JPH09225362A - トリガー式噴霧器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】蓄圧吐出弁による残圧を無くするようにすると
ともに、トリガーの引き具合と蓄圧吐出弁の動作具合と
を個別に変更又は調整できるようする。 【解決手段】ポンプシリンダ８の末端に蓄圧吐出弁16を
付設し、該蓄圧吐出弁のためにポンプシリンダ８の末端
の内部に連設した折り返し短小シリンダ17突端に内向き
フランジ50を設け、折り返し短小シリンダ17に内装した
蓄圧吐出弁用閉弁スプリング46の基端をその内向きフラ
ンジ50の一面に支持させるとともに、先端で蓄圧吐出弁
16の蓄圧ピストン19を閉弁方向に押圧付勢させ、また、
ポンプシリンダ８に内装したポンプピストン用復帰スプ
リング51の基端をその内向きフランジ50の他面に支持さ
せるとともに、先端でポンプピストン11を出方向に押圧
付勢させ、もって、それらのスプリングを個別に交換、
調整できるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、トリガー式噴霧器
に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば実開昭6-34758 号公報が示すよう
に、内蔵する往復ポンプ機構をトリガーの操作で作動さ
せるようにしたトリガー式噴霧器は、既に周知である。
一般に、この種の噴霧器では、トリガーのてこ作用によ
ってポンプ機構を強力に作動させることができ、高い液
圧による良好な噴霧が得られる。しかし、トリガーを如
何に強く引いても、引き終わりの時点では液体噴出圧が
急速に低下するため、霧化も不完全となって、液垂れを
生じ易い。

【０００３】かかる不都合を解決するため、本出願人
は、先に、一定の液体噴出圧以上でのみ開弁する蓄圧吐
出弁を吐出弁として装備させたトリガー式噴霧器を開発
した（特願平6-29386 号）。このトリガー式噴霧器は、
往復ポンプ機構のポンプシリンダの末端に蓄圧吐出弁を
付設したものであり、該蓄圧吐出弁は、ポンプシリンダ
の末端に該ポンプシリンダよりも大径で短い蓄圧シリン
ダを連ね、該蓄圧シリンダ内に短い筒状の蓄圧ピストン
を摺動自在に嵌合させ、該蓄圧ピストンのポンプシリン
ダ側にラッパ状のスカートを突設して、該スカートをポ
ンプシリンダ端部内に出入摺動自在に嵌合させ、かつ、
該蓄圧ピストンの反ポンプシリンダ側に弁部を突設し
て、対面する弁座に着座させ、また、その着座方向に蓄
圧ピストンをスプリングで付勢し、該弁座の弁孔を噴霧
ノズルへと連通させたものである。したがって、ポンプ
シリンダ内の液体が加圧されると、これと連通する蓄圧
シリンダ内の液体も一様に加圧され、その際、蓄圧ピス
トンの反ポンプシリンダ側が両シリンダの径差による広
い面積の分だけ過分に液圧を受けることとなるので、こ
の力で蓄圧ピストンがスプリングに抗して移動し、弁部
が弁座から離間して、つまり、上記スプリングに対応す
る所定値以上の液圧となったところで開弁して、所定噴
出圧以上の液体を噴霧に供する。こうすることによっ
て、霧化の不完全、液垂れを皆無にすることはできる。

