JP2014094529A - インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

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【課題】被覆樹脂層への浸透性が高いアルカリ性インクを用いても、被覆樹脂層へのインク浸透を防ぐことによって被覆樹脂層の基板からの剥離を抑制することができ、高い信頼性が確保できるインクジェット記録ヘッド及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】インクを吐出するためのエネルギーを発生するインク吐出エネルギー発生素子及び該素子上にインクを供給するためのインク供給口を有する基板と、該基板上に配されかつインクを吐出するための吐出口及び該吐出口と該インク供給口とに連通するインク流路を形成するための被覆樹脂層とを備えたインクジェット記録ヘッドであり、該インク流路の上壁面及び側壁面が、ポリエーテルアミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物によって被覆された構造を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。及びその製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録方式に用いるインクを吐出するためのインクジェット記録ヘッド、およびその製造方法に関する。
近年、記録技術の進展に伴い、インクジェット記録技術にも、より高密度、高精度、高耐久な画像記録が要望されている。耐久性に関しては、インク吐出エネルギー発生素子が形成された基板から、吐出口及びインク流路を形成するための被覆樹脂層が剥離することが、印字不良を引き起こす原因の1つとして挙げられる。これを防止し、インクジェット記録ヘッドの長期的信頼性を向上させるために、ポリエーテルアミド樹脂からなる密着層を介して上記基板と上記被覆樹脂層とを接合させることによって、被覆樹脂層の剥離を抑制することが、特許文献1において提案されている。
特開平11−348290号公報
しかし、インクジェット画像記録に対する要望が高度化するに伴って、インクに要望される性能もまた高度化しており、記録物の耐水性向上の観点から水難溶性顔料を、また、染料の溶解性向上の観点からアルカリ塩を、インク中に添加する機会が増えている。このようにして得られるインク種は、比較的強いアルカリ性であることが多く、エポキシ樹脂等からなる被覆樹脂層にこれらのインクが浸透して被覆樹脂層を変形させてしまうことがある。従って、このインク種を用いた場合、特許文献1の構成では、被覆樹脂層の変形が、従来用いるインク種以上のペースで進行することが考えられ、長期的信頼性の観点において改善の余地があった。例えば、インクジェット記録ヘッドの長期間に亘る使用によって、被覆樹脂層がインク流路壁の下端部において、前記密着層及び前記基板から剥がれる可能性や、所望のインク吐出性能が得られない可能性があった。
そこで、本発明の目的は、以下の通りである。即ち、被覆樹脂層への浸透性が高いアルカリ性インクを用いても、被覆樹脂層へのインク浸透を防ぐことによって被覆樹脂層の基板からの剥離を抑制することができ、高い信頼性が確保できるインクジェット記録ヘッド及びその製造方法を提供することである。
本発明は、インクを吐出するためのエネルギーを発生するインク吐出エネルギー発生素子、および該インク吐出エネルギー発生素子上にインクを供給するためのインク供給口を有する基板と、該基板上に配され、かつ、インクを吐出するための吐出口、および該吐出口と該インク供給口とに連通するインク流路を形成するための被覆樹脂層とを備えたインクジェット記録ヘッドであって、該インク流路の上壁面および側壁面が、ポリエーテルアミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物によって被覆された構造を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドである。
また、本発明は、インクを吐出するためのエネルギーを発生するインク吐出エネルギー発生素子、および該インク吐出エネルギー発生素子上にインクを供給するためのインク供給口を有する基板と、該基板上に配され、かつ、インクを吐出するための吐出口、および該吐出口と該インク供給口とに連通するインク流路を形成するための被覆樹脂層とを備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、(1)インク吐出エネルギー発生素子を有する基板上に、該インク流路の型である型材を形成する工程と、(2)該型材が形成された基板の表面のうちの、該インク流路の上壁面および側壁面となる部分に、ポリエーテルアミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなるインク浸透防止膜を形成する工程と、(3)該被覆樹脂層となりかつ該インク浸透防止膜の表面を被覆する樹脂層を形成する工程と、(4)該樹脂層に該吐出口を形成する工程と、(5)該型材を除去して、該インク流路を形成する工程とを有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
本発明によれば、被覆樹脂層への浸透性が高いアルカリ性インクを用いても、被覆樹脂層へのインク浸透を防ぐことによって被覆樹脂層の基板からの剥離を抑制することができ、高い信頼性が確保できるインクジェット記録ヘッド及びその製造方法を提供することができる。
本発明のインクジェット記録ヘッドの一例の、(a)一部を破断した状態の模式的斜視図、及び、(b)模式的断面図である。 図1に示すインクジェット記録ヘッドの製造方法を説明するための模式的断面図である。 本発明のインクジェット記録ヘッドの別の例の模式的断面図である。 図3に示すインクジェット記録ヘッドの製造方法を説明するための模式的断面図である。 本発明のインクジェット記録ヘッドのさらに別の例の模式的断面図である。 図5に示すインクジェット記録ヘッドの製造方法を説明するための模式的断面図である。
<インクジェット記録ヘッド>
