JPH0924389A - スケール防止剤 - Google Patents

スケール防止剤

Info

Publication number
JPH0924389A
JPH0924389A JP19809895A JP19809895A JPH0924389A JP H0924389 A JPH0924389 A JP H0924389A JP 19809895 A JP19809895 A JP 19809895A JP 19809895 A JP19809895 A JP 19809895A JP H0924389 A JPH0924389 A JP H0924389A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scale
group
compound
agent
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP19809895A
Other languages
English (en)
Inventor
Munehiro Yamada
宗宏 山田
Sho Onodera
祥 小野寺
Ikuo Katsura
郁夫 桂
Toshifumi Hatanaka
利文 畑中
Akisue Yonekura
明季 米倉
Tetsushi Kawamura
徹志 河村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Arkema KK
Original Assignee
Elf Atochem Japan KK
Nippon Oil and Fats Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Elf Atochem Japan KK, Nippon Oil and Fats Co Ltd filed Critical Elf Atochem Japan KK
Priority to JP19809895A priority Critical patent/JPH0924389A/ja
Publication of JPH0924389A publication Critical patent/JPH0924389A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】環境汚染の問題を生ずることがなく、加熱蒸発
系機器や水冷式熱交換器などに難溶性の塩が析出するの
を防ぐとともに、すでに生成したスケールを除去するこ
とができるスケール防止剤を提供する。 【解決手段】カルボキシアルキルチオ無水コハク酸、カ
ルボキシアルキルチオコハク酸およびこれらの塩からな
るスケール防止剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スケール防止剤に
関する。さらに詳しくは、本発明は、ボイラーや加熱蒸
発系機器、水冷式熱交換器などに難溶性の塩が析出する
のを防ぐとともに、すでに生成したスケールの除去も可
能なスケール防止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ボイラーや海水淡水化装置をはじめとす
る加熱蒸発系機器や、クーリングタワーなどの水冷式熱
交換器には、天然水、水道水、工業用水または海水が用
いられる。これらの水に含まれるカルシウムイオン、マ
グネシウムイオンなどの陽イオン、炭酸イオン、重炭酸
イオン、硫酸イオンなどの陰イオンのほか、場合によっ
ては系内で使用される防蝕剤に起因する亜鉛イオンやリ
ン酸イオンが難溶性の塩として伝熱面などに析出付着
し、スケールが生成する。生成したスケールは、熱効率
の低下、管や伝熱面の局部腐食、循環系の閉鎖、破損な
ど重大な障害を引き起こす原因となる。従来、このよう
なスケール障害を防ぐ目的で、リン酸系化合物(例え
ば、特開昭51−146341号公報など)、リグニン
系化合物など各種のスケール防止剤が使用されている。
しかしながら、リン酸系化合物は防蝕効果を併せ持つス
ケール防止剤ではあるが、容易に加水分解を起こし、防
蝕効果が低下するとともに、カルシウムイオンやマグネ
シウムイオンなどと反応し難溶性の塩を生成しスケール
化する。更に、系外に排出された場合は、富栄養化の原
因となり環境汚染を生じるので好ましくない。また、リ
グニン系化合物は天然物であるため、品質が一定でなく
性能にばらつきがある。さらに、これらは、すでに生成
したスケールを除去する性能が十分ではない。このた
め、主として生成するスケールを除去する目的で、シュ
ウ酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン
酸、蟻酸などが使用されているが、これらの有機酸は、
スケール除去力の大きいものは金属を腐食しやすく、金
属を腐食しにくいものはスケール除去力が小さいという
欠点がある。さらに、循環水に少量を添加することによ
