JPH09241423A - プラスチック成型品補修用光硬化性樹脂組成物及び補修方法 - Google Patents

プラスチック成型品補修用光硬化性樹脂組成物及び補修方法

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JPH09241423A
JPH09241423A JP4727596A JP4727596A JPH09241423A JP H09241423 A JPH09241423 A JP H09241423A JP 4727596 A JP4727596 A JP 4727596A JP 4727596 A JP4727596 A JP 4727596A JP H09241423 A JPH09241423 A JP H09241423A
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molded product
plastic molded
repairing
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photocurable resin
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JP4727596A
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Hiroshi Masaoka
弘 正岡
Akihiro Kawamura
明弘 川村
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ICI Japan Ltd
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ICI Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性・耐候性が良好で、保存性が好く、使
用時の脱気が不要で、硬化が速く、光照射により完全硬
化するプラスチック成型品の補修用光硬化性樹脂組成物
を提供すること。 【解決手段】 以下に示される成分(A)、(B)、
(C)、(D)を必須成分とするプラスチック成型品補
修用光硬化性樹脂組成物を用いる。 (A) 同一分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽
和基を有する重合可能な化合物 (B) 光重合開始剤 (C) 必要量の無機充填剤 (D) 必要量の着色剤及び意匠用充填剤

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック成型
品の補修用光硬化性樹脂組成物及び、本補修用光硬化性
樹脂組成物を用いたプラスチック成型品の補修方法に関
する。詳しくは、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、AB
S樹脂、アクリル樹脂、アクルロニトリル−スチレン樹
脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート等に例示さ
れる熱可塑性樹脂成型品、及び不飽和ポリエステル樹
脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、架橋
アクリル樹脂等に例示される熱硬化性樹脂成型品、さら
には、これらの樹脂に、無機充填剤、ガラスファイバー
等を添加した強化プラスチック、人造大理石などのプラ
スチック成型品の補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プラスチック成型品の補修は、そ
のプラスチック成型品の原料となる成型材料、すなわち
熱硬化樹脂においては、熱硬化型液状樹脂組成物に、熱
重合触媒剤を混合し、損傷部分に充填し、加熱硬化後研
磨により仕上げる方法が一般に使用されている(特開昭
64−45789号公報参照)。しかし、本従来方法で
は、補修樹脂の保存が出来ないため、補修作業毎に、成
型材料に熱重合触媒剤を混合し、さらに減圧脱泡した後
使用する必要があった。さらに、従来の補修樹脂を加熱
硬化させるためには数十分程の時間が必要であり、且つ
プラスチック成型品が、例えば80℃以上の高温で使用
される場合、補修作業後数時間から一日程度放置し、補
修樹脂を完全硬化させる必要があった。
【0003】一方、熱可塑性樹脂においては、プラスチ
ック成型品に比べ、融点の低い補修用材料を加熱溶解
し、損傷部分に充填し、冷却後研磨により仕上げる方法
が一般に使用されている。しかし、本従来方法では、補
修用材料の空気中での加熱による酸化に基づく変色、劣
化が起こる場合があり、また補修部分の耐熱性・耐候性
が劣る等の欠点があった。
【0004】以上のことから、従来の補修方法は作業に
時間がかかり、且つ作業後直ちにできない場合があるた
め、作業能率が低く、また、十分な性能が得られないと
いう問題点を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術の問題点を解決するためになされたものである。
発明者らは、従来品に代る補修用樹脂として、耐熱性・
耐候性が良好で、保存性が好く、使用時の脱気が不要
で、硬化が速く、また、光照射により完全硬化するた
め、補修作業後直ちに使用可能な補修用光硬化性樹脂組
成物の提供及び本光硬化性樹脂組成物性を用いた効率の
よい補修方法の提供を目的として鋭意検討を行った結
果、本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した目的は以下に示
される成分(A)、(B)、(C)、(D)を必須成分
とすることを特徴とするプラスチック成型品補修用光硬
化性樹脂組成物によって達成される。
【0007】(A) 同一分子中に少なくとも1つのエ
チレン性不飽和基を有する重合可能な化合物。 (B) 光重合開始剤 (C) 必要量の無機充填剤 (D) 必要量の着色剤及び意匠用充填剤 本発明は上記プラスチック成型品補修用光硬化性樹脂組
成物を提供する。
【0008】また、本発明は上記プラスチック成型品補
修用光硬化性樹脂組成物をプラスチック成型品損傷部分
に、若干盛り上がる様に充填し、光照射し補修用光硬化
性樹脂組成物を硬化させた後プラスチック成型品の表面
より盛り上がった部分の補修剤を荒研磨によりプラスチ
ック成型品の表面と一致させさらに仕上げ研磨を行い表
面を修復させることを特徴とするプラスチック成型品の
補修方法を提供する。
【0009】更に、本発明は上記プラスチック成型品補
修用光硬化性樹脂組成物をプラスチック成型品損傷部分
に、若干盛り上がる様に充填し、光照射し補修用光硬化
性樹脂組成物を硬化させた後プラスチック成型品の表面
より盛り上がった部分の補修剤を荒研磨し、プラスチッ
ク成型品の表面と一致させ、さらに、研磨部分に市販の
透明なコーティング剤を塗布し表面を修復させることを
特徴とするプラスチック成型品の補修方法を提供する。
【0010】以下本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明に使用される成分(A)同一分子中
に少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する重合可
能な化合物としては、補修されるプラスチック成型材料
の種類に応じ適宜選択すれば良く特に限定されるもので
はないが、本発明の組成物により補修された部分の耐久
性が必要とされる場合、特に下記に例示する(メタ)ア
クリル酸エステル類、及びウレタン(メタ)アクリレー
ト類が好ましい。(本発明において、(メタ)アクリル
酸あるいは(メタ)アクリレートと示す場合は、アクリ
ル酸および/またはメタアクリル酸あるいはアクリレー
トおよび/またはメタアクリレートを意味する。) (a)単官能性(メタ)アクリル酸エステル類:メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
イソプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、
p−(メタ)アクリロキシ安息香酸、ベンジル(メタ)
アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、
ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレー
ト、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アク
リレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシ
クロペンタニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチ
ルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)ア
クリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
グリセロール(メタ)アクリレート、ヘプタデカフロロ
デシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)ア
クリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、3−フェ
ノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
など。
【0012】(b)二官能性(メタ)アクリル酸エステ
ル類:プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、プロパンジオール
ジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)ア
クリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ
(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)ア
クリレート、2,2−ジ(4−(メタ)アクリロキシポ
リエトキシフェニル)プロパンなど。
【0013】(c)三官能性(メタ)アクリル酸エステ
ル類:トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ト
リス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、ジ
ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートな
ど。
【0014】(d)ウレタン(メタ)アクリレート類:
2−ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−
ハイドロキシエチル(メタ)アクリレートの様な氷酸基
含有(メタ)アクリレートとヘキサメチレンジイソシア
ネート、ジイソシアネートメチルベンゼンの様なジイソ
シアネートとの付加反応により得られるジアダクトな
ど。
【0015】以上例示した(メタ)アクリル酸誘導体以
外にも、工業用として公知・市販のものが使用でき、ま
た目的に応じてこれらの化合物の一種または二種以上の
混合物を使用してもよい。
【0016】次に、本発明の光硬化性樹脂組成物の成分
(B)光重合開始剤は、活性エネルギー線、すなわち電
子線、紫外線、可視光線等のエネルギー線により励起さ
れえる光重合開始剤である。また、使用する活性エネル
ギー線の波長、所望する硬化速度、保存安定性を考慮し
適宜選択すれば良く特に限定されるものではないが、た
とえば、ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジメチルア
ミノ)ペンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジエチル
アミノペンゾフェノン、アセトフェノン、3,3−ジメ
チル−4−メトキシベンゾフェノン、4−クロロベンゾ
フェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,
3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパ−オキシカルボ
ニル)ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル
フェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フ
ェニルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニ
ル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オ
ン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕
−2−モルホリノプロパン−1等の芳香族ケトン系化合
物、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−
メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソ
ン、イソプロピルチオキサンソン、2−メチルチオキサ
ンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピ
ルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン等
の置換及び非置換のチオキサンソン系化合物、ベンジ
ル、カンファーキノン、α−ナフチルアセチフテン、
p,p′−ジメトキシベンジル、p,p′−ジクロロベ
ンジル等のα−ジケトン系化合物、ベンゾイン、ベンゾ
インメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベン
ゾインフェニルエチルエーテル、ベンゾインプロピルエ
ーテル、ベンジルジメチルケタール、α−アクリルベン
ゾイン等のベンゾイン化合物、2−メチルアントラキノ
ン、2−エチルアントラキノン、2−プロピルアントラ
キノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクチ
ルメチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキ
ノン、2,3−ジメチルアントラキノン、2−フェニル
アントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、
1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノ
ン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン、9,10
−フェナントラキノン、等のキノン化合物、2,4,6
−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイ
ド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィン
オキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物、キ
サントン、ミヒーラケトン、アセトフェノンジエチルケ
タールなどが例示されるが、これらの化合物以外にも工
業用として公知・市販の化合物を使用できる。また、こ
れら光重合開始剤は単独でも、または、二種類以上を混
合しても使用することができる。なお、上記成分(B)
光重合開始剤の配合割合は目的とする硬化速度、硬化深
度及び硬化物の機械的強度等によって決定すれば良く、
特に限定されるものではないが、それぞれ本発明光硬化
性樹脂組成物の光重合性樹脂100重量部中に通常0.
