JPH09229887A - ガス種判別方法及びガス濃度測定方法 - Google Patents

ガス種判別方法及びガス濃度測定方法

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JPH09229887A
JPH09229887A JP3324696A JP3324696A JPH09229887A JP H09229887 A JPH09229887 A JP H09229887A JP 3324696 A JP3324696 A JP 3324696A JP 3324696 A JP3324696 A JP 3324696A JP H09229887 A JPH09229887 A JP H09229887A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガス種の判別操作が容易でかつ、比較的小型
のガス検知装置によって、ガス種を判別できる技術を提
供する事。 【解決手段】 半導体式ガス検出部4を設け、半導体式
ガス検出部4を加熱する加熱手段、及び、半導体式ガス
検出部4の温度を測定する温度検出手段を設けてなるガ
ス検知素子を、加熱手段により所定温度に設定し、複数
種のガス濃度に調整された複数のガス種をそれぞれ各別
に接触させたときの半導体式ガス検出部4からの第一出
力と、半導体式ガス検出部4の温度変化に伴う温度検出
手段からの第二出力との相関関係図を相関関係曲線とし
て各別に予め求めておき、所定温度に設定されるガス検
知素子に、被検知ガスを接触させたときに得られる第一
出力の出力結果と、第二出力の出力結果との関係を示す
点を相関関係図上に記録したときに、その点が相関関係
曲線上にある場合、その被検知ガスが相関関係曲線を与
えるガス種のものであると判別する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、未知のガス種を検
知してそのガス種を判別したり、判別しガス種の濃度を
測定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、未知のガス種を特定するために
は、ガス選択性の異なるガス検知素子を複数用い、各ガ
ス検知素子の出力から得られるパターン情報が、特定ガ
ス種により異なることを利用してガス種を判別せざるを
得なかった。ところで、上述の操作を行うことは困難で
あり、マイコン等を用いたパターン情報処理技術を開発
する試みが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のパタ
ーン情報処理によるガス種判別方法によれば、ガス検知
素子を複数利用するために、ガス種の判別操作が煩わし
いものになり、ガス検知素子を複数備えたガス検知装置
を利用すると、そのガス検知装置自体が大型化し、ま
た、消費電力が大きくなるなど、さらに不都合が生じる
もことが考えられる。また、複数のガス検知素子を併用
すると、環境条件の変化や、長期にわたる使用によって
は、前記ガス検知素子の特性(例えば、出力の周囲温度
依存性、周囲湿度依存性、ガス検知出力、ガスに対する
選択性、の応答速度あるいはそのパターン)が変化して
しまう。しかも、その特性変化の度合いが各ガス検知素
子ごとにまちまちで、追跡困難である現状では、前記特
性変化に対応した情報を欠くという点から、パターン認
識技術自体に不確定要素が生じ、ガス種の判別さえ困難
な状況になっていた。また、使用環境の相違や、長期使
用によっても信頼性高くかつ安定して、前記ガス種の濃
度を特定することは、さらに困難とならざるを得なかっ
た。
【0004】従って、本発明の目的は、上記実情に鑑
み、ガス種の判別操作が容易でかつ、比較的小型のガス
検知装置によって、ガス種を判別できる技術を提供する
事にある。また、さらには、その判別に基づいてガス濃
度までも、容易に決定出来る技術を提供する事にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、半導体式
ガス検知素子を構成する金属酸化物半導体では、その表
面酸素と被検知ガスである還元性ガスが反応した場合、
前記金属酸化物半導体の抵抗値の変化をもたらすと同時
に、前記半導体式ガス検知素子の温度を低温にシフトさ
