JPH09227895A - 2−アシル−1−リゾリン脂質の用途 - Google Patents

2−アシル−1−リゾリン脂質の用途

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JPH09227895A
JPH09227895A JP8031955A JP3195596A JPH09227895A JP H09227895 A JPH09227895 A JP H09227895A JP 8031955 A JP8031955 A JP 8031955A JP 3195596 A JP3195596 A JP 3195596A JP H09227895 A JPH09227895 A JP H09227895A
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JP
Japan
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acyl
acid
lysophospholipid
lpl
fatty acid
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JP8031955A
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English (en)
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Kenji Noguchi
健治 野口
Noriyoshi Uchida
典芳 内田
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Nisshin Oillio Group Ltd
Sankyo Co Ltd
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Nisshin Oil Mills Ltd
Sankyo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2−アシル−1−リゾリン脂質の界面活性
剤、表面活性剤及び乳化剤としての利用に関する。 【解決手段】 2−アシル−1−リゾリン脂質を有効成
分とする製剤を、界面活性剤としては、歯・口中洗浄
剤、皮膚洗浄剤、食器・衣類洗浄剤、果実・野菜洗浄剤
等に、表面活性剤としては、チューインガム、殺虫・殺
菌剤、磁気記憶媒体等に、乳化剤としては、乳化油脂、
乳製品、マヨネーズ、クリーム、調味料、パン類、菓子
類、麺類、化粧品、染料等利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【0002】
【発明の属する技術分野】本発明は2−アシル−1−リ
ゾリン脂質の界面活性剤、表面活性剤及び乳化剤として
の利用に関する。
【0003】
【従来の技術】リン脂質は親水性と疎水性を持つ両親媒
性物質であるため、乳化、分散、湿潤等の界面活性を示
し、食品、化粧品分野では、主として乳化剤として利用
されている。また、医薬、薬学分野においては、リポソ
ームと呼ばれるリン脂質の閉鎖小胞を薬剤運搬体、人工
血液などに利用するための研究が行われ、工学分野にお
いては人工細胞への展開が検討されている。
【0004】現在、国内で利用されているリン脂質は、
ペースト状いわゆるクルード品が大部分だが、特有の
色、味、匂いに多少問題があり、また、脂肪酸モノグリ
セリド、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどの比較的マ
イルドな界面活性剤に較べても乳化安定性が劣ってい
る。これらを解決するため分画・精製、酵素処理などの
研究が盛んに行われている。
【0005】リン脂質の乳化剤としての機能を高める方
法の1つに、ブタ膵臓、ヘビ毒及びハチ毒由来のホスホ
リパーゼA2をリン脂質に作用させ、その2位の脂肪酸
を加水分解する方法がある。これにより生成する1−ア
シル−2−リゾリン脂質は、もとのリン脂質より高い親
水性を示し、安定なO/Wエマルションを形成すること
が知られている。1−アシル−2−リゾリン脂質は、生
体成分として天然に広く存在する生体内界面活性物質で
あり、脂肪酸やそのモノグリセリドなど他の油脂消化物
と共存すると、その水溶液は、顕著な界面活性を示す。