本発明のインクジェット記録ヘッドは、長期間使用した場合であっても、インクが被覆樹脂層に浸透することを防ぐことができ、被覆樹脂層の変形や、被覆樹脂層の基板からの剥がれを抑制でき、所望のインク吐出性能を得ることができる。
以下に、本発明のインクジェット記録ヘッドについて図面を参照して説明する。なお、図1は、本発明のインクジェット記録ヘッドの一例(第1の実施形態)を説明するための図であり、図1(a)は、このインクジェット記録ヘッドの一部を破断した状態の模式的斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A’断面図である。また、図2(a)〜(g)は、このインクジェット記録ヘッドの製造方法における各工程を説明するための模式的断面図である。さらに、図3は、本発明のインクジェット記録ヘッドの別の例(第2の実施形態)の模式的断面図であり、図4(a)及び(b)は、このインクジェット記録ヘッドの製造方法を説明するための模式的断面図である。また、図5は、本発明のインクジェット記録ヘッドのさらに別の例(第3の実施形態)の模式的断面図であり、図6(a)〜(e)は、このインクジェット記録ヘッドの製造方法を説明するための模式的断面図である。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、図1(a)に示すように、インク吐出エネルギー発生素子3及びインク供給口12を有する基板(吐出素子基板)10aと、吐出口11及びインク流路7を形成するための被覆樹脂層10bとを備える。なお、被覆樹脂層は、1層で構成されていてもよいし、複数層で構成されていてもよい。
吐出素子基板に用いる基板1としては、例えば、シリコン基板、より具体的には、結晶方位が(100)面のシリコン単結晶基板を用いることができる。
インク吐出エネルギー発生素子3は、インクジェット記録ヘッドからインクを吐出するためのエネルギーを発生できるものであればよいが、インクを微細液滴、例えば1pL等の液滴として吐出可能なエネルギーを発生できるものが望ましい。インク吐出エネルギー発生素子3としては、例えば、インクを沸騰させる電気熱変換素子(発熱抵抗体素子、ヒータ素子)や、体積変化によりインクに圧力を与える圧電素子(ピエゾ素子、インク吐出圧力発生素子)などを用いることができる。具体的には、インク吐出エネルギー発生素子3は、Alなどからなる配線や、TaSiN、TaNに代表される高抵抗材料などで構成することができる。なお、インク吐出エネルギー発生素子3の数や配置は、作製するインクジェット記録ヘッドの構造に応じて適宜選択することができ、例えば、この素子3を複数、所定のピッチで2列並列させて設けることができる。また、図1(b)に示すように、この素子3は、吐出口11の紙面下方に配置することができる。
基板1上(吐出素子基板表面)には、図1に示すように、電極パッド5や、素子3と電極パッド5とを接続する配線(不図示)を、例えばフォトリソグラフィーにより形成することができる。
この電極パッド5や配線の材質としては、例えば、アルミ、銅、ニッケル、金、チタン、タングステン、パラジウム、鉄、及びクロム等の金属を挙げることができる。また、これらの金属は1種類を単独で用いても良いし、複数種類を併用して(例えば、複数の金属からなる合金の形態として)も良い。
また、基板1上(吐出素子基板表面)には、図2に示すように、インク供給口12の基板おもて面側の開口幅を規定するために、例えば、フォトリソグラフィーにより、犠牲層2を形成することができる。なお、基板おもて面とは、基板の対向する2つの面のうちの被覆樹脂層が形成される側の面を意味し、基板裏面とは、このおもて面に対向する基板面を意味する。この犠牲層2は、エッチング液でエッチングできるものを使用することができる。エッチング液がアルカリ性のエッチング液である場合、例えば、ポリシリコンや、アルミニウム、アルミニウムシリコン、アルミニウム銅、アルミニウムシリコン銅等で形成することができる。
また、インクによるインク吐出エネルギー発生素子3への腐食を抑制し、かつ電気的に絶縁にするために、図2に示すように、吐出素子基板の表面(具体的には、基板1と、犠牲層2と、素子3との表面)をSiO、SiN、Ta等の保護膜4によって被覆することができる。その際、上記保護膜4によって、素子3と電極パッド5とを接続する配線(不図示)を被覆するために、吐出素子基板のおもて面全体に亘って保護膜4を設けることもできる。また、この保護膜4は、インク供給口12を形成する時のエッチングストップ層としての役割も担うことができる。
本発明のインクジェット記録ヘッドでは、通常、図1や図3や図5に示す記録ヘッドの裏面側にインク収納部(不図示)を有するインクタンク(不図示)が配置され、インク供給路(不図示)を介してインク供給口12にインクが供給される。そして、このインクが、インク供給口12を介して、インク供給口と連通するインク流路7に供給されることによって、インク吐出エネルギー発生素子上にインクが供給される。そして、この素子により発生するエネルギー(例えば圧力)をインク流路内に充填されたインクに加えることによって、このインク流路と連通する各吐出口11からインク液滴を吐出させ、被記録媒体に付着させることにより記録を行う。
インク供給口12は、図1に示すように、通常、吐出素子基板10aを基板面に対して垂直な方向に貫通する貫通孔として形成され、吐出素子基板10aのおもて面及び裏面のいずれにも開口している。図1に示すインクジェット記録ヘッドでは、インク供給口12は、素子3の2つの列の間の位置に形成されている。
なお、基板1のおもて面及び裏面は、いずれも熱酸化膜(シリコン酸化膜)により被覆することができ、このおもて面に設けられる熱酸化膜には、熱酸化膜が除去されたメンブレン部を設けることもできる。
また、本発明のインクジェット記録ヘッドは、インク流路7の上壁面(吐出口11との連通部分は除く)7a及び側壁面7bが、ポリエーテルアミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物(例えばインク浸透防止膜9や後述する第2の密着層6b)によって被覆された構造を有する。例えば、図1(b)では、被覆樹脂層10bと、インク流路7との境界面が、上記硬化物であるインク浸透防止膜9によって被覆されており、インク流路の上壁面7a及び側壁面7bがこのインク浸透防止膜9によって構成されている。言い換えると、このインク浸透防止膜9表面は、被覆樹脂層10bによって被覆されている。
