JPH09229861A - 蛍光顕微鏡 - Google Patents

蛍光顕微鏡

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JPH09229861A
JPH09229861A JP3385196A JP3385196A JPH09229861A JP H09229861 A JPH09229861 A JP H09229861A JP 3385196 A JP3385196 A JP 3385196A JP 3385196 A JP3385196 A JP 3385196A JP H09229861 A JPH09229861 A JP H09229861A
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JP
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excitation light
excitation
fluorescence
predetermined
lights
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JP3385196A
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Shuji Toyonaga
修司 豊永
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BUNSHI BIO PHOTONICS KENKYUSHO
Bunshi Biophotonics Kenkyusho KK
Original Assignee
BUNSHI BIO PHOTONICS KENKYUSHO
Bunshi Biophotonics Kenkyusho KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 デフォーカス光を除去して、被測定物の表面
に限らず内部で発生した2次元蛍光像をもコントラスト
良く検出する。 【解決手段】 レーザ光源101 〜10N から出力され
た互いにインコヒーレントなN個の励起光A1 〜AN
れぞれは、偏光ビームスプリッタ121 〜12Nによっ
て2分岐され、可動鏡15および位相調整板171 〜1
N によってその2光束間に所定の位相差が設定された
後、被測定物40に入射されて干渉縞を形成する。被測
定物40中の励起光強度分布は、N個の励起光A1 〜A
N ごとに形成された干渉縞の強度分布の総和となる。N
個の励起光A1 〜AN それぞれについて2光束間に所定
の位相差を与えたときに発生する2種類の蛍光像それぞ
れを光検出器52で検出し、演算部53にてこれら蛍光
像の差の絶対値をとる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば細胞等の被
測定物に励起光を照射して、被測定物中の蛍光物質から
発生する蛍光の像を検出する蛍光顕微鏡に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】被測定物に励起光を照射すると、その被
測定物に含まれる蛍光物質から蛍光が発生する。蛍光顕
微鏡は、その蛍光像によって被測定物を観察するもので
ある。しかし、一般の蛍光顕微鏡では、観測しようとす
る焦点位置から発生した蛍光像だけでなく、種々のノイ
ズ光をも観察するので、このノイズ光がコントラスト低
下の原因となる。したがって、弱い蛍光像を観察するに
は、ノイズ光を低減してコントラストを向上させること
が重要となる。
【0003】蛍光顕微鏡におけるノイズ光には、種々の
要因に依るものがあり、大きくは、光学系(レンズ、フ
ィルタ等)に起因するものと被測定物に起因するものと
に分けられる。更に、光学系に起因するノイズ光には、
光学材料から発生する自家蛍光とレンズ等の表面での反
射光(フレアー光)とがある。また、被測定物に起因す
るノイズ光には、励起光の散乱、蛍光標識以外の発色団
からの蛍光、および、観察面以外からのデフォーカス光
がある。
【0004】これらノイズ光のうち特にデフォーカス光
を低減する蛍光顕微鏡として、従来より、コンフォーカ
ル蛍光顕微鏡、定在波蛍光顕微鏡および全反射蛍光顕微
鏡が知られている。
【0005】この内、コンフォーカル蛍光顕微鏡では、
図17に示すように、レーザ光源1から出力された励起
光Aが、ダイクロイックミラー2で反射され対物レンズ
3で集光されて被測定物4に照射され、被測定物4中の
所定位置から発生した蛍光Bのみが、対物レンズ3とダ
イクロイックミラー2を経由しピンホール5の位置に結
像され光検出器6で効率よく検出される。一方、被測定
物4中の他の位置から発生した蛍光C(デフォーカス
光)は、ピンホール5の位置に結像されないので、光検
出器6によって検出される量は少ない。このようにし
て、被測定物4中の所定位置から発生した蛍光のみを高
効率に観察するものである。
【0006】また、定在波蛍光顕微鏡は、図18に示す
ように、レーザ光源から出力された励起光を2光束A1
およびA2に分岐した後これらを被測定物4の位置で交
差させて干渉縞を形成し、その干渉縞Dの明線位置から
発生した蛍光像を検出器6で観察するものである(例え
ば、USP4621911、F.Lanni, "Standing-Wave
Fluorescent Microscopy", Applications of Fluoresce
nt in the BiomedicalScience, pp.505-521, 1986)。
【0007】また、全反射蛍光顕微鏡は、被測定物表面
で励起光を全反射させ、エバネッセント光を被測定物の
表面近傍に局在させて、その表面近傍から発生した蛍光
を検出するものである(例えば、D.Axelrod, etal, "Ad
sorption Kinetics on Biological Membrances: Measur
ement by Total Internal Reflection Fluorescent",Ap
