JPH09226409A - 作業車両の動力取出装置 - Google Patents

作業車両の動力取出装置

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JPH09226409A
JPH09226409A JP3414896A JP3414896A JPH09226409A JP H09226409 A JPH09226409 A JP H09226409A JP 3414896 A JP3414896 A JP 3414896A JP 3414896 A JP3414896 A JP 3414896A JP H09226409 A JPH09226409 A JP H09226409A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジン動力を、走行車輪へ伝達する油圧
式無段変速装置と、PTOクラッチが設置されたPTO
伝動軸を介してPTO軸へ伝達するPTO伝動装置とを
備えたトランスミッションのハウジングが大きくなり、
慣性空転防止用のブレーキ装置も大きな構成となってい
た。 【解決手段】 トランスミッションを収容するハウジン
グ内の第一の部屋R1に油圧式無段変速装置を構成し、
第二の部屋R2に前記PTO伝動軸33を配置すると共
に、第一の部屋と第二の部屋とを区画する仕切壁10b
に、PTO伝動軸をPTOクラッチ85の切断時に制動
するためのブレーキGを構成し、このブレーキGの摩擦
制動部材131を収納するブレーキ室130の外周位置
に、ブレーキ解除用の加圧板90のピストン部90bを
嵌入するシリンダ室132を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行車輌に油圧式
無段変速装置を備え、入力軸からPTO軸に動力を取り
出すための動力系統中に、PTOクラッチと、PTO軸
の慣性空転防止用のブレーキ装置を設ける構成に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から走行車輌のハウジング内に、油
圧式無段変速装置と、PTOクラッチと、PTO軸の慣
性空転防止用のブレーキ装置を収容した技術は公知とな
っている。例えば、特開平7−117500号の技術で
ある。この技術は、エンジン動力を、走行車輪へ伝達す
る油圧式無段変速装置をハウジングの前部の部屋に収容
し、入力軸からPTOクラッチが設置されたPTO伝動
軸を介してPTO軸へ伝達するPTO伝動装置と、PT
O軸の慣性空転防止用のブレーキとを、後部の部屋に配
置していた。そして、慣性空転防止用のブレーキはハウ
ジングの後部の部屋の側壁にシリンダー室を形成し、ピ
ストンロッドの先端に設けたブレーキパッドをPTOク
ラッチのクラッチケースに押しつけて制動する構成とし
ていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術で
は、クラッチケースにブレーキパッドを押しつけて制動
する構成なので、クラッチケースの大径部分を押す構成
となり、大きなブレーキ容量が必要となり、ブレーキ装
置が大きくなる。更に、該ブレーキ装置を作動させるた
めのシリンダーも大きくする必要があるので、シリンダ
ー室を形成するハウジングも大きくしなければならなか
ったのである。そして、このシリンダー室は後部のハウ
ジングに形成されていたので、PTOクラッチ「入」の
とき非制動状態とするために油圧を供給する油路は、前
部ハウジングから後部ハウジングまで導く必要があるの
で長くなってしまい、管路抵抗でブレーキの応答が遅く
なったりしていたのである。また、慣性量の大きな作業
機を装着して、この作業機の入力軸をPTO軸と接続し
て駆動する場合には、PTOクラッチを「入」としたと
きに、大きな力がかかるので、そのショックが大きく、
エンストとなることがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、エンジン動力を、走行車輪へ伝達する油圧
式無段変速装置と、PTOクラッチが設置されたPTO
伝動軸を介してPTO軸へ伝達するPTO伝動装置とを
備えたトランスミッションであって、該トランスミッシ
ョンを収容するハウジング内の第一の部屋に油圧式無段
変速装置を構成し、第二の部屋に前記PTO伝動軸を配
置すると共に、第一の部屋と第二の部屋とを区画する仕
切壁に、PTO伝動軸をPTOクラッチの切断時に制動
するためのブレーキを構成した。
【0005】また、前記仕切り壁の一側面に凹状にブレ
ーキ室を形成し、該ブレーキ室の中に、前記PTO伝動
軸と一体回転する回転板と、ブレーキ室に係止した固定
板とを重合して成る摩擦制動部材を収容し、該摩擦制動
部材の側方に加圧板を配置し、該加圧板を覆うべく前記
仕切壁の前面にカバーを装着し、該カバーの中に前記摩
擦制動部材を押圧する向きに前記加圧板を付勢するスプ
リングを配置して摩擦ブレーキに構成した。
【0006】また、前記PTOクラッチを、作動油の供
給により係合作動するよう構成し、PTOクラッチに対
し作動油を給排するロータリジョイント部を伝動軸上に
構成する一方、ブレーキの加圧板には、摩擦制動部材に
向けて突出した押圧部と、この押圧部に対して径方向で
並ぶように突出した環状のピストン部とが備えられると
共に、前記仕切壁のブレーキ室の外周位置には、環状の
凹入して加圧板のピストン部が摺動自在に嵌入されるシ
リンダ室を形成し、PTOクラッチの方向切換弁から導
かれる油通路を、仕切壁に形成した油路を介してロータ
リジョイント部とシリンダ室とに夫々接続した。
【0007】また、前記方向切換弁をプレート部材を介
してハウジングの外壁に取付け、このプレート部材とハ
ウジングとの間に、方向切換弁のクラッチポートと仕切
壁の油路とを連通する油通路を設けると共に、該油通路
からロータリジョイント部に至る途中に、そのケースが
前記ハウジングの一部で構成されたアキュムレータを接
続した。
【0008】また、前記アキュムレータのケースを、ハ
ウジング外壁から仕切壁内に向けて穿設した孔部で構成
し、孔部にアキュムレータのピストンを摺動自在に収容