図1では、被覆樹脂層10bの内部にインクを吐出するための吐出口11が形成されている。また、吐出素子基板10aと、この基板上に接合されかつインク流路との境界面にインク浸透防止膜が被覆された被覆樹脂層10bとによって、吐出口11とインク供給口12とに連通するインク流路7が形成されている。
なお、本発明のインクジェット記録ヘッドでは、被覆樹脂層からなるインク流路壁部分10b1と、吐出素子基板10aとの間に、図3や図5のように、ポリエーテルアミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなる密着層を有することができる。この密着層を形成することによって、吐出素子基板と被覆樹脂層との密着性を一層向上させることができる。
この密着層は、インク浸透防止膜9と同じ組成を有していてもよいし、異なる組成を有していてもよい。即ち、インクジェット記録ヘッドが有する、ポリエーテルアミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物はいずれも同じ組成を有していてもよいし、互いに異なっていてもよい。しかしながら、製造工程の短縮や互いの密着性の観点からは、上記硬化物は、いずれも同じ組成を有することが好ましい。
また、密着層は、図3(第2の実施形態)に示すように1層(第1の密着層6a)で構成されていてもよいし、図5(第3の実施形態)に示すように複数層(第1の密着層6a及び第2の密着層6b)で構成されていてもよい。また、密着層は、少なくとも上記インク流路壁部分10b1と、吐出素子基板10aとの間に配さればよく、図5の第2の密着層6bのように、インク浸透防止膜9及び被覆樹脂層10bからなるインク流路壁部分と、吐出素子基板との間に配されることもできる。この場合、密着層が、インク流路の側壁面の一部を構成することになる。図5では、インク流路の上壁面がインク浸透防止膜9によって構成され、インク流路の側壁面がインク浸透防止膜9と、第2の密着層6bとから構成されている。
このように、内壁面の少なくとも一部にインク浸透防止膜9を有する、ノズル(吐出口及びインク流路)を形成するための部材(ノズル形成用部材)は、複数の部材(例えば、被覆樹脂層及び密着層)からなることができ、被覆樹脂層と密着層との間や、吐出素子基板と密着層との間に、さらに他の層(他の感光性樹脂層)が形成されていても良い。即ち、ノズル形成用部材は、吐出口壁及びインク流路壁の役割を担うことができ、この吐出口壁及びインク流路壁は、上記硬化物によって内壁面の少なくとも一部が被覆された被覆樹脂層のみから構成されてもよいし、この被覆樹脂層と、他の層(例えば密着層)とから構成されてもよい。
なお、インク流路7は、図1(b)に示すように、上壁面(天井面)7aと、側壁面7bと、下壁面(底面)7cとで画定される空間であることができる。インク流路の上壁面7aと、下壁面7cとは、対向配置されることができ、図1(b)では、これらの壁面は、基板面に対して平行に配置されている。インク流路の上壁面7a及び下壁面7cのうち、インクジェット記録ヘッドの吐出口を有する面(吐出口面11a)により近い方の面を上壁面7aとすることができる。また、インクジェット記録ヘッドを、被覆樹脂層10bを上にして(おもてに向けて)水平に配置したときに、上壁面7aは下壁面7cよりも上側に配置されることができる。図1(b)では、インク流路の上壁面7aに吐出口との連結部が形成されており、吐出素子基板の表面がインク流路の下壁面7cとなる。
また、インク流路の側壁面7bは、2つの壁面(例えば、連続しない2つの上壁面、連続しない2つの下壁面、上壁面と下壁面)を連結することができ、上壁面及び下壁面に対して垂直に、またはある角度をもって配置されることができる。また、インク流路の側壁面は、インクジェット記録ヘッドを、被覆樹脂層10bを上にして水平に配置したときに、インク流路の左右に配置されるインク流路壁の内壁面であることができる。
なお、本発明において、インク流路の上壁面7aと、側壁面7bとは、その境界を明確に区別できなくてもよい。このような場合は、インク流路を画定する壁面のうちの、例えば吐出素子基板の表面によって構成される下壁面以外の部分(吐出口との連結部は除く)が上記硬化物によって被覆されていればよい。なお、この下壁面もこの硬化物によって被覆されていてもよいが、本発明は、被覆樹脂層に対するインク浸透を防ぐことを目的とするため、インク流路の上壁面及び側壁面がこの硬化物によって被覆されていればよい。
また、インク流路の上壁面7a、側壁面7b及び下壁面7cは、例えば、図1に示すように平面であってもよいし、曲面であってもよい。さらに、インク流路の形状は、所望のインクジェット記録ヘッドの形態に応じて適宜選択することができる。
なお、本発明のインクジェット記録ヘッドは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に搭載可能である。そして、このインクジェット記録ヘッドを用いることによって、紙、糸、繊維、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミック等種々の被記録媒体に記録を行うことができる。
なお、本発明において「記録」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を付与することも意味する。さらに、「インク」とは、被記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成、被記録媒体の加工、或いは、インクジェット記録ヘッド用インクまたは被記録媒体の処理に供される液体を意味する。このインクジェット記録ヘッド用インクまたは被記録媒体の処理としては、例えば、被記録媒体に付与されるインクジェット記録ヘッド用インク中の色材の凝固または不溶化による定着性の向上や、記録品位及び発色性の向上、画像耐久性の向上等のことを意味する。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、特定の硬化物によって、インク流路の上壁面と側壁面を被覆することによって、インクと、ノズル形成用部材(例えば被覆樹脂層)との接触面を減らすことができる。その結果、被覆樹脂層に対するインク浸透を抑制できることから、インク浸透を起因とする、インク流路(被覆樹脂層)の変形、及び、この変形に伴うインク流路壁の下端部における被覆樹脂層の吐出素子基板からの剥離を長期的に防ぐことができる。