せる見かけ上の吸熱反応が生じているという新知見を見
いだした。本発明は、上記新知見に基づき成されたもの
である。つまり、先の新知見によれば、被検知ガスであ
る還元性ガスが半導体式ガス検知素子に接触すれば、通
常、その半導体式ガス検知素子を構成する金属酸化物半
導体の活性点で反応し、前記半導体式ガス検知素子を高
温側にシフトさせるものと思われがちであるのに対し
て、実際には、例えば、前記被検知ガスがメタンのよう
な燃焼性の低いガスである場合には、接触燃焼による発
熱反応が起き難く、表面酸素に反応して前記金属酸化物
半導体の抵抗値に変化をもたらす見かけ上の吸熱反応が
同時に起きて、時によっては半導体式ガス検知素子を低
温側にシフトさせる事があるという現象を説明すること
が出来る。尚、必ずしも低温側にシフトしないのは、被
検知ガスの接触燃焼による発熱反応が同時に伴うという
点から説明することが出来、例えば、水素のような燃焼
性の高いガスは、前記半導体式ガス検知素子に接触して
も、急速に接触燃焼反応が主として前記半導体式ガス検
知素子の表層付近で進行し、発熱する現象が主に起き、
前記半導体式ガス検知素子内部の金属酸化物半導体の表
面酸素と反応して前記金属酸化物半導体の抵抗値に変化
をもたらすような反応が起きにくく、つまり見かけ上の
吸熱反応が起きにくくなるために、前記金属酸化物半導
体と反応して前記半導体式ガス検知素子を低温側にシフ
トさせる現象が見かけ上観測されないものと考えられ
る。 〔構成1〕先述の目的を達成するための本発明のガス種
判別方法の特徴手段は、半導体式ガス検出部を設け、前
記半導体式ガス検出部を加熱する加熱手段、及び、前記
半導体式ガス検出部の温度を測定する温度検出手段を設
けてなるガス検知素子を用い、前記加熱手段により所定
温度に設定される前記ガス検知素子に、複数種のガス濃
度に調整された複数のガス種をそれぞれ各別に接触させ
たときの前記半導体式ガス検出部からの第一出力と、半
導体式ガス検出部の温度変化に伴う前記温度検出手段か
らの第二出力との相関関係を、前記複数のガス種につい
て各別に予め求めておき、前記加熱手段により所定温度
に設定される前記ガス検知素子に、被検知ガスを接触さ
せたときに得られる第一出力の出力結果と、第二出力の
出力結果との関係が前記相関関係のうちいずれかを満た
すときに、その被検知ガスが前記相関関係を与えるガス
種のものであると判別することにあり、前記第一出力と
第二出力との前記相関関係は、被検知ガスの相関関係曲
線図として座標平面上に求めてもよく、前記第一出力と
第二出力とから導かれる所定の関数として求めてもよ
い。尚、前記ガス検知素子としては、前記加熱手段と前
記温度検出手段とを一つの抵抗体から構成してあるもの
を用いることが好ましい。以下に上述の構成による作用
効果を示す。
【0006】〔作用効果〕半導体式ガス検出部を設け、
前記半導体式ガス検出部を加熱する加熱手段、及び、前
記半導体式ガス検出部の温度を測定する温度検出手段を
設けてなるガス検知素子を用い、前記加熱手段により所
定温度に設定される前記ガス検知素子に、被検知ガスが
接触すると、前記半導体式ガス検出部では、半導体抵抗
が変化し、前記被検知ガスを検出できるとともに、前記
半導体式ガス検出部が前記被検知ガスを検出したとき
に、その半導体式ガス検出部が温度変化するのを前記温
度検出手段によって測定する事ができる。
【0007】尚、前記半導体式ガス検出部は前記加熱手
段により所定温度に設定された状態で作動させること
で、温度変化としては、特に前記被検知ガスによる温度
変化だけを検出できる。
【0008】また、前記加熱手段により所定温度に設定
される前記ガス検知素子に、複数種のガス濃度に調整さ
れた複数のガス種をそれぞれ各別に接触させると、前記
半導体式ガス検出部からの第一出力と、半導体式ガス検
出部の温度変化に伴う前記温度検出手段からの第二出力
とを得られる。
【0009】そこで、本発明は、先の新知見を総括し、
上述の半導体式ガス検出部を用いて、被検知ガスを検知
させれば、例えば、半導体式ガス検出部の抵抗値にあま
り影響を与えないガス種は、前記半導体式ガス検出部
で、主として接触燃焼が起こり、前記半導体式ガス検出
部の温度が上昇するのに対して、半導体式ガス検出部の
抵抗値に大きな影響を与えるガス種は、前記半導体式ガ
