JP2002177785A - 三重構造を有する可視光反応型チタン酸化物粒子、チタン酸化物粒子含有皮膜を有する基材及び建材並びにそれらの製造方法 - Google Patents

三重構造を有する可視光反応型チタン酸化物粒子、チタン酸化物粒子含有皮膜を有する基材及び建材並びにそれらの製造方法

Info

Publication number
JP2002177785A
JP2002177785A JP2000378045A JP2000378045A JP2002177785A JP 2002177785 A JP2002177785 A JP 2002177785A JP 2000378045 A JP2000378045 A JP 2000378045A JP 2000378045 A JP2000378045 A JP 2000378045A JP 2002177785 A JP2002177785 A JP 2002177785A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
titanium oxide
oxide particles
titanium
carrier
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000378045A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiki Yamashita
芳樹 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ALTRA KK
Original Assignee
ALTRA KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ALTRA KK filed Critical ALTRA KK
Priority to JP2000378045A priority Critical patent/JP2002177785A/ja
Publication of JP2002177785A publication Critical patent/JP2002177785A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Building Environments (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光反応型チタン酸化物粒子を提供するこ
と、及び皮膜からチタン酸化物粒子を表出させ、チタン
酸化物の光触媒作用を効果的に発揮させることができる
チタン酸化物含有皮膜を有する基材及び建材、並びにそ
れらの製造方法を提供する。 【解決手段】 基材(壁紙、天井材等)に、接着剤(シ
リコーン系樹脂接着剤等)を塗布し、この塗膜が完全に
硬化する前に、担体(ゼオライト等)と、該担体を皮膜
するタングステン/チタン複合酸化物皮膜と、該皮膜を
被覆するアパタイトと、からなる可視光反応型チタン酸
化物粒子1を塗膜上に表出するように吹き付けた。その
後、自然乾燥により接着剤を硬化させることで、粒子を
固着させ、可視光反応型チタン酸化物粒子が皮膜から表
出しているチタン酸化物含有皮膜を有する基材を得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、三重構造を有する
可視光反応型チタン酸化物粒子、チタン酸化物粒子を有
する基材及び建材並びにそれらの製造方法に関し、更に
詳しくは、有害物質を効率よく分解可能な三重構造を有
する可視光反応型チタン酸化物粒子に関する。更に、チ
タン酸化物粒子を基材及び建材の表面に表出させ、チタ
ン酸化物の光触媒作用を効果的に発揮させることができ
るチタン酸化物粒子を有する基材及び建材並びにそれら
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、環境ホルモン(ダイオキシン
類及びアセトアルデヒト類等)、窒素酸化物、硫黄酸化
物、病原菌、カビ類等の有害物質を含んだ空気(大気)
をチタン酸化物等の光触媒機能により、分解させること
が試みられている。チタン酸化物等の光触媒機能は大部
分が紫外光領域の波長により得られるものであるが、生
活空間においては、可視光領域の波長の方が圧倒的に多
く存在する。このため、可視光領域の波長に反応するタ
イプのものが望まれている。
【0003】また、チタン酸化物の光触媒機能は、有害
物質がチタン酸化物と直に接触しない限り効果を発揮し
ない。このため、チタン酸化物を接着剤及び塗料等に含
有させ、基材に塗布するなどの方法により光触媒膜を形
成した場合、チタン酸化物が接着剤等の中に埋もれてし
まい、表面上に偶然的に露出した部分でしか十分な効果
を発揮することができず、十分な光触媒機能を得られて
