JPH0924233A - 気体分離体、気体分離部材およびその製造方法 - Google Patents

気体分離体、気体分離部材およびその製造方法

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JPH0924233A
JPH0924233A JP17218395A JP17218395A JPH0924233A JP H0924233 A JPH0924233 A JP H0924233A JP 17218395 A JP17218395 A JP 17218395A JP 17218395 A JP17218395 A JP 17218395A JP H0924233 A JPH0924233 A JP H0924233A
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gas
substrate
pores
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dense
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JP17218395A
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English (en)
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Shinji Kawasaki
真司 川崎
Hirotake Yamada
裕丈 山田
Masahiko Namekawa
政彦 滑川
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NGK Insulators Ltd
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Publication date
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  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水素、酸素等の気体を分離するための気体分離
体であって、気体分離体の気体分離性能を制御できるよ
うにし、特に気体分離体の気体透過能力を向上させつ
つ、しかも特定の気体以外の原料側の気体が精製気体側
へと流入しないような高度の気密性を保持すること。 【解決手段】イオン伝導式気体分離装置の気体分離体2
が、多孔質の基体1と、基体1の気孔5を気密に充填し
ている緻密質マトリックス4とを備えている。この気体
分離体を製造するのに際して、基体1の一方の側1aに
第一の反応性ガスを供給し、基体1の他方の側1bに第
二の反応性ガスを供給し、基体1の気孔5内で各反応性
ガスを電気化学的プロセスによって反応させることによ
って、基体1の空隙内に緻密質マトリックス4を生成さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオン伝導式の気
体分離装置に使用するための気体分離体に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】多くの成分を含有する混合ガスから特定
のガス成分のみを得る方法として、有機または無機物質
からなるガス分離膜によって特定のガス成分のみを分離
する方法が知られている。こうした酸化分離膜として
は、オルガノポリシロキサン−ポリカーボネート共重合
膜、ゼオライトによるモレキュラーシーブ(分子ふる
い)膜が知られており、水素分離膜としては、ポリイミ
ド膜、ポリスルホン膜が知られている。
【0003】特願昭63−156516号公報によれ
ば、特定の混合導電体を混合焼結することによって、酸
化イオンの伝導に都合の良い粒界を増大させ、混合伝導
体の酸化イオン伝導率σを向上させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、こうした混合
焼結体においては、異種の粒子の粒界を増大させること
はできるが、この粒界は連続的には生成していないの
で、異種粒子の界面が、酸素イオン濃度の高い側から低
