JPH09241767A - 超耐熱合金の消耗電極式再溶解法 - Google Patents

超耐熱合金の消耗電極式再溶解法

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JPH09241767A
JPH09241767A JP8051403A JP5140396A JPH09241767A JP H09241767 A JPH09241767 A JP H09241767A JP 8051403 A JP8051403 A JP 8051403A JP 5140396 A JP5140396 A JP 5140396A JP H09241767 A JPH09241767 A JP H09241767A
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靖久 恩田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異常組織の無い鋳塊を安定して製造し得る超
耐熱合金の消耗電極式再溶解法を提供する。 【解決手段】 超耐熱合金の消耗電極式再溶解法におい
て、予め消耗電極を均熱処理を行なった後に再溶解する
超耐熱合金の消耗電極式再溶解法である。また、上記の
消耗電極を予め均熱処理すると有効な溶解法は、真空ア
ーク再溶解、エレクトロスラグ再溶解、プラズマアーク
再溶解などに有効である。また、この再溶解に適した超
耐熱合金は、NbとTiの1種または2種の和が2.0mass%以
上である合金が望ましく、さらに望ましくは、NbとTiの
1種または2種を含有し、かつNiを15mass%以上含有す
る合金である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超耐熱合金の製造
に使用される消耗電極式再溶解法の改良に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】消耗電極式再溶解法は、積層凝固するこ
とにより偏析や内部欠陥などが少なく、均一な組織の健
全な鋳塊を得ることができ、またそれぞれの溶解原理上
にしたがって、非金属介在物やSなどの不純物の除去、
あるいは脱ガスなどができるなどの品質改善効果を有す
る。例えば、真空アーク再溶解法(以下、VARと記す)
の場合は、徹底した真空精錬と積層凝固を、エレクトロ
スラグ再溶解法(以下、ESRと記す)の場合は、スラグ
精錬と積層凝固を特徴としており、いずれも鋳塊の品質
と信頼性を高める為の優れたプロセスであり、航空機用
部品材料、原子力プラント用材料などをはじめとして、
過酷な条件下で使用される高品質で、十分な信頼性が要
求される材料の製造に広く供されている。
【0003】また、プラズマを熱源として、上記と同様
の消耗電極を使用するプラズマアーク再溶解法も知られ
ている。これらの消耗電極式再溶解法に共通して言える
ことは、上記のような特徴を十分に発揮させる為には、
消耗電極を製造する一次溶解の選定が重要となるだけで
なく、二次溶解である再溶解法の選定と、再溶解が安定
した最適条件で行なわれることが重要である。一方、再
溶解中に溶解の変動が発生すると、得られた鋳塊には種
々の欠陥が生じる。例えば、溶解電圧・電流、溶解の速
度などの変動に起因して、凝固形態の不連続や偏析が発
生することがある。VARやESR鋳塊のフレックル偏
析、中心偏析、リングパターンやVAR鋳塊のホワイト
スポットなどがよく知られている。
【0004】再溶解の際の溶解の変動の原因には種々の
要因があるが、そのほとんどは消耗電極に関る欠陥もし
くは消耗電極自体の内質に起因している。例えば、再溶
解中の消耗電極の割れや欠落、消耗電極中に存在するひ
け巣やパイプ、消耗電極の径の不均一や消耗電極中に存
在する巨大な非金属介在物(スラグ噛み込み)などが挙げ
られる。この他、再溶解で発生する欠陥には、材料の化
