JPH09231936A - 熱電子によるクリーニング装置 - Google Patents

熱電子によるクリーニング装置

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JPH09231936A
JPH09231936A JP3357596A JP3357596A JPH09231936A JP H09231936 A JPH09231936 A JP H09231936A JP 3357596 A JP3357596 A JP 3357596A JP 3357596 A JP3357596 A JP 3357596A JP H09231936 A JPH09231936 A JP H09231936A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電子衝撃加熱法では完全に除去できない付着物
を確実に除去し、しかも装置を小型で安価なものにす
る。 【構成】ガスボンベ29のArガスを超高真空試料処理
室2内に導入した後、フィラメント加熱用電源24でフ
ィラメント23に電流を流してフィラメント23を加熱
し、かつ第2電圧印加用電源27により、ガスイオン化
手段26に正の電圧を印加し、更に第1電圧印加用電源
25′により、試料4に負の電圧を印加する。フィラメ
ント23の加熱で発生した熱電子eはガスイオン化手段
26の正ので電圧により加速されてArガスと相互作用
を起こしてArガスをイオン化し、Ar+イオンを発生
する。更にAr+イオンは、試料4の負の電圧により加
速され、勢いよく試料4に衝突する。このイオン衝撃
で、Ar+イオンは試料4の表面に付着している付着物
をスパッターし、試料4をクリーニングする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子顕微鏡や表面
分析機器等の各種電子光学機器あるいは元素・構造分析
機器等の各種分析機器に用いられ、試料や探針等の機器
内に配置されクリーニングを必要とする被クリーニング
部材をクリーニングするためのクリーニング装置の技術
分野に属し、特に熱電子により被クリーニング部材をク
リーニングするようになっている熱電子によるクリーニ
ング装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から種々開発されている、例えば電
子顕微鏡や表面分析機器等の各種電子光学機器あるいは
例えば元素・構造分析機器等の各種分析機器において
は、試料や探針等の被クリーニング部材のクリーニング
を電子衝撃加熱法により行っている。この電子衝撃加熱
法は、フィラメントにより発生させた熱電子を被クリー
ニング部材に衝突させてこの被クリーニング部材を加熱
させることにより、クリーニングを行う方法である。
【0003】図4は、このような電子衝撃加熱法が採用
されている従来の機器として、超高真空走査型トンネル
顕微鏡(UHV−STM)を概略的に示す図である。図
中、1はUHV−STM、2は超高真空試料処理室、3
は超高真空試料処理室2内に回転可能に設けられたパー
キング機構、4はパ−キング部材3に保持された試料、
5はパ−キング部材3に保持された探針、6は試料4を
観察するための像観察室、7は像観察室6内に配置され
試料および探針が装着されるSTMステージ、8は試料
4や探針5等を超高真空試料処理室2内に搬送する第1
搬送機構、9は鉄芯等の第1芯棒、10は第1芯棒9の
先端に設けられ試料4や探針5等を把持する第1把持
部、11は第1芯棒9を保持する第1マグネット、12
は第1マグネット11を案内する第1ガイドレール、1
3は試料4や探針5を像観察室6内に搬送する第2搬送
機構、14は鉄芯等の第2芯棒、15は第2芯棒14の
先端に設けられ試料4や探針5等を把持する第2把持
部、16は第2芯棒14を保持する第2マグネット、1
7は第2マグネット16を案内するガイドレール、18
は超高真空試料処理室2と像観察室6と気密に連結する
第1連結通路、19は第1連結通路18を開閉する第1
ゲートバルブ、20は試料4や探針5等の交換室、21
は超高真空試料処理室2と交換室20と気密に連結する
第2連結通路、22は第2連結通路21を開閉する第2
ゲートバルブである。
【0004】図4に示すように、このように構成された
UHV−STM1においては、試料4や探針5等を超高
真空試料処理室2および像観察室6に搬送する場合、ま
