JPH11193629A - コンクリート型枠 - Google Patents

コンクリート型枠

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JPH11193629A
JPH11193629A JP36849297A JP36849297A JPH11193629A JP H11193629 A JPH11193629 A JP H11193629A JP 36849297 A JP36849297 A JP 36849297A JP 36849297 A JP36849297 A JP 36849297A JP H11193629 A JPH11193629 A JP H11193629A
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JP
Japan
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concrete
photocatalyst particles
binder layer
formwork
water
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JP36849297A
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English (en)
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Minoru Kamimura
実 上村
Naoki Nakayama
直樹 中山
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Achilles Corp
Original Assignee
Achilles Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 型枠材の表面に光触媒粒子を強固に付着さ
せ、コンクリート打設までは運搬や型枠施工などによっ
ても脱落せず、コンクリート打設後は簡単に取り外すこ
とができ、しかもコンクリート表面に光触媒粒子を均一
に付着させることができるコンクリート型枠を提供する
こと。 【解決手段】 型枠材の表面にバインダー層を介して光
触媒粒子を付着させて転写層を形成し、このコンクリー
ト型枠を用いてコンクリートを打設することで、打設ま
での間はバインダー層によって光触媒粒子を脱落させず
に取り付けておくことができ、打設後にはコンクリート
表面にのみ効率良く光触媒粒子を転写付着させてること
ができ、光触媒粒子の使用量を極力減らすことができる
ようになる。これにより、コンクリート表面に簡単に防
臭性、防かび性、防汚性を付与することができるほか、
環境大気中の低濃度の窒素酸化物などの汚染物質を除去
する作用を付与することができるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、コンクリート型
枠に関し、コンクリートの表面に防臭性、防かび性、防
汚性など付与する光触媒粒子を転写して付着させること
で簡単に施工できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】環境問題への関心の高まりにともない、
建築材料として広く用いられているコンクリート表面か
らの臭、かびや菌の繁殖、汚れなども問題とされるよう
になってきており、特に病院や食品加工工場などの環境
衛生を重視する場所では、コンクリートに防かび剤や抗
菌剤などの薬剤を添加することが行われている。
【0003】このような防かび剤や抗菌剤を用いる場合
には、コンクリートに均一に混合されるため大量に使用
されることが多く、防かび性や抗菌性は得られるもの
の、薬剤により人体や動物などに悪影響を与えるおそれ
があり、しかもこれら薬剤では、防臭性や防汚性などを
得ることができない。
【0004】近年、このような薬剤に代わり光触媒粒子
を用いて、防かび性や防菌性を付与したり、日常の生活
環境の中で発生する有害物質や悪臭物質などを分解させ
る試みがなされ、様々な用途が開発されつつある。
【0005】この光触媒粒子、例えば二酸化チタンのよ
うな半導体では、光を照射すると、強い酸化力を持った
正孔と強い還元力を持った電子が生成し、その酸化還元
作用によって、水中の有害化学物質の分解除去をはじ
め、空気中の悪臭物質の分解、防菌、防かびなど様々な
分野の環境浄化を行うことができる。
【0006】このような光触媒粒子を用いてコンクリー
