JPH0924404A - 熱間連続圧延における板幅制御方法 - Google Patents

熱間連続圧延における板幅制御方法

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JPH0924404A
JPH0924404A JP7316318A JP31631895A JPH0924404A JP H0924404 A JPH0924404 A JP H0924404A JP 7316318 A JP7316318 A JP 7316318A JP 31631895 A JP31631895 A JP 31631895A JP H0924404 A JPH0924404 A JP H0924404A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】板幅の測定部位を少なくするとともに、板幅制
御量を大きくし、かつ板幅制御の誤差を小さくする。 【解決手段】第1基準位置において、幅系31により測
定される実測板幅と予め設定されている目標板幅との板
幅偏差に応じて、第1基準位置およびこれよりも上流側
の圧延スタンド間の張力を調整し、また、第2基準位置
荷置いて、幅系32により測定される実測板幅と予め設
定されている目標板幅との板幅偏差に応じて、第1基準
位置よりも下流側の圧延スタンド間の張力を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に複数の圧延ス
タンドからなるスタンド列を有する熱間連続圧延機で圧
延スタンド間の張力を調整することによって板幅を制御
する熱間連続圧延における板幅制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間連続圧延を行う際、ストリップの板
幅精度は、板厚精度とともに高い成品品質を維持するた
めの非常に重要な因子である。板幅の精度は、圧延前の
スラブの幅精度や圧延材の温度、圧延設備、圧延制御方
法の誤差等に影響され、仕上圧延後にコイルとなったス
トリップの板幅は、目標値に対して数mm〜数十mm程
度の誤差を生じる。
【0003】そこで、一般的には、この誤差を予め見込
んで、ストリップの幅方向に十数mm程度の余裕代をも
って圧延を行い、後の工程で余裕代の部分を切除(トリ
ミング)していた。しかし、トリミングした余裕代の部
分はスクラップとせざるを得ないため、製品の歩留りを
著しく低下させ、逆に、適正な板幅精度は歩留り向上に
直接的に寄与する。
【0004】したがって、この問題に対して、従来、粗
圧延の段階において、竪型圧延機(エッジャー)を用い
ることによって、仕上圧延前の板幅を目標値とすること
により、祖圧延後の板幅を整えて仕上圧延を行うことが
一般的に行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、たとえ
粗圧延後の板幅を制御できたとしても、仕上圧延中に、
前述のように、張力変動や温度変化などの操業変化また
は板幅変化量の予測誤差の影響を受けて板幅が変動し、
仕上圧延後の板幅精度はさほど高くないものであった。
【0006】そこで、近年においては、粗圧延段階にお
けるエッジャーによる板幅制御のみでなく、仕上圧延中
にも板幅制御を行い、両者の併用によって仕上圧延後の
板幅精度を向上させる制御が行われている。仕上圧延中
の板幅制御を行う際に、エッジャーを用いて制御を行う
ことも考えられるが、材料の板幅/板厚比が大きいた
め、バックリング(座屈)の発生が起こりやすくなるの
で、エッジャーを用いることは困難である。そのため、
仕上圧延中のスタンド間において被圧延材に加えられる
スタンド間張力を加減することによる板幅制御が行われ
ている。かかる制御方法として次に挙げる各先行例が存
在する。
【0007】たとえば、特公昭58−39002号公報
(以下、第1先行例という)においては、圧延予定鋼種
やスタンド入側において測定された板幅、板幅制御スタ
ンド間の予定板厚、スタンド間通過時間等から。設定関
係式に従って前記板幅制御スタンド間の板幅制御基準張
力を求めて圧延を開始し、板幅制御スタンドにおける圧
延材噛込後、実測板厚および実測ロール速度から前記板
幅制御基準張力を調整しつつ板幅制御圧延を行うととも
に、スタンド出側実測板幅により前記設定関係式におけ
る係数の学習補正を行う板幅制御方法が開示されてい
る。
【0008】また、特公昭58−51769号公報(以
下、第2先行例という)においては、圧延機の入側また
はスタンド間における被圧延材の板幅を測定し、この計
測位置から圧延機のロールバイトまでの材料の移送時間
だけ遅らせて圧延機の後方圧延スタンド間の張力調整を
フィードフォワード的に調整する板幅制御方法が開示さ
れている。
【0009】さらに、特開昭60−141319号公報
(以下、第3先行例という)においては、熱間仕上圧延
機のスタンド間におけるストリップの板幅あるいは板幅
偏差を検出して。該検出器に基づき、ストリップのスタ
ンド間張力をフィードバック的に調整することにより、
ストリップの板幅を一定に制御する板幅制御方法が開示
されている。
【0010】そして、特開昭61−7012号公報(以
下、第4先行例という)においては、被圧延材のスタン
ド間張力を制御して被圧延材の板幅制御を行うスタンド
間を決定し、当該スタンド間の前スタンド出側および後
スタンド出側の張力を制御することにより、被圧延材の
板幅を制御する板幅制御方法が開示されている。
【0011】しかし、上記従来技術は、それぞれ次の問
題点を有するものである。
【0012】まず、第1先行例について説明すると、基
準張力の算出式において、予測誤差が発生した場合に、
圧延機出側において板幅変動が発生する。この板幅変動
に対して、学習補正をもって修正することとしている