【０００４】しかし、そのような蓄圧吐出弁の付加によ
り、次の問題点をも生じた。 蓄圧吐出弁が一定の液圧以上で開くため、ポンプ機
構の内部には蓄圧吐出弁が閉じた後にも残圧が生じて、
これが次回の液体の吸い込みを阻害し、効率を悪くす
る。 そのような蓄圧吐出弁の存在により、初回の操作に
おいて、ポンプ機構内部の空気を液体に置換させ難い。 蓄圧吐出弁の存在により、余分にスペースをとるこ
ととなり、そのスペースを制限すれば、ポンプ機構の容
量が小さくなる。 両シリンダの径差を大きくし難いため、蓄圧吐出弁
に良好な動きが得られない。 ポンプ機構と蓄圧吐出弁との相互関係からデッドス
ペースが多くなるため、噴霧量が少なくなり、効率が落
ちる。そこで、それら諸点につき更に研究を進め、それ
らの問題点を解決したトリガー式噴霧器の開発に成功
し、特許出願（特願平7-33136 号）した。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、具現化に当た
り、ポンプピストン用の復帰スプリングと蓄圧吐出弁用
の閉弁スプリングとを共通のスプリングで兼用させたた
め、使用する液体の性質や需要者の要望などに応じてト
リガーの引き具合と蓄圧吐出弁の動作具合とを個別に変
更又は調整できない不便があった。よって、本発明は、
かかる不便をも簡単に解決しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、請
求項１の発明は、ポンプシリンダ８内で水密摺動するポ
ンプピストン11をトリガー４により機械的に作動させる
往復ポンプ機構７を備えたトリガー式噴霧器において、
往復ポンプ機構７の吐出弁としてポンプシリンダ８の末
端に蓄圧吐出弁16を付設し、該蓄圧吐出弁は、前記ポン
プシリンダ８の末端の内部に突端が内向きフランジ50を
有する折り返し短小シリンダ17を連設し、前記ポンプシ
リンダ８の末端に隣接させて該ポンプシリンダよりも大
径で短い蓄圧シリンダ18を連ね、該蓄圧シリンダ内に貫
通孔22付きの短い蓄圧ピストン19を摺動自在に嵌合さ
せ、該蓄圧ピストンの前記ポンプシリンダ側にその貫通
孔22を囲成するラッパ状の小径スカート20を突設して、
該小径スカートを前記折り返し短小シリンダ17内に出入
摺動自在に嵌合させ、かつ、その蓄圧ピストンの反ポン
プシリンダ側に弁部21を突設して、該弁部を弁孔23が噴
霧ノズル３へと連通した対面する弁座24に着座閉弁さ
せ、前記折り返し短小シリンダ17内に蓄圧吐出弁用閉弁
スプリング46を内装して、該蓄圧吐出弁用閉弁スプリン
グの基端を上記内向きフランジ50の一面に支持させると
ともに、先端で前記蓄圧ピストン19を前記弁部21の閉弁
方向に押圧付勢させ、また、前記ポンプピストン11を前
記折り返し短小シリンダ17側に向かう基端閉塞先端大径
スカートのラッパ状部材12から形成して、その先端の大
径スカート14を押し込み終端で前記折り返し短小シリン
ダ17の外側に遊嵌させるよう構成し、前記ポンプシリン
ダ８内にポンプピストン用復帰スプリング51を内装し
て、該ポンプピストン用復帰スプリングの基端を上記内
向きフランジ50の他面に支持させるとともに、先端で前
記ポンプピストン11を出方向に押圧付勢させ、更に、前
記大径スカート14の押し込み終端に対応させた前記ポン
プシリンダ８内の適所に前記ポンプピストン11の水密性
を破る溝30を形成し、そのポンプシリンダ８の非加圧域
の適所から容器体内へと通じる排圧路32を形成して成
る。

【０００７】また、請求項２の発明は、ポンプシリンダ
８内で水密摺動するポンプピストン11をトリガー４によ
り機械的に作動させる往復ポンプ機構７を備えたトリガ
ー式噴霧器において、往復ポンプ機構７の吐出弁として
ポンプシリンダ８の末端に蓄圧吐出弁16を付設し、該蓄
圧吐出弁は、前記ポンプシリンダ８の末端の内部に突端
が内向きフランジ50を有する折り返し短小シリンダ17を
連設し、前記ポンプシリンダ８の末端に隣接させて該ポ
ンプシリンダよりも大径で短い蓄圧シリンダ18を連ね、
該蓄圧シリンダ内に貫通孔22付きの短い蓄圧ピストン19
を摺動自在に嵌合させ、該蓄圧ピストンの前記ポンプシ
リンダ側にその貫通孔22を囲成するラッパ状の小径スカ
ート20を突設して、該小径スカートを前記折り返し短小
シリンダ17内に出入摺動自在に嵌合させ、かつ、その蓄
圧ピストンの反ポンプシリンダ側に弁部21を突設して、
該弁部を弁孔23が噴霧ノズル３へと連通した対面する弁
座24に着座閉弁させ、前記折り返し短小シリンダ17内に
蓄圧吐出弁用閉弁スプリング46を内装して、該蓄圧吐出
弁用閉弁スプリングの基端を上記内向きフランジ50の一
面に支持させるとともに、先端で前記蓄圧ピストン19を
前記弁部21の閉弁方向に押圧付勢させ、また、前記ポン
プピストン11を前記折り返し短小シリンダ17側に向かう
基端閉塞先端大径スカートのラッパ状部材12から形成し
て、その先端の大径スカート14を押し込み終端で前記折
り返し短小シリンダ17の外側に遊嵌させるよう構成し、
前記ポンプシリンダ８内にポンプピストン用復帰スプリ
ング51を内装して、該ポンプピストン用復帰スプリング
の基端を上記内向きフランジ50の他面に支持させるとと
もに、先端で前記ポンプピストン11を出方向に押圧付勢
させ、更に、前記大径スカート14の押し込み終端に対応
させた前記ポンプシリンダ８内の適所に前記ポンプピス
トン11の水密性を破る溝30を形成し、そのポンプシリン
ダ８の非加圧域の適所から容器体内へと通じる排圧路32
を形成し、前記ポンプピストン11内に前記ポンプシリン
ダ８のデッドスペースを埋める棒体47を装備させて成
る。

