC20の移動動作に伴ってIJC20の吐出
面における結露、濡れあるいは塵等をふきとるものであ
る。
【0048】(その他)また、本発明の液体噴射記録ヘ
ッドにおいては、該ヘッドを有する液体噴射記録ヘッド
キットを構成することができる。図4は、このような液
体噴射記録ヘッドキットを示した模式図であり、このキ
ット500は、インクを吐出するインク吐出部511を
有する本発明の液体噴射記録ヘッド510と、このヘッ
ドと不可分もしくは分離可能な液体容器であるインク容
器520と、このインク容器にインクを充填するための
インクを保持したインク充填手段530とを、キット容
器501内に納めたものである。
【0049】インクを消費し終わった場合には、インク
容器の大気連通口521や記録ヘッドとの接続部や、も
しくはインク容器の壁に開けた穴などに、インク充填手
段530の挿入部(注射針等)531の一部を挿入し、
この挿入部を介してインク充填手段内のインクをインク
容器内に充填すればよい。
【0050】このように、本発明の液体噴射記録ヘッド
510と、インク容器520やインク充填手段530等
を一つのキット容器501内に納めてキット500にす
ることで、インクが消費されてしまっても前述のように
すぐに、また容易にインクをインク容器内に充填するこ
とができ、記録の開始を迅速に行うことができる。
【0051】なお、本実施例の液体噴射記録ヘッドキッ
ト500では、インク充填手段530が含まれるもので
説明を行ったが、キットとしては、インク充填手段53
0を持たず、インクが充填された分離可能タイプのイン
ク容器520がキット容器501内に納められている形
態のものであってもよい。
【0052】
【実施例】以下、実施例を以て本発明を詳細に説明する
が、本発明は該実施例に制限されるものではない。
【0053】(実施例1)エポキシ樹脂としてエピコー
ト1002(油化シェルエポキシ社)100部、シラン
カップリング剤としてA−187(日本ユニカー社)5
部、オニウム塩としてSP−170(アデカ社)1.5
部を、200部のシクロヘキサノンに溶解して保護膜溶
液を作製した。該溶液は、0.22μmメッシュのテフ
ロンフィルターにてフィルタリングを行なって使用し
た。基板としては、2.0μmの熱酸化膜を有するシリ
コンウェハーに、電気熱変換素子およびアルミにて配線
を施した基板を使用した。また、電気熱変換素子上はス
パッタリングによってシリコン酸化膜を1.0μmの膜
厚にて形成した。基板の膜構成は、図1に示すものと同
一である。
【0054】該基板に、スピンコート法にて上記絶縁膜
溶液を塗布し、110℃にて60秒、140℃にて60
秒のホットプレートベークを行なった。形成された被膜
の膜厚は、2.0μmであった。次いで、キヤノン製マ
スクアライナ−PLA−601FAにて、パターン露光
を行なった。露光は、60カウントにて行ない、次い
で、60℃で30分間、オーブンにてベーキングを行な
った。基板をメチルイソブチルケトンに60秒間浸漬し
て、現像を行なった。リンスは、イソプロピルアルコー
ルに60秒間浸漬して行なった。次に、200℃で1時
間ベーキングを行なった後、平行平板型RIEエッチン
グ装置により、アッシングを行なった。アッシングは、
酸素プラズマにて行ない、ガス圧10Pa,投入電力
0.3W/cm2 の条件で、5分間行なった。
【0055】このようにして形成した基板上に下記方法
にてインク流路を形成した。
【0056】前記基板上にポジ型フォトレジストとして
東京応化工業社製PMER−AR900をスピンコート
法にて塗布し、そのまま90℃にて1時間ベーキングを
行なった。該被膜の膜厚は25μmであった。次に、キ
ヤノン製マスクアライナーMPA−600にてインク流
路のパターン露光を行なった。露光は2000mJ/c
2 の照射を行なった。東京応化工業社製現像液P−6
Gを使用してディップにて6分間を要して現像を行な
い、脱イオン水にてリンスした後、60℃で3時間ベー
キングを行なって乾燥した。
【0057】該レジストパターン中には、レジストの感
光材料であるナフトキノンジアジド誘導体が未分解のま
ま残存しており、後工程での弊害があるため、紫外線を
照射して脱窒素ガスを行なった。基板をキヤノン製マス
クアライナーPLA−601に装着し、60カウントの
露光を行ない、次いで、真空中に30分間放置し、再度
120カウントの露光を行ない、そのまま1夜放置し
た。
【0058】次に、該パターン上にノズル形成材料を塗
布した。ノズル形成材料としては油化シェルエポキシ社
製ビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート828を
100部、日本ユニカー社製シランカップリング剤A−
187を5部、アデカ社製光開始剤SP−170を1.