ず第1および第2ゲートバルブ19,22を閉じて、各
室2,6,20を互いに遮断する。この状態で交換室20
を大気圧とし、この大気圧状態で試料4や探針5等を交
換室20に入れれて第1把持部10に把持させる。次
に、交換室20を大気に対して気密に密閉して、交換室
20内を所定の負圧の高真空状態にした後、第2ゲート
バルブ22を開けて第2連結通路21を開き、超高真空
試料処理室2と交換室20とを連通する。次に、手動ま
たは図示しない動力モータにより、第1搬送機構8の第
1マグネット11をガイドレール12に沿って超高真空
試料処理室2の方へ第1芯棒9とともに移動し、第1把
持部10に把持された試料4や探針5等を超高真空試料
処理室2内に搬送してパーキング機構3に取り付ける。
【0005】その後、第1マグネット11、第1芯棒9
および第1把持部10を図示の元の位置に戻すととも
に、第2ゲートバルブ22を閉じて、超高真空試料処理
室2内を再び超高真空状態にする。この状態で、超高真
空試料処理室2内において試料4や探針5等を電子衝撃
加熱法によりクリーニングする。次に、第1ゲートバル
ブ19を開けて第1連結通路18を開き、超高真空試料
処理室2と像観察室6とを連通する。そして、手動また
は図示しない動力モータにより、第2搬送機構13の第
2マグネット16をガイドレール17に沿ってパーキン
グ機構3の方へ第2芯棒14とともに移動し、第2把持
部15によりパーキング機構3に取り付けられた試料4
または探針5を把持する。更に、第2マグネット16を
ガイドレール17に沿って像観察室6の方へ第2芯棒1
4、第2把持部15および第2把持部15に把持された
試料4または探針5とともに移動し、試料4または探針
5を像観察室6内に搬送して像観察室6内のSTMステ
ージ7の所定位置に装着する。その後、像観察室6内で
UHV−STM1による試料4の観察を行う。
【0006】図5はこのUHV−STM1の超高真空試
料処理室2内における電子衝撃加熱法によるクリーニン
グを説明する図である。図中、23は熱電子eを発生さ
せるフィラメント、24はこのフィラメント23を加熱
するためのフィラメント加熱用電源、25は試料4や探
針5等(図では代表して試料4が記載されており、以後
の説明において試料4について説明するが、探針5等の
他の被クリーニング部材でも試料4の場合と同様であ
る)に正の電圧を印加するための電圧印加用電源であ
る。
【0007】電子衝撃加熱法により試料4をクリーニン
グする場合、図5に示すように超高真空試料処理室2内
において、まずフィラメント加熱用電源24によりフィ
ラメント23に電流を流して、フィラメント23を加熱
するとともに、電圧印加用電源25により試料4に正の
電圧(例、数100〜1000V)を、パーキング機構
3を介して印加する。
【0008】フィラメント23が加熱されることによ
り、フィラメント23から熱電子eが発生するととも
に、この熱電子eは試料4に印加された正の電圧により
引っ張られて加速され、勢いよく試料4に衝突する。こ
の電子衝撃で試料4が加熱されることにより、試料4が
クリーニングされる。この電子衝撃加熱法によるクリー
ニングは、比較的除去しやすい付着物を簡単な構造でか
つ簡単な方法で除去することができるという効果があ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
試料4の表面に高融点の物質が付着したり、炭化物等の
化合物ができたりした場合、この従来の電子衝撃加熱法
ではこれらの付着物を完全に除去することはできない。
【0010】そこで、このような電子衝撃加熱法では完
全に除去できない付着物を試料表面から除去するため
に、従来ではイオン銃によるエッチング等の試料4のス
パッタクリーニングが行われている。しかしながら、イ
オン銃によるスパッタクリーニングでは、クリーニング
装置が大型になるばかりでなく、コストが高いものとな
る。
【0011】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、電子衝撃加熱法では完全に
除去できない付着物をも確実に除去することができ、し
かも小型で安価な、熱電子によるクリーニング装置を提
供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の発明は、試料処理室内にガスを導入す
るガス導入手段と、前記試料処理室内に配設され、加熱