い側へと向かって連続しておらず、酸素イオン伝導率を
十分に向上させることができない。また、電化転移反応
の触媒として、危険な水銀や高価な白金、パラジウム等
を使用する必要がある。更にこれらの金属は、長期間使
用すると焼結を生じ、酸素がイオン化する場であるとこ
ろの、混合導電体−触媒金属−気相の3相界面が減少し
て酸素イオンの透過量が低下し易い。
【0005】本発明の課題は、水素、酸素等の気体を分
離するための気体分離体であって、気体分離体の気体分
離性能を制御できるようにし、特に気体分離体の気体透
過能力を向上させつつ、しかも特定の気体以外の原料側
の気体が精製気体側へと流入しないような高度の気密性
を保持できるようにすることである。また、長期間使用
しても劣化しないような気体分離体を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、イオン伝導式
気体分離装置の気体分離体であって、多孔質の基体と、
この基体の気孔を気密に充填している緻密質マトリック
スとを備えており、基体と緻密質マトリックスとの少な
くとも一方がイオン伝導性を備えており、基体と緻密質
マトリックスとの少なくとも一方が電子伝導性を備えて
いることを特徴とする、気体分離体に係るものである。
【0007】また、本発明は、上記の気体分離体からな
る気体分離部を備えていることを特徴とする、気体分離
部材に係るものである。更に、本発明に係る気体分離部
材の製造方法は、基体の一方の側に第一の反応性ガスを
供給し、基体の他方の側に第二の反応性ガスを供給し、
基体の気孔内で第一の反応性ガスと第二の反応性ガスと
を電気化学的プロセスによって反応させることによっ
て、基体の気孔内に緻密質マトリックスを生成させるこ
とを特徴とする。
【0008】本発明者は、新規な構造の気体分離体を提
供するべく、研究を行っていたが、この過程で、多孔質
基体自体の空隙ないし開気孔の内部に反応性ガスを流
し、多孔質基体の内部にランタンマンガナイト膜を蒸着
させることを検討した。そして、特に、第一の反応性ガ
スを多孔質基体の一方の側から供給し、第二の反応性ガ
スを多孔質基体の他方の側から供給してみた。この際、
最初には化学的気相成長(CVD)プロセスによって化
合物が生成するが、この段階では完全に緻密な充填物は
生成しない。なぜなら、CVD法においては上記の二種
類の反応性ガスが直接に接触することが必要であり、気
密な充填物が気孔内に形成されると、二種類の反応性ガ
スの通気が遮断され、両者の接触が不可能になるからで
ある。
【0009】しかし、本発明においては、上記のCVD
反応が終結し、ほぼ気密な充填物が生成すると、今度は
この充填物内を第一の反応性ガスが透過し、この透過し
た反応性ガスが電気化学的気相反応プロセスによって第
二の反応性ガスと反応し、更に連続的に充填物を生成す
る。この過程で、気孔内の充填物の気密性が確保され
る。
【0010】このように、本発明の気体分離体によれ
ば、多孔質基体自体の内部の気孔を充填しており、しか
も電気化学的プロセスを採用したことから、気体分離膜
の場合とは異なり、気体分離体における、特定のガス成
分以外のガスへの気密性は完全に保持されている。この
ように多孔質基体自体を気体分離体として使用すること
によって、気密性を完全に保持した上で、特定の気体の
透過性能を制御することができる。特に、気体分離膜を
多孔質基体の表面に形成した場合には、気体分離膜を薄
くすることによって特定の気体の透過性能を向上させる
ことは困難であったが、本発明では、充填物を薄くする
ことによって、原料気体の透過は防止しつつ、特定の気
体の透過性能を向上させることができる。
【0011】そして、多孔質基体と緻密質マトリックス
との異種材料の界面が、酸素イオン濃度の高い側から低
い側へと向かって、直線的に、連続的に形成されるの
で、酸素イオン伝導率σO2 - が非常に大きくなる。ま
た、電化転移反応の活性化エネルギーを減少させる目的
で貴金属触媒を使用していないので、この「O2 +4e
←→2O2 - 」という電化転移反応の場である、多孔質
基体−緻密質マトリックス−気相の三相界面が、長期間
の使用時にも劣化しない。
【0012】更に,本発明の製造方法によれば、次の利
点がある。即ち、本発明の製造方法において、前記した