って継続的にスケールの生成を防止する、いわゆるスケ
ール防止効果は小さい。このような問題を解決する目的
で、ポリ(メタ)アクリル酸塩(特公昭49−30914
号公報)、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステ
ル系単量体の重合体(特開昭59−196799号公
報)、マレイン酸系単量体の重合体(特開昭47−11
375号公報、特開昭61−178097号公報、特開
昭62−91295号公報)、マレイン酸系単量体とア
クリル酸系単量体の重合体(特開昭50−26764号
公報、特開昭57−149312号公報、特開昭58−
216796号公報)、マレイン酸系単量体とポリオキ
シアルキレンモノアリルエーテルの重合体(特開昭59
−176312号公報、特開昭58−6295号公報、
特開昭59−12908号公報)などがスケール防止剤
として提案されている。しかし、ポリ(メタ)アクリル酸
塩はある程度のスケール防止力はあるものの、高濃度で
は分散力が低下し逆にスケールを生成しやすい欠点があ
るため、スケールがいったん生じるとそのスケールの除
去力は十分ではない。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアル
キルエステル系単量体の重合体は、エステル結合を有す
るために加水分解し、その性能が低下するため、加熱蒸
発系機器などの温度の高い系での使用には適さない。マ
レイン酸系単量体の重合体およびマレイン酸系単量体と
アクリル酸系単量体の重合体は、スケールの原因となる
カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの陽イオン
の捕捉には効果があり、初期のスケール防止には効果が
あるが、スケール成分の分散作用や結晶成長を抑制する
効果が不十分であるため、スケール除去力が十分ではな
い。マレイン酸系単量体とポリオキシアルキレンモノア
リルエーテルの重合体は、上記問題を解決すべく提案さ
れたスケール防止剤であるが、スケール成分の分散作用
や結晶成長を抑制する効果はまだ十分とはいえないた
め、上記と同様にスケール除去力が十分であるとは言え
ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、環境汚染の
問題を生ずることがなく、加熱蒸発系機器や水冷式熱交
換器などに難溶性の塩が析出するのを防ぐとともに、す
でに生成したスケールを除去することができるスケール
防止剤を提供することを目的としてなされたものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カルボキシアル
キルチオ無水コハク酸、カルボキシアルキルチオコハク
酸およびこれらの塩が、従来のスケール防止剤よりも優
れたスケール防止効果を有するとともに、優れたスケー
ル除去力をも併せ持つことを見いだし、この知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
(1)下記の一般式[1]または[2]で示される化合
物からなるスケール防止剤、
【化2】 (ただし、式中、R1およびR2は炭素数1〜30のアル
キレン基であり、M1、M2、M3およびM4は水素原子、
1価に相当する金属原子または無置換もしくは有機基置
換アンモニウム基であり、M2、M3およびM4はたがい
に同一であっても異なってもよい。)、を提供するもの
である。さらに、本発明の好ましい態様として、(2)
一般式[1]および[2]において、R1およびR2が、
炭素数1〜18のアルキレン基である第(1)項記載のス
ケール防止剤、および、(3)一般式[1]および一般
式[2]において、M1、M2、M3およびM4が、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、無置換アンモニウム基また
はアルカノールアミン由来のアンモニウム基である第
(1)項または第(2)項記載のスケール防止剤、を挙げる
ことができる。
【0005】本発明のスケール防止剤は、一般式[1]
【化3】 または、一般式[2]
【化4】 で示される化合物からなるものである。一般式[1]お
よび[2]において、R1およびR2は、炭素数1〜30
のアルキレン基であり、直鎖状のものであってもよく、
分岐を有するものであってもよい。このようなアルキレ
ン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブ
チレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン
基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシ
レン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレ
ン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデ
シレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基、アイコ
シレン基、ヘンイコシレン基、ドコシレン基、トリコシ
レン基、テトラコシレン基、ペンタコシレン基、ヘキサ
コシレン基、オクタコシレン基、ノナコシレン基、トリ
アコンチレン基などが挙げられるが、これらの中で炭素
数1〜18のアルキレン基が好ましい。
【0006】一般式[1]および[2]において、
1、M2、M3およびM4は水素原子、1価に相当する金
属原子または無置換もしくは有機基置換アンモニウム基
であり、一般式[2]におけるM2、M3およびM4はた
がいに同一であってもよく、異なっていてもよい。ここ
で、金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウ
ム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アル
ミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、錫などを挙げ
ることができるが、これらの中で、リチウム、ナトリウ
ムおよびカリウムが特に好ましい。一般式[1]および
[2]の金属原子に関して、1価に相当する金属原子と
は、金属原子をその価数で除した仮想的な金属原子をい
い、例えば、金属原子が、カルシウム、マグネシウムな
どの2価の金属である場合は、Ca1/2、Mg1/2などと
仮想的に表され、アルミニウムのように3価の金属であ
る場合は、Al1/3などと仮想的に表される金属原子で
ある。金属原子がナトリウム、カリウムなどの1価の金
属である場合は、1個の金属原子が1価に相当する金属
原子である。一般式[1]および[2]において、無置
換若しくは有機基置換アンモニウム基は、NH4基、有
機基が1個置換したアンモニウム基、有機基が2個置換
したアンモニウム基または有機基が3個置換したアンモ
ニウム基である。このような有機基置換アンモニウム基
を形成するアミンとしては、炭素数1〜24のアミンが
好ましく、炭素数1〜18のアミンがより好ましい。こ
のようなアミンとしては、例えば、メチルアミン、エチ
ルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルア
ミン、オクチルアミンなどの脂肪族アミン、エタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、
イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、
トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミ
ン、アニリンなどの芳香族アミン、モルホリン、ピリジ
ン、ピロリジン、ピペリジンなどの複素環式アミンなど
が挙げられるが、これらの中で、特にアルカノールアミ
ンが好ましい。
【0007】本発明に使用する一般式[1]および
[2]で示される化合物の製造方法については特に制限
はなく、任意の公知の方法によって製造することができ
る。例えば、無水マレイン酸にメルカプトカルボン酸ま
たはその塩を付加することにより、一般式[1]で示さ
れるカルボキシアルキルチオ無水コハク酸またはカルボ
キシアルキルチオ無水コハク酸塩を得ることができる。
また、このようにして得られた一般式[1]で示される
化合物を加水分解し、そのまま、あるいは適当な塩基中
和して塩とすることにより、一般式[2]で示される化
合物を得ることができる。具体的には、例えば、無水マ
レイン酸にメルカプトプロピオン酸を、ジオキサンなど
の溶媒中において、トリエチルアミンなどの三級アミン
を触媒として、50〜150℃で、0.5〜10時間反
応させて付加したのち、得られた生成物を再結晶により
精製して、カルボキシエチルチオ無水コハク酸を得るこ
とができる。カルボキシエチルチオ無水コハク酸は、そ
のまま使用することができ、あるいは、水中で水酸化ナ
トリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、アミンなどで
中和して塩として使用することができる。また、カルボ
キシエチルチオ無水コハク酸を、30〜100℃で、
0.1〜20時間加水分解することによりカルボキシエ
チルチオコハク酸として使用することができ、さらに、
カルボキシエチルチオコハク酸を中和して塩として使用
することができる。本発明のスケール防止剤において
は、一般式[1]で示される化合物を1種用いることが
でき、2種以上を組み合わせて用いることができる。ま
た、一般式[2]で示される化合物を1種用いることが
でき、2種以上を組み合わせて用いることができる。さ
らに、一般式[1]で示される化合物1種以上と、一般
式[2]で示される化合物1種以上とを組み合わせて用
いることができる。