plications of Fluorescent in the Biomedical Scienc
e, pp.461-476, 1986)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
例では下記のような問題点がある。コンフォーカル蛍光
顕微鏡(図17)では、対物レンズ3についてのピンホ
ール5の共焦点位置から発生した蛍光のみを検出するこ
とから、被測定物4から発生した蛍光の2次元像を検出
するためには、被測定物4またはピンホール5を2次元
状に走査する必要があり、したがって、2次元蛍光像を
検出するには時間を要するという問題点がある。
【0009】これに対して、定在波蛍光顕微鏡(図1
8)は、2次元蛍光像を一度に検出するものである。し
かし、励起光の波長をλとし、被測定物4の屈折率をn
とし、励起光の2光束A1およびA2それぞれが顕微鏡
の光軸となす角度をθとすると、干渉縞Dの明線の周期
は、λ/(2n・cosθ)となる。したがって、励起
光の2光束A1およびA2それぞれの入射角度によって
は、被測定物4中に干渉縞の明線が複数存在する場合も
ある。また、θの値を90゜付近に設定すれば、被測定
物4中に干渉縞の明線を1つだけ存在させることもでき
るが、その明線の幅が太くなる。何れにしても、デフォ
ーカス光を完全には除去することができない。
【0010】また、全反射蛍光顕微鏡も、2次元蛍光像
を一度に検出するものである。しかし、観察できるのは
被測定物の表面近傍のみであって、被測定物の内部を観
察することはできない。
【0011】本発明は、上記問題点を解消する為になさ
れたものであり、デフォーカス光を除去して、被測定物
の表面に限らず内部で発生した2次元蛍光像をも、コン
トラスト良く検出することができる蛍光顕微鏡を提供す
ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る蛍光顕微鏡
は、被測定物に励起光を照射して発生した蛍光像を観察
する蛍光顕微鏡であって、(1) 互いにインコヒーレント
な2以上の所定数の励起光を発生する励起光発生手段
と、(2) 所定数の励起光それぞれを2光束に分岐する励
起光分岐手段と、(3) 所定数の励起光それぞれについ
て、励起光分岐手段によって分岐されて形成された2光
束間の位相差を調整する位相調整手段と、(4) 所定数の
励起光それぞれについて、位相調整手段によって位相調
整された2光束を互いに所定の角度で交差させて干渉さ
せ、被測定物中の所定平面に平行な干渉縞を形成する励
起光照明手段と、(5) 所定平面で発生した蛍光像を観察
する蛍光像観察手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】この蛍光顕微鏡は以下のように作用する。
励起光発生手段から出力された所定数の励起光それぞれ
は、励起光分岐手段によって2光束に分岐され、位相調
整手段によってその2光束間に所定の位相差が設定され
た後、励起光照明手段によって被測定物に入射されて干
渉縞を形成する。所定数の励起光の相互の間ではインコ
ヒーレントであるので、被測定物中には、所定数の励起
光ごとに干渉縞が形成され、被測定物中の励起光強度分
布は、所定数の励起光ごとに形成された干渉縞の強度分
布の総和となる。そして、位相調整手段によって所定数
の励起光それぞれについて干渉縞それぞれの明線が所定
平面の位置に調整された時に、蛍光像観察手段によって
蛍光像が観察される。
【0014】励起光発生手段は、所定数の励起光の波長
が同一であってもよい。また、励起光照明手段は、所定
数の励起光それぞれについて2光束それぞれが所定平面
に入射する方向と所定平面の法線方向とがなす角度の余
弦値が所定の等差数列上の値であってもよく、その所定
の等差数列は、初期値が1であり、公差が−1より大き
い負数であってもよいし、初期値が0であり、公差が1
より小さい正数であってもよい。
【0015】また、位相調整手段によって所定数の励起
光それぞれについて干渉縞それぞれの明線が所定平面の
位置に調整された時に蛍光像観察手段によって観察され
る第1の蛍光像と、位相調整手段によって所定数の励起
光それぞれについて干渉縞それぞれの暗線が所定平面の
位置に調整された時に蛍光像観察手段によって観察され
る第2の蛍光像とを入力し、第1および第2の蛍光像の
強度差の絶対値を演算する蛍光像演算手段を更に備える
と好適である。
【0016】この場合、位相調整手段によって所定数の
励起光それぞれについて干渉縞それぞれの明線が所定平
面の位置に調整された時に、蛍光像観察手段によって第
1の蛍光像が観察される。また、位相調整手段によって
所定数の励起光それぞれについて干渉縞それぞれの暗線
が所定平面の位置に調整された時に、蛍光像観察手段に
よって第2の蛍光像が観察される。これら第1および第
2の蛍光像は、蛍光像演算手段に入力されて両者の強度
差の絶対値が演算される。このようにして、被測定物中
の所定平面の位置から発生する蛍光像のみが検出され
る。
【0017】また、励起光発生手段は、被測定物中の蛍
光物質が2光子吸収する所定数の励起光を出力するとと
もに、蛍光像観察手段は、位相調整手段によって所定数
の励起光それぞれについて干渉縞それぞれの明線が所定
平面の位置に調整された時に、被測定物中の蛍光物質が
所定数の励起光を2光子吸収して発生した蛍光像を観察
することとしてもよい。この場合も、被測定物中の所定
平面の位置から発生する蛍光像が検出される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を詳細に説明する。尚、図面の説明におい
て同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省
略する。
【0019】(第1の実施形態)先ず、第1の実施形態
について説明する。図1は、第1の実施形態に係る蛍光
顕微鏡の構成図である。
【0020】N台のレーザ光源(励起光発生手段)10
1 〜10N それぞれは、被測定物40中に含まれる蛍光
物質を励起するための励起光A1 〜AN を出力するもの