CVD反応、EVD反応を制御するためには、第一の反
応性ガスと第二の反応性ガスとの間の圧力差を測定し、
この圧力差に応じて双方の反応性ガスの供給量を制御す
る。
【0013】しかし、EVD反応の過程において、何ら
かの原因で多孔質内の緻密質マトリックスに亀裂や破壊
が発生した場合には、第一の反応性ガスの側と第二の反
応性ガスとの側との圧力差が急激に変化する。従って、
この圧力差から、製品の気密性を正確に検査することが
でき、別に検査工程を設ける必要がない。また、このよ
うな異常な圧力差が発生した場合には、EVD反応より
もCVD反応の方が優先的に進行するため、このCVD
反応によって気孔内の膜の不良箇所に更に膜を生成させ
ることができるので、こうした成膜工程における歩留り
はきわめて大きい。
【0014】また、前記の膜形成工程を、電気的化学気
相成長装置内で実施した後に、これを同じ装置内におい
て、気体分離体の一方の側に、特定の気体を含有する気
体を供給することによって、気体分離体の他方の側にお
ける特定の気体の分離速度と不純物気体のリークの測定
を行うことができる。
【0015】また、第一の反応性ガスおよび第二の反応
性ガス中の各反応成分の各濃度および各流量を制御する
ことによって、膜の形成速度を自由に制御することがで
き、特に緻密質マトリックスからなる膜の厚さを十分に
小さくすることができる。
【0016】
【発明実施の形態】本発明において、基体の表面に緻密
質マトリックスからなる緻密質膜を形成することができ
る。このためには、基体の気孔内に緻密質マトリックス
を生成させて気体分離体からなる分離部を形成した後
に、基体の他方の側の表面に、緻密質マトリックスの材
質からなる緻密質膜を形成することができる。
【0017】また、緻密質マトリックスが気孔内に充填
されている気体分離部を気体分離部材の内部に形成する
と共に、この気体分離部の両側に、緻密質マトリックス
が充填されていない多孔部を形成することができる。
【0018】このように、気体分離部、即ち緻密質マト
リックスが充填されている部分を、基体の内部の領域の
みに形成し、その両側を多孔質のままで保持することに
よって、構造上、気体分離部の幅を、基体の全体の幅よ
りも、顕著に小さくすることができる。これは、基体の
幅を大きくしてその強度を大きくするのと同時に、緻密
質マトリックスが形成された気体分離部の幅を小さく
し、その気体透過性能を向上させることができる。
【0019】本発明において、緻密質マトリックスは、
好ましくはセラミックスである。また、多孔質基体は、
好ましくはセラミックスまたは金属である。
【0020】本発明において、緻密質マトリックスとし
て、イオン伝導性と電子伝導性とを備えている材質を採
用することができる。こうした材質としては、ストロン
チウム、カルシウムを添加したランタンコバルタイト、
ランタンマンガナイトを例示することができる。
【0021】この材質の一般式を、次に示す。La1-x
x BO3 (Aは、カルシウムおよびストロンチウムか
らなる群より選ばれた一種以上の金属元素であり、B
は、マンガン、コバルト、鉄およびニッケルからなる群
より選ばれた一種以上の金属元素であり、xは0〜0.
5である)。
【0022】この場合には、多孔質基体としては、イオ
ン伝導性および電子伝導性を備えていない材質を使用す
ることができる。こうした材質としては、アルミナ、シ
リカ、シリカ−アルミナ、ムライト、コージェライト、
カーボン、多孔質ガラスを例示できる。しかし、この場
合に、多孔質の基体の方を、イオン伝導性または電子伝
導性を有する材質とすることもできる。
【0023】また、本発明においては、基体を電子伝導
性の材質によって形成し、緻密質マトリックスを、イオ
ン伝導性を備えている材質によって形成することができ
る。このように、本発明者は、イオン伝導式の気体分離
装置において、イオン伝導性と電子の伝導性とを、別の
材質に対して保持させることで、新規な気体分離体を作
製することができた。
【0024】また、これと同様に、基体をイオン伝導性
の材質によって形成し、緻密質マトリックスを電子伝導
性の材質によって形成することで、新規な気体分離体を
作製することができた。
【0025】こうしたイオン伝導性の材質としては、ス