が、この学習補正はロットごとに行われているため、全
体的な補正は完全には行われていない。また、学習補正
のみでは、細部にわたっての操業条件変化を反映するこ
とができないため、誤差を補うためには、あまり効果的
であるとはいえない。また、圧延中の張力変更について
も、板幅を直接的にフィードバックするものではないた
め、不適切な変更を行う可能性があるという問題もあ
る。
【0013】第2先行例での板幅制御においては、フィ
ードフォワード的な張力変更を行うため、張力変更量の
算出式が誤差を伴うものである場合、圧延機列出側の板
幅に偏差が発生してしまうという問題がある。
【0014】さらに、第3先行例においては、スタンド
間での板幅制御が良好に機能し、このスタンド間での板
幅偏差が吸収されてとしても、このスタンド間より下流
側での圧延条件の変化により、圧延機列出側で板幅偏差
が発生する可能性がある。
【0015】また、スタンド間での板幅制御が良好に機
能し、かつこのスタンド間より下流側での圧延条件に変
化がなかったとしても、スタンド間での板幅狙い値と、
圧延機列出側での板幅狙い値との関係が不合理であれ
ば、圧延機列出側では板幅偏差が残るという問題があ
る。
【0016】第4先行例では、1つのスタンド間の張力
をその前後のスタンド出側において測定した板幅に基づ
いて決定するため、板幅の制御量を大きくとることがで
きない。この第4先行例においては、板幅の制御量を大
きくするために、たとえば偶数スタンド出側において板
幅を測定して、各スタンド間張力を決定することも開示
されているが、この場合には、使用する幅計の数がいき
おい増大せざるを得ず、実用的とはいえないものであ
る。
【0017】そこで、本発明の主たる課題は、熱間圧延
において、仕上圧延機のスタンド間張力を調整すること
により仕上圧延機出側の板幅制御を行う際、第1に板幅
制御量を大きくする、第2に板幅制御の誤差を小さく
し、第3に板幅計の設置個所を可能な限り少なくする、
ことにより柔軟性および実用性に優れた板幅制御方法を
提案することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
<請求項1の発明について>上記課題を解決した本発明
の熱間連続圧延における請求項1に記載の板幅制御方法
は、複数の圧延スタンドからなるスタンド列を有する熱
間連続圧延機で、前記圧延スタンド間で被圧延材に加わ
るスタンド間の張力を調整することによって被圧延材の
板幅を制御する方法において、前記スタンド列の中間の
所定の圧延スタンド間を第1基準位置、前記スタンド列
の出側を第2基準位置とし、各位置における目標板幅を
予め設定しておくとともに、各位置において被圧延材の
板幅を測定し、前記第1基準位置での被圧延材の実測板
幅と目標板幅との第1板幅偏差に応じて、前記第1基準
位置における圧延スタンド間およびこれよりも上流側の
圧延スタンド間の張力を前記第1板幅偏差がゼロとなる
ように変更する第1張力制御系を構成するとともに、前
記第2基準位置での被圧延材の実測板幅と目標板幅との
第2板幅偏差に応じて、前記第1基準位置における圧延
スタンドよりも下流側の圧延スタンド間の張力を第2板
幅偏差がゼロとなるように変更する第2張力制御系を構
成することを特徴とするものである。
【0019】本発明は、複数の圧延スタンドからなるス
タンド列を有する熱間連続圧延機で、前記圧延スタンド
間で被圧延材に加わるスタンド間の張力を調整すること
によって被圧延材の板幅を制御する方法であり、この点
の限りでは前記の先行例と同一である。
【0020】しかるに、本発明では、たとえば図1また
は図2に示す7つのスタンドを有するスタンド列におい
て、中間の所定の圧延スタンド間(すなわち第4スタン
ドと第5スタンドの間)を第1基準位置、前記スタンド
列の出側(第7スタンドの出側)を第2基準位置とし、
各位置における目標板幅を予め設定しておくとともに、
各位置において被圧延材の板幅を測定する。
【0021】被圧延材に加わる張力は、次の(1)式に
示す関係にある。 ΔW=f(σ,Δσ,T,M,W)……(1) ここで、ΔW;板幅変更量 σ;張力変更前に被圧延材に加わっている張力 Δσ;張力変更量 T;張力変更を行っている位置での材料温度 M;材質を表すパラメーター W;板幅変化前の板幅または実測板幅 そこで、第1基準位置での被圧延材の実測板幅と目標板
幅との第1板幅偏差に応じて、第1基準位置における圧
延スタンド間およびこれよりも上流側の圧延スタンド間
の張力を前記第1板幅偏差がゼロとなるように変更する
第1張力制御系を構成する。
【0022】また、第2基準位置での被圧延材の実測板
幅と目標板幅との第2板幅偏差に応じて、前記第1基準
位置における圧延スタンドよりも下流側の圧延スタンド
間の張力を前記第2板幅偏差がゼロとなるように変更す
る第2張力制御系を構成する。
【0023】このように、本発明では、2つの板幅計に
よる実測板幅に基づいて、それぞれ第1張力制御系およ
び第2張力制御系を介して張力制御を行うことにより、
目標板幅に対する偏差をゼロにすることができる。
【0024】したがって、本発明の第1の利点は、1つ
の板幅計による実測板幅により複数のスタンド間の張力
を制御するので、板幅変更能力(板幅制御量)を大きく
とることができることである。
【0025】第2の利点は、少ない数の板幅計の設置で
足り、スタンド間に設置するのは一つの板幅計で足りる
ので、スタンド間の環境を考えると、きわめて実用的と
なることである。
【0026】第3の利点は、板幅偏差に基づいて、フィ
ードバック的に張力を変更させているため、フィードフ
ォワード的な方法とは異なり、モデル予測の誤差が入り
込むことがなく、精度よく板幅偏差をゼロにすることが
できる。
【0027】<請求項2および3の発明について>とこ
ろで、第1基準位置の目標板幅値と第2基準位置の目標
