JPH09225776A - 切屑分断化旋削方法と旋削装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 切屑の分断が困難な被削材の旋削加工におい
て、切屑を小さくして切削能率と切削品質の向上と、切
屑処理を容易にし、かつ安全な旋削加工方法および加工
装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 バイト微小往復手段を備えた刃物台を用
いて、送りマーク（ワーク上のバイトの軌跡）がワーク
が一周するごとに反転するようバイトを微小往復させる
ことにより切屑の幅を変化させ、幅狭なところで切屑分
断して加工するものである。これにより切屑を短く分断
し、切削能率と切削品質の向上と、切屑処理を容易に
し、かつ安全な旋削加工が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は旋削加工において、
バイト（刃具）を往復させて切屑を分断する加工に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】旋削において、切屑処理の観点から適当
な長さごとに折れた切屑にするものとしては、例えばチ
ップブレーカを用いた施盤が存在する。

【０００３】実際の旋削作業で最も多い逃げ面障害型切
断は図５に示すようにバイトにチップブレーカが取り付
けられてなるものである。

【０００４】そして旋削切屑１６は回転するワーク７に
バイト３の刃先を当てて削ることで発生し、バイト３の
すくい面に沿って流出しようとするが、チップブレーカ
１５に当たって上向きにカールする。この切屑がバイト
３の下面に当たったときにその表面に生ずる歪みがその
ワーク３の切屑材質の破断歪より大きければ切屑は折
れ、分断される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のものにおけるチップブレーカを取り付けたバイトで
鉄及び非鉄金属、樹脂などの延性などの延性の高い被削
材を切削すると破断歪みが大きいので、チップブレーカ
でも容易に切屑を分断することはできない。

【０００６】従って長く連続した切屑のために次のよう
な問題点を有している。 １．加工に関しては １）切屑がバイト（刃具）に絡み付き切削性を悪くす
る。

【０００７】２）切屑が加工面に当たり加工面を傷つけ
る。 ３）切屑がチャックとワークの間に挟まりチャックミス
を起こす。 などがあり切削能率、切削品質の低下を招く。

【０００８】２．切屑処理に関しては １）切屑容積が大きく旋盤などの切屑受け皿までの穴に
引っ掛かり受け皿に落ちにくい。

【０００９】２）受け皿に落ちたとしてもすぐに受け皿
がいっぱいになる。 などがあり、切屑の処理が困難になり、その排除に多く
の時間を割いている。

【００１０】更に、高速な連続切屑が飛び出すため、作
業者にけがをさせたり、加工機に傷をつけるという問題
も有している。

【００１１】それ故に、本発明は上記従来の問題点を解
決するためになされたものであり、切屑の分断が困難な
被削材の旋削加工において、切屑を小さくして切削能率
と切削品質の向上と、切屑処理を容易にし、かつ安全な
旋削加工方法および加工機を提供することを目的とす
る。

【００１２】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、バイト微小往復手段を備えた刃物台を用い
て、送りマーク（ワーク上のバイトの軌跡）がワークが
一周するごとに反転するようバイトを微小往復させるこ
とにより切屑の幅を変化させ、幅狭なところで切屑分断
して加工するものである。

【００１３】これにより切屑を短く分断し、切削能率と
切削品質の向上と、切屑処理を容易にし、かつ安全な旋
削加工が得られる。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明の請求項１に記載の発明
は、ワークをバイト（刃具）によって加工する旋削加工
方法において、バイト微小往復手段を備えた刃物台をテ
ーブル上に搭載し、これを加工面に沿った方向に移送し
てワークを加工し、移送加工中に前記バイト微小往復手
段によってバイトをテーブルの移送方向に微小往復さ
せ、更にワークの回転速度Ｎ〔ｒｐｓ〕に対しｍ／２倍
（ｍは任意の奇数）の周波数で微小往復させて送りマー
ク（ワーク上のバイトの軌跡）を一周ごと反転させるこ
とにより、切屑の幅を変化させ、幅狭なところで切屑分
断して加工することを特徴とするバイト往復旋削方法で
あり、鉄及び非鉄金属、樹脂などの延性の高い被削材を
旋削しても切屑を容易に分断しうることにより、切屑が
バイトに絡み付いて切削性が低下するのを防ぎ、切屑が
加工面に当たって傷つけるのを防ぎ、切屑がチャックと
ワークの間に挟まってチャックミスを起こすのを防いで
切削能率、切削品質を高め、さらに切屑容積を小さくし
て切屑受け皿へ落ちやすくし、切屑排除回数が減って切
屑処理性を高め、連続切屑が飛び出すことを無くして作
業者や旋削装置に傷が付かないようにして安全な旋削加
工ができるという作用を有する。