いないのが実情である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みてなされたものであり、可視光反応型チタン酸化物
粒子を提供すること、及び皮膜からチタン酸化物粒子を
表出させ、チタン酸化物の光触媒作用を効果的に発揮さ
せることができるチタン酸化物含有皮膜を有する基材及
び建材、並びにそれらの製造方法を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の三重構造
を有する可視光反応型チタン酸化物粒子は、担体と、該
担体を皮膜するタングステン/チタン複合酸化物皮膜
と、該皮膜を被覆するアパタイトと、からなることを特
徴とする。
【0006】上記「タングステン/チタン複合酸化物皮
膜」を100重量%とした場合に、酸化物としてのタン
グステン量(WO3)の含有量は0.01〜10重量%
とすることができ、好ましくは0.1〜1重量%であ
る。また、上記WとTiとの元素当量比(W/Ti)は
3.2×10-5〜0.038とすることができ、好まし
くは3.4×10-4〜3.5×10-3である。この含有
量である場合には十分な光触媒機能が得られる。また、
これが10重量%を超える場合は、チタンへの結晶化を
妨げる、又は光触媒機能を低下させる恐れがある。
【0007】上記「可視光反応型チタン酸化物粒子」の
平均粒径は5nm〜100μmとすることができ、好ま
しくは0.01〜10μmである。この粒径が100μ
mを超えると、基材に付着させた場合に、チタン酸化物
粒子等が十分に固着されず、脱落し易くなる恐れがあ
る。
【0008】上記「担体」としては、例えば、ゼオライ
ト、シリカ及びアルミナ等の多孔質な吸着体などが挙げ
られる。
【0009】上記「アパタイト」は、有害物質の吸着剤
として働き、タングステン/チタン複合酸化物皮膜を部
分的に被覆しているものである。このアパタイトは皮膜
上を島状に被覆しているものが好ましい(図2参照)。
これが皮膜を完全に覆っていると、タングステン/チタ
ン複合酸化物の光触媒機能を十分に発揮させることがで
きないため好ましくない。また、被覆方法は、特に限定
されるものではなく、公知の方法を用いて被覆すること
ができる。また、アパタイトや上記担体に吸着された有
害物質は、タングステン/チタン複合酸化物の光触媒機
能により分解されるため、吸着効果はほとんど低減しな
い。
【0010】請求項1記載の三重構造を有する可視光反
応型チタン酸化物粒子の製造は、特に限定されるもので
はないが、例えば、以下のように行うことができる。ア
ルコール等の溶媒に、安定化剤、チタンアルコキシド及
びポリエチレングリコールを配合し、更にタングステン
化合物を配合して攪拌し、タングステン/チタン複合ゾ
ルを得る。その後、このタングステン/チタン複合ゾル
と、担体とを攪拌し、焼成して硬化させ、タングステン
/チタン複合酸化物皮膜(タングステンがチタンの一部
を置換している。尚、タングステンの一部が置換せず、
タングステン又はその酸化物として存在する場合もあ
る。)を有する粒子を得る。次いで、この粒子をアパタ
イトを用いて部分的に被覆して得ることができる。
【0011】上記アルコールとしては、エタノール、プ
ロパノール及びブタノール等が挙げられる。上記安定化
剤としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン等のアルコールアミン類、アセチルアセトン等のケト
ン類などが挙げられる。上記チタンアルコキシドとして
は、テトラエトキシチタン、テトラメトキシチタン及び
テトラプロポキシチタン等が挙げられる。
【0012】上記タングステン化合物としては、ペンタ
エトキシタングステン、ペンタイソプロポキシタングス
テン、クエン酸ナトリウムタングステン、塩化タングス
テン及びタングステン酸ナトリウム二水和物等が挙げら
れる。
【0013】請求項2記載のチタン酸化物含有皮膜を有
する基材は、請求項1記載の三重構造を有する可視光反
応型チタン酸化物粒子(a)、担体と該担体を皮膜する
チタン酸化物皮膜と該皮膜を被覆するアパタイトとから
なるチタン酸化物粒子(b)、担体と該担体を皮膜する
タングステン/チタン複合酸化物皮膜とからなるチタン
酸化物粒子(c)、担体と該担体を皮膜するチタン酸化
物皮膜とからなるチタン酸化物粒子(d)、アパタイト
に被覆されたタングステン/チタン複合酸化物粒子
(e)、アパタイトに被覆されたチタン酸化物粒子
(f)、タングステン/チタン複合酸化物粒子(g)及
びチタン酸化物粒子(h)のうちの少なくとも1種類を
含有する皮膜と、からなり、これらの粒子が該皮膜から
表出していることを特徴とする。
【0014】請求項4記載のチタン酸化物粒子含有皮膜
を有する基材の製造方法は、基材表面に接着剤を塗布
