JPH09234519A - 金属管の加工方法 - Google Patents

金属管の加工方法

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JPH09234519A
JPH09234519A JP6717696A JP6717696A JPH09234519A JP H09234519 A JPH09234519 A JP H09234519A JP 6717696 A JP6717696 A JP 6717696A JP 6717696 A JP6717696 A JP 6717696A JP H09234519 A JPH09234519 A JP H09234519A
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JP
Japan
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heat
metal
metal pipe
metal tube
meltable material
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Application number
JP6717696A
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English (en)
Inventor
Toshio Yamauchi
利夫 山内
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Suzuki Motor Corp
Original Assignee
Suzuki Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属管を、その断面形状を変化させることな
く、簡易に所望の形状に曲げ加工する方法を提供するこ
と。 【解決手段】 中空の金属管1と、この金属管1の端部
に配設される封止部材2とを備え、金属管1内に予め加
熱し溶融した加熱溶融性材7を充填すると共に、金属管
1を加熱溶融性材7の融点以下の温度に冷却して加熱溶
融性材7を硬化させ、次に金属管1を加熱溶融性材7の
融点付近の温度に加熱しつつ曲げ加工した後、金属管1
を再加熱して加熱溶融性材7を再び溶融させて排出す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属管の加工方法
に係り、特に、二輪車や四輪車の排気管として使用され
る金属管の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、二輪車等の排気管として使用
される金属管の加工方法としては、以下のようなものが
あった。即ち、金属管を曲げ加工等する場合には、金属
管の内部に砂を充填するものである。なぜなら、中空の
金属管をそのまま曲げ加工すると、金属管の曲げ加工部
の内側に座屈が生じるからである。これを防止すべく、
砂を内部に充填することによって、曲げ加工時における
金属管の断面形状の変化が抑制できるからである。
【0003】また、砂はその流動性から金属管内に充填
するのが容易で、金属管が曲げ加工された場合にも曲げ
加工の抵抗とならず、円滑に加工をすることができるか
らである。更には、曲げ加工後に、金属管内から排出す
るのも容易であり、金属管の加工方法としては一般的に
用いられている。
【0004】加えて、四輪車の排気管として使用される
金属管は、いわゆる二重管で構成されている場合があ
る。この場合にも、上記したと同様に二本の金属管の相
互間に砂を充填して曲げ加工することが一般的に行われ
ている。また、充填する部材として砂に代えて水を流し
込み、これを冷却することにより氷結させ、この状態で
金属管を曲げ加工する手法も採られている。
【0005】更に、金属管の内部に充填する充填材料と
しては、以上の他に、低融点合金または脂肪酸等を使用
するという改良も提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記各
従来例には以下のような不都合があった。即ち、砂は金
属管への充填及び金属管からの排出という点において
は、その流動性から良好な特性を示す。しかし、一方で
この流動性から、金属管の曲げ加工において局部的に大