また、インク吐出エネルギー発生素子が形成された基板と、インク流路壁との間に、特定の密着層を作製することによって、基板と被覆樹脂層との密着性を一層向上させることができる。
<インクジェット記録ヘッドの製造方法>
本発明のインクジェット記録ヘッドは、以下の工程を含む製造方法により製造することができる。
(1)インク吐出エネルギー発生素子を有する基板上に、インク流路の型である型材を形成する工程。
(2)前記型材が形成された基板の表面のうちの、インク流路の上壁面及び側壁面となる部分に、ポリエーテルアミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなるインク浸透防止膜を形成する工程。
(3)被覆樹脂層となりかつ前記インク浸透防止膜の表面を被覆する樹脂層を形成する工程。
(4)前記樹脂層に吐出口を形成する工程。
(5)前記型材を除去して、インク流路を形成する工程。
なお、この製造方法は、工程2において、前記型材が形成された基板の表面のうちの、この基板と、前記被覆樹脂層からなるインク流路壁部分との間となる部分に、前記インク浸透防止膜と同じ組成の密着層(第1の密着層)を形成することができる。
また、この製造方法は、工程1の前に、
(6)インク吐出エネルギー発生素子を有する基板の表面のうちの、この基板と、前記インク浸透防止膜及び前記被覆樹脂層からなるインク流路壁部分との間となる部分に、ポリエーテルアミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなる密着層(第2の密着層)を形成する工程を有することができる。
さらに、工程4と工程5との間に、
(7)前記インク吐出エネルギー発生素子を有する基板を貫通するインク供給口を形成する工程を有することもできる。
以下に、各工程を図を用いて詳しく説明する。
(工程1)
まず、インク吐出エネルギー発生素子3を有する基板を用意する(図2(a))。この基板は、基板1と、インク吐出エネルギー発生素子3とからなることができ、必要に応じて、上述した犠牲層2、保護膜4、及び熱酸化膜(不図示)を有することができる。
そして、この基板上(図2では、保護膜表面)に、後述する型材8となる樹脂層8aを形成する(図2(b))。この樹脂層8aは、例えば、ポジ型レジストからなることができる。この樹脂層8を形成するポジ型レジストとしては、アクリル系樹脂である、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリメチルイソプロペニルケトン(PMIPK)等を用いることができる。樹脂層8a、即ち、型材8の厚さ(最も厚い部分の厚さ)は、作製するインク流路の厚み(高さ)に応じて適宜設定することができるが、10μm以上20μm以下とすることが好ましい。
次に、例えば、この樹脂層8aのうちの、型材8となる部分以外の部分を、露光及び現像することで、樹脂層8aをパターニングして、インク流路パターン(型材8)を形成する(図2(c))。
(工程2)
次に、この型材が形成された基板の表面のうちの、インク流路の上壁面(吐出口との連通部分は除く)及び側壁面となる部分に、ポリエーテルアミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなるインク浸透防止膜9を形成する(図2(d)〜(e))。
具体的には、まず、上記型材が形成された基板表面(図2では、保護膜4表面と、型材8表面)を、上記樹脂組成物で被覆し、その後にベークにより硬化させ、インク浸透防止膜となる樹脂層9aを形成する。
なお、上記樹脂組成物は、感光性を有することが好ましく、具体的には、フォトリソグラフィーによって樹脂層9aをパターニングすることができるレベルの感光性を有することが好ましい。これにより、インクジェット記録ヘッドの製造工程を一層短縮することができる。
上記樹脂組成物は、ポリエーテルアミド樹脂のみからなることもでき、さらに、このポリエーテルアミド樹脂の分子構造中に感光基を導入することによって、ポリエーテルアミド樹脂自体を感光性(例えば、ネガ型感光性)にすることもできる。感光基は、光によって分解する基や、光によってラジカルやカチオンを発生する基であることができる。この感光基としては、例えば、ジアゾ基、アジド基、シンナモイル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基等を挙げることができる。この感光基を有するポリエーテルアミド樹脂は、例えば、ジアミン化合物にカルボン酸無水物を縮合し、その後に感光基を導入することによって作製することができる。
また、上記樹脂組成物は、ポリエーテルアミド樹脂の他に、添加剤(架橋剤や光酸発生剤等)の作用により重合(架橋)可能な化合物、架橋剤、感光性触媒を含むことができる。これらの他の成分を樹脂組成物に含有させることによって、樹脂組成物に感光性(例えばネガ型感光性)を付与してもよい。
酸等により重合可能な化合物としては、例えば、エポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基及びプロぺニルエーテル基等の反応性官能基を有するカチオン重合可能な化合物を挙げることができる。
架橋剤としては、例えば、メラミン化合物、尿素化合物、ジアゾニウム塩、イミノキノンジアジド等が挙げられる。
感光性触媒は、感光により触媒物質を発生させるものであり、例えば、光酸発生剤を挙げることができる。
以上より、上記樹脂組成物は、例えば、ポリエーテルアミド樹脂と、エポキシ樹脂と、光酸発生剤とを含む樹脂組成物であることができる。