5部混合したものを使用した。該ノズル形成材料は常温
にて液体状である。ノズル形成材料をスピナーにて50
0rpmにて60秒間回転塗布して液を広げた後、真空
中にて1時間放置して気泡を排除した。続いて、サンド
ブラスト法にてインク供給孔の貫通孔を形成したパイレ
ックスガラス(厚さ0.8mm)を貼り合わせた。な
お、ノズル形成材料層の厚さは、約150μmになるよ
うに基板とガラス間にはスペーサーを予め配設した。さ
らに、基板とガラス板を仮止めるため、ウシオ電機社製
スポットキュア装置にてデバイスパターンのない箇所8
箇所に紫外線を5J/cm2 照射した。
【0059】次いで、キヤノン製マスクアライナーPL
A−601を使用してインク共通液室パターンのパター
ン露光をノズル形成材料に施した。マスクは天板ガラス
上にギャップ50μmにて配置せしめ、露光は6J/c
2 にて行なった。そのまま、45℃にて30分間のベ
ーキングを行なった後、トリエタンに浸漬して超音波を
付与しながら現像を行なった。
【0060】現像後、130℃で1時間ベーキングを行
なった後、基板をダイシングソーにて分離した。ダイサ
ーとしては、東京精密社製マイクロフォーミングマシー
ンU−FM20を使用し、インク吐出孔面となる面に関
しては、予め#600のメタルブレードにて天板ガラス
部に溝入れを行なった後、#2000のレジンブレード
にて樹脂層およびシリコン基板を切断した。また、その
他の面に関しては#400のレジンブレードを用いて一
括に切断し、エレメントを分離した。
【0061】最後に、分割したエレメントをジメチルス
ルフォキシドに浸漬し、超音波を付与しつつポジ型フォ
トレジストを溶解除去し、150℃にて1時間ベーキン
グし、乾燥した。
【0062】以上の工程にて作製したエレメントに対し
て、インク供給孔よりアルカリ性インクを導入してリー
クチェックを行なった。アルカリ性インクとしては、水
100部、グリセリン5部、チオジグリコール5部、尿
素5部、イソプロピルアルコール5部、および染料とし
てフードブラック2を3部混合したものを使用した。該
インクはプレッシャークッカー試験や60℃での保存試
験を行った結果、尿素の分解によって水素イオン濃度は
PH10程度になり、アルカリ性を呈するようになる。
リーク試験は、ワイヤーボンディングパッド間の導通お
よびインクとワイヤーボンディングパッド間の導通をチ
ェックしたところ、いずれのエレメントにおいても、導
通は認められなかった。さらに、該エレメントをプレッ
シャークッカー装置により、前記アルカリ性インク中
で、120℃、10時間の耐久試験を行なった後、上記
リークチェックを行なったが、該エレメントにおいても
導通は確認されなかった。
【0063】最後に、フィルタ、インク供給部材の装
着、および電気実装を施して、液体噴射記録ヘッドを完
成した。このようにして、作製した液体噴射記録ヘッド
を、図3に示す構成からなる記録装置に装着し、前記し
たアルカリ性インクを用いて記録を行なったところ、安
定な印字が可能であった。
【0064】(実施例2)本実施例では、エポキシ樹脂
としてクレゾールノボラックエポキシ樹脂を使用した。
【0065】油化シェルエポキシ社製クレゾールノボラ
ックエポキシ樹脂エピコート160Hを100部、シラ
ンカップリング剤としてA−187を5部、オニウム塩
としてSP−170を1.5部を、200部のシクロヘ
キサノンに溶解し、0.22μmのテフロンフィルター
にてフィルタリングを行ない、保護膜溶液を作製した。
【0066】実施例1と同様にして作製した基板に、前
記保護膜溶液をスピンコート法にて塗布し、90℃にて
10分間ベーキングを行なった。次いで、キヤノン製マ
スクアライナーPLA−601により保護膜パターンの
パターン露光を行なった。露光量は45カウントにて行
ない、露光後、60℃で10分間のベーキングを行なっ
た後、メチルイソブチルケトンに60秒間浸漬して現像
し、次いで、イソプロパノールに60秒間浸漬してリン
スを行なった。実施例1と同様にして、200℃で1時
間ハードベークを行ない、続いて、酸素プラズマにてア
ッシングを実施した。
【0067】実施例1と同様にして該基板を用いて液体
噴射記録ヘッドエレメントを作製し、該保護膜のリーク
チェックを行なったところ、良好な絶縁特性を実現して
いることが判明した。さらに、プレッシャークッカーテ
スト(PCT)を行なったエレメントについてもリーク
テストを行なったが、該信頼性試験を施したエレメント
においても良好な絶縁特性を示した。
【0068】最後に、インク供給のための部材を配設し
た後、印字装置に該液体噴射記録ヘッドを装着して印字
を行なったところ、良好な印字が可能であった。
【0069】(実施例3)表1に各種エポキシ樹脂を使
用して構成した保護膜材料の処方を示した。また、比較
のために、ポリイミド系保護膜材料として東レ社製フォ
トニース、日立化成工業社製PIQを使用して構成した
液体噴射記録ヘッドエレメントのリーク特性を示した。
【0070】表1よりエポキシ系樹脂を使用した保護膜
材料は、極めて高い耐アルカリインク特性と絶縁特性を
有していることが判明した。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によっても
たらされる効果としては、下記に列挙する項目が挙げら
れる。
【0073】1) 保護膜材料が、スピンコート法等の
ソルベントコート法によって塗布して被膜化できるた
め、真空成膜法に比べてピンホールのない良好な保護膜
を形成できる。特に、フルマルチヘッド等の長尺ヘッド
においては、該ピンホールのない保護膜特性は、液体噴
射記録ヘッドの歩留り向上に極めて有効である。
【0074】2) 保護膜材料が、エポキシ系樹脂にて
構成されるため、耐アルカリインクに対しても極めて高
い化学的安定性を有しており、信頼性の高い液体噴射記
録ヘッドを作製できる。
【0075】3) 保護膜材料のパターニングが一般的