01〜5.0重量部、さらに好ましくは0.1〜5.0
重量部の範囲である。また、本発明の光硬化性樹脂組成
物の硬化速度をさらに高める目的で、チオール化合物や
有機過酸化物等を添加しても良い。
【0017】本発明に使用される成分(C)必要量の無
機充填剤は、本発明プラスチック成型品補修用光硬化性
樹脂組成物の熱膨張率を補修されるプラスチック成型材
料の熱膨張率に合わせることを目的として本発明樹脂組
成物に添加されるものである。無機充填剤の添加によっ
て補修されるプラスチック成型品が温度変化のある環境
で使用される場合、本発明プラスチック成型品補修用光
硬化性樹脂組成物と補修されるプラスチック成型品の熱
膨張の違いによる補修部分の応力に基づく不具合、即
ち、割れ、欠け、ひび等の発生が押えられ、耐久性が向
上する。従って、補修されるプラスチック成型品の種類
および使用される環境によっては、添加の必要の無い場
合もある。また本発明に使用される成分(C)必要量の
無機充填剤の種類は、本発明プラスチック成型品補修用
光硬化性樹脂組成物に必要とされる熱膨張率に、効率良
く適合できるものであれば良く、特に限定されるもので
はないが、シリカ、ガラス、水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウム、アルミナ、カオリン、ジルコン、カイ
アナイト、かんらん石、閃長石、シリマナイト、珪灰
石、方解石、燐灰塩、菱苦土石、重晶石、石膏、および
金属の珪酸塩、アルミン酸塩、アルミノ珪酸塩、燐酸
塩、硫酸塩、炭酸塩、硫化物、炭化物、窒化物、水酸化
物、酸化物等に例示される鉱物粉末の1種もしくは、2
種以上の混合物が好適である。また、さらに本発明プラ
スチック成型品補修用光硬化性樹脂組成物により補修さ
れるプラスチック成型品が湿潤、もしくは、直接水に接
触する条件下等の耐水性・耐熱水性が要求される環境で
使用される場合、とくにシラン化合物によって表面処理
されたシリカ化合物、水酸化アルミ、ガラス粉末から選
ばれた少なくとも1種類の無機充填剤粉末を使用するこ
とが必要である。シラン化合物によって表面処理されて
いない無機充填剤粉末を使用すると補修した部分のみ白
化が進行し不都合となる。表面処理に供されるシラン化
合物としては、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルト
リエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピル
メチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプ
ロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロ
キシプロピルジメチルメトキシシラン、3−(メタ)ア
クリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、N−(ト
リメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリルアミド、
N−(トリエトキシシリル)プロピル(メタ)アクリル
アミド、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロ
シラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジク
ロロシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジメチ
ルクロロシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピジメチルメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、β
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、β
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチル
メトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチルジメチルエトキシシラン
等が例示されるが、本発明の組成物の安定性及び安全性
の点から加水分解可能な基がメトキシ基であることが好
ましい。なお、これらの化合物は単独でもまたは二種類
以上を混合して使用しても良い。
【0018】さらに、本発明に使用される成分(C)必
要量の無機充填剤粉末の粒径は、補修されるプラスチッ
ク成型材料の表面状態によって選択すれば良く、特に限
定されるものではないが、平均粒径で、0.5〜200
ミクロンのものが好適である。無機充填剤粉末の平均粒
径が小さくなると本発明プラスチック成型品補修用光硬
化性樹脂組成物の粘度が上昇し、場合によっては、補修
箇所への補修用光硬化性樹脂組成物の充填が困難とな
る。また、平均粒径が大きくなのと、補修用光硬化性樹
脂組成物において充填剤の沈降が起こり、本発明プラス
チック成型品用補修用光硬化性樹脂組成物の保存安定性
が損なわれる。また、本発明に使用される成分(C)必
要量の無機充填剤粉末の添加量は、所望とする熱膨張率
により決定されるものであり、特に限定されるものでは
ないが、異なる熱膨張率を有する無機充填剤粉末を適宜
選択し、80重量%以下にすることが好ましい。無機充
填剤粉末の添加量が80重量%を越えると、補修用光硬
化性樹脂組成物の流動性が悪くなり補修箇所への充填が
困難となる。さらに補修されるプラスチック成型品への
密着性が低下し、剥離しやすくなる。
【0019】本発明に使用される成分(D)必要量の着
色剤及び意匠用充填剤は、補修されるプラスチック成型
品に合わせた、色・柄にするためにプラスチック成型品
補修用光硬化性樹脂組成物に必要に応じ添加されるもの
である。従って、補修部位および補修されるプラスチッ