トの防かびなどの効果を得ようとする場合には、光触媒
機能を損なわず、強固かつ長期間にわたってコンクリー
ト表面に保持しておく必要があり、種々の提案が成され
ている。
【0007】例えば特開平6−278241号公報に
は、酸化チタンに代表される金属酸化物の光触媒粒子
を、建築材料の表面にスプレーコーティング法やディッ
プコーティング法などにより付着させた後、金属酸化物
薄膜の強度及び建築材料との接合力を向上させるため、
加熱処理を行って光触媒機能を付与することができるこ
とが開示されている。
【0008】また、特開平7−171408号公報に
は、難分解性結着剤を介して光触媒粒子を基体上に接着
させることで光触媒機能を付与することができることが
開示され、具体的な実施例として、ガラス板を基体と
し、難分解性結着剤として白色セメントを用い酸化チタ
ンを混合して塗布するものがあげられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の酸化
チタンなどを種々のコーティング法で付着させた後、こ
れを加熱処理して光触媒機能を付与する方法では、10
0〜800℃程度まで加熱する必要があり、コンクリー
ト表面にこのような温度範囲の加熱処理を施すことは、
安全上困難な場合が多く、コストもかかり現実的には適
用することができないという問題がある。
【0010】また、難分解性結着剤を介して基板上に酸
化チタンなどの光触媒粒子を接着する方法では、難分解
性結着剤に対して光触媒粒子を相当量混合しなければな
らず、例えばセメントを難分解性結着剤として用いる場
合には、酸化チタンを5〜25%混合する必要があり、
コストの問題が生じるとともに、コンクリート表面に光
触媒機能を付与しようとすると、打設後のコンクリート
表面に酸化チタンとセメントとの混合物を塗布しなけれ
ばならず、多くの手間が掛かってしまうという問題もあ
る。
【0011】そこで、予めコンクリート打設前の型枠の
表面に塗布する有機系の型枠剥離剤に、抗菌剤を混合し
ておくようにし、脱型後のコンクリート表面に抗菌性を
付与することも提案されている(特開平7−91039
号公報)が、抗菌剤等の薬剤の場合には、その効果が一
時的であるものが殆どであり、抗菌性を永続させること
ができないという問題がある。
【0012】この発明は、かかる従来技術の問題点に鑑
みてなされたもので、型枠材の表面に光触媒粒子を強固
に付着させ、コンクリート打設までは運搬や型枠施工な
どによっても光触媒粒子が脱落せず、コンクリート打設
後は型枠材を簡単に取り外すことができ、しかもコンク
リート表面に光触媒粒子を均一に付着させることができ
るコンクリート型枠を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記従来技術が有する課
題を解決するため、この発明の請求項1記載のコンクリ
ート型枠は、型枠材のコンクリートの打設面に、光触媒
粒子をバインダー層を介して付着させて形成した転写層
を備えてなることを特徴とするものである。
【0014】このコンクリート型枠によれば、型枠材の
表面にバインダー層を介して光触媒粒子を付着させて転
写層を形成するようにしており、このコンクリート型枠
を用いてコンクリートを打設することで、打設までの間
はバインダー層によって光触媒粒子を脱落させずに取り
付けておくことができるようになり、打設後にはコンク
リート表面にのみ効率良く光触媒粒子を転写付着させる
ことができ、光触媒粒子の使用量を極力減らすことがで
きるようになる。
【0015】また、この発明の請求項2記載のコンクリ
ート型枠は、請求項1記載の構成に加え、前記型枠材を
合成樹脂発泡成形体で構成してなることを特徴とするも
のである。
【0016】このコンクリート型枠によれば、型枠材を
合成樹脂発泡成形体とするようにしており、軽量化を図
ることができるようになるとともに、型枠表面に凹凸模
様などを形成することも容易となり、化粧型枠への応用
も可能となる。
【0017】さらに、この発明の請求項3記載のコンク
リート型枠は、請求項1または2記載の構成に加え、前
記バインダー層を水溶性有機高分子化合物で構成したこ
とを特徴とするものである。
【0018】このコンクリート型枠によれば、バインダ
ー層として水溶性有機高分子化合物を用いるようにして
おり、打設前は光触媒粒子を型枠材の表面に強固に付着
させることができる一方、打設後は、コンクリート中に
含まれる水分によってバインダー層を速やかに膨潤・溶
解させてコンクリート表面にごく僅かしか残らないよう
にして光触媒機能を損なわないようにし、光触媒粒子自