学成分に大きく依存する傾向があり、特に超耐熱合金の
ような高合金鋼においては、溶解中の消耗電極の割れの
発生が著しく多い。VAR,ESRを例にとると、前述
のごとくその特徴を十分に発揮させる為には、再溶解中
の消耗電極先端の位置を精密に制御して、溶解電圧・電
流、溶解速度を安定させることが必要である。ここで、
溶解中に消耗電極の割れが発生すると、割れ部が落下し
ない場合であっても、割れが電気や熱の抵抗となる他、
消耗電極の高精度な位置制御が不可能となり、溶解電圧
・電流、溶解速度が変動する結果として、欠陥を内在し
た鋳塊が出来上がる。
【0005】例えば、文献1(K.O.Yuら、Journal of
Metals Jan.(1986)p.40-50)にも開示されているよう
に、VARで製造された鋳塊には、時に前述のホワイト
スポットと呼ばれる異常組織が見られる。この現象は、
特にNbを含有するNi系の超耐熱合金のVAR鋳塊で多く
散見される。この欠陥部はNbが欠乏している為に、塩化
第2鉄水溶液のようなNbに敏感な腐食液を用いたマクロ
組織出現試験法で観察すると、白色系の光沢を伴った斑
点状欠陥として認められる為にこの名称で呼ばれてい
る。この欠陥はマトリックスに比べ強度が低いため、信
頼性が要求される再溶解品に存在することは品質上問題
となる。この異常組織はASM Internationalのwhite
spot分科会により次の3種類に分類され、それぞれの生
成する原因を図1に基づいて以下のように説明されてい
る(文献2:L.A.Jackman,G.E.Maurer,S.Widge;Advance
d Materials & Processes,No.5(1993),p.18)。
【0006】(1)discrete white spot VAR鋳塊の溶鋼プール4の直上にあるモールド壁2に
沿って形成されたクラウン領域6、溶鋼プール4表面周
辺に形成されたシェルフ領域7または消耗電極1先端周
囲に氷柱状に形成されたトーラス9の小片が溶鋼プール
4に落下しマッシー・ゾーン5に達して完全に溶解しな
いまま鋳塊中に残留したもの。 (2)dendritic white spot 消耗電極1中のデンドライド8の一部が未溶解のままV
AR鋳塊頭部に形成された溶鋼プールに落下し、完全に
溶解しないうちに鋳塊中に残留したもの。 (3)solidification white spot 凝固速度の局部的な現象によりマッシー・ゾーン5内で
デンドライトの粗大化が起こり、樹間溶液が掃き出され
ることによると考えられているもの。上記3種類のホワ
イト・スポットのうち(1)のディトクリート・ホワイトス
ポットのシェルフに起因するものは、大型の非金属介在
物を伴うことが多く、最も有害であると考えられてい
る。
【0007】これに対し、本発明者の内の一人は特開平
7-3350号において、消耗電極の横断面積Aeとモールド
内部の横断面積Aiの比Ae/Aiを0.75以上にするこ
とによって、アークによる熱供給が溶鋼プール周辺に行
き渡るようになる結果、シェルフの発達が抑制され、こ
の型のホワイト・スポットを防止する上で多大な効果が
得られることを提案している。しかしながら、この方法
は安定な溶解を前提としているのであって、消耗電極が
溶解中に割れることにより溶解電圧・電流、溶解速度が
変動するような極めて不安定な状況にあっては、入熱不
足により、シェルフが局部的に成長し、上述の方法をも
ってしてもホワイトスポットが認められることがある。
【0008】以上はVARにおいて消耗電極の割れによ
り溶解電圧・電流、溶解速度が変動しホワイトスポット
が誘発されることによる不具合について示したものだ
が、消耗電極が割れることによりその破片が鋳塊中に直
接混入することもある。ESRではVARに比べてスラ
グの存在により同一溶解速度下での溶鋼プールが深く熱
容量も大きいが、この場合の破片は大型であり、ESR