してその孔部を前記プレート部材で閉塞すると共に、プ
レート部材とピストンの頭部との間に、プレート部材の
前記油通路を導いたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】次に添付の図面に示した本発明の
実施例の構成を説明する。図1は作業車両の全体側面図
である。
【0010】図1において、本発明のトランスミッショ
ンを搭載したミッドマウント型作業車両の全体構成から
説明する。機体前部上のボンネット1内にエンジンEを
収納し、該ボンネット1後部にダッシュボード2を配置
し、該ダッシュボード2上にハンドル3を配置してい
る。該ダッシュボード2下部の両側方にステップ4を配
置し、左側のステップ4上にブレーキペダル5L・5R
を配置し、右側のステップ上に図示しない主変速ペダル
を配置している。前記ダッシュボードの後方には座席6
を配置し、該座席6の側方に副変速レバー7、PTO切
換レバー9が配置されている。
【0011】前記座席6下方に本発明のトランスミッシ
ョンが配置されており、該トランスミッションは、前ケ
ース10と後ケース11からなるハウジング内に油圧式
無段変速装置とギア式変速装置とPTO伝動装置とを収
納して構成されている。該前ケース10から前方に入力
軸12と前輪駆動軸の第一軸部13とPTO出力軸の一
つであるミッドPTO軸14を突出し、後方にはリアP
TO軸36を突設している。入力軸12には前記エンジ
ンEのクランク軸より機体フレーム15内のダンパー
(図示せず)、伝動軸16を介して連動連結されてい
る。前記前輪駆動軸の第一軸部13にはユニバーサルジ
ョイント17を介してフロントアクスルケース18より
突出した入力軸19が連結され、該入力軸19に動力が
伝えられて、フロントアクスルケース18の左右両側に
軸支した前輪20を駆動できるようにしている。22は
前輪20を操向自在とするためのパワーステアリングシ
リンダーである。前記ミッドPTO軸14にはユニバー
サルジョイント23を介して、モア24のギアボックス
25より突出した入力軸26と連動連結されている。該
モア24は図示しない昇降装置によって、前輪20と後
輪21の間の空間で地面に対して昇降可能に構成されて
いる。
【0012】前記後ケース11の後部両側面からは車軸
27を左右側方へ突出して後輪21を軸支して駆動でき
るようにしている。後ケース11上面には油圧昇降装置
用のケース29を載置し、該ケース29には左右一対の
上下揺動自在なリフトアーム30が備えられている。後
ケース11の後面には、ロアリンク31・31とドロー
バーヒッチ32とを備えたプレートが装着されている。
そして、前記リフトアーム30とロアリンク31と図示
しないトップリンクとには作業機が昇降自在に装着され
るようにし、また、ドローバーヒッチ32に牽引作業機
が装着されるようにしている。
【0013】次にトランスミッションの構成を説明す
る。図2は走行系及びPTO系を備えたトランスミッシ
ョンのスケルトン図、図3は前ケース内に構成された油
圧式無段変速装置の側面断面図、図4は第二の部屋内の
ギア式変速装置とミッドPTO軸への動力伝達機構を示
す側面断面図、図5は前輪駆動軸への動力伝達機構とリ
アPTO軸への動力伝達機構を示すハウジング後部側面
断面図、図6は慣性空転防止用のブレーキとPTOクラ
ッチの拡大断面図、図7は同ブレーキの分解組立斜視
図、図8は走行系及びPTO系の動力伝動軸の配置を示
す正面図、図9は図3におけるX−X矢視断面図、図1
0はギア式変速装置の変速操作部と、変速操作部に連係
される後進変速牽制装置部の平面断面図、図11は図3
における右側のY−Y矢視断面図と左側のY’−Y’矢
視断面図、図12は図9におけるZ−Z矢視断面図、図
13はハウジングの前部斜視図、図14は油圧回路図で
ある。
【0014】前記ハウジングは、前ケース10と後ケー
ス11に前後に分割可能に接合されており、該前ケース
10は前面に前壁10aを、後面に後壁10bを形成し
て、前壁10aの周囲に機体フレーム15接合用のフラ
ンジ部10hが形成され、該前ケース10の前壁10a
の一部に設けた開口部を閉塞するためにセンタセクショ
ン40が固設され、前ケース10の後壁10bとセンタ
セクション40の間に第一の部屋R1を形成している。
該センタセクション40は後述する油圧ポンプP1とモ
ーターMとを装着するための部位であって前壁10aの
一部を構成している。そして、前ケース10の下部には
前輪駆動軸13・44を挿入するための貫通孔が形成さ
れている。そして、後ケース11の機体前後方向略中央
部に隔壁11aを設けて、後ケース11内を前後に仕切
り、前記前ケース10の後壁10bは前壁10aと隔壁
11aとの間に位置し、ハウジング内に第二の部屋R2
を形成するための仕切壁として機能している。後ケース
11の隔壁11aと後壁11cとの間には第三の部屋R
3が形成されている。更に、後ケース11の後壁には凹
部を形成して、該凹部は蓋体79によって閉塞され、第
四の部屋R4を形成している。
【0015】そして、前記前ケース10におけるセンタ
セクション40と後壁10bとの間に形成された第一の
部屋R1内において、その上部位置に入力軸12を軸受
支持する一方、センタセクション40の内面に油圧ポン
プP1を装着して、該入力軸12に油圧ポンプP1を連
結している。前記センタセクション40外面にはチャー
ジポンプP2を配置し、入力軸12に連結している。ま
た、第一の部屋R1内上下方向の略中央位置に走行第一
伝動軸41を軸受支持している。センタセクション40
の外面には、走行伝動一軸41と同一軸心上にその回転
軸心が位置するように油圧モータMを装着している。セ
ンタセクション40内に穿設した後述する油路を通じて
油圧ポンプP1と油圧モータMとを流体接続することに
より油圧式無段変速装置を構成している。
【0016】前記油圧ポンプP1は次のように構成され
る。即ち、センターセクション40の上部内面に設けた
ポンプ付設面50にシリンダブロック51が回転自在に
配置され、該シリンダブロック51の回転中心部に入力
軸12が係合されている。該シリンダブロック51の複