であり、並列に配置される。励起光A1 〜AN それぞれ
は直線偏光であり、互いにインコヒーレントである。ま
た、励起光A1 〜AN は、同一波長であってもよいが、
必ずしも同一波長である必要はなく、被測定物40中の
蛍光物質を励起することができる波長であればよい。こ
こで、Nは2以上である。
【0021】なお、この図では、簡略化の為に励起光A
1 およびAN についての光学系のみ示してある。また、
励起光A1 〜AN それぞれについての光学系は同様であ
るので、以下では第1番目の励起光A1 について主に説
明する。
【0022】レーザ光源101 から出力された励起光A
1 は、先ず1/2波長板111 に入射して偏光方位が調
整されたのち、偏光ビームスプリッタ(励起光分岐手
段)121 に入射する。この時、励起光A1 は、偏光ビ
ームスプリッタ121 への入射面に対して45度方向の
直線偏光とされる。したがって、励起光A1 のs偏光成
分(偏光方向が入射面に垂直な直線偏光)A11は、偏光
ビームスプリッタ121で反射され、シリンドリカルレ
ンズ20に向かう。
【0023】一方、励起光A1 のp偏光成分(偏光方向
が入射面に平行な直線偏光)A12は、偏光ビームスプリ
ッタ121 を透過する。続いて、この励起光A12は、偏
光ビームスプリッタ131 に入射するが、p偏光である
ので偏光ビームスプリッタ131 を透過する。更に、励
起光A12は、1/4波長板14を透過し、光軸方向に移
動可能な可動鏡15で反射され、再び1/4波長板14
を透過して、偏光ビームスプリッタ131 に到達する。
励起光A12は、この往復の間に、1/4波長板14を2
回通過するので、偏光ビームスプリッタ131 に再び到
達した時にはs偏光となっている。したがって、励起光
12は、偏光ビームスプリッタ131 で反射される。そ
の後、励起光A12は、反射鏡161 で反射され、位相調
整板171 を透過して所定の位相遅延が付加され、反射
鏡181 で反射されて、シリンドリカルレンズ30に到
達する。
【0024】ここで、可動鏡15および位相調整板17
1 からなる位相調整手段は、励起光A11およびA12それ
ぞれの間の位相差を調整するものである。特に、可動鏡
15は、他の励起光とともに一括して位相差を調整する
ものであり、位相調整板171 は、励起光A11およびA
12の2光束間についてのみ個別に位相差を調整するもの
である。これら可動鏡15および位相調整板171 は、
微小量だけ位置変化するものであるので、例えばピエゾ
素子によって駆動される。
【0025】以上のようにしてレーザ光源101 から出
力された励起光A1 に基づいて分岐され位相調整されて
形成された2光束A11およびA12それぞれは、励起光照
明手段によって被測定物40に照射される。すなわち、
一方の励起光A11は、シリンドリカルレンズ20によっ
て、ピンホール板21に設けられたピンホール211
置に集光される。図2は、シリンドリカルレンズ20と
ピンホール板21とを側面から見た配置図であり、図3
は、ピンホール板21の平面図である。なお、図3で、
符号20Aを付して破線で囲んだ領域は、シリンドリカ
ルレンズ20をピンホール板21上に投影した位置を示
すものである。
【0026】このシリンドリカルレンズ20は、ピンホ
ール211 〜21N が並んだ方向と直交する方向に曲率
を有する凸レンズであり、互いに平行に入射してきた励
起光A11〜AN1を入射し、その平行を維持したまま励起
光A11〜AN1それぞれを、ピンホール板21に設けられ
たピンホール211 〜21N それぞれの位置に集光す
る。なお、これらピンホール211 〜21N それぞれは
所定の位置に設けられている。すなわち、m番目のピン
ホール21m は、1番目のピンホール211 の位置か
ら、hm =(f・sinθm )/βなる関係式で与えられる
距離hm の位置にある。なお、ここで、θm は、励起光
m1が被測定物40内において光軸となす角度であり、
fは対物レンズ24の焦点距離であり、βはリレーレン
ズ22の倍率である。また、励起光A11〜AN1それぞれ
はピンホール211 〜21N それぞれに入射すべく所定
の光軸上を進む。
【0027】ピンホール211 を通過した励起光A
11は、リレーレンズ22を経て、ダイクロイックミラー
23で反射され、後側焦点位置P1 に一旦集光された
後、対物レンズ24を経て平行光とされ、被測定物40
に入射する。ここで、ダイクロイックミラー23は、励
起光A11〜AN1を反射させ、被測定物40中の蛍光物質
から発生する蛍光Bを透過させるものである。また、後
側焦点位置P1 は、点光源とみなすことができるピンホ
ール211 を透過した励起光A11がリレーレンズ22に
よって再び集光される位置であり、かつ、対物レンズ2
4の焦点位置でもある。
【0028】同様に、他方の励起光A12は、シリンドリ
カルレンズ30によって、ピンホール板31に設けられ
た所定位置のピンホールに集光される。この所定位置の
ピンホールを通過した励起光A12は、リレーレンズ32
を経て、ダイクロイックミラー33で反射され、後側焦
点位置P2 に一旦集光された後、対物レンズ34を経て
平行光とされ、被測定物40に入射する。
【0029】以上のようにして被測定物40に入射した
励起光A11およびA12は、互いに強度が等しく且つコヒ
ーレントなものであるので、被測定物40中にコントラ
ストの良い干渉縞を形成する。
【0030】同様にして、他のレーザ光源10N から出
力された励起光AN は、1/2波長板11N を経た後、
偏光ビームスプリッタ12N によって2光束AN1および
N2に分岐され、励起光AN1は、シリンドリカルレンズ
20、ピンホール板21のピンホール21N 、リレーレ
ンズ22、ダイクロイックミラー23および対物レンズ
24を経て、被測定物40に照射され、一方、励起光A
N2は、偏光ビームスプリッタ13N 、1/4波長板1
4、可動鏡15、反射鏡16N 、位相調整板17N 、反
射鏡18N 、シリンドリカルレンズ30、ピンホール板
31の所定位置のピンホール、リレーレンズ32、ダイ
