JPH09227565A - 創傷治療剤 - Google Patents

創傷治療剤

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JPH09227565A
JPH09227565A JP8060367A JP6036796A JPH09227565A JP H09227565 A JPH09227565 A JP H09227565A JP 8060367 A JP8060367 A JP 8060367A JP 6036796 A JP6036796 A JP 6036796A JP H09227565 A JPH09227565 A JP H09227565A
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wound
cepharanthin
cells
skin
healing
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JP8060367A
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Hiroshi Terada
弘 寺田
Kazuto Okura
一人 大倉
Kenji Uragami
憲司 浦上
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KAKEN SHIYOUYAKU KK
Kaken Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
KAKEN SHIYOUYAKU KK
Kaken Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より安全で創傷治療効果の強い創傷治療剤、
すなわち皮膚等組織に発生した傷や潰瘍を、表皮細胞等
の再生能を利用して元の皮膚や粘膜の状態に戻す医薬の
開発。 【解決手段】 タマサキツヅラフジを抽出すること等に
より得られるセファランチンを有効成分として含有する
創傷治療剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、創傷治療剤に関
し、更に詳細には、皮膚等の組織に発生した傷や潰瘍
を、表皮細胞等の再生能を利用して元の皮膚等の状態に
戻すことのできる創傷治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】皮膚や粘膜は、多くの原
因により、しばしば損傷を受ける。 これらの皮膚等組
織の損傷である傷や潰瘍は、創傷と呼ばれ、具体的には
切り傷、擦り傷、褥瘡(床ずれ)、痔疾、皮膚の潰瘍な
どが含まれる。 これらの創傷は、痛みを伴ない、また
感染症の可能性もあり、更には不完全な形で治癒した場
合にはケロイドや傷あと等が残る場合もあるので、早期
に完全に治療することが求められている。
【0003】従来、このような創傷を、表皮細胞等の再
生能を利用して元の状態に戻す薬剤としては、殺菌作用
のあるヨウ素と糖類を組み合わせた製剤、幼牛血液抽出
物を含む製剤、サイクリックAMP誘導体を含む製剤、
トコレチナートを含む製剤等が知られているが、更によ
り安全で創傷治療効果の強い創傷治療剤の開発が求めら
れていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、安全性が高
く、しかも創傷治療効果の優れた化合物について鋭意検
索を行っていたところ、既に抗結核薬として開発され、
造血作用、免疫調整作用、抗アレルギー作用を有する医
薬として知られているセファランチンが当該条件を満た
すものであることを見出し、本発明を完成した。すなわ
ち本発明は、セファランチンを有効成分として含有する
創傷治療剤を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本明細書中において、創傷治療剤
とは、皮膚や粘膜組織に発生した傷や潰瘍を、表皮細胞
等の再生能を利用して元の皮膚や粘膜の状態に戻す医薬
を意味し、一般に傷薬等として知られている殺菌剤や、
消炎鎮痛剤等を意味するものではない。
【0006】本発明の創傷治療剤の有効成分として利用
されるセファランチンは、タマサキツヅラフジから抽出
されたものであり、細胞膜の脂質二重層の流動性を変化
させて膜を安定化させたり、いろいろなタイプの細胞の
内部で代謝を変動させる薬剤として知られている。 例
えば、蛇毒による溶血に対しては強力な抑制作用を示し
たり、各種抗ガン剤の耐性に対する克服作用を有するこ
とが知られている。
【0007】本発明の創傷治療剤は、このセファランチ
ンを有効成分とし、これを医薬的に許容しうる担体と組
合せ、製剤化することにより製造される。
【0008】本発明の創傷治療剤の剤形としては、特に