板幅値との関係で問題が生じることがある。これに対処
するのが、請求項2および3に記載の発明である。
【0028】第1基準位置の目標板幅値は、圧延前に、
材料の温度やスタンド間張力の基準等により、第1基準
位置から第2基準位置の間における被圧延材の板幅変化
量を予測演算し、その変化量を第2基準位置の目標板幅
値に加えて算出する。しかるに、第1基準位置の目標板
幅値と第2基準位置の目標板幅値との関係、特にそれら
の偏差が適正である場合には図5に示すような制御とな
るため問題はない。すなわち、第1基準位置における圧
延スタンド間およびこれよりも上流側の圧延スタンド間
の張力を前記第1板幅偏差がゼロとなるように変更する
第1張力制御系(以下「第1AWC」ともいう)、なら
びに第2基準位置での被圧延材の実測板幅と目標板幅と
の第2板幅偏差に応じて、第1基準位置における圧延ス
タンドよりも下流側の圧延スタンド間の張力を第2板幅
偏差がゼロとなるように変更する第2張力制御系(以下
「第2AWC」ともいう)のそれぞれの動作により、こ
れらの動作を行わない場合の板幅値に対して、第1基
準位置および第2基準位置での板幅値は、たとえば図5
のケースC0 で示されているように、順次、板幅値とし
ておよびで示すように、目標板幅値に向かって小さ
くする方向に張力制御がなされる。
【0029】これに対して、第1基準位置の目標板幅値
と第2基準位置の目標板幅値との偏差が適正でなく、狭
いケースC1 aの場合には、たとえば一旦第1張力制御
系「第1AWC」により板幅を小さくする方向に張力制
御した後に、第2張力制御系「第2AWC」により、今
度は逆に板幅を大きくする方向に張力制御することが生
じる。また、第1基準位置の目標板幅値と第2基準位置
の目標板幅値との偏差が適正でなく、広いケースC2
の場合には、たとえば一旦第1張力制御系「第1AW
C」により板幅を大きくする方向に張力制御した後に、
第2張力制御系「第2AWC」により、今度は逆に板幅
を小さくする方向に張力制御することが生じる。
【0030】しかし、ケースC1 aおよびケースC2
の場合には、第1張力制御系と第2張力制御系の動作方
向が逆になり、無駄な動作を行うこととなるばかりでな
く、第1基準位置での板幅が目標板幅値となり偏差がゼ
ロとなったとしても、第2基準位置での板幅が目標板幅
値とならず偏差が発生してしまうことがある。このよう
に、いわば「張力制御系の逆作用」を解消するために、
請求項2に記載の発明に従って、前記第1板幅偏差の時
間積分値または移動平均値の符号と、第2板幅偏差の時
間積分値または移動平均値の符号とが逆になったとき、
前記第1張力制御系の動作を中止して、第1張力制御系
の対象となるスタンド間の張力をその中止時点の張力値
に保持するか、あるいは初期の張力設定値へ戻し、前記
両符号が同じになったとき、前記第1張力制御系の動作
を再開する態様をとるのが望ましい。さらに、請求項3
に記載の発明に従って、前記第1板幅偏差の時間積分値
または移動平均値の符号と前記第2板幅偏差の時間積分
値または移動平均値の符号との、反転の成否判定に不感
帯を設定し、前記両符号が同一である状態から符号が逆
に反転したとき、前記第1張力制御系の動作を中止し
て、第1張力制御系の対象となるスタンド間の張力をそ
の中止時点の張力値に保持するか、あるいは初期の張力
設定値へ戻し、その後、前記両符号が同じになったと
き、前記第1張力制御系の動作を再開するのが望まし
い。
【0031】<請求項4の発明について>他方、第1張
力制御系と第2張力制御系との板幅制御量を分担するバ
ランスがくずれ、第2張力制御系が負担すべき板幅制御
量が増加し、その制御能力を超えることにより、偏差を
完全に除去できない可能性がある。これに対処するの
が、請求項4の発明である。
【0032】前述した請求項2および3に記載の発明の
制御方法が動作するような場合、たとえば図6で示され
るケースC1 bのように、第1基準位置の目標板幅値と
第2基準位置の目標板幅値との偏差が適正でなく、広い
場合には、第1基準位置の板幅偏差は適正な場合(ケー
スC0 )に比べ小さい値となる。そのため、第1張力制
御系による板幅修正量は、必然的に少なくなり、第2基
準位置の板幅偏差はケースC0 に比べ大きな値となる。
この時、第2張力制御系はこの偏差をゼロにするために
第1基準位置よりも下流側のスタンド間の張力を増やす
動作を行うが、この動作は、第2基準位置の板幅偏差が
ゼロになるまで連続的に行われ第2張力制御系のスタン
ド間の張力は増加し続ける。しかし、このスタンド間の
張力の変更量は、圧延を異常無く行える範囲として予め
設定された上限値で制限されるため、第2基準位置の板
幅偏差がゼロにならないうちに、前記第2張力制御系の
スタンド間の張力が前記上限値に達してしまうことがあ
る。つまり、第2張力制御系の板幅修正能力が限界に達
しているということであり、この制御状態が継続される
と、ケースC1 bで示されるように、第2基準位置の
板幅偏差は残留してしまうことになる。
【0033】また、図6で示されるケースC2 bのよう
に、第1基準位置の目標板幅値と第2基準位置の目標板
幅値との偏差が適正でなく、狭い場合には、第1基準位
置の板幅偏差は適正な場合(ケースC0 )に比べ大きい
値となる。そのため、第1張力制御系による板幅修正量
は、必然的に多くなり、第2基準位置の板幅偏差は負
(目標板幅値>実測板幅値)となる場合がある。この
時、第2張力制御系はこの偏差をゼロにするために第1
基準位置よりも下流側のスタンド間の張力を減らす動作
を行うが、この動作は、第2基準位置の板幅偏差がゼロ
になるまで連続的に行われ第2張力制御系のスタンド間
の張力は低下し続ける。しかし、このスタンド間の張力
の変更量は、圧延を異常無く行える範囲として予め設定
された下限値で制限されるため、第2基準位置の板幅偏