し、この塗膜上に、上記(a)〜(h)の粒子のうちの
少なくとも1種類を吹き付け、その後、硬化させて、こ
れらのチタン酸化物粒子がこの硬化された皮膜から表出
していることを特徴とする。
【0015】請求項6記載建材は、基材と、上記(a)
〜(h)の粒子のうちの少なくとも1種類を含有する皮
膜と、からなり、これらの粒子が該皮膜から表出してい
ることを特徴とする。
【0016】請求項8記載の建材の製造方法は、基材表
面に接着剤を塗布し、この塗膜上に、上記(a)〜
(h)の粒子のうちの少なくとも1種類を吹き付け、そ
の後、硬化させて、これらのチタン酸化物粒子がこの硬
化された皮膜から表出していることを特徴とする。
【0017】上記「基材」としては、請求項1記載の上
記「三重構造を有する可視光反応型チタン酸化物粒子
(a)」、上記「担体と該担体を皮膜するチタン酸化物
皮膜と該皮膜を被覆するアパタイトとからなるチタン酸
化物粒子(b)」、上記「担体と該担体を皮膜するタン
グステン/チタン複合酸化物皮膜とからなるチタン酸化
物粒子(c)」、上記「担体と該担体を皮膜するチタン
酸化物皮膜とからなるチタン酸化物粒子(d)」、上記
「アパタイトに被覆されたタングステン/チタン複合酸
化物粒子(e)」、上記「アパタイトに被覆されたチタ
ン酸化物粒子(f)」、上記「タングステン/チタン複
合酸化物粒子(g)」及び上記「チタン酸化物粒子
(h)」(以下、これらを「チタン酸化物粒子等」とも
いう。)のうちの少なくとも1種類を含有する皮膜を形
成することができる限り、特に限定されるものではな
い。例えば、その種類として、木材、紙、金属、ガラ
ス、プラスチック、セラミック、セメント、コンクリー
ト、繊維及び皮革等が挙げられる。また、その形状とし
て、タイル、ガラス板、床材、天井材、壁紙及び内装材
等の建材素材が挙げられる。
【0018】この基材は、請求項3、5、7及び9のい
ずれかに示すように、表面形状が凹凸である基材とする
ことができる。表面形状が凹凸であると、平坦な表面に
形成する場合よりも外観が向上するだけでなく、その凹
凸部に形成されるチタン酸化物粒子等を含有する皮膜の
表面積が広がるため、光触媒機能の効果が向上する。更
に、凹部に形成されることで、手や指が触れることによ
るなどの外部からの摩擦を受けにくく、チタン酸化物粒
子等を含有する皮膜から表出している粒子が脱落しにく
くなる(図3参照)。凹部の内部構造は、特に限定され
るものではなく、例えば、階段状、円柱状、球状、及び
三角柱状等の構造が挙げられる。この凹部の深さは10
μm〜100cmとすることができ、好ましくは1mm
〜1cmである。また、この凹部の縦及び横の長さは、
それぞれ1μm〜50cmとすることができ、好ましく
は1mm〜1cmである。
【0019】チタン酸化物粒子等の平均粒径は5nm〜
100μmとすることができ、好ましくは0.5〜10
μmである。この粒径が100μmを超える場合は、チ
タン酸化物粒子等が十分に固着されず、脱落し易くなる
恐れがある。
【0020】チタン酸化物粒子等のうちの少なくとも1
種類を含有する皮膜から表出する粒子の表面積の割合
は、粒子全体の表面積に対して20〜80%とすること
ができ、50〜60%が好ましい。表出する表面積の割
合が20%未満の場合は、十分な光触媒機能による効果
が得られない恐れがある。これが80%を超える場合
は、粒子が皮膜に十分に固着されない恐れがある。尚、
全ての粒子が皮膜から表出しているわけではない。
【0021】タングステン/チタン複合酸化物を含有す
る(a)、(c)、(e)及び(g)の粒子において、
タングステンの含有量は、タングステン/チタン複合酸
化物100重量%に対して、タングステンの含有量は
0.01〜10重量%とすることができ、好ましくは
0.1〜1重量%である。この含有量が0.01重量%
未満の場合は、可視光領域において十分な光触媒機能が
得られない恐れがある。一方、これが10重量%を超え
る場合は、チタンへの結晶化を妨げる、又は光触媒機能
を低下させる恐れがある。
【0022】上記チタン酸化物粒子等[(a)〜
(h)]の製造は、特に限定されるものではないが、例
えば以下のように行うことができる。アルコール等の溶
媒に、安定化剤、チタンアルコキシド及びポリエチレン
グリコールを配合して攪拌し、チタンゾルを得る。その
後、このチタンゾルを担体の表面に塗布し、焼成して硬
化させ、チタン酸化物粒子を含有する皮膜を有する粒子
(c)を得る。上記チタンゾルを調製する際に、タング
ステン化合物を配合し、それ以外は同様にすれば(d)
の粒子が得られる。更に、得られた粒子を部分的にアパ
タイトで被覆すれば(a)又は(b)が得られる。ま
た、担体を使用せず、上記のようにチタンゾル又はタン
グステン化合物を配合したタングステン/チタン複合ゾ
ルを調製し、焼成して硬化させ、チタン酸化物粒子