クロイックミラー33および対物レンズ34を経て、被
測定物40に照射される。
【0031】ここで、N個の励起光Am (m=1〜N)
それぞれによって形成される干渉縞を互いに平行とし、
更に、被測定物40中の所定平面において全ての干渉縞
の明線を一致させると、その所定平面近傍に励起光A1
〜AN のエネルギが集中することになるので、その所定
平面近傍にある蛍光物質が重点的に励起されて蛍光が発
生する。
【0032】被測定物40内の所定平面近傍から発生し
た蛍光Bは、対物レンズ24を透過し、励起光カットフ
ィルタ50を透過し、結像レンズ51で結像されて、光
検出器(蛍光像観察手段)52で撮像され、撮像された
蛍光像は、演算部(蛍光像演算手段)53に入力されて
処理される。ここで、励起光カットフィルタ50は、蛍
光Bを透過させるが、励起光の散乱光を吸収するもので
ある。
【0033】したがって、本実施形態に係る蛍光顕微鏡
は、励起光Am1およびAm2(m=1〜N)それぞれの進
行方向のなす角度を比較的大きく設定する場合に好適な
ものである。
【0034】次に、励起光A11〜AN1およびA12〜AN2
が被測定物40に入射する方向について説明するととも
に、被測定物40内に形成される干渉縞および演算部5
3における処理の内容について更に詳しく説明する。こ
こで、図1中に示すようにxyz直交座標系を考える。
対物レンズ24および34の光軸の方向をz軸方向と
し、励起光A11〜AN1およびA12〜AN2が被測定物40
に入射する時の入射面と平行な面をxz平面とし、干渉
縞と平行な面をxy平面とする。
【0035】このようなxyz直交座標系を考えると、
励起光Am が2分岐された2光束Am1およびAm2(m=
1〜N)それぞれは互いにxy平面に対して対称に被測
定物40に入射することになる。図4は、励起光Am1
よびAm2(m=1〜N)それぞれの進行方向を示す図で
ある。この図に示すように、励起光Am1およびAm2それ
ぞれは、xz平面に平行な面上であって、+z方向およ
び−z方向それぞれと角度θm をなす方向に進む。
【0036】すなわち、励起光Am1およびAm2それぞれ
の電場ベクトルEm1およびEm2それぞれは、
【数1】
【数2】 で表される。ここで、Em は励起光Am1およびAm2それ
ぞれの電場ベクトルの振幅であり、iは虚数単位であ
り、ωm は励起光Am の角周波数であり、tは時間変数
であり、rは位置ベクトルであり、φm1およびφm2は位
相を表す。また、km1およびkm2それぞれは励起光Am1
およびAm2それぞれの波数ベクトルである。したがっ
て、波数ベクトルと位置ベクトルとの内積km1・rおよ
びkm2・rそれぞれは、
【数3】
【数4】 で表される。ここで、πは円周率であり、λm は励起光
m の波長である。
【0037】このような電場ベクトルで表される励起光
m1およびAm2それぞれが被測定物40中に形成する干
渉縞の強度分布は、(1)式と(2)式との和の絶対値
の2乗で求められ、
【数5】 で表される。ここで、Δφm は、
【数6】 で表される励起光Am1およびAm2の間の位相差である。
(5)式から判るように、励起光Am により形成される
干渉縞は、明線と暗線とがxy平面に平行となる。
【0038】したがって、N個の励起光Am (m=1〜
N)それぞれによって形成される干渉縞の全てを加算し
て得られる被測定物40中の励起光強度分布IT は、
【数7】 で表される。ここで、可動鏡15の位置と位相調整板1
1 〜17N それぞれによって与えられる位相差とを適
切に調整することによって、Δφm (m=1〜N)を全
て0にすれば、励起光強度分布IT がz=0の平面上で
最大強度となることが判る。
【0039】次に、1例として、7個(N=7)の励起
光Am (m=1〜7)の電場ベクトルの振幅Em を全て
同一として規格化し、かつ、波長λm を全て同一値λと
し、更に、励起光Am の入射角度θm の余弦値cosθ
m が初期値cosθ1 で公差Δcの等差数列で表される
とした場合、すなわち、
【数8】 なる関係式で表されるとした場合における励起光強度分
布IT を計算により求めた結果について述べる。
【0040】図5は、波長λ=0.5μm、cosθ1
=1、Δc=−0.1、位相差Δφm =0(m=1〜
7)とした場合の励起光強度分布図である。この図から
判るように、励起光強度分布IT は、z軸方向に周期
2.5μmの周期的な分布となり、z=0の平面上で励
起光強度IT が最大となる。また、励起光強度のピーク
幅は0.35μm程度である。さらに、励起光強度のピ
ーク幅は、励起光の数Nが大きいほど狭くなり、ほぼλ
/(2NΔc)で表されることが確認された。そして、
z=0の平面上での励起光強度のピーク値は、ピーク以
外の領域における励起光強度の略2倍となっている。し
たがって、蛍光発生分布は、この励起光強度分布に応じ
たものになる。
【0041】また、図6は、Δφm =180゜(m=1
〜7)とした場合の励起光強度分布図である。この図に
おいて、実線は、Δφm =180゜の場合の励起光強度
分布を表し、破線は、Δφm =0の場合の励起光強度分
布(図5と同じ)を表す。Δφm =180゜の場合の励
起光強度分布は、或オフセット値を中心としてΔφm
0の場合の励起光強度分布を反転した分布となる。すな
わち、z軸方向に周期2.5μmの周期的な分布とな
り、z=0の平面上で励起光強度IT が0となる。ま
た、z=0の平面近傍以外の領域における励起光強度
は、図5に示した対応する領域における励起光強度と略
等しい。この場合の蛍光発生分布も、この励起光強度分
布に応じたものとなる。
【0042】以上のようなΔφm 値(m=1〜7)の調
整は、可動鏡15および位相調整板171 〜17N から
なる位相調整手段によって行なわれる。すなわち、位相
調整板171 〜17N それぞれによって、全てのΔφm
値(m=1〜7)を0とし、励起光A1 〜Am それぞれ
が形成する干渉縞の明線をz=0に一致させる。このよ
うにすることによって、図5に示すような強度分布の励
起光が被測定物40に照射される。そして、これに応じ