数のシリンダ孔内に、付勢バネを介してピストン52・
52・・・が往復動自在に嵌合され、該ピストン52・
52・・・の頭部に可動斜板53のスラストベアリング
53aが当接されている。該可動斜板53は両側方へ突
設したトラニオン軸53b・53bを中心として傾倒で
き、図9に示すように、一方は前ケース10の左側壁内
面に回転自在に支持され、他方は前ケース10の右側壁
の開口部を閉塞する側板60に回転自在に支持されてい
る。この他方のトラニオン軸53b上には中立戻しバネ
59が外嵌されている。この中立戻しバネ59の両端は
同方向に延びて途中で交差し、可動斜板53の側面に植
設した可動ピンと側板60の内面に植設した偏心固定ピ
ン78とを挟み込んでいる。該偏心固定ピン78を所定
の位置にセットすることにより可動斜板53は中立戻し
バネ59を介して中立位置に向けて付勢される。このト
ラニオン軸53bは更に延長して側板60より突出し、
この突出部分に速度制御アーム61を固定している。該
速度制御アーム61には後述する連結ロッド125等を
介して前記ステップ4上に配置した主変速ペダルと連動
連結されている。
【0017】前記センターセクション40の下部外面に
モータ付設面54が構成されており、該モータ付設面5
4に、シリンダブロック55が回転自在に配置され、該
シリンダブロック55の回転中心部に出力軸45が係合
されている。該シリンダブロック55の複数のシリンダ
孔内に付勢バネを介して複数のピストン56・56・・
・が往復動自在に嵌合されている。該ピストン56の頭
部は固定斜板57に接当している。固定斜板57はセン
タセクション40の外面に取り付けたモーターケース5
8内に固着され、またモーターケース58はシリンダブ
ロック55も収納している。
【0018】そして、前記油圧ポンプP1と油圧モータ
Mはセンタセクション40内に穿設した油路40a・4
0b(図10)によって流体的に結合され、該油路40
a・40bによって閉回路を構成し、該閉回路内には入
力軸12上に設けたチャージポンプP2から圧油が補給
される。図11に示す前ケース10の下部側面に油フィ
ルター46を配置するために、図13に示すように、前
ケース10の下部側面にはフィルター取付部10gが形
成されている。該油フィルター46の入口孔46aは図
9に示すように、後壁10bに穿設した孔120を通じ
て第二の部屋R2と連通している。第二の部屋R2内の
潤滑油は、油フィルター46によりろ過された後にフィ
ルター46の出口孔46b(図11)より側壁に設けた
油路121a、側板60と前ケース10の右側壁との合
わせ面に形成した縦油路121b、並びに、前ケース1
0の前面に開口する横油路121c,センタセクション
40内の油路を通じて前記チャージポンプP2の吸入ポ
ートに導かれる。
【0019】このように第一の部屋R1内には油圧ポン
プP1を収納してしているので、長時間の稼動によりそ
の内部に溜められた油は比較的高温となる。一方、第二
の部屋R2内には後述するギア式変速装置とPTO伝動
装置を収納しているだけなので、その中の油はあまり高
温にはならない。この温度の低い側の潤滑油を前記油フ
ィルター46を介してチャージポンプP2に吸い込んで
油圧式無段変速装置に補給することにより、該変速装置
を流れる作動油の温度上昇が抑制され、その耐久性を向
上させている。また、前ケース10に油フィルター46
の関連要素を集中配置することにより、配管することな
く、短く簡単な油路構成で第二の部屋R2内の潤滑油を
吸入できるようにして、製作コストの低減化を図ってい
る。
【0020】前記チャージポンプP2の吐出圧は図14
に示すように、メインリリーフ弁47によって設定さ
れ、その圧油の一部は抵抗弁48を介して、ハンドル3
に連係した切換弁100の切り換えによってパワーステ
アリングシリンダー22に送油され、前輪20を操向回
動する。該ステアリングシリンダー22からの戻り油
は、オイルクーラー123を経てモーターケース58内
に戻され、更にセンタセクション40の貫通孔を介して
第一の部屋R1、後壁10の各軸受部を介して第二の部
屋R2へと流れる。また、チャージポンプP2からの吐
出油は減圧弁49により調圧され、チェック弁124・
124のうち低圧側のチェック弁を通じて前記閉回路内
に補給される。また、油路40aまたは40bの高圧側
が異常に高くなると高圧リリーフ弁104・104より
リリーフされ規定圧が維持される。減圧弁49の調圧作
動時に排出される一定流量のドレン油は後述するPTO
クラッチ85の方向切換弁101に送油される。
【0021】また、前記閉回路を構成する油路40a・
40bにはチェック弁102・102と油フィルター1
03・103が接続され、図10に示すように前ケース
10の前壁10aに配置されており、エンジンEを停止
して坂道に駐車する場合等において、油圧モータMや油
圧ポンプなどの各部分から閉回路内の油が漏れて作動油
の不足を生じたときに油フィルター103・103を通
じてチェック弁102から第一の部屋R1内の潤滑油を
補給できるようにしている。そして、図3に示すよう
に、センタセクション40の上部に前記メインリリーフ
弁47が設けられて、チャージポンプP2の吐出油圧を
規定圧に設定し、センタセクション40の上部外面に固
設したチャージンプP2のポンプケース105内に前記
減圧弁49を配置している。
【0022】また、図2、図4、図5に示すように前記
前ケース10の後壁10bと後ケース11の隔壁11a
との間に、PTOカウンター軸39、PTO伝動軸3
3、走行伝動第二軸42、走行伝動第三軸43が軸受を
介して回転自在に前後方向に沿って平行に横架されてい
る。更に前ケース10と後ケース11を下斜め側方へ突
出した膨出部10i・11bの間にカウンター軸34及
びミッドPTO軸14が軸受を介して回転自在に前後方
向に横架されている。
【0023】また、図5に示すように前記後ケース11
の隔壁11aと後ケース11の後壁11cの間の第三の
部屋R3内には、その上部にリアPTO駆動軸35を前
後方向に横架して設け、その下部にデフギア装置Dと油
圧昇降装置用の油フィルター38とを並置している。該
リアPTO駆動軸35の後部は前記第四の部屋R4に突