【0006】ここ数年、リン脂質は天然の乳化剤として
健康指向にマッチして需要を伸ばし、1−アシル−2−
リゾリン脂質も各社から上市されているが、それらの乳
化特性は、すべての用途において適しているわけではな
い。そこで、リン脂質の利用分野・用途を更に広げるこ
とを目的として、新しい乳化特性を示すリン脂質の開発
が行われている。
【0007】本発明者等は、これまでに、リン脂質の1
位の脂肪酸を加水分解し、2−アシル−1−リゾリン脂
質を製造し得るホスホリパーゼA1及びホスホリパーゼ
A1による2−アシル−1−リゾリン脂質の製造法につ
いて研究し、既に特開平6-62850 号(平成5年6月15
日出願)、特開平7-31472 号(平成6年1月31日出
願)及び特開平7-222592号(平成6年12月13日)を
出願している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、更にホ
スホリパーゼA1の反応生成物である2−アシル−1−
リゾリン脂質の物性とその利用について研究し、2−ア
シル−1−リゾリン脂質が、従来の1−アシル−2−リ
ゾリン脂質と比べると、アシル基が転位しやすく不安定
であるにもかかわらず、界面張力、表面張力及び乳化安
定性が優れており界面活性剤、表面活性剤及び乳化性剤
として有用であることを見出して本発明を完成させた。
【0009】
【発明の構成】
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、 (1) 2−アシル−1−リゾリン脂質を有効成分とす
る界面活性剤又は表面活性剤又は乳化剤、に関する。
【0011】更に詳細には、本発明は、 (2) 2−アシル−1−リゾリン脂質において、アシ
ル基が、少なくとも不飽和脂肪酸残基を含有する混合脂
肪酸残基であり、及び/又はリン脂質がホスファチジル
コリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチ
ジルセリン、ホスファチジルイノシトール及びホスファ
チジン酸各残基からなる群から選ばれる2種以上を有す
る混合リン脂質である2−アシル−1−リゾリン脂質を
有効成分とする界面活性剤又は表面活性剤又は乳化剤、
に関する。
【0012】本発明に関する2−アシル−1−リゾリン
脂質は、一般式(1)
【0013】
【化1】
【0014】で示される。
【0015】上記一般式(1)において、RCO−は脂
肪酸に由来するアシル基を示し、Xはコリン、エタノー
ルアミン、セリン、イノシトール、水素等を示す。
【0016】2−アシル−1−リゾリン脂質のアシル基
を構成する脂肪酸としては、炭素数6以上の中鎖、高級
及び長鎖脂肪酸が好ましく、更には炭素数14〜22の
ものがより好ましい。又、かかる脂肪酸は少なくとも不
飽和脂肪酸を含有する混合脂肪酸であることが望まし
い。具体例としてカプロン酸、カプリル酸、カプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミ
トオレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン
酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、エルシン酸、
アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエ
ン酸などをあげることができる。また、2−アシルー1
−リゾリン脂質は、上記一般式(1)において、Xがコ
リン、エタノールアミン、セリン、イノシトール及び水
素からなる群から選ばれる2種以上であることが望まし
い。このようなリン脂質としては、天然型のL型のも
の、合成のラセミ体のものも本発明に含有される。
【0017】
【発明の実施の形態】2−アシル−1−リゾリン脂質
は、リン脂質にホスホリパーゼA1を作用させることに
より製造される。また、併せて他の加工を行ってもよ
い。具体的には、保存安定性を向上させる目的で水素添
加をすることも可能である。
【0018】2−アシル−1−リゾリン脂質を製造する
際の原料は、リン脂質自身又はリン脂質含有物質であ
り、その給源、含有率、性状を問わない。それらは、例
えば、ダイズ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、ナタ