ク成形品が使用される環境によっては添加の必要のない
場合もある。さらに補修されるプラスチック成形品の色
柄によっては着色剤、意匠用充填のいずれか一方を使用
すれば良い場合もある。本成分(D)の添加により補修
部分を目立たなくさせることができる。着色剤について
は、市販の染料・顔料を使用すればよく、その添加量
は、補修されるプラスチック成型品の色によって決定さ
れ、通常数種類を混合し、調色する。また、意匠用充填
剤とは、装飾柄を作り出す材料であり、補修されるプラ
スチック成型品が装飾柄を有する場合、この柄と同様に
なるように選択・添加するものである。意匠用充填剤の
例としては、マイカ粉末、真珠箔顔料等、黒石、赤石、
緑石等の天然石の細かい砕石粒子、黄銅鉱、赤鉄鉱、無
煙炭等のその他鉱物粒子、着色珪砂、着色炭酸カルシウ
ム粒子、着色ガラス粒子、着色セラミック粒子、着色セ
ラミックフレーク等の表面もしくは全体を着色した着色
無機物粒子もしくはフレーク、メラミン樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の表面
もしくは全体を着色した着色樹脂粒子、アクリル樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂等に充填剤を含有させた着色粒
子、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム等の
表面もしくは全体を着色した着色フィルムの破砕片、ナ
イロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維等を裁断
した着色もしくは無着色の裁断合成繊維、綿、麻、ウー
ル等を裁断した着色及び無着色の裁断天然有機繊維、銅
等を裁断した金属性繊維、アルミ粉、ブロンズ粉等の金
属粉、着色及び無着色のアルミ箔等を裁断もしくは破砕
した金属フレーク等の装飾的添加物等が例示されるが、
その種類は多く、これらの例に限定されるものではな
い。その添加量は、補修されるプラスチック成型品の柄
によって決定され、数種類を混合し使用することもでき
る。
【0020】また、本発明のプラスチック成型品補修用
光硬化性樹脂組成物には、本発明プラスチック成型品補
修用光硬化性樹脂組成物の特性を損なわない範囲におい
て他の添加剤を適量配合して良い。他の添加剤として
は、増感剤、熱重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、消泡
剤、レベリング剤、有機・無機充填剤、シランカップリ
ング剤、チタネートカップリング剤、チクソ剤等が例示
される。さらに、本発明光硬化性樹脂組成物の硬化に必
要な光源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、中圧水
銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タング
ステンランプ等の紫外線・可視光線を発生させる光源
や、He−Cdレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンレ
ーザ等のレーザ光源が例示される。さらに本発明のプラ
スチック成型品補修用光硬化性樹脂組成物は、プラスチ
ック成型品等の接着にも使用可能である。
【0021】次に、上述したプラスチック成型品補修用
光硬化性樹脂組成物を用いたプラスチック成型品の補修
用方法について詳細に説明する。図1に示すような、プ
ラスチック成型品の割れ(a)、ひび(b)、浅い傷
(c)などの損傷部分を、紙やすりやルーター等の研磨
機で図2に示す様に切削加工を行う。このとき、切削部
分の端部即ち、切削部分とプラスチック成型品の表面の
交点部分が鋭角にならず、丸みを持つように仕上げるこ
とが大切である。切削部分の端部が鋭角であると、のち
に本発明のプラスチック成型品補修用光硬化性樹脂組成
物を用い、補修を行った場合、本発明のプラスチック成
型品補修用光硬化性樹脂組成物と補修されるプラスチッ
ク成型品の界面が目立ち易くなる場合があるからであ
る。尚、浅い傷(c)については、耐水ペーパ等の紙や
すりで研磨し傷を取り去り、後で述べる仕上げ工程によ
り、補修することが出来、この場合本発明のプラスチッ
ク成型品補修用光硬化性樹脂組成物を使用することなく
補修出来る。切削部分は、エタノール、シンナー等の揮
発性溶剤をしみこませたウエス、ティシュペーパー等で
拭き脱脂する。次に、割れ(a)、ひび(b)について
は、図3に示す様に、本発明のプラスチック成型品補修
用光硬化性樹脂組成物を切削部分にプラスチック成型品
の表面よりも若干盛り上がる様に充填し、図4に示す様
に、光照射し本発明のプラスチック成型品補修用光硬化
性樹脂組成物を硬化させる。次に、図5に示す様に、硬
化したプラスチック成型品補修用光硬化性樹脂組成物の
プラスチック成型品の表面よりも盛り上がった部分を耐
水ペーパ等の紙やすりで研磨し、プラスチック成型品の
表面に一致させる。このとき、補修部分の周囲を粘着テ
ープ等でマスキングをしておくと研磨部分が周囲に広が
らず、作業が効率よく行える。また、マスキングは、損
傷部分の周囲に予め行っておいても良い。本研磨部分は
補修されるプラスチック成形品の性状、表面状態によっ
て次の2通りの方法で仕上げることができる。第1の方
法は研磨による仕上げであり、補修されるプラスチック
成形品が、無機充填剤を含まないか、または無機充填剤
を含んでいても研磨により表面の状態を回復できる場
合、例えば水酸化アルミニウム粉末を含有する人造大理
石やグラスファイバーを含有する強化プラスチックであ
る場合、表面状態に合わせた耐水ペーパー等の紙やすり
やコンパウンド等の研磨剤によって仕上げることができ
る。第2の方法は透明コーティング剤を使用し仕上げる
方法である。補修されるプラスチック成形品が研磨では