ス検出部で見かけ上の吸熱反応を併発するために、あま
り温度変化を伴わず、前記第一出力と、前記第二出力と
は、ガス種によって固有の相関関係を示すという現象を
見いだした。従来、複数のガス検知素子を用いてパター
ン認識してガス種を判別する場合には不可避であった環
境変化等によるガス主判別の不確実性を、単一のガス検
知素子から二種の出力をえるということで生じにくく出
来、容易に環境の変化等に対応して正確な相関関係を得
られる。
【0010】つまり、特定ガス種のガス種の濃度に基づ
いて、前記第一出力と、前記第二出力との相関関係を求
めれば、第一出力と、第二出力と関係がそのガス種固有
のものとして得られる。そこで、前記複数のガス種につ
いて、各ガス種に対する相関関係を各別に予め求めてお
けば、前記加熱手段により所定温度に設定される前記ガ
ス検知素子に、被検知ガスが予め相関関係曲線を求めて
あるガス種であれば、前記被検知ガスを接触させると第
一出力の出力結果と、第二出力の出力結果との対応関係
が得られる。従って、前記対応関係がいずれかのガス種
の相関関係を満たすものであった場合には、その被検知
ガスは、前記相関関係を示すガス種のものであると判別
する事ができる。
【0011】例えば、前記第一出力と第二出力との前記
相関関係としては、被検知ガスの相関関係曲線図として
座標平面上に求めてもよく、前記第一出力と第二出力と
から導かれる所定の関数として求めてもよく、先の場合
には視覚的にガス種を判別しやすくでき、後の場合には
演算素子等を用いて演算させ、自動的にガス種を認識す
るのに有用である。
【0012】その結果、複数のガス種について、各ガス
種に関する二種の出力の相関関係を各別に予め求めてお
けば、比較的小型のガス検知装置を適用して、二種の出
力を前記相関関係曲線に照合したり、所定の関数に適用
して演算結果を求め、その演算結果が、どのガス種が固
有に示す数値であるかを認識するだけの簡単な判別方法
でガス種を判別できるようになった。
【0013】また、前記ガス検知素子として、前記加熱
手段と前記温度検出手段とを一つの抵抗体から構成して
あるものを用いれば、さらに前記ガス検知素子を小型化
することができ、そのガス検知素子による消費電力も少
なくできて好都合である。
【0014】〔構成2〕また、先述の目的を達成するた
めの本発明のガス濃度測定方法の特徴手段は、半導体式
ガス検出部を設け、前記半導体式ガス検出部を加熱する
加熱手段、及び、前記半導体式ガス検出部の温度を測定
する温度検出手段を設けてなるガス検知素子を用い、前
記加熱手段により所定温度に設定される前記ガス検知素
子に、複数種のガス濃度に調整された複数のガス種をそ
れぞれ各別に接触させたときの前記半導体式ガス検出部
からの第一出力と、半導体式ガス検出部の温度変化に伴
う前記温度検出手段からの第二出力と、前記被検知ガス
のガス濃度との相関関係を、座標空間に求めておき、前
記加熱手段により所定温度に設定される前記ガス検知素
子に、被検知ガスを接触させたときに得られる第一出力
の出力結果と、第二出力の出力結果とから被検知ガスを
判別するとともに、前記ガス濃度を求める、あるいは、
先のガス種判別方法によってガス種を判別し、前記第一
出力と第二出力とのいずれか一方とガス濃度との相関関
係から、ガス濃度を求めることにある。尚、この場合
も、前記加熱手段と前記温度検出手段とを一つの抵抗体
から構成してあるガス検知素子を用いることが好まし
い。以下に上述の構成による作用効果を示す。
【0015】〔作用効果〕つまり、先のガス種判別方法
の場合に、得られた二次元的な相関関係に、ガス濃度情
報を加えた相関関係を予め得ておけば、第一出力の出力
結果と、第二出力の出力結果とから被検知ガスを判別す
るとともに、前記第一出力の出力結果と、第二出力の出
力結果とを前記ガス濃度情報に対応させるだけで、前記
ガス濃度を求める事が出来るのである。また、先のガス
種判別方法によってガス種を判別した後、前記ガス濃度
をある程度見当の付けられる様な場合、例えば、ガス濃
度が低濃度であると予想される場合には、前記第一出力
とガス濃度との相関関係からガス濃度を求めることによ
って、逆に、ガス濃度が高濃度であると予想される場合
には、前記第二出力とガス濃度との相関関係からガス濃