ネ、サフラワー、ヒマワリ、落花生、綿実、パーム、亜
麻等の植物性リン脂質、卵黄、動物の脳(ウシ、ヒツ
ジ、ブタ、ニワトリ等)等の動物性リン脂質、クロレラ
細胞、糸状菌菌体等の微生物菌体リン脂質等であり、好
適には、ダイズ、コムギ又は卵黄のリン脂質である。こ
れらのリン脂質は一般にホスファチジルコリン、ホスフ
ァチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホ
スファチジルイノシトール及びホスファチジン酸等の混
合物である。
【0019】本発明の2−アシル−1−リゾリン脂質を
有効成分とする製剤は、界面活性剤としては、歯・口中
洗浄剤、皮膚洗浄剤、食器・衣類洗浄剤、食器すすぎ助
剤、果実・野菜用洗浄剤、食肉・野菜・果実の保存等に
利用でき、表面活性剤としては、チューインガム、殺虫
剤、殺菌剤、磁気記憶媒体等に利用でき、乳化剤として
は、マーガリン、乳化油脂、離型油、乳製品、サラダド
レッシング、マヨネーズ、クリーム、調味料、香料、着
色料、パン類、菓子類、麺類、マカロニ類、チョコレー
ト、ココア、化粧品、染料、ペイント、インキ等に利用
できる。
【0020】また、2−アシル−1−リゾリン脂質を有
効成分とする製剤を調製する場合、必要に応じて、他の
界面活性剤、例えば1−アシル−2−リゾリン脂質、ア
ルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルエーテ
ルサルフェート、シュガーエステル等を適宜加えてもよ
い。さらに界面活性能を向上させるための、無機ないし
は有機ビルダーを加えてもよい。ビルダーとしては、例
えば硫酸ソーダ、ケイ酸塩、炭酸塩、リン酸塩及びアミ
ノ酸、クエン酸、マレイン酸、フマール酸、リンゴ酸、
酢酸、乳酸、グルコン酸、ピロリドンカルボン酸のリチ
ウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキロ
ールアミン、トリエチルアミン塩等が使用できる。
【0021】次に、試験例をあげて、2−アシル−1−
リゾリン脂質(以下2−Acyl−LPLと示す)の物
性について説明する。
【0022】なお、以下の全ての試験例では、2−Ac
yl−LPLとして製造例2で調製したリゾリン脂質
(リゾリン脂質含有率83%)を用い、対照には1−ア
シル−2−リゾリン脂質(日清製油社製「ベイシスLP
−20E」:リゾリン脂質含有率76%、以下1−Ac
yl−LPLと示す)を用いた。
【0023】また、ケロシン(LOT No.M3P1
911)及び硫酸は、ナカライテスク社製を使用した。
水は、ミリQラボ(日本ミリポア工業社製)によりイオ
ン交換及び濾過し、電気伝導度5.46×10-3S/c
mとなったものを使用した。
【0024】
【試験例1】 (界面張力)界面張力は、Wilhelmy平板法であ
るCBVP界面張力計(協和科学社製A−3型)により
測定した。
【0025】濃硫酸で清浄した界面張力用ビーカー(内
径5cm、高さ8cm)にリゾリン脂質0.1×10-3
%、0.6×10-3%、1×10-3%、2×10-3%、
3×10-3%、5×10-3%、10×10-3%水溶液2
0mlを入れ、その上にケロシン50mlを静かに注
ぎ、静置したまま、白金プレートにより25℃、3時間
の界面張力の経時変化を測定した。その結果を図1に示
す。図1より、2−Acyl−LPLは1−Acyl−
LPLに比べて界面張力低下作用が強く、優れた界面活
性剤であることが分かる。
【0026】
【試験例2】 (表面張力)試験例1と同様のビーカーに試験例1と同
濃度のリゾリン脂質を含む水溶液を入れ、白金プレート
により25℃で10分間の表面張力の経時変化を測定し
た。その結果を図2に示す。図2より、2−Acyl−
LPLは1−Acyl−LPLに比べて表面張力低下作
用が強く、優れた表面活性剤であることが分かる。
【0027】
【試験例3】 (乳化安定性)標本管(内径2.6cm、高さ9.5c
m)に水5gとリゾリン脂質を0.01%、0.05
%、0.1%、0.3%、0.5%、1%含むケロシン
溶液5gを入れ、二重円筒式ULTRA TURRAX
T25高性能ディスパーサー(ドイツJANKE&K
UNKEL IKA−labortechnik社製)
により15,000rpmで2分間撹拌し、乳化した。
【0028】(a)遠心による油相分離率の測定 あらかじめ重さを計っておいた遠沈管(内径2cm、高