されることにより熱電子を発生させるフィラメントと、
このフィラメントを加熱するための加熱用電源と、前記
試料処理室内に配設され、試料や探針等の被クリーニン
グ部材が取り付けられるパーキング機構と、前記被クリ
ーニング部材に負の電圧を印加する第1電圧印加手段
と、前記試料処理室内に配設され、発生した前記熱電子
を加速して前記ガスに相互作用させて前記ガスをイオン
化するためのガスイオン化手段と、このガスイオン化手
段に正の電圧を印加するための第2電圧印加手段とを備
えていることを特徴としている。
【0013】また請求項2の発明は、試料処理室内にガ
スを導入するガス導入手段と、前記試料処理室内に配設
され、加熱されることにより熱電子を発生させるフィラ
メントと、このフィラメントを加熱するための加熱用電
源と、前記試料処理室内に配設され、試料や探針等の被
クリーニング部材が取り付けられるパーキング機構と、
前記被クリーニング部材に正の電圧または負の電圧を選
択的に印加する第1電圧印加手段と、前記試料処理室内
に配設され、発生した前記熱電子を加速して前記ガスに
相互作用させて前記ガスをイオン化するためのガスイオ
ン化手段と、このガスイオン化手段に正の電圧を必要時
に印加するための第2電圧印加手段と、前記フィラメン
トと前記被クリーニング部材との間の位置または前記フ
ィラメントと前記被クリーニング部材との間から外れた
位置に、前記ガスイオン化手段を選択的に移動設定する
ための移動手段とを備えていることを特徴としている。
【0014】
【作用】このような構成をした請求項1の発明の熱電子
によるクリーニング装置においては、ガス導入手段によ
りガスが試料処理室内に所定圧だけ導入される。この状
態で、加熱用電源によりフィラメントが加熱されるとと
もに、第1電圧印加手段により、被クリーニング部材に
負の電圧が印加され、更に第2電圧印加手段により、ガ
スイオン化手段に正の電圧が印加される。フィラメント
の加熱により、フィラメントから熱電子eが発生すると
ともに、この熱電子はガスイオン化手段に印加された正
の電圧により引っ張られて加速され、ガスイオン化手段
の近傍で超高真空試料処理室内のガスと相互作用を起こ
してそのガスがイオン化されて正のガスイオンになる。
更にこのガスイオンは、被クリーニング部材に印加され
た負の電圧により引っ張られて加速され、勢いよく被ク
リーニング部材に衝突する。このガスイオンの衝突によ
るイオン衝撃で、ガスイオンは被クリーニング部材の表
面に付着している付着物をスパッターし、被クリーニン
グ部材をクリーニングする。特に、フィラメントをほぼ
アース電位とすることにより、ガスイオンの大部分が負
の電圧に印加されている被クリーニング部材のみと衝突
するようになり、他の部分をスパッターすることはな
い。したがって、請求項1の発明のクリーニング装置に
おいては、イオン衝撃により被クリーニング部材をに付
着している、電子衝撃加熱法では除去できない付着物を
も確実に除去されるようになる。すなわち、従来のイオ
ン銃によるエッチング等のクリーニングと同等の作用効
果が得られる。
【0015】更に、従来のイオン銃によるクリーニング
方法では、イオン銃からのイオンの加速速度が大きく、
しかも元が絞られているため、イオンを被クリーニング
部材に衝突させるためのアライメントが難しいが、本発
明によるクリーニング方法では被クリーニング部材に負
の電圧が印加されているため、ガスイオンが被クリーニ
ング部材に確実に衝突するようになり、アライメントが
きわめて容易となる。
【0016】また請求項2の発明においては、移動手段
により、ガスイオン化手段がフィラメントと被クリーニ
ング部材との間の位置またはフィラメントと被クリーニ
ング部材との間から外れた位置のいずれかに選択的に移
動設定されるようになる。そして、ガスイオン化手段が
フィラメントと被クリーニング部材との間の位置に設定
されたときは、請求項1の発明と同様にイオン衝撃法に
よる被クリーニング部材のクリーニングが行われる。ま
た、ガスイオン化手段がフィラメントと被クリーニング
部材との間から外れた位置に設定されたときは、従来の
電子衝撃加熱法による被クリーニング部材のクリーニン
グが行われる。こうして、請求項2の発明においては、
電子衝撃加熱法によるクリーニングとイオン衝撃法によ
るクリーニングとの2つの方法によるクリーニングが行
われるようになる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態を説明する。図1は本発明にかかる熱電子による