表面状態の回復が困難な場合、例えばシリカ粉末を含有
する人造大理石、皺等の装飾された表面を有する場合
は、前述の研磨部分に透明コーティング剤を使用し仕上
げる。次に前述の研磨部分の透明コーティング剤による
表面仕上げ方法につきさらに詳細に説明する。
【0022】コーティング剤の種類については、補修さ
れるプラスチック成型品に要求される性能即ち、耐熱
性、対候性、耐水性、強度等を考慮し選択すればよく特
に限定されるものではないが、アクリル系またはシリコ
ーン系コーティング剤等が、性能のバランスに優れ好適
である。特にこれらの種類のコーティング剤でも、ハー
ドコート剤と呼ばれる製品は、前途の塗膜性能に優れ好
適である。また、これらのコーティング剤は、主に、熱
または光により硬化するものが市販されているが、特に
光硬化のものは、短時間で硬化し、十分な性能が発揮さ
れるため、硬化後直ちに補修したプラスチック成型品を
使用することができるという利点を有する。これらのコ
ーティング剤は、補修されるプラスチック成型品の表面
状態に合ったものを選択すれば良い。特に、光沢面、艶
消し面については、市販品が入手容易であるが、皺面等
の場合、アエロジル(日本アエロジル社製品)等の微粉
を添加し、補修されるプラスチック成型良品面と同等の
表面状態とした方が、補修部分が目立ちにくく好適であ
る。これらのコーティング剤の塗布は、筆、刷毛、綿
棒、ティシュ、ウエス等にしみこませ、上記研磨部分お
よびその周辺の表面に直接塗布することができる。ま
た、市販のエアーブラシ等のスプレーを用い吹き付けに
より上記研磨部分およびその周辺に塗布することもでき
る。また、上述のコーティング剤は、揮発性溶剤を含ん
でいるものであってもよく、また、揮発性溶剤を添加
し、粘度を下げ、塗布しやすくすることもできる。次
に、本発明におけるもう一つのコーティング剤による上
記研磨部分の表面の修復方法につき説明する。本方法で
は、無溶剤の光硬化型コーティング剤を上記研磨部分に
滴下し、透明フィルムをその上に被せ、指等で上から押
さえ付け本コーティング剤を上記研磨部分およびその周
辺の表面に押し広げ、本透明フィルムの上から光照射
し、光硬化型コーティング剤硬化後、フィルムを剥がし
補修を完了させる方法である。透明フィルムとしては、
光透過性に優れ、且つ光硬化型コーティング剤を硬化さ
せた後良好に剥離するものであればよく、特に限定され
るものではないが、ポリエチレンフィルム、ポリプロピ
レンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィル
ム等が入手し易く好適である。更に、これらのフィルム
においては補修されるプラスチック成型良品面と同等も
しくは近似の表面状態を持ったフィルムを選択した方が
補修部分が目立ちにくい。また、特に補修されるプラス
チック成型品の表面が特殊な加工、即ち凹凸や、皺等が
成されている場合、透明な型取り用樹脂例えば型取り用
シリコーン樹脂を用い本プラスチック成型品の良品部分
の表面模様を写しとり、補修用のフィルムとして使用
し、補修部分の表面に、良品部分と同様の加工を施して
も良い。
【0023】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明の代表的な例を
さらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例によって
限定されるものではない。尚、例中「部」とあるのは、
「重量部」を表す。
【0024】実施例 1 SR9640(SARTOMER(株)製ウレタンアク
リレート)45部、トリエチレングリコールジアクリレ
ート43部、ペンタエリスリトールトリアクリレート8
部、アエロジル200(日本アエロジル(株)製ヒュー
ムドシリカ)22部、更に光重合開始剤としてDARO
CUR1173(MERK(株)製)22部を混合し、
プラスチック成型品補修用光硬化性樹脂組成物を調製し
た。
【0025】実施例 2 実施例1の補修用光硬化性樹脂組成物90部に、平均粒
径が4ミクロンであるシリカ粉末8部、繊維長1.5m
mであるチョップドストランド2部を混合し、ガラス繊
維強化プラスチック成型品補修用光硬化性樹脂組成物を
調製した。
【0026】実施例 3 SR9640(SARTOMER(株)製ウレタンアク
リレート)10部、ヘキサンジアクリレート21部、ト
リメチロールプロパントリアクリレート1部、アエロジ
ル200(日本アエロジル(株)製ヒュームドシリカ)
2部、平均粒径が4ミクロンであるシリカ粉末65部、
更に光重合開始剤としてDAROCUR1173(ME
RK(株)製)1部を混合し、アクリル樹脂系人造大理
石成型品補修用光硬化性樹脂組成物を調製した。
【0027】実施例 4 SR9640(SARTOMER(株)製ウレタンアク
リレート)10部、イソボルニルアクリレート20.5
部、トリメチロールプロパントリアクリレート1部、γ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5
部、アエロジル200(日本アエロジル(株)製ヒュー
ムドシリカ)2部、予め、シラン処理した平均粒径が4
ミクロンであるシリカ粉末65部、更に光重合開始剤と
してLUCIRIN TPO(BASF社製 商品名)
1部を混合し、アクリル樹脂系人造大理石成型品補修用
光硬化性樹脂組成物を調製した。
【0028】実施例 5 ビスフェノールA系エポキシアクリレートエポキシエス
テル3002A(共栄社油脂化学工業(株)製)10
部、イソボルニルアクリレート20.5部、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート1部、γ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン0.5部、アエロジル2
00(日本アエロジル(株)製ヒュームドシリカ)2