きな変形力が加わった場合には、金属管の内部で砂が流
動してしまう。この結果、局率半径の小さな曲げ加工部
近傍において、金属管にしわが発生したり、また座屈現
象等が生じたりする、という不都合を生じていた。これ
ら、金属管の座屈現象等は、特に、二輪車や四輪車の排
気管として使用されるものでは、排気ガスの排気抵抗の
原因となり、また、座屈部近傍で金属管が腐食したりす
る原因となりやすい。
【0007】また、上記した二重管の曲げ加工において
は、内側の金属管の中心と外側の金属管の中心が偏心し
てしまい、場合によっては、両金属管が相互に接触して
しまう場合もある。特に、二重管においては、内側の金
属管の座屈やしわを修正するのは非常に困難であり、製
造上の大きな問題となっている。
【0008】一方、水を氷結させて金属管の座屈等を防
止する方法では、水を氷結させ、また融解させるための
設備が必要となり、製造コスト的にも製造時間効率的に
も多くの不都合が有る。また、低融点金属を用いる方法
では、金属管との接触面との間に発生するすべり抵抗が
大きく、大きな加工応力が必要となり、大きな加工応力
が加わった金属管の部位の板厚が減少してしまう、とい
う不都合を生じていた。加えて、脂肪酸等を用いる方法
では、金属管とのすべり抵抗は小さいが、一方で圧縮応
力に対して強度が低く、曲げ加工による金属管の断面の
扁平や座屈、そしてしわ等の発生を回避することができ
ない、という不都合を生じていた。
【0009】
【発明の目的】本発明は、かかる従来例の有する不都合
を改善し、特に、金属管を、その断面形状を変化させる
ことなく、簡易に所望の形状に曲げ加工する方法を提供
することを、その目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、請求項1記載の発明では、中空の金属管と、こ
の金属管の端部に配設される封止部材とを備え、金属管
内に予め加熱し溶融した加熱溶融性材を充填すると共
に、金属管を加熱溶融性材の融点以下の温度に冷却して
加熱溶融性材を硬化させ、金属管を曲げ加工した後、金
属管を再加熱して加熱溶融性材を再び溶融させて排出す
る、という構成及び方法を採っている。
【0011】以上のように、先ず、予め溶融した加熱溶
融性材を金属管に充填する。そして、この金属管を加熱
溶融性材の硬化する温度に冷却する。これによって、加
熱溶融性材が金属管内で硬化する。
【0012】加熱溶融性材が硬化した後には、いわゆる
ロールベンダー装置によって、金属管の曲げ加工を行
う。このとき、加熱溶融性材は硬化しているので、金属
管の断面が扁平したりせず、また曲折部にしわや座屈等
が生じない。そして、曲げ加工の終了後に、金属管を所
定温度に再加熱する。再加熱の温度は加熱溶融性材が溶
融する温度である。そして、最後に溶融した加熱溶融性
材を金属管の外部に排出する。これにより、金属管の曲
げ加工が完成する。
【0013】また、請求項2記載の発明では、中空の第
1の金属管と、この第1の金属管の内部に配設される第
2の金属管とを備え、この第2の金属管を第1の金属管
の内壁から離間させて配置すると共に、第1の金属管と
第2の金属管の端部を相互に接合し、しかる後、第1の
金属管と第2の金属管の相互間に予め加熱し溶融した加
熱溶融性材を充填すると共に、各金属管を加熱溶融性材
の融点以下の温度に冷却して加熱溶融性材を硬化させ、
次に各金属管を曲げ加工した後、この金属管を加熱溶融
性材の融点以上の温度に再加熱して加熱溶融性材を再び
溶融させて金属管の外部に排出する、という構成を採っ
ている。
【0014】以上のように、先ず、予め溶融している加
熱溶融性材が各金属管の相互間に充填される。そして、
この各金属管を加熱溶融性材の硬化する温度に冷却す
る。これによって、加熱溶融性材が金属管の内部で硬化
する。加熱溶融性材が硬化した後には、いわゆるロール
ベンダー装置によって、金属管の曲げ加工を行う。この
とき、加熱溶融性材は硬化しているので、各金属管の曲
折部にしわや座屈等が生じない。
【0015】曲げ加工の終了後には、各金属管を所定温
度に再加熱する。再加熱の温度は加熱溶融性材が融解す
る温度である。そして、溶融した加熱溶融性材を金属管
の外部に排出する。これにより、中空二重管の曲げ加工
が完成する。
【0016】また、請求項3記載の発明では、加熱溶融
性材として溶融塩を用いるという構成及び方法を採り、