クリーニング装置をUHV−STMに適用した場合の実
施の形態の一例を示す、図5と同様の図である。なお、
前述の従来のUHV−STMと同じ構成要素には同じ符
号を付すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0018】図1に示すように本例のクリーニング装置
においては、図5に示す従来の超高真空試料処理室2内
のクリーニング装置におけるフィラメント23と試料4
との間に、アルゴン(Ar)ガスをイオン化するため
の、グリッドやメッシュからなるガスイオン化手段26
が配設されている。また本例においては、試料4に負の
電圧を印加するための第1電圧印加用電源25′と、ガ
スイオン化手段26に正の電圧を印加するための第2電
圧印加用電源27とが設けられている。更に、超高真空
試料処理室2は、ガス導入用バルブ28を介してガスボ
ンベ29が接続されている。このガスボンベ29内には
Arガスが貯えられている。なお、ガスボンベ29内の
ガスはArガス以外の不活性ガスでもよいが、ガスの重
量等を考慮すると、Arガスが最も望ましい。本例の他
の構成は、図4および図5に示す従来のUHV−STM
1およびクリーニング装置の構成と同じである。
【0019】このように構成された本例のクリーニング
装置においては、前述の従来の場合と同様に超高真空試
料処理室2内のパーキング機構3に試料4を取り付ける
とともに、超高真空試料処理室2内を超高真空状態にす
る。その後、ガス導入用バルブ28を操作して、ガスボ
ンベ29のArガスを超高真空試料処理室2内に所定圧
(例、10ー4〜10ー3 Pa程度)だけ導入する。
【0020】次に、フィラメント加熱用電源24によ
り、フィラメント23に数Aの電流を流してフィラメン
ト23を加熱するとともに、第2電圧印加用電源27に
より、ガスイオン化手段26に正の電圧(例、50〜数
100V)を印加し、更に第1電圧印加用電源25′に
より、パーキング機構3を介して試料4に負の電圧
(例、数100〜1000V)を印加する。
【0021】フィラメント23の加熱により、フィラメ
ント23から熱電子eが発生するとともに、この熱電子
eはガスイオン化手段26に印加された正の電圧により
引っ張られて加速され、ガスイオン化手段26の近傍で
超高真空試料処理室2内のArガスと相互作用を起こし
てArガスをイオン化し、Ar+イオンが発生する。更
にこのAr+イオンは、試料4に印加された負の電圧に
より引っ張られて加速され、勢いよく試料4に衝突す
る。このAr+イオンの衝突によるイオン衝撃で、Ar+
イオンは試料4の表面に付着している付着物をスパッタ
ーし、試料4をクリーニングする。このとき、フィラメ
ント23はほぼアース電位となっているため、Ar+
オンの大部分は負の電圧に印加されている試料4のみと
衝突するようになり、他の部分をスパッターすることは
なく、試料4の付着物が効率よく除去されるようにな
る。
【0022】このように本例のクリーニング装置によれ
ば、ガスイオン化手段26により熱電子eを加速してA
rガスと相互作用を起こさせてArガスをイオン化し、
更に発生したAr+イオンを試料4に勢いよく衝突させ
ているので、この衝突によるイオン衝撃で試料4に付着
している、電子衝撃加熱法では除去できない付着物をも
確実に除去することができるようになる。すなわち、従
来のイオン銃によるエッチング等のクリーニングと同等
の作用効果を得ることができる。
【0023】また、Ar+イオンのほとんどが試料4の
みをイオン衝撃するので、試料4の付着物を効率よく除
去できる。その場合、超高真空試料処理室2内へのAr
ガスの導入はそれほど多く必要はないので、超高真空試
料処理室2内の真空度をほとんど低下させなくて済むよ
うになる。
【0024】更に、従来のイオン銃によるクリーニング
方法では、イオン銃からのイオンの加速速度が大きく、
しかも元が絞られているため、イオンを試料4に衝突さ
せるためのアライメントが難しいが、本例によるクリー
ニング方法では試料4に負の電圧を印加しているため、
Ar+イオンを試料4に確実に衝突させることができ、
アライメントがきわめて容易となる。
【0025】更に、本例によるクリーニング方法ではガ
スイオン化手段26をフィラメント23と試料4との間
に単に介在させるとともに、ガスイオン化手段26に正
の電圧を印加するだけであるので、クリーニング装置が