エポキシ基を有する化合物(エポキシ樹脂)としては、具体的には、例えば、脂環型エポキシ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニル型ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。このエポキシ樹脂としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピコート157S70や、大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:エピクロンN−865、ダイセル化学工業株式会社製、商品名:EHPE3150が市販品として入手できる。
光酸発生剤としては、例えば、スルホン酸化合物及びその他のスルホン酸誘導体、ジアゾメタン化合物、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ジスルホン系化合物、ニトロベンジル化合物、ベンゾイントシレート化合物、鉄アレーン錯体、ハロゲン含有トリアジン化合物、アセトフェノン誘導体化合物、又はシアノ基含有オキシムスルホネート等を挙げることができる。
なお、上記樹脂組成物が含むポリエーテルアミド樹脂は、分子構造中にエーテル構造及びアミド(例えばカルボン酸アミド)構造を有していればよく、特に限定されない。このポリエーテルアミド樹脂としては、例えば、市販品のHIMAL HL‐1200CH(商品名、日立化成製)や、下記式1に示す繰り返し単位を有する樹脂を挙げることができる。
この中でも、アルカリ性インクやアルカリ性のエッチング液に対する耐性の観点から、下記式1に示す繰り返し単位を有するポリエーテルアミド樹脂を用いることが好ましい。なお、このポリエーテルアミド樹脂は、式1に示す繰り返し単位のみから構成されていても良いし、式1に示す繰り返し単位以外に他の繰り返し単位(例えば、アミド構造を有する繰り返し単位)を有していても良い。なお、ポリエーテルアミド樹脂中の式1に示す繰り返し単位の含有割合は、アルカリ性インクやアルカリ性のエッチング液に対する耐性の観点から70モル%以上とすることが好ましい。
Figure 2014094529
式中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、またはハロゲン原子(例えば、クロロ基やブロモ基)を示す。R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、または、炭素数1以上4以下のハロゲン化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基やトリクロロメチル基)を示す。また、Ar1は、置換あるいは未置換の、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、オキシジフェニレン基、または、スルフォニルジフェニレン基を示す。Ar1が有していても良い置換基としては、例えば、メトキシ基やエトキシ基を挙げることができる。nは正の整数を示す。
また、式1に示す繰り返し単位を有するポリエーテルアミド樹脂は、テレフタル酸、イソフタル酸、オキシジ安息香酸、ビフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の酸のジクロライドと、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン等のジアミンとを重縮合させることにより得ることができる。また、その合成方法としては、例えば特開昭52‐23198号公報記載の既知の方法により合成できる。
ここで、本発明に用いるポリエーテルアミド樹脂は、重量平均分子量(Mw)が、解像性及び溶剤に対する溶解性の観点から100000以下であることが好ましく、塗布性及び皮膜性の観点から5000以上であることが好ましい。また、ポリエーテルアミド樹脂の重量平均分子量は、20000以上50000以下であることがより好ましい。
上記樹脂組成物に、重量平均分子量が5000〜100000のポリエーテルアミド樹脂と、光酸発生剤と、架橋剤とを用いた場合、各材料の配合比率は以下のようにすることが好ましい。即ち、インク浸透防止性の観点と、露光による硬化性の観点から、ポリエーテルアミド樹脂100質量部に対して、光酸発生剤を0.5質量部以上10質量部以下、架橋剤を1質量部以上40質量部以下の割合で配合することが好ましい。また、ポリエーテルアミド樹脂100質量部に対して、光酸発生剤を1質量部以上5質量部以下、架橋剤を10質量部以上30質量部以下の割合で配合することがより好ましい。
また、上記ベーク後の樹脂層9aの厚さ、即ち、インク浸透防止膜9の厚さ(図3及び4のように、第1の密着層6aを形成する場合はこの密着層の厚さも)は、インク浸透防止性の観点から1μm以上、塗布性の観点から3μm以下とすることが好ましい。
なお、ベーク条件としては、例えば、ベーク温度:110℃〜130℃、ベーク時間:5分〜30分とすることができる。
続いて、この樹脂層9aの表面に、ポジ型レジスト(例えば、東京応化製のTHMP‐iP5700HP(商品名))をスピンコート等により塗布し、次いで、露光及び現像し、フォトマスク(不図示)を形成する。そして、このフォトマスクを用いて樹脂層9aをドライエッチング等によりパターニングした後、このポジ型レジストを剥離することによって、型材8の上壁面(吐出口となる部分は除く)及び側壁面を被覆するインク浸透防止膜9を作製する。
なお、この際、図3及び図4に示すように、インク吐出エネルギー素子を有する基板と、被覆樹脂層のうちのインク流路壁部分との間となる部分の樹脂層9aを残すことによって、インク浸透防止膜9と同じ組成の第1の密着層6aを基板上に作製することができる。この場合、ポリエーテルアミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物を、密着層として、吐出素子基板10aと、被覆樹脂層からなるインク流路壁部分との間に敷設した構造を有することができ、吐出素子基板10aと被覆樹脂層10bとの密着力を一層向上させることができる。
また、図5及び図6のように、密着層を複数層から構成し、基板上に、第2の密着層6bを形成する場合は、工程1の前に以下の工程6を有することができる。