入され、その突入した部位に歯車35aを設け、更に、
後壁11cと蓋体79との間には、歯車37を備えたリ
アPTO軸36を回転自在に横架して、第四の部屋R4
内において該歯車37を前記歯車35aと噛合させるこ
とにより、PTO駆動軸35とリアPTO軸36とを連
結している。そして、蓋体79より後方へリアPTO軸
36を突出している。
【0024】次に、図2〜図8よりトランスミッション
の動力伝達機構を説明する。前記入力軸12には前述の
ようにエンジンEの動力がダンパー(図示せず)、伝動
軸16を介して伝えられる。該入力軸12により油圧ポ
ンプP1とチャージポンプP2が駆動され、該油圧ポン
プP1からの圧油が油圧モータMに送油されて出力軸4
5が駆動される。該出力軸45の後端には前記走行第一
伝動軸41の前端がスプライン嵌合されて、一体的に回
転するように構成し、該走行第一伝動軸41の後壁10
bを突き抜けた後端には歯車62が固設されている。
【0025】次にギア式変速装置について説明する。前
記走行第一伝動軸41上の歯車62は図2、図4に示す
ように、走行第二伝動軸42上に固設した大径歯車63
と噛合し、該大径歯車63は走行第三伝動軸43上に遊
嵌した小径歯車65aと常時噛合している。また、走行
第二伝動軸42上には小径歯車64が刻設されて、該小
径歯車64は走行第三伝動軸43上に遊嵌した大径歯車
66aと常時噛合している。該小径歯車65aと大径歯
車66aとの間には軸43上にスプラインカラー67が
配置され、走行第三伝動軸43に固定され、該スプライ
ンカラー67上にスライダー68が軸方向摺動自在に嵌
合されている。
【0026】前記スライダー68の外周に形成した係合
凹部68aには、図10に示すように、シフター106
が係止されている。該シフター106は、前ケース10
の後壁10bと、後ケース11の隔壁11aとに摺動自
在に横架したシフター軸107に固設され、該シフター
軸107の前部は第一の部屋R1内に突出し、後述する
速度制御アーム61の後進変速牽制機構に連動連結さ
れ、後部はアーム108より突出したピンに係合され
る。該アーム108は、後ケース11の左側壁に回転自
在に軸支した切換軸109の内端に固定され、該切換軸
109の外端には切換アーム110が固定され、該切換
アーム110はリンク等を介して運転席側方の副変速レ
バー7と連結されている。
【0027】そして、前記歯車65a・66aに夫々備
わる係合子65b・66bは前記スライダー68の内歯
と噛合可能に構成され、副変速レバー7の操作によっ
て、切換アーム110を介し切換軸109が回動され、
アーム108、シフター軸107、シフター106を介
してスライダー68が軸方向に摺動されて、前記歯車6
5a・66aのうちの一方を走行第三伝動軸43に係止
することにより高低の二段変速が得られるように構成し
ている。
【0028】従って、前記副変速レバー7を高速位置へ
操作すると、スライダー68の内歯が前記小径歯車65
aの係合子65bと噛合し、前記出力軸45からの動力
が、走行第一伝動軸41→歯車62→大径歯車63→小
径歯車65a→係合子65b→スライダー68→スプラ
インカラー67→走行第三伝動軸43と伝えられて、走
行第三伝動軸43後端に設けたピニオン69からデフギ
ア装置Dを介して車軸27に高速回転の動力を伝える。
【0029】また、副変速レバー7を低速位置へ操作す
ると、スライダー68の内歯が前記大径歯車66aの係
合子66bと噛合し、前記出力軸45からの動力が、走
行第一伝動軸41→歯車62→大径歯車63→走行第二
伝動軸42→小径歯車64→大径歯車66a→係合子6
6b→スライダー68→スプラインカラー67→走行第
三伝動軸43と伝えられて、前記同様に車軸27に低速
回転の動力を伝える。
【0030】次に、前記速度制御アーム61の後進変速
時の牽制機構について説明する。図3、図9、図10に
示すように、前記シフター軸107の前端部は断面視半
円状に削られて最深部107aを有するカム面が形成さ
れている。油圧ポンプP1の下方には牽制アーム111
が配置されている。該牽制アーム111は互いに異なる
方向に延びる第一アーム部111aと第二アーム部11
1bとを有し、その中途部には支軸113が固定され、
該支軸113はセンタセクション40と前ケース10の
後壁10bの間に前後方向に沿って回転自在に横架され
牽制アーム111を左右方向に揺動自在に支持してい
る。牽制アーム111の第一アーム111aの先端に設
けたピン112にシフター軸107のカム面が当接され
ている。前記牽制アーム111の第二アーム部111b
の先端は牽制ピン114の一端面に当接されている。該
牽制ピン114は側板60の外面上において前記速度制
御アーム61の後進側回動範囲の略中間に位置決めされ
て、ブッシュ115を介して軸心方向に進退自在で可動
斜板53の傾転軸線と平行に側板60に軸支され、牽制
ピン114aの第一の部屋R1内に位置する部位にはバ
ネ116が外嵌されて、牽制ピン114を第一の部屋R
1内に引っ込めるように付勢している。
【0031】そして、副変速レバー7を中立位置及び低
速位置に操作したときには、図9に示す如くピン112
がカム面の最深部107a内に位置しており、牽制アー
ム111は支軸113まわりに回動されず、速度制御ア
ーム61は、前進側及び後進側の全範囲で回動操作する
ことができる。そして、副変速レバー7を高速位置に操
作したときにはシフター軸107が前方へ摺動されるの
で、牽制アーム111の第一アーム部111a先端に設
けたピン112がカム面の最浅部に乗り上げ、牽制アー
ム111が支軸113まわりに回動されて、第二アーム
部111bが牽制ピン114の内端面をバネ116に抗
して押し、該牽制ピン114の外端が側板60の外面よ
り突出する。よって、速度制御アーム61を中立位置か
ら後進側へ回動操作しようとするときに、後進側の回動
範囲の略中間位置にさしかかった時点で、速度制御アー
ム61が牽制ピン114に当たるのでそれ以上の増速操
作を制限するのである。つまり、副変速レバー7を高速
側へ切り換えた状態で後進させると、車両は高速で後進
