JPH09227752A - 水槽用メタクリル系樹脂板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 藻などによる汚れが少ない水槽用メタクリル
系樹脂板を提供する。 【解決手段】 光触媒粒子の薄膜または光触媒粒子を含
有する薄膜をメタクリル系樹脂板表面に形成した水槽用
メタクリル系樹脂板を用いて作製した水槽は藻などによ
る汚れが少ない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、汚れ難い水槽用メ
タクリル系樹脂板に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ガラス材料が中心に用いられたき
た観賞用の大型水槽や家庭用の小型水槽は、最近、透明
性に優れる樹脂材料としてメタクリル系樹脂が多く用い
られるようになってきた。特に、大型水槽においては、
従来のガラス材料では不可能であった曲面加工の水槽や
超大型水槽がメタクリル系樹脂を用いることで可能とな
り、最近の水族館ブームも相まってその使用範囲は広が
ってきている。

【０００３】しかしながら、各種の魚を入れた水槽内の
壁面は藻類の発生等により汚れるため、大型水槽におい
ては人間が水槽内に入り壁面の清掃を行っており、これ
らの汚れに対しては何ら措置が講じられいないのが現状
である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者はかか
る事情に鑑み、汚れ難い水槽用メタクリル系樹脂板につ
いて鋭意検討した結果、酸化チタンなどの光触媒粒子の
薄膜をメタクリル系樹脂板表面に形成することによっ
て、このメタクリル系樹脂板を水槽に用いた時に、汚れ
難くなることを見出し、本発明を完成するに至った。

【０００５】

【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、光触
媒粒子の薄膜または光触媒粒子を含有する薄膜をメタク
リル系樹脂板表面に形成してなる水槽用メタクリル系樹
脂板である。以下、本発明を詳細に説明する。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明におけるメタクリル系樹脂
板とは、メチルメタクリレート単独あるいはメチルメタ
クリレート５０ｗｔ％以上と他の共重合可能なエチレン
性不飽和単量体との共重合体からなる樹脂板が挙げられ
る。メチルメタクリレートと共重合可能なエチレン性不
飽和単量体としては、例えばエチルメタクリレート、ブ
チルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、
フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、２
−エチルヘキシルメタクリレート、２−ヒドロキシエチ
ルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル類、メチ
ルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレ
ート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレ
ート、ベンジルアクリレート、２−エチルヘキシルアク
リレート、２−ヒドロキシエチルアクリレートなどのア
クリル酸エステル類、メタクリル酸、アクリル酸などの
不飽和酸類、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェ
ニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどが挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。

【０００７】また、この樹脂板には、無水グルタン酸単
位、グルタルイミド単位をさらに含んでいても良い。さ
らに前述の重合体、共重合体にジエン系ゴム、アクリル
系ゴムをブレンドしたものでも良い。

【０００８】メタクリル系樹脂板は公知の乳化重合法、
懸濁重合法、塊状重合法等の方法により製造した重合体
を、公知の押出成形、射出成形などにより板状にする
か、または公知の鋳込み重合法により板状にするなどの
方法により製造することができる。

【０００９】このメタクリル系樹脂板には、該樹脂に一
般に用いられる各種の添加剤を含有させても良い。添加
剤としては紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、着色
剤、難燃剤、連鎖移動剤、離型剤、顔料、染料、無機充
填剤等が挙げられる。

【００１０】なお、本発明のメタクリル系樹脂板は、積
層板であっても良く、また表面にフィルムを貼合させた
ものでも良い。

【００１１】メタクリル系樹脂板の厚さは、０．５〜１
０００ｍｍ、好ましくは１〜５００ｍｍである。厚さが
数百ｍｍのものを必要とする場合には、いったん数十ｍ
ｍの厚さのメタクリル系樹脂板を製造し、これらを重合
接着法等の方法で重ね合わせることにより所望の厚さの
樹脂板を得ることも可能である。

【００１２】本発明における光触媒粒子とは、そのバン
ドギャップ以上のエネルギーを持つ波長の光を照射する
と光触媒機能を発現する粒子のことであり、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化鉄、チタン酸ス
トロンチウムなどの公知の金属化合物半導体を１種また
は２種以上組み合わせて用いることができる。これらの
光触媒粒子のうち、耐久性に優れ、触媒活性が高く、無
害である酸化チタンが好ましく用いられる。

【００１３】また、光触媒粒子の内部やその表面に、光
触媒機能を増す目的で、バナジウム、銅、パラジウム、
銀、白金、金などの金属や金属化合物を含有させても良
い。特に、本発明においては、光が当たらない時にも、
銀や銅などの抗菌作用を利用する意味からこれらの金属
や金属化合物を含有させることが好ましい。

【００１４】また、光触媒粒子とともに吸着剤を用いて
も良く、悪臭成分の除去効率を上げるためには、光触媒
粒子と吸着剤を併用することが好ましい。吸着剤として
は、活性炭などの炭素系吸着剤、ゼオライト系吸着剤、
モレキュラーシーブ、金属酸化物系吸着剤、キレート樹
脂等が好適である。