さ10.3cm)で、上記の方法にてエマルションを乳
化し、その重量を計り、遠心分離器(日立工機社製SC
R18B)により、25℃、5,700rpmで30分
間遠心分離した。分離した油相を注射器で取り、その重
量を用いて、次式より油相分離率を求めた。 油相分離率(%)=(分離した油相の重量(g)/全重
量(g))×100 図3に遠心による油相分離率に対するリゾリン脂質の濃
度の影響を示した。
【0029】(b)クリーミングによる水相分離率の測
定 上記の方法にて乳化したエマルションを標本管(内径
0.8cm、高さ8cm)に移し、密封した後、25℃
の恒温槽中に静置し、クリーミングにより分離した水相
の高さを測定し、次式より水相分離率を求めた。 水相分離率(%)=(分離した水相の高さ(cm)/全
相の高さ(cm))×100。
【0030】図4に1−Acyl−LPL、2−Acy
l−LPLをケロシン中に1%溶解して調製したエマル
ションを、25℃で静置した場合の経時変化を示した。
【0031】図3、図4より、2−Acyl−LPLは
1−Acyl−LPLよりも油相分離率が小さく、液滴
の合一に対する抵抗力が高く、しかも乳化安定性の高い
乳化剤であることが分かる。
【0032】以下に、実施例及び製造例をあげて、本発
明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに限
定されるものではない。なお、以下の全ての実施例にお
いて、2−Acyl−LPLとしては製造例2で調製し
たリゾリン脂質を用い、対照の1−Acyl−LPLと
しては日清製油社製「ベイシスLP−20E」及び製造
例3で調製した1−ステアロイル−2−リゾホスファチ
ジルコリン(以下1ーC18ーLPCと示す)を用いた。
【0033】
【実施例1】 歯磨き剤への応用評価(界面活性剤としての利用):表
1に示す配合組成により2−Acyl−LPLを配合し
た歯磨き剤を常法に従って調製した。また2−Acyl
−LPLの代わりに1−Acyl−LPL又は1−C18
ーLPCを配合したものを対照(A)、(B)とした。
【0034】
【表1】
【0035】ここで調製した歯磨き剤を使って男女各3
名ボランティアによる歯磨きテストを行い、その使用感
(清浄感、泡たち)について対照と比較した。その結果
を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】 使用感(清浄感、泡たち)の評価基準 4 : 良 好 3 : やや良好 2 : 普 通 1 : 不 良 男女とも実施例1では良好またはやや良好の評価に対し
て、対照ではやや良好または普通の評価であった。
【0038】
【実施例2】 食器すすぎ助剤への応用評価(界面活性剤としての利
用):表3に示す配合組成(界面活性剤量20重量%)
により、2−Acyl−LPLを配合した食器すすぎ助
剤を常法に従って調製した。2−Acyl−LPLの代
わりに1−Acyl−LPL又は1−C18ーLPCを配
合したものを対照(A)、(B)とした。
【0039】
【表3】
【0040】得られた食器すすぎ助剤について、次のよ
うにして性能を評価した。下記自動食器洗浄機を使用
し、ガラスコップ及びメラミン皿を下記アルカリ洗浄剤
で洗浄し、次いで、上記食器すすぎ剤を熱湯で2万分の
1に希釈した80℃の食器すすぎ助剤希釈水溶液ですす
いだ。すすぎ後の食器の乾燥速度及び乾燥後の食器に残
ったウォータースポットとしみを下記評価方法により評
価した。その結果を表4に示す。
【0041】洗浄機 :IHI−JWD6型 洗浄剤 :アデカクリーンエイド製、ウォッシュメイト
L、H(0.2%) 評価方法:ガラスコップ8個及びメラミン皿8個を洗浄
し、ウォータースポットとしみの平均付着数及び完全に
乾燥するまでの平均時間を測定した。
【0042】
【表4】
【0043】何れの項目においても、2−Acyl−L
PLは1−Acyl−LPLまたは1−C18ーLPCに
比べて好ましい結果が得られた。
【0044】
【実施例3】 磁性塗料への応用評価(表面活性剤、分散剤としての利
用):表5に示す配合組成により、2−Acyl−LP
L及び強磁性体微粒子粉末等をボールミル混練により混
合し磁性塗料を調製した。また、2−Acyl−LPL
の代わりに1−Acyl−LPL又は1−C18ーLPC
を配合したものを対照(A)、(B)とした。
