JPH09225007A - 柔軟性を有する薬液用プラスチック容器 - Google Patents

柔軟性を有する薬液用プラスチック容器

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JPH09225007A
JPH09225007A JP8063897A JP6389796A JPH09225007A JP H09225007 A JPH09225007 A JP H09225007A JP 8063897 A JP8063897 A JP 8063897A JP 6389796 A JP6389796 A JP 6389796A JP H09225007 A JPH09225007 A JP H09225007A
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JP
Japan
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propylene
polypropylene
plastic container
molding
random copolymer
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JP8063897A
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Takehiko Washimi
武彦 鷲見
Tetsuya Fukumoto
哲也 福本
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Kyoraku Co Ltd
Original Assignee
Kyoraku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実質的にシンジオタクチック構造のポリプロ
ピレンで構成される薬液用プラスチック容器が有する優
れた透明性を保持したままで、しかも成形工程における
プラスチック材料の冷却所要時間を短縮し、成形時間を
短縮して生産性の向上を図るとともに、鮫肌現象の発生
を防止して表面性に優れた薬液用プラスチック容器を得
る。 【解決手段】 薬液用プラスチック容器1は、柔軟性を
有する合成樹脂をブロー成形して成る。柔軟性を有する
合成樹脂が、実質的にシンジオタクチック構造のポリプ
ロピレンで構成される基材樹脂層と、ブロー成形時に成
形金型に当接する外表面層にエチレン含有量が1〜9重
量%のプロピレン−エチレンランダム共重合体でを配し
た層構造である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アミノ酸輸液剤脂
肪乳剤、高カロリー輸液剤などの静脈注射用輸液や経腸
栄養剤、高蛋白栄養剤、成分栄養剤、流動食などの経腸
的高カロリー栄養剤の薬液を充填するブロー成形により
形成された柔軟性を有するプラスチック容器に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】この種の薬液用プラスチック容器は、衛
生性はもちろん、耐熱性、柔軟性、透明性を兼ね備えて
いることが求められる。従来、その特性を備えたものと
して、プロピレン−エチレンランダム共重合体の合成樹
脂からなるものが知られているが、さらに良好な自然滴
下性が要求される場合には、プロピレン−エチレンラン
ダム共重合体にゴム質材料を20重量%程度ブレンドす
ることも行われている(特開昭57−115441号公
報または特開昭59−115349号公報参照)。
【0003】ところで、この種のプラスチック容器にあ
っては、115℃〜121℃の高温下で加熱滅菌するこ
とを要するものがあるが、プロピレン−エチレンランダ
ム共重合体にゴム質材料をブレンドすると、ブロー成形
時には相応の透明性を有していても、滅菌処理後に白濁
を生じて透明性が大幅に低下するという欠点がある。
【0004】近年、チーグラー・ナッター触媒に代わる
新しい触媒として、いわゆるメタロセン触媒が注目され
ている。このメタロセン触媒を使用すると従来得られな
かった所望の物性の樹脂が得られるとされており、例え
ば従来シンジオタクティシティの低かったシンジオタク
チック構造のポリプロピレンがこの触媒を利用すること
によりシンジオタクティシティが90%以上の樹脂が得
られることが判明している。
【0005】このシンジオタクチック構造のポリプロピ
レンは、透明性と耐熱性さらには柔軟性を備えており、
特に薬液用プラスチック容器に用いた場合、上記する蒸
気滅菌後の白濁による透明性の低下が生じないので、先
に本出願人は、シンジオタクチック構造のポリプロピレ
ンで構成した薬液用プラスチック容器を提案している
(特開平7−194674号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シンジ
オタクチック構造のポリプロピレンは、冷却時間を長く
要するので、シンジオタクチック構造のポリプロピレン
で薬液用プラスチック容器を成形すると、成形時間が長
くなって生産性に劣ることと、押出ヘッドから押し出さ
れる方向に対し垂直の方向に発生する複数の筋、いわゆ
る鮫肌現象が発生して表面性に劣るのが欠点である。
【0007】そこで、本発明の目的は、シンジオタクチ
ック構造のポリプロピレンで構成される薬液用プラスチ
ック容器が有する優れた透明性を保持したままで、しか
も成形工程におけるプラスチック材料の冷却所要時間を
短縮し、成形時間を短縮して生産性の向上を図ることが