【０００８】如上の構成であるから、請求項１、請求項
２のいずれの発明にあっても、噴霧器本体１は、適宜液
体を収容した容器体の口頸部に装着筒48を螺合させるこ
とにより取り付けし、トリガー４をポンプピストン用復
帰スプリング51に抗して引き、放しすれば、横型往復ポ
ンプ機構７が働き、その容器体内の液体を吸上パイプ49
を介して吸い上げては加圧し、噴射筒２を通じて噴霧ノ
ズル３へ供給して、該噴霧ノズルから噴霧を生じる。而
して、その加圧行程では、蓄圧吐出弁16は、蓄圧ピスト
ン19が小径スカート20との径差に基づいてその加圧液体
から力を受け、この力が所定値以上になると、蓄圧吐出
弁用閉弁スプリング46に抗して開弁する。したがって、
所定値以上の液圧でのみ噴霧をもたらし、良好な噴霧を
可能にし、液垂れをなくする。ポンプピストン11の押し
込み（加圧行程）の終端で蓄圧吐出弁16の閉弁に伴いポ
ンプシリンダ８内に生じる残圧は、ポンプシリンダ８内
のポンプピストン11の水密性を破る溝30から容器体内に
至る排圧路32へと流出し、ポンプシリンダ８内は速やか
に大気圧に下がり、したがって、残圧が直後の吸込行程
における吸い込みを阻害することはない。また、作動当
初の噴霧器本体１内の空気と液体との置換を円滑かつ確
実にし、速やかな置換を可能にする。

【０００９】各部に関しては、ポンプシリンダ８の末端
に設けた折り返し短小シリンダ17は、蓄圧ピストン19に
おける小径スカート20の小径化を可能にして、該小径ス
カートとの径差の拡大による蓄圧ピストンの良好な作動
をもたらし、その折り返し短小シリンダ17へのポンプピ
ストン11の大径スカート14の遊嵌は、機構をよりコンパ
クトで高性能なものにする。折り返し短小シリンダ17の
突端に設けた内向きフランジ50は、蓄圧吐出弁用スプリ
ング46とポンプピストン用復帰スプリング51との各基部
を支持して、これらスプリングの個別化を可能にし、個
別の交換、調整等を可能にする。