【0008】本発明のスケール防止剤は、粉体または溶
液として、スケール防止またはスケール除去が必要な装
置の循環水に添加して使用する。循環水に添加する場合
の添加量は目的により異なるが、主としてスケール防止
を目的とする場合には、循環水に対して、スケール防止
剤を1〜10,000ppm添加することが好ましく、10
〜5,000ppm添加することがより好ましい。また、す
でにスケールが生成していて、その除去を目的とする場
合には、循環水に対してスケール防止剤を10〜20
0,000ppm添加することが好ましく、100〜10
0,000ppm添加することがより好ましい。本発明のス
ケール防止剤の使用方法には特に制限はなく、ボイラー
や加熱蒸発系機器、水冷式熱交換器などの循環水中に添
加するなど、従来のスケール防止剤と同様の方法で使用
することができる。本発明のスケール防止剤は、単独で
使用して十分に効果を発揮するが、循環水に使用される
一般の防蝕剤、スライム防除剤またはキレート剤などの
他の添加剤と併せて使用することも可能である。
【0009】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 合成例1 かきまぜ機、窒素ガス導入管、還流冷却器および温度計
を付した四つ口フラスコに、無水マレイン酸98g、β
−メルカプトプロピオン酸106g、トリエチルアミン
6gおよび溶剤であるジオキサン1,000mlを入れ、
窒素ガス雰囲気中で混合物を65℃まで昇温し、65℃
で1時間反応を行った。その後、減圧下、55℃で溶剤
を除去することにより白色結晶を得た。この結晶を加水
分解して、化合物Aを得た。この化合物Aは、赤外分
析、核磁気共鳴分析によってカルボキシエチルチオコハ
ク酸であることを確認した。 合成例2〜5 合成例1と同様にして、第1表に示す化合物B〜Eを合
成した。
【0010】
【表1】
【0011】合成例6 合成例1で得た化合物A22.2gを用い、20重量%
水酸化ナトリウム水溶液60.0gを加えて中和し、化
合物Aの三ナトリウム塩の水溶液を得た。この水溶液を
60℃の真空乾燥器で5時間乾燥を行い、水分を除去し
て化合物Aの三ナトリウム塩である化合物Fを得た。 合成例7〜10 合成例6と同様にして、第2表に示す化合物G〜Jを得
た。
【0012】
【表2】
【0013】実施例1(スケール防止試験) スケール防止剤としての効果を調べるために、以下に示
すスケール防止試験を行った。共栓付き300ml三角フ
ラスコに、炭酸水素ナトリウムの0.067重量%水溶
液100g、塩化カルシウム二水和物の0.083重量
%水溶液100g(カルシウムイオンとして150pp
m)、およびスケール防止剤として合成例1で得られた
化合物Aの1.0重量%水溶液0.2g(有効分として1
0ppmに相当)を加え、0.1重量%水酸化カリウム水溶
液でpHを8.5に調整し、炭酸カルシウムの過飽和溶液
とした。三角フラスコを密栓した後、溶液の入った三角
フラスコを60℃の恒温槽中に12時間静置した。溶液
を冷却後0.45μmのメンブレンフィルターでろ過
し、ろ液中のカルシウムイオンをEDTA滴定法により
定量した。カルシウムイオン濃度は、143ppmであっ
た。スケール防止剤としての化合物Aの水溶液を添加し
ないこと以外は、上と全く同じ操作を繰り返した。ろ液
中のカルシウムイオン濃度は、79ppmであった。この
結果から、次式にしたがって計算したスケール抑制率
は、90%である。 スケール抑制率(%)={(Cf−Cn)/(Co−Cn)}×10
0 Co:加熱処理前の溶液中のカルシウムイオン濃度 Cn:スケール防止剤を添加しない場合の加熱処理後の
ろ液中のカルシウムイオン濃度 Cf:スケール防止剤を添加した場合の加熱処理後のろ
液中のカルシウムイオン濃度 実施例2 化合物Aの代わりに化合物Bを用いた以外は、実施例1
と全く同じ操作を繰り返した。スケール抑制率は、88
%であった。 実施例3 化合物Aの代わりに化合物Fを用いた以外は、実施例1
と全く同じ操作を繰り返した。スケール抑制率は、80
%であった。 実施例4 化合物Aの代わりに化合物Gを用いた以外は、実施例1
と全く同じ操作を繰り返した。スケール抑制率は、82
%であった。 実施例5 化合物Aの代わりに化合物Hを用いた以外は、実施例1
と全く同じ操作を繰り返した。スケール抑制率は、85
%であった。 実施例6 化合物Aの代わりに化合物Iを用いた以外は、実施例1
と全く同じ操作を繰り返した。スケール抑制率は、79
%であった。 実施例7 化合物Aの代わりに化合物Jを用いた以外は、実施例1
と全く同じ操作を繰り返した。スケール抑制率は、75
%であった。 比較例1〜3 実施例1の化合物Aの代わりに、クエン酸、グリコール
酸およびポリアクリル酸ナトリウム(数平均分子量4,
000)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と全く同じ