その他は請求項1または2記載の発明と同様である。以
上のような構成及び方法により、加熱溶融性材の融点を
確実に特定することができ、金属管の曲げ加工に際して
も加熱溶融性材及び金属管に対する温度管理が容易に行
い得る。
【0017】また、請求項4記載の発明では、各金属管
を曲げ加工する際に、各金属管を加熱溶融性材の融点付
近の所定温度に加熱して曲げ加工するという構成及び方
法を採り、その他は請求項1,2または3記載の発明と
同様である。以上のような構成及び方法により、請求項
1,2,または3記載の発明の奏する作用に加え、金属
管の曲げ加工に際して、各金属管の壁面と硬化した加熱
溶融性材との間に液相が介在することとなる。これによ
り、金属管と加熱溶融性材との間のすべり抵抗が減少し
て、円滑に曲げ加工を行い得る。
【0018】更に、請求項5記載の発明では、金属管の
加熱に際しては、高周波加熱装置を用いるという構成及
び方法を採り、その他は請求項1,2,3または4記載
の発明と同様である。以上により、請求項1,2,3ま
たは4記載の発明の奏する作用に加えて、加熱溶融性材
と金属管との接触部を効率よく加熱できる。このため、
加熱溶融性材と金属管の接触部相互間に液相が介在し、
相互間のすべり抵抗が低減され、円滑に金属管の曲げ加
工を行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図面に基づ
いて説明すると、先ず図1に示すように、本実施形態に
おいては、中空の金属管1と、この金属管1の端部に配
設される封止部材2とを備え、金属管1内に予め加熱し
溶融した加熱溶融性材7を充填すると共に、金属管1を
加熱溶融性材7の融点以下の温度に冷却して加熱溶融性
材7を硬化させる。そして、金属管1を加熱溶融性材の
融点付近に加熱しつつ曲げ加工した後、金属管1を再加
熱して加熱溶融性材7を溶融させて排出するという手段
を採っている。
【0020】以上をより詳細に説明すると、図1に示す
ように、金属管1は円筒状に形成された中空管であり、
四輪車などの排気管等に使用するための十分な長さが確
保されている。ここで、金属管1の形状及び長さ等は、
上記したものに限定されるものではなく、例えば、断面
矩形の金属管を用いてもよいし、材質としても排気管等
に一般的に用いられる鉄やステンレス等に限られず、例
えば銅、アルミ等であってもよい。また、所定の延性が
ある材料であれば、金属材料に限られるものではない。
【0021】本実施形態における金属管1について具体
的に説明すると、金属管1は、その外径が50[m
m]、肉厚が1[mm]、長さが約500[mm]の鋼
管で構成されている。具体的な材質としては、鉄(ST
KM)が用いられている。但し、ステンレス(SUS)
の鋼管を用いる場合でも同様に本発明を適用することが
できる。また、上記した各寸法はあくまでも一例であ
り、本発明は種々形状及び寸法の金属管に適用すること
ができる。ここで、図1においては、便宜上金属管1の
全長は短縮して記載している。
【0022】また、金属管1の下端部には、所定の封止
部材2が固定されている。この封止部材2は、後述する
溶融した加熱溶融性材が金属管1から漏洩しないよう
に、金属管1の下端部を封止するためのものであり、円
盤状に形成されている。そして、金属管1の下端部に嵌
合されて、金属管1の外周面と接触している部分がスポ
ット溶接により固定される。但し、封止部材の固定方法
としては以上に限定されるものではなく、例えば、耐熱
性の接着剤等で固定するようにしてもよい。
【0023】次に、以上のように構成された金属管1の
曲げ加工の方法について詳述する。先ず、図1に示すよ
うに、金属管1の内部には、加熱溶融性材7が充填され
る(図3の符号S1)。具体的な充填方法としては、先
ず、加熱溶融性材7を融点以上の温度に加熱しておき、
予め溶融させておく、そして、溶融している加熱溶融性
材7を金属管1の内部に充填する。但し、完全に加熱溶
融性材7の全体を溶融させる必要はなく、所定の流動性
が確保されるものであれば、加熱溶融性材7の一部が固
体として混在していてもよい。
【0024】そして、加熱溶融性材7を金属管1内の全
体に充填した後、これを自然冷却させる(図3の符号S
2)。冷却のための温度は、溶融していた加熱溶融性材
7が全体として固体化する温度であり、少なくとも融点
以下の温度である。これにより、金属管1の内部で加熱