(h)又はタングステン/チタン複合酸化物粒子(g)
を得ることができる。更に、必要に応じて、この得られ
た粒子を部分的にアパタイトで被覆すれば(f)の粒子
又は(e)の粒子を得ることができる。尚、タングステ
ン化合物が配合されている粒子においては、タングステ
ンがチタンの一部を置換している。但し、タングステン
の一部が置換せず、タングステン又はその酸化物として
存在する場合もある。また、チタン酸化物粒子は市販の
ものを使用してもよい。
【0023】上記チタン酸化物粒子等におけるチタン酸
化物は、アナターゼ型又はルチル型のものを用いること
ができるが、アナターゼ型の方が光触媒機能をより発揮
するので好ましい。
【0024】上記アパタイトは、チタン酸化物等を部分
的に被覆しているものであり、皮膜上を島状に被覆して
いるものが好ましい。これが皮膜を完全に覆っている
と、光触媒機能を十分に発揮させることができないため
好ましくない。また、被覆方法は、特に限定されるもの
ではなく、公知の方法を用いて被覆することができる。
更に、このアパタイトを被覆させることで、後記の接着
剤が硬化し、チタン酸化物粒子等を固着した場合の光触
媒機能による劣化等を防ぐことができる。
【0025】上記アルコール等の非水溶媒、上記安定化
剤、上記チタンアルコキシド及び上記タングステン化合
物は、前記の説明をそのまま適用できる。
【0026】また、請求項2又は6に記載のチタン酸化
物粒子等を含有する皮膜を有する基材又は建材は、それ
ぞれ請求項4又は8に記載の方法により製造することが
できる。
【0027】請求項4又は8に記載のチタン酸化物粒子
等を含有する皮膜を有する基材又は建材の製造方法に用
いられる上記「接着剤」としては、例えば、(1)シリ
コーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、メタクリレート
樹脂、フタル酸樹脂、塩化ゴム樹脂、エポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、ユリア樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂
及びポリウレタン樹脂等の有機系の接着剤、(2)シリ
カ、コロイダルシリカ、水ガラス、セメント、石灰及び
セッコウ等の無機系の接着剤を用いることができる。
【0028】また、使用される接着剤は、硬化したとき
にチタン酸化物粒子等を固着するが、粒子に直に接する
ことになり、光触媒機能により劣化したり、分解等する
恐れがあり、粒子が脱落してしまうことがある(但し、
チタン酸化物粒子等がアパタイトに被覆されている場合
はその限りではない。)。このため、上記の接着剤のな
かでも、光触媒機能による劣化や分解が進行しにくい、
シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂が好ましい。
これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上を混合
して使用してもよい。
【0029】チタン酸化物粒子等の吹き付け方法として
は、チタン酸化物粒子等が皮膜から表出する限り、特に
制限はない。例えば、接着剤による塗膜が完全に硬化す
る前に、低圧スプレーガンを用いたスプレーコーティン
グ法等により、チタン酸化物粒子等を吹き付けることが
できる。また、チタン酸化物粒子等は、溶媒に分散させ
分散液として吹き付けてもよい。なかでも、溶剤や溶媒
を使用せず、チタン酸化物粒子等のみを吹き付けること
が好ましい。
【0030】上記溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、1−プロパノール及び2−プロパノール等のアルコ
ール類などが挙げられる。これらのうち、沸点の低いメ
タノール及びエタノールが好ましい。
【0031】また、接着剤を硬化させる方法は、本発明
に使用されるチタン酸化物粒子等が十分に固着される限
り、特に限定されるものではなく、使用する接着剤によ
り適宜選択することができる。例えば、自然乾燥や加熱
乾燥等の方法が挙げられる。また、反応型の接着剤を用
いた場合は、硬化剤等を塗布し、適した温度で硬化させ
ることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、実施例を
挙げて具体的に説明する。 実施例1 (1)三重構造を有する可視光反応型チタン酸化物粒子
の製造 まず、ビーカーの中に、エタノール700g、ジエタノ
ールアミン74g、チタンテトライソプロキシド100
g(0.35モル、TiO2換算:28g)、及びポリ
エチレングリコール(平均分子量:200)10gを入
れ、攪拌し、加水分解させ、チタンゾルを調整し、その
後、タングステン酸ナトリウム二水和物0.1g(3.