て発生した蛍光像は、光検出器52によって撮像され、
演算部53に入力される。
【0043】続いて、可動鏡15を励起光の波長の4分
の1の距離だけ移動して、全てのΔφm 値(m=1〜
7)を180゜とし、励起光A1 〜Am それぞれが形成
する干渉縞の暗線をz=0平面に一致させる。これによ
って、図6に示すような強度分布の励起光が被測定物4
0に照射される。そして、これに応じて発生した蛍光像
も、光検出器52によって撮像され、演算部53に入力
される。
【0044】演算部53では、このようにして入力され
た2つの蛍光像の差の絶対値を計算する。ここで得られ
た2つの蛍光像の差分は、図5に示される励起光強度分
布と図6に示される励起光強度分布との差の絶対値で表
される強度分布の励起光が被測定物40に照射されて発
生した蛍光像に相当するものとなる。図7は、Δφ=0
゜とした場合の励起光強度分布と、Δφ=180゜とし
た場合の励起光強度分布との差を示す図である。
【0045】この図から判るように、Δφ=0゜および
Δφ=180゜それぞれの場合において光検出器52で
撮像された蛍光像それぞれの差の絶対値をとることによ
って、被測定物40中のz=0平面近傍以外の領域に含
まれる蛍光物質から発生した蛍光像はキャンセルされて
強度が弱くなり、被測定物40中のz=0平面近傍の領
域に含まれる蛍光物質から発生した蛍光の像のみが強調
されて得られることとなる。
【0046】尚、この図では、蛍光像が強調される領域
はz軸方向に関して2.5μm間隔で周期的に現れてい
る。しかし、この間隔は、励起光Am の入射角θm の設
定に依存するものであり、cosθm の値それぞれを小
さくすることにより、励起光強度分布におけるピーク間
隔を大きくすることができる(m=1〜N)。したがっ
て、被測定物40中に励起光のピークを1つだけ作るこ
とができるので、被測定物40中の一定の平面(例えば
z=0平面)の極近傍から発生した蛍光像のみを獲得す
ることができる。
【0047】(第2の実施形態)次に、第2の実施形態
について説明する。図8は、第2の実施形態に係る蛍光
顕微鏡の構成図である。
【0048】本実施形態において、レーザ光源10m
ら出力された励起光Am が、1/2波長板11m 、偏光
ビームスプリッタ12m と13m 、1/4波長板14お
よび可動鏡15によって、2光束Am1およびAm2に分岐
される光学系(m=1〜N)については、第1の実施形
態と同様である。また、被測定物40から発生した蛍光
像が、対物レンズ54、励起光カットフィルタ50およ
び結像レンズ51を経て光検出器52に至る光学系につ
いても、第1の実施形態と同様であり、対物レンズ54
を励起光が経由しない点とダイクロイックミラーが存在
しない点で第1の実施形態と異なるだけである。
【0049】本実施形態が第1の実施形態と最も大きく
異なる点は以下のとおりである。すなわち、励起光Am1
およびAm2は、ダイクロイックミラーや対物レンズを経
ることなく直接に被測定物40に入射する。つまり、励
起光Am1は、反射鏡25m で反射された後に被測定物4
0に入射し、また、励起光Am2は、位相調整板17m
位相調整され反射鏡35m で反射された後に被測定物4
0に入射する(m=1〜N)。
【0050】ここで、励起光Am1およびAm2それぞれ
は、これらによって形成される干渉縞が対物レンズ54
の焦点面に平行となるように、所定の角度で被測定物4
0に入射し、被測定物40中で交差して干渉縞を形成す
る(m=1〜N)。
【0051】したがって、本実施形態に係る蛍光顕微鏡
は、励起光Am1およびAm2(m=1〜N)それぞれの進
行方向のなす角度を比較的小さく設定する場合に好適な
ものである。
【0052】本実施形態に係る蛍光顕微鏡において、励
起光Am それぞれについて形成される干渉縞が重畳され
て得られる励起光強度分布IT およびその導出は、
(1)式から(7)式までと同様である。
【0053】次に、1例として、N個の励起光Am (m
=1〜N)の電場ベクトルの振幅Em を全て同一として
規格化し、かつ、波長λm を全て同一値λとし、更に、
励起光Am の入射角度θm の余弦値cosθm が初期値
cosθ1 で公差Δcの等差数列で表されるとした場
合、すなわち、(8)式で表されるとした場合における
励起光強度分布IT を計算により求めた結果について述
べる。
【0054】図9は、N=6、波長λ=0.5μm、c
osθ1 =0.1、Δc=0.1とし、また、全ての位
相差Δφm (m=1〜6)を0および180゜それぞれ
とした場合の励起光強度分布図である。この図におい
て、実線は、Δφm =0の場合の励起光強度分布を表
し、破線は、Δφm =180゜の場合の励起光強度分布
を表す。この場合も、両者の励起光強度分布は、或オフ
セット値を中心として互いに反転した形状の分布とな
る。
【0055】そこで、演算部53は、Δφm =0の場合
の励起光強度分布によって被測定物40から発生した蛍
光像と、Δφm =180゜の場合の励起光強度分布によ
って被測定物40から発生した蛍光像とを入力して、こ
れら2つの蛍光像の差の絶対値をとる。ここで得られた
2つの蛍光像の差分は、図9中の実線で示される励起光
強度分布と破線で示される励起光強度分布との差の絶対
値で表される強度分布の励起光が被測定物40に照射さ
れて発生した蛍光像に相当するものとなる。図10は、
Δφ=0゜とした場合の励起光強度分布と、Δφ=18
0゜とした場合の励起光強度分布との差の絶対値を示す
図である。このようにして、演算部53は、被測定物4
0中のz=0平面近傍から発生した蛍光像のみを検出す
ることができる。
【0056】なお、本実施形態においても、Δφの調整
は、可動鏡15および位相調整板17m (m=1〜N)
によって行なわれる。また、励起光強度分布IT は、z
軸方向に周期2.5μmの周期的な分布となり、z=0
の平面上で励起光強度IT が最大となる。また、励起光
強度のピーク幅は0.35μm程度である。さらに、励
起光強度のピーク幅は、励起光の数Nが大きいほど狭く
なり、ほぼλ/(2NΔc)で表されることが確認され