【0045】
【表5】
【0046】調製した磁性塗料を、あらかじめ表面を清
浄にした化成表面処理済みのアルミニウム合金板上にス
ピンコートによって塗布し、磁性粉に配向をかけた後、
180℃、2時間、200℃、1時間で熱硬化後、塗膜
を0.5μm程度に表面加工を施した。上記方法により
製造した磁気記憶媒体をさらにポリジメチルシロキサン
のn-ヘキサン溶液に浸漬し引き上げ、対照と外観を比較
した。その結果を下記に示す。
【0047】 評価結果 項 目 評 価 耐候性 :2−Acyl−LPL配合品と1−Acyl−LPL配合品 及び1−C18ーLPC配合品は、塗料の経時安定性及び磁性 膜の耐久性が同等であった。
【0048】 レベリング性 :2ーAcyl−LPL配合品の方が1−Acyl−LPL配 合品及び1−C18ーLPC配合品よりレベリング性が良好で あり、塗装がしやすかった。
【0049】 表面性 :2−Acyl−LPL配合品の方が1−Acyl−LPL配 合品及び1−C18ーLPC配合品より分散状態が良く、得ら れた塗膜は薄く均一で密着性が良好であった。
【0050】
【実施例4】 クリームへの応用評価(乳化剤としての利用):表6に
示す配合組成により、2−Acyl−LPLを配合した
O/Wクリームを調製した。また、2−Acyl−LP
Lの代わりに1−Acyl−LPL又は1−C18−LP
Cを配合したものを対照(A)、(B)とした。
【0051】
【表6】
【0052】O/Wクリームは、あらかじめ室温で混合
溶液とした水相に対し、撹拌機(ヤマト科学社製)を用
い、600rpmで油相を添加しつつ撹拌乳化を行い調
製した。その後、ホモジナイザー(三和機械社製)を5
0Kg/cm2 の圧力で用い、均一化した後、85℃加
熱殺菌し、10℃まで冷却を行い、5℃で1晩エージン
グし、このサンプルを評価に供した。
【0053】次に、室温を20℃に調整した実験室で、
粘度測定、乳化安定性測定、粒度測定、ホイップ試験を
行った。乳化安定性は評価サンプル60gを撹拌機(ヤ
マト科学社製)を用い135rpmで撹拌し、凝固する
(いわゆるボテ)時間を測定した。粒度は遠心沈降式粒
度分布測定装置(島津製作所社製)を用いて測定した。
ホイップ試験はホバートミキサー(ホバート社製)を用
い、約500rpmでかき混ぜ、オーバーランが最高値
を示す時間とオーバーランの測定、ホイップクリームの
レオメーター(レオテック社製)による硬度測定、クリ
ームの外観及び組織評価(5点評価法、3が普通)を行
った。その物性値を表7に、評価を表8に示す。
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【0056】2−Acyl−LPLを配合したO/Wク
リームの調製では、短いホイップ時間でオーバーランの
高いクリームが得られた。
【0057】また、2−Acyl−LPLを配合したホ
イップクリームの組織は、対照と比べて、きめ細かく、
保型性の強いものであった。
【0058】
【製造例1】アスペルギルス・オリゼ(A.oryzae) SANK
11870株を、ふすまと水の等量混合物からなる培地12
gで、30℃にて6日間培養し、次いで、その培養物
を、ふすまと水の混合物600gを金属皿[42×24
×7(深さ)cm]に入れ、120℃にて30分間煮沸
した培地に植菌し、30℃にて15時間、更に19℃に
て5日間培養した。こうして調製した麹に、水3lを加
え、よく混合し、37℃にて2時間放置した後、濾過し
て、酵素抽出液を得た。この酵素抽出液に1N酢酸を加
え、pHを4.0調整し、冷却したアセトンを3倍量加
え、冷所に一夜放置した。その後上澄を捨て、沈殿部を
アセトンでよく洗い、真空乾燥して、ホスホリパーゼA
1を含む酵素サンプル11.1gを得た。
【0059】この酵素サンプル10gを水約100ml
に溶かし、1N酢酸を加えて、pH4.0に調整し、水
を加えて200mlとした後、200mlの冷アセトン
を加えて混合し、1時間放置した。その後、混合液を遠
心分離して、第1沈殿を得た。上澄に600mlの冷ア
セトンを加えて混合し、1時間放置した。その後、混合
液を遠心分離して、第2沈殿を得た。
【0060】この第2沈殿を50mM酢酸塩緩衝液(p
H5.5)500mlに溶かし、硫酸アンモニウム30
0gを加えて塩析した。遠心分離して得た沈殿を1M硫
酸アンモニウムを含む50mM酢酸塩緩衝液(pH5.