大型になることはなく、しかもコストの増大も抑制でき
る。
【0026】図2は、本発明の実施の形態の他の例を示
す図1と同様の図である。なお、前述の従来のUHV−
STMおよび図1に示す例と同じ構成要素には同じ符号
を付すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0027】図2に示すように本例は、試料4をクリー
ニングする場合に代えて、図1に示すクリーニング装置
により、探針5をクリーニングする場合の例である。し
たがって、本例のクリーニング装置の構成は図1に示す
クリーニング装置の構成とまったく同じである。
【0028】前述の従来の場合と同様に探針5をパーキ
ング機構3に取り付けた後、図1に示す試料4のクリー
ニングとまったく同様にして、Ar+イオンの探針5へ
の衝突によるイオン衝撃で探針5をクリーニングする。
【0029】このように本例では、試料4のイオン衝撃
による前述のクリーニングの作用とまったく同じ作用が
行われ、したがってその効果も前述のクリーニングの効
果とまったく同じ効果が得られる。
【0030】図3は、本発明の実施の形態の更に他の例
を示す図1と同様の図であり、(a)は電子衝撃加熱法
によるクリーニングを説明する図、(b)はイオン衝撃
法によるクリーニングを説明する図である。なお、前述
の従来のUHV−STMおよび図1に示す例と同じ構成
要素には同じ符号を付すことにより、その詳細な説明は
省略する。
【0031】本例のクリーニング装置は、図3(a)に
示す電子衝撃加熱法によるクリーニングと図3(b)に
示すイオン衝撃法によるクリーニングとの両方のクリー
ニングが行われるようにされている。本例を具体的に説
明すると、超高真空試料処理室2の側壁における、フィ
ラメント23とフィラメント加熱用電源24との2つの
接続部30,31の取付部位2aが、直線移動用ベロー
ズ32を介して側壁の他の部分2bと連結されている。
すなわち、接続部30,31が直線移動用ベローズ32
を駆動することにより左右に直線移動可能とされてい
る。これによりフィラメント23は、電子衝撃加熱法に
よる図示のクリーニング位置とイオン衝撃法によるクリ
ーニング位置(不図示:図示位置より左方)との間で、
直線移動可能とされている。
【0032】また、ガスイオン化手段26を支持する支
持棒33が超高真空試料処理室2の側壁にその長手方向
軸回り回転可能に設けられているとともに、支持棒33
を回転させるための、例えばマグネット等からなる回転
駆動手段34が設けられている。この回転駆動手段34
を駆動して支持棒33を回転させることにより、ガスイ
オン化手段26が、フィラメント26とパーキング機構
3との間から外れた図示の不使用位置と、フィラメント
26とパーキング機構3との間に位置する使用位置(不
図示)との間で、回転移動可能とされている。そして、
ガスイオン化手段26は、図3(a)に示すようにフィ
ラメント23が電子衝撃加熱法によるクリーニング位置
にあるときは不使用位置に、また図3(b)に示すよう
にフィラメント23がイオン衝撃法によるクリーニング
位置にあるときは使用位置にそれぞれ選択的に設定され
るようになっている。
【0033】更に、図3(a)に示すようにフィラメン
ト23が電子衝撃加熱法によるクリーニング位置に設定
されかつガスイオン化手段26が不使用位置に設定され
た電子衝撃加熱法によるクリーニングのときは、試料4
に電圧を印加する電圧印加用電源は図示の電圧印加用電
源25が用いられ、試料4は正の電圧が印加されるよう
になっている。その場合、不使用位置にあるガスイオン
化手段26には電圧は印加されないとともに、ガス導入
用バルブ28が閉じられて、超高真空試料処理室2内に
はArガスは導入されない。
【0034】また、図3(b)に示すようにフィラメン
ト23がイオン衝撃法によるクリーニング位置に設定さ
れかつガスイオン化手段26が使用位置に設定されたイ
オン衝撃法によるクリーニングのときは、試料4に電圧
を印加する電圧印加用電源は第1電圧印加用電源25′
が用いられ、試料4は負の電圧が印加されるようになっ
ている。すなわち試料4には、正または負の電圧がクリ
ーニング方法に応じて切換印加されるようになってい
る。更に、ガスイオン化手段26に電圧を印加する電圧
印加用電源は第2電圧印加用電源27が用いられ、ガス
イオン化手段26は正の電圧が印加されるようになって
いる。