してしまうが、この機構によれば、実用上不必要な高速
状態をカットし、低速位置へ切り換えたときのみ、速度
制御アーム61は後進側の全回動範囲で回動できるよう
にしているのである。
【0032】次に前輪駆動のための動力伝達機構を説明
する。図2、図3、図4、図5、図8に示すように、前
記走行第三伝動軸43上に固設した歯車71は、前記走
行第二伝動軸42の前端に遊嵌した歯車70と噛合し、
該歯車70は第二軸部44(図5)上に固設した歯車7
2と噛合している。前輪駆動軸は図3に示すように、第
一軸部13と第二軸部44からなり、第一軸部13は前
ケース10の前壁10aに設けた前記貫通孔にベアリン
グを介して回転自在に支持され、第二軸部44は後壁1
0bにベアリングを介して回転自在に支持され、第一軸
部13の後端部には第二軸部44の前端部が遊嵌支持さ
れている。
【0033】該第二軸部44の前端部と第一軸部13の
後端部との間に前輪駆動の入・切を行うクラッチ機構C
が設けられている。即ち、該第二軸部44の前端部と第
一軸部13の後端部の各々の外周にはスプライン溝が形
成されている。第一軸部13の後端部のスプライン溝に
はスライダー73を軸方向摺動自在に嵌合し、該スライ
ダー73の外周に形成した凹部73aには図9に示され
たシフター74の先端が係止されて、該シフター74は
回動軸75の内端に固設されている。該回動軸75は前
記前ケース10の右側面に固設したプレート部材77に
回動自在に軸支されて、回動軸75の外端に前輪駆動操
作アーム76を固定して速度制御アーム61の反対側に
位置させている。該前輪駆動操作アーム76はリンク等
を介して運転部に設けた前輪駆動入・切レバー(図示せ
ず)と連結される。なお、スライダー73と第一軸部1
3との間にはスライダー73を「入」位置と「切」位置
で維持できるようにボールデデント機構が設けられてい
る。
【0034】このような構成において、前輪駆動操作ア
ーム76が「入」側に操作されると、スライダー73が
第二軸部44と第一軸部13との両者にまたがって両者
を連結し、前記走行第三伝動軸43に伝えられた動力
が、歯車71→遊嵌歯車70→歯車72→第二軸部44
→スライダー73→第一軸部13→ユニバーサルジョイ
ント17→入力軸19→フロントアクスルケース18と
伝えられて前輪20を駆動し、同時に前記走行第三伝動
軸43から後輪21が駆動されているので四輪駆動状態
となる。前輪駆動操作アーム76が「切」側に操作され
ると、スライダー73が第一軸部13側に摺動されて第
二軸部44と第一軸部13との動力伝達が断たれて、後
輪21のみが駆動される。
【0035】次にPTO伝動装置について説明する。図
2、図5、図6、図7に示すように、前記入力軸12の
後端は後壁10bを貫いて第二の部屋R2内に突出され
て、その入力軸12の端部上に歯車80が固設され、該
歯車80は前記PTOカウンター軸39上に固設した歯
車81と噛合し、該歯車81は、PTO伝動軸33上に
ベアリング83を介して回転自在に遊嵌された歯車82
と噛合している。該歯車82の側面にはボス部が設けら
れ、図6に拡大して示すように、該ボス部と、PTO伝
動軸33上に固設したクラッチケース84との間に摩擦
板を交互に介装して摩擦多板式の油圧作動型のPTOク
ラッチ85を構成している。後述する油圧供給によって
PTOクラッチ85のピストン86が摺動されると摩擦
板を圧接して歯車82がPTOクラッチ85を介してP
TO伝動軸33に係合し入力軸12からPTO伝動軸3
3へ動力を伝えるようにしている。89はピストン86
を摩擦板押圧解除方向へ付勢するバネである。
【0036】前記PTO伝動軸33の前端は前ケース1
0の後壁(仕切壁)10bの貫通孔を突き抜けて、PT
Oクラッチ85の切断時にPTO軸14・36の慣性空
転を防止するためのブレーキGが構成されている。ブレ
ーキGは、次のように構成されている。即ち、PTO伝
動軸33前端にスプライン溝33aを形成し、該スプラ
イン溝33aに回転板を係止する一方、前ケース10の
後壁10bの前面にブレーキ室130を凹入状として形
成し、その内周部に固定板を回転不能に係止し、前記回
転板に重合させることによって、制動摩擦部材131を
構成しブレーキ室130内に配設している。制動摩擦部
材131の一側方には加圧板90が配置されている。加
圧板90は、その中央部に制動摩擦部材131に向けて
突出する押圧部90aと、この押圧部90aに対して径
方向で並ぶよう押圧部90aの外周で同方向に突出した
環状のピストン部90bとを備えてあり、該ピストン部
90bは前記制動摩擦部材板131の外周に位置する大
きさで、後壁10bの前面において前記ブレーキ室13
0の外周に環状に凹入形成したシリンダー室132に摺
動自在に嵌入されている。
【0037】このように加圧板90はその中央部の押圧
部90aに対して外周位置に環状ピストン部90bを設
けることによって、加圧板90の軸方向寸法を小さく
し、ブレーキGの全長を短くして、第一の部屋R1の限
られた空間に無理なく収容することが可能になってい
る。そして、加圧板90を覆うべく前ケース10の後壁
10bの前面には、細長い円筒形状のカバー87であっ
て、その内部にコイルスプリング88を収納したカバー
87が装着されている。該コイルスプリング88の基端
はカバー87の内底面に当接し、作用端は加圧板90に
当接してあり、これによって前記摩擦制御部材131を
押圧する向きに加圧板90をカバー87の中で付勢する
ように構成してある。
【0038】そして、前記PTO伝動軸33の軸内には
油路33b・33cを穿設し、該油路33bの一端は前
記PTOクラッチ85のクラッチケース84におけるピ
ストン86を収納したシリンダー室に開口し、該油路3
3bの他側は、PTO伝動軸33の外周面に形成した環
状溝33dとそれが摺接する後壁10bの貫通孔の内周
面との間に構成されたロータリジョイント部に通じてい
る。そして、前ケース10の後壁10bにはその肉厚部
に沿って油路10fが穿設され、その一端は前記ロータ
リジョイント部に連通し、他端は前ケース10の左側面
に開口している。また、前述したブレーキGのシリンダ