トロンチウム、カルシウムを添加したランタンコバルタ
イト、ランタンマンガナイト、ガリウム酸ランタン、ス
カンジウム酸ランタン、インジウム酸ランタン等のペロ
ブスカイト酸化物、イットリア、スカンジア等で安定化
したジルコニアの他に、公知の酸素イオン伝導体を使用
することができる。前記のペロブスカイト化合物の一般
式は、次の通りである。
【0026】La1-x x BO3 (Aは、カルシウムお
よびストロンチウムからなる群より選ばれた一種以上の
金属元素であり、Bは、マンガン、コバルト、鉄、ニッ
ケル、ガリウム、スカンジウムおよびインジウムからな
る群より選ばれた一種以上の金属元素であり、xは0〜
0.5である)。
【0027】また、こうした電子伝導性の材質として
は、各種の金属または合金の他、電子伝導性のセラミッ
クスを使用することができる。
【0028】また、本発明の製造方法においては、1つ
の製造プロセスで、複数の気体分離体を同時に製造し、
検査することができる。即ち、複数の基体を気体隔離部
材に対して取り付け、各基体の一方の側の表面が気体隔
離部材の一方の側に面し、各基体の他方の側の表面が気
体隔離部材の他方の側に面するように配置する。即ち、
複数の基体をモジュール化することができる。この場合
には、基体の一方の側に第一の反応性ガスを供給し、基
体の他方の側に第二の反応性ガスを供給することによっ
て、各基体の気孔内に緻密質マトリックスを同時に生成
させる。
【0029】基体の気孔率は、20〜70%とすること
が好ましい。これが20%未満であると、緻密質マトリ
ックスを形成することが困難であり、これが70%を越
えると、基体自体の気体分離体に対する寄与が乏しくな
り、またやはり気体分離体の形成が困難になる。こうし
た観点から、25〜60%とすることが更に好ましい。
【0030】また、気体分離体の孔径は、0.05μm
〜10μmとすることが好ましい。これが0.05μm
未満であると、緻密質マトリックスを形成することが困
難であり、これが10μmを越えると、基体自体の気体
分離体に対する寄与が乏しくなり、またやはり気体分離
体の形成が困難になる。
【0031】以下、随時図面を参照しつつ、本発明を更
に詳細に説明する。図1(a)は、平板形状の基体1を
示す断面図である。この基体1に対して、例えば後述す
るような気相成長装置を使用することによって、所定の
反応ガスを供給する。例えば、基体1の一方の側の表面
1aに向かって、矢印Aのように第一の反応性ガスを供
給し、基体1の他方の側の表面1bに向かって、第二の
反応性ガスを矢印Bのように供給する。
【0032】そして、本実施例では、基体1の気孔内に
緻密質マトリックスを生成させる。この結果、図1
(b)に示すように、基体の気孔の内部に緻密質マトリ
ックスが充填された気体分離体からなる気体分離部材2
を製造できる。本実施例では、更に、気体分離部材2の
他方の表面2b上でも電気化学的反応を進行させ、緻密
質膜3を形成する。気体分離部材2の一方の表面2a上
には、このような緻密質膜は形成されない。この気体分
離部材2の内部においては、図1(c)に模式的断面図
として示すように、気体分離体の組織6において、基体
1の気孔5の内部に、緻密質マトリックス4が充填さ
れ、一体化されている。
【0033】また、本発明においては、次に示すような
製造方法を採用し、基体の気孔内に緻密質マトリックス
を生成させることができる。本例では、基体1の一方の
表面1aから他方の表面1bへと向かって、順次にマト
リックスが生成する。ここで、マトリックスを生成させ
るためのガスの供給を途中で停止すると、図2(a)に
示すように、気体分離部材7の表面7a側には気体分離
部8が生成するが、表面7b側には、多孔質焼結体から
なる多孔部9が残留する。
【0034】こうした製造方法によって、気体分離部8
と、多孔質焼結体からなる多孔部9との積層品である気
体分離部材7を製造することができる。
【0035】また、次に示す製造方法を採用することが
できる。即ち、基体の気孔内に緻密質マトリックスを生
成させる際に、マトリックスを生成させるための原料で
ある金属化合物のガスの圧力を、酸化性ガスの圧力より
も大きくし、この圧力差によって金属化合物のガスを基