た。また、本実施形態においても、励起光強度分布の周
期的は、励起光の入射角θm (m=1〜N)の設定に依
存するものである。
【0057】次に、他の計算例について説明する。図1
1は、N=7、波長λ=0.5μm、cosθ1 =0、
Δc=0.1とし、また、全ての位相差Δφm (m=1
〜6)を0および180゜それぞれとした場合の励起光
強度分布図である。この図において、実線は、Δφm
0の場合の励起光強度分布を表し、破線は、Δφm =1
80゜の場合の励起光強度分布を表す。この場合も、両
者の励起光強度分布は、或オフセット値を中心として互
いに反転した形状の分布となる。したがって、Δφ=0
゜とした場合の励起光強度分布と、Δφ=180゜とし
た場合の励起光強度分布との差は、図12に示す図のよ
うになる。
【0058】この計算例における条件は、前述の図9お
よび図10の場合の計算例における条件と比較して、入
射角θ=0の2つの励起光を追加した点のみである。こ
の2つの励起光が形成する干渉パターンは、縞形状とな
ることはなく、Δφ=0゜の場合には、z座標に依存せ
ず一様に明線となり、Δφ=180゜の場合には、z座
標に依存せず一様に暗線となる。
【0059】この入射角θ=0の2つの励起光が追加さ
れた場合におけるΔφ=0゜および180゜それぞれの
励起光強度分布の差(図12)は、それがない場合にお
けるΔφ=0゜および180゜それぞれの励起光強度分
布の差(図10)と比較して、最大ピークにおける強度
が大きくなり、且つ、最大ピークの近くにある第2ピー
クにおける強度が小さくなっている。したがって、この
場合の方が、より励起光を局在させることができたこと
に相当し、よりボケのないシャープな蛍光像を検出する
ことができる。
【0060】(第3の実施形態)次に、第3の実施形態
について説明する。図13は、第3の実施形態に係る蛍
光顕微鏡の構成図である。
【0061】本実施形態においても、互いにインコヒー
レントな励起光A1 〜AN それぞれを出力するN台(N
≧2)のレーザ光源101 〜10N が備えられる。以下
でも、レーザ光源101 から出力された励起光A1 につ
いて主に説明する。レーザ光源101 から出力された励
起光A1 は、ビームスプリッタ191 で一部が反射され
残部が透過する。反射された励起光A11は、第1の実施
形態の場合と同様に、シリンドリカルレンズ20、ピン
ホール板21、リレーレンズ22、ダイクロイックミラ
ー23および対物レンズ24を経て、被測定物40に照
射される。ビームスプリッタ191 を透過した励起光A
12は、位相調整板171 、反射鏡161、シリンドリカ
ルレンズ30、ピンホール板31、リレーレンズ32、
ダイクロイックミラー33および対物レンズ34を経
て、被測定物40に照射される。被測定物40に入射し
た励起光A11とA12とは、コヒーレントであるので被測
定物40中に干渉縞を形成する。他の励起光Am (m=
2〜N)も同様である。
【0062】そして、位相調整板171 〜17N それぞ
れを調整して、励起光A1 〜AN それぞれが被測定物4
0中に形成する干渉縞の明線の平面を一致させる。被測
定物40で発生した蛍光Bは、対物レンズ24、ダイク
ロイックミラー23、励起光カットフィルタ50および
結像レンズ51を経て、光検出器52で検出される。
【0063】ここで、レーザ光源101 〜10N それぞ
れは、被測定物40に含まれる蛍光物質が2光子吸収し
て蛍光を発生するような波長の励起光A1 〜AN を出力
する。この場合、被測定物40から発生する蛍光Bの強
度は励起光強度の二乗に比例する。図14は、被測定物
40中に蛍光物質が均一に存在すると仮定して、(8)
式でN=7、波長λ=1.0μm、cosθ1 =1、Δ
c=−0.1、位相差Δφm =0(m=1〜7)とした
場合に2光子吸収に伴って発生する蛍光の強度分布図で
ある。
【0064】この図に示すように、蛍光強度は、z=0
平面上で最大となり、そのピーク値はピーク以外の領域
における蛍光強度の略4倍となっている。したがって、
このようにz=0平面近傍において2光子吸収に伴って
発生する蛍光を測定する場合には、第1の実施形態のよ
うに明線と暗線とを反転した場合それぞれの蛍光像を求
める必要はなく、被測定物40中の所定平面で明線を一
致させた場合の蛍光像のみを求めればよい。
【0065】(第4の実施形態)次に、第4の実施形態
について説明する。図15は、第4の実施形態に係る蛍
光顕微鏡の構成図である。
【0066】本実施形態においても、互いにインコヒー
レントな励起光A1 〜AN それぞれを出力するN台(N
≧2)のレーザ光源101 〜10N が備えられる。以下
でも、レーザ光源101 から出力された励起光A1 につ
いて主に説明する。レーザ光源101 から出力された励
起光A1 は、ビームスプリッタ191 で一部が反射され
残部が透過する。反射された励起光A11は、第2の実施
形態の場合と同様に、反射鏡251 で反射されて被測定
物40に照射される。ビームスプリッタ191を透過し
た励起光A12は、反射鏡161 で反射され、位相調整板
171 を経て、反射鏡351 で反射されて被測定物40
に照射される。被測定物40に入射した励起光A11とA
12とは、コヒーレントであるので被測定物40中に干渉
縞を形成する。他の励起光Am (m=2〜N)も同様で
ある。
【0067】そして、位相調整板171 〜17N それぞ
れを調整して、励起光A1 〜AN それぞれが被測定物4
0中に形成する干渉縞の明線の平面を一致させる。被測
定物40で発生した蛍光Bは、対物レンズ54、励起光
カットフィルタ50および結像レンズ51を経て、光検
出器52で検出される。
【0068】本実施形態においても第3の実施形態と同
様に、レーザ光源101 〜10N それぞれは、被測定物
40に含まれる蛍光物質が2光子吸収して蛍光を発生す
るような波長の励起光A1 〜AN を出力して、被測定物
40から発生する蛍光Bの強度は励起光強度の二乗に比
例する。図16は、被測定物40中に蛍光物質が均一に
存在すると仮定して、(8)式でN=6、波長λ=1.