度を求めることによって高い精度をもって被検知ガスの
ガス濃度を測定することができる。その結果、先のガス
種判別方法によって得られるガス種の情報に加えて、そ
のガス濃度の情報に付いても容易に得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1に示すように、本発明のガス
種判別方法に用いるガス検知素子は、センサ基板1の一
面に白金を主成分とする櫛形電極部2、他面に白金を主
成分とする抵抗部3を設けてあり、前記櫛形電極部2上
には酸化スズ半導体層4を設けてある。つまり、前記櫛
形電極部2を覆う酸化スズ半導体層4が半導体式ガス検
出部となり、前記抵抗部3が、前記酸化スズ半導体層を
加熱する加熱手段と、前記酸化スズ半導体層の温度を検
出する温度検出手段とを兼ねる抵抗体に形成されてい
る。
【0017】このような、ガス検知素子は、前記櫛形電
極部2の両端を第一ガス検知回路中に接続して、前記酸
化スズ半導体層4を組み込み、前記酸化スズ半導体層4
が被検知ガスに接触したときの抵抗変化に基づく出力を
検知可能に構成するとともに、第二ガス検知回路中に前
記抵抗部3の両端を接続して、前記抵抗部3で発生する
ジュール熱により、前記酸化スズ半導体層4を所定温度
に維持可能にし、かつ、前記酸化スズ半導体層4が被検
知ガスを検知したときのの温度変化に基づく第二出力を
検知可能に構成して用いられる。
【0018】例えば、図2に示す構成においては、前記
酸化スズ半導体層4に対して抵抗11を接続するととも
に、前記酸化スズ半導体層4の抵抗値の変化に伴う前記
抵抗11の両端12、13にかかる電圧の変化を検知自
在に構成して前記第一ガス検知回路10を構成する。ま
た、前記抵抗部3とを抵抗21及び互いに直列に接続し
た抵抗22、23、及び、可変抵抗24とからブリッジ
回路を構成し、前記酸化スズ半導体層4の温度変化に基
づき、前記抵抗部3の抵抗値が変化するのに伴う、前記
抵抗部3と前記抵抗21の間にある出力端子25と前記
抵抗22と23の間にある出力端子26とのブリッジ出
力の変化を検知自在に構成して前記第二ガス検知回路2
0を構成してある。
【0019】前記ガス検知素子を用いて本発明のガス種
判別方法により、ガス種を判別するには、前記ガス検知
素子を、前記抵抗部3に通電することにより所定温度に
設定し、例えば、水素ガス、メタンガス、イソブタンガ
ス、エタノール、一酸化炭素ガス等の各種被検知ガスを
種々濃度に調整したものを用意しておき、それぞれのガ
スを各別に前記ガス検知素子に接触させたとき、前記酸
化スズ半導体4の抵抗値の変化に基づく第一出力と、前
記酸化スズ半導体4の温度変化に伴う前記抵抗部3の抵
抗値の変化に基づく第二出力との相関関係を、前記複数
のガス種について、例えば、各ガス種に対する相関関係
曲線として各別に予め求めておく。前記相関関係曲線と
しては、図3に示すように、例えば前記抵抗11にかか
る電圧の変化を第一出力として縦軸に、前記ブリッジ電
圧を第二出力として横軸にとり、相関関係図を作成して
あってもよいし、図4、5に示すように、前記第二出力
を縦軸に、前記被検知ガスと接触したときの前記酸化ス
ズ半導体4の抵抗値と清浄な空気が接触したときの前記
酸化スズ半導体4の抵抗値との比を第一出力として横軸
にとり、相関関係図を作成してあってもよい。
【0020】次に、前記ガス検知素子を前記相関関係図
を作成したガス検知条件に維持した状態で、被検知ガス
を接触させたときに得られる第一出力の出力結果と、第
二出力の出力結果との関係を示す点を前記相関関係図上
に記録する。このとき、例えば前記点が、a点(図3参
照)であったとすると、被検知ガスは水素ガスの相関関
係曲線上にあるから、水素ガスであると判断でき、b点
(図5参照)であったとすると、被検知ガスはエタノー
ルの相関関係曲線上にあるから、エタノールであると判
断するわけである。また、前記a点は、水素ガスの相関
関係曲線における1000ppmにおける第一出力の出
力結果と、第二出力の出力結果との関係を示す点に一致
しているから(図3中の数値は第一出力と第二出力との
相関金機が得られるガス濃度を示している。)、この水
素ガス濃度は1000ppmであると判断できる。尚、
ガス濃度については、前記相関関係図とは別に、前記第