体内に流通させる。この際、この圧力差を低く設定する
と、金属化合物のガスは、基体1の一方の表面1aまで
はほとんど到達せず、基体1の中、例えば中央部までし
か到達しないことになる。この結果、表面1a側ではマ
トリックスの生成反応が起こらず、基体1の中央部から
他方の表面1b側へと向かって順次マトリックス生成反
応が進行することになる。
【0036】この結果、図2(b)に示すように、平板
形状の気体分離部材10において、その一方の表面10
a上には緻密質膜は存在しておらず、表面10a側の方
から気体分離部材10の中央部へと向かって、多孔質焼
結体からなる多孔部11が残留する。また、気体分離部
材10の中央部から他方の表面10bへと向かって、本
発明の複合材料からなる気体分離部23が生成し、更に
他方の表面10b上には緻密質膜3が生成する。
【0037】また、次に示す製造方法を採用することが
できる。即ち、基体の気孔内に緻密質マトリックスを生
成させる際に、金属化合物のガスの圧力を、酸化性ガス
の圧力よりも大きくし、この圧力差によって金属化合物
のガスを多孔質焼結体内に流通させる。この際、この圧
力差を低く設定すると、金属化合物のガスは、基体1の
一方の表面1aまではほとんど到達しない。そして、こ
のマトリックスの生成が、他方の表面1bまでは到達し
ないうちに、反応性ガスの供給を停止する。
【0038】この結果、図2(c)に示すように、平板
形状の気体分離部材24において、その一方の表面24
aの近傍には、多孔質焼結体からなる多孔部25が残留
する。そして、他方の表面24bの近傍にも、多孔質焼
結体からなる多孔部27が残留する。これらの各多孔部
25と27との間に、本発明の気体分離体からなる気体
分離部26が生成する。
【0039】上記の例では平板形状の基体を使用した
が、むろん、基体の形状には何ら限定はなく、例えば円
筒形状、断面が四角形の筒状等、種々の形状の基体を使
用することができる。
【0040】図3は、本発明の気体分離体を製造するた
めの電気化学的気相成長装置の一例を示す模式図であ
る。真空チャンバー15内には、円筒形状の発熱体13
と、支持台16とが設置されている。有底円筒形状の基
体14の端面14dを、支持台16上に設置し、基体1
4を発熱体13の内側に設置する。基体14の有底部1
4cを上向きにする。
【0041】配管18、19は、それぞれ図示しない真
空ポンプに対して連結されており、この真空ポンプを作
動させることによって、矢印E、Fのように真空チャン
バー15内の空気を吸引し、この中の圧力を減少させる
ことができる。この際、配管18と19との間の配管2
0に弁21を設け、この弁21と弁46、47とを調節
することによって、基体14の内側空間31および支持
台16の内側16aの圧力が、基体14および支持台1
6の外側の圧力よりも、高くなるようにする。
【0042】次いで、キャリアーガスを配管17に矢印
Dのように流す。第一の反応性ガスを、配管12を通し
て、矢印Cのように供給し、基体14の外側へと流す
る。発熱体13を発熱させ、基体14を所定温度に加熱
する。
【0043】配管17に流しているキャリアーガスに対
して、所定の組成比率となるように原料ガスを混合し、
第二の反応性ガスを流す。
【0044】この結果、第一の反応性ガスが、基体14
の一方の表面14aから気体内部へと進入し、基体14
の内部で第二の反応性ガスと直接に化学的気相成長反応
し、上記の緻密質マトリックスを生成する。
【0045】この化学的気相成長反応の進行によって、
基体14内の気孔が一応閉塞すると、今度は気孔内部の
反応物の中をイオン状の気体が透過し、電気化学的気相
成長反応によって緻密質マトリックスの生成が進行す
る。ただし、CVD反応の進行に伴って、多孔質基体の
内部の気孔が閉塞する過程で、基体14の内側と外側と
の圧力差が大きくなる。そこで、弁21、46、47を
調節することによって、この圧力差を適切に保持する。
【0046】また、何らかの理由で気孔内の膜に亀裂、
破壊等が発生した場合には、基体14の内側と外側との
圧力差が急激に変動するので、この成膜工程で、同時に
気孔内のマトリックスの気密性の試験も行うことができ
る。また、この圧力差を適切に制御すれば、マトリック
スのうち破壊や亀裂が発生した部分で、マトリックスが