操作を繰り返し、スケール抑制率を求めた。結果を第3
表に示す。
【0014】
【表3】
【0015】本発明のスケール防止剤は、カルシウムな
どのアルカリ土類金属を捕捉する能力に優れ、また分散
性も良好であるために、クエン酸を用いた比較例1およ
びグリコール酸を用いた比較例2に比べて、優れたスケ
ール防止効果を示している。また、スケール防止剤とし
て一般的に使用されるポリアクリル酸ナトリウムを用い
た比較例3に比べても、本発明のスケール防止剤が優れ
ていることが分かる。 実施例8(スケール除去試験) スケール除去剤としての効果を調べるために、以下に示
すスケール除去試験を行った。内径40mm、長さ3.5
mのスケールの付着した鉄パイプより、長さ50cmの部
分を切り取り、120℃で2日間乾燥したのち重量を測
定した。その後、この鉄パイプをポンプ循環装置に組み
込み、スケール除去剤として化合物Aの5重量%水溶液
3リットルを、流速1リットル/分、40℃で24時間
循環した。鉄パイプ内部を水洗したのち、120℃で2
日間乾燥し、鉄パイプの重量を測定した。次式にしたが
って、鉄パイプ重量減少率を求めた。鉄パイプ重量減少
率は、3.0重量%であった。 鉄パイプ重量減少率(重量%)={(W0−W1)/W0}×1
00 W0:処理前の乾燥鉄パイプ重量 W1:処理後の乾燥鉄パイプ重量 実施例9 化合物Aの濃度を8重量%とした以外は、実施例8と全
く同じ操作を繰り返した。鉄パイプ重量減少率は、3.
7重量%であった。 実施例10 化合物Aの代わりに化合物Hを用いた以外は、実施例8
と全く同じ操作を繰り返した。鉄パイプ重量減少率は、
2.5重量%であった。 比較例4〜6 実施例8の化合物Aの代わりに、クエン酸、グリコール
酸およびポリアクリル酸ナトリウム(数平均分子量4,
000)をそれぞれ用いた以外は、実施例8と全く同じ
操作を繰り返し、鉄パイプ重量減少率を求めた。結果を
第4表に示す。
【0016】
【表4】
【0017】本発明のスケール防止剤をスケール除去を
目的として使用した場合、従来スケール除去剤として使
用されてきたクエン酸に比べてスケールの除去率が高
く、優れたスケール除去力を有するとされているグリコ
ール酸と同程度のスケール除去率を示すことから、本発
明のスケール防止剤はスケール除去剤としても優れた性
能を有することがわかる。また、スケール防止剤として
一般的に使用されているポリアクリル酸ナトリウムは、
スケール除去力は小さい。 実施例11 鋼板に対する腐食性を調べるために、以下に示す腐食試
験を行った。200mlビーカーに、化合物Aの5.0重
量%水溶液100gを入れた。この水溶液に、あらかじ
め重量を測定した60mm×45mm×1mmの脱脂した延伸
圧延鋼板を浸漬し、25℃で10日間放置した。その
後、流水およびビニールたわしで鋼板表面の腐食物を除
去し、乾燥後、ふたたび重量を測定し、次式にしたがっ
て腐食率を求めた。腐食率は1.2重量%であった。 腐食率(重量%)={(W0−Wc)/W0}×100 W0:浸漬前の鋼板の重量 Wc:浸漬後の鋼板の重量 実施例12 化合物Aの代わりに化合物Fを用いた以外は、実施例1
1と全く同じ操作を繰り返した。腐食率は0.4重量%
であった。 比較例7〜9 化合物Aの代わりに、クエン酸、グリコール酸およびポ
リアクリル酸ナトリウム(数平均分子量4,000)を
それぞれ用いた以外は、実施例11と全く同じ操作を繰
り返した。得られた腐食率の値を、第5表に示す。
【0018】
【表5】
【0019】本発明のスケール防止剤は、鋼板に対する
腐食性が弱いのに対して、スケール除去剤として使用さ
れているクエン酸およびグリコール酸は鋼板に対して強
い腐食性を示している。第3表、第4表および第5表の
結果を総合すると、本発明のスケール防止剤は優れたス
ケール防止効果を有するとともに、従来のスケール除去
剤と同程度のスケール除去力を兼ね備え、しかも鋼材に
対する腐食性が少ない。これに対して、従来よりスケー
ル防止剤として一般的に使用されているポリアクリル酸
ナトリウムは、スケール除去力が弱い。また、スケール
除去剤として使用されているクエン酸およびグリコール
酸は、スケール防止効果が弱い上に、鋼材に対して強い
腐食性を有している。
【0020】
【発明の効果】本発明のスケール防止剤は、カルシウ
ム、マグネシウムなどの金属イオンを捕捉し、水溶性と
する能力に優れ、かつすでに生成したスケールを溶解す
るので、スケールの防止にも除去にも優れた性能を示
す。また、金属腐食性が小さく、かつ、分子内にエステ
ル結合を有しないため耐加水分解性に優れ、高温での使
用にも適応できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畑中 利文 京都府京都市下京区中堂寺栗田町1 エル フ・アトケム・ジャパン株式会社内 (72)発明者 米倉 明季 京都府京都市下京区中堂寺栗田町1 エル フ・アトケム・ジャパン株式会社内 (72)発明者 河村 徹志 東京都中野区本町1−32−28−805