差がゼロにならないうちに、前記第2張力制御系のスタ
ンド間の張力が前記下限値に達してしまうことがある。
つまり、第2張力制御系の板幅修正能力が限界に達して
いるということであり、この制御状態が継続されると、
ケースC2 bで示されるように、第2基準位置の板幅
偏差は残留してしまい板幅制御機能を発揮しないことに
なる。
【0034】このような、第2張力制御系の板幅修正能
力不足を解消するためには、請求項4記載の発明に従っ
て、前記第1および第2張力制御系による板幅制御中
に、第1基準位置よりも下流側の、全ての圧延スタンド
間または任意の圧延スタンド間における、張力指令値お
よび張力実績値のうち少なくとも一方が、予め設定した
張力の上限値または下限値に達したとき、その時点以降
の第2板幅偏差の移動平均値を第1板幅偏差に加算する
(以下、「後段オーバフロー補正」という)のが好適で
ある。これにより、第1張力制御系は、前記ケースC1
bの場合には、第1基準位置およびこれよりも上流側の
スタンド間の張力が増加する方向に動作し、前記ケース
2 bの場合には、前記第1基準位置およびこれよりも
上流側のスタンド間の張力が低下する方向に動作するた
め、前記第2張力制御系の制御能力不足を第1張力制御
系の制御余力によって補うことが可能である。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、図示例を
用いて詳説する。図1および図2は、本発明に係る制御
方法を行う熱間連続圧延機の概略図である。被圧延材で
ある鋼板Mは、矢印で示す方向に搬送され、たとえば圧
延スタンド1〜7からなる7つのスタンドを有する熱間
連続(仕上げ)圧延機によって圧延される。これら圧延
スタンド1〜7は、それぞれ駆動モーター11〜17に
よって駆動される。また、圧延スタンド1、2間に、ル
ーパー21、圧延スタンド2、3間にルーパー22、・
・・・圧延スタンド6、7間にルーパー26がそれぞれ
設けられており、それぞれの圧延スタンド間の張力を調
整している。さらに、圧延スタンド4、5間(第1基準
位置に相当する)およびスタンド列の出側すなわち圧延
スタンド7の出側(第2基準位置に相当する)には、そ
れぞれ幅計31、32が設けられている。
【0036】かかる熱間圧延機において、各ルーパー2
1〜26においては、ルーパー角度θ1 〜θ6 が、たと
えば図示しないセルシンによって検出され、この実測角
度θ1 〜θ6 が、目標角度θ10〜θ60となるように、ル
ーパー角度制御装置51を通じて各スタンドのモーター
11〜17の回転数が制御される。
【0037】また、たとえば各ルーパー21〜26に
は、図示しない張力計の設置、ルーパー軸トルク電流検
出方式、圧延スタンド主機駆動モータの電流測定などに
よる張力検出手段により、各スタンド間張力σ1 〜σ6
が検出される。後述する板幅制御方法に従い、第1張力
制御装置53Aおよび第2張力制御装置53Bでは、上
位計算機52によって与えられる基準張力値σ10〜σ60
と板幅制御に伴う張力変更量Δσ1 〜Δσ6 との和に一
致するように、各ルーパー21〜26のルーパー軸トル
クを制御する。この張力制御においては、ルーパー軸ト
ルクの制御のほか、ルーパー駆動モータの電流制御、圧
延スタンド主機駆動モータの電流制御などでもよい。
【0038】次に、本発明に係る板幅制御の具体的方法
について説明する。板幅制御は、第1基準位置での被圧
延材の実測板幅と目標板幅との第1板幅偏差に応じて、
第1基準位置における圧延スタンド間およびこれよりも
上流側の圧延スタンド間の張力を前記第1板幅偏差がゼ
ロとなるように変更する、第1板幅制御装置54および
第1張力制御装置53Aを含む第1張力制御系と、第2
基準位置での被圧延材の実測板幅と目標板幅との第2板
幅偏差に応じて、第1基準位置における圧延スタンドよ
りも下流側の圧延スタンド間の張力を第2板幅偏差がゼ
ロとなるように変更する、第2板幅制御装置55および
第2張力制御装置53Bを含む第2張力制御系とで構成
される。
【0039】<第1張力制御系>幅系31によって測定
された鋼板Mの実測板幅WF4が前段の第1板幅制御装置
54に入力される一方、上位計算機52からは、目標板
幅W10、ゲインKP2〜KP4、KI2〜KI4、および影響係
数β2 〜β4 が第1板幅制御装置54に与えられる。第
1板幅制御装置54においては、実測板幅WF4と目標板
幅W10との板幅偏差ΔWF4、ゲインKP2〜KP4、KI2
I4、および影響係数β2 〜β4 により圧延スタンド2
〜3間、圧延スタンド3〜4間および圧延スタンド4〜
5間のそれぞれの張力変更量Δσ2 、Δσ3 、Δσ4
算出される。張力変更量Δσ2 、Δσ3 、Δσ4 の算出
にあたって、本実施の形態においては、上記(1)式を
具体化した下記(2)式を用いた。
【0040】
【数1】
【0041】ここで、iスタンドに対する影響係数βi
{i(スタンド間No.)=2〜4}は、圧延前に予想さ
れる圧延条件を用いて、(2)式を上位計算機52内で
近似的に解くことにより得られる張力変化と幅変化との
比例定数であり、(3)式によって表される。
【0042】
【数2】
【0043】かくして求められた張力変更量Δσ2 〜Δ
σ4 信号が、第1張力制御装置53Aに出力され、張力
制御装置53においては、上位計算機52より出力され
た基準張力値σ20〜σ40に張力変更量Δσ2 〜Δσ4
それぞれ加算して圧延スタンド間張力を決定し、この圧
延スタンド間張力を達成すべく、ルーパー軸トルクの制
御を行う。
【0044】本実施の形態では、Δσi の算出にあたっ
て(2)式のように板幅偏差の比例値および積分値の和
を用いた、いわゆるPI制御を行っている。比例値、積
分値、微分値のいずれを使用したPID制御を行っても
よいが、PI制御が最適である。