0×10-4モル、WO3換算:0.07g)を入れ、攪
拌し、タングステン/チタン複合ゾルを調整した。上記
で製造したタングステン/チタン複合ゾルと、ゼオライ
ト(ユニオン昭和社製、商品名「スメルライト」)を攪
拌する。その後、600℃まで昇温速度100℃/時間
で昇温させ、この温度で1時間保持して焼成し、次い
で、自然冷却してゼオライト表面にタングステン/チタ
ン複合酸化物皮膜を形成した。尚、タングステン/チタ
ン複合酸化物皮膜を100重量%とした場合に、酸化物
としてのタングステン量(WO3)の含有量は0.25
重量%、上記WとTiとの金属元素当量比(W/Ti)
は0.00086である。更に、上記のタングステン/
チタン複合酸化物皮膜物を疑似体液(温度:37℃)に
浸漬させることで、アパタイトを島状に被覆し、三重構
造を有する可視光反応型チタン酸化物粒子を製造した
(図2参照)。
【0033】(2)チタン酸化物含有皮膜を有する壁紙
の製造 壁紙(基材)に、シリコーン系樹脂接着剤50〜100
g/m2を塗布し、この塗膜が完全に硬化する前に、上
記(1)で製造した可視光反応型チタン酸化物粒子1を
塗膜上に表出するように吹き付けた。その後、自然乾燥
により接着剤を硬化することで、チタン酸化物粒子を固
着させ、チタン酸化物粒子が皮膜から表出しているチタ
ン酸化物含有皮膜を有する壁紙を得た(図3参照)。
【0034】(3)性能評価 上記(2)で製造された、チタン酸化物含有皮膜を有す
る壁紙の吸光度を、分光光度計(島津製作所製、商品名
「島津自記分光光度計 UV−3100PC」)を用い
て、波長280〜500nmにおいて測定し、紫外光領
域及び可視光領域における吸光特性を評価した。その結
果を図1に示した。
【0035】比較例1 チタン酸化物として、アナターゼ型酸化チタン(石原産
業株式会社製、商品名「ST−01」)を用いたこと以
外は実施例1と同様にしてアパタイト皮膜チタン酸化物
粒子を製造した。更に、この比較例1を実施例1と同様
の性能評価を行い、その結果を図1に併記した。
【0036】比較例2 チタン酸化物として、アナターゼ型酸化チタン(石原産
業株式会社製、商品名「ST−E−01」)を用いたこ
と以外は実施例1と同様にしてアパタイト皮膜チタン酸
化物粒子を製造した。更に、この比較例2を実施例1と
同様の性能評価を行い、その結果を図1に併記した。
【0037】図1によれば、実施例1は、比較例1及び
比較例2よりも可視光領域側の波長である430nmか
ら吸収されていることが確認できた。このように、紫外
光領域だけでなく可視光領域の波長においても実施例1
は吸光特性を示すことから、可視光領域においても、光
触媒機能を発揮できることが分かった。
【0038】実施例2 三重構造を有する可視光反応型チタン酸化物粒子を上記
実施例1の(1)と同様に製造した。次に、凹部を有す
る基材(天井板又はクロス、塩化ビニル製)の凹部(深
さ5mm、幅5mm、奥行き10mm)だけに接着剤
(シリコーン系樹脂接着剤)50gを塗布し、この粒子
を上記実施例1の(2)と同様に付着させ、粒子が皮膜
から表出しているチタン酸化物含有皮膜を有するクロス
を得た。更に、このクロスの凹部(図6;倍率20
倍)、その凹部の壁面(図7;70倍)、その凹部の底
部表面(図8;倍率40倍)を電子顕微鏡により観察し
た。その結果を図6〜8に示す。
【0039】図6〜8によれば、チタン酸化物粒子は、
クロス表面から表出していることが確認でき、均一に分
散して固着されていることが確認できた。更に、図7に
よれば、凹部の壁面にも均一に固着されていることが確
認できた。
【0040】尚、本発明においては、上記の具体的な実
施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で
種々変更した実施例とすることができる。例えば、図4
に示すように、表面形状が平坦な基材にチタン酸化物粒
子等を含有する皮膜を形成してもよい。また、図5に示
すように、凸部の皮膜を研磨等により処理したり、予め
凸部をマスキングしておくことで凹部だけに接着剤を塗
布し、チタン酸化物粒子等を吹き付け、マスキングを剥
離し、マスキングしていない凹部だけに、この粒子を含
有する皮膜を形成することもできる。この場合、基材の
美観を損なう恐れがほとんどない。また、基材を建築素
材とすることで、チタン酸化物粒子含有皮膜を有する建
材を得ることができる。
【0041】
【発明の効果】請求項1記載のチタン酸化物粒子は可視
光反応型であるため、一般的な蛍光灯等の光にも反応
し、効率よく有害物質を分解することができる。更に、
請求項2〜9に記載のチタン酸化物含有皮膜を有する基
材及び建材並びにそれらの製造方法によれば、チタン酸
化物粒子を基材の表面に表出させているので、チタン酸
化物粒子の光触媒作用を効果的に発揮させ、有害物質を
効率よく分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、比較例1及び比較例2の吸光度を表