(工程6)
図6に示すように、素子3等が形成された基板上(図6では、保護膜表面)に、ポリエーテルアミド樹脂を含む樹脂組成物を塗布し、ベークにより硬化させ、第2の密着層となる樹脂層(不図示)を形成する。この樹脂組成物は、上述したインク浸透防止膜9を作製するための樹脂組成物と同様のものを使用することができ、両樹脂組成物は同じ組成でもよいし、異なる組成でもよい。なお、この第2の密着層を形成するための樹脂組成物も、製造工程を短縮させる観点から、感光性を有することが好ましい。また、上記ベーク後の樹脂組成物の厚さ、即ち、第2の密着層6bの厚さは、密着性の観点から1μm以上、塗布性の観点から3μm以下とすることが好ましい。
図5に示すインクジェット記録ヘッドは、インク浸透防止膜9により構成されるインク流路の側壁面よりも、第2の密着層6bにより構成されるインク流路の側壁面の方が、インク流路の内側に張り出した構造を有している。これにより、インク浸透防止膜9と第二の密着層6bの密着をより高めることができる。
(工程3)
続いて、被覆樹脂層10bとなり、かつインク浸透防止膜9の表面を被覆する樹脂層(不図示)を形成する。なお、図1に示す第1の実施形態では、この樹脂層は、表面に露出している、保護膜4、型材8及びインク浸透防止膜9を被覆する。また、図3に示す第2の実施形態と、図5に示す第3の実施形態とでは、この樹脂層は、表面に露出している、第1の密着層6a、型材8及びインク浸透防止膜9を被覆する。
なお、この樹脂層(被覆樹脂層)を形成する材料としては、例えば、エポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基及びプロぺニルエーテル基等の反応性官能基を有するカチオン重合可能な化合物を挙げることができる。しかしながら、高い機械的強度、下地との強い密着性を有することが望まれるため、それらの特性を持つエポキシ化合物(エポキシ樹脂)を用いることが好ましい。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。市販品では、日本化薬製のSU8(商品名)、ダイセル化学工業製のEHPE‐3150(商品名)等を用いることができる。また、この樹脂層の厚さ、即ち、被覆樹脂層10bの厚さ(最も厚い部分の厚さ)は、塗布性の観点から20μm以上、100μm以下とすることが好ましい。
(工程4)
続いて、この樹脂層を、例えば、紫外線やDeepUV光等によって露光し、硬化することで、この樹脂層に吐出口11を形成し、内部に型材8を有する被覆樹脂層10bを得る(図2(f))。
(工程7)
続いて、インク吐出エネルギー素子が形成された基板を貫通するインク供給口を、例えば、アルカリ性のエッチング液である関東化学製のTMAH‐25(商品名)を用いた異方性エッチングによって形成し、吐出素子基板10aとする。
(工程5)
次に、インク流路の型材を例えば林純薬工業製のラックリーンMC(商品名)を用いて除去して、インク流路7を形成し、ノズル部を完成させる(図2(g))。
さらに、このノズル部が形成された基板を、ダイシングソー等により切断分離して、チップ化し、インク吐出エネルギー発生素子3を駆動させるための電気的接合を行うことができる。また、更に、インク供給のためのチップタンク部材をこの基板に接続することにより、本発明のインクジェット記録ヘッドを得ることができる。
(実施例1:第1の実施形態−1)
まず、図2(a)に示すように、TaSiNからなるインク吐出エネルギー発生素子3を有するシリコン基板1の表面に、Alからなる犠牲層2をフォトリソグラフィーにより作製した。続いて、この基板1と、犠牲層2と、素子3との表面を被覆するように、SiNからなる保護膜4を形成した。
次に、図2(b)に示すように、得られた基板上、具体的には、保護膜4の表面に、ポジ型レジストである東京応化製のODUR(商品名)を厚さ13μmとなるように塗布し、乾燥することで、樹脂層8aを形成した。
続いて、図2(c)に示すように、この樹脂層8aをウシオ電機製の露光装置UX‐3000(商品名)を用いて露光及び現像することで、インク流路の型(パターン)である型材8を形成した(工程1)。
次に、図2(d)に示すように、型材が形成された基板の表面、具体的には、保護膜4と、型材8との表面に、ポリエーテルアミド樹脂である日立化成製のHIMAL HL‐1200CH(商品名)をスプレーコートにより塗布し、続いて120℃、6分間のホットプレートベークにより硬化させ、インク浸透防止膜9となる、厚さが2μmの樹脂層9aを形成した。
続いて、図2(e)に示すように、この樹脂層9aの表面に、ポジ型レジスト(東京応化製のTHMP‐iP5700HP(商品名))をスピンコートにより塗布した。続いて、このレジストを露光及び現像し、エッチングマスク(不図示)を作製した。そして、この樹脂層9aを、アルバック製NLD5700(商品名)を用いたドライエッチングによりパターニングした後、このレジストを剥離した。これにより、インク流路と被覆樹脂層との境界面となる部分、即ち、型材8の表面のうちの、上面(吐出口との連通部分は除く)、及び側面と、保護膜4の一部を被覆するインク浸透防止膜9を形成した(工程2)。
次に、図2(f)に示すように、このインク浸透防止膜9が形成された基板、具体的には、保護膜と、インク浸透防止膜と、型材との表面に、下記表1に示す組成を有する溶液をスピンコートにより塗布(被覆)し、被覆樹脂層となる、厚さが25μmの樹脂層(感光性樹脂層)を形成した(工程3)。続いて、この樹脂層を紫外線や、DeepUV光で露光及び現像して、吐出口11を形成した(工程4)。
Figure 2014094529
次に、図2(g)に示すように、関東化学製のTMAH‐25(商品名)により、基板を貫通するインク供給口12を形成し(工程7)、型材8を林純薬工業製のラックリーンMC(商品名)により除去して、吐出口及びインク供給口と連通するインク流路7を形成し、インクジェット記録ヘッドのノズル部を完成させた(工程5)。
さらに、このノズル部が形成された基板を、ダイシングソーにより切断分離して、チップ化し、インク吐出エネルギー発生素子3を駆動させるための電気的接合を行った。続いて、インク供給のためのチップタンク部材をこの基板に接続することにより、インクジェット記録ヘッドを得た。