であっても完全に溶解しないまま鋳塊中に残留すること
が多く、時にはスラグを巻き込んだ状態となることがあ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述の通り、再溶解プ
ロセス中に、消耗電極の割れに起因する不安定溶解によ
る異常組織や消耗電極小片そのものが、未溶解のまま鋳
塊中に残留した異常組織を安価で、効率の良い方法で防
止する必要があった。これらの欠陥は、割れ、巨大非金
属介在物、ポロシティなどの欠陥を伴う場合には、鋳塊
の鍛造または圧延後の超音波探傷試験において検出し得
るか、さもなくば、鍛造または圧延後の横断試験片のマ
クロ組織出現試験法において稀に検出される程度であ
り、品質管理上、非常に大きな問題点を宿しているだけ
でなく、仮に検出された場合であっても、その部分は廃
却される為に製造歩留を悪化させ、生産コストの大幅な
コストアップを招くものである。また著しい場合には、
鍛造等の熱間加工時の割れ、疵により製品の製造そのも
のが不可能になることさえある。したがって、本発明は
上記従来技術の問題点を克服して、異常組織の無い鋳塊
を安定して製造し得る超耐熱合金の消耗電極式再溶解法
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らの観察によれ
ば、VARやESRの操業においては、時に操業途中で
消耗電極の先端が割れる事態が生じることがある。この
現象は、その際に生じる破裂音によっても確認される
が、例えば、図2に示すような操業中の溶解電圧をモニ
ターしたチャート上にも局所的かつ剪断的な電圧低下と
して現れ、このような兆候が発生した操業で出来た鋳塊
には、VAR鋳塊の場合はホワイトスポットやフレック
ル等の偏析、ESR鋳塊の場合はフレックル等の偏析ま
たはスラグの巻込みを伴った未溶解電極の混入が認めら
れる。本発明者等は、再溶解中のこれらの破裂音や異常
な電圧低下の原因について調査した。
【0011】すなわち、Inconel718,A286およびV57(こ
れらはいずれも商品名である)といった超耐熱合金のV
AR操業中における前述の消耗電極が割れるという兆候
が現れた時に、操業を中断して、消耗電極先端から鋳塊
長手方向に平行に試験片を切り出し、マクロ組織出現法
により調査したところ、結晶粒界に沿って多くの割れが
観察された。さらにこの割れ部を研磨して光学顕微鏡で
観察した結果、結晶粒界に金属間化合物が見られ、この
析出物に沿って割れが進行していることが確認された。
この金属間化合物をEPMA(X線微小分析装置)で分析
したところ、Inconel718の場合、Ni,Nb,Fe,Cr,Mo,
Ti,Si,Cなどが観察されたが、さらに金属間化合物を
電解研磨後、X線回折試験を行った結果、これらはLave
s相[(Fe,Mo)2Nb],MC型炭化物[NbC],M7C3型炭化物[(C
r,Fe)7C3]などであり、TiやSiはこれらに固溶している
ことがわかったが、中でもLaves相が最も優勢であっ
た。
【0012】一方、A286やV57においても同様の観察を
行ったところ、この場合には、粒界には、TiCやLaves相
[Fe2Ti]が認められた。これらのうち金属間化合物は非
常に脆いものであり、特にLaves相の析出は超耐熱合金
の製造性を著しく害するものである。以上により、VA
RやESRの消耗電極が、これらの再溶解中に割れる機
構は、消耗電極鋳造時に結晶粒界に析出、または晶出し
たLaves相などの金属間化合物が、VAR操業中の消耗
電極先端の非常に大きな温度勾配下で過大な熱応力を受
けた為に割れ、それが結晶粒界に伝播して大きな割れに
至ったものと考えられる。また、ESRにおける同様の
現象もVARと同様のメカニズムによって消耗電極の割
れが発生した結果、欠陥が生じるものと考えられる。
【0013】したがって、消耗電極鋳造時に生じるこれ