室132の底部の1箇所に油路10cが後壁10bを縦
断する方向に穿設されてその端部は油路10fと直交し
て連通している。
【0039】なお、PTO伝動軸33内の油路33cの
一端はPTO伝動軸の外周面上に開口しており、前述し
たブレーキGのブレーキ室130と連通し、カバー87
で閉じられている。後壁10bの肉厚部内には油路33
cと平行に油路10eが穿設され、その一端は前記ブレ
ーキ室130に連通し、他端は前ケース10の左側面に
開口している。
【0040】また、前ケース10の左側壁の外面に装着
されるプレート部材77は図15、図16、図17に示
す如く構成されている。即ち、プレート部材77は2つ
の回動軸75・127を回動自在に軸支すると共に、P
TOクラッチ85を『係合』・『非係合』に択一切換操
作するための方向切換弁101が設置されている。そし
て図15、図17に示されているように、プレート部材
77の前ケース10の左側面に対する接合面には4つの
油溝77a・77b・77c・77dが設けられ前ケー
ス10の左側面にプレート部材77を接合することによ
りこれらの油溝77a・77b・77c・77dは閉じ
られて油通路を形成する。ここで、前記方向切換弁10
1のポンプポートに油溝77cが、また、そのクラッチ
ポートに油溝77aが連通している。油溝77aと油溝
77bとは、プレート部材77に内装されたリリーフ弁
119を介して連通しており、油溝77aに流れる油が
リリーフ弁119にて規定値に調圧され、リリーフ弁1
19から排出されたリリーフ油が油溝77bに流れるよ
うになっている。
【0041】そして、プレート部材77は、上述した前
ケース10の左側面に開口する油路10e・10fを覆
い、油溝77aの端部を前記した油路10fに連通さ
せ、油溝77bを前記した油路10eに連通させてい
る。また、油溝77dは、方向切換弁101のドレンポ
ートに連通していると共に、前ケース10の左側面に設
けた貫通孔10m(図12)を通じて前ケース10の内
部の油溜まりに連通している。更に、前記油溝77aは
図11の右半分及び図12に示すように、アキュムレー
タ117と接続されている。該アキュムレータ117
は、前ケース10の後壁10bの肉厚部内に入力軸12
と直交する方向へシリンダー室10dを穿設し、該シリ
ンダー室10dにバネ117bとピストン117aを挿
入してピストン117aの頭部をプレート部材77で蓋
して、その頭部とプレート部材77との間に形成した受
圧室を油溝77aに連通させることにより簡単にアキュ
ムレータを構成している。なお、シリンダー室10dの
末端は、入力軸12の軸受室10jに連通しており、ア
キュムレータ117の作動時にシリンダー室10d内に
漏れた油は入力軸12の軸受の潤滑油として利用される
ようになっている。
【0042】前記プレート部材77の上側に設置された
方向切換弁101は3ポート2位置切換の電磁弁により
構成され、そのポンプポートは上述した油溝77cを通
じて、前ケース10の左側壁の肉厚部に沿って前方に延
びる油路10n(図9、図13)の一端と連通してい
る。該油路10nの他端は、前ケース10の前壁10a
の装着したセンタセクション40に設けた貫通孔(図示
せず)を通じてポンプケース105内の前記減圧弁49
のドレンポートに連通して減圧弁49から排出される油
がここに導入されるようになっている。方向切換弁10
1はダッシュボード2上に設けたPTO切換スイッチ
(図示せず)のON−OFF操作によって『作用位置』
と『非作用位置』とに択一的に切り換えることができ、
その『非作用位置』においた場合には、方向切換弁10
1は図14に示した状態となり、油溝77a・77cを
油溝77dに連通させるので減圧弁49のドレンポー
ト、並びに、PTOクラッチ85のシリンダ室とブレー
キGのシリンダ室132とに繋がった油路10f、の各
々が油溝77dから貫通孔10mを介して前ケース10
の油溜まりに開放される。
【0043】よって、PTOクラッチ85は、そのピス
トン86がバネ89の付勢により摩擦板から後退して非
係合状態となりPTO伝動軸33への動力伝達を遮断す
る。一方、ブレーキGは、そのコイルスプリング88の
付勢により加圧板90の押圧部90aが制動摩擦部材1
31を押圧してPTO伝動軸33が制動され、後述する
ミッドPTO軸14やリアPTO軸36を迅速に停止さ
せる。また、方向切換弁101を『作用位置』においた
場合には油溝77cが油溝77aに連通されると共に油
溝77dがブロックされる。これにより減圧弁49のド
レンポートを流れる圧油が、前ケース10における後壁
10bの油路10f、ロータリジョイント部、PTO伝
動軸33内の油路33bを通ってPTOクラッチ85の
シリンダ室に流入しピストン86が摩擦板を押圧してP
TOクラッチ85が係合し、入力軸12の回転をPTO
伝動軸33に伝達する。一方、油路10fを流れる圧油
は分岐して油路10cに流れブレーキGのシリンダ室1
32に流入してコイルスプリング88に抗して加圧板9
0を制動摩擦部材131から後退させてPTO伝動軸3
3の制動を解除する。なお、油溝77aに流れる圧油の
調圧時にリリーフ弁119から排出されるリリーフ油
は、油溝77bに流れて油路10eからブレーキ室13
0内の制動摩擦部材131を潤滑した後にPTO伝動軸
33の端面から油路33c内に流れ、PTOクラッチ8
5の摩擦板や各被潤滑部位を潤滑した後に後ケース11
内の油溜まりに戻される。
【0044】このPTO伝動軸33に作用する軸トルク
と時間との関係は、図18で示す如くであり、波形a
が、慣性空転防止用のブレーキGによるPTO伝動軸3
3を制動するブレーキトルクであり、時間(t0)でP
TO切換スイッチがOFFの時にトルク値(T1)のブ
レーキトルクがPTO伝動軸33に作用している。そし
てPTO切換スイッチをONとすると、油圧供給により
加圧板90が押されてバネ88の付勢力が弱められ時間
の経過とともに、ブレーキトルクは減少していく。一
方、時間(t1)に至るまでPTOクラッチ85のピス
トン86のシリンダー室に作動油が充填されるまでの
間、PTO伝動軸33には伝動トルクが発生しない。そ
して、時間(t1)に達して波形bで示す伝動トルクが