このインクジェット記録ヘッドを、下記表2に示す組成を有するアルカリ性インク(pH=10.5)中に浸漬し、プレッシャークッカー試験(PCT)(121℃飽和条件‐100時間)を行い、被覆樹脂層となる樹脂材料の密着性を観察したところ、変化は観察されなかった。
Figure 2014094529
(実施例2:第2の実施形態)
実施例1と同様にして、図2(d)、即ち図4(a)に示す、樹脂層9aを有する基板を作製した。次に、この樹脂層9aを実施例1と同様にドライエッチングによりパターニングしたが、この際、図4(b)に示すように、インク流路と被覆樹脂層との境界面に作製されるインク浸透防止膜9の他に、吐出素子基板と、被覆樹脂層からなるインク流路壁部分との間となる部分の樹脂層9aを残すことで、第1の密着層6aを作製した。これら以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録ヘッドを得た。このインクジェット記録ヘッドで、実施例1と同様のPCTを行い、被覆樹脂層となる樹脂材料の密着状況を観察したところ、変化は観察されなかった。
(実施例3:第3の実施形態)
実施例1と同様にして、図2(a)に示す、犠牲層2、インク吐出エネルギー発生素子3及び保護膜4を有する基板を作製した。次に、図6(a)に示すように、この基板上、具体的には保護膜の表面に、ポリエーテルアミド樹脂である日立化成製のHIMAL HL‐1200CH(商品名)をスプレーコートにより塗布した。続いて、この樹脂膜を、120℃、6分間のホットプレートベークにより硬化させ、第2の密着層となる厚さが1μmの樹脂層(不図示)を形成した。次に、この樹脂層が形成された基板の表面に、ポジ型レジスト(東京応化製のTHMP‐iP5700HP(商品名))をスピンコートにより塗布し、続いて露光及び現像し、エッチングマスク(不図示)を作製した。そして、この樹脂層を、アルバック製NLD5700(商品名)を用いたドライエッチングによりパターニングした後、ポジ型レジストを剥離した。これにより、上記基板と、インク浸透防止膜及び被覆樹脂層からなるインク流路壁部分との間となる部分に、ポリエーテルアミド樹脂の硬化物からなる第2の密着層6bを形成した。これら以外は、図6に示すように、実施例2と同様にして、インクジェット記録ヘッドを得た。このインクジェット記録ヘッドで、実施例1と同様のPCTを行い、被覆樹脂層となる樹脂材料の密着状況を観察したところ、変化は観察されなかった。
(実施例4:第1の実施形態−2)
実施例1と同様にして、図2(c)に示す、型材8を有する基板を作製した。次に、図2(d)に示すように、この基板上、具体的には、保護膜4と、型材8との表面に、下記表3に示す組成を有する溶液を、スプレーコートにより塗布し、続いて120℃、6分間のホットプレートベークにより硬化させ、インク浸透防止膜9となる、厚さが2μmの樹脂層9aを形成した。
Figure 2014094529
Figure 2014094529
続いて、この樹脂層9aを露光及び現像し、インク流路と被覆樹脂層との境界面となる部分、即ち、型材8の表面のうちの、上面(吐出口との連通部分は除く)、及び側面と、保護膜4の一部を被覆するインク浸透防止膜9を形成した。これら以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録ヘッドを得た。このインクジェット記録ヘッドで、実施例1と同様のPCTを行い、被覆樹脂層となる樹脂材料の密着状況を観察したところ、変化は観察されなかった。
(実施例5:第1の実施形態−3)
インク浸透防止膜9となる樹脂層9aを、日立化成製のHIMAL HL‐1200CH(商品名)の代わりに、下記表4に示す組成を有する溶液で形成する以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録ヘッドを得た。このインクジェット記録ヘッドで、実施例1と同様のPCTを行い、被覆樹脂層となる樹脂材料の密着状況を観察したところ、変化は観察されなかった。
Figure 2014094529
Figure 2014094529
(実施例6:第1の実施形態−4)
表3に示す組成を有する溶液中の上記式2に示す繰り返し単位で表されるMw25000のポリエーテルアミド樹脂を、上記式3に示す繰り返し単位で表されるMw32000のポリエーテルアミド樹脂に変更した以外は、実施例4と同様にして、インクジェット記録ヘッドを得た。このインクジェット記録ヘッドで、実施例1と同様のPCTを行い、被覆樹脂層となる樹脂材料の密着状況を観察したところ、変化は観察されなかった。
(比較例1)
インク浸透防止膜9を形成せずに、型材が形成された基板の表面に直接被覆樹脂層10bを形成した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録ヘッドを作製し、PCT試験を行った。その結果、ノズル剥離(被覆樹脂層10bの吐出素子基板10aからの剥離)が確認された。
(比較例2)
インク浸透防止膜9となる樹脂層9aを、日立化成製のHIMAL HL‐1200CH(商品名)の代わりに、東レ製のポリイミド樹脂フォトニースUR3100(商品名)を用いて形成した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録ヘッドを作製し、PCT試験を行った。その結果、インク浸透防止膜9に用いたポリイミドが完全に消失しており、ノズル剥離が確認された。これは、イミドはアミドより求核剤との反応性が高くポリマー分解が起きるためだと考えられる。
1 基板
2 犠牲層
3 インク吐出エネルギー発生素子
4 保護膜
5 電極パッド
6a 第1の密着層
6b 第2の密着層
7 インク流路
7a インク流路の上壁面
7b インク流路の側壁面
7c インク流路の下壁面
8 型材
8a 型材となる樹脂層
9 インク浸透防止膜
9a インク浸透防止膜となる樹脂層
10a 吐出素子基板
10b 被覆樹脂層
10b1 被覆樹脂層からなるインク流路壁部分
11 吐出口
11a 吐出口面
12 インク供給口