体はコンクリートによって保持させることができるよう
になる。
【0019】また、この発明の請求項4記載のコンクリ
ート型枠は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加
え、前記光触媒粒子を、カップリング処理された酸化チ
タンとしたことを特徴とするものである。
【0020】このコンクリート型枠によれば、光触媒粒
子としてカップリング処理された酸化チタンを用いるよ
うにしており、カップリング処理によってバインダーと
の結び付きが強くなることにより、型枠材表面への酸化
チタンの付着保持を一層確実にできるようになり、コン
クリート打設後はバインダー層の溶解によって型枠材表
面に残存しないように転写させることができるようにな
る。
【0021】ここで、型枠材とは、コンクリート打設用
の型枠として用いられるものであり、打設されるコンク
リートによる荷重を支持することができるものであれば
従来から使用されている素材である木材や合成樹脂等の
ものを用いることができ、特に合成樹脂発泡成形体のも
のを用いることで、コンクリートの表面に形成する凹凸
模様やタイル状の模様など種々の模様を反転形成して転
写することができるとともに、軽量化を図ることもでき
る。
【0022】この合成樹脂発泡成形体としては、スチレ
ン系の発泡成形体やウレタン系などの発泡成形体等が使
用され、例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエ
チレン、ポリウレタンなどが使用される。また、この型
枠材のコンクリートの打設面は、平坦面である場合のほ
か、凹凸模様やタイル状の模様などを形成するための成
形加工が施された面であっても良い。
【0023】ここで、光触媒粒子とは、光を照射するこ
とによって、強い酸化力を持った正孔と強い還元力を持
った電子が生成され、その酸化還元作用を生ずる粒子で
あれば良く、例えば酸化チタン、酸化鉄、酸化タングス
テン、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム等の少なくと
も1つの化合物が用いられ、さらに白金、バラジウム、
ニッケル、ロジウム、ニオブ、銅、錫、酸化ルテニウ
ム、酸化ニッケルなどを添加して光触媒反応の促進を図
るようにしても良い。
【0024】また、光触媒粒子をそのまま用いることな
くカップリング剤を用いてカップリング処理するように
しても良く、例えば一般に光触媒粒子として使用される
アナターゼ型酸化チタンの表面をオルガノアルコキシシ
ランカップリング剤で処理したものを用いることができ
る。
【0025】これにより、光触媒粒子の撥水性、離型
性、分散性、分離性、凝集防止等の表面改質処理を行う
ことができ、オルガノアルコキシシランとしては、モノ
アルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキ
シシランのいずれでも使用することができる。
【0026】オルガノアルコキシシランの好ましい例と
しては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキ
シシランをあげることができ、特に好ましくは、n・オ
クチルトリエトキシシラン、n・ヘキシルトリメトキシ
シラン、フェニルトリエトキシシラン、シクロヘキシル
メチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン
をあげることができる。
【0027】このシランカップリング剤の使用量は光触
媒アナターゼ型酸化チタンの表面を単分子膜で被覆する
に必要な量であれば良く、酸化チタンの粒子径によって
定められ、通常、酸化チタンの粒子径が概ね5〜20nm
であり、使用されるシランカップリング剤の量は1〜1
0%程度使用すれば良い。
【0028】このようなシランカップリング材を用いて
カップリング処理することにより、低温焼成により製造
されるアナターゼ型酸化チタンは高温焼成により製造さ
れるルチル型酸化チタンよりも表面の親水性が強いが、
この傾向は光(紫外線)の照射により吸着水を分解し、
OH基を表面に形成し大気中の水分を吸着しやすくな
る。
【0029】これに対し、アミノ基やエポキシ基等の官
能基を有さないアルキルシランやフェニルシランは加水
分解後の硬化物が疎水基のみを含有するため酸化チタン
が疎水性となり、水分子の吸着を阻止でき、そのために
バインダー層との結びつきが強くなると考えられる。
【0030】なお、アルキル基の数は特に限定されない
が、モノアルコキシシラン及びジアルコキシシランで