溶融性材7が硬化して(図3の符号S3)、外部から所
定の応力が加わっても、金属管1の断面形状は容易に変
形を生じなくなる。
【0025】加熱溶融性材7が硬化した後には、図9に
示すように、いわゆるロール方式のベンダー装置31に
よって、金属管1の曲げ加工を行う。このロール方式の
ベンダー装置31は、外周部に断面半円状の型溝31a
とこれに連続して接線方向に延びる型溝を持つクランプ
部31bを有するロール型32と、クランプ部31bと
の間に2重金属管Pの端部を把持してロール型32と一
体に矢印C方向に回転するクランプ型33とを備えてい
る。
【0026】また、図2に示すように、加熱をしながら
曲げ加工する場合のロール方式のベンダー装置11に
は、金属管1の搬送領域に近接して、所定の加熱ができ
るように加熱装置21が配設されている。このロール方
式のベンダー装置11は、金属管1を一定方向に移動さ
せるガイドのための搬送ローラ13を備えると共に、金
属管1にその側方から曲げ加工のための加工力を加える
曲げ加工ローラ15を備えている。この曲げ加工ローラ
15は、所定のシリンダ17の内部に配設されているピ
ストン19に係合されており、このピストン19の作用
により、曲げ加工量が調整できるようになっている。ま
た、加熱装置21は、金属管1及び加熱溶融性材7を加
熱するためのものであり、高周波誘導加熱を利用したも
のである。そして、その設置位置は、金属管1が曲げ加
工される最初の部位近傍となっている。また、加熱装置
21には、図2に示すように、所定の高周波電源23が
接続されている。但し、加熱装置21としては、これに
限定されるものではなく、例えば一般的なガスバーナー
等であってもよい。
【0027】そして、金属管1は、図2に示すようにロ
ール方式のベンダー装置11内に搬入され、上記した各
搬送ローラ13に導かれて曲げ加工ローラ側(図2中の
右方)に搬送される。この搬送に伴い、金属管1はその
近傍に配設されている加熱装置21から所定の加熱をさ
れる(図3の符号S4)。これにより、金属管1自体が
軟化して容易に曲げ加工ができるようになる。
【0028】これと同時に、金属管1を介して金属管1
の内部に充填されている加熱溶融性材7の内、金属管1
と接触している部分も加熱される。このとき、金属管1
を加熱溶融性材7の融点以上に加熱することで、加熱溶
融性材7の表面、即ち、金属管1との接触面が溶融す
る。この結果、金属管1の内周壁1aと加熱溶融性材7
との間のすべり抵抗が低減される。従って、金属管1の
曲げ加工に際して、加熱溶融性材7が金属管1の不要な
変形を最大限抑制すると同時に、曲げ加工に対する抵抗
も有効に低減される。
【0029】以上より、金属管1に対して曲げ加工を施
しても、金属管1の曲折部にしわが発生したり、また座
屈現象が発生したりしない。また、曲げ加工に要する機
械的エネルギーも低減することができる。
【0030】そして、曲げ加工の終了後は、金属管1を
所定温度に再加熱する(図3の符号S5)。再加熱の温
度は加熱溶融性材の融点以上の温度である。これによ
り、加熱溶融性材7を溶融して金属管1の外部へ排出す
る(図3の符号S6)。但し、加熱溶融性材7の全体が
溶融するまで加熱する必要はなく、多少固体部分が残留
している状態でも、振動を加える等の手段を施すことに
より、加熱溶融性材7を十分に排出できる。そしてこれ
により、金属管1の曲げ加工が完成する。
【0031】次に、金属管1の曲げ加工に使用する加熱
溶融性材7について詳細に説明する。加熱溶融性材7
は、その材質によって融点が大きく異なるので、適切な
材質を選択することにより、幅広い温度域での金属管1
の曲げ加工が可能となる。具体的には、いわゆる溶融塩
を用いることが適当である。溶融塩は、その材質の相違
に基づく融点の相違も明確にされており、更には、固体
化したときの強度が十分に確保でき、金属管1の曲げ加
工に求められる条件を備えているからである。
【0032】例えば、加熱温度を100〜300[℃]
程度に設定したい場合には、いわゆる硝酸塩(NaNo3,KN
o3) や亜硝酸塩(NaNo2,KNo2等)を単体として用い、ま
たはこれらの混合物として用いることも可能である。ま
た、加熱温度を500[℃]以上に設定したい場合に
は、塩化物(Bacl2,Cacl2,Kcl,Nacl等)を単体として用
い、またはこれらの混合物として用いることも可能であ
る。