0μm、cosθ1 =0.1、Δc=0.1、位相差Δ
φm =0(m=1〜6)とした場合に2光子吸収に伴っ
て発生する蛍光の強度分布図である。
【0069】この図に示すように、本実施形態において
も、蛍光強度は、z=0平面上で最大となり、そのピー
ク値はピーク以外の領域における蛍光強度の略4倍とな
っている。したがって、このようにz=0平面近傍にお
いて2光子吸収に伴って発生する蛍光を測定する場合に
は、第1の実施形態のように明線と暗線とを反転した場
合それぞれの蛍光像を求める必要はなく、被測定物40
中の所定平面で明線を一致させた場合の蛍光像のみを求
めればよい。
【0070】本発明は、上記実施形態に限定されるもの
ではなく種々の変形が可能である。例えば、励起光Am1
およびAm2それぞれの電場ベクトルの振幅Em1およびE
m2は、必ずしも上記実施形態で説明したようにm値に依
らず全て同一値とする必要はなく、入射角θm も、必ず
しも(8)式で表されるように等差数列上の値である必
要はなく、また、励起光Am それぞれの波長λm も全て
同一の波長とする必要もない(m=1〜N)。
【0071】また、本実施形態では、全ての励起光Am1
およびAm2(m=1〜N)が同一入射面で被測定物40
に入射することとしたが、その必要もなく、励起光Am
毎に異なる入射面でも構わない。
【0072】要は、被測定物40に含まれる蛍光物質を
励起して蛍光を発生させ得る波長の励起光Am を出力
し、対物レンズの焦点平面上に全ての励起光Am につい
て形成される干渉縞の明線を一致させ或いは暗線を一致
させ、それぞれの場合において蛍光像を検出して両者の
差の絶対値を計算することにより、焦点平面上から発生
した蛍光像を強調して検出することである。
【0073】
【発明の効果】以上、詳細に説明したとおり本発明によ
れば、励起光発生手段から互いにインコヒーレントな所
定数の励起光が出力され、その所定数の励起光それぞれ
は、励起光分岐手段によって2光束に分岐され、位相調
整手段によってその2光束間に所定の位相差が設定され
た後、励起光照明手段によって被測定物に入射されて干
渉縞を形成する。所定数の励起光の相互の間ではインコ
ヒーレントであるので、被測定物中には、所定数の励起
光ごとに干渉縞が形成され、被測定物中の励起光強度分
布は、所定数の励起光ごとに形成された干渉縞の強度分
布の総和となる。そして、位相調整手段によって所定数
の励起光それぞれについて干渉縞それぞれの明線が所定
平面の位置に調整された時に、蛍光像観察手段によって
第1の蛍光像が観察される。また、位相調整手段によっ
て所定数の励起光それぞれについて干渉縞それぞれの暗
線が所定平面の位置に調整された時に、蛍光像観察手段
によって第2の蛍光像が観察される。これら第1および
第2の蛍光像は、蛍光像演算手段に入力されて両者の強
度差の絶対値が演算される。
【0074】このようにして蛍光像観察手段によって観
察された第1の蛍光像は、所定平面の位置における強度
が所定平面近傍以外の強度の2倍であるような強度分布
を有する励起光が照射された時に発生する蛍光像であ
り、また、第2の蛍光像は、所定平面の位置における強
度が0であって所定平面以外の強度が第1の蛍光像を観
察したときの励起光強度に略等しいような強度分布を有
する励起光が照射された時に発生した蛍光像である。
【0075】したがって、蛍光像演算手段によって第1
および第2の蛍光像の強度差の絶対値を得ることによ
り、被測定物中の所定平面の位置から発生する蛍光像の
みが検出される。しかも、第1および第2の蛍光像の差
の絶対値を算出することによって得られた蛍光像は、被
測定物の所定平面近傍の狭い領域に局在した励起光照射
によって発生した蛍光に相当するものであるので、デフ
ォーカス光の影響が低減され、シャープでボケがなく、
コントラストが優れた蛍光像を検出することができる。
【0076】また、励起光による干渉縞は被測定物の表
面近傍に限らず内部にも形成されるので、被測定物中の
任意平面から発生した2次元蛍光像を観察することがで
きる。さらに、被測定物中において干渉縞を形成する位
置を移動させれば、被測定物内のあらゆる位置から発生
した蛍光を観察することができるので、3次元蛍光像を
も観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る蛍光顕微鏡の構成図であ
る。
【図2】シリンドリカルレンズとピンホール板との配置
図である。
【図3】ピンホール板の平面図である。
【図4】励起光それぞれの進行方向を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係る蛍光顕微鏡においてΔφ
=0゜とした場合の励起光強度分布図である。
【図6】第1の実施形態に係る蛍光顕微鏡においてΔφ
=180゜とした場合の励起光強度分布図である。
【図7】第1の実施形態に係る蛍光顕微鏡において、Δ
φ=0゜とした場合の励起光強度分布と、Δφ=180
゜とした場合の励起光強度分布との差を示す図である。
【図8】第2の実施形態に係る蛍光顕微鏡の構成図であ
る。
【図9】第2の実施形態に係る蛍光顕微鏡において、N