制限はなく、非経口あるいは経口投与用の剤形とするこ
とができるが、創傷治療という目的から局所投与に適し
た剤形が望ましい。 局所投与に好ましい剤形として外
用剤、注射剤等が挙げられ、このうち外用剤としては、
軟膏、ゲル、クリーム、乳液、液剤などの塗布剤、テー
プ剤、パッチ剤などの貼付剤、あるいはスプレー剤、粉
剤などの噴霧剤から選択される。 また、患部周辺に投
与する形態として注射剤が挙げられる。 更に、消化管
から吸収される形態として、粉剤、顆粒剤、錠剤等の剤
形を利用することも可能である。
【0009】本発明の創傷治療剤の製造においては、水
や有機溶剤の他に、医薬的に許容しうる担体や一般的な
医薬添加物が使用される。 そのような医薬添加物の例
としては、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキ
シメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリ
ウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カ
ルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチル
セルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラ
ビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ポリエチレング
リコール、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリ
コール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィ
ン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清ア
ルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラ
クトース、医薬添加物として許容され得る界面活性剤な
どがあげられる。
【0010】もちろん添加物が無くとも本発明の目的は
達成されるが、通常は本発明の創傷治療剤の剤形に応じ
て上記の中から適宜あるいは組み合わせて配合すること
が好ましい。
【0011】また、本発明の創傷治療剤は、他の薬剤、
生物学的製剤や合成医薬製剤などとの、同時もしくは逐
次的併用投与することもできる。 他の薬剤としては、
抗炎症作用、末梢循環改善作用、血栓生成抑制作用、組
織修復作用を有するもの、ヘパリン、あるいは本発明の
目的である創傷治癒活性を増強もしくは補助するような
創傷、痔疾、潰瘍治療剤の中から選ぶことができる。
【0012】本発明の創傷治療剤は、例えばこれを外用
剤として調製する場合、製剤中に有効成分であるセファ
ランチンを0.000001〜10重量%(以下、単に
「%」で示す)の範囲、特に0.00001〜0.1%の
範囲とすることが好ましい。
【0013】斯くして得られる本発明の創傷治療剤は、
例えば、各種創傷部位、すなわち皮膚等の組織の傷や潰
瘍等の損傷部位に塗布することにより利用される。 具
体的な創傷の例としては、切り傷、擦り傷、褥瘡(床ず
れ)、痔疾、皮膚の潰瘍等が挙げられる。
【0014】外用剤である創傷治療剤の投与回数として
は創傷時に1回、あるいは1日1ないし数回、もしくは
2ないし数日に1回の範囲で選ばれるがこれに限定され
るものではない。 また、本発明の創傷治療剤の投与量
としては、1日につき創傷1部位当たりのセファランチ
ン量として、0.001μgから100mgの範囲で選
ばれる。 好適には創傷1部位当たり0.01μgから1
mgの範囲で選ばれる。 前述の投与量は創傷部位の大
きさや症状によっても異なり、これらの値に限定される
ものでは勿論ない。
【0015】
【実施例】次に試験例および製剤例を挙げ、更に詳しく
説明するが、本発明はこれら試験例や製剤例によりなん
ら制約されるものではない。
【0016】試 験 例 1 新生ラット皮膚から分離した表皮基底および真皮細胞を
用い、その培養とプロテイン合成に対するセファランチ
ンの作用を次のようにして調べた。
【0017】材料と方法: ( 試 薬 )Eagle培地(MEM)(日水製薬, 東
京); 牛胎児血清(FBS)(ウイタッカー M.A.
バイオプロダクツ, 米国); TPCK−トリプシン
(シグマ, 米国); ディスパーゼ(合同酒精, 東
京);タイプIコラーゲン(コーケン, 東京); ミリ
セル−CM(直径12mm)(ミリポア・プロダクツ,
米国); 抗タイプIVコラーゲン血清(コラボレイテ
ィブ・バイオメディカル・プロダクツ, 米国); 抗ウ
サギIgG結合西洋ワサビペルオキシダーゼ(山羊)
(オルガノン・テクニカ, 米国); セファランチン
(和光純薬,大阪)