【００１５】請求項２に記載の発明は、バイトを使って
回転するワークを加工する旋削装置において、バイト微
小往復手段と、これを備えた刃物台と、これらが搭載さ
れたテーブルと、前記バイト微小往復手段を駆動させる
ための駆動信号発生手段とで構成され、バイトをテーブ
ルの移動方向に微小往復させることを特徴とする旋削装
置であり、鉄及び被鉄金属、樹脂などの延性の高い被削
材を旋削しても切屑を容易に分断しうることにより、切
屑がバイトに絡み付いて切削性が低下するのを防ぎ、切
屑が加工面に当たって傷つけるのを防ぎ、切屑がチャッ
クとワークの間に挟まってチャックミスを起こすのを防
いで切削能率、切削品質を高め、さらに切屑容積を小さ
くして切屑受け皿へ落ちやすくし、切屑排除回数が減っ
て切屑処理性を高め、連続切屑が飛び出すことを無くし
て作業者や旋削装置に傷が付かないようにして安全な旋
削加工ができるという作用を有する。

【００１６】以下本発明の実施の形態について、図１か
ら図３を用いる。図１は本発明の一実施例である切屑分
断化旋削装置を示す。１はＮＣ旋削装置で、２は主軸、
３はバイト、４はＮＣテーブル、５はＮＣテーブル４や
ＮＣ旋削装置１を制御する制御装置である。６は主軸２
に設けられたチャックで、ワーク７を保持している。

【００１７】８は駆動信号発生手段で、微動装置９を周
期的に動かす信号を発生する。バイト３はこの微動装置
９へ固定され、かつ微動装置９はＮＣテーブル４に固定
されている。なお１０は各構成部間の信号のつながりを
示すためにあえて記したもので、通常の電気配線と考え
ると理解しやすい。図２は図１に用いた微動装置９の詳
細断面図で、バイト３が微動台１１に固定される。微動
台１１にはバネ部１１ａが設けてあり、端部が取付台１
２に固定される。１３は圧電素子で、一方を取付台１２
に、他方は微動台１１に固定してある。なおＮＣテーブ
ル４へは取付台１２が図示しない手段で固定される。

【００１８】以上のように構成された切屑分断化旋削装
置について、以下その動作について説明する。比較のた
め、まず通常の旋削装置と同様に加工する場合から説明
する。主軸２を回転させ、主軸２の先端部に設けたチャ
ック６に保持されたワーク７を回転させる。そしてワー
ク７の加工量に応じてＮＣテーブル４及び微動装置９、
バイト３を矢印Ａ方向に移動させ、加工開始点で停止す
る。その後、バイトを微小往復させながら制御装置５に
よりＮＣテーブル４をＢ方向に移送すると、移送中にバ
イト３によりワーク７の外周面が旋削加工されることと
なる。このときの送りマーク（ワーク７上のバイト３の
軌跡）を模式的に表すと、図３の破線のようになる。ワ
ーク７の外周面に対し螺旋を描くような軌跡となり、切
屑は長いままである。

【００１９】次に切屑分断化旋削を行う場合を説明す
る。まず通常の旋削装置と同様に主軸２を回転させ、主
軸２の先端部に設けたチャック６に保持されたワーク７
を回転させる。そしてワーク７の加工量に応じてＮＣテ
ーブル４及び微動装置９、バイト３を矢印Ａ方向に移動
させ、加工開始点で停止する。

【００２０】ここから従来と異なり、駆動信号発生手段
８により、主軸２の回転速度Ｎ〔ｒｐｓ〕のｍ／２倍
（ｍは任意の奇数）の周波数でサインカーブ信号を発生
する。これに応じて微動装置９もＣ方向に微小往復を行
う。これにより、バイト３はＣ方向すなわちバイト３の
送り方向に微小往復する。その後、バイトを微小往復さ
せながら制御装置５によりＮＣテーブル４をＢ方向に移
送すると、移送中にバイト３によりワーク７の外周面が
旋削加工されることとなる。このときの送りマーク（ワ
ーク７上のバイト３の軌跡）を模式的に表すと、図３の
ようになる。バイト３が微小往復していない場合のバイ
ト３の送りマークがワーク７の外周面に対し螺旋を描く
ような軌跡となっているが、この破線を中心にバイト３
の送り方向にサインカーブを描いている実線が微小往復
している場合のバイト３の送りマークである。駆動信号
発生手段８が主軸２の回転数のｍ／２倍（ｍは任意の奇
数）の周波数で波形を発生しているため、送りマーク１
４はワーク７が１回転するごとに反転している。従っ
て、ワーク７の外周面には送りマーク１４の間隔が狭ま
るところ１４ａと間隔が広がるところとが周期的にあら
われる。幅の狭いところと広いところのある切屑形状の
模式図を図４に示す。この送りマークの間隔が狭いとこ
ろ１４ａでは切屑が生成される際に応力が集中し、切屑
が折れることになる。更に駆動信号発生手段８の振幅を
大きくし、送りマークが交差すれば、バイトは既に切削
したところを通るため、切屑が生成されず、切屑がその
点で分断されることとなる。加工後はバイト３をワーク
７から離し、駆動信号発生手段８のサインカーブ信号の
発生を停止して後、ＮＣテーブル４を原点復帰する。