【0045】<第2張力制御系>また、後段の第2張力
制御系の動作も同様であり、第2板幅制御装置55にお
いて、幅計32からの実測板幅WF7と目標板幅W20との
板幅偏差ΔWF7、ゲインKP5、KP6、KI5〜KI6、およ
び影響係数β5 〜β6 により、圧延スタンド5〜6間お
よび圧延スタンド6〜7間のそれぞれの張力変更量Δσ
5 、Δσ6 を下記(4)式を用いて算出する。この算出
された張力変更量Δσ5 、Δσ6 が第2張力制御装置5
3Bに与えられ、第2張力制御装置53Bにおいては、
上位計算機52より出力された基準張力値σ50、σ60
張力変更量Δσ5 、Δσ6 をそれぞれ加算して圧延スタ
ンド間張力を決定し、この圧延スタンド間張力を達成す
べく、ルーパー軸トルクの制御を行う。
【0046】
【数3】
【0047】このように、前段AWCおよび後段AWC
を行うことにより、精度よく鋼板Mの板幅制御を行うこ
とができる。
【0048】<「張力制御系の逆作用」の解消について
>前述のとおり、第1基準位置の目標板幅値と第2基準
位置の目標板幅値との関係で、「張力制御の逆作用」が
生じることがある。
【0049】そこで、図3に示すフローチャートを参照
しながら説明すると、前段AWCおよび後段AWCの制
御中、板幅偏差比較装置56においては、常時、第1板
幅制御装置54および第2板幅制御装置55から、それ
ぞれ、実測板幅と目標板幅との板幅偏差ΔWF4,ΔWF7
得て、これらの板幅偏差ΔWF4,ΔWF7の時間積分した
値にゲインG1 ,G2 を乗じて比較対象値を得る。
【0050】次いで、予め2δの不感帯部分を設けてお
き、前記の比較対象値が(5)式の関係を満たす場合
に、前記第1張力制御系を動作を中止して、第1張力制
御系の対象となるスタンド間の張力をその中止時点の張
力値に保持するか、あるいは初期の張力設定値へ好適に
は徐々に戻す。ここで、(5)式の関係を満たさない場
合には、前段AWCおよび後段AWCの両者の実施を継
続する。
【0051】
【数4】
【0052】その後、前段AWCの中止により、(5)
式の関係を満たさなくなった場合には、前段AWCおよ
び後段AWCの両者の実施を行う。
【0053】この実施の形態では、板幅偏差ΔWを直接
用いず、その時間積分値を用いたのは、瞬間の板幅値で
判断することなく、そのまでの履歴を考慮することによ
り、板内での板幅変動の影響を排除して、各幅系に対す
る目標板幅値の設定が不敵正な場合のみ機能させるため
である。したがって、板幅偏差ΔWの時間積分値を用い
る代わりに、(6)式で示される圧延開始時点から判断
を行う時点までの移動平均値を用いることもできる。
【0054】
【数5】
【0055】2δの不感帯部分の設定については、ΔW
F4の時間積分値とΔWF7の時間積分値の間に符号反転の
関係が現れても、ある程度の許容範囲を設けて前段AW
Cを継続させる目的で設定するのであり、その範囲設定
には適宜選択できる。また、δ=0とすることも可能で
あり、δ=0とした場合には、単純に符号が反転した時
に、前段AWCを中止することになる。
【0056】このような「張力制御系の逆作用」の解決
手段にを採ることにより、これを採らない場合と比較し
て図7に示すように、スタンド列出側での板幅偏差をき
わめて小さくできる。すなわち、図7の左欄のA〜Bの
区間が前段AWCを中止した区間であり、スタンド列出
側での板幅偏差をきわめて小さくできるのに対して、前
段AWCの中止を行わない場合には、右欄に示すよう
に、スタンド列出側での板幅偏差が残ってしまう。
【0057】<「後段オーバフロー補正」>前述のとお
り、第1張力制御系と第2張力制御系との板幅制御量を
分担するバランスがくずれ、第2張力制御系が負担すべ
き板幅制御量が増加した場合に、この第2張力制御系の
対象となるスタンド間の張力が、予め設定された上限値
または下限値に達してしまい、この時点から第2板幅偏
差がゼロにならなくなることがある。
【0058】そこで、図4に示すフローチャートを参照
しながら説明すると、前段AWCおよび後段AWCの動
作中、あるいは後段AWCのみ動作中、第2張力制御装
置53には、それぞれ、第2板幅制御装置55から後段
AWCの対象となるスタンド間の張力変更量Δσ5 およ
びΔσ6 が、また図示しない張力計等から張力実績値σ
5 、σ6 が、さらに上位計算機52からは基準張力
σ50、σ60が入力されている。これらの値を基にして、
第2張力制御装置53において(7)式または(8)式
を満たす場合には、第2板幅偏差ΔWF7を残留偏差とし
て、後段オーバフロー補正量演算装置57において
(9)式を計算し、第2板幅偏差の移動平均値ΔW47a
を算出する。また、ΔW47a を計算する周期Δtは、ま
ず、(13)式から幅計31と幅計32との間の被圧延
材の通過時間tW7を求めた後、(12)式により算出で
きる。したがって、(10)式に示すように、後段オー
バフロー補正量ΔW47b は、当該計算周期における第2
板幅偏差の移動平均値ΔW47a をその前計算周期におけ
る後段オーバフロー補正量ΔW47Fbに加えて算出する。
最初のΔWF47bはゼロであるから、この時の後段オーバ
フロー補正量ΔW47b は、必然的に当該計算周期におけ
る第2板幅偏差の移動平均値ΔW47a と等しくなる。
【0059】この後段オーバフロー補正量ΔW47b と補
正前の第1板幅偏差ΔWF4とを加えることで、後段オー
バフロー補正後の第1板幅偏差ΔW4 が得られる((1
1)式)。
【0060】
【数6】
【0061】
【数7】
【0062】このようにして算出したΔW4 が前段AW
Cの新たな制御偏差となり、この第1板幅偏差ΔW4
ゼロにすべく第1板幅制御装置54において、前段AW
Cの対象となるスタンド間の張力変更量Δσ2 、Δ
σ3 、Δσ4 を修正する。これらの張力変更量Δσ2