【0018】(表皮基底細胞の分離と培養)表皮基底細
胞は生後3日令のウイスター(Wistar)系から既知の方
法で分離した。この細胞を、Eagle培地に、10%
牛胎児血清(FBS)、23.8mM 重炭酸ソーダお
よび20mM Hepes緩衝液を添加した培地(ME
M−FBS)に浮遊させ、これに濃度を変えたセファラ
ンチンを添加した。
【0019】この浮遊液(0.5ml)をタイプIコラ
ーゲン被覆ミリポアフィルター上に初密度が5.0×1
6 細胞/mlになるよう播種し、37℃のCO2イン
キュベータ(5% CO2)中で培養した。
【0020】( 真皮線維芽細胞の分離と培養)新生ラ
ットから全皮を剥離して5×5mmの小片にカットし、
直径100mmの組織培養シャーレ上に、内側が下にな
るように播種した。小片がシャーレに接着したのち(約
5分後)、10mlのMEM−FBSを加えて37℃の
CO2 インキュベータ(5% CO2)中で培養した。
7日間の培養期間中に小片から真皮線維芽細胞が伸張し
た。 皮膚小片の残渣をシャーレから除去したのち、ト
リプシン(0.25%)−EDTA(0.02%)を加
え、37℃で1分間消化して線維芽細胞を取り出した。
この細胞を新しい組織培養シャーレに移して数日間培
養したのち実験に使用した。
【0021】( 皮膚細胞の分離と培養 )新生ラットの
皮膚から既知の方法で表皮膜を剥離分取した。 残りの
皮膚膜を5mMのCaCl2 を含有する10mMリン酸
緩衝液(pH7.4)中でコラゲナーゼと37℃2時間
処理した。分散した皮膚細胞を回収するために、Ca2+
とMg2+を含まないリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中
1200rpmで1分間遠心分離を行った。 得られた
細胞をMEM−FBS中に浮遊させ、24−ウエル・マ
ルチプレート上、37℃のCO2インキュベータ(5%
CO2)中で培養した。
【0022】( 表皮基底細胞の接着性と生存率の測定
)表皮基底細胞の接着性を調べるため、所定の期間の
培養後培養液を捨てて接着しなかった細胞を除去した。
接着細胞には0.5mlのPBSを加え、ゴム製のポリ
スマンを用いて注意深くコラーゲン層から引きはがし
た。 接着細胞の数は血球計算板で計数し、生存率はト
リパンブルー排除法で検査した。
【0023】( イムノブロッティング )SDS−PA
GEは7.5%ゲル上でLaemmliの方法にしたが
って行った。 表皮基底または真皮細胞を一定量のPB
S中、8Mの尿素の存在または非存在下にブランソン・
ソニファー・セル・ディスルプター(Branson Sonifer
Cell Disrupter)(model185)を用いて0℃で
10秒間超音波処理した。粉砕した表皮基底細胞(5.
0×104 細胞)または真皮細胞(4.0×103細胞)
(それぞれ10μl)を等量の0.5M Tris−HC
l(pH6.8)(1%SDS、650mM 2−メルカ
プトエタノールおよび25%グリセロール含有)と混合
し、1分間煮沸したのちゲル上にアプライした。 電気
泳動ののち、トウビン(Towbin)らの方法にしたがって
ウエスタンブロッティングを行った。
【0024】マーカープロテインとしては、次のものを
用いた。 ミオシン(myosin) 200kDa β−ガラクトシダーゼ 116kDa ホスホリラーゼ b 97kDa 牛血清アルブミン 66kDa オボアルブミン 43kDa
【0025】( 培養細胞の形態学的検鏡と免疫蛍光染
色 )一定期間培養した細胞についてオリンパス IMT
−2顕微鏡下に形態を観察した。 表皮細胞から産生さ
れたケラチンの検出にはオリンパス蛍光システム(mo
del IMT−2−RFC)を用いた。 新生ラットの
皮膚から生成されたケラチンに対する抗血清は既知の方
法でウサギから調製した。
【0026】結 果: ( 表皮基底細胞の接着とケラチン合成に対するセファ
ランチンの作用 )人工基底膜、タイプIコラーゲン被
覆ミリポアフィルター上に播種した表皮細胞の密度は
2.5×106 細胞/ウエルで、これはコンフルエンス
の95%以上に相当する。 所定の期間培養したのち、
細胞のコラーゲン層への接着性と接着した細胞の生存率
に及ぼすセファランチンの作用を検討した。 この結果
を図1および図2に示す。
【0027】この結果から明らかなように、セファラン
チンを添加しないときには、培養細胞の半数は2日後コ
ラーゲン層から遊離したのに対し、セファランチンを添
加すると、細胞のコラーゲン層への接着と接着細胞の生
存率は何れも用量依存的に強化された。 また、接着し
た細胞の数と生存率との間には殆どパラレルな関係が成
立していた。
【0028】表皮細胞の接着に及ぼすセファランチンの
影響を顕微鏡下に観察した結果によれば、セファランチ
ンを添加しない場合、培養2日後には表皮基底細胞層の