優先的に生成する。従って、この亀裂ないし破壊部分
も、本製造プロセスの中で修復することができる。
【0047】このようにして得られる気体分離部材の一
例を、図4に概略的に示す。気体分離部材29において
は、本発明に従って、基体の気孔内に緻密質マトリック
スが充填されている。この気体分離部材29の形状は、
多孔質基体14の形状と同じであり、即ち、気体分離部
材29の一端に有底部29cが設けられており、他端側
の端面29d側に開口が設けられている。
【0048】気体分離部材29の他方の側の表面29b
には緻密質膜30が形成されており、一方の側の表面2
9aには緻密質膜は生成していない。
【0049】また、上記の図3を参照しつつ説明した製
造方法において、管状の基体14の内側に第一の反応性
ガスを供給し、基体14の外側に第二の反応性ガスを供
給し、基体14の外側の圧力を内側の圧力よりも低くす
ることによって、電気化学的気相成長プロセスを実施
し、緻密質マトリックスを生成することができる。この
場合には、基体14の外側の表面に緻密質膜を形成する
ことができる。
【0050】また、上記のような形状の基体14を使用
し、図5に示すような気体分離部材を製造することもで
きる。この気体分離部材32においては、有底円筒形状
の気体分離部材32の一方の表面32a側に、多孔質焼
結体からなる多孔部34が残留しており、他方の表面3
2b側にも、多孔質焼結体からなる多孔部38が残留し
ている。これらの各多孔部34と38との間に、本発明
の気体分離体ないし複合材料からなる気体分離部33が
生成している。32cは気体分離部材32の有底部であ
り、32dは気体分離部材32の端面である。
【0051】また、図3に示す装置内で、複数本の基体
14を同時に処理することができる。即ち、図6に示す
ようにして、複数の基体14を気体隔離部材35に対し
て取り付ける。この際、気体隔離部材35は、例えば平
板形状であり、気体隔離部材35には貫通孔35aが所
定箇所に形成されており、各基体14を各貫通孔35a
に対して取り付ける。各基体14の一方の側の表面14
aがこの気体隔離部材35の一方の側50に面し、各基
体14の他方の側の表面14bが、気体隔離部材35の
他方の側51に面するように配置する。基体14の一方
の側に第一の反応性ガスを供給し、基体14の他方の側
に第二の反応性ガスを供給することによって、各基体1
4の空隙ないし気孔内に緻密質マトリックスを生成させ
る。
【0052】この結果、図6に示すような、モジュール
形態の気体分離部材の組み立て体36が得られる。即
ち、気体隔離部材35の各貫通孔35a内に、例えば、
図5に示すような形態の気体分離部材32の端面32d
側の末端が挿入され、固定されている。この気体分離部
材32と気体隔離部材35との接触部分は、気密にシー
ルする必要がある。このようにすれば、複数本の気体分
離部材32を、同じ製造装置内で同じ製造プロセスによ
って、同時に製造することができる。
【0053】以下、更に具体的な実験結果について説明
する。図3〜図5を参照しつつ説明してきたような製造
方法によって、図5に示すような気体分離部材32を製
造した。
【0054】ただし、多孔質基体14としては安定化ジ
ルコニアを使用した。真空ポンプを作動させることによ
って、矢印E、Fのように真空チャンバー15内の空気
を吸引し、この中の圧力を0.05mmHgまで減圧し
た。この際、弁21、弁46、47を調節することによ
って、基体14の内側および支持台16の内側16aの
圧力が、基体14および支持台16の外側の圧力より
も、低くなるようにした。
【0055】次いで、アルゴンガスを配管17に矢印D
のように流した。水40%、酸素20%およびアルゴン
40%からなる第一の反応性ガスを、その酸素分圧を監
視しながら、配管12を通して、矢印Cのように供給し
た。発熱体13を発熱させ、基体14を1400℃に加
熱した。この状態で、基体14の内側と外側との圧力差
は、0.01〜5mmHgであった。
【0056】配管17に流しているアルゴンガス(流量
約200cm3 /分)に対してハロゲン化物蒸気を、
1.05g/分のLaBr3 、0.76g/分のCoB
2 および0.15g/分のCaBr2 の流量で混合