一出力と第二出力とのいずれか一方とガス濃度との相関
関係から求めてもよい。
【0021】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0022】所定濃度の四塩化スズの水溶液に、所定割
合で塩化アンチモンを添加した水溶液を調整しておく。
この水溶液にアンモニア水を滴下して水酸化スズの沈殿
物を得る。前記沈殿物を水洗、乾燥後、電気炉で焼成し
て、酸化スズを得る。前記酸化スズを粉砕して微粉末に
し、水で練って酸化スズのペーストを得る。
【0023】また、一方、アルミナ製センサ基板1の一
面に白金を主成分とする櫛形検出電極2を設けるととも
に他面に白金を主成分とする抵抗部3を形成してセンサ
の基体を形成しておく。
【0024】前記酸化スズのペーストを前記基体の一面
の前記櫛形電極部2を覆うように塗布し、乾燥後900
℃で2時間焼成して、前記基体に酸化スズ半導体層4を
設けるとともに、予め0.05mol/L、0.1mo
l/Lの塩化パラジウム水溶液をそれぞれ調整してお
き、前記酸化スズ半導体層4に、前記塩化パラジウム水
溶液のそれぞれ1μlを含浸させ、前記酸化スズ半導体
層4にパラジウム(金属パラジウムのみならずパラジウ
ム酸化物を含む場合もあるが、このような状態のパラジ
ウムを単にパラジウムと称する)を担持させてガス検知
素子A、Bを得る。あるいは、前記酸化スズのペースト
を前記基体の一面の櫛形電極部2を覆うように塗布し、
乾燥後1200℃で2時間焼成し、前記基体に前記酸化
スズ半導体層4を設けてガス検知素子Cを得る。
【0025】前記ガス検知素子Aのガス検知特性を調べ
たところ、図6に示すようになり、メタン、イソブタ
ン、水素の順に、前記酸化スズ半導体の抵抗に大きな影
響を与え、かつ、水素、イソブタン、メタンの順に、前
記酸化スズ半導体の温度に大きな影響を与えるというこ
とがわかった。また、前記ガス検知素子Aを図2に示す
ガス検知回路10、20に組み込み、抵抗11にかかる
電圧の変化を第一出力として縦軸に、前記第二ガス検知
回路のブリッジ出力を第二出力として横軸にとり、前記
ガス検知素子Aを470℃で作動させ、様々な濃度に調
整した各種のガスを検知して、これら第一、第二出力の
相関関係図を得たところ、図3に示すようになった。こ
れにより、前記第一出力と、前記第二出力とは、ガス種
によって固有の相関関係を示すという新知見が得られ
た。
【0026】このような半導体式ガス検知素子の熱収支
については、未だ解明されておらず、新たな知見である
と言えるので、以下に上述の現象について考察する。
【0027】還元性ガスに接した時の半導体式ガス検知
素子の抵抗値変化は、以下のように説明される。例えば
前記半導体式ガス検知素子を構成する金属酸化物半導体
がn−型半導体である場合に、還元性ガスはその金属酸
化物半導体の表面に負荷吸着し、伝導電子の運動を妨げ
ていた表面酸素を消費するため、前記表面酸素が電子の
流通を阻害する作用が減少するとともに、前記表面酸素
によって拘束されていた電子が伝導電子として開放され
るので、伝導電子金属酸化物半導体の抵抗値は低下す
る。ここで熱収支について考えると、例えば、前記酸化
スズ半導体層4が厚さ1μm以下の酸化スズ薄膜である
場合であっても、ガス、固体の熱伝導による放熱の寄与
は無視できるほどの微量であることが確認されているた
め、上述の現象は金属酸化物半導体の表面酸素と還元性
ガスとの反応に基づくものといえる。つまり、その金属
酸化物半導体の表面から酸素吸着を解き放つ時のエネル
ギーの一部が前記半導体式ガス検知素子側から供給され
ているものと考えれば、前記半導体式ガス検知素子がエ
ネルギーを放出して低温側にシフトするとして説明でき
る。ここで、被検知ガス(還元性ガス)に生じる反応に
ついて考えると、前記被検知ガスは、主に前記半導体式
ガス検知素子の表面近傍で生じる前記金属酸化物半導体
の燃焼活性点での燃焼反応(発熱反応)と、金属酸化物
半導体に負荷吸着している表面酸素との金属酸化物半導
体に抵抗値変化をもたらす反応(見かけ上の吸熱反応)
という二面性があることが容易に理解できる。そこで、
例えばメタンのような燃焼性の低い被検知ガスを検知し
た場合、見かけ上の吸熱反応が発熱反応に勝ち、前記半
導体式ガス検知素子を低温側にシフトさせ、逆に、前記