一部に剥離が観察され、6日後にはそれが肉眼的にも判
別されるようになったのに対し、培地に5μMのセファ
ランチンを添加した場合には、このように明瞭な細胞の
剥離は観察されなかった。
【0029】セファランチンの表皮基底細胞のケラチン
合成に影響を与える影響を2日間培養した細胞について
検討した。 皮膚の表皮基底細胞は生体内で分化の程度
に対応した種々のタイプのケラチンを合成するが、これ
らのプロテインを生成する能力はこの細胞の活性を判定
する指標の1つになっている。 表皮基底細胞中に貯留
されたケラチンの量は、培地に添加されたセファランチ
ンの量の増加(セファランチン なし、0.1μM、1μ
M、5μM)に応じて著しく増大し、55kDa、60
kDa及び68kDaの3種の大きなバンドが検出され
た。
【0030】( 真皮線維芽細胞の増殖とタイプIVコ
ラーゲン合成に対するセファランチンの作用)真皮線維
芽細胞(1.7×104 個)を24−ウエルプラスチッ
クプレート上に播種し、MEM−FBS中セファランチ
ン無添加で培養すると6日後には細胞数は1.4×105
に達した(図3)。 セファランチンはこのような増殖
を用量依存的に抑制し、5μMの量で増殖を停止させ
た。 その際細胞の生存率には何ら影響を与えなかった
(図4)。 セファランチンの存在および非存在下、2
4−ウエルのプレート上で4日間培養した線維芽細胞の
顕微鏡による観察によれば、真皮線維芽細胞の増殖はセ
ファランチン存在下では抑制されているが、非存在下で
はよく増殖していることが確認された。
【0031】真皮線維芽細胞の生体内における機能の1
つは基底膜の主要成分であるタイプIVコラーゲンを合
成することであるが、図3から分かるように、この細胞
はセファランチン無添加のMEM−FBS培地中で増殖
はするがタイプIVコラーゲンの生成はようやく検出可
能な程度に過ぎない。 実際、抗タイプIVコラーゲン
抗血清による検出で170kDaと180kDaに弱い
バンドが認められた程度である。
【0032】一方、セファランチンを添加したときには
細胞の増殖は著しく抑制されたが、タイプIVコラーゲ
ンの生成はむしろ増強された。 その上、産生されたコ
ラーゲンは細胞外へ分泌されていた。
【0033】( 表皮基底細胞の分化に及ぼすセファラ
ンチンの影響 )表皮および真皮の両細胞を含む皮膚細
胞(2.5×106 細胞)を24−ウエルプラスチック
プレート上でMEM−FBS中培養し、その生育状況お
よびケラチンの生成を顕微鏡および免疫蛍光顕微鏡で調
べた。 この結果、セファランチン不含のMEM−FB
Sで2日間培養すると真皮線維芽細胞のみが増殖し、免
疫蛍光染色によるケラチンの検出はバックグラウンド程
度にしか過ぎなかった。これに対して、セファランチン
を添加したときには表皮基底細胞が培養プレートにしっ
かりと接着し、2日間の培養で細胞層が広がった。 そ
の上、細胞層の表面全域に亘ってケラチンの生成したこ
とが認められた。 しかしながら真皮線維芽細胞はこの
細胞層中には殆ど検出されなかった。
【0034】結 論 :セファランチンは表皮基底細胞
の接着性と生存率を増強する一方で、真皮線維芽細胞に
対しては生存率には影響しないままプラスチックプレー
ト上での増殖を抑制したが、タイプIVコラーゲンの生
成能を失わせることはなかった。 皮膚の線維芽細胞は
生体内では静止状態にあり、数種のコラーゲンを産生す
ることが知られているので、セファランチンを添加して
培養した真皮細胞は生体内のありのままの皮膚細胞と同
じような挙動を取るものと考えられる。
【0035】上記のセファランチンの皮膚細胞に対する
作用は、培養した表皮基底細胞と真皮線維芽細胞のそれ
ぞれに対する作用の複合したものであった。 一般に皮
膚表皮細胞を培養する際に、増殖と分化をするためには
線維芽細胞が必要であるといわれており、顕微鏡および
免疫蛍光顕微鏡による観察の結果から、皮膚細胞の培養
にセファランチンを添加することによる表皮基底細胞の
増殖は、真皮線維芽細胞の共存によって著しく増進する
ことが明かとなった。 その上、セファランチンの添加
によって真皮線維芽細胞からのタイプIVコラーゲンの
産生が増強されることも明かとなった。 これらのこと
は表皮基底細胞の接着と増殖が促進されることを意味す
る。
【0036】したがって上記試験で示された結果は、生
体の損傷を受けた皮膚細胞に対するセファランチンの治
療上の有効性を示すものである。
【0037】製 剤 例 1 軟 膏 剤 (1):白色ワセリン250g、ステアリル
アルコール200g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
60の40gおよびモノステアリン酸グリセリン10g
を水浴上で加温して溶解し、よく混合して約75℃に保
つ。これに、予めプロピレングリコール120gにセフ