【００１０】また、請求項２の発明にあっては、ポンプ
ピストン11に設けた棒体47は、ポンプシリンダ８内のデ
ッドスペースを少なくし、効率の向上を可能にする。

【００１１】

【発明の実施の形態】図面は、請求項１及び請求項２の
発明に係る実施の形態を示している。図において、１
は、噴霧器本体、48は、該噴霧器本体の下端に回転自在
に装備させた装着筒で、噴霧器本体を容器体の口頸部へ
と着脱自在に螺着させるものである。49は、噴霧器本体
から垂設した吸上パイプであり、下端を容器体内の底に
まで伸出させる。なお、使用する各部材は、主として合
成樹脂成形によるものとする。噴霧器本体１は、ピスト
ル形状をなし、上段に前方へ向かう噴射筒２を有し、該
噴射筒には、先端に噴霧ノズル３を備え、該噴霧ノズル
の直後にトリガー４の上端を枢着５して垂下させてお
り、また、下段に横型往復ポンプ機構７を有し、該往復
ポンプ機構を直前に位置するトリガー４の中間部と機械
的に連繋し、その吸込流路42を吸上パイプ49に連通さ
せ、かつ、吐出流路44を射出筒２を介して噴霧ノズル３
へと連通させている。かかる噴霧器本体１は、適宜液体
を収容した容器体の口頸部に装着筒48を螺合させて取り
付けし、トリガー４を引くことにより、横型往復ポンプ
機構７を働かせて、容器体内の液体を吸上パイプ49を介
して吸い上げては加圧し、噴射筒２を通じて噴霧ノズル
３へと供給して、該噴霧ノズルから前方へ噴霧させる。
横型往復ポンプ機構７は、前後方向で前端開放のポンプ
シリンダ８を設け、該ポンプシリンダ内にトリガー４で
押し動かされる閉鎖型のポンプピストン11を水密摺動自
在に嵌合し、そのポンプシリンダに内装したポンプピス
トン用復帰スプリング51（後述）によりポンプピストン
11を前方（出方向）に付勢させ、かつ、そのポンプシリ
ンダの直後に吐出流路44に属する蓄圧吐出弁16を設け、
該蓄圧吐出弁の下方に吸込流路42に属する吸込弁25を設
けて、吸上パイプ49へと連通させている。そのポンプシ
リンダ８は、噴霧器本体１に形成した支持筒９に別部材
のシリンダ10を嵌着して形成している。蓄圧吐出弁16
は、ポンプシリンダ８の末端（上記別部材のシリンダ10
の末端）の内部に、突端に内向きフランジ50を有する折
り返し短小シリンダ17を連設し、そのポンプシリンダ８
の末端に隣接させてポンプシリンダよりも大径で短い蓄
圧シリンダ18を連ね（上記支持筒９そのものの末端部
分）、該蓄圧シリンダ内に短い蓄圧ピストン19を摺動自
在に嵌合させ、該蓄圧ピストンのポンプシリンダ側にラ
ッパ状の小径スカート20を突設して、該小径スカートを
折り返し短小シリンダ17内に出入摺動自在に嵌合させ、
また、蓄圧ピストンの反ポンプシリンダ側の中央にテー
パ弁部21を突設して、該テーパ弁部を対面するテーパ弁
座24（蓄圧シリンダ18の末端面に形成）に着座させ、折
り返し短小シリンダ17内に蓄圧吐出弁用閉弁スプリング
46を内装して、該蓄圧吐出弁用閉弁スプリングの基端を
内向きフランジ50の一面に支持させるとともに、先端で
その蓄圧ピストン19をテーパ弁部21の閉弁方向（テーパ
弁部21のテーパ弁座24への着座方向）に押圧付勢させて
蓄圧力を保有させ、更に、その蓄圧ピストン19には、テ
ーパ弁部21の周りに液体を通過させる複数の貫通孔22を
穿設し、而して、テーパ弁座24の弁孔23を、流路45を介
して噴射筒２へと連通させている。吸込弁25は、玉弁か
ら成り、蓄圧吐出弁16の下方に、流路43が蓄圧シリンダ
18の後端と連通した弁室26を設け、該弁室の底部に弁孔
28が吸上パイプ49に連通した弁座27を形成し、該弁座に
玉弁体29を可動に自重で着座させている。

【００１２】ポンプピストン11は、折り返し短小シリン
ダ17側に向かう基端閉塞先端大径スカートのラッパ状部
材12と該ラッパ状部材の基端部に重ねた嵌合部材13から
形成して、そのラッパ状部材12先端の大径スカート14を
押し込み終端で折り返し短小シリンダ17の外側に遊嵌さ
せるよう構成している。ポンプシリンダ８は、大径スカ
ート14の押し込み終端に対応させた内周面の適所にポン
プピストン11の水密性を破る溝30を形成し（図３参
照）、かつ、非加圧域の適所、すなわち、別部材のシリ
ンダ10における押し込み前の大径スカート14の直上から
容器体内へと通じる排圧路32を形成している。ラッパ状
部材12には、ポンプシリンダ８内のデッドスペースを埋
める棒体47を装備させ、嵌合部材13の前端を窪ませて、
該窪み15にトリガー４の中間部内面に突設した押圧棒６
を挿入させており、また、嵌合部材13の周面とポンプシ
リンダ８の前部との間に給気弁37を形成するとともに、
容器体内へと連通させる給気路40を形成している。ポン
プシリンダ８に内装したポンプピストン用復帰スプリン
グ51は、基端を内向きフランジ50の他面に支持させると
ともに、先端でポンプピストン11を出方向に押圧付勢さ
せている。