=6として、Δφ=0゜および180゜それぞれの場合
の励起光強度分布図である。
【図10】第2の実施形態に係る蛍光顕微鏡において、
N=6として、Δφ=0゜とした場合の励起光強度分布
と、Δφ=180゜とした場合の励起光強度分布との差
を示す図である。
【図11】第2の実施形態に係る蛍光顕微鏡において、
N=7として、Δφ=0゜および180゜それぞれの場
合の励起光強度分布図である。
【図12】第2の実施形態に係る蛍光顕微鏡において、
N=7として、Δφ=0゜とした場合の励起光強度分布
と、Δφ=180゜とした場合の励起光強度分布との差
を示す図である。
【図13】第3の実施形態に係る蛍光顕微鏡の構成図で
ある。
【図14】第3の実施形態に係る蛍光顕微鏡においてΔ
φ=0゜とした場合に2光子吸収に伴って発生する励起
光の強度分布図である。
【図15】第4の実施形態に係る蛍光顕微鏡の構成図で
ある。
【図16】第4の実施形態に係る蛍光顕微鏡においてΔ
φ=0゜とした場合に2光子吸収に伴って発生する励起
光の強度分布図である。
【図17】コンフォーカル蛍光顕微鏡の原理図である。
【図18】定在波蛍光顕微鏡の原理図である。
【符号の説明】
101 ,10N …レーザ光源、111 ,11N …1/2
波長板、121 ,12N ,131 ,13N …偏光ビーム
スプリッタ、14…1/4波長板、15…可動鏡、16
1 ,16N …反射鏡、171 ,17N …位相調整板、1
1 ,18N …反射鏡、191 ,19N …ビームスプリ
ッタ、20…シリンドリカルレンズ、21…ピンホール
板、22…リレーレンズ、23…ダイクロイックミラ
ー、24…対物レンズ、251 ,25N …反射鏡、30
…シリンドリカルレンズ、31…ピンホール板、32…
リレーレンズ、33…ダイクロイックミラー、34…対
物レンズ、351 ,35N …反射鏡、40…被測定物、
50…励起光カットフィルタ、51…結像レンズ、52
…光検出器、53…演算部、54…対物レンズ、A1
11,A12,AN ,AN1,AN2…励起光、B…蛍光。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定物に励起光を照射して発生した蛍
    光像を観察する蛍光顕微鏡であって、 互いにインコヒーレントな2以上の所定数の励起光を発
    生する励起光発生手段と、 前記所定数の励起光それぞれを2光束に分岐する励起光
    分岐手段と、 前記所定数の励起光それぞれについて、前記励起光分岐
    手段によって分岐されて形成された前記2光束間の位相
    差を調整する位相調整手段と、 前記所定数の励起光それぞれについて、前記位相調整手
    段によって位相調整された前記2光束を互いに所定の角
    度で交差させて干渉させ、前記被測定物中の所定平面に
    平行な干渉縞を形成する励起光照明手段と、 前記所定平面で発生した蛍光像を観察する蛍光像観察手
    段と、 を備えることを特徴とする蛍光顕微鏡。
  2. 【請求項2】 前記励起光発生手段は、前記所定数の励
    起光の波長が同一である、ことを特徴とする請求項1記
    載の蛍光顕微鏡。
  3. 【請求項3】 前記励起光照明手段は、前記所定数の励
    起光それぞれについて前記2光束それぞれが前記所定平
    面に入射する方向と前記所定平面の法線方向とがなす角
    度の余弦値が所定の等差数列上の値である、 ことを特徴とする請求項2記載の蛍光顕微鏡。
  4. 【請求項4】 前記励起光照明手段は、前記所定の等差
    数列の初期値が1であり、公差が−1より大きい負数で
    ある、ことを特徴とする請求項3記載の蛍光顕微鏡。
  5. 【請求項5】 前記励起光照明手段は、前記所定の等差
    数列の初期値が0であり、公差が1より小さい正数であ
    る、ことを特徴とする請求項3記載の蛍光顕微鏡。
  6. 【請求項6】 前記位相調整手段によって前記所定数の
    励起光それぞれについて前記干渉縞それぞれの明線が前
    記所定平面の位置に調整された時に前記蛍光像観察手段
    によって観察される第1の蛍光像と、前記位相調整手段
    によって前記所定数の励起光それぞれについて前記干渉
    縞それぞれの暗線が前記所定平面の位置に調整された時
    に前記蛍光像観察手段によって観察される第2の蛍光像
    とを入力し、前記第1および前記第2の蛍光像の強度差
    の絶対値を演算する蛍光像演算手段を更に備える、こと
    を特徴とする請求項1記載の蛍光顕微鏡。
  7. 【請求項7】 前記励起光発生手段は、前記被測定物中
    の蛍光物質が2光子吸収する前記所定数の励起光を出力
    するとともに、 前記蛍光像観察手段は、前記位相調整手段によって前記
    所定数の励起光それぞれについて前記干渉縞それぞれの
    明線が前記所定平面の位置に調整された時に、前記被測
    定物中の蛍光物質が前記所定数の励起光を2光子吸収し
    て発生した蛍光像を観察する、 ことを特徴とする請求項1記載の蛍光顕微鏡。
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