【0035】このように構成された本例のクリーニング
装置においては、電子衝撃加熱法により試料4や探針5
等の被クリーニング部材をクリーニングすることができ
るとともに、イオン衝撃法による被クリーニング部材を
クリーニングすることができる。したがって、本例のク
リーニングによれば、電子衝撃加熱法によるクリーニン
グの利点とイオン衝撃法による利点との両方の利点を併
せ有するという効果を得ることができる。
【0036】なお、図3(a)および(b)に示す例で
は、超高真空試料処理室2の側壁における接続部30,
31の取付部位を直線移動ベローズ32により左右直線
移動可能として、フィラメント23を移動させるように
しているが、フィラメント23を移動させるための手段
として、フィラメント23をガスイオン化手段26と干
渉しない位置に移動可能であれば、他のどのような手段
を用いることもできる。また同様に、ガスイオン化手段
26も電動モータ等以外の他の回転駆動手段を用いるこ
ともできる。更に、ガスイオン化手段26は回転運動に
よる以外に、直進運動により使用位置と不使用位置との
間を移動させるようにすることもできる。
【0037】また、前述の各例では、本発明のクリーニ
ング装置をUHVーSTM1に適用した場合について説
明しているが、本発明は熱電子を用いて被クリーニング
部材をクリーニングするクリーニング装置を備えている
ものであれば、例えば電子顕微鏡や表面分析機器等の各
種電子光学機器あるいは元素・構造分析機器等の各種分
析機器等の他のどのような機器にも適用することができ
る。
【0038】更に、超高真空試料処理室2内に連通する
専用のクリーニング室を設け、このクリーニング室で試
料4や探針5等のクリーニングを行うようにすることも
できる。また、従来のイオン銃を本発明のクリーニング
装置と併用して試料4や探針5等のクリーニングを行う
ようにすることもできる。このイオン銃の併用によるク
リーニングは、例えば試料の一部のみを深く掘り下げて
クリーニングする場合に好適なものとなる。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の熱電子によるクリーニング装置によれば、ガスイオン
化手段により熱電子をガスと相互作用を起こさせてイオ
ン化したガスを被クリーニング部材に勢いよく衝突させ
ているので、この衝突によるイオン衝撃で被クリーニン
グ部材に付着している、電子衝撃加熱法では除去できな
い付着物をも確実に除去することができる。すなわち、
従来のイオン銃によるエッチング等のクリーニングと同
等の作用効果を得ることができる。
【0040】特に、フィラメントをほぼアース電位とす
ることにより、ガスイオンの大部分が負の電圧に印加さ
れている被クリーニング部材のみをイオン衝撃するの
で、被クリーニング部材の付着物を効率よく除去でき
る。その場合、試料処理室内へのガスの導入はそれほど
多く必要はないので、試料処理室内の圧力をほとんど変
化させなくて済むようになる。
【0041】更に、従来のイオン銃によるクリーニング
方法では、イオン銃からのイオンの加速速度が大きく、
しかも元が絞られているため、イオンを被クリーニング
部材に衝突させるためのアライメントが難しいが、本発
明のクリーニング方法によれば、被クリーニング部材に
負の電圧を印加しているため、正のガスイオンを被クリ
ーニング部材に確実に衝突させることができ、アライメ
ントがきわめて容易となる。
【0042】更に、請求項1の発明によれば、ガスイオ
ン化手段をフィラメントと被クリーニング部材との間に
単に介在させ、かつガスイオン化手段に正の電圧を印加
するだけであるので、クリーニング装置が大型になるこ
とはなく、しかもコストの増大を抑制でき、装置を比較
的安価に形成することができる。
【0043】また請求項2の発明によれば、移動手段に
より、ガスイオン化手段がフィラメントと被クリーニン
グ部材との間の位置またはフィラメントと被クリーニン
グ部材との間から外れた位置のいずれかに選択的に移動
設定できるようにしているので、イオン衝撃法によるク
リーニングと電子衝撃加熱法によるクリーニングとを行
うことができるようになる。したがって、請求項2の発
明によれば、請求項1の発明と同様のイオン衝撃法によ
る効果と、従来の電子衝撃加熱法による効果、すなわち
比較的除去しやすい付着物を簡単な構造でかつ簡単な方
法で除去することができるという効果とを得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる熱電子によるクリーニング装