に使用されるフォトリソグラフィー装置にて行えるた
め、特別な装置等が必要なく簡便にパターニングを実施
できる。このため、液体噴射記録ヘッドを安価にて安定
して製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による保護膜材料を塗布しパターニング
した基板の模式的斜視図である。
【図2】前記基板を使用して作製した液体噴射記録ヘッ
ドの吐出エレメントの模式的斜視図である。
【図3】前記液体噴射記録ヘッドを搭載して記録を行う
記録装置の基本構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の液体噴射記録ヘッドを有するヘッドキ
ットを示した模式図である。
【符号の説明】
1 基板 2 電気熱変換素子 3 配線パターン 5 保護膜 6 ノズル形成材料 7 インク流路 8 インク吐出孔 9 天井部材 10 インク供給孔 15 駆動用IC 16 ベースプレート 17 駆動モーター 18 駆動ベルト 19A ガイドシャフト 19B ガイドシャフト 20 インクジェットカートリッジ 22 クリーニング用モーター 23 伝動機構 24 プラテン 26 ヘッド回復装置 30 ブレード 30A ブレード保持部材 31 キャリッジ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体噴射記録ヘッドの配線を保護するた
    めに用いられる有機樹脂保護膜材料であって、エポキシ
    樹脂、シランカップリング剤および芳香族オニウム塩を
    少なくとも含有することを特徴とする液体噴射記録ヘッ
    ド用保護膜材料。
  2. 【請求項2】 前記エポキシ樹脂がエポキシ当量400
    以上のビスフェノールエポキシ樹脂であることを特徴と
    する請求項1に記載の保護膜材料。
  3. 【請求項3】 前記エポキシ樹脂がエポキシ当量150
    以上のクレゾールノボラックエポキシ樹脂であることを
    特徴とする請求項1に記載の保護膜材料。
  4. 【請求項4】 前記エポキシ樹脂の含有量が50〜99
    部、シランカップリング材料が1〜10部、芳香族オニ
    ウム塩が0.1〜5部の範囲にて添加されていることを
    特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の保護膜
    材料。
  5. 【請求項5】 液体噴射記録ヘッドであって、その基板
    上に吐出エネルギー発生素子および配線パターンが形成
    され、これらを覆うように該基板上に前記請求項1ない
    し4のいずれかに記載の保護膜材料により保護膜層が形
    成されていることを特徴とする液体噴射記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 液体噴射記録ヘッドであって、その基板
    上に吐出エネルギー発生素子および配線パターンを有
    し、これらを覆うように該基板上に真空成膜法にて形成
    された無機保護膜層を有し、さらに該無機保護膜層上に
    前記請求項1ないし4のいずれかに記載の保護材料によ
    り保護膜層が形成されていることを特徴とする液体噴射
    記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記吐出エネルギー発生素子は、液体に
    膜沸騰を生じさせる熱エネルギーを発生する電気熱変換
    素子であることを特徴とする請求項5または6に記載の
    液体噴射記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項5ないし7のいずれかに記載の液
    体噴射記録ヘッドを備えた液体噴射記録装置であって、
    前記液体噴射記録ヘッドが記録装置本体に対して着脱可
    能であることを特徴とする液体噴射記録装置。
  9. 【請求項9】 請求項5ないし7のいずれかに記載の液
    体記録ヘッドと、記録液体としてのインクを充填するた
    めのインク充填手段が設けられた液体噴射記録ヘッドキ
    ット。
JP17490095A 1995-07-11 1995-07-11 液体噴射記録ヘッド用保護膜材料および該保護膜材料を用いた液体噴射記録ヘッドおよび液体噴射記録ヘッドキット Pending JPH0924614A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17490095A JPH0924614A (ja) 1995-07-11 1995-07-11 液体噴射記録ヘッド用保護膜材料および該保護膜材料を用いた液体噴射記録ヘッドおよび液体噴射記録ヘッドキット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17490095A JPH0924614A (ja) 1995-07-11 1995-07-11 液体噴射記録ヘッド用保護膜材料および該保護膜材料を用いた液体噴射記録ヘッドおよび液体噴射記録ヘッドキット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0924614A true JPH0924614A (ja) 1997-01-28

Family

ID=15986659

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17490095A Pending JPH0924614A (ja) 1995-07-11 1995-07-11 液体噴射記録ヘッド用保護膜材料および該保護膜材料を用いた液体噴射記録ヘッドおよび液体噴射記録ヘッドキット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0924614A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0867488A1 (en) * 1997-03-28 1998-09-30 Lexmark International, Inc. Ink jet print head containing a radiation curable resin layer