【0033】また、加熱溶融性材7としては、上記した
溶融塩に限定されるものではなく、例えば、いわゆるワ
ックス等を用いてもよい。但し、ワックスは一般的に融
点が低いものであり、軟化する温度も一部の例外を除い
ては100[℃]以下のものがほとんどである。従っ
て、特に、極めて薄い板厚の金属管を低温で加工する場
合等には適用が可能である。即ち、薄い板厚の金属管を
加工する場合には、加工力も小さくて済み、また、加熱
のためのエネルギーを低減することができるからであ
る。
【0034】次に、本発明の他の実施形態を図面に基づ
いて説明すると、図4に示すように、本実施形態におい
ては、中空の第1の金属管3と、この第1の金属管3の
内部に配設される第2の金属管5とを備え、この第2の
金属管5を第1の金属管3の内壁から離間させて配置す
ると共に、第1の金属管3と第2の金属管5の端部を相
互に接合する。
【0035】しかる後、第1の金属管3と第2の金属管
5の相互間に予め加熱し溶融した加熱溶融性材7を充填
すると共に、各金属管3,5を加熱溶融性材7の融点以
下の温度に冷却して加熱溶融性材7を硬化させ、次に各
金属管3,5を共に加熱溶融性材の融点付近に加熱しつ
つ曲げ加工した後、この各金属管3,5を加熱溶融性材
7の融点以上の温度に再加熱して加熱溶融性材7を再び
溶融させて排出する、という方法を採っている。
【0036】以上をより詳細に説明すると、図4に示す
ように、本実施形態にかかる金属管3,5はいわゆる二
重管を構成している。即ち、第1の金属管3は円筒状に
形成された中空管であり、四輪車などの排気管等に使用
するための十分な長さが確保されている。一方、第2の
金属管5も円筒状に構成され、その長さも第1の金属管
3と同等に形成されている。ここで、各金属管3,5の
形状及び長さ等は、上記したものに限定されるものでは
なく、例えば、断面矩形の金属管を用いてもよいし、材
質としても排気管等に一般的に用いられる鉄やステンレ
ス等に限られず、例えば銅、アルミ等であってもよい。
また、所定の延性がある材料であれば、金属材料に限ら
れるものではない。
【0037】本実施形態における各金属管3,5につい
て具体的に説明すると、第1の金属管3は、その外径が
50[mm]、肉厚が1[mm]、長さが約500[m
m]の鉄製(STKM)の鋼管が用いられる。一方、第
2の金属管5としては、その外径が40[mm]、肉厚
が1[mm]、長さが約500[mm]のステンレス
(SUS)の鋼管が用いられる。但し、これらの各寸法
はあくまでも一例であり、本発明は種々の形状及び寸法
の金属管に適用することができる。ここで、図4におい
ては、便宜上各金属管3,5の全長は短縮して記載して
いる。
【0038】そして、上記した第1の金属管3の内部
に、第2の金属管5が挿入される。この時、各金属管
3,5は、外径にして約10[mm]の差異が有るの
で、外側の金属管3の内周壁3aと内側の金属管5の外
周壁5aとの相互間には所定の隙間が形成される。本実
施形態では、この隙間が各金属管3,5の全周において
一定とすべく、両者の中心軸が同心となるように位置決
めし、且つ、図4(B)に示すように、各金属管3,5
の一端部を相互に接合している。
【0039】各金属管3,5の相互の接合方法として
は、図4(B)に示すように、外側の第1の金属管3は
そのままの形状とし、内側の第2の金属管5の一端部を
第1の金属管3側に屈曲させている。そして、相互に接
触した部分をスポット溶接によって密着させるようにな
っている。一方、各金属管3,5の相互間の他端部は、
上記した加熱溶融性材7を充填できるように、全体が解
放されている。
【0040】次に、以上のように構成された金属管3,
5の曲げ加工の方法について詳述する。先ず、加熱溶融
性材7が、上記した各金属管3,5の相互間に形成され
た空間部に充填される。このとき、加熱溶融性材7は予
め加熱されて溶融しているので、充填作業は容易に行う
ことができる。ここでは、充填する領域として金属管
3,5の相互間についてのみ説明するが、曲げ加工の目
的に応じて、第2の金属管5の内部に加熱溶融性材7を
充填するようにしてもよい。但しこの場合は、金属管3
の下端部に、封止部材を嵌合する必要がある。
【0041】加熱溶融性材7が充填されたら、この金属
管3,5を加熱溶融性材の融点以下の温度まで自然冷却
する。これによって、加熱溶融性材7が硬化する。そし