らの金属間化合物を何らかの手段で解消、または無害化
出来れば、VAR、ESRあるいはプラズマアーク再溶
解時の消耗電極の割れに起因する異常組織を防止出来る
ことは明らかである。そこで、超耐熱合金の消耗電極を
製造する時に晶出する金属間化合物の影響度と無害化条
件について検討した。その結果、Inconel718合金に認め
られるNbを含有するLaves相はTiを含有することが多
く、極めて脆化し易いものであること、特にNbとTiの含
有量の和が2.0mass%以上になるとその悪影響が強くなる
ことがわかった。しかし、この合金を約1150℃以上に加
熱すると、Laves相は基地に固溶し、ほとんど脆化現象
が解消された。同様にA286やV57合金では、Laves相(Fe2
Ti)は約1120℃以上で基地に固溶し脆化現象が解消され
た。本発明はこの結果を消耗電極に適用したものであ
る。
【0014】すなわち、本発明の第1発明は、超耐熱合
金の消耗電極式再溶解法において、予め消耗電極を均熱
処理を行なった後に再溶解することを特徴とする超耐熱
合金の消耗電極式再溶解法である。また、上記第1発明
の消耗電極を予め均熱処理すると有効な溶解法は、真空
アーク再溶解、エレクトロスラグ再溶解、プラズマアー
ク再溶解のいずれかである。NbやTiを含有する超耐熱合
金は前述のように脆いLaves相を晶出する。本発明によ
り消耗電極を予め均熱処理することによりLaves相を大
幅に現象または解消することは、超耐熱合金が、NbとTi
の1種または2種を含有する合金であり、かつNbとTiの
含有量の和が2.0mass%以上である合金が望ましく、さら
に望ましくは、NbとTiの1種または2種を含有し、かつ
Niを15mass%以上含有する合金である。上記の超耐熱合
金では、消耗電極の均熱温度は、1100℃以上かつ融点以
下で実施するのが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明における均熱処理の作用と
数値の限定理由を以下に述べる。高温度勾配下における
粒界割れの再現を行なう為に、一例として表1に示す組
成の各種超耐熱合金を小型真空誘導炉にて溶製し、消耗
電極をシュミレートした直径40mm×100mm長の鋳造試験
片を各々2本づつ作成した。各2本の鋳造試験片のう
ち、1本は本発明に規定する均熱温度である1150℃で20
時間の均熱処理を施した。上記の消耗電極をシミュレー
トして得た各試験片に対して、再溶解を想定した熱応力
を与える目的で、C含有量が2.5mass%であるような炭素
鋼を溶解して、溶鋼温度を約1400℃に保持した高周波誘
導炉中に全ての試験片を片端のみ浸漬させて10秒間保持
した後、炉外に引き出して空冷した。この試験片を中心
線に沿って縦断して、縦断面のマクロ組織出現試験を行
なって、浸漬側先端の割れの有無の確認を行った。その
結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】均熱処理を施した場合には、いずれの試験
片も割れの発生は認められないのに対して、均熱処理を
施さない場合には、割れの発生が認められるものがあ
る。表1にはNbおよびTiの含有量の和も併記している
が、均熱処理を施さない場合、NbとTiの和が大きいほど
割れが発生し易く、さらに詳しくはNbとTiの和が2.0mas
s%以上で割れが発生している。以上の結果より、本発明
はNbとTiの含有量の和が2.0mass%以上の合金に対して特
に有効であることがわかる。しかしながら、上記を外れ
る範囲の化学組成をもつ合金に対しても、大型の消耗電
極で結晶粒が大きく発達したものなどに適用出来る。
【0018】本発明の対象とする材料は、NbとTiの1種
または2種を含有するものであれば特に限定しないが、
これらの元素は一般に15mass%以上のNiを含有する超耐
熱合金に添加されている場合が多く、この種の超耐熱合