できるとともに、鮫肌現象の発生を防止して表面性に優
れた薬液用プラスチック容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係る薬液用プラスチック容器は、柔軟性を有
する合成樹脂をブロー成形して成る、内部に充填された
薬液を自然滴下により投与できる薬液用プラスチック容
器において、柔軟性を有する合成樹脂が、実質的にシン
ジオタクチック構造のポリプロピレンで構成される基材
樹脂層と、ブロー成形時に成形金型に当接する外表面層
にエチレン含有量が1〜9重量%のプロピレン−エチレ
ンランダム共重合体を配した層構造であることを特徴と
するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】図1および図2には、本発明に係
る薬液用プラスチック容器が例示されている。この薬液
用プラスチック容器はブロー成形されたものであり、薬
液用プラスチック容器1の胴部2の上端に口部3を有し
ており、胴部2の下端は底部4を成し、底部4には吊片
5を備えている。口部3には栓体6が溶着されている。
7は肩部である。
【0010】薬液用プラスチック容器1は、柔軟性を有
する合成樹脂で構成されており、柔軟性を有する合成樹
脂は、基材樹脂層が実質的にシンジオタクチック構造の
ポリプロピレンであり、少なくともブロー成形時に成形
用金型に当接する外表面層にプロピレン−エチレンラン
ダム共重合体を配した層構造である。この層構造は、基
材樹脂層を中間層として実質的にシンジオタクチック構
造のポリプロピレンで構成し、外表面層と内表面層をと
もにプロピレン−エチレンランダム共重合体で構成する
こともできる。
【0011】プロピレン−エチレンランダム共重合体
は、プロピレン鎖にエチレンがランダムに共重合された
もので、エチレン含有量を1〜9重量%にすることが重
要であり、特にエチレン含有量を4〜7重量%としたプ
ロピレン−エチレンランダム共重合体が好適である。エ
チレン含有量が1重量%未満では柔軟性がなく、またエ
チレン含有量が9重量%を超えると透明性、耐熱性が低
下し、さらに微粒子が増加し安全衛生性の点で好ましく
ない。このようなプロピレン−エチレンランダム共重合
体は、各種三塩化チタンまたは塩化マグネシウム担持チ
タン含有触媒とジエチルアルミニウムクロライド、トリ
エチルアルミニウムコロライド等の有機アルミニウム化
合物とを主成分とするチーグラー型触媒を使用して重合
されるものである。
【0012】プロピレン−エチレンランダム共重合体に
は、相溶性のよいエラストマーを、蒸気滅菌により白濁
しない範囲でブレンドしてもよい。このようなエラスト
マーとしては、プロピレン−エチレンランダム共重合体
よりもゴム質の高い非晶性のプロピレン−エチレン共合
体さらにはプロピレン−α−オレフィン共重合体あるい
はエチレン−プロピレン共重合体さらにはエチレン−α
−オレフィン共重合体が好適である。実験によれば、白
濁しない範囲は10重量%、好ましくは5重量%であ
る。
【0013】実質的にシンジオタクチック構造のポリプ
ロピレンとは、ビニル系高分子に配置された置換基Rが
交互に平面の上下に現れる構造のものである。従来、シ
ンジオタクチック構造のポリプロピレンは、チーグラー
・ナッター触媒で製造した場合、シンジオタクティシテ
ィが悪く、従来よりその存在が知られたシンジオタクチ
ック構造のポリプロピレンの特徴を現出するものではな
かった。ところが、近年、上記する従来のチーグラー・
ナッター触媒のような不均一系の触媒とは異なった遷移
金属ハライドとアルミニウム、アルカリ土類金属もしく
はアルキル化合物とを組合わせた均一系に属する触媒を
使用した合成がプラスチックの分野で提案されている。
特に、均一系の触媒としてイソプロピル(シクロペンタ
ジエニル−1−フルオレニル)ハフニウムジクロリド、
あるいはイソプロピル(シクロペンタジエニル−1−フ
ルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどの非対称な配
位子を有する遷移金属化合物とアルミノキサンとからな
る触媒をプロピレン重合に使用すると、シンジオタクチ
ック構造のポリプロピレンがシンジオタクティシティ9
0%以上の効率で得られることがわかっている。本発明
の実質的にシンジオタクチック構造をなすポリプロピレ
ンとは、上記する均一系触媒を使用してプロピレンを重
合するものであり、シンジオタクティシティが75%以
上の実質的にシンジオタクチック構造をなすポリプロピ
レンをいうものとする。このようなポリプロピレンは、
結晶性部分と非結晶部分とが混在するステレオブロック
構造のものが好適であり、十分な柔軟性を有するもので
ある。
【0014】本発明の実施の形態に係る薬液用プラスチ
ック容器1は、実質的にシンジオタクチック構造のポリ
プロピレンを基材樹脂層とするので、表面層に柔軟性が
高くないプロピレン−エチレンランダム共重合体を有し
ていても全体として十分な柔軟性を有する薬液用プラス
チック容器が得られる。
【0015】また、成形用金型に当接する表面層にプロ
ピレン−エチレンランダム共重合体の層を配したので、
実質的にシンジオタクチック構造のポリプロピレンで構
成されている基材樹脂層が完全に冷却しない状態で離型
しても、既に冷却が完了している表面のプロピレン−エ
チレンランダム共重合体層により形状保持性が担持され
る。したがって、従来のプロピレン−エチレンランダム
共重合体の単体によるものと同等の冷却時間で成形性に
優れた薬液用プラスチック容器を得ることができる。