【００２１】故に鉄及び非鉄金属、樹脂などの延性の高
い被削材を旋削しても切屑を容易に分断しうることによ
り、切屑がバイトに絡み付いて切削性が低下するのを防
ぎ、切屑が加工面に当たって傷つけるのを防ぎ、切屑が
チャックとワークの間に挟まってチャックミスを起こす
のを防いで切削能率、切削品質を高め、さらに切屑容積
を小さくして切屑受け皿へ落ちやすくし、切屑排除回数
が減って切屑処理性を高め、連続切屑が飛び出すことを
無くして作業者や旋削装置に傷が付かないようにして安
全な旋削加工ができる。

【００２２】尚、上記実施例においては、駆動信号発生
手段８の発生する波形をサインカーブとしたが、切屑が
生成される際に周期的に応力が集中するか、重複する送
りマークとなるような他の波形、例えば三角波、方形
波、台形波、のこぎり波であってもよい。

【００２３】又、微動装置９も上記実施例の圧電素子や
微動台などを使用するものに限定されず、そのほか油圧
シリンダーなどを使用してもよく、その具体的な構成を
問うものではない。

【００２４】更に、上記実施例ではワーク７を円柱状の
ものとし、その外周面を旋削したが、その形状、加工面
は限定されず、例えば円錐状のものの円錐面などを加工
してもよい。要は、バイトを微小往復させる方向が、バ
イトの送り方向であればよいのである。

【００２５】そのほか旋削装置の形状などの各部の構成
は本発明の意図する範囲内において任意に設計変更自在
である。

【００２６】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、ワークの
切屑が長くてバイトやワーク、チャックに絡み付き、加
工面を傷つけたり、切削性の低下やチャックミスを招い
た従来の加工法に代わり、切屑を短く分断することで、
切削能率と切削品質の向上と、切屑処理を容易にし、か
つ安全な旋削加工が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の形態による切屑分断化旋削
装置の平面図

【図２】図１の微動装置９の詳細断面図

【図３】図１の切屑分断化旋削装置でワーク７を加工し
たときの送りマークの模式図

【図４】幅の狭いところと広いところのある切屑形状の
模式図

【図５】従来のチップブレーカ付きバイトでの旋削加工
の模式図

【符号の説明】

１ ＮＣ旋削装置 ２ 主軸 ３ バイト ４ ＮＣテーブル ５ 制御装置 ６ チャック ７ ワーク ８ 駆動信号発生手段 ９ 微動装置 １０ 信号のつながり １１ 微動台 １２ 取付台 １３ 圧電素子 １４ 送りマーク １５ チップブレーカ １６ 旋削切屑

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ワークをバイトによって加工する旋削加
   工方法において、バイト微小往復手段を備えた刃物台を
   テーブル上に搭載し、これを加工面に沿った方向に移送
   してワークを加工し、移送加工中に前記バイト微小往復
   手段によってバイトをテーブルの移送方向に微小往復さ
   せ、更にワークの回転速度Ｎ〔ｒｐｓ〕に対しｍ／２倍
   （ｍは任意の奇数）の周波数で微小往復させて送りマー
   クを一周ごと反転させることにより、切屑の幅を変化さ
   せ、幅狭なところで切屑分断して加工することを特徴と
   するバイト往復旋削方法。
2. 【請求項２】 バイトを使って回転するワークを加工す
   る旋削装置において、バイト微小往復手段と、これを備
   えた刃物台と、これらが搭載されたテーブルと、前記バ
   イト微小往復手段を駆動させるための駆動信号発生手段
   とで構成され、バイトをテーブルの移動方向に微小往復
   させることを特徴とする旋削装置。