部、予め、シラン処理した平均粒径が8ミクロンである
ガラス粉末65部、更に光重合開始剤としてLUCIR
IN TPO(BASF社製 商品名)1部を混合し、
不飽和ポリエステル樹脂およびビニルエステル樹脂系人
造大理石成型品補修用光硬化性樹脂組成物を調製した。
【0029】実施例 6 黒色の光沢を持つエポキシ樹脂成型品に、ナイフで、深
さ約2mm、幅約1mm、長さ約30mmの傷をつけ
た。この損傷部分を、ルーター(高速回転研磨機)で切
削し、損傷部分が滑らかになる様に削り、さらに成型品
の表面と切削部分の交点部分が鋭角にならず、丸みを持
つように仕上げた。切削部分をエタノールで脱脂後、実
施例1で調製した補修用光硬化性樹脂組成物100部に
カーボンブラック、ベンガラの各顔料を重量比95対5
で混合したものを0.05部加え混合し補修される上記
成型品と同色となるように調製したものを切削部分に上
記成型品の表面から約0.5mm盛り上がるように充填
した。充填部分に100W高圧水銀灯を用い波長350
nm付近での光量が2000mJ/cm2 となるように光
を照射し(照射時間30秒)補修用光硬化性樹脂組成物
を硬化させた。次にこの充填部分からおよそ5mm離れ
た周囲部分にマスキングのためテープ(積水化学工業株
式会社製品 オリエンスッパットテープ)を貼った。硬
化した補修用光硬化性樹脂組成物が上記成型品から盛り
上がった部分を耐水ペーパー#400で研磨し上記成型
品と表面が一致するようにし、さらに耐水ペーパーを順
次#600、#800、#1000、#1200、#1
500を使用し研磨を行った。次にマスキングテープを
剥がし、更にコンパウンド(住友スリーエム株式会社製
品5907 ハード2)で光沢を復帰させ補修作業を終
了した。目視による観察では、補修部分の識別は出来な
かった。
【0030】実施例 7 表面に被加工が施してある白色のアクリル樹脂成型品
に、実施例6と同様にして傷をつけ、更に実施例6と同
様にルーターで損傷部分を加工した。切削部分をエタノ
ールで脱脂後、実施例1で調製した補修用光硬化性樹脂
組成物100部にクロームイエロー、二酸化チタンの各
顔料を重量比2対98で混合したものを0.01部加え
混合し補修される上記成型品と同色となるように調製し
たものを切削部分に上記成型品表面から約0.5mm盛
り上がるように充填した。充填部分に100W高圧水銀
灯を用い波長350nm付近での光量が1000mJ/
cm2となるように光を照射し(照射時間15秒)補修用
光硬化性樹脂組成物を硬化させた。次にこの充填部分か
らおよそ5mm離れた周囲部分にマスキングテープを貼
った。硬化した補修用光硬化性樹脂組成物の上記成型品
から盛り上がった部分を耐水ペーパー#400で研磨し
上記成型品と表面が一致するように研磨した。次に、前
記マスキングテープを剥がし研磨部分とその周辺にシリ
コン系ハードコート剤100部(信越化学工業株式会社
製品 X12−2208)にシリカ微粉(日本アエロジ
ル株式会社製品 アエロジル130)5部を撹拌混合し
たものをエアースプレイで吹き付け、室温で24時間放
置しハードコート剤を硬化し補修作業を終了した。目視
による観察では、補修部分の識別は出来なかった。
【0031】実施例 8 不飽和ポリエステル系強化プラスチック製御影石模様の
成型品損傷部分(長さ約30mm、幅約10mm、深さ
約5mm)を、実施例6と同様にルーターで切削した。
切削部分をエタノールで脱脂後、実施例2で調製した補
修用光硬化性樹脂組成物100部に、ベンガラ、フタロ
シアニンブルー、クロームイエロー、二酸化チタンの各
顔料を重量比0.4対0.1対98.5で混合したもの
を0.05部加え混合し、さらに一辺の長さの平均が
1.5mmで厚さ約80ミクロンの黒色のポリエステル
フィルム0.5部および一辺の長さの平均が1.5mm
で厚さ約80ミクロンの白色のポリエステルフィルム1
部を添加混合し、補修される前記成型品と同色・同柄と
なるように調製したものを切削部分に前述の成型品表面
から約0.5mm盛り上がるように充填した。充填部分
に100W高圧水銀灯を用い波長350nm付近での光
量が1500mJ/cm2 となるように光を照射し(照射
時間22秒)補修用光硬化性樹脂組成物を硬化させた。
【0032】次にこの充填部分からおよそ5mm離れた
周囲部分にマスキングテープを貼った。硬化した補修用
光硬化性樹脂組成物の前述の成型品表面から盛り上がっ
た部分を耐水ペーパー#400で研磨し前述の成型品と
表面が一致するように研磨した。次に、前記マスキング
テープを剥がし研磨部分とその周辺にUV硬化型アクリ
ル系ハードコート剤(スリーボンド株式会社製品307
0)をエアースプレーで吹き付け100W高圧水銀灯を
用い波長350nm付近での光量が1000mJ/cm2
となるように光を照射し(照射時間15秒)上記ハード
コート剤を硬化させ補修作業を終了した。目視による観
察では、スプレーしたハードコート剤の最外周部分の光
沢が若干低くなった他は補修部分の識別は出来なかっ
た。
【0033】実施例 9 表面が艶消し加工されたアクリル系人造大理石系製御影
石模様の成型品損傷部分(長さ約20mm、幅20m
m、深さ約5mmを、実施例6と同様にルーターで切削
した。切削部分をエタノールで脱脂後、実施例3で調整
した補修用光硬化性樹脂組成物100部にカーボンブラ
ック、フタロシアニンブルー、クロームイエロー、二酸
化チタンの各顔料を重量比45対0.2対0.2対5
6.6で混合したものを0.02部加え混合し、さらに
一辺の長さの平均が1.5mmで厚さ約80ミクロンの
黒色のポリエステルフィルム2部および一辺の長さの平
均が1.5mmで厚さ約80ミクロンの白色のポリエス
テルフィルム1部を添加混合し、補修される上記成型品
と同色・同柄となるように調製したものを切削部分に前
述の成型品表面から約0.5mm盛り上がるように充填
した。充填部分に100W高圧水銀灯を用い波長350