【００１３】大径スカート14の押し込み終端に対応させ
てポンプシリンダ８内に設けた水密性を破るための溝30
は、図３に拡大して示すように、別部材のシリンダ10の
内面適所に周設し、溝内には、シリンダ内周面と面一を
なす筒方向の案内リブ31を数箇所に配している。ポンプ
シリンダ８に形成した排圧路32は、別部材のシリンダ10
における押し込み前の大径スカート14の直上に透孔33を
穿設し、該透孔から蓄圧シリンダ18内前端へとその別部
材のシリンダ10の後部外面に流通溝34を形成し、更に、
その別部材のシリンダ10の末端部分の下にて支持筒９に
蓄圧シリンダ18内前端と通じる流通孔35を穿設し、か
つ、該流通孔に容器体内と通じる所要の流路36を連通さ
せて、その透孔33から流通溝34、蓄圧シリンダ18内前
部、流通孔35及び流路36を経て容器体内に至る流通経路
を形成して成る。ポンプシリンダ８の前部において形成
した給気弁37は、嵌合部材13の周面に摺動弁体38を形成
して、別部材のシリンダ10内前部に摺動自在に嵌合さ
せ、その別部材のシリンダ10の前部下側に押し込み前の
その摺動弁体38で閉塞される弁孔39を穿設して成り、そ
して、この給気弁37に連なる給気路40は、その別部材の
シリンダ10の下面にその弁孔39から排圧路32の流通孔35
に連通させて通気溝41を形成して、排圧路32の流通孔35
及び流路36を兼用することにより、給気弁37からこれら
の通気溝41、流通孔35及び流路36を経て容器体内に至る
流通経路を形成して成る。

【００１４】上述の構成とした横型往復ポンプ機構７
は、まず、トリガー４を引くことによりポンプピストン
用復帰スプリング51に抗してポンプピストン11が押し動
かされると、吸込弁25が閉じてポンプシリンダ８内が加
圧され、その加圧液体が所定圧以上になると、蓄圧吐出
弁16が開いて吐出流路44から送り出される。この時の蓄
圧吐出弁16は、蓄圧ピストン19が小径スカート20との径
差に基づいてその加圧液体から力を受けるが、この力が
所定値以上になり蓄圧吐出弁用閉弁スプリング46に勝る
と前方へ移動してテーパ弁部21がテーパ弁座24から離間
し、開弁する。これにより、所定値以上の液圧の加圧液
体が噴射筒２を通じて噴霧ノズル３へと供給され、該噴
霧ノズルからは液垂れのない良好な噴霧が得られる。次
に、引いたトリガー４を放すことによりポンプピストン
用復帰スプリング51の弾力でポンプピストン11が復帰す
ると、蓄圧吐出弁16が閉じてポンプシリンダ８内が負圧
化し、吸込弁25が開いて吸上パイプ49内を上昇する容器
体内の液体が吸込流路42を通ってポンプシリンダ８内に
流入する。こうして、容器体内の液体が次第に減少する
が、ポンプピストン11の押し込みに伴い給気弁37の摺動
弁体38が移動して給気弁37が開弁するので、外気が給気
路40を経て容器体内に流入し、容器体内が負圧化するこ
とはない。ところで、蓄圧吐出弁16は、ポンプシリンダ
８内の加圧液体が所定圧以下になると直ちに閉じる。そ
のために、ポンプピストン11の押し込み（加圧行程）の
終端では、蓄圧吐出弁16の閉弁に伴いポンプシリンダ８
内に残圧を生じることとなるが、ポンプシリンダ８内に
ポンプピストン11の水密性を破る溝30があるので、その
残圧はこの溝30から容器体内に至る排圧路32へと排出さ
れて速やかに大気圧に下がり、直後の吸込行程におい
て、残圧が吸い込みを阻害するようなことはない。ま
た、この排圧作用は、作動当初の空気と液体との置換を
円滑化し、速やかな置換が得られる。そうして、折り返
し短小シリンダ17の突端に設けた内向きフランジ50は、
蓄圧吐出弁用スプリング46とポンプピストン用復帰スプ
リング51との基部をそれぞれ支持するので、これらのス
プリングが別個のものであっても、支障なく装備させる
ことができて、個別の交換、調整等ができる。また、ポ
ンプピストン11に設けた棒体47は、ポンプシリンダ８内
のデッドスペースを少なくして、効率を向上させる。