半導体式ガス検知素子を高温側にシフトさせることがあ
るのは、例えば、水素のような燃焼性の高い被検知ガス
を検知した場合に、発熱反応が見かけ上の吸熱反応に勝
っているものと説明できる。
【0028】つまり、各々のガス種が固有に有する燃焼
性の差異が、先の二種の出力の相関関係にそのまま反映
されるため、その相関関係は、各ガス種について固有の
ものとなって、二種の出力を測定してその関係を求めた
ときに、その関係が前記相関関係を満たすかどうかを判
断すれば、そのガス種を判別することができるのであ
る。
【0029】また、前記ガス検知素子B,Cについて
も、図2に示すガス検知回路10、20に組み込み、酸
化スズ半導体4が被検知ガスと接触したときの抵抗値と
清浄な空気が接触したときの前記半導体式ガス検出部の
抵抗値との比(ガス感度)を第一出力として横軸に、前
記第二ガス検知回路のブリッジ出力を第二出力として縦
軸にとり、相関関係図を作成したところ、図4、5に示
すようになり、やはり、前記第一出力と、前記第二出力
とは、ガス種によって固有の相関関係を示すことが判明
した。
【0030】〔別実施形態〕以下に別実施形態を説明す
る。先の実施の形態では、第一出力と第二出力との相関
関係図をもってガス種を判別したが、以下のようにして
前記第一出力と第二出力とから導かれる導かれる所定の
関数によって得られる数値をもとに、ガス種を判別して
もよい。
【0031】例えば、金属酸化物半導体の抵抗値はガス
濃度によって数1のように変化することが知られてい
る。
【0032】
【数1】LogR=−aLogC+b 但し、R :金属酸化物半導体の抵抗値 C :被検知ガスの濃度 a,b:定数
【0033】また、ガス検知素子の金属酸化物半導体の
温度変化に対応する第二出力はガス濃度に比例すること
を考えあわせれば、前記第一出力と第二出力とをそれぞ
れx,yとすると、式1における定数aがガス種によっ
て大きく異ならないかぎりにおいてほぼ z=y/xK (Kは定数) とする場合に前記ガス種の濃度によらずzをほぼ一定に
できる定数kが存在することになる。そこで、先の実施
の形態と同様に前記第一出力と第二出力との関係を、 z=x2/y として求めると、表1に示すように、zは各ガス種ごと
にある決まった範囲の数値をとり、固有の数値範囲を有
するので第一出力と第二出力との相関関係をzの値とし
て求めることが出来ることがわかる。そこで前記第一出
力と第二出力との関係を、同様の被検知ガスの検知条件
によって求めて得たzの値が、たとえば負の大きな値で
あったとすると、その被検知ガスはメタンである、ある
いは、正の大きな値であれば、イソブタンであり、正の
小さな値であれば水素であると判別することが出来る。
【0034】
【表1】
【0035】また、先の実施の形態では、前記抵抗部3
をもって前記酸化スズ半導体層を加熱する加熱手段と、
前記酸化スズ半導体層の温度を検出する温度検出手段と
を兼ねる構成に形成したが、図7に示すように、前記抵
抗部に替え、たとえば、単に前記酸化スズ半導体層を加
熱するだけのヒーター5を設けて加熱手段を構成し、か
つ、単に温度を検出するだけの温度検出電極部6を設け
て温度検出手段を構成してあってもよく、ガス検知素子
として、加熱手段、および、温度検出手段を備えてあれ
ば、一体のものに限らず別体であってもよい。さらに、
崎の実施形態でも前記金属酸化物半導体層として酸化ス
ズ半導体を用いたが、先に述べた知見に基づけば、還元
性ガスが負荷吸着した表面酸素と見かけ上の吸熱反応を
起こす、例えば酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化鉄、酸
化タングステン等の他の半導体材料を用いて半導体式ガ
ス検出部4を構成してあってもよく、さらにいえば、こ
れら半導体材料に例えば貴金属や金属酸化物等の種々の
触媒を添加した金属酸化物半導体層4から前記半導体式
ガス検出部を構成してあってもよい。つまり、金属酸化
物半導体層4は、材料、構造によらず用いることが出
来、上述の種々の構成を半導体式ガス検出部と称する。
【0036】尚、特許請求の範囲の項に、図面との対照
を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明