nm付近での光量が2000mJ/cm2 となるように光
を照射し(照射時間30秒)補修用光硬化性樹脂組成物
を硬化させた。
【0034】次にこの充填部分からおよそ5mm離れた
周囲部分にマスキングテープを貼った。硬化した補修用
光硬化性樹脂組成物の上記成型品から盛り上がった部分
を耐水ペーパー#400で研磨し上記成型品と表面が一
致するように研磨した。さらに前記マスキングテープを
剥がし、耐水ペーパー#800で研磨し補修作業を終了
した。目視による観察では、補修部分の識別は出来なか
った。
【0035】実施例10 光沢のある白色のアクリル系人造大理石成型品損傷部分
(長さ約30mmのクラック)をルーターで深さ約5m
mまで切削し、さらに実施例6と同様に切削部分の仕上
げを行った。これに、切除部分をエタノールで脱脂後、
実施例4で調製した補修用光硬化性樹脂組成物100部
にベンガラ、フタロシアニンブルー、クロームイエロ
ー、二酸化チタンの各顔料を重量比0.4対1.4対
1.5対96.7で混合したものを0.2部加え混合
し、補修される上記成型品と同色となるように調製した
ものを切削部分に上記成型品表面から約0.5mm盛り
上がるように充填した。充填部分に100W高圧水銀灯
を用い波長350nm付近での光量が1000mJ/c
2となるように光を照射し(照射時間15秒)補修用
光硬化性樹脂組成物を硬化させた。次にこの充填部分か
らおよそ5mm離れた周囲部分にマスキングのためテー
プ(オリエンスッパットテープ 積水化学工業株式会社
製品名)を貼った。硬化した補修用光硬化性樹脂組成物
の上記成型品から盛り上がった部分を耐水ペーパー#4
00で研磨し上記成型品と表面が均一になるように研磨
した。さらに前記マスキングテープを剥がし、研磨部分
の中央に無溶剤型アクリル系UVコーティング剤(大日
精化株式会社製品A−4)を滴下し、その上に厚さ10
0μのポリエステルフィルム(ICI社製品 メリネッ
クス770−100)を被せ、指で前記UVコーティン
グ剤を研磨部分とその周辺に押し広げた。次ぎに、この
ポリエステルフィルムの上から100W高圧水銀灯を用
い波長350nm付近での光量が1000mJ/cm2
なるように光を照射し(照射時間15秒)上記UVコー
ティング剤を硬化させた。次いで上記ポリエステルフィ
ルムを剥がした。上記UVコーティング剤の最外周部分
に段差が見られたのでこの部分をコンパウンド(住友ス
リーエム株式会社製品 5907 ハード2)を用い研
磨し補修作業を終了した。目視による観察では、補修部
分の識別は出来なかった。
【0036】実施例11 光沢のある緑色のポリエステル系人造大理石成型品損傷
部分(長さ約20mm、幅約20mm、深さ約5mmの
欠け)をルーターで切削し、実施例6と同様に切削部分
の仕上げを行った。切削部分をエタノールで脱脂後、実
施例5で調製した補修用光硬化性樹脂組成物100部に
ベンガラ、フタロシアニンブルー、クロームイエロー、
二酸化チタンの各顔料を重量比0.1対2.0対2.5
対95.4で混合したものを0.2部加え混合し、補修
される上記成型品と同色となるように調製したものを切
削部分に上記成型品表面から約0.5mm盛り上がるよ
うに充填した。充填部分に100W高圧水銀灯を用い波
長350nm付近での光量が1000mJ/cm2 となる
ように光を照射し(照射時間15秒)補修用光硬化性樹
脂組成物を硬化させた。次にこの充填部分からおよそ5
mm離れた周囲部分にマスキングのためテープ(オリエ
ンスッパットテープ 積水化学工業株式会社製品名)を
貼った。硬化した補修用光硬化性樹脂組成物の上記成型
品から盛り上がった部分を耐水ペーパー#400で研磨
し上記成型品と表面が一致するように研磨した。さらに
前記マスキングテープを剥がし、研磨部分の中央に無溶
剤型アクリル系UVコーティング剤(大日精化株式会社
製品A−4)を滴下し、その上に厚さ100μのポリエ
ステルフィルム(ICI社製品 メリネックスフィル
ム)を被せ、指で前記UVコーティング剤を研磨部分と
その周辺に押し広げた。次ぎに、このポリエステルフィ
ルムの上から100W高圧水銀灯を用い波長350nm
付近での光量が1000mJ/cm2 となるように光を照
射し(照射時間15秒)上記UVコーティング剤を硬化
させた。次いで上記ポリエステルフィルムを剥がした。
上記UVコーティング剤の最外周部分に段差が見られた
のでこの部分をコンパウンド(5907 ハード2 住
友スリーエム株式会社製品)を用い研磨し補修作業を終
了した。目視による観察では、補修部分の識別は出来な
かった。
【0037】実施例12 実施例11において使用された光沢のある緑色のポリエ
ステル系人造大理石成形品損傷部分(長さ約20mm、
幅約20mm、深さ5mmの欠け)をルーターで切削
し、実施例6と同様に切削部分の仕上げを行った。切削
部分をエタノールで脱脂後、実施例1で調整した補修用
光硬化性樹脂組成物100部にベンガラ、フタロシアニ
ンブルー、クロームイエロー、二酸化チタンの各顔料を
重量比0.1対2.0対2.5対95.4で混合したも
のを0.15部加え、上記成形品と同色となるように調
整した補修用光硬化性樹脂物使用した他は全て実施例1
1と同様にして補修作業を行った。目視による観察では
補修部分の識別は出来なかった。
【0038】実施例13 実施例6から実施例12において補修したプラスチック
成形品から補修部分を中心とした半径50mmの円盤状
のサンプルを切り取り、本サンプルを冷熱衝撃試験機を
用い0℃30分、90℃50分を1サイクルとした熱衝
撃試験を500サイクル実施し、試験後の補修部分の状
態を観察し、割れ、剥がれ等の目視で識別出来る不良の
発生を調査した。結果を第1表に示す。本表より補修さ
れるプラスチック成形品に本発明補修用光硬化性樹脂組
成物の熱膨張率を合わせていない実施例12以外は良好
な耐熱衝撃性を示した。尚、試験は各実施例について5
個のサンプルを用い行った。
【0039】