Δσ3 、Δσ4 は第1張力制御装置53Aに入力され、
それまでのスタンド間の張力σF2、σF3、σF4に加算さ
れて、新たなスタンド間の張力σ2 、σ3 、σ4 が算出
される。第1張力制御装置53Aはこの新たなスタンド
間の張力σ2 、σ3 、σ4 により前段AWCの対象とな
るスタンド間の張力を制御する。したがって、前段AW
Cは、図6に示すケースC1 bの場合には、第1基準位
置およびこれよりも上流側の圧延スタンド間の張力が増
加する方向に動作し、ケースC2 bの場合には、第1基
準位置およびこれよりも上流側の圧延スタンド間の張力
が低下する方向に動作するため、後段AWCの制御張力
制限による板幅制御能力不足は、前段AWCの板幅制御
余力によって解消され、後段AWCの対象となるスタン
ド間の張力σ5 σ6 は、予め設定された範囲に収まるよ
うになる。
【0063】以下に、図8を用いて、上述の「後段オー
バフロー補正」による板幅制御状態の挙動を詳説する。
【0064】・後段オーバフロー補正前 図8に示されるように、A点までは、後段AWCの対象
となるスタンド間の張力σ5 およびσ6 は上限値に達す
ることなく適正な動作を行っており、第2板幅偏差ΔW
F7はゼロ近辺を推移している。続いて、A点以降では、
第2板幅偏差ΔWF7が増加し始めたため、第2板幅制御
装置55はこの偏差を除去すべく後段AWCの対象とな
るスタンド間の張力変更量Δσ5 およびΔσ6 を増加し
ていく動作を行う。ところが、前記後段AWCの対象と
なるスタンド間の張力σ5 またはΔσ5 +σ50、および
σ6 またはΔσ6 +σ60が、B点において、上限値σ
5maxおよびσ6maxに達してしまうと、それ以後は、第2
板幅偏差ΔWF7をゼロに近ずけることができなくなり、
アで図示する量の偏差が残留することになる。
【0065】・後段オーバフロー補正後 そこで、後段オーバフロー補正を開始すると、まず、C
点より第2板幅偏差ΔWF7のアに相当する偏差を残留偏
差として移動平均し、後段オーバフロー補正量ΔW47b
を求め、次いで、この後段オーバフロー補正量ΔW47b
を後段オーバフロー補正前の第1板幅偏差ΔWF4に加え
て、新たに補正後の第1板幅偏差ΔW4を算出する。こ
の後段オーバフロー補正後の第1板幅偏差ΔW4 は、イ
で図示するように、あたかも第1板幅偏差が増加した状
態となる。この時、第1板幅制御装置54は、この偏差
を除去すべく、前段AWCの対象となるスタンド間の張
力変更量Δσ2 、Δσ3 およびΔσ4 を増加していく動
作を行う。この前段AWCの新たな制御により、第1板
幅偏差ΔW4 は徐々にゼロに近づいていくが、その動作
は、C点まで後段AWCが除去しきれずに残留していた
偏差ΔWF7をゼロに近づけることつながる。すなわち、
この一連の動作により、後段AWCで制御できない分の
板幅偏差を、前段AWCが除去していることになる。こ
の補正を継続するとD点において、第2板幅偏差ΔWF7
はゼロ近辺を推移し、後段AWCの対象となるスタンド
間の張力σ5 およびσ6 についても、上限値以下で制御
されるようになる。つまり、A点に至るまでの適正な板
幅制御状態に戻り、板幅制御の最終目標値W20近辺にお
いて、制御が継続されることになる。
【0066】続いて、E点において、再び第2板幅偏差
ΔWF7が増加して、B点と同様に後段AWCの対象とな
るスタンド間の張力σ5 およびσ6 が上限値に達してい
る。
【0067】この時もC点と同様に、第2板幅偏差ΔW
F7の移動平均値ΔW47a を求め、この移動平均値ΔW
47a を現状の後段オーバフロー補正量ΔW47Fbに加え
て、ウで図示される新たな補正量ΔW47b を算出する。
この補正量ΔW47b を現状の第1板幅偏差ΔWF4に加え
ると、補正量の増加分(図示エ)が第1板幅偏差ΔW4
の増加分となる。前記C点と同様に第1板幅制御装置5
4は、前段AWCの対象となるスタンド間の張力変更量
Δσ2 、Δσ3 およびΔσ4 を増加させ、第1板幅偏差
ΔW4 を除去する動作を行い、ΔW4 をゼロに推移させ
る。この結果、第2板幅偏差ΔWF7もゼロに推移してい
る(図示F点)。
【0068】さらに、操業状態の変化(粗幅の減少等)
により、G点においては、第2板幅偏差ΔWF7が負(W
20>WF7)となっている。この時は、前記の動作とは、
逆の動作となるが制御の考え方は同じである。すなわ
ち、第2板幅制御装置55において第2板幅偏差ΔWF7
の負の偏差をゼロにすべく、後段AWCの対象となるス
タンド間の張力σ5 およびσ6 は低下方向に制御される
が、第2板幅偏差ΔWF7を完全に除去できずに、H点に
おいて、σ5 およびσ6 は下限値に達している。
【0069】この時も前記B点およびE点と同様に、第
2板幅偏差ΔWF7の移動平均値ΔW47 a を求め、この移
動平均値ΔW47a を現状の後段オーバフロー補正量ΔW
47Fbに加えて(実際はマイナス)、カで図示される新た
な補正量ΔW47b を算出する。
【0070】この補正量ΔW47b を現状の第1板幅偏差
ΔWF4に加えると、補正量の増加分(図示キ)が第1板
幅偏差ΔW4 の増加分となる。そこで、第1板幅制御装
置54は、前段AWCの対象となるスタンド間の張力変
更量Δσ2 、Δσ3 およびΔσ4 を低下させ、第1板幅
偏差ΔW4 を除去する動作を行い、ΔW4 をゼロに推移
させる。この結果、第2板幅偏差ΔWF7もゼロに推移し
ている(図示I点)。
【0071】このような、「後段オーバフロー補正」を
行うことにより、第1張力制御系および第2張力制御系
の板幅制御能力を最大限使用できる。
【0072】
【実施例】図1に示す熱間連続圧延設備の下で、低炭材
を製造寸法2.0mmt×1030mmwとなるように圧延
する際に本発明に係る板幅制御を行った。その際、第1
基準位置における目標板幅が適正である場合および過小