は、アルキル基の炭素数は1以上で十分であるが、トリ
アルコキシシランでは、シラノール基の形成率が無視で
きないため炭素数は6以上が好ましく、フェニール基で
あっても良い。
【0031】ここで、バインダー層とは、コンクリート
打設前に型枠材のコンクリート打設面に光触媒粒子を脱
落しないように保持する機能と、コンクリート打設後
は、光触媒粒子を型枠材の表面から剥離させて打設され
るコンクリートの表面に強固に付着させる機能とを備え
る必要があり、さらに、コンクリート打設後は、速やか
に消滅して光触媒の活性を妨害しないことおよびコンク
リートの固化を妨害せず、コンクリートの諸物性を損な
わないこと、光触媒粒子をバインダー層を介して型枠材
の表面に付着させるための施工が容易であることが必要
な条件とされる。
【0032】そこで、バインダー層として必要な全ての
条件を満たすものについて鋭意検討した結果、水溶性有
機高分子化合物やモルタルが光触媒粒子を型枠材の表面
に付着させるのに有効なバインダーであることを見いだ
し、本発明に至ったものである。
【0033】特に、水溶性有機高分子化合物を光触媒粒
子のバインダーとして用いることで、光触媒粒子を型枠
材の表面に強固に接着させることができる一方、コンク
リート打設後は、コンクリート中に含まれる水分によっ
て速やかに膨潤・溶解し、コンクリート表面には、極め
て低濃度しか残らない状態とすることができる。
【0034】これにより、コンクリートの表面に光触媒
粒子を付着させた状態では、光触媒粒子の光触媒作用が
バインダーによって妨害されることもなく、また、コン
クリートの諸物性も低下させることがない。
【0035】このような水溶性有機高分子化合物として
は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水
溶性セルロース系化合物、ポリアクリルアミド加水分解
等のアクリル共重合体のいずれか1つないし2つ以上を
組合せて用いることが可能である。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、この発明のコンクリート型
枠の一実施の形態について詳細に説明する。ここでは、
コンクリート型枠としてコンクリート表面に凹凸模様な
どを転写する化粧型枠に適用した場合について説明す
る。
【0037】このコンクリート型枠は、合成樹脂発泡成
形体で作られた型枠材を備えており、この型枠材のコン
クリート打設面に、コンクリートに形成すべき凹凸模様
などの反転模様が形成される。
【0038】この合成樹脂発泡成形体の型枠材は、合成
樹脂として、例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ポ
リウレタンなどを発泡成形することで、運搬やコンクリ
ート打設用型枠への取付作業性などを考慮した大きさの
パネル状に作られる。そして、この合成樹脂発泡成形体
の型枠材は、その素材樹脂によってコンクリート打設後
の再使用が可能となったり、コンクリート打設用型枠の
除去の際に壊れて再使用ができない場合もあるが、いず
れの素材樹脂を用いる場合であっても良いが、模様の形
成ができるとともに、打設されるコンクリートの荷重を
支持できる強度で成形される。
【0039】この合成樹脂発泡成形体の型枠材の表面
(コンクリート打設側)には、バインダー層を介して光
触媒粒子が付着された転写層が設けられる。
【0040】この転写層を構成する光触媒粒子は、例え
ばアナターゼ型酸化チタンが用いられ、その粒子径は概
ね5〜20nm程度のものが使用される。また、光触媒
粒子の型枠材表面への塗布量は1.0〜500g/m2
の範囲とされ、好ましくは10〜200g/m2 であ
る。1.0g/m2 以下では、光触媒としての効果が充
分発揮されず、500g/m2 を越えてもその効果の増
大が殆どなく経済上も好ましくないからである。
【0041】一方、転写層を構成するバインダー層は、
コンクリートを打設するまでの間の運搬や型枠施工など
の取扱中において光触媒粒子を型枠材の表面から脱落し
ないように強固に保持する一方、コンクリート打設後
は、光触媒粒子の光触媒の活性を妨害しないように速や
かに消滅するとともに、コンクリートの硬化を妨害した
り、コンクリートの諸物性に悪影響を及ぼさず、しかも
施工が容易であることが要求され、水溶性有機高分子化
合物やモルタルが用いられる。
【0042】バインダーとして水溶性有機高分子化合物
を用いる場合には、その塗布量は、5〜300g/m2
の範囲とされ、好ましくは10〜200g/m2 であ
る。5g/m2 未満では、光触媒粒子を型枠材に接着さ
せておくことが困難であり、300g/m2 を越える
と、コンクリート打設後においても水溶性有機高分子化
合物がコンクリート表面に残留し、光触媒粒子の活性を
阻害するなど極めて好ましくないためである。
【0043】このような水溶性有機高分子化合物は、水
で溶解して水溶液とし、これを型枠材の表面に種々の方
法によって上記の範囲の塗布量に調整して塗布すれば良
く、例えば水溶性有機高分子化合物を3%の水溶液と
し、これを刷毛塗り、スプレー塗布などで繰り返し塗布
することで所定量のバインダー層を形成する。
【0044】また、バインダーとしてモルタルを用いる
場合には、その塗布量は、20〜5000g/m2 の範
囲とされ、好ましくは200〜2000g/m2 であ
る。20g/m2 未満では、光触媒粒子を型枠材に接着
させておくことが困難であり、5000g/m2 以上と
しても光触媒粒子の接着強度に変化がなく、これ以上で
は重量が増え持ち運びに多大な労力がかかるためであ
る。
【0045】このようなモルタルは、水を加えてスラリ
ー状にしてモルタルセメントとして用いられ、例えば約
50%の水でスラリー状にしたモルタルセメントを型枠
に流し込むことでバインダー層を形成する。なお、モル
タルをバインダー層とする場合には、モルタル自体は消
滅せず、そのまま打設されるコンクリートと一体にして
コンクリート表面に接着させる。また、モルタルセメン
トの粉状体を用い、これを型枠面に散布し、その後、水
などを散布してモルタルによるバインダー層を形成する
ようにしても良い。
【0046】このような水溶性有機高分子化合物やモル
タルで構成したバインダー層を形成し、このバインダー
層を介して光触媒粒子を付着させる。
【0047】水溶性有機高分子化合物を用いる場合に
は、水溶液とした水溶性有機高分子化合物を型枠材の表
面に塗布した後、直ぐに所定量の光触媒粒子を全面にほ
ぼ均一に振り掛け、これを乾燥して転写層とする。
【0048】また、モルタルを用いる場合には、まず、
型枠材のコンクリート打設面に所定量の光触媒粒子を全
面にほぼ均一に振り掛けた後、この振り掛けた光触媒粒
子の上にスラリー状としたモルタルセメントを所定量流
し込んだり、あるいは吹き付け、これを乾燥して転写層
とする。
【0049】次に、このようにして型枠材の表面にバイ
ンダー層を介して光触媒粒子を付着させて転写層を形成
したこの発明のコンクリート型枠を用いてコンクリート
の表面に防臭性、防かび性、防汚性など付与する場合に
ついて説明する。
【0050】まず、コンクリート打設用型枠を1対相対
向させてコンクリート壁の厚さに対応した間隔をあけて
配置し、コンクリートの表面となる側のコンクリート打
設用型枠の内側にこの発明のコンクリート型枠を取り付
ける。
【0051】なお、コンクリート打設用型枠の保持及び
この発明のコンクリート型枠の取付方法は従来と同一で
良い。
【0052】こうして打設すべき範囲にコンクリート打
設用型枠の設置とコンクリート型枠の取り付けが完了し
た後、コンクリートを打設する。
【0053】すると、コンクリート型枠のバインダー層
として水溶性有機高分子化合物が用いてある場合には、
打設されたコンクリートの水分によって水溶性有機高分
子化合物が膨潤・溶解し、打設されたコンクリートに直
接光触媒粒子が接着して保持された状態になる。
【0054】また、バインダー層としてモルタルが用い
てある場合には、モルタルが、打設されたコンクリート
と一体になり、モルタルを介して光触媒粒子がコンクリ
ート表面に保持された状態になる。
【0055】この後、コンクリートを養生固化させたの
ち、コンクリート打設用型枠を除去解体するとともに、
この発明のコンクリート型枠を取り外す。
【0056】これにより、コンクリートの表面にコンク
リート型枠の模様が反転して形成されるとともに、最外
表面に光触媒粒子が転写され、付着した状態で取り付け
られる。
【0057】したがって、このコンクリート型枠によれ
ば、コンクリート打設前は、型枠材に光触媒粒子をバイ
ンダー層を介して強固に接着保持しておくことができる
一方、コンクリート打設後は、水溶性有機高分子化合物
のバインダー層の場合には、打設されるコンクリートの
水分によってバインダー層が膨潤・溶解し、打設された
コンクリートに直接光触媒粒子を強固に付着保持させる
ことができるので、光触媒粒子の光触媒反応を阻害する
こともなく、コンクリートに悪影響を及ぼすこともな
い。
【0058】また、バインダー層がモルタルの場合に
は、モルタルが打設されたコンクリートと一体になるこ
とでコンクリート表面に光触媒粒子が強固に保持され、
モルタルの表面に光触媒粒子が位置することになり、光
触媒反応が阻害されず、強固に保持することができる。
特に、モルタル自体が光触媒粒子の良好なバインダーで
あることからコンクリートへの悪影響は全く無い。
【0059】このような光触媒粒子がコンクリート表面
に付着されるので、その光触媒反応により、防臭、防か
び、防菌作用などを付与することができるとともに、有
害物質や悪臭物質などの分解を促すことができ、防汚性
も付与することができる。
【0060】さらに、光触媒粒子として酸化チタンを用
いるようにしたので、他の有機抗菌剤や無機抗菌剤に比
べ、コンクリートとの結び付きが強く、コンクリート表
面に強固に保持することが容易となる一方、他の有機抗
菌剤等は、バインダー層がないとコンクリート表面に保
持され難く、しかも有機抗菌剤ではその効果が一時的な
ものが殆どであり、他の無機抗菌剤では、大気中の硫化
物などでバインダー樹脂が劣下してしまうと、無機抗菌
剤がコンクリート表面から欠落してしまうこになるが、
このような問題が全く生じない。
【0061】また、光触媒粒子の活性を阻害しない程度
であれば、コンクリートが打設される側の型枠材に顔料
を塗布し、コンクリート面に色を転写させることも可能
である。この場合には、光触媒粒子による酸化分解を受
けずらい無機の顔料を用いることが好ましい。
【0062】さらに、着色用の顔料のほか、着色された
砂や天然石などをコンクリートが打設される側の型枠材
に取付け、これをコンクリート面に転写する工法にこの
発明のコンクリート型枠を適用することも可能であり、
この場合にも光触媒粒子がこれら物質によって光触媒反
応が阻害されるないようすれば良い。
【0063】また、この発明のコンクリート型枠は、コ
ンクリート打設後、型枠を取り外し、コンクリート表面
をそのまま露出させて使用されるコンクリート壁面を構
築する場合に広く用いることができ、太陽光が照射され
る屋外に限らず、紫外線ランプやけい光灯等を用いるこ
とで屋内であっても良く、例えば建築物の外壁、内壁、
床、天井、橋梁、ダム、トンネル壁、トンネル換気塔、
地下駐車場等にも適用できる。
【0064】
【実施例】次に、この発明のコンクリート型枠の実施例
について説明する。型枠材として一般に使用されている
木枠を100×100mmにしたものと発泡ポリスチレン
製の化粧型枠(SK−111A、アキレス(株)製、9
00×900mm) を100×100mmにしたものを用い
た。
【0065】バインダー層には、水溶性有機高分子化合
物としてA:ポリビニールピロリドン、B:ポリビニー
ルアルコール、C:ヒドロキシメチルセルロースの3種
類を用いるとともに、D:モルタルの合計4種類を用い
た。
【0066】そして、水溶性有機高分子化合物A〜Cは
それぞれを水で溶解して3%の水溶液とし、これを型枠
材に表1に示すような種々の付着量となるように刷毛塗
りを行った。その後、直ぐに表1に示すような所定量の
酸化チタン粒子を全面にほぼ均一になるように振り掛
け、室温で放置乾燥した。
【0067】また、モルタルDの場合には、表1に示す
所定量の酸化チタンをほぼ均一に型枠材に振り掛けた
後、約50%の水でスラリー状にしたモルタルセメント
を均一に流し込み、室温で乾燥した。
【0068】
【表1】
【0069】このようにして成形したコンクリート型枠
は乾燥後、酸化チタンが付着された面を下にして軽く手
で20回たたいて試験型枠を完成した。この時、表1に
示すロットNo.2,11,13では、試験型枠からの酸
化チタンの脱落が観察された。
【0070】次に、このコンクリート型枠の試験型枠を
用い、コンクリートを打設し、コンクリートが硬化した
後、試験型枠を取り外し、試験型枠と接していた面が評
価面となる100×100×20mmのコンクリート試験
片を得た。
【0071】こうして得られたコンクリート試験片を次
の2つの評価法1,2で評価した。
【0072】評価法1として、各コンクリート試験片を
水槽にいれ、水槽の内側面に張り付けた。このコンクリ
ート試験片の評価面に水槽の外側からか螢光灯(20W
×4本)で光を照射して1か月放置した。その後、コン
クリート試験片を取り出し、評価面を観察し、藻類の発
生を次の3つに分類して評価した。
【0073】×:藻類の発生が多く見られた、 △:藻類の発生が少し見られた、 ○:藻類の発生が全く見られなかった。
【0074】評価法2として、各コンクリート試験片を
それぞれ密閉できるガラス製の透明な容器に入れた後、
酸化窒素ガスを加えて内部のガス濃度が50ppm となる
ように調整した。その後、各コンクリート試験片の評価
面にブラックライトで紫外線強度が1mW/cm2 となる
ように照射し、2時間後に容器内のガス濃度をガスクロ
マトグラフィーで測定した。このような評価法1,2に
よる評価結果を表2に示した。
【0075】
【表2】
【0076】その結果、ロットNo.3,4,6,7,
8,9,10では、藻類の発生が全く見られず、酸化窒
素ガスの減少効果が著しいことがわかった。
【0077】一方、酸化チタンを付着させてないロット
No.1では、藻類の発生が多く見られるとともに、酸化
窒素ガスの減少効果が殆どなかった。
【0078】また、酸化チタンが試験型枠から脱落した
ロットNo.2,11,13でも、同様に、藻類の発生防
止および酸化窒素ガスの減少効果が殆ど見られなかっ
た。
【0079】さらに、酸化チタンの付着量(塗布量)が
少ないロットNo.5でも藻類の発生防止および酸化窒素
ガスの減少効果が僅かであった。
【0080】一方、バインダーの塗布量が多いロットN
o.12でも藻類の発生防止および酸化窒素ガスの減少効
果が少なかった。
【0081】
【発明の効果】以上、一実施の形態とともに具体的に説
明したようにこの発明の請求項1記載のコンクリート型
枠によれば、型枠材の表面にバインダー層を介して光触
媒粒子を付着させて転写層を形成するようにしたので、
このコンクリート型枠を用いてコンクリートを打設する
ことで、打設までの間はバインダー層によって光触媒粒
子を脱落させずに取り付けておくことができ、打設後に
はコンクリート表面にのみ効率良く光触媒粒子を転写付
着させることができ、光触媒粒子の使用量を極力減らす
ことができる。
【0082】この光触媒粒子により、コンクリート表面
に簡単に防臭性、防かび性、防汚性などを付与すること
ができるほか、環境大気中の低濃度の窒素酸化物などの
汚染物質を除去する作用を付与することができる。
【0083】そして、この光触媒粒子の施工もコンクリ
ート型枠にバインダー層を介して付着させたものを転写
するだけで良く、簡単に施工することができる。
【0084】さらに、光触媒粒子の型枠材への付着に用
いるバインダー層が水溶性有機高分子の場合には、コン
クリートの打設によって殆どが溶解し、モルタルの場合
には、コンクリートと同一成分であるので、打設される
コンクリートに何等悪影響を与えることがなく、コンク
リートの諸物性が変化することもない。
【0085】また、この発明の請求項2記載のコンクリ
ート型枠によれば、型枠材を合成樹脂発泡成形体とした
ので、軽量化を図ることができるとともに、型枠表面に
凹凸模様などを形成することも容易となり、化粧型枠と
しての使用も可能となる。
【0086】さらに、この発明の請求項3記載のコンク
リート型枠によれば、バインダー層として水溶性有機高
分子化合物を用いるようにしたので、打設前は光触媒粒
子を型枠材の表面に強固に付着させることができる一
方、打設後は、コンクリート中に含まれる水分によって
バインダー層を速やかに膨潤・溶解させてコンクリート
表面にごく僅かしか残らないようにして光触媒機能を損
なわないようにすることができ、光触媒粒子自体はコン
クリートによって強固に保持させることができる。
【0087】また、この発明の請求項4記載のコンクリ
ート型枠によれば、光触媒粒子としてカップリング処理
された酸化チタンを用いるようにしたので、カップリン
グ処理によってバインダーとの結び付きを強くすること
ができ、型枠材表面への酸化チタンの付着保持を一層確
実にでき、コンクリート打設後はバインダー層の溶解に
よって型枠材表面に残存しないように転写させることが
できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 型枠材のコンクリートの打設面に、光触
    媒粒子をバインダー層を介して付着させて形成した転写
    層を備えてなることを特徴とするコンクリート型枠。
  2. 【請求項2】 前記型枠材を合成樹脂発泡成形体で構成
    してなることを特徴とする請求項1記載のコンクリート
    型枠。
  3. 【請求項3】 前記バインダー層を水溶性有機高分子化
    合物で構成したことを特徴とする請求項1または2記載
    のコンクリート型枠。
  4. 【請求項4】 前記光触媒粒子を、カップリング処理さ
    れた酸化チタンとしたことを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載のコンクリート型枠。
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