【００１５】上記光触媒粒子の薄膜をメタクリル系樹脂
板表面に形成させる方法としては、光触媒粒子とバイン
ダーと溶媒とからなる塗料組成物を基材樹脂板表面にコ
ーティングする方法、転写による方法、反応性スパッタ
リングによる方法、蒸着による方法、粉体塗装による方
法などが挙げられる。

【００１６】本発明のメタクリル系樹脂板を水槽に成形
する際に、該樹脂板を熱成形などを必要とする場合があ
るが、この場合には、成形前の樹脂板表面にあらかじめ
光触媒粒子の薄膜を形成した後、成形をおこなっても良
いし、成形後の状態で表面に光触媒粒子の薄膜を形成さ
せても良い。

【００１７】塗料組成物に用いるバインダーとしては、
水ガラス、コロイダルシリカ、ポリオルガノシロキサ
ン、リン酸アルミニウムなどの無機バインダーや、フッ
素系ポリマー、シリコン系ポリマー、アクリル系ポリマ
ーなどの有機バインダーが挙げられる。コーティング法
としては、通常用いられるディッピングコーティング
法、フローコーティング法、スピンコーティング法など
が用いられ、熱硬化やＵＶ硬化により基材樹脂上に固定
される。

【００１８】塗料組成物中の光触媒粒子量は任意である
が光触媒機能を考慮すると固形分の５０ｗｔ％以上であ
ることが好ましい。また、転写による方法では、コーテ
ィング液や光触媒粒子をあらかじめガラス板上などに固
定化させておき、該ガラス板を用いた塊状重合等で樹脂
表面に転写させる方法や射出成形の金型内に光触媒粒子
を存在させておき成型時に転写させる方法などがある。

【００１９】光触媒粒子の薄膜または光触媒粒子を含有
する薄膜の厚みは、光触媒粒子の種類、バインダーや吸
着剤などの種類や量によっても変わるが、通常、約０．
１〜１０μｍである。薄過ぎると光触媒粒子の量が少な
くなり、汚れ除去効果が少なくなり、厚過ぎると透明性
が低下してしまい好ましくない。

【００２０】本発明の表面に光触媒粒子の薄膜を形成し
たメタクリル系樹脂板は、光触媒粒子のバンドギャップ
以上のエネルギーを有する波長の光が照射されることに
より、樹脂板表面に付着した汚れ物質が分解除去され
る。光源としては、例えば、蛍光灯、ブラックライト、
水銀灯などを用いることができる。また、水槽の外壁面
においても、同様に付着した汚れ物質の分解除去等が可
能である。

【００２１】

【発明の効果】本発明の水槽用メタクリル系樹脂板を用
いて作成した水槽は、藻などの汚れが付着し難く、付着
しても分解除去され易い。

【００２２】

【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例によってなんら制限さ
れるものではない。

【００２３】実施例１ メタクリル系樹脂板としてスミペックスＥ０００（住友
化学工業（株）製）を用い、この３ｍｍ厚の樹脂板表面
に、光触媒酸化チタンコーティング剤ＳＴ−Ｋ０１（石
原産業製）を塗布し、塗布後１１０℃で３０分乾燥し、
光触媒粒子である酸化チタンを含有する薄膜を表面に形
成したメタクリル系樹脂板を得た。 ＳＴ−Ｋ０１は光
触媒酸化チタン／バインダー比が重量比で８０／２０で
あり固形分濃度が１０％の水・アルコール溶媒系のコー
ティング液であり、コーティングはディッピング法によ
り引き上げ速度１００ｍｍ／ｍｉｎで３回実施した。
薄膜の厚みは約１μｍであった。

【００２４】次に縦３０ｃｍ×横５０ｃｍ×高さ３０ｃ
ｍの簡易水槽を作製した。この際、側面の２面および底
面には、作製した酸化チタンを含有する薄膜を表面に形
成したメタクリル系樹脂板を用い、他の２側面はスミペ
ックスＥ０００をそのまま用いた。水槽内に４０リット
ルの水および金魚１５匹を入れ、昼間は水槽の外側から
２０Ｗの蛍光灯５本の光を照射し、１ヶ月間飼育した。
その結果、酸化チタンを含有する薄膜を表面に形成した
メタクリル系樹脂板を用いた面には藻類の付着は認めら
れなかったのに対し、他の面では藻類の付着が認められ
た。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光触媒粒子の薄膜または光触媒粒子を含
   有する薄膜をメタクリル系樹脂板表面に形成してなる水
   槽用メタクリル系樹脂板。
2. 【請求項２】 光触媒粒子が酸化チタンである請求項１
   記載の水槽用メタクリル系樹脂板。
3. 【請求項３】 薄膜厚みが０．１〜１０μｍである請求
   項１記載の水槽用メタクリル系樹脂板。