【0016】表面層を構成するプロピレン−エチレンラ
ンダム共重合体には、ゴム質の混入する必要がないか、
あるいは混入するとしても僅かでよいので、蒸気滅菌に
より白濁することがなく、透明性を維持できる。
【0017】表面層にプロピレン−エチレンランダム共
重合体を配したので、基材樹脂層が実質的にシンジオタ
クチック構造のポリプロピレンであっても、鮫肌現象が
発生せず、表面性に優れたものが得られる。
【0018】
【実施例】図1および図2に示す薬液用プラスチック容
器を、基材樹脂層(中間層)が実質的にシンジオタクチ
ック構造のポリプロピレン、その外表面層および内表面
層がプロピレン−エチレンランダム共重合体からなる積
層構造としてブロー成形したものにつき、各層の構成比
率を種々変えて実験を試みた。その結果、外表面層と内
表面層との肉厚の和が全体の層厚の5%未満では冷却速
度が低下し、40%を超えると透明性が低下する。
【0019】図1および図2に示す薬液用プラスチック
容器を、基材樹脂層(中間層)が実質的にシンジオタク
チック構造のポリプロピレン、その外表面層がプロピレ
ン−エチレンランダム共重合体からなる積層構造として
ブロー成形したものにつき、各層の構成比率を種々変え
て実験を試みた。その結果、外表面層が全体の層厚の5
%未満では冷却速度が低下し、40%を超えると透明性
が低下することが判明した。
【0020】実施例における実質的にシンジオタクチッ
ク構造のポリプロピレンとしてイソプロンピジルコニウ
ムジクオロリドとメチルアルミノキサンとからなる触媒
を使用してプロピレンを重合したもので、そのシンジオ
タクティシティは91%であった。また、プロピレン−
エチレンランダム共重合体のエチレンの含有量は6重量
%である。
【0021】次に、薬液用プラスチック容器を、基材樹
脂層(中間層)が実質的にシンジオタクチック構造のポ
リプロピレン、その外表面層および内表面層がプロピレ
ン−エチレンランダム共重合体からなる積層構造として
ブロー成形したものについて、実験結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】また、薬液用プラスチック容器を、基材樹
脂層が実質的にシンジオタクチック構造のポリプロピレ
ン、その外表面層がプロピレン−エチレンランダム共重
合体からなる積層構造としてブロー成形したものについ
て、実験結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】表1または表2に示す透明性の評価は、得
られた薬液用プラスチック容器1の胴部2を目視により
観察したものである。◎は最も良好、○は良好、△はや
や不良、×は不良の評価を示している。また、表1また
は表2に示す冷却性は、図1および図2に示した肩部7
の成形後の後変形を0とし得る最短の時間を秒で表わし
たものである。ここで後変形とは、離型後取り出した薬
液用プラスチック容器1を20℃の雰囲気内に放置し、
完全に冷却をした後(測定は5時間後)の肩部7の凹み
をいう。成形サイクルを考慮すると冷却時間は30秒以
下が好ましい。表1または表2に示す透明性の評価は、
JISK6714に規定する450nmの波長の可視光
の入射量と全光線透過量との比である全光線透過率を示
した。また、表1または表2に示す冷却性は、図1およ
び図2に示した肩部7の成形後の後変形を測定した。こ
こで後変形とは、離型後取り出した薬液用プラスチック
容器1を20℃の雰囲気内に放置し、完全に冷却をした
後(測定は5時間後)の肩部7の凹みをmm単位で測定
した数値である。表1または表2中、◎は最も良好、○
は良好、△はやや不良、×は不良の評価を示している。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、シンジオタクチック構
造のポリプロピレンで構成される薬液用プラスチック容
器が有する優れた透明性を保持したままで、しかも成形
工程におけるプラスチック材料の冷却所要時間を短縮
し、成形時間を短縮して生産性の向上を図ることができ
るとともに、鮫肌現象の発生を防止して表面性に優れた
薬液用プラスチック容器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る薬液用プラスチッ
ク容器の正面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る薬液用プラスチッ
ク容器の側面図である。
【符号の説明】
1 薬液用プラスチック容器 2 胴部 3 口部 4 底部 5 吊片 6 栓体 7 肩部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柔軟性を有する合成樹脂をブロー成形し
    て成る、内部に充填された薬液を自然滴下により投与で
    きる薬液用プラスチック容器において、柔軟性を有する
    合成樹脂が、実質的にシンジオタクチック構造のポリプ
    ロピレンで構成される基材樹脂層と、ブロー成形時に成
    形金型に当接する外表面層にエチレン含有量が1〜9重
    量%のプロピレン−エチレンランダム共重合体を配した
    層構造であることを特徴とする柔軟性を有する薬液用プ
    ラスチック容器。
JP8063897A 1996-02-27 1996-02-27 柔軟性を有する薬液用プラスチック容器 Pending JPH09225007A (ja)

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