金に消耗電極式再溶解法を実施して鋳塊を製造する際
に、威力を発揮する。このような超耐熱鋼の一例とし
て、mass%でC 0.08%以下、Si 1.0%以下、Mn 1.0%以下、
Ni 30〜65%、Cr 13〜25%、Al 0.8〜3.0%、TiとNbの1種
または2種の合計が2.0〜5.5%を含み、残部がFeまたは
上記組成にMo 3%以下とW 3%以下の1種または2種を含
有するFe−Ni−Cr基超耐熱合金などがある。一
方、上記実験では、均熱処理の条件を1150℃×20時間と
したが、予備実験の結果、Inconel718,A286の鋳造まま
の試験片を、温度を変えて長時間の均熱処理を施し、内
部組織の観察を行ったところ、Laves相、β相のいずれ
も1100℃以上で消失するので、下限を1100℃とした。温
度の上限については、材料の融点以下であれば良いが、
金属間化合物の組成によっては、あまりに高過ぎる均熱
処理温度のもとでは金属間化合物自体が溶融し、粒界に
空孔が形成される為に、逆効果となるばかりでなく、省
エネルギー的見地からも好ましくない。また、均熱処理
時間については、金属間化合物の組成、大きさ等により
完全なる効果の得られる時間がそれぞれ異なるが、金属
間化合物が固溶体化するのに十分な時間であればよい。
なお、上記説明において、便宜上VAR,ESRのみに
ついて説明を行なったが、消耗電極先端に高熱応力のか
かる再溶解法、例えばプラズマアーク再溶解等にも適用
できることは以上の議論から明らかである。
【0019】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて説明する。
なお、表2に実施例1〜実施例7を纏めて示す。実施例
1は表2に示す化学成分から成るInconel718を真空誘導
炉で溶製し、消耗電極2本を鋳造して作成した。1本は
1170℃で30時間の均熱処理を施し、他の1本は均熱処理
を施さないでVARに供した。均熱処理を施した消耗電
極はVAR操業中に破裂音の発生、溶解電圧の変動は起
こらなかったのに対して、均熱処理を施さなかった消耗
電極は、破裂音が発生し、溶解電圧の異常変動が認めら
れた(図3〜図4参照)。次にこのようにして作成した鋳
塊を横断して、それぞれ複数のスライス試験片を切り出
し、塩化第2鉄水溶液で腐食した結果、均熱処理を施し
た消耗電極を用いたVAR鋳塊から得られたスライス試
験片のマクロ組織はいずれも健全であるのに対し、均熱
処理を施さなかった消耗電極を用いたVAR鋳塊から得
られたスライス試験片にはホワイトスポットが一部に認
められた。
【0020】
【表2】
【0021】実施例2は表2に示す化学成分から成るIn
coloy901(商品名)を真空誘導炉で溶製し、消耗電極2本
を鋳造して作成した。1本は1170℃で30時間の均熱処理
を施し、他の1本は均熱処理を施さないでVARに供し
た。均熱処理を施した消耗電極はVAR操業中に破裂音
の発生、溶解電圧の変動は起こらなかったのに対して、
均熱処理を施さなかった消耗電極は、破裂音が発生し、
溶解電圧の異常変動が認められた。次に、これらの鋳塊
を鍛造後、全長にわたって超音波探傷試験を実施した結
果、均熱処理を施した消耗電極を用いたVAR鋳塊はイ
ンジケーション(欠陥部に相当)が認められなかったのに
対し、均熱処理を施さなかった消耗電極を用いたVAR
鋳塊はインジケーションが認められた。消耗電極に均熱
処理を施さなかった鋳塊から製造されたビレットの超音
波探傷インジケーション部を割り出し、マクロ組織出現
試験を行った結果、非金属介在物を伴うホワイトスポッ
トが認められた。すなわち、均熱処理を施さなかった消
耗電極は鋳塊の鍛造後にホワイトスポットを起点とする
割れを伴い、超音波探傷試験の欠陥部としてインジケー
ションが認められたものである。
【0022】実施例3は表2に示す化学成分から成るIn