て、加熱溶融性材7が硬化した後には、上記したロール
方式のベンダー装置31(図9参照)によって、金属管
3,5の曲げ加工を行う。本実施形態では、図5に示す
ように、金属管3,5の略中央部で60[°]の曲げ加
工を行った。そして、曲げ加工と同時に、各金属管3,
5を高周波加熱している。ここで、曲げ加工に際して
は、上記した如く、加熱溶融性材7が金属管3,5の相
互間で硬化しているので、各金属管3,5の曲折部9に
しわや座屈等が生じない。
【0042】曲げ加工が終了したら、金属管3,5を所
定温度に再加熱する。再加熱の温度は加熱溶融性材7の
溶融する温度、即ち融点以上の温度である。これは、第
一の実施形態で述べた如く、その材質によってそれぞれ
異なる。
【0043】以上のように曲げ加工された金属管3,5
の曲折部9における断面図を図6に示す。この図6によ
ると、外側の第1の金属管3と内側の第2に金属管5の
中心軸がそれぞれ一致している。即ち、曲げ加工によっ
ても両金属管3,5の相対的な位置関係が変化しないこ
とがわかる。また本実施形態にかかる方法を用いると、
金属管3,5の曲折部9に座屈現象やしわ等も発生しな
い。
【0044】一方、図7は曲げ加工に際して、何らの対
策を施さなかった場合の、二重管の曲折部の断面図を示
している。この図7から明らかなように、この場合に
は、金属管23と金属管25の中心軸がeだけずれてし
まっている。
【0045】次に、上記した各実施形態についての具体
的実験結果について、図表8に基づいて説明する。
【0046】先ず、実験番号1の実験は、加熱溶融性材
として、KNO3とNaNO2 とを混合した溶融塩を200
[℃]で溶融して、金属管に充填した場合である。そし
てその後、加熱溶融性材が硬化するのを待ち、硬化した
後、ロール方式のベンダー装置11(図2参照)に装填
して曲げ加工を行った。このとき、曲げ加工される部分
は、予め加熱装置で加熱しておき、金属管が約140
[℃]になるように設定した。そして、曲げ加工後に再
び200[℃]程度に加熱して、溶融塩を外部に排出し
た。この実験では、曲折部にしわや座屈は発見されず、
良好な曲げ加工特性を示した。
【0047】次に、実験番号2は、曲げ加工される部分
を加熱せずに加工した場合で、その他の実験条件は、上
記実験番号1と同様である。この実験では、外側の金属
管の曲げ加工部の外側にいわゆる偏肉現象が発生し、ま
た曲げ加工部の内側にしわが発生した。これは、溶融塩
が十分な強度を有する一方で、金属管の内周壁とのすべ
り抵抗が大きく、円滑に金属管が加工されなかったこと
が原因である。
【0048】上記二つの実験結果から、金属管の内部に
加熱溶融性材としての溶融塩を充填すると共に、金属管
を加熱することによって金属管と加熱溶融性材の間のす
べり抵抗が減少して、小さな曲げ加工力で良好な曲げ加
工特性を得ることができる。
【0049】また、実験番号3,4は、二重管について
の実験である。この実験結果からも明らかなように、二
重管に対しても本発明が有効に適用できる。また、実験
番号5,6,7,8は加熱溶融性材として塩化物を用い
る場合を示している。ここで、図8から明らかなよう
に、曲げ加工時の温度は、硝酸塩等を使用する場合には
約140[℃]程度とし、一方、塩化物等を使用する場
合には、620[℃]程度に設定している。これは、塩
化物の融点が比較的高いためである。従って、金属管に
前処理として防錆等のための表面処理がなされている場
合には、これらを破損しないように、硝酸塩等を使用し
た曲げ加工を行うことが有効である。一方、曲げ加工の
ために金属管を高温に加熱する必要が有る場合には、塩
化物を使用することが有効である。
【0050】
【発明の効果】本発明は以上のように、予め溶融した加
熱溶融性材を金属管内に充填し、これを冷却により硬化
させ、次にその金属管を加熱しながら金属管の曲げ加工
をした後、加熱溶融性材を再び加熱して排出するように
した。このため、金属管の曲げ加工部に座屈やしわ、そ
して断面の扁平化現象等が発生せず、適切に金属管の曲
げ加工をすることができる、という優れた効果を生じ
る。
【0051】また、加熱溶融性材として溶融塩を用いる
ので、融点が正確に把握でき、金属管に対する温度管理
が容易に行える、という優れた効果を生じる。また、溶
融塩の融点はその材質によって様々であり、曲げ加工に
用いられる金属管の材質や形状そして表面処理の有無等