US6193359B1 (en) 1998-04-21 2001-02-27 Lexmark International, Inc. Ink jet print head containing a radiation curable resin layer
US6203871B1 (en) 1998-10-14 2001-03-20 Lexmark International, Inc. Encapsulant for leads in an aqueous environment
JP2001277517A (ja) * 2000-03-28 2001-10-09 Xerox Corp サーマルインクジェットプリントヘッド

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0867488A1 (en) * 1997-03-28 1998-09-30 Lexmark International, Inc. Ink jet print head containing a radiation curable resin layer
US5907333A (en) * 1997-03-28 1999-05-25 Lexmark International, Inc. Ink jet print head containing a radiation curable resin layer
US6193359B1 (en) 1998-04-21 2001-02-27 Lexmark International, Inc. Ink jet print head containing a radiation curable resin layer
US6203871B1 (en) 1998-10-14 2001-03-20 Lexmark International, Inc. Encapsulant for leads in an aqueous environment
JP2001277517A (ja) * 2000-03-28 2001-10-09 Xerox Corp サーマルインクジェットプリントヘッド

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3397478B2 (ja) インクジェットヘッド及び該インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェット装置
US6409312B1 (en) Ink jet printer nozzle plate and process therefor
CN1100674C (zh) 喷墨头的生产方法
US7438392B2 (en) Microfluidic substrates having improved fluidic channels
JP3143307B2 (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法
CN1145855A (zh) 喷液记录头及制造它的方法
EP1805023A2 (en) Process for making a micro-fluid ejection head structure
JP3963456B2 (ja) 感光性樹脂組成物およびこれを用いたインクジェット記録ヘッドおよびその製造方法
JP3283979B2 (ja) 液体噴射記録ヘッドの製造方法
JPH0924614A (ja) 液体噴射記録ヘッド用保護膜材料および該保護膜材料を用いた液体噴射記録ヘッドおよび液体噴射記録ヘッドキット
JP2001179990A (ja) インクジェット記録ヘッド及びその製造方法
JP2004042396A (ja) 微細構造体の製造方法、液体吐出ヘッドの製造方法および液体吐出ヘッド
KR20090030111A (ko) 잉크젯 프린터 헤드의 제조 방법 및 상기 방법에 의하여제조된 잉크젯 프린터 헤드
JP3501555B2 (ja) 液体噴射記録ヘッドの製造方法
JP2009163189A (ja) 感光性ポリエーテルアミド組成物、それを用いたインクンクジェット記録ヘッド及びその製造方法
JP2006110910A (ja) インクジェット記録ヘッド及びその製造方法
JPH08174845A (ja) 液流路形成用樹脂材料、これを用いた液体噴射記録ヘッド、及びその製造方法
JP3107876B2 (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法、該製造方法で製造したインクジェット記録ヘッドおよび該記録ヘッドを備えた記録装置
JPH0920011A (ja) 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置
JPH093170A (ja) 熱重合性組成物、液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置ならびに液体噴射ヘッドの製造方法
JP2002144586A (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法
JP2014094529A (ja) インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法
JPH08169114A (ja) インクジェットヘッド、その製造方法、およびインクジェット装置
JP2012201069A (ja) インク吐出ヘッドの製造方法及びインク吐出ヘッド
JP2004330486A (ja) インクジェットヘッドの製造方法