すグラフである。
【図2】三重構造を有する可視光反応型チタン酸化物粒
子の断面図である。
【図3】実施例1において製造された、可視光反応型チ
タン酸化物を含有する皮膜を有する基材の模式図であ
る。
【図4】チタン酸化物含有皮膜を有する基材の表面形状
が平坦であるものの模式図である。
【図5】凹部のみにチタン酸化物含有皮膜を有する基材
の模式図である。
【図6】実施例2における凹部の電子顕微鏡写真図であ
る。
【図7】図6の凹部の壁側部の電子顕微鏡写真図であ
る。
【図8】図6の凹部の底部表面の電子顕微鏡写真図であ
る。
【符号の説名】
1;三重構造を有する可視光反応型チタン酸化物粒子、
11;チタン酸化物粒子等、2;タングステン/チタン
複合酸化物、3;担体、4;アパタイト、5;基材、
6;接着層。
フロントページの続き Fターム(参考) 2E001 DH00 FA03 FA10 FA11 FA14 GA12 GA26 HA01 HA04 HA11 HA14 HB01 HC01 HC07 HD00 HD13 LA04 4G069 AA03 AA08 BA01A BA02A BA07A BA07B BA09A BA09B BA13A BA14A BA16A BA17 BA22C BA29A BA29B BA48A BB06A BB06B BB14A BB14B BC50A BC50B BC60A BC60B BE32C CA10 CA11 CA12 CA13 CA17 CA19 EB03 EC28 FA06 FB23 FB71 FC05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 担体と、該担体を皮膜するタングステン
    /チタン複合酸化物皮膜と、該皮膜を被覆するアパタイ
    トと、からなることを特徴とする三重構造を有する可視
    光反応型チタン酸化物粒子。
  2. 【請求項2】 基材と、請求項1記載の三重構造を有す
    る可視光反応型チタン酸化物粒子(a)、担体と該担体
    を皮膜するチタン酸化物皮膜と該皮膜を被覆するアパタ
    イトとからなるチタン酸化物粒子(b)、担体と該担体
    を皮膜するタングステン/チタン複合酸化物皮膜とから
    なるチタン酸化物粒子(c)、担体と該担体を皮膜する
    チタン酸化物皮膜とからなるチタン酸化物粒子(d)、
    アパタイトに被覆されたタングステン/チタン複合酸化
    物粒子(e)、アパタイトに被覆されたチタン酸化物粒
    子(f)、タングステン/チタン複合酸化物粒子(g)
    及びチタン酸化物粒子(h)のうちの少なくとも1種類
    を含有する皮膜と、からなり、これらの粒子が該皮膜か
    ら表出していることを特徴とするチタン酸化物粒子含有
    皮膜を有する基材。
  3. 【請求項3】 上記基材の表面形状が凹凸である請求項
    2記載のチタン酸化物粒子含有皮膜を有する基材。
  4. 【請求項4】 基材表面に接着剤を塗布し、この塗膜上
    に、請求項1記載の三重構造を有する可視光反応型チタ
    ン酸化物粒子(a)、担体と該担体を皮膜するチタン酸
    化物皮膜と該皮膜を被覆するアパタイトとからなるチタ
    ン酸化物粒子(b)、担体と該担体を皮膜するタングス
    テン/チタン複合酸化物皮膜とからなるチタン酸化物粒
    子(c)、担体と該担体を皮膜するチタン酸化物皮膜と
    からなるチタン酸化物粒子(d)、アパタイトに被覆さ
    れたタングステン/チタン複合酸化物粒子(e)、アパ
    タイトに被覆されたチタン酸化物粒子(f)、タングス
    テン/チタン複合酸化物粒子(g)及びチタン酸化物粒
    子(h)のうちの少なくとも1種類を吹き付け、その
    後、硬化させて、これらのチタン酸化物粒子がこの硬化
    された皮膜から表出していることを特徴とするチタン酸
    化物粒子含有皮膜を有する基材の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記基材の表面形状が凹凸である請求項
    4記載のチタン酸化物粒子含有皮膜を有する基材の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 基材と、請求項1記載の三重構造を有す
    る可視光反応型チタン酸化物粒子(a)、担体と該担体
    を皮膜するチタン酸化物皮膜と該皮膜を被覆するアパタ
    イトとからなるチタン酸化物粒子(b)、担体と該担体
    を皮膜するタングステン/チタン複合酸化物皮膜とから
    なるチタン酸化物粒子(c)、担体と該担体を皮膜する
    チタン酸化物皮膜とからなるチタン酸化物粒子(d)、
    アパタイトに被覆されたタングステン/チタン複合酸化
    物粒子(e)、アパタイトに被覆されたチタン酸化物粒
    子(f)、タングステン/チタン複合酸化物粒子(g)