【表1】
【0040】実施例14 実施例6から実施例12において補修したプラスチック
成形品から補修部分を中心とした半径50mmの円盤状
のサンプルを切り取り、本サンプルを80℃の熱水に5
00時間浸漬し、試験後の補修部分の状態を観察し、割
れ、剥がれ、白化等の目視で識別出来る不良の発生を調
査した。結果を第2表に示す。本表より補修されるプラ
スチック成形品に本発明補修用光硬化性樹脂組成物の熱
膨張率を合っていない実施例12は割れ、剥がれによる
不良が発生し、また本発明補修用光硬化性樹脂組成物に
おいて表面処理の施されていないシリカ粉末を使用した
実施例9は白化による不良が発生した。他は良好な耐熱
水性を示した。尚、試験は各実施例について5個のサン
プルを用い行った。
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
プラスチック成型品補修用光硬化性樹脂組成物及び補修
方法によれば、効率良くプラスチック成型品の損傷部分
を補修することが出来る。さらに、必要に応じ本発明プ
ラスチック成型品補修用光硬化性樹脂組成物の組成を適
性化することにより、補修されたプラスチック成型品の
性能を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の補修方法における手順の一例を示す図
であり、(a)、(b)、(c)はプラスチック成型品
の代表的な損傷例断面図を表す。
【図2】本発明の補修方法における手順の一例を示す図
であり、(a)、(b)は研磨機で切削加工した状態の
損傷部断面図、(c)は浅い傷を研磨により取り去った
状態の損傷部断面図(プラスチック成型品の損傷部分の
補修はこの(C)の状態から仕上げ工程に進み、作業を
完了する)を表す。
【図3】本発明の補修方法における手順の一例を示す図
であり、図2において切削加工した部分に本発明プラス
チック成型品補修用光硬化性樹脂組成物を充填した状態
の損傷部断面図を表す。
【図4】本発明の補修方法における手順の一例を示す図
であり、図3において、充填した本発明プラスチック成
型品補修用光硬化性樹脂組成物に光照射し、本発明プラ
スチック成型品補修用光硬化性樹脂組成物を硬化してい
る状態の損傷部断面図を表す。
【図5】本発明の補修方法における手順の一例を示す図
であり、図4において硬化した本発明プラスチック成型
品補修用光硬化性樹脂組成物の表面より盛り上がった部
分を研磨し、表面をプラスチック成型品に一致させた状
態の損傷部断面図(プラスチック成型品の損傷部分の補
修はこの状態から仕上げ工程に進み、作業を完了する)
を表す。
【符号の説明】
1はプラスチック成型品 2は損傷部分 3は研磨機で切削加工した部分 4は研磨部分 5は本発明プラスチック成型品補修用光硬化性樹脂組成
物 6は光照射装置 7はマスキングテープ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下に示される成分(A)、(B)、
    (C)、(D)を必須成分とすることを特徴とするプラ
    スチック成型品補修用光硬化性樹脂組成物。 (A) 同一分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽
    和基を有する重合可能な化合物。 (B) 光重合開始剤 (C) 必要量の無機充填剤 (D) 必要量の着色剤及び意匠用充填剤
  2. 【請求項2】 請求項1における成分(C)の無機充填
    剤が、シラン化合物によって表面処理されたシリカ化合
    物、水酸化アルミ、ガラス粉末から選ばれた少なくとも
    1種類の無機充填剤であることを特徴とする、請求項1
    記載のプラスチック成型品補修用光硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1におけるプラスチック成型品補
    修用光硬化性樹脂組成物をプラスチック成型品損傷部分
    に、若干盛り上がる様に充填し、光照射し補修用光硬化
    性樹脂組成物を硬化させた後プラスチック成型品の表面
    より盛り上がった部分の補修剤を荒研磨によりプラスチ
    ック成型品の表面と一致させさらに仕上げ研磨を行い表
    面を修復させることを特徴とするプラスチック成型品の
    補修方法。
  4. 【請求項4】 請求項1におけるプラスチック成型品補
    修用光硬化性樹脂組成物をプラスチック成型品損傷部分
    に、若干盛り上がる様に充填し、光照射し補修用光硬化
    性樹脂組成物を硬化させた後プラスチック成型品の表面
    より盛り上がった部分の補修剤を荒研磨し、プラスチッ
    ク成型品の表面と一致させ、さらに、研磨部分に透明な
    コーティング剤を塗布し表面を修復させることを特徴と
    するプラスチック成型品の補修方法。
  5. 【請求項5】 請求項4における透明なコーティング剤
    の塗布において、無溶剤の光硬化型コーティング剤を用
    い、研磨により光沢が失われた部分に塗布後、透明フィ
    ルムを押しつけ、コーティング剤を薄く延ばし、本透明
    フィルムの上から光照射しコーティング剤を硬化させ、
    表面を修復させることを特徴とする、請求項4記載のプ
    ラスチック成型品の補修方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001328881A (ja) * 2000-05-17 2001-11-27 Inax Corp 陶磁器,人工石材等の補修方法
JP2013082833A (ja) * 2011-10-12 2013-05-09 Nissha Printing Co Ltd グラビア印刷適性を有する活性エネルギー線硬化型ハードコート樹脂組成物

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