である場合の各々について、前段AWCおよび後段AW
Cを、第1基準位置における板幅偏差と第2基準位置に
おける板幅偏差の比較機能無しで行う場合、および比較
機能有りで行う場合に分けて行った。それらのときの各
位置における板幅偏差および板幅偏差時間積分値にゲイ
ンを乗じた値、およびその上流側スタンド間の張力変更
量を図9〜図20にそれぞれ示す。
【0073】(スタンド間目標板幅値の設定が適正であ
り、かつ板幅偏差の時間積分値の比較を行わない場合)
第1基準位置における目標板幅値の設定が適正な場合、
図10に示すように、第1基準位置における板幅偏差の
時間積分値と第2基準位置における板幅偏差の時間積分
値との符号関係が逆転することがないため、圧延中にお
いて、前段AWC、後段AWCともに継続することによ
って、図9に示すように、第1基準位置および第2基準
位置ともに板幅偏差をほぼ0とすることができた。この
場合における第1張力制御装置および第2張力制御装置
に対する張力変更量について、図11に示す。
【0074】(スタンド間目標板幅値の設定が適正であ
り、かつ板幅偏差の時間積分値の比較を行う場合)この
場合、図12〜図14に示すように、前記の場合と実質
的に同一であり、同様に良好な制御を行うことができ
た。
【0075】このように、本発明では、前段AWC、後
段AWCと分けた制御を行っているため、第2基準位置
においては、前段AWCと後段AWCとの働きが加わる
こととなる。したがって、図9、図12における第1基
準位置および第2基準位置における板幅偏差の変化のグ
ラフから判るように、第1基準位置において、板幅偏差
を0に至らすまでの時間よりも、第2基準位置における
板幅偏差を0とするまでの時間の方が短くなっている。
このことは、板幅制御能力を大きく採ることができ、も
って板幅偏差の整定時間を短くすることが可能であるこ
とを意味するものである。
【0076】(スタンド間目標板幅値の設定が過小であ
り、かつ板幅偏差の時間積分値の比較を行わない場合)
第1基準位置における目標板幅値の設定が、材料温度の
関係等何らかの誤差により過小となった場合には、図1
5に示すように、前段AWCは良好に機能しているため
第1基準位置における板幅偏差はほぼ0となっている。
しかしながら、図15および図16に示すように、スタ
ンド間目標板幅値が過小であるがゆえ、第2基準位置で
は負の方向に板幅偏差が発生している。後段AWCにつ
いては、この負の板幅偏差を取り除くため、図17に示
すように、圧延スタンド6、7間の張力変更量Δσ6
負の方向へ向けているが、このときの張力は、被圧延材
の安定通板を行うために、A以上としなければならない
ため、張力変更量は図17におけるAの値未満に下げる
ことはできず、第2基準位置においては、図15および
図16に示すように、板幅偏差が発生してしまった。
【0077】(スタンド間目標板幅値の設定が過小であ
り、かつ板幅偏差の時間積分値の比較を行う場合)これ
に対して、第1基準位置および第2基準位置における板
幅偏差の時間積分値の比較を行った場合には、図19に
示すように、両者の符号の逆転関係が生じた時点で、前
段AWCを中止し、図20に示すように、第1基準位置
におけるスタンド間張力変更量Δσ4 を0に向けて徐々
に低下させる。この結果、第1基準位置および第2基準
位置における板幅がそれぞれ広がる方向に変化し、再び
双方の位置における板幅偏差の時間積分値の符号が一致
し、この時点で前段AWCを再開する。以降、この繰り
返しを行うことにより、図18に示すように、第1基準
位置における目標板幅値の設定が不適正であっても、第
2基準位置における板幅偏差を除去することができ、し
たがって、連続圧延機出側において、目標板幅を達成す
ることができた。
【0078】また、別の角度からの評価として、本発明
に係る板幅制御を行った場合と、行わなかった場合の板
幅精度の違いを、仕上圧延機出側での板幅偏差で評価し
た。
【0079】まず、仕上圧延機における板幅制御を行わ
なかった場合には、図21に示すように、板幅偏差の平
均値は0.7mm、標準偏差は3.5mmである分布と
なった。これに対し、本発明に係る板幅制御のうち、第
1基準位置および第2基準位置における板幅偏差の時間
積分値の比較を行わなかった場合には、図22に示すよ
うに、板幅偏差の平均値は−0.7mm、標準偏差は
2.5mmである分布となった。この結果、仕上圧延機
における板幅制御を行わなかった場合と比較して、標準
偏差σにおいて、0.2mm向上したが、負の偏差の分
布域が広いため。
【0080】板幅偏差の平均値は絶対値では板幅制御を
行わなかった場合と変わらなかった。
【0081】また、本発明に係る板幅制御において、第
1基準位置および第2基準位置における板幅偏差の積分
値の比較を行った場合には、図23に示すように、板幅
偏差の平均値は−0.1mm、標準偏差σは1.8mm
である分布となった。これは、第1基準位置における目
標板幅が過小であった場合に発生する第2基準位置にお
ける負の板幅偏差が軽減されたことを大きく反映してお
り、仕上圧延機における板幅制御を行わなかった場合と
比較して板幅偏差の平均値においては絶対値で0.6m
m、標準偏差においては1.7mmも精度が向上した。
【0082】このように、本発明による制御を適用する
ことにより、仕上圧延機出側における板幅制御を誤差な
く効果的に行うことができ、もって幅精度の向上による
成品の歩留向上を実現することができる。
【0083】
【発明の効果】以上の説明から明らかなとおり、本発明
によれば、仕上圧延機のスタンド間張力を調整すること
により仕上圧延機出側の板幅制御を行う際、第1に板幅
制御量を大きくすることができ、第2に板幅制御の誤差
を小さくできるとともに、第3に板幅計の設置個所を可
能な限り少なくすることができるなどの利点がもたらさ