し、第二の反応性ガスとした。この結果、第一の反応性
ガス(酸化性ガス)が、基体14の一方の表面14aか
ら基体の気孔内に侵入し、基体14の内部で金属ハロゲ
ン化物のガスと直接に化学的気相成長反応し、緻密質マ
トリックスを生成した。
【0057】この化学的気相成長反応の進行によって、
基体14内の気孔が一応閉塞すると、今度は気孔内部の
反応物の中、多孔質気体を形成する安定化ジルコニアの
中およびそれらの界面を酸素イオンが透過し、電気化学
的気相成長反応によって緻密質マトリックスの生成が進
行した。この結果、基体14内の気孔が閉塞した。ここ
で、上記の各反応性ガスの圧力差を調整することによっ
て、基体14の両側に、緻密質マトリックスが気孔内に
充填されていない多孔部を残留させた。このようにして
実施例の気体分離部材32を製造した。
【0058】また、前記したアルミナ製の基体14を使
用し、この基体14の表面にLa0.8 Ca0.2 CoO3
からなる緻密質膜を、プラズマ溶射法によって生成さ
せ、比較例の気体分離部材を作製した。この厚さは10
0μmとした。
【0059】上記した各気体分離部材について、混合ガ
スからの酸素の分離能力を測定した。まず、上記した各
気体分離部材を、図7に概略的に示す気体分離装置に設
置した。前記した各気体分離部材から有底部を取り除い
て試料38を得た。試料38をチャンバー39内に設置
した。この際、Oリング42によって試料38の端部を
気密にシールした。チャンバー39を800℃に加熱し
た。酸素50容量%および窒素50容量%からなる混合
ガスを、供給管41から矢印Iのようにチャンバー39
内に供給し、チャンバー39の内側と試料38の外側と
の間に流し、排出管44から矢印Hのように排出した。
この混合ガスの圧力は、1kg/cm2 とした。また、
この混合ガスの供給速度は、1分間当たり2Nリットル
とした。
【0060】試料38の内側に、供給管37から矢印G
のように、圧力0.1kg/cm2 のアルゴンガスを使
用し、これを1分間当たり0.1Nリットル供給した。
精製ガスを、排出管43から矢印Jのように排出させ、
得られた精製ガスをガスクロマトグラフィーによって定
量分析し、酸素の透過速度および精製ガス中の酸素の純
度を調べた。この結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】以上の結果からわかるように、本発明によ
って得た気体分離体を使用すれば、きわめて高い純度
で、かつ高い透過速度および分離効率で、酸素を分離
し、精製することができた。この分離効率および純度
は、優れた特性を有する比較例1の気体分離部材より
も、更に一層優れたものであった。
【0063】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、気
体分離体の気体透過能力を向上させつつ、しかも特定の
気体以外の原料側の気体が精製気体側へと流入しないよ
うな高度の気密性を保持することができる。また、気体
分離部材を長期間使用しても、気体分離性能に劣化が生
じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、平板形状の基体1を示す正面図であ
り、(b)は、基体1の気孔内に緻密質マトリックスを
充填することによって得られた気体分離部材2を示す正
面図であり、(c)は、気体分離体の内部の微細構造を
模式的に示す断面図である。
【図2】(a)は、本発明の他の実施例に係る気体分離
部材7を示す断面図であり、(b)は、本発明の更に他
の実施例に係る気体分離部材10を示す断面図であり、
(c)は、本発明の更に他の実施例に係る気体分離部材
24を示す断面図である。
【図3】本発明の気体分離体を製造するための電気化学
的気相反応装置の一例を示す模式図である。
【図4】本発明に係る気体分離部材であって、有底円筒
形状の基体を使用して製造した気体分離部材29を示す
断面図である。
【図5】本発明に係る気体分離部材であって、有底円筒
形状の基体を使用して製造した気体分離部材32を示す
断面図である。
【図6】気体隔離部材35に対して複数の基体14を固
定することによって製造した、モジュール化された気体
分離部材32の組み立て体を示す断面図である。