に応じて適切に選択することができる、という優れた効
果を生じる。
【0052】また、金属管を曲げ加工する際には、金属
管を加熱溶融性材の融点付近の所定温度に加熱して曲げ
加工することとした。このため、金属管の曲げ加工に際
して、各金属管の壁面と硬化した加熱溶融性材との間に
溶融塩が介在することとなる。これにより、金属管と加
熱溶融性材との間のすべり抵抗が減少して、小さな加工
力によって円滑に曲げ加工を行うことができる、という
優れた効果を生じる。
【0053】更に、金属管の加熱に際しては、高周波加
熱装置を用いるので、加熱溶融性材と金属管との接触部
を効率よく加熱できる。このため、加熱溶融性材と金属
管の接触部相互間に溶融塩が介在し、相互間のすべり抵
抗が低減され、より円滑に金属管の曲げ加工を行うこと
ができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す図であり、図1
(A)は金属管の平面図を示し、図1(B)は金属管の
断面図を示す。
【図2】加熱装置を備えたロール方式のベンダー装置を
示す一部省略した説明図である。
【図3】曲げ加工のフローチャートを示す図である。
【図4】第二の実施形態を示す図であり、図4(A)は
金属管の平面図を示し、図4(B)は金属管の断面図を
示す。
【図5】図4に開示した金属管の曲げ加工後の状態を示
す図である。
【図6】図5に開示した金属管の曲げ加工部の断面図を
示す。
【図7】加熱溶融性材を充填せず二重管を曲折させた場
合の曲折部の断面図を示す。
【図8】各種条件下での実験結果を示す図表である。
【図9】金属管を曲げ加工するためのロールベンダー装
置を示す一部省略した説明図であり、図9(A)は曲げ
加工前の状態を示し、図9(B)は曲げ加工後の状態を
示す。
【符号の説明】 1 金属管 3 第1の金属管 5 第2の金属管 7 加熱溶融性材 9 曲げ加工部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空の金属管と、この金属管の端部に配
    設される封止部材とを備え、前記金属管内に予め加熱し
    溶融した加熱溶融性材を充填すると共に、前記金属管を
    前記加熱溶融性材の融点以下の温度に冷却して前記加熱
    溶融性材を硬化させ、前記金属管を曲げ加工した後、前
    記金属管を再加熱して前記加熱溶融性材を再び溶融させ
    て排出することを特徴とした金属管の加工方法。
  2. 【請求項2】 中空の第1の金属管と、この第1の金属
    管の内部に配設される第2の金属管とを備え、この第2
    の金属管を前記第1の金属管の内周壁から離間させて配
    置すると共に、前記第1の金属管と前記第2の金属管の
    端部を相互に接合し、 しかる後、第1の金属管と第2の金属管の相互間に予め
    加熱し溶融した加熱溶融性材を充填すると共に、前記各
    金属管を前記加熱溶融性材の融点以下の温度に冷却して
    前記加熱溶融性材を硬化させ、前記各金属管を曲げ加工
    した後、この金属管を前記加熱溶融性材の融点以上の温
    度に再加熱して前記加熱溶融性材を再び溶融させて排出
    することを特徴とした金属管の加工方法。
  3. 【請求項3】 前記加熱溶融性材として溶融塩を用いる
    ことを特徴とした請求項1または2記載の金属管の加工
    方法。
  4. 【請求項4】 前記各金属管を曲げ加工する際に、前記
    各金属管を前記加熱溶融性材の融点近傍の所定温度に加
    熱して曲げ加工することを特徴とした請求項1,2また
    は3記載の金属管の加工方法。
  5. 【請求項5】 前記金属管の加熱に際しては、高周波加
    熱装置を用いることを特徴とした請求項1,2,3また
    は4記載の金属管の加工方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002120020A (ja) * 2000-10-18 2002-04-23 Opton Co Ltd 二重管の曲げ加工方法及びその装置
CN101804429A (zh) * 2010-03-26 2010-08-18 东莞市旗丰消声器有限公司 一种双层管的弯管工艺

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