【００１５】

【発明の効果】請求項１及び請求項２の発明によれば、
既述構成としたので、次の効果を奏する。 ポンプピストン11の押し込み終端に対応させたポン
プシリンダ８内の適所にポンプピストン11の水密性を破
る溝30を形成し、かつ、そのポンプシリンダ８の非加圧
域の適所から容器体内へと通じる排圧路32を形成してい
るので、ポンプピストン11の押し込み終端において生じ
る蓄圧吐出弁閉弁時のポンプ機構内の残圧は、その溝30
を通ってポンプシリンダ８の非加圧域へ行き、排圧路32
を経て容器体へと流出し、したがって、残圧が直後のポ
ンプシリンダ８内への液体の吸い込みを阻害することは
なく、効率が悪くなることはない。また、操作の初回に
おいて、残圧がポンプ機構内部の空気の排出を阻害する
ようなことはなく、空気から液体へと速やかにかつ確実
に置換できる。 蓄圧吐出弁16において、ポンプシリンダ８の末端の
内部に形成した折り返し短小シリンダ17内に蓄圧ピスト
ン19の小径スカート20を出入摺動自在に嵌合させている
ので、小径スカート20のより小径化が可能となり、蓄圧
ピストン19には径スカートとの径差を拡大させることが
できて、蓄圧ピストン19したがって蓄圧吐出弁16の作動
を良好なものにすることができ、しかも、ポンプピスト
ン11をその折り返し短小シリンダ17側に向かう基端閉塞
先端大径スカートのラッパ状部材12から形成して、その
先端の大径スカート14を押し込み終端でその折り返し短
小シリンダ17の外側に遊嵌させるよう構成しているの
で、機構をコンパクトで、かつ、高性能なものにでき、
噴霧量を増大でき、効率を上げることができる。 折り返し短小シリンダ17の突端に内向きフランジ50
を設けたので、ポンプピストン用復帰スプリング51と蓄
圧吐出弁用閉弁スプリング46とを簡単に個別に装備させ
ることができ、別個に交換、調整等ができて、使用する
液体の性質や需要者の要望などに応じてトリガーの引き
具合と蓄圧吐出弁の動作具合とを個々に変更又は調整で
き、便利である。 請求項２の発明のように、ポンプピストン11にポン
プシリンダ８のデッドスペースを埋める棒体47を装備さ
せることもでき、こうすることでデッドスペースをより
少なくできて、効率を一層向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 請求項１及び請求項２の発明のトリガー式噴
霧器に係る実施の形態を示す中央縦断側面図である。

【図２】 同実施の形態におけるトリガーを引いた状態
を示す中央縦断側面図である。

【図３】 図２の要部拡大断面図である。

【符号の説明】 １…噴霧器本体 ２…噴射筒 ３…噴霧ノズル ４…トリガー ５…枢着 ６…押圧棒 ７…横型往復ポンプ機構 ８…ポンプシリンダ ９…支持筒 10…別部材のシリン
ダ 11…ポンプピストン 12…ラッパ状部材 13…嵌合部材 14…大径スカート 15…窪み 16…蓄圧吐出弁 17…折り返し短小シ
リンダ 18…蓄圧シリンダ 19…蓄圧ピストン 20…小径スカート 21…テーパ弁部 22…貫通孔 23…弁孔 24…テーパ弁座 25…吸込弁 26…弁室 27…弁座 28…弁孔 29…玉弁体 30…溝 31…案内リブ 32…排圧路 33…透孔 34…流通溝 35…流通孔 36…流路 37…給気弁 38…摺動弁体 39…弁孔 40…給気路 41…通気溝 42…吸込流路 43…流路 44…吐出流路 45…流路 46…蓄圧吐出弁用閉弁スプリング 47…棒体 48…装着筒 49…吸上パイプ 50…内向きフランジ 51…ポンプピストン用復帰スプリング