【図7】気体分離体の気体分離性能および気体の透過性
能を測定するための測定装置を概略的に示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1、14 基体 1a、14a 基体の一方の側の表
面 1b、14b 基体の他方の側の表面 2、
7、10、24 平板形状の気体分離部材 3 緻密
質膜 4 緻密質マトリックス 5 基体の気孔
8、23、26、33 緻密質マトリックスが気孔内
に形成された気体分離部 9、11、25、27、34、38 緻密質マトリック
スが気孔内に形成されていない多孔部 15 真空チ
ャンバー 29、32 有底円筒形状の気体分離部材
35 気体隔離部材 A、C、第一の反応性ガス
の供給方向 B、D 第二の反応性ガスの供給方向

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン伝導式気体分離装置の気体分離体で
    あって、多孔質の基体と、この基体の気孔を気密に充填
    している緻密質マトリックスとを備えており、前記基体
    と前記緻密質マトリックスとの少なくとも一方がイオン
    伝導性を備えており、前記基体と前記緻密質マトリック
    スとの少なくとも一方が電子伝導性を備えていることを
    特徴とする、気体分離体。
  2. 【請求項2】前記基体が少なくとも電子伝導性を備えて
    おり、前記緻密質マトリックスが少なくともイオン伝導
    性を備えていることを特徴とする、請求項1記載の気体
    分離体。
  3. 【請求項3】前記基体が少なくともイオン伝導性を備え
    ており、前記緻密質マトリックスが少なくとも電子伝導
    性を備えていることを特徴とする、請求項1記載の気体
    分離体。
  4. 【請求項4】前記緻密質マトリックスがイオン伝導性と
    電子伝導性とを備えていることを特徴とする、請求項1
    記載の気体分離体。
  5. 【請求項5】請求項1記載の気体分離体からなる気体分
    離部を備えていることを特徴とする、気体分離部材。
  6. 【請求項6】前記基体の表面に前記緻密質マトリックス
    からなる緻密質膜が形成されていることを特徴とする、
    請求項5記載の気体分離部材。
  7. 【請求項7】前記基体において前記気体分離部の両側
    に、前記緻密質マトリックスが充填されていない多孔部
    が形成されていることを特徴とする、請求項5または6
    記載の気体分離部材。
  8. 【請求項8】請求項5記載の気体分離部材を製造するの
    に際して、前記基体の一方の側に第一の反応性ガスを供
    給し、前記基体の他方の側に第二の反応性ガスを供給
    し、前記基体の気孔内で前記第一の反応性ガスと前記第
    二の反応性ガスとを電気化学的プロセスによって反応さ
    せることによってこの基体の気孔内に前記緻密質マトリ
    ックスを生成させることを特徴とする、気体分離部材の
    製造方法。
  9. 【請求項9】前記基体の一方の側に前記第一の反応性ガ
    スを供給し、前記基体の他方の側に前記第二の反応性ガ
    スを供給し、前記基体の気孔内に前記緻密質マトリック
    スを生成させた後に、前記基体の前記他方の側の表面に
    前記緻密質マトリックスの材質からなる緻密質膜を形成
    することを特徴とする、請求項8記載の気体分離部材の
    製造方法。
  10. 【請求項10】複数の前記基体を気体隔離部材に対して
    取り付け、各基体の一方の側の表面がこの気体隔離部材
    の一方の側に面し、各基体の他方の側の表面が前記気体
    隔離部材の他方の側に面するように配置し、前記基体の
    一方の側に前記第一の反応性ガスを供給し、前記基体の
    他方の側に前記第二の反応性ガスを供給することによっ
    て前記の各基体の気孔内に前記緻密質マトリックスを生
    成させることを特徴とする、請求項8または9記載の気
    体分離部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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