PTO伝動軸33に与えられ、時間(t1)〜(t2)
の間でバネ117bに抗してピストン117aが変位し
て、シリンダー室10d内に作動油を充填するので、ピ
ストン86に作用する油圧上昇は穏やかとなり摩擦板に
対する押圧力を徐々に高めながらPTOクラッチ85が
穏やかに係合し始め、伝動トルクが上昇していく。そし
て、時間(t2)に到着したところでピストン117a
の変位が停止し、時間(t2)〜(t3)の間でバネ8
9の付勢力に抗してピストン86が摩擦板を強く押し
て、時間(t3)でPTOクラッチ85が完全係合し、
PTO伝動軸33には設定最大の伝動トルクT2が与え
られる。
【0045】前記PTOクラッチ85の後方でPTO伝
動軸33にミッドPTO駆動歯車91を遊嵌し、該ミッ
ドPTO駆動歯車91に隣接してスプラインカラー92
(図6)をPTO伝動軸33に固定し、PTO伝動軸3
3の後端に互いの軸心を一致させて、リアPTO駆動軸
35に連結する伝動軸34の前端を遊嵌支持している。
前記ミッドPTO駆動歯車91の側面上には係合子93
を形成し、伝動軸34の前端上にも係合子94を形成
し、スプラインカラー92上にはスライダー95が相対
回転不能でかつ軸方向摺動自在に外嵌されている。該ス
ライダー95の外周に形成した環状凹部には図示しない
シフターが挿入され、該シフターは図11に示すシフタ
ー軸122に固定されている。該シフター軸122は前
ケース10の後壁10bと後ケース11の隔壁11aと
の間に前後方向に摺動自在に横架され、その前端は第一
の部屋R1内に鑑んでいる。一方、プレート部材77に
は回動軸127が回動自在に横架され、その内端にアー
ム123が固着され、アーム123はシフター軸122
に係止している。回動軸127の外端にはPTO切換ア
ーム125が固着され、PTO切換アーム125はリン
ク等を介して前記運転席側部に配置したPTO切換レバ
ー9と連結される。
【0046】前記ミッドPTO駆動歯車91は、図2、
図4に示すように、前記走行第三伝動軸43の軸方向中
途部上にベアリング96・96を介して回転自在に遊嵌
されたアイドル歯車97と噛合し、該アイドル歯車97
はカウンター軸99上に固設した歯車98と噛合し、該
歯車98はミッドPTO軸14上に固設した歯車100
と噛合して、ミッドPTO駆動歯車91からミッドPT
O軸14に動力を伝達するように構成している。このよ
うに、ミッドPTO軸14に動力を伝達するためのPT
O伝動ギアトレーン(ミッドPTO駆動歯車91、アイ
ドル歯車97、歯車98、歯車100)を、ハウジング
内の第二の部屋R2に収納し、アイドル歯車97が、ギ
ア式変速装置を構成する軸の1つを利用してここに設置
しているのでコンパクトな構成になっている。
【0047】従って、前記運転席側部に配置したPTO
切換レバー9を操作して、スライダー95を図5の紙面
右方向へ摺動させると、スプラインカラー92と伝動軸
34上の歯車94とがスライダー95を介して連結し
て、動力はPTO伝動軸33→スプラインカラー92→
スライダー95→係合子94→伝動軸34→リアPTO
駆動軸35と伝えられ、リアPTO軸36のみが駆動さ
れる。この位置からスライダー95を一段左方向へ摺動
させると、スライダー95は、ミッドPTO駆動歯車9
1の係合子93とスプラインカラー92と伝動軸34の
係合子94とを連結して、前述したリアPTO軸36を
駆動すると共に、動力はPTO伝動軸33→スプライン
カラー92→スライダー95→係合子93→ミッドPT
O駆動歯車91と伝えられ、PTO伝動ギアトレーンを
介してミッドPTO軸14を駆動し、ミッドPTO軸1
4とリアPTO軸36の両方が駆動される。更にスライ
ダー95を紙面左方向へ摺動させると、スライダー95
はミッドPTO駆動歯車91の係合子93のみをスプラ
インカラー92に連結して、動力はPTO伝動軸33→
スプラインカラー92→スライダー95→係合子93→
ミッドPTO駆動歯車91と伝えられ、ミッドPTO軸
14のみが駆動される。
【0048】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次の
ような効果を奏するのである。即ち、トランスミッショ
ンを収容するハウジング内の第一の部屋に油圧式無段変
速装置を構成し、第二の部屋に前記PTO伝動軸を配
置、該第一の部屋と第二の部屋とを区画する仕切壁に、
PTO伝動軸をPTOクラッチの切断時に制動するため
のブレーキを構成したので、第一の部屋の空いたスペー
スにブレーキを配置することができ、ハウジング内の空
間を有効に利用して、ハウジングをコンパクトに構成す
ることができた。
【0049】また、ブレーキのブレーキ室を仕切り壁の
一側面に凹状に形成して構成したので、ブレーキ室を別
部品で構成することなく仕切り壁を有効に利用でき、こ
のブレーキ室内に摩擦制動部材を収容して、加圧板で摩
擦制動部材を押圧し、この加圧板をカバーで覆う構成と
したので、ブレーキを小形化でき、第一の部屋内に占め
るスペースも小さくすることができた。
【0050】また、ブレーキの加圧板には、摩擦制動部
材に向けて突出した押圧部と、この押圧部に対して径方
向で並ぶように突出した環状のピストン部とが備えられ
ると共に、前記仕切壁のブレーキ室の外周位置には、環
状の凹入して加圧板のピストン部が摺動自在に嵌入され
るシリンダ室を形成したので、ブレーキ装置の前後長さ
を更に圧縮でき、第一の部屋の限られた空間にブレーキ
装置を無理なく設置することが可能となりコンパクト化
が可能となった。また、PTOクラッチに対し作動油を
給排するロータリジョイント部を伝動軸上に構成し、P
TOクラッチの方向切換弁から導かれる油通路を、仕切
壁に形成した油路を介してロータリジョイント部とシリ
ンダ室とに夫々接続したので、PTOクラッチに対する
作動油給排とブレーキに対する作動油給排とが仕切壁の
中で簡潔に行えるようになり、油通路の全長が短くな
り、管路抵抗が軽減され、その結果、ブレーキの作動が
確実に行える。
【0051】また、PTOクラッチの方向切換弁をプレ
ート部材を介してハウジングの外壁に取付け、このプレ