置を超高真空走査型トンネル顕微鏡に適用した場合の実
施の形態の一例を模式的に示す図である。
【図2】 本発明にかかる熱電子によるクリーニング装
置を超高真空走査型トンネル顕微鏡に適用した場合の実
施の形態の他の例を模式的に示す図である。
【図3】 本発明にかかる熱電子によるクリーニング装
置を超高真空走査型トンネル顕微鏡に適用した場合の実
施の形態の更に他の例を模式的に示し、(a)は電子衝
撃加熱法によるクリーニングを示す図、(b)はイオン
衝撃法によるクリーニングを示す図である。
【図4】 従来の超高真空走査型トンネル顕微鏡の一例
を模式的に示す図である。
【図5】 従来の電子衝撃加熱法による試料や探針等の
クリーニング装置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…超高真空走査型トンネル顕微鏡(UHV−ST
M)、2…超高真空試料処理室、3…パーキング機構、
4…試料、5…探針、6…像観察室、7…STMステー
ジ、8…第1搬送機構、9…第1芯棒、10…第1把持
部、11…第1マグネット、12…第1ガイドレール、
13…第2搬送機構、14…第2芯棒、15…第2把持
部、16…第2マグネット、17…ガイドレール、18
…第1連結通路、19…第1ゲートバルブ、20…交換
室、21…第2連結通路、22…第2ゲートバルブ、2
3…フィラメント、24…フィラメント加熱用電源、2
5…電圧印加用電源、25′…第1電圧印加用電源、2
6…ガスイオン化手段、27…第2電圧印加用電源、2
8…ガス導入用バルブ、29…ガスボンベ、30,31
…接続部、32…直線移動用ベローズ、33…支持棒、
34…回転駆動手段、e…熱電子、Ar+…アルゴンガ
スイオン

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料処理室内にガスを導入するガス導入
    手段と、前記試料処理室内に配設され、加熱されること
    により熱電子を発生させるフィラメントと、このフィラ
    メントを加熱するための加熱用電源と、前記試料処理室
    内に配設され、試料や探針等の被クリーニング部材が取
    り付けられるパーキング機構と、前記被クリーニング部
    材に負の電圧を印加する第1電圧印加手段と、前記試料
    処理室内に配設され、発生した前記熱電子を加速して前
    記ガスに相互作用させて前記ガスをイオン化するための
    ガスイオン化手段と、このガスイオン化手段に正の電圧
    を印加するための第2電圧印加手段とを備えていること
    を特徴とする熱電子によるクリーニング装置。
  2. 【請求項2】 試料処理室内にガスを導入するガス導入
    手段と、前記試料処理室内に配設され、加熱されること
    により熱電子を発生させるフィラメントと、このフィラ
    メントを加熱するための加熱用電源と、前記試料処理室
    内に配設され、試料や探針等の被クリーニング部材が取
    り付けられるパーキング機構と、前記被クリーニング部
    材に正の電圧または負の電圧を選択的に印加する第1電
    圧印加手段と、前記試料処理室内に配設され、発生した
    前記熱電子を加速して前記ガスに相互作用させて前記ガ
    スをイオン化するためのガスイオン化手段と、このガス
    イオン化手段に正の電圧を必要時に印加するための第2
    電圧印加手段と、前記フィラメントと前記被クリーニン
    グ部材との間の位置または前記フィラメントと前記被ク
    リーニング部材との間から外れた位置に、前記ガスイオ
    ン化手段を選択的に移動設定するための移動手段とを備
    えていることを特徴とする熱電子によるクリーニング装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011095266A (ja) * 2010-12-10 2011-05-12 Hitachi High-Technologies Corp 走査型電子顕微鏡を備えたプローバ装置及びプローバ装置の探針クリーニング方法
CN111727488A (zh) * 2018-02-07 2020-09-29 株式会社日立高新技术 清洁装置

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