は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態におけるガス検知素子の概略図
【図2】実施の形態におけるガス検知回路の概略図
【図3】ガス検知素子Aのガス検知特性の相関関係図
【図4】ガス検知素子Bのガス検知特性の相関関係図
【図5】ガス検知素子Cのガス検知特性の相関関係図
【図6】ガス検知素子Aのガス検知特性をしめすグラフ
【図7】別実施形態におけるガス検知素子の概略図
【符号の説明】 4 半導体式ガス検出部 3 抵抗体

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体式ガス検出部(4)を設け、前記
    半導体式ガス検出部(4)を加熱する加熱手段、及び、
    前記半導体式ガス検出部(4)の温度を測定する温度検
    出手段を設けてなるガス検知素子を用い、 前記加熱手段により所定温度に設定される前記ガス検知
    素子に、複数種のガス濃度に調整された複数のガス種を
    それぞれ各別に接触させたときの前記半導体式ガス検出
    部(4)からの第一出力と、半導体式ガス検出部(4)
    の温度変化に伴う前記温度検出手段からの第二出力との
    相関関係を、前記複数のガス種について各別に予め求め
    ておき、 前記加熱手段により所定温度に設定される前記ガス検知
    素子に、被検知ガスを接触させたときに得られる第一出
    力の出力結果と、第二出力の出力結果との関係が前記相
    関関係のうちの何れかを満たすときに、 その被検知ガスが前記相関関係を与えるガス種のもので
    あると判別するガス種判別方法。
  2. 【請求項2】 前記第一出力と第二出力との前記相関関
    係を、被検知ガスの相関関係曲線図として座標平面上に
    求める請求項1に記載のガス種判別方法。
  3. 【請求項3】 前記第一出力と第二出力とから導かれる
    所定の関数として、前記相関関係を求める請求項1に記
    載のガス種判別方法。
  4. 【請求項4】 前記加熱手段と前記温度検出手段とを一
    つの抵抗体(3)から構成してあるガス検知素子を用い
    る請求項1〜3のいずれかに記載のガス種判別方法。
  5. 【請求項5】 半導体式ガス検出部(4)を設け、前記
    半導体式ガス検出部(4)を加熱する加熱手段、及び、
    前記半導体式ガス検出部(4)の温度を測定する温度検
    出手段を設けてなるガス検知素子を用い、 前記加熱手段により所定温度に設定される前記ガス検知
    素子に、複数種のガス濃度に調整された複数のガス種を
    それぞれ各別に接触させたときの前記半導体式ガス検出
    部(4)からの第一出力と、半導体式ガス検出部(4)
    の温度変化に伴う前記温度検出手段からの第二出力と、
    前記被検知ガスのガス濃度との相関関係を、座標空間に
    求めておき、 前記加熱手段により所定温度に設定される前記ガス検知
    素子に、被検知ガスを接触させたときに得られる第一出
    力の出力結果と、第二出力の出力結果とから被検知ガス
    を判別するとともに、前記ガス濃度を求めるガス濃度測
    定方法。
  6. 【請求項6】 前記加熱手段と前記温度検出手段とを一
    つの抵抗体(3)から構成してあるガス検知素子を用い
    る請求項5に記載のガス濃度測定方法。
  7. 【請求項7】 請求項2〜請求項4のいずれかに記載の
    ガス種判別方法によってガス種を判別し、前記第一出力
    と第二出力とのいずれか一方とガス濃度とのガス濃度依
    存関係から、ガス濃度を求めるガス濃度測定方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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US8248253B2 (en) 2008-04-21 2012-08-21 Honeywell International Inc. Fire detector incorporating a gas sensor

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