ート部材とハウジングとの間に、方向切換弁のクラッチ
ポートと仕切壁の油路とを連通する油通路を設けると共
に、該油通路からロータリジョイント部に至る途中に、
そのケースが前記ハウジングの一部で構成されたアキュ
ムレータを接続したので、アキュムレータによってPT
Oクラッチを緩嵌入させることができ、慣性量の大きな
作業機をショックなく良好に駆動させることができる。
更に、アキュムレータはハウジングの一部に構成するこ
とができるので、構造が簡素化されて低コストで構成で
きる。
【0052】また、前記アキュムレータのケースを、ハ
ウジング外壁から仕切壁内に向けて穿設した孔部で構成
し、孔部にアキュムレータのピストンを摺動自在に収容
してその孔部を前記プレート部材で閉塞すると共にプレ
ート部材とピストンの頭部との間に、プレート部材の前
記油通路を導いたので、アキュムレータが仕切壁に内蔵
されてアキュムレータを設置するためのスペースを確保
する必要がなくなる。また、方向切換弁の油通路に対す
るアキュムレータの接続がプレートの装着と同時になさ
れるので組立作業が容易にできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】作業車両の全体側面図である。
【図2】走行系及びPTO系を備えたトランスミッショ
ンのスケルトン図である。
【図3】前ケース内に構成された油圧敷無段変速装置の
側面断面図である。
【図4】第二の部屋内のギア式変速装置とミッドPTO
軸への動力伝達機構を示す側面断面図である。
【図5】前輪駆動軸への動力伝達機構とリアPTO軸へ
の動力伝達機構を示すハウジング後部側面断面図であ
る。
【図6】慣性空転防止用のブレーキとPTOクラッチの
拡大断面図である。
【図7】同ブレーキの分解組立斜視図である。
【図8】走行系及びPTO系の動力伝動軸の配置を示す
正面図である。
【図9】図3におけるX−X矢視断面図である。
【図10】ギア式変速装置の変速操作部と、変速操作部
に連係される後進変速牽制装置部の平面断面図である。
【図11】図3における右側のY−Y矢視断面図と左側
のY’−Y’矢視断面図である。
【図12】図9におけるZ−Z矢視断面図である。
【図13】ハウジングの前部斜視図である。
【図14】油圧回路図である。
【図15】プレート部材の正面図である。
【図16】プレート部材の側面図である。
【図17】プレート部材の背面図である。
【図18】PTOクラッチの軸トルクと時間との関係を
示す図である。
【符号の説明】
G 慣性空転防止ブレーキ装置 P 油圧ポンプ M 油圧モータ R1 第一の部屋 R2 第二の部屋 10 前ケース 10b 後壁(仕切壁) 11 後ケース 12 入力軸 33 PTO伝動軸 77 プレート部材 85 PTOクラッチ 87 カバー 90 加圧板 101 方向切換弁 117 アキュムレータ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン動力を、走行車輪へ伝達する油
    圧式無段変速装置と、PTOクラッチが設置されたPT
    O伝動軸を介してPTO軸へ伝達するPTO伝動装置と
    を備えたトランスミッションであって、該トランスミッ
    ションを収容するハウジング内の第一の部屋に油圧式無
    段変速装置を構成し、第二の部屋に前記PTO伝動軸を
    配置すると共に、第一の部屋と第二の部屋とを区画する
    仕切壁に、PTO伝動軸をPTOクラッチの切断時に制
    動するためのブレーキを構成したことを特徴とする作業
    車両の動力取出装置。
  2. 【請求項2】 前記ブレーキを、前記仕切り壁の一側面
    に凹入状に形成したブレーキ室と、該ブレーキ室の中に
    収容された、前記PTO伝動軸と一体回転する回転板
    と、ブレーキ室に係止した固定板とを重合して成る摩擦
    制動部材と、該摩擦制動部材の側方に配置した加圧板
    と、前記加圧板を覆うべく前記仕切壁の前面に装着した
    カバーと、該カバーの中に配置されたスプリングであっ
    て前記摩擦制動部材を押圧する向きに前記加圧板を付勢
    するスプリングとを備えた摩擦ブレーキに構成したこと
    を特徴とする請求項1に記載の作業車両の動力取出装
    置。
  3. 【請求項3】 前記PTOクラッチを、作動油の供給に
    より係合作動するよう構成し、PTOクラッチに対し作
    動油を給排するロータリジョイント部を伝動軸上に構成
    する一方、ブレーキの加圧板には、摩擦制動部材に向け
    て突出した押圧部と、この押圧部に対して径方向で並ぶ
    ように突出した環状のピストン部とが備えられると共
    に、前記仕切壁のブレーキ室の外周位置には、環状の凹
    入して加圧板のピストン部が摺動自在に嵌入されるシリ
    ンダ室を形成し、PTOクラッチの方向切換弁から導か
    れる油通路を、仕切壁に形成した油路を介してロータリ
    ジョイント部とシリンダ室とに夫々接続したこと特徴と
    する請求項2に記載の作業車両用の動力取出装置。
  4. 【請求項4】 前記方向切換弁をプレート部材を介して
    ハウジングの外壁に取付け、このプレート部材とハウジ
    ングとの間に、方向切換弁のクラッチポートと仕切壁の
    油路とを連通する油通路を設けると共に、該油通路から
    ロータリジョイント部に至る途中に、そのケースが前記
    ハウジングの一部で構成されたアキュムレータを接続し
    たことを特徴とする請求項3に記載の作業車両の動力取
    出装置。
  5. 【請求項5】 前記アキュムレータのケースを、ハウジ
    ング外壁から仕切壁内に向けて穿設した孔部で構成し、
    孔部にアキュムレータのピストンを摺動自在に収容して
    その孔部を前記プレート部材で閉塞すると共に、プレー
    ト部材とピストンの頭部との間に、プレート部材の前記
    油通路を導いてあることを特徴とする請求項4に記載の
    作業車両の動力取出装置。
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