ァランチン1g、パラオキシ安息香酸メチル1g及びパ
ラオキシ安息香酸プロピル1gを加温して溶解し、精製
水358mlに加えて約75℃に加温した液を加え、か
き混ぜて乳液としたのち冷却し、固まるまでよくかき混
ぜて軟膏剤とする。
【0038】製 剤 例 2 軟 膏 剤 (2):プラスチベースおよび白色ワセリン
の2:1の混合物75g、流動パラフィン3g、CMC
−Na20gよりなる混合物を水浴上60℃に加温し、
良く攪拌しながらセファランチン2gを加え、全体を均
一として軟膏剤を得た。
【0039】製 剤 例 3 乳 液 剤 :下記組成および製法により乳液を調製し
た。 ( 組 成 ) A成分; セファランチン 0.05g ステアリン酸 3.5g オリブ油 5.0g スクワラン 5.0g 還元ラノリン 1.0g モノステアリン酸ソルビタン 1.0g モノステアリン酸ポリオキシ エチレンソルビタン(20EO) 2.0g ブチルパラペン 0.1g B成分; トリエタノールアミン 0.3g プロピレングリコール 2.0g メチルパラペン 1.0g 精 製 水 適 量(合計100g)
【0040】( 製 法 )Aの油相部及びBの水相部を
70〜72℃に加熱した後、水相部と油相部を混合し、
乳化器で乳化する。 次いでこの乳化物を30℃に冷却
し、容器に充填して乳液剤を得る。
【0041】製 剤 例 4 クリーム剤(1):製剤例3の製法と同様にして、下記
組成でクリーム剤を製造する。 ( 組 成 ) A成分; セファランチン 0.02g 自己乳化型モノステアリン酸 グリセリン 5.0g ステアリン酸 6.0g スクワラン 30.0g 防腐剤及び酸化防止剤 適量 B成分; 水酸化カリウム 0.3g グリセリン 3.0g 精 製 水 適 量(合計100g)
【0042】製 剤 例 5 クリーム剤(2):製剤例3の製法と同様にして、下記
組成でクリーム剤を製造する。 ( 組 成 ) A成分; セファランチン 0.05g さらし蜜ろう 10.0g マイクロクリスタリンワックス 2.0g 鯨 ろ う 2.0g スクワラン 20.0g 流動パラフィン 25.0g ベヘニルアルコール 1.0g モノステアリン酸ソルビタン 1.5g モノステアリン酸ポリオキシ エチレンソルビタン(20EO) 2.3g 酸化防止剤及び防腐剤 適量 B成分; 硼 砂 0.6g プロピレングリコール 3.0g 精 製 水 適 量(合計100g)
【0043】製 剤 例 6 注 射 剤 :セファランチン500mgおよびD−マン
ニトール1.0gを注射用蒸留水に溶解して全量100
mlとする。この溶液を0.2μのメンプレンフィルタ
ーで濾過し、2mlのアンプルに分注し、熔封したのち
加熱滅菌して注射剤とする。
【0044】製 剤 例 7 錠 剤 :セファランチン500mg、乳糖3.0g、
とうもろこし澱粉1.28g、ヒドロキシプロピルセル
ロース200mg及びステアリン酸マグネシウム20m
gをよく混合し、造粒したのち打錠して1錠当たり10
0mgの錠剤とする。
【0045】製 剤 例 8 カプセル剤:セファランチン500mg、乳糖2.5
g、ばれいしょ澱粉1.75g、結晶セルロース240
mg及びステアリン酸カルシウム10mgをよく混合
し、この混合物をカプセルに充填して1カプセル中有効
成分10mgを含有するカプセル剤とする。
【0046】
【発明の効果】本発明の創傷治療剤によれば、迅速かつ
完全に、しかもその傷痕を残さずり創傷を治療すること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表皮基底細胞ののコラーゲン層への接着性を
示す図面。
【図2】 接着した表皮基底細胞の生存率を示す図面。
【図3】 真皮線維芽細胞の増殖を示す図面。
【図4】 増殖した線維芽細胞の生存率を示す図面。
【符号の説明】
各図において、白丸は、セファランチンなしを、黒丸
は、セファランチン0.1μMを、白三角はセファラン
チン1μMを、黒三角はセファランチン5μMをそれぞ
れ示す。 以 上

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セファランチンを有効成分として含有す
    る創傷治療剤。
  2. 【請求項2】 切り傷、擦り傷、褥瘡、痔疾および皮膚
    潰瘍から選ばれた創傷を治療するものである請求項第1
    項記載の創傷治療剤。
  3. 【請求項3】 外用剤である請求項第1項記載の創傷治
    療剤。
  4. 【請求項4】 セファランチンを0.000001〜1
    0重量%含有する請求項第1項または第3項記載の創傷
    治療剤。
  5. 【請求項5】 経口投与剤である請求項第1項記載の創
    傷治療剤。
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