Claims (11)

  1. インクを吐出するためのエネルギーを発生するインク吐出エネルギー発生素子、および該インク吐出エネルギー発生素子上にインクを供給するためのインク供給口を有する基板と、
    該基板上に配され、かつ、インクを吐出するための吐出口、および該吐出口と該インク供給口とに連通するインク流路を形成するための被覆樹脂層と
    を備えたインクジェット記録ヘッドであって、
    該インク流路の上壁面および側壁面が、ポリエーテルアミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物によって被覆された構造を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記ポリエーテルアミド樹脂が、下記式1に示す繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド:
    Figure 2014094529
    [式中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、またはハロゲン原子を示し、R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、または、炭素数1以上4以下のハロゲン化アルキル基を示し、Ar1は、置換あるいは未置換の、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、オキシジフェニレン基、または、スルフォニルジフェニレン基を示し、nは正の整数を示す。]。
  3. 前記樹脂組成物が、感光性を有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 少なくとも、前記被覆樹脂層からなるインク流路壁部分と、前記基板との間に、ポリエーテルアミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなる密着層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 前記密着層が、前記インク流路の側壁面の一部を構成することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 前記インクジェット記録ヘッドが有する、ポリエーテルアミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物がいずれも、同じ組成であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  7. インクを吐出するためのエネルギーを発生するインク吐出エネルギー発生素子、および該インク吐出エネルギー発生素子上にインクを供給するためのインク供給口を有する基板と、
    該基板上に配され、かつ、インクを吐出するための吐出口、および該吐出口と該インク供給口とに連通するインク流路を形成するための被覆樹脂層と
    を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、
    (1)インク吐出エネルギー発生素子を有する基板上に、該インク流路の型である型材を形成する工程と、
    (2)該型材が形成された基板の表面のうちの、該インク流路の上壁面および側壁面となる部分に、ポリエーテルアミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなるインク浸透防止膜を形成する工程と、
    (3)該被覆樹脂層となりかつ該インク浸透防止膜の表面を被覆する樹脂層を形成する工程と、
    (4)該樹脂層に該吐出口を形成する工程と、
    (5)該型材を除去して、該インク流路を形成する工程と
    を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  8. 前記ポリエーテルアミド樹脂が、下記式1に示す繰り返し単位を有することを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法:
    Figure 2014094529
    [式中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、またはハロゲン原子を示し、R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、または、炭素数1以上4以下のハロゲン化アルキル基を示し、Ar1は、置換あるいは未置換の、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、オキシジフェニレン基、または、スルフォニルジフェニレン基を示し、nは正の整数を示す。]。
  9. 前記樹脂組成物が、感光性を有することを特徴とする請求項7または8に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  10. 工程2において、前記型材が形成された基板の表面のうちの、この基板と、前記被覆樹脂層からなるインク流路壁部分との間となる部分に、前記インク浸透防止膜と同じ組成の第1の密着層を形成することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  11. 工程1の前に、前記インク吐出エネルギー発生素子を有する基板の表面のうちの、この基板と、前記インク浸透防止膜および前記被覆樹脂層からなるインク流路壁部分との間となる部分に、ポリエーテルアミド樹脂を含む樹脂組成物の硬化物からなる第2の密着層を形成する工程を有することを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018001413A (ja) * 2016-06-27 2018-01-11 コニカミノルタ株式会社 インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置

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