5)に溶かし、不純物を濾別した後、カラムクロマトグ
ラフィー[ カラム:ブチルトヨパールパック650S
(Butyl Toyopearl pak 650
S、東ソー社製)、流出溶剤:硫酸アンモニウム含有5
0mM酢酸塩緩衝液(pH5.5)、硫酸アンモニウム
濃度1〜0Mグラジェント溶出] を実施した。硫酸アン
モニウム濃度0.6M以下で、ホスホリパーゼA1活性
画分が溶出した。この画分を20mM酢酸塩緩衝液(p
H5.5)で透析した後、カラムクロマトグラフィー[
カラム:Q−セファロース(Q−Sepharose、
ファルマシア社製)、流出溶剤:食塩含有20mM酢酸
塩緩衝液(pH5.5)、食塩濃度0〜0.5Mグラジ
ェント溶出] を用いて精製し、ホスホリパーゼA1画分
を得た。この画分を脱塩、濃縮して、ホスホリパーゼA
1を得た。
【0061】
【製造例2】ベイシスLP−20(大豆レシチン、日清
製油社製、TMS化合物のGLC分析による構成脂肪酸
組成:パルミチン酸21%、ステアリン酸4%、オレイ
ン酸12%、リノール酸57%及びリノレイン酸6%、
TLC分析によるリン脂質組成:ホスファチジルコリン
29%、ホスファチジルエタノールアミン24%、ホス
ファチジルイノシトール15%及びホスファチジン酸7
%、その他25%)200g及びイオン交換水800g
をそれぞれ50℃に加温し、混合した後、ホモミキサー
(5,000〜6,000rpm)を用いて2時間撹拌
し分散液を得た。この間、温度は50℃を保った。これ
に49,200単位のホスホリパーゼA1(製造例1)
を添加し、プロペラ撹拌しながら50℃で酵素反応を進
行させた。反応開始24時間後に反応液を凍結乾燥、ア
セトン分別して、ここで得られたリゾリン脂質画分を真
空乾燥して2−Acyl−LPLを得た。
【0062】日本油化学協会編「基準油脂分析法(2.
2.8.4 リン脂質組成)」に準じた方法の次式:
【0063】
【数1】
【0064】により推定された本サンプルのリゾリン脂
質含有率は83%であった。ホスファチジルコリン以外
のリン脂質組成は出発原料とほぼ同じであり、ほぼ同様
に2−Acyl−LPLに加水分解されていた。また、
上記GLC分析によるリゾリン脂質の構成脂肪酸組成は
パルミチン酸7%、ステアリン酸3%、オレイン酸6
%、リノール酸80%及びリノレイン酸4%であった。
【0065】
【製造例3】ベイシスLP−20E(1−Acyl−L
PL、日清製油社製、リゾリン脂質含有率は76%、製
造例2に記載の分析法による構成脂肪酸組成:パルミチ
ン酸35%、ステアリン酸10%、オレイン酸6%、リ
ノール酸45%及びリノレイン酸4%、リン脂質組成は
ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミ
ン及びホスファチジン酸の混合物。)100gにアセト
ン300mlを加え、攪拌後沈殿物を濾別する処理を繰
り返し、1−アシル−2−リゾホスファチジルコリン
(1−Acyl−LPC)に富むフラクションを得た。
ついで該フラクションにn−ヘキサン及び白金黒触媒
(該フラクションに対して0.5%)を加え、水素雰囲
気(2Kg/cm2 加圧下)で30分間かき混ぜた後、
触媒を除去、溶媒を減圧留去して白色固形を得た。更に
この白色固体をシリカゲルカラム及びODSカラムクロ
マトグラフィーにより分画し、ほぼ純品に近い1−C18
−LPCを得た。
【0066】
【発明の効果】本発明の2−アシル−1−リゾリン脂質
を有効成分とする製剤は、1−アシルー2−リゾリン脂
質を有効成分とする製剤に比べて、界面張力、表面張力
及び乳化安定性に優れており、界面活性剤、表面活性
剤、乳化剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】リゾリン脂質水溶液/ケロシン系界面の界面張
力に対する濃度の影響
【図2】リゾリン脂質水溶液の表面張力に対する温度の
影響.
【図3】リゾリン脂質エマルションの油相分離率に対す
る温度の影響.
【図4】リゾリン脂質エマルションの水相分離率の経時
変化.
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01F 17/14 B01F 17/14 C07F 9/10 C07F 9/10 B C12P 9/00 C12P 9/00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2−アシル−1−リゾリン脂質を有効成分
    とする界面活性剤又は表面活性剤又は乳化剤。
  2. 【請求項2】2−アシル−1−リゾリン脂質において、
    アシル基が、少なくとも不飽和脂肪酸残基を含有する混
    合脂肪酸残基であり、及び/又はリン脂質がホスファチ
    ジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスフ
    ァチジルセリン、ホスファチジルイノシトール及びホス
    ファチジン酸各残基からなる群から選ばれる2種以上を
    有する混合リン脂質である請求項1記載の界面活性剤又
    は表面活性剤又は乳化剤。
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