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式[1]または[2]で示され
    る化合物からなるスケール防止剤。 【化1】 (ただし、式中、R1およびR2は炭素数1〜30のアル
    キレン基であり、M1、M2、M3およびM4は水素原子、
    1価に相当する金属原子または無置換もしくは有機基置
    換アンモニウム基であり、M2、M3およびM4はたがい
    に同一であっても異なってもよい。)
JP19809895A 1995-07-11 1995-07-11 スケール防止剤 Pending JPH0924389A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19809895A JPH0924389A (ja) 1995-07-11 1995-07-11 スケール防止剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19809895A JPH0924389A (ja) 1995-07-11 1995-07-11 スケール防止剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0924389A true JPH0924389A (ja) 1997-01-28

Family

ID=16385467

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19809895A Pending JPH0924389A (ja) 1995-07-11 1995-07-11 スケール防止剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0924389A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102993071A (zh) * 2012-12-18 2013-03-27 常州大学 一步法合成缓蚀阻垢剂s-羧乙基硫代琥珀酸的方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102993071A (zh) * 2012-12-18 2013-03-27 常州大学 一步法合成缓蚀阻垢剂s-羧乙基硫代琥珀酸的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100317967B1 (ko) 산소소거제및보일러수처리용화학물질
US5776875A (en) Use of biodegradable polymers in preventing scale build-up
JP4298927B2 (ja) スケ−ル及び腐食抑制用組成物
JP4171329B2 (ja) スケール洗浄剤
US4163733A (en) Synergistic compositions for corrosion and scale control
JPS58177479A (ja) 水性システムの腐食および沈積抑制方法および組成物
JPH08103796A (ja) ポリ(アミノ酸)を用いて水性系においてスルフェートスケールを抑制する方法
JPH06254593A (ja) 多官能性のスケール阻止剤
JPH05214567A (ja) 腐食防止剤
ES2943022T3 (es) Método de eliminación de incrustación para instalaciones de generación de vapor
US4387027A (en) Control of iron induced fouling in water systems
US5183573A (en) Multipurpose scale preventer/remover
US6540923B2 (en) Oxygen scavenger
JPH05154497A (ja) 金属表面の腐食及びスケールを防止する方法
JPS6279899A (ja) 冷却水系の鉄汚れを除去する方法及び組成物
JP2002519512A (ja) シリカおよびシリケートの沈積の抑制
WO2000066809A1 (en) Inhibition of corrosion in aqueous systems
JPH0924389A (ja) スケール防止剤
JPS58214398A (ja) スケ−ル防止用組成物
JPS6124080B2 (ja)
JP2002536545A (ja) 洗浄剤組成物及びその使用
JP4019331B2 (ja) 水処理剤
JP4859158B2 (ja) 水処理組成物
EP1808428B1 (en) Descaling solutions comprising EDDH
JP2001048711A (ja) 冷却用水処理剤