    及びチタン酸化物粒子(h)のうちの少なくとも1種類
    を含有する皮膜と、からなり、これらの粒子が該皮膜か
    ら表出していることを特徴とする建材。
  7. 【請求項7】 上記基材の表面形状が凹凸である請求項
    6記載の建材。
  8. 【請求項8】 基材表面に接着剤を塗布し、この塗膜上
    に、請求項1記載の三重構造を有する可視光反応型チタ
    ン酸化物粒子(a)、担体と該担体を皮膜するチタン酸
    化物皮膜と該皮膜を被覆するアパタイトとからなるチタ
    ン酸化物粒子(b)、担体と該担体を皮膜するタングス
    テン/チタン複合酸化物皮膜とからなるチタン酸化物粒
    子(c)、担体と該担体を皮膜するチタン酸化物皮膜と
    からなるチタン酸化物粒子(d)、アパタイトに被覆さ
    れたタングステン/チタン複合酸化物粒子(e)、アパ
    タイトに被覆されたチタン酸化物粒子(f)、タングス
    テン/チタン複合酸化物粒子(g)及びチタン酸化物粒
    子(h)のうちの少なくとも1種類を吹き付け、その
    後、硬化させて、これらのチタン酸化物粒子がこの硬化
    された皮膜から表出していることを特徴とする建材の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 上記基材の表面形状が凹凸である請求項
    8記載の建材の製造方法。
JP2000378045A 2000-12-12 2000-12-12 三重構造を有する可視光反応型チタン酸化物粒子、チタン酸化物粒子含有皮膜を有する基材及び建材並びにそれらの製造方法 Pending JP2002177785A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000378045A JP2002177785A (ja) 2000-12-12 2000-12-12 三重構造を有する可視光反応型チタン酸化物粒子、チタン酸化物粒子含有皮膜を有する基材及び建材並びにそれらの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000378045A JP2002177785A (ja) 2000-12-12 2000-12-12 三重構造を有する可視光反応型チタン酸化物粒子、チタン酸化物粒子含有皮膜を有する基材及び建材並びにそれらの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002177785A true JP2002177785A (ja) 2002-06-25

Family

ID=18846684

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000378045A Pending JP2002177785A (ja) 2000-12-12 2000-12-12 三重構造を有する可視光反応型チタン酸化物粒子、チタン酸化物粒子含有皮膜を有する基材及び建材並びにそれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002177785A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010084448A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Dainippon Printing Co Ltd 可視光型光触媒機能を有する壁紙、及び該壁紙の製造方法。
JP2011179438A (ja) * 2010-03-02 2011-09-15 Isuzu Motors Ltd 排ガス浄化装置
WO2011114467A1 (ja) * 2010-03-17 2011-09-22 株式会社オー・ティー・エー 光触媒フィルタの製造方法および光触媒フィルタ
WO2011114894A1 (ja) * 2010-03-17 2011-09-22 株式会社オー・ティー・エー 光触媒フィルタ
JP5395253B2 (ja) * 2010-03-17 2014-01-22 株式会社オー・ティー・エー 光触媒フィルタ
EP3251743A1 (en) 2016-06-02 2017-12-06 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Photocatalyst particle, method for decomposing organic compound contained in alkaline aqueous solution with the same, and method for converting toxic ions contained in alkaline aqueous solution into non-toxic ions