conel718を真空誘導炉で溶製し、消耗電極2本を鋳造し
て作成した。1本は1170℃で30時間の均熱処理を施し、
他の1本は均熱処理を施さないでESRに供した。均熱
処理を施した消耗電極はESR操業中に破裂音の発生、
溶解電圧の変動は起こらなかったのに対して、均熱処理
を施さなかった消耗電極は、破裂音が発生し、溶解電圧
の異常変動が認められた(図5〜図6参照)。次にこのよ
うにして作成した鋳塊を横断して、それぞれ複数のスラ
イス試験片を切り出し、塩化第2鉄水溶液で腐食した結
果、均熱処理を施した消耗電極を用いたESR鋳塊から
得られたスライス試験片のマクロ組織はいずれも健全で
あるのに対し、均熱処理を施さなかった消耗電極を用い
たESR鋳塊から得られたスライス試験片にはフレック
ルが一部に認められた。
【0023】実施例4は表2に示す化学成分から成る合
金Aを真空誘導炉で溶製し、消耗電極2本を鋳造して作
成した。1本は1180℃で30時間の均熱処理を施し、他の
1本は均熱処理を施さないでESRに供した。均熱処理
を施した消耗電極はESR操業中に破裂音の発生、溶解
電圧の変動は起こらなかったのに対して、均熱処理を施
さなかった消耗電極は、破裂音が発生し、溶解電圧の異
常変動が認められた(図7〜図8参照)。次に、これらの
鋳塊を鍛造後、全長にわたって超音波探傷試験を実施し
た結果、均熱処理を施した消耗電極を用いたESR鋳塊
はインジケーションが認められなかったのに対し、均熱
処理を施さなかった消耗電極を用いたESR鋳塊は鋳造
時に割れが発生した。割れが発生した部分の内部を切り
出して、マクロ組織試験を行なった結果、消耗電極と同
一組成の破片がESRスラグを伴って未溶解のまま検出
された。
【0024】実施例5は表2に示す化学成分から成る合
金Bを真空誘導炉で溶製し、消耗電極2本を鋳造して作
成した。1本は1180℃で30時間の均熱処理を施し、他の
1本は均熱処理を施さないでESRに供した。均熱処理
を施した消耗電極はESR操業中に破裂音の発生、溶解
電圧の変動は起こらなかったのに対して、均熱処理を施
さなかった消耗電極は、破裂音が発生し、溶解電圧の異
常変動が認められた(図7,8参照)。次に、これらの
鋳塊を鍛造した際、均熱処理を施した消耗電極を用いた
ESR鋳塊は鍛造時に異常はなく、全長にわたる超音波
探傷試験を実施した結果、インジケーションが認められ
なかったのに対し、均熱処理を施さなかった消耗電極を
用いたESR鋳塊は鍛造時に疵が多発した。疵が発生し
た部分の内部を切り出して、マクロ組織試験を行なった
結果、一部に消耗電極と同一組成の破片が未溶解のまま
検出され、フレックル偏析も認められた。
【0025】実施例6は表2に示す化学成分から成る合
金Cを真空誘導炉で溶製し、消耗電極2本を鋳造して作
成した。1本は1180℃で30時間の均熱処理を施し、他の
1本は均熱処理を施さないでESRに供した。均熱処理
を施した消耗電極はESR操業中に破裂音の発生、溶解
電圧の変動は起こらなかったのに対して、均熱処理を施
さなかった消耗電極は、破裂音が発生し、溶解電圧の異
常変動が認められた。次に、これらの鋳塊を鍛造した
際、均熱処理を施した消耗電極を用いたESR鋳塊は鍛
造時に異常はなく、全長にわたる超音波探傷試験を実施
した結果、インジケーションが認められなかったのに対
し、均熱処理を施さなかった消耗電極を用いたESR鋳
塊は鍛造時に疵が多発した。疵が発生した部分の内部を
切り出して、マクロ組織試験を行なった結果、一部に消
耗電極と同一組成の破片が未溶解のまま検出され、フレ
ックル偏析も認められた。
【0026】実施例7は表2に示す化学成分から成る合
金Dを真空誘導炉で溶製し、消耗電極2本を鋳造して作
成した。1本は1180℃で30時間の均熱処理を施し、他の
1本は均熱処理を施さないでESRに供した。均熱処理
を施した消耗電極はESR操業中に破裂音の発生、溶解