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポンプシリンダ８内で水密摺動するポン
   プピストン11をトリガー４により機械的に作動させる往
   復ポンプ機構７を備えたトリガー式噴霧器において、往
   復ポンプ機構７の吐出弁としてポンプシリンダ８の末端
   に蓄圧吐出弁16を付設し、該蓄圧吐出弁は、前記ポンプ
   シリンダ８の末端の内部に突端が内向きフランジ50を有
   する折り返し短小シリンダ17を連設し、前記ポンプシリ
   ンダ８の末端に隣接させて該ポンプシリンダよりも大径
   で短い蓄圧シリンダ18を連ね、該蓄圧シリンダ内に貫通
   孔22付きの短い蓄圧ピストン19を摺動自在に嵌合させ、
   該蓄圧ピストンの前記ポンプシリンダ側にその貫通孔22
   を囲成するラッパ状の小径スカート20を突設して、該小
   径スカートを前記折り返し短小シリンダ17内に出入摺動
   自在に嵌合させ、かつ、その蓄圧ピストンの反ポンプシ
   リンダ側に弁部21を突設して、該弁部を弁孔23が噴霧ノ
   ズル３へと連通した対面する弁座24に着座閉弁させ、前
   記折り返し短小シリンダ17内に蓄圧吐出弁用閉弁スプリ
   ング46を内装して、該蓄圧吐出弁用閉弁スプリングの基
   端を上記内向きフランジ50の一面に支持させるととも
   に、先端で前記蓄圧ピストン19を前記弁部21の閉弁方向
   に押圧付勢させ、また、前記ポンプピストン11を前記折
   り返し短小シリンダ17側に向かう基端閉塞先端大径スカ
   ートのラッパ状部材12から形成して、その先端の大径ス
   カート14を押し込み終端で前記折り返し短小シリンダ17
   の外側に遊嵌させるよう構成し、前記ポンプシリンダ８
   内にポンプピストン用復帰スプリング51を内装して、該
   ポンプピストン用復帰スプリングの基端を上記内向きフ
   ランジ50の他面に支持させるとともに、先端で前記ポン
   プピストン11を出方向に押圧付勢させ、更に、前記大径
   スカート14の押し込み終端に対応させた前記ポンプシリ
   ンダ８内の適所に前記ポンプピストン11の水密性を破る
   溝30を形成し、そのポンプシリンダ８の非加圧域の適所
   から容器体内へと通じる排圧路32を形成したことを特徴
   とするトリガー式噴霧器。
2. 【請求項２】 ポンプシリンダ８内で水密摺動するポン
   プピストン11をトリガー４により機械的に作動させる往
   復ポンプ機構７を備えたトリガー式噴霧器において、往
   復ポンプ機構７の吐出弁としてポンプシリンダ８の末端
   に蓄圧吐出弁16を付設し、該蓄圧吐出弁は、前記ポンプ
   シリンダ８の末端の内部に突端が内向きフランジ50を有
   する折り返し短小シリンダ17を連設し、前記ポンプシリ
   ンダ８の末端に隣接させて該ポンプシリンダよりも大径
   で短い蓄圧シリンダ18を連ね、該蓄圧シリンダ内に貫通
   孔22付きの短い蓄圧ピストン19を摺動自在に嵌合させ、
   該蓄圧ピストンの前記ポンプシリンダ側にその貫通孔22
   を囲成するラッパ状の小径スカート20を突設して、該小
   径スカートを前記折り返し短小シリンダ17内に出入摺動
   自在に嵌合させ、かつ、その蓄圧ピストンの反ポンプシ
   リンダ側に弁部21を突設して、該弁部を弁孔23が噴霧ノ
   ズル３へと連通した対面する弁座24に着座閉弁させ、前
   記折り返し短小シリンダ17内に蓄圧吐出弁用閉弁スプリ
   ング46を内装して、該蓄圧吐出弁用閉弁スプリングの基
   端を上記内向きフランジ50の一面に支持させるととも
   に、先端で前記蓄圧ピストン19を前記弁部21の閉弁方向
   に押圧付勢させ、また、前記ポンプピストン11を前記折
   り返し短小シリンダ17側に向かう基端閉塞先端大径スカ
   ートのラッパ状部材12から形成して、その先端の大径ス
   カート14を押し込み終端で前記折り返し短小シリンダ17
   の外側に遊嵌させるよう構成し、前記ポンプシリンダ８
   内にポンプピストン用復帰スプリング51を内装して、該
   ポンプピストン用復帰スプリングの基端を上記内向きフ
   ランジ50の他面に支持させるとともに、先端で前記ポン
   プピストン11を出方向に押圧付勢させ、更に、前記大径
   スカート14の押し込み終端に対応させた前記ポンプシリ
   ンダ８内の適所に前記ポンプピストン11の水密性を破る
   溝30を形成し、そのポンプシリンダ８の非加圧域の適所
   から容器体内へと通じる排圧路32を形成し、前記ポンプ
   ピストン11内に前記ポンプシリンダ８のデッドスペース
   を埋める棒体47を装備させたことを特徴とするトリガー
   式噴霧器。