れ、柔軟性および実用性に優れた板幅制御となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る板幅制御方法の説明図である。
【図2】本発明に係る板幅制御方法の説明図である。
【図3】本発明の好適な制御例を示すフローチャートで
ある。
【図4】本発明の好適な制御例を示すフローチャートで
ある。
【図5】スタンド間目標板幅値の設定の適否による板幅
偏差の概念的説明図である。
【図6】スタンド間目標板幅値の設定の適否による板幅
偏差の概念的説明図である。
【図7】本発明の好適な具体例に従う板幅変動のグラフ
である。
【図8】本発明の好適な具体例に従う板幅および張力変
動を比較的に示すグラフである。
【図9】比較的に示す第1例の場合の第1基準位置およ
び第2基準位置の実測板幅の変化を示すグラフである。
【図10】その場合の各位置における時間積分値にゲイ
ンを乗じた板幅偏差の変化のグラフである。
【図11】その場合の張力変更量の変化グラフである。
【図12】比較的に示す第2例の場合の第1基準位置お
よび第2基準位置の実測板幅の変化を示すグラフであ
る。
【図13】その場合の各位置における時間積分値にゲイ
ンを乗じた板幅偏差の変化のグラフである。
【図14】その場合の張力変更量の変化のグラフであ
る。
【図15】比較的に示す第3例の場合の第1基準位置お
よび第2基準位置の実測板幅の変化を示すグラフであ
る。
【図16】その場合の各位置における時間積分値にゲイ
ンを乗じた板幅偏差の変化のグラフである。
【図17】その場合の張力変更量の変化のグラフであ
る。
【図18】比較的に示す第4例の場合の第1基準位置お
よび第2基準位置の実測板幅の変化を示すグラフであ
る。
【図19】その場合の各位置における時間積分値にゲイ
ンを乗じた板幅偏差の変化のグラフである。
【図20】その場合の張力変更量の変化のグラフであ
る。
【図21】本発明の板幅制御を行わなかった場合の板幅
偏差の分布を示すヒストグラムである。
【図22】第1基準位置と第2基準位置における板幅偏
差の時間積分値の比較を行わずに本発明にかかる制御を
行った場合の板幅偏差の分布を示すヒストグラムであ
る。
【図23】時間積分値の比較を行った場合の板幅偏差の
分布を示すヒストグラムである。
【符号の説明】
1〜7…圧延スタンド、11〜17…モーター、21〜
26…ルーパー、31,32…幅計、51…ルーパー角
度調整装置、52…上位計算機、53A…第1張力制御
装置、53B…第1張力制御装置、54…第1板幅制御
装置、55…第2板幅制御装置、56板幅偏差比較装
置、57…後段オーバフロー補正量演算装置、M…鋼
板。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の圧延スタンドからなるスタンド列を
    有する熱間連続圧延機で、前記圧延スタンド間で被圧延
    材に加わるスタンド間の張力を調整することによって被
    圧延材の板幅を制御する方法において、 前記スタンド列の中間の所定の圧延スタンド間を第1基
    準位置、前記スタンド列の出側を第2基準位置とし、各
    位置における目標板幅を予め設定しておくとともに、各
    位置において被圧延材の板幅を測定し、 前記第1基準位置での被圧延材の実測板幅と目標板幅と
    の第1板幅偏差に応じて、前記第1基準位置における圧
    延スタンド間およびこれよりも上流側の圧延スタンド間
    の張力を前記第1板幅偏差がゼロとなるように変更する
    第1張力制御系を構成するとともに、 前記第2基準位置での被圧延材の実測板幅と目標板幅と
    の第2板幅偏差に応じて、前記第1基準位置における圧
    延スタンドよりも下流側の圧延スタンド間の張力を第2
    板幅偏差がゼロとなるように変更する第2張力制御系を
    構成することを特徴とする熱間連続圧延における板幅制
    御方法。
  2. 【請求項2】前記第1板幅偏差の時間積分値または移動
    平均値の符号と、第2板幅偏差の時間積分値または移動
    平均値の符号とが逆になったとき、前記第1張力制御系
    の動作を中止して、第1張力制御系の対象となるスタン
    ド間の張力をその中止時点の張力値に保持するか、ある
    いは初期の張力設定値へ戻し、 前記両符号が同じになったとき、前記第1張力制御系の
    動作を再開する請求項1記載の熱間連続圧延における板
    幅制御方法。
  3. 【請求項3】前記第1板幅偏差の時間積分値または移動
    平均値の符号と前記第2板幅偏差の時間積分値または移
    動平均値符号との、反転の成否判定に不感帯を設定し、 前記両符号が同一である状態から符号が逆に反転したと
    き、前記第1張力制御系の動作を中止して、第1張力制
    御系の対象となるスタンド間の張力をその中止時点の張
    力値に保持するか、あるいは初期の張力設定値へ戻し、 その後、前記両符号が同じになったとき、前記第1張力
    制御系の動作を再開する請求項1記載の熱間連続圧延に
    おける板幅制御方法。
  4. 【請求項4】前記第1および第2張力制御系による板幅
    制御中に、第1基準位置よりも下流側の、全ての圧延ス
    タンド間または任意の圧延スタンド間の張力指令値およ
    び張力実績値のうち少なくとも一方が、予め設定した張
    力の上限値または下限値に達したとき、その時点以降の
    第2板幅偏差の移動平均値を第1板幅偏差に加えること
    によって、 第2張力制御系の板幅制御能力不足を第1張力制御系が
    補うことを特徴とする請求項1、2または3記載の熱間
    連続圧延における板幅制御方法。
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