電圧の変動は起こらなかったのに対して、均熱処理を施
さなかった消耗電極は、破裂音が発生し、溶解電圧の異
常変動が認められた。次に、これらの鋳塊を鍛造した
際、均熱処理を施した消耗電極を用いたESR鋳塊は鍛
造時に異常はなく、全長にわたる超音波探傷試験を実施
した結果、インジケーションが認められなかったのに対
し、均熱処理を施さなかった消耗電極を用いたESR鋳
塊は鍛造時に疵が多発した。疵が発生した部分の内部を
切り出して、マクロ組織試験を行なった結果、一部に消
耗電極と同一組成の破片が未溶解のまま検出され、フレ
ックル偏析も認められた。これらの結果は、消耗電極を
使用する再溶解に広く適用できるものであり、プラズマ
を熱源とするプラズマアーク再溶解にも本発明は有効で
ある。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は望ましくは
NbとTiの1種または2種を含有する合金、たとえばNbと
Tiの含有量の和が2.0mass%以上を含有する合金の消耗電
極を、均熱処理を施すという簡単な処理によって、消耗
電極内に生じるLaves相等の金属間化合物を固溶体化
し、それによって消耗電極の再溶解時に発生する電極先
端の割れを防止し、得られた鋳塊の品質が大幅に向上す
るとともに、従来は不良部を廃却することによって生じ
ていた歩留の低下や鋳塊の熱間加工時の割れ、疵が減少
することにより、製造コストも飛躍的に低減するもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホワイトスポット発生要因を示すVARプロセ
ス模式図である。
【図2】消耗電極の割れにともなう溶解電圧の時間経過
を示す図である。
【図3】Inconel718のVAR時の正常チャートを示す図
である。
【図4】Inconel718のVAR時の異常チャートを示す図
である。
【図5】Inconel718のESR時の正常チャートを示す図
である。
【図6】Inconel718のESR時の異常チャートを示す図
である。
【図7】合金AのESR時の正常チャートを示す図であ
る。
【図8】合金AのESR時の異常チャートを示す図であ
る。
【符号の説明】
1 消耗電極、2 モールド、3 鋼塊、4 溶鋼プー
ル、5 マッシー・ゾーン、6 クラウン、7 シェル
フ、8 デンドライト、9 トーラス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山根 康史 島根県安来市安来町2107番地の2 日立金 属株式会社安来工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超耐熱合金の消耗電極式再溶解法におい
    て、予め消耗電極を均熱処理した後に再溶解することを
    特徴とする超耐熱合金の消耗電極式再溶解法。
  2. 【請求項2】 消耗電極式再溶解法が、真空アーク再溶
    解、エレクトロスラグ再溶解、プラズマアーク再溶解の
    いずれかである請求項1に記載の超耐熱合金の消耗電極
    式再溶解法。
  3. 【請求項3】 超耐熱合金が、NbとTiの1種または2種
    を含有する合金であり、かつNbとTiの含有量の和が2.0m
    ass%以上である請求項1または請求項2に記載の超耐熱
    合金の消耗電極式再溶解法。
  4. 【請求項4】 超耐熱合金が、NbとTiの1種または2種
    を含有し、かつNiを15mass%以上含有する合金である請
    求項1または請求項2に記載の超耐熱合金の消耗電極式
    再溶解法。
  5. 【請求項5】 消耗電極の均熱温度が、1100℃以上かつ
    融点以下である請求項1ないし請求項4のいずれかに記
    載の超耐熱合金の消耗電極式再溶解法。
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