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010084448A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Dainippon Printing Co Ltd 可視光型光触媒機能を有する壁紙、及び該壁紙の製造方法。
JP2011179438A (ja) * 2010-03-02 2011-09-15 Isuzu Motors Ltd 排ガス浄化装置
WO2011114467A1 (ja) * 2010-03-17 2011-09-22 株式会社オー・ティー・エー 光触媒フィルタの製造方法および光触媒フィルタ
WO2011114894A1 (ja) * 2010-03-17 2011-09-22 株式会社オー・ティー・エー 光触媒フィルタ
WO2011114893A1 (ja) * 2010-03-17 2011-09-22 株式会社オー・ティー・エー 光触媒フィルタの製造方法および光触媒フィルタ
WO2011114468A1 (ja) * 2010-03-17 2011-09-22 株式会社オー・ティー・エー 光触媒フィルタ
JP5395253B2 (ja) * 2010-03-17 2014-01-22 株式会社オー・ティー・エー 光触媒フィルタ
EP3251743A1 (en) 2016-06-02 2017-12-06 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Photocatalyst particle, method for decomposing organic compound contained in alkaline aqueous solution with the same, and method for converting toxic ions contained in alkaline aqueous solution into non-toxic ions

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3690864B2 (ja) 光触媒体の製造法
RU2318781C2 (ru) Керамическое формованное изделие с фотокаталитическим покрытием и способ его получения
JP2918787B2 (ja) 光触媒体およびその製造方法
US6306796B1 (en) Photocatalyst, process for producing the same and multifunctional members
TW201127489A (en) Visible light-responsive photocatalyst coating material, coated article, allergen inactivation method
CA2458725A1 (en) Self-cleaning uv reflective coating
US20120168666A1 (en) Coating composition and uses thereof
EP2726557B1 (en) Surface treatment agent with high photocatalytic and sanitary effects
JP2002177785A (ja) 三重構造を有する可視光反応型チタン酸化物粒子、チタン酸化物粒子含有皮膜を有する基材及び建材並びにそれらの製造方法
JP4635185B2 (ja) ポリエステル繊維の光触媒コーティング方法
JPH1192689A (ja) 無機コーティング剤
JPH10167727A (ja) 変性酸化チタンゾル、光触媒組成物及びその形成剤
KR20070106078A (ko) 상온 경화형 이산화티탄계 광촉매 조성물 및 코팅방법
KR101048340B1 (ko) 투명피막 형성용 조성물
JP2003327869A (ja) コーティング剤、塗料及びコーティング剤の製造方法
JP2000001668A (ja) 表面親水性基体
KR101207841B1 (ko) 초소수성 표면구조를 갖는 미세입자의 제조방법 및 이를 기판에 코팅하는 방법
JPH08131842A (ja) 光触媒作用を有する部材の形成方法
JPH11188272A (ja) 光触媒体およびその製造方法
JP2003064606A (ja) 焼結ブロック
KR20030084174A (ko) 기재에 광촉매를 직접 고정시키는 방법
JPH11323188A (ja) 光触媒膜およびその形成方法と光触媒塗料
JP2000262909A (ja) 光触媒機能を有する製品
JP2001276613A (ja) 光触媒体および機能体
JP2004083832A (ja) 光触媒塗料及びその成膜方法並びに該塗料を塗